ポケモンレンジャー
【ぽけもんれんじゃー】
ジャンル
|
アクションアドベンチャー
|

|
対応機種
|
ニンテンドーDS
|
開発元
|
HAL研究所
|
発売元
|
ポケモン
|
発売日
|
2006年3月23日
|
定価
|
4,800円(税込)
|
レーティング
|
CERO:A(全年齢対象)
|
配信
|
バーチャルコンソール 【WiiU】2016年4月13日/950円(税8%込)
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
ポケモンを「ゲット」ではなく「キャプチャ」する新感覚 本編ボリュームが不足気味 マナフィ配信のためのソフトとも
|
ポケットモンスターシリーズ
|
概要
フィオレ地方での冒険を描くポケモンシリーズ外伝。
本家と異なり、ポケモンを「ゲット」するポケモントレーナーではなく、ポケモンを「キャプチャ」するポケモンレンジャーが主役である。
システム
-
フィオレ地方は、自然との共存を昔から推進しているため、ポケモンを手元に持ち続ける「トレーナー」という職種がほとんどいない(皆無ではないようだが、ゲーム中には出てこない)。
その代わりポケモンの力を一時的に借りる「レンジャー」という職種が一般的である。主人公(男女選択可能)が見習いレンジャーとしてフィオレ地方に降り立つところからストーリーは始まる。
-
レンジャーは「スタイラー」という道具を用いてポケモンを「キャプチャ」する。これはスタイラーを通じて野生のポケモンに「自然を思う気持ちを伝える」こと。気持ちを感じ取ったポケモンはレンジャーと共に行動し、力を貸してくれる。本編のトレーナーとは異なりあくまで一時的に行動を共にしているだけなので一度力を借りるとそのポケモンは本来の住み家に帰るし、生息地を大きく離れて連れ歩くこともできない。
-
この設定はポケモンシリーズ初期よりあった「野生生物を痛めつけた上で縛り上げ、無理矢理戦わせている」という批判に対する対応ともとれる。
-
キャプチャ
-
本作はシンボルエンカウントを採用しており、まずはポケモンに接触してキャプチャ画面に移る。中には動きが速かったり逃げ回ったり攻撃してきたりで、この時点で苦労するポケモンもいる。
-
キャプチャがスタートすると、下画面に相手ポケモンが出てくる。このポケモンをポケモンごとに定められた回数タッチペンで「囲む」とキャプチャ成功となる。成功するとブラウザ(本家で言う図鑑)に登録され、スタイラーに経験値が入る。また、レベルアップするとスタイラーのHPとラインの長さが延長される。
-
もちろんポケモンも無抵抗ではなく、動き回ってキャプチャラインに触れるとその時点で囲んだ回数がリセットされてしまう。さらに獰猛なポケモンの場合、積極的にこちらに攻撃してスタイラーにダメージを与えてくるものもいる。スタイラーの耐久力がなくなるとゲームオーバー。
-
キャプチャ後にできることは二つ。ただし、一度力を借りた時点でリリースされる。
「ターゲットクリア」:フィールド上にある柵や岩などの障害物を破壊してくれたり、スタイラーの充電をしてくれる。
「ポケアシスト」:ポケモンのキャプチャをアシスト技で補助してくれる。
-
「ポケアシスト」は炎ならラインから火が吹き出てポケモンを驚かせて動きを止める、格闘なら囲んだ回数が2倍としてカウントされるなど、タイプごとに効果が決まっている。
-
本編同様タイプごとに相性があり、相性の良い相手には効果持続時間は長いが相性の悪い相手には効果は薄い。ただし、本家と比べ相性は若干異なる。
評価点
-
新感覚の「囲む」アクションゲーム。「新しいアクションゲームとは、新たな動詞を考えること」という田尻智氏の思想に則った開発コンセプトだと言える。
-
「囲む」というアクションは最初から最後まで共通なのだが、ポケモンごとに全く異なった動きを見せ、単調さはほとんど感じない。
-
大体タイプごとに行動の傾向は決まっている。例えばはがねタイプのハガネールは目立った妨害こそしてこないものの、単純に身体がデカく囲まなければいけない回数も多いなど。
-
ポケモンの動きが非常に細かく、見ているだけでも結構面白い。
-
クリア後は各地にまだキャプチャしていないポケモンが多数追加され、さらなるやりこみが可能。
-
但し本家のポケモンは全て登場せず、図鑑は本作独自のものとなっている。
-
クリア後にはホウエン地方の伝説のポケモンもキャプチャ可能になる。
問題点
-
キャプチャの難易度がややシビア
-
囲み損ねると最初からやり直しであるため、囲む回数が多かったり妨害が激しいポケモンはポケアシストなしでは囲み続けることが難しく、相性のいいアシストポケモンがいないと詰んでしまうこともありうる。
