実況パワフルプロ野球6

【じっきょうぱわふるぷろやきゅうしっくす】

ジャンル スポーツゲーム(野球)
対応機種 ニンテンドウ64
メディア 128MbitROMカートリッジ
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテイメント大阪
(ダイヤモンドヘッド)
発売日 1999年3月25日
定価 7,800円
判定 良作
ポイント サクセスはバリエーション豊富な6つの大学編
ドラマティックペナント登場
横浜ベイスターズ優勝年のデータ
N64サードパーティで最も売れたソフト
実況パワフルプロ野球シリーズ


概要

  • 言わずと知れた人気野球ゲームのメイン6作目。N64パワプロとしては3作目。
  • 西川直樹、藤岡賢治などこれまで主要だったスタッフが前作『5』を最後に『パワポケ』シリーズの制作で離脱*1したため、本作は実質的に新しいスタッフで開発した作品となる。
  • 本作は大学野球編。実力主義・試合オンリーなどのバリエーションが登場。
  • 本作のペナントは従来の試合進行型に対し、ドラマティックペナントモードを追加。
  • 同年のPS1版パワプロ'99と並んで横浜ベイスターズ黄金期と言える一作。本作のシナリオは対横浜のシチュエーションが多い*2
  • 初代『パワプロクンポケット』とはパスワードの他GBパックで連動して選手のやり取りが出来る。
  • 調子による影響のブレが大きくなった。

評価点

進化した野球部分

  • 体感球速が上がり、ストレートが使いやすくなった。 但し、ホームランになりづらくなったともいえる。
  • 難易度「ふつう」以前のcpuがストレートを投げる事が多くなり、バットに当てやすくなった。
  • cpuの予測打ちがなくなり、三振を取りやすくなった。

特殊能力の新規追加

  • 「代打○」「満塁男」や投手版の「威圧感」などが新規追加された。これによりまた選手の個性が事細かくなった。
  • ミートカーソルの伸び縮みが激しい「初球○」「三振男」が追加。またピッチャー用に、それに近い位置付けの「四球男」も追加。
  • 前作まであった「一発病」の逆バージョンとして「逃げ球」も追加された。
  • それまで「しりあがり」がトータルではプラスだが1.2回はマイナスだったので一概にプラスと言い切れないものだったが、本作から基本からスタートして上がるのみとなった。
    • 併せて、それまでのマイナス部分のみを取り上げたマイナス能力「スロースターター」が追加。「しりあがり」の代名詞だったオリックスの星野などは「しりあがり」と「スロースターター」を両方とも持っており前作の特徴を引き継いだ形になっている。
  • その一方で選手個人名の特殊能力が「桑田」のみになり、新庄式キャッチは誰でもできるようになった(守備練習で阪神を使っていると最初の説明で教えてくれる)。

ドラマティックペナント

  • これまでは普通の日程を消化するだけの試合モードだったペナントモードに追加された新モード。
  • 説明役のコーチさんは大きな口が付いている異色の人物。
    • キャンプを行う事でペナント中でも選手の能力値を上げることが出来るようになった。
    • 2月のキャンプ投手・捕手・内野手・外野手の4ポジションの練習メニューを決め、第6クールまで練習を繰り返す。
    • 上手く行けば全員絶好調や能力値を上げた上でペナントレースに挑めるが、失敗すれば怪我をしたり不調だったりしてしまう事もある。
      • 本作のドラマティックペナントのキャンプは練習内容が非常に凝っているのだが、それ故にキャンプで時間が非常にかかるという欠点を抱えるようになってしまったため後のシリーズではドラマティックペナントは廃止され、キャンプは簡略化された。
      • しかしペナントでの育成要素という要素は後のシリーズにも残り、今ではパワプロでは何よりペナントを楽しみにしているファンを獲得する事へ繋がった。

