素晴らしき日々 ~不連続存在~

【すばらしきひび ふれんぞくそんざい】

ジャンル AVG(18禁)


対応機種 Windows Me~Vista
メディア DVD-ROM
発売・開発元 ケロQ
発売日 特装初回版:2010年3月26日
通常版:2010年5月14日
定価 8,800円(税別)
ディスクレス起動 可能
レーティング アダルトゲーム
配信 FANZA:2016年4月1日/7,980円(税別)
判定 良作
ポイント 複数視点を生かせている
人を選ぶ要素多し


6つの物語によって奏でられる旋律── “言葉と旋律” の物語




概要

  • 終ノ空』を基にして作られたアドベンチャーゲーム。だがライター曰はく、リメイクではない。
  • そのため高島ざくろ、間宮卓司、音無彩名など一部のキャラクターの名前や設定が被っている。
  • シナリオの完成度の高さから、萌えゲーアワード2010大賞部門では銅賞、シナリオ賞部門では金賞を受賞した。

ストーリー

それぞれの物語は旋律。
それらの旋律はさらに大きな物語として共鳴してゆく……。
「それと世界」「終わりと始まり」「文学と科学」「救世主と英雄」
「兄と妹」「向日葵と坂道」
言葉は旋律となる。
『素晴らしき日々』とはそういった物語。

(公式サイトから抜粋)

主な登場人物

  • 水上由紀(みなかみ ゆき)
    • 1章の主人公。大雑把な性格でネットには疎い。
  • 間宮卓司(まみや たくじ)
    • 2章の主人公。典型的なネット弁慶で、リアルではいじめられている。
  • 高島ざくろ(たかしま ざくろ)
    • 3章の主人公。周りに流されやすく、いじめられている。
  • 悠木皆守(ゆうき ともさね)
    • 4章と6章の主人公。クール系を気取るが実際は熱血漢。卓司をいじめている。
    • このキャラだけにボイスがない。が、そこには重大な意味が隠している。
  • 間宮羽咲(まみや はさき)
    • 5章の主人公。常にうさぎの人形を持ち歩いている。ブラコン。
  • 若槻鏡・司(わかつき かがみ・つかさ)
    • パッケージ絵の姉妹。『らき☆すた』の柊かがみ・つかさが元ネタ。名前から見た目、性格に至るまでほぼ一致している。
    • パロディキャラであることが重要で、そのことを知らないと物語を理解し辛く、このキャラ達の存在意義って何だったの? となる。
  • 橘希実香(たちばな きみか)
    • 隠れオタクの少女。ざくろとともにいじめの対象になっている。
  • 音無彩名(おとなし あやな)
    • ミステリアスな少女。

特徴

  • 最初に選べるのは1章のみ。いくつかのエンディングを見ることで2章~6章が解放されていく。
    • いずれも主人公が異なり、同じ出来事を複数の視点で確認していくことになる。
    • 章の終わりごとに毎回別のスタッフロールが流れる。
  • 哲学や神話からの引用が多く、章の始まりなどに引用した文が表示される。小難しい話が多い。

評価点

  • シナリオの完成度の高さ
    • どう見ても電波にしか思えないシーンにも理由があり、蛇足になっている章はない。
      • 全ての章を見た後に1章からやり直すと細かいところまで、伏線が張られていたことがよく分かる。
    • 伏線が一気に回収される4章以降の没入感は特に高く、目を離せない展開が続く。タイトルやサブタイトルの意味も分かってくる。
    • 18禁であることも存分に生かされている。
      • 生かされ過ぎて、コンシューマーへの移植は絶望的なレベル。仮に移植したとしても劣化移植か別物になることは確実である。
  • 哲学要素などで小難しく感じがちだが、それだけではなく色々な展開が待っているのでカタルシスは味わえる。
    • ただし結局のところ本題は哲学についてであり、小難しい話は全部無視したいという人にまでお勧めできるかと言われると微妙。
  • 区別しやすいキャラクター
    • 癖のあるキャラクター像のため、誰が誰だか分からないという事態にはなりにくい。
    • 各自の心情も理にかなったもので、行動を理解しやすい。
  • さすがはケロQクオリティといったところか、美麗なCGやBGMが雰囲気に合っている。
    • 特に音楽面は高く評価されており、主題歌は人気がある。