-
また、囲む回数が多いポケモンをキャプチャする場合、激しくタッチペンで画面を囲むためタッチ画面が傷つきやすいという弊害も。
-
特に子供は力を入れてタッチ操作することが多かったためか本シリーズのやりすぎでタッチ画面に円形の傷がついている、なんて話が語り草になっている。
-
タイプごとの格差。
-
電気タイプの技の効果は「スタイラーを充電してHP回復」。本家で言うきずぐすりのような扱いであり、もちろんいなければ突破できない仕掛けなどもなく、微妙に扱いが悪い。主人公のパートナーとなるポケモンは独自の「でんげき」というアシストを持っているが、タイプ相性ではでんきタイプと同じ扱いのため、「逆にしたほうがよかったのではないか」という指摘もある。
-
毒タイプのポケアシストは草タイプにしか抜群じゃない上、半減が5タイプもいるため使い勝手はかなり悪い。
-
ちなみにノーマルタイプとドラゴンタイプのポケモンにはポケアシストが用意されていない。また、フィールド技を持たないポケモンも存在する。
-
そしてアシストとフィールド技の両方を使えないお荷物でしかないポケモンも極一部存在する。
-
本編のボリュームが不足している。
-
どれだけ手間取っても10時間はかからない。町もたった4つしかなく、本家ポケモンに比べると極端に薄い。本編中はメインイベント以外のサブイベントが一切存在しないのも手狭さを感じるところ。クリア後でないと自由に行動したりポケモンを連れ回す事ができないのも原因か。
-
ミッションをクリアしていくとレンジャーランクという物が上がっていくが、普通にストーリーを進めるだけで上がっていくので頑張って上げている感覚が少ない。
-
その上、対戦や協力などの通信要素も無い。
-
通信プレイが出来るのはシリーズ3作目の『光の軌跡』時となった。
-
主人公のライバルポジションとなるキャラの扱いが微妙
-
敵にやられてばかり(しかも大概はセリフで済まされる)で、ボスキャラとの対決などでも棒立ち同然。それぞれパートナーとして連れているプラスルとマイナンが協力するシーンも皆無。
-
その他、先輩レンジャー等が同伴してくれる場面があるが、特に何もしてくれず主人公の後ろをついてくるだけ。
-
これを反省してか、続編からは少し出番が増えるようになる。
-
第三世代のすべてのポケモンをキャプチャできない
-
キャプチャ可能なのは210(+幻3)種。第三世代における全380(+幻6)種と比べて明らかに少ない。
-
タイプの偏りも若干ながら見受けられる。御三家は3世代までのすべてが参戦している関係上、ほのお、みず、くさなどは非常に数が多い一方で、ゴーストタイプはゴース系とサマヨールのみとなっている。
-
もっとも、大抵の進化系は揃っているし、全種登場したところでブラウザ登録と連れ歩ける以外の変化に乏しいという問題もある。
-
一応、クリア後は全ポケモンキャプチャが目標になるが、ここでもポケモン商法は健在である。
-
2006年の映画の前売り券でデオキシス、イベント会場限定配布でセレビィとミュウをキャプチャできるスペシャルミッションが配信された。現在はいずれも入手不可能。
-
伝説・幻のポケモンを連れ歩けない
-
本編クリア後、フィオレ地方中のポケモンを数の制限があるとはいえ自由に連れ回せるようになるが、伝説・幻系だけはキャプチャはできてもミッションクリアまでに開放してしまう上、ミッション外でのキャプチャは不可であるため連れ歩くことは不可能な残念仕様になっている。
総評
タッチペンの機能を活かした新しいシステムを作り出し、ポケモンの力を「借りる」という発想も良かったが、やや練り込みが足りない印象。
とはいえ完成度は決して低くはなく、ポケモンとふれあう感覚も他の作品ではなかなか味わえないものである。
それなりに人気はあったのか、『ポケモンレンジャー』のタイトルでは合計3作発売されている。
余談
-
パッケージにリザードン、ボーマンダ、キングドラ、フライゴンという妙な取り合わせの面子が描かれているがこの理由はシナリオを進めるとわかる。
-
一応本家ポケモン的に言うとタマゴグループ:ドラゴンで統一されている。
-
前述の映画前売り券で幻のポケモンの一種「マナフィ」のタマゴを入手できるスペシャルミッションが配信された。
-
これを『DP』に送り、孵化することでマナフィが手に入る。なお、通信にはDSが2台必要。
-
外伝作には興味がないがマナフィのために購入したプレイヤーもいたのか、配信終了後は中古屋に売られることも多かった。
最終更新:2021年09月13日 13:15