バリエーション豊富なサクセス

  • 前作『5』では、3種類の高校があったがマネージャー以外の登場人物が完全に使い回しであり、あまりバリエーションがあるとは言えなかった。
    • しかし本作は6大学で矢部以外のチームメイト(その矢部もするめ大学では仲間にならない)が大きく変わり、ストーリー的にも育成しやすい選手にも特徴が出た。
      • 熱血大学とするめ大学を除き、後輩選手はピッチャーの江崎、セカンドの豆山、キャッチャーの熊谷で固定。
    • 大学編だが本作も3年で行われるため2年生の4月から始まる。
    • 金銭の概念があり、上手くやりくりする事も重要になってくる。
  • 最初に選べるパワフル大学は、癖のないオーソドックスな大学。良くも悪くも初心者向けだが強い選手を作るには物足りないという「パワフル系」の特徴は本作から。前作『5』のパワフル高校はむしろ強い選手を作りやすかった。
    • あえて言うなら仕送りが少ない一人暮らし。
      • どう頑張っても終盤は家賃・部費等の生活費が仕送りを上回り、アルバイトをせざるをえなくなってしまう。ある意味現実の大学生に一番近い学校である。
    • 常識人故に影が薄い猿橋先輩と、無茶な練習メニューで主人公たちを振り回す椿本先輩が登場。マネージャーは正統派な春菜ちゃん。
      • 条件を整えた状態で椿本先輩に相談すると守備位置コンバートを勧められサブポジの体得が可能。逆に守備能力が高いとノック系練習が最高レベルになるなどのメリットもある。
      • あまり特徴のない大学だがピッチャーに関しては変化球にマイナス補正がかかってしまうことや、反対に野手では打撃練習を特定回行うことで「流し打ち」が体得できるなどどちらかと言えば野手向き。
    • 設定上ではあかつき大に次いで強いという設定であり、他大学でぶつかる時は固定選手は居ないものの特に守備のロジックは優秀なので中々の強敵として立ちふさがる。
  • 熱血大学は山間部にある大学。最初は主人公と矢部しか部員が居ないため必然的に最初からキャプテンになる。
    • 他の部から部員を勧誘し、奢りや差し入れでやる気を出させて乗り切る。
      • このためパワフル大学以上に金銭面でのやりくりが厳しくなっている。
      • 各部のキャプテンまで引き抜ける。彼らが本大学における固定キャラで、それぞれ高い能力を持つ。またランダムながら彼らに依存したイベントも発生する。
    • 3年時以降でチームメイト評価が低いと一定確率で矢部にキャプテンを奪われるイベントが発生するが、狙って起こそうとしない限りまず起きないので、さほど気にする必要はないだろう。また一度降格してしまうと二度と復帰できない。
      • キャプテン降格後は「チームメイト評価」だけでなく「キャプテン評価」が出てくるがこれがどんなに低かろうと野球ができるだけのメンバーさえいればレギュラーとして試合に出ることができる*3
    • しかし2年生の秋までに部員を集めて1勝でもしないと廃部になってしまう。
    • 育成以前にクリア自体が運ゲーであり、腕があっても運が悪ければゲームオーバー一直線の大学であることが批判の対象となる(後述)。
    • 問題点だらけだが、開始直後からキャプテンである(当然試合にも必ず出られる)という大きな利点はある。運に負けなければチームメイトをじっくり育成できる上に他部キャプテンという優れた人材もいるので最終的なチーム力は圧倒的であり、終盤の試合を勝ち抜けられるようになる確率自体は高い。部員と金銭の管理で失う時間を試合で稼げる経験点でカバーすることになるのだが、そこまで到達するには茨の道を覚悟したほうがいいだろう。
    • また、裏口(後述)も熊谷もいないため変化球はダメな球種に限られることから6大学の中で最もピッチャーの育成に向いていない。
    • 各部主将スカウトによりチームのカスタマイズ自由度が高い反面、上記通り江崎ら3人の後輩は登場しない。マネージャーはパワフル・あかつきと同じく春菜ちゃん。
    • 対戦相手として登場するときはピッチャーとキャッチャーに二人の「黒木」バッテリーが登場。両者とも剛球・豪腕を持つパワータイプ。*4
  • 官僚大学は学力重視の大学。勉強して学力を保たなければ退部にさせられるリスクがある。
    • その代わり親からの仕送りが多く、パワフル・熱血に比べて資金繰りの苦労が少ないのが特徴。他の大学と比べて資金繰りに費やす時間を勉強に費やす形になる。
    • しかしながら勉強中に新たな練習方法を思い付く上、成績が良ければ練習器具も貰えるため勉強で潰れた分のリカバリーは充分可能である。そして学力の低下もかなり緩やかなためデメリットとしては薄い。
