折り畳みタイプ

■スペック・価格早見表

メーカー 車種名 定価 実売(最安値) 電池容量 電池種類 変速方式 航続距離(メーカー公称値)
パナソニック オフタイム 12万6000円 約10万6千円~ 5.0Ah リチウム 外装7段 強23km、標準26km、エコ37km
サンヨー エネループバイクSPJ オープン価格 約8万円~ 3.1Ah ニッケル 内装3段 強12km、標準14km、エコ