賛否両論点

  • いじめによる自殺や、凌辱、グロ、獣姦、ふたなり、レズ、ゲイといった人を選ぶ描写が多い。
    • Hシーンも上記の要素を含むものがほとんどを占める。
      • bbspinkの作品スレでも、「これらが苦手ならやめておけ」とテンプレにある。
  • パロディやネットスラングが多い
    • これも好みが非常に分かれる。漫画やゲームなど様々なジャンルのパロネタが出てくる。
    • 現実ではまず使うことのない「DQN」や「処女厨」などといった単語が使われる。
    • 自虐な楽屋ネタも存在。
  • 全シナリオを終えても何者か分からないままのキャラや、何を表しているのか分からない台詞などもある。
    • プレイヤーの想像の余地が残っていると言えるが、はっきりさせて欲しかったとの声もある。
    • これは様々な見解や捉え方があるが、シナリオの大筋自体は分かりにくいながらもはっきりしているので批判は少ない。
+ ネタバレ(クリックで開閉)
  • シナリオの都合上仕方ないが、どうあがいても悲惨な最期を遂げるキャラが多い。
  • 途中で熱血的な物語が展開されたりもするが、結局最後は後味が悪いまま終わる。伏線回収なので意味はあるのだが…。
    • 『終ノ空』を知らない場合は悪い意味で裏切られることが多い他、OPの雰囲気に騙されるユーザーも居る。

問題点

  • 1章,2章は一見しただけでは意味不明な描写が続くため、退屈との声が多い。
    • 1章はHシーンは百合のみで、よく分からないまま終ってしまう。
    • 2章はいじめの描写が多い上に、途中からは電波としか思えない展開になる。
  • 章が終わるごとにスタッフロールが流れるが、それぞれ1回目はスキップ不可能。
    • スキップして、続きを早く見たいユーザーからは不評。
  • 特徴にも挙げているが哲学や神話などからの引用が多い他、迂遠な言い回しが非常に多く、余計に文章を小難しくしているので読みづらい。
  • クイックセーブがない。さほど困るわけではないが、発売時期を考えると実装してほしかったところ。
+ ネタバレ(クリックで開閉)
  • 『終ノ空』が元なだけに、話の顛末は「大体の意味は分かったが、結局電波なシナリオ」と評されてもおかしくないもの。
    • 文章の技術や完成度は見事だが、感想は話そのものより小難しさによる考察(やり込みの域)とキャラ萌えに収束しがち。

総評

人を選ぶ要素が多いのは確かだが、18禁であることを存分に生かした作品。
プレイ前から自分の好みに合うかを確かめるのは難しいのだが、
鬱描写・陰湿・グロ系の話は嫌、小難しくしようとする文章は嫌い、気分がすっきりする話が良い…などの嗜好なら避けた方が無難。
伏線の張り具合と怒涛の伏線回収は見事の一言に尽き、好きな人は非常に好きになる作品であることは間違いない。


余談

  • 体験版では最序盤を遊べる。これだけでは本作の魅力はほとんど味わえないが、キャラクターの特徴はある程度掴める。
  • タイトルが同一のアメリカのTVドラマ『素晴らしき日々』とは特に関連性はなく、パロディでもない。
  • OPはかなりアップテンポで歌詞も凄い前向きの様に感じる人気の高い曲だが、色々な意味でOP詐欺していることでも有名。

移植・リメイク

  • 2017年8月31日にSteamで配信された。
  • 2018年7月20日に『素晴らしき日々 ~不連続存在~ フルボイスHD版』が発売。
  • 2020年12月25日『素晴らしき日々~不連続存在~ 10th Anniversary特別仕様版』が17,800円で発売。
    • 『素晴らしき日々 ~不連続存在~ フルボイスHD版』に加え、入手困難だった『終ノ空』と未発売だった『終ノ空 remake』も収録されている。

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最終更新:2020年12月25日 00:59