    • 筋力面では他大学より効力の弱い腕立てで経験値が少ないためパワーヒッター及び速球投手は作りにくい反面、変化球や守備の経験点が多く、技巧派の選手を作りやすい。
    • 資金面での苦労が少なく野球部に野球をやる気のない部員が多い事も手伝って*5レギュラー獲得が非常に楽。早い話が定期的に勉強さえしていれば余裕のある生活を送れる上に練習効率もそこそこ上がるため、クリアするだけなら最も簡単な大学でもある。
      • 但し後述のリストライベントが発生すると仕送りの多さが裏目に出てバイト地獄に陥る
    • ランダム要素は強く期間も短いが、キャプテンの大倉先輩のイベントをこなすと「守備偉人伝」を貰い受け、レアな特殊能力や変化球を体得可能*6
    • また特殊変化球の体得は裏口マネージャーに相談することで早期に体得が可能という強みがある(他の大学では4年時に加入する熊谷に相談するしかない)。
      • 前作の白鳥学園と同じくマネージャーが男。ただ白鳥学園ではそのことで不満ブーブーだったのに対し、この大学の部員たちはあまり気にしていない様子。
        実際相談して圧倒的にマイナスだった白鳥学園の冬野に対し、裏口は若干リスクはあれども特にピッチャー育成では特殊変化球を早期に使えるようになるなど相談して有用なのでプレイヤーとしても好感度は高い。
  • 仏契(ブッチギリ)大学は軍国主義のような雰囲気が特徴の大学。
    • 練習も危険なものが揃っておりパワー型の選手を育成しやすい。野手限定ながら これまで高嶺の花だった「威圧感」を体得できる のが特に魅力。また「広角打法」も他の大学よりもがぜん習得しやすい。反面守備が穴だらけなので投手プレイにはお薦めできない。
    • 「リフレッシュ系練習」はストレッチ系統ではなく体力と技術が少し上がり、タフ度とスタミナが少し下がる「練習をサボる」というものになっているためタフ度の維持が少々難しい。因みにコレの場合、名実ともに堂々とサボッているはずなのに「ポジションシンキング(妄想)」や「サボリぐせ」と違って各人の評価が下がることはない。「気付かれずサボるのも技術のうち」ということか?
      • また、合宿ではそれができずハードトレーニングのいずれかをせざるを得なくなるので常に豪華な合宿所を選ぶのは勿論、合宿前の体力にも気を付ける必要がある。
    • 魁!!男塾』のパロディが盛り込まれており、校舎外見が男塾に酷似している事に始まり、練習内容の油風呂、声出し、剣山腕立等も全て男塾名物から来ている。そして監督の「大豪月」様は男塾塾長江田島平八や三号生筆頭大豪院邪鬼を思わせる。
      • とどめは序盤で行われる魔心込式なる儀式について「古く中国に伝わる人を思い通りに動かすための儀式。昔、この技に操られた9万の人がシルクロードを歩いた」という一見もっともらしい説明文が書かれ、果てには「人民書刊『人間あるかなきゃ』より」という限りなくどこかで見たことのある出版社のパロディまで登場しているのも特筆すべき点であろう。
    • 大豪月様のご機嫌を取るのが最も重要な大学であり、雑用の他、他校への妨害工作も重要になってくる。妨害工作をしないとあかつき大・するめ大以外の大学でもミット移動が見えない。
      • 大豪月様は4年生時に投手として出撃なされる。またアマチュア最強の黒獅子重工の「社長」とは強敵(とも)としてライバル関係である。
  • あかつき大学は猪狩守も所属している仏契大学以上の努力主義。梅田監督は『新世紀エヴァンゲリオン』の碇ゲンドウのような風貌である*7
    • 最初は三軍から始まるが、年に数回の入れ替え試験に合格していけば二軍、一軍と上がって行ける。一軍は練習器具が充実しているため一軍をキープすればオールAの強い選手も作れる。オールAは入れ替え試験の難易度的に野手が狙い目である。
      • 試験による「実力主義」サクセスは以後のパワプロでも良く登場する(「11」の帝王大学など)。しかし本作のあかつき大は入れ替え試験の難度が高い。猪狩も打ちにくいが、それ以上に「そこのお前」が強いという意見もある。
        というのも基本的な能力では猪狩の方が高いが変化球はスーライダー、カーブ、フォークと割と打ちやすい変化球しか投げないのに対して「そこのお前」(三軍時を除く)は変化量こそ小さいものの全通りの変化球が使えるので的を絞りにくいのだ。
      • また投手の投球試験は打者に輪をかけて厳しい。3軍はまだしも2軍以上になると何処に何を投げても打たれる為、相手がどれだけ打ち損じてくれるかを祈るだけの運ゲーと化している。更に3軍では変化球練習をさせてもらえないため、一歩間違えると勝負の決め球さえ用意できないまま2軍と3軍を行き来するだけの大学生活になることも決して珍しくない。
      • 変化球に関しては1軍在籍で行うと見た目こそ同じではあるものの他大学で行うよりも、その経験値が4割高で入る(2軍なら他大学と同じ)という特徴がある。HスライダーやSFFなどの特殊な変化球こそ4年時までおあずけとはいえ2年時の6月から最後まで1軍をキープすれば基本の球種なら変化球レベル合算20程度は余裕でできる*8
    • 野手におけるこの大学特有イベントとして3・4年の夏合宿前に監督に守備適正をチェックされてコンバートされるというものがある。
      • これは椿本キャプテンの守備チェックと似ているが「最低限の妥協レベルに達しているか?」のみに絞られた形でチェックされ、それに満たないと強制的にポジションを変えられてしまい、その上元のポジションがザブポジションとして残らず完全に忘れる形になってしまう*9という、まったくトクのないもの。
    • 大体目安として、それぞれ対象である走力、肩力、守備力がC(10)ほどあれば回避できる*10
      • 最終的には最もダメポジションなファーストまで落とされてしまう。既に底辺であるファーストの場合は、このイベント自体が発生しない。
    • 先輩2名とマネージャーはパワフルと同一。イベント内容もほぼ同じだが、猪狩がいる分少し変化がある*11
    • 敵として登場した時はミット移動を見せない強豪およびこの大学を選んだ時は影山スカウトと強制的に出会う大学としてそれぞれ登場する。
  • するめ大学は「試合進行オンリー」サクセス。ある意味の努力主義。キャラ立ち絵はなくテキストのみで進行し、ひたすら試合を勝ちあがる。負ければゲームオーバー。
    • この大学のみ、能力100・10・10・10で「ケガしやすい」or「センス○」のレア天才パターンが出ることはなく、育成タイプは「おまかせ」固定。
    • 投手で育成すれば投手能力の他、野手能力も非常に上がり強打も兼ね備えた二刀流選手が育成しやすい(ただしリメイクの「サクセス・レジェンズ」では二刀流のような成長はしない。)。
      • とはいえ打撃力こそピッチャーにしては破格の高さに成長するものの変化球は特殊なものが習得できず基本のダメな球種に限られてしまう痛手はいかんともしがたく投球技能面だけを見ればそれほど高いものは期待できない。また進行(勝利)と同時にスタミナも強制的にグングン急上昇していくのでリリーフピッチャーの育成は不可能。
    • 漫画「アストロ球団」のアストロナインを元ネタにした「サダメナイン」の一員として勝ち上がっていく。
    • なおサダメナインのメンバーには前作に登場した鮫島(但し台詞やイベントはない)の他、老人キャプテン「田中まさる(85歳)」が居る。
      田中は一塁、鮫島は三塁だが、プレイヤーのポジションと被った場合、二塁手になる。
      • 鮫島と田中を除き名前ランダムのモブ選手だが、次作『99』の冥球島以降、選手全員によくわからない固定名が付く。
+ 以下、老人キャプテン・田中まさるの正体と結末
  • ラスボス黒獅子重工に勝利すると、田中まさるがどこかへ居なくなる。
    • しかしその場に古いバットだけが残っており、主人公はそれを見て不思議な気持ちになってその古いバットを持ちかえる。
  • 恐らく田中まさるは幽霊(パワポケで言う所の「具現化」)ではないかと思われ、未練を果たした事で成仏したのかもしれない。
  • 彼女候補もお嬢様白川、ガングロ大学生鬼塚、学園のマドンナ雨宮などバリエーションがあるが、本作では条件を満たせば看護婦の加藤京子を彼女に出来る。
    • また保険の勧誘員をしている矢部徳子も登場。矢部の姉であるが外見は全然違う。育成しやすい有能な彼女候補。
  • 地方戦のBGMがアップテンポな曲に変化。スタッフいわく『侍ジャイアンツ』を意識したものらしい。
  • 全国大会の対戦相手として、シリーズお馴染みのナックルボーラーの阿畑やすし率いる「近代学院大学」や『パワポケ1』に登場した荒井三兄弟にそっくりな六つ子・金村が入れ替わりというイカサマを堂々と行ってくる「むつご大学*12」、やっつけな学校名やモブ選手の弱さ等意図的にかませとして作られたとしか思えない「カレッジ大学*13」等、個性的なチームが揃う。
    • ボスとして、『パワプロ5』から実質続投となる山口*14率いる「帝王大学」、4年目ラスボスのアマチュア王座決定戦では最強の社会人チーム「黒獅子重工」が立ち塞がる。

問題点

  • 一貫して育成的にもシナリオ的にもキモとなるイベントが尽く運任せ。いくら腕があっても運の無さに泣かされる展開が多々ある。
    • 何よりも辛いのがするめ大学を除きキャプテンになっても地方大会では選手の全員操作が出来ないという仕様だろう。全員操作が出来ない以上はプレイヤー(主人公)がいくら頑張っても負けてしまう事も多く、いきなり2連敗してあっさり優勝を逃すことも日常茶飯事。実質全国大会への出場は運任せになっておりシナリオ上のラスボスである黒獅子重工との決戦も行えるかは完全に運次第。
      • 実力主義のあかつき大学ですら当然この仕様で、猪狩が物凄い勢いで炎上して負ける事も決して珍しくない。
      • この為序盤から1勝を要求される熱血大学はあかつき大学よりもクリアが難しいという意見さえある。(ただし勝ちやすくする方法はある。仕様を知った上で対策を取れば、熱血は試合では比較的勝ちやすい方である)
      • リメイク版のサクセス・レジェンズではキャプテンであれば全試合7回表から操作可能なため、この点は改善されている。これによりクリアが安定する一方、熱血大学では仕様上ゲームのテンポが大きく悪化するなど一長一短だが。
  • また、各大学にもそれぞれ個性が付いたものの、良くも悪くも片や無個性のパワフル大学と、片や完全実力主義のあかつき大学及びするめ大学はいいにしても、熱血大学、官僚大学、仏契大学のイベントは殆どが運。
    • 仏契大学の場合、大豪月様の特別練習が売りなのだが、イベントの発生は完全ランダム。当然卒業まで1度も練習が発生しないことも珍しくない。
      • また、妨害工作マニュアルについても、最初に貰える1巻は成功に運が絡むものばかりなので、必ず成功する2巻及び3巻を早く貰いたいところだが、新しいマニュアルを貰うイベントの発生条件が「監督評価を一定以上にしたあとランダムで発生」というものなので、監督評価を上げたらあとは運任せで待ち続けるしかない。当然卒業までマニュアル1巻のみで妨害工作を続ける羽目になることもざら。尚、後述の「人のウワサも75日作戦」も2巻に収録されている。
      • 一方合宿中に特別練習が立て続けに発生した場合は極めて悲惨。この特訓は体力が無くなるまで練習をやらされるのだが、序盤でぶっ倒れようものなら病院送りにされた挙句、能力と評価を大幅に下げられる。いくら体力が満タンでイベントが発生しても立て続けに特訓をやらされれば入院を回避する方法はない。
    • 官僚大学は大倉キャプテンの入学経緯の秘密と、内角監督の悪巧みがあるのだが、このイベントの発生もかなり運が絡む。
      • 大倉に相談することでフラグが立つので仏契大学よりは発生確率を上げられるもののやはり運任せであることは否めない。またこのイベントを発生させないと、官僚大学において3年生以後に野球部が存続している理由に矛盾が生じてしまう(一応フォローらしきイベントは入っているが)。
+ 大倉章キャプテンと内角監督の悪巧みの真相
  • 実は大倉は内角の手によって官僚大学へ裏口入学をしている。内角が大倉を裏口入学させたのは、大倉の父が議員をしており、議員の力を使えば官僚大学の学長になれると見込んだためである。この弱味を握られたがために、大倉は野球への熱意を失い「勝者が敗者を管理して人生は成り立つ」というあまりに夢のない姿勢になってしまった。
    • 更に内角は「自分の評価が下がるから」と成績の悪い野球部を疎んでおり野球部を潰そうと企んでいる。現にこのイベントの最中「野球部解散をチームメイトに告げないと裏口入学をバラし、企業への内定を取り消させる」と大倉を脅す場面まである。
      • 最終的に主人公の叱咤を受けた大倉が野球への熱意を取り戻したことで、野球部解散は白紙となった。当然ながら大蔵は監督と決別、企業への内定も断る形になってしまった。
      • ちなみにこの内角監督、野球部の成績がよくなった途端、これまで何の指導もせず試合メンバーも大倉に任せきりだったくせに「私の指導が間違っていなかったことが証明された」「試合を見ていた学長が喜んだ」「これからも私の出世のために頑張ってください」と急に掌を返す典型的な小物である。
  • この一連のイベントを通らない限り、本来官僚大学野球部は内角の息のかかった大倉によって解散が発表されていた可能性が高いのだが、イベントを通らなかった場合でも廃部通達は一切なく、ドラフト(4年生秋)までプレイ可能だったりする。
    • 一応前述の「野球部の野球部の成績がよくなったので私の指導が間違っていなかったことが証明された」という内角の発言から、方針転換があったという解釈も出来る。
  • また、このイベントとは関係ないが、「学力試験時及びその後の追試の際に入院していると留年となりゲームオーバー」という仕様があるため、テスト直前に交通事故に遭うと問答無用でゲームオーバーになるという面もあるが、こちらは発生確率の低さからあまり問題視されていない。この時期に交通事故に遭ったら泣いていいレベル。
  • 最も運に泣かされるのは熱血大学。官僚大学及び仏契大学は育成・シナリオ面での運要素こそあれ、育成は兎も角クリアするだけなら運には泣かされないが、熱血大学はクリア自体に運が絡む。
    • 熱血大学は極端な人員不足であり、入学した地点での部員はキャプテン兼監督の勝、主人公、矢部の3名のみ。主人公がキャプテンとなった2年生の春から部員勧誘をしてメンバーを集めるのだが、この勧誘の成否は完全ランダム。(とはいえ、やり方を誤らなければ9人は簡単に集まる)
    • 更に人員が集まったとしても2年目の秋までに1勝しないと野球部が廃部になってしまうのだが、前述の通りキャプテンでも地方大会は全員操作出来ないという本作の仕様上、主人公がいくら頑張っても試合で勝てるかは運任せ。つまりは2年生の秋までは完全な運ゲーになってしまっている。早い話が前作の赤とんぼ高校で多発した「主人公がいくら頑張っても試合で勝てず廃部になり2年生でゲームオーバー」という悲劇を本作でも繰り返してしまった。
    • これに選手育成まで視野に入れるとなると更に悲惨。せっかくキャプテンを引き抜けたのに試合に負け続けてあっさり廃部へ追い込まれたり、逆に試合に勝てていっても有力なチームメイトを勧誘出来ずその後の育成がままならなくなるなど何もかもが運任せ。楽しめない人には全く楽しめないシナリオとなっている。
    • 一応、2年のうちからキャプテン部員をピッチャー(テニス部斉藤or陸上部黒木)を含め3人以上引き抜ければ、元々彼らは能力が高く、最終的なチーム力は文句なしに最強クラスになり運に恵まれればその固有イベント発生で主人公自身の強化にもなるなど利点があるには違いないが、強打者系野手の育成ならより仏契大学の方が有利な上に、その象徴的な特殊能力「威圧感」まで体得できるのであまり魅力はなく全大学が使えるようになるとパワフル大学とともに利用価値は皆無同然になる。
    • 監督が起用されておらず、一応たった1人の部員であり「キャプテン」である勝がいるのに、これとは別に野球部部長(といっても廃部勧告をするだけで何もしない*15)なる人物がいるなど、熱血大学の設定はかなりツッコミどころが多い。
  • この他にも神社に現れる横森くるみとの交際と末路、矢部徳子のアイドルデビュー、浪速に借金をしてフェードアウトする鬼塚、大豪月様の秘密など見るのが困難なイベントが多数存在する。
    • 横森のイベント群は、非効率かつ発生自体がランダムなイベントを、非現実的な回数分こなさなければならない。しかもイベント完結後に交通事故に遭いそうになると発生する追加イベントまで完備。無事見られた人は果たして存在するのだろうか?なお今作の交通事故発生率はかなり低い
  • 彼女候補のうち、野球超人伝をくれる雨宮冬実と加藤京子は付き合うのが極めて困難。加藤と知り合う条件は、ダイジョーブ博士の能力アップ手術に失敗すること。
    • この二人にも1年目の誕生日プレゼントが一応設定されているが、まっとうなプレイで貰うことは不可能に近い。
  • 試合で活躍するとドラフト1位指名されなくなってしまう。
    • 1位指名されるには影山スカウトと知り合わないままスカウト評価を一定数上げることなのだが、影山スカウトと会うイベントの発生条件が「試合で活躍する」という条件のため、「クリアの為スカウト評価をあげようと試合で活躍した結果、1位指名されなくなる」というミスマッチな事象が発生してしまう。そもそも試合外でスカウト評価を上げること自体が難しいのだが。
      • また、強制的に影山と出会うあかつき大学では主人公はドラフト1位指名されることはない。
      • 手っ取り早く1位指名を狙いたいのなら、仏契大学でプレイした上で「人のウワサも75日作戦」をやりまくればよい。ただし人間的には褒められた行為ではないし、こんな方法で1位指名されても嬉しくはないのだが。
      • もっとも1位も3位も結果的に差はない(6位の場合のみ背番号が選べない)ので致命的なものではないが、やっぱり1位指名された方が嬉しいので残念な感は否めない。
  • サクセスの試合で、プレイヤー側の大学では、野手のスタメンは同じポジション同士だと打撃パワーの最も高い選手が選ばれ、他のパラメータは参照されない。
    • 毎試合オーダーを組み直すのが地味に面倒。
  • バグがある。
    • 故障率が練習前の体力で計算される*16、ミートカーソルを8に上げると直後に7に戻されてしまうといったものなど。
    • パワフル大学の監督「加山」は、相談すると稀にイベントが発生し、最終的に特殊能力を得ることができるはずなのだが、バグによりイベントが途中で終わってしまう。
  • 家賃が上がるイベントがランダムに発生し出費が多くなる事が多い。
    • 母親に相談すれば仕送りを増やしてもらえるが、家賃を5000円上げたのに対し母親の仕送りは3000円しか増えないなど完全に出費が抑えられるわけではなく、周1回分のコマンドパスになるので結果的にバッドイベントとなる。
      • 尚、仕送りに関する相談はイベント発生直後でなければ発生しないので相談し忘れるとそのサクセス中はずっと出費が増えたままで過ごす事となる。
  • 極稀に起こる父親のリストライベント
    • 父親が会社をリストラされてしまったために仕送りが送られてこなくなるというかなりヤバいイベントである。
      • このイベントは仕送りの多い官僚やあかつきでは致命的で、月一で新薬のテストのバイト(ダイジョーブ博士のパワーアップ手術の報酬をお金に置き換えたような代物)をしないと生活すら困難になるレベルで選手育成の危機に陥る。
      • 反対に仏契大学は元々の支出が少ないため、ある程度の貯蓄があれば解除(下記)まで乗り切れることが多い。
      • このイベント発生後は、この状態解除にあたる「父親が再就職」が確率で発生するようになるのだが初期状態の金額に戻るだけで母親に相談して増額してもらった分は加味されないため上記の方法などで乗り切っても、やっぱり元よりは苦しくなる。
  • 特殊能力に関する問題
    • マイナス特殊能力の「三振男」を試合で一度でも三振すると試合後に25%の確率で取得してしまう。後の作品では1度三振した程度で取得することはなく、あまりにも厳しい条件といえる。
    • 「寸前×」も官僚大学限定ながら「マネージャーに相談して特定のイベントで特定の結果になる」という簡単なことであっさり取得してしまう(ピッチャーの場合、特殊変化球を覚えるために相談するのが有効なのでその流れで取得してしまいがち)。
      • にもかかわらず、どちらも除去手段が非常に限定されていて育成に組み込みづらいのが痛い。
    • 中継ぎ・抑え投手に、ペナントを進めるにあたって重要な特殊能力の「回復〇」がどの大学でも取得出来ない。一方で「回復×」は初期能力として持っている場合が多く、こちらも除去手段がかなり限られている。
    • サクセス中限定ながら「サボリぐせ」も熱血大学の場合、彼女系のレアイベントでしか除去できず詰みに近い状態になる*17
      • 一応他大学と違い初期能力でつくことはなく、「遊ぶ」→「夜遊び」ぐらいでしかつかない上に、その遊びに頼らなくてもヤル気は上がりやすいからあまり「遊び」を選ぶ必要がないのが救いと言えば救い。

総評


サクセスのボリュームが大幅に増え、複数の高校・大学でバリエーションを出すというのは以後のパワプロでもおなじみの要素となった。
反面サクセスはまだまだ運任せな要素や粗削りな点も多く、本格的に改善されていくのは次回作からと言える。
ドラマティックペナントでの成長要素も以後に繋がる要素である。ニンテンドウ64パワプロの到達点であり、パワプロシリーズから見ても重要な一作の一つと言えるだろう。


余談

  • 矢部のオタクキャラが定着したのは今作から。
    • 矢部のお気に入りアニメで、パワポケシリーズでも都度登場する「ガンダーロボ」は今作から。とあるイベントでは主題歌を熱唱する矢部の様子も見られる。
    • 『5』のOPで既に「漫研に入ろうとしたが主人公に無理やり誘われた」という要素はあった。
  • 元々スタッフ間では「大学編は安易でつまらない」という意見があったが、「放浪編」「宇宙編」などのアイディアでも微妙という事で大学編となった。この他にも「父親から逃げ回る」「音ゲー的なミニゲームを入れる」等の案もあったが「野球ゲームを作っているから」というあまりに真っ当かつ見方によってはつまらない理由で没案となった。
    • なお関係性があるかは不明だが、『パワポケ1』には音ゲーのミニゲームがあり、『パワポケ9』は事実上「放浪編」「宇宙編」である。
  • 主人公がドラフト1位になれない場合は当然1位は猪狩なのだが(一応例外はある)、猪狩はあかつき大学プレイ時に大炎上を繰り返えそうが、試合に負け続けようが、シナリオ上問答無用で1位が確定している。また主人公に試験で滅多打ちにされようが、野球部をサボって短期間とはいえ失踪しようが1軍から外れることはない一方、主人公はろくな練習もさせていないのに強制コンバートさせる、主人公をグランドにグラブを置きっぱなしにするなと叱るくせに自分のではないと嘘を吐いた途端「よく手入れされている」と掌を返す、「1軍でも無い選手の相談には乗る価値がない」と言っておきながら1軍になったところでろくな相談にも乗らないなど「梅田監督は猪狩贔屓兼主人公逆贔屓」とネタにされた。
    • またこのネタがゲーム雑誌で取り上げられたこともあり、その際スタッフは「猪狩のご両親から何か貰ってるんでしょう(笑)」と回答していた。おいおい…。
      • 後の作品では猪狩側の内面も描写されるようになり「試合に負けた責任を感じて自暴自棄になった猪狩を主人公とチームメイトが励ます」「猪狩が2軍落ちした主人公を励ましたり練習に付き合う」「決め玉の取得や先輩に勝つための特訓に付き合う」等のイベントが追加され、少々嫌味ながらも純粋に良きライバルという地位を確立させるようになる。
      • 反面梅田監督についてはこれといったフォローはないばかりか、「9」で同系列ながらもそれなりの実績を残す上に選手の贔屓もしない千石忠監督が登場したことにより「厳しい割には実績も指導能力も人間性も2流」とますますネタキャラになってしまった。
  • あかつき大学の梅田監督の強制コンバートのイベントは実は「メインのポジションのみを強制的に変えられる」というだけなので、サブポジションは一切関与されない。
    • 例えば椿本キャプテンの相談イベントでファーストから外野にコンバートされた後(メイン「外」ザブ「一」の状態)に走力をケガなどで落として、梅田監督のチェックに引っ掛かる基準でファーストに強制コンバートされるとメインが「一」でザブにも「一」があるという珍妙な選手ができる。
  • PSPのリメイク版『サクセス・レジェンズ』はシステム面は基本的に改善されているものの、初期能力が低いなどで育成効率が悪く評判は芳しくない。
  • 初期から特殊なフォーム
    • 野手の場合「王」、投手の場合「野茂」と名前を入力し、顔を標準の色にすると50%の確率で一本足打法、トルネード投法を使う選手が登場する。
      • 現役時代の王貞治氏は左投げ左打ち一塁手だが、右打ちや別のポジションでも問題なく可能。『99』以降は特殊フォームも普通に選べるようになった。
  • 前作ではまるでバーゲンセールのように「威圧感」を持った選手がゴロゴロいたが本作では、それもかなり限られたものになっている。
    • その中で「アベレージヒッター」「パワーヒッター」「チャンス〇」等が一切なく「体当たり」ぐらいしかない鈴木健(西武ライオンズ)は「威圧感」が保持されている。
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最終更新:2024年01月27日 17:17

*1 『パワプロ2012』で再び制作チームに復帰。

*2 中でも中日シナリオ『伏竜は奇跡を呼んだか』はパワプロ史上最難関のシナリオと言われている。

*3 他大学同様キャプテン評価が低いと矢部は「ダメでやんす。いくら親友でもダメダメでやんす。」など、他大学での彼同様に試合に出せないコメントを言うのは同じだが試合には出られるので特に意味はない。

*4 陸上部砲丸投げで仲間に出来るピッチャー「黒木」とは完全に能力が違うため、関連性は不明。また『99』の対戦相手チーム「毒霧生命」にも「黒木」というピッチャーはいるがそちらとも能力が完全に異なる。

*5 主人公も「学校の規則で仕方なく野球をやっている人ばかり」「1日の練習が30分にも満たない」と述べており、監督やキャプテンからも「勉強の邪魔になるような活動はしない」「成績の悪い生徒は練習に参加させない」と言う程である

*6 ピッチャーなら「牽制〇」(特にこれはこのイベントでのみ習得可能)「リリース〇」が得られる(特殊変化球は取得できるとは限らない)、捕手なら「キャッチャー〇」を飛ばしていきなり「キャッチャー◎」が得られる。

*7 それもその筈、猪狩自体名前の元ネタが『エヴァ』の主人公碇シンジからである。

*8 参考までに直近作で変化量トータルが最も高かったのがパワプロ4の斎藤雅樹(巨人)でスライダー5・カーブ5・シンカー4でトータル14(球速は148km/h・コントロール231・スタミナ177)。斎藤はオーバースローなので本作はシンカーにハンデが発生することを加味しても球速やコントロール等も含めてもこの程度の達成はたやすい。

*9 椿本キャプテンに相談してポジションが変えられる場合は断ることもできるし、承諾しても元のポジションがサブポジションとして残る。

*10 他にステータスいずれかにAがある場合でも回避できるので可能なかぎり早く「アベレージヒッター」を取得してミートカーソルをA(6)にすることで入れ替え試験をパスしやすいようにするのが推奨される。

*11 一例として3年時合宿の「ハッピーサマービーチスペシャル」をひと手間かけてイベント回避しなくても猪狩が口添えしてくれて必ず回避できる。

*12 水島新司の野球漫画「おはようKジロー」に出てくる五つ子・上原兄弟が元ネタと思われる。

*13 「カレッジ( college)」とは平たく言えば大学のことであり、直訳すると「大学大学」である…。

*14 『5』時点ではモブ選手、今作から固定の名前が付くようになった

*15 野球部部長というよりは、どちらかといえば顧問という立場と思われる。

*16 これは4及び5から改善されていない。更に「故障率1%では怪我しない」という仕様が当時のゲーム雑誌に「1%でも回数をこなせば不運にも怪我をしてしまう」という誤ったコラムが掲載されてしまったため、より誤解を招くことになってしまった。

*17 チームメイトの評価が大事なのに確率で「サボリ」が発生して評価が大きく下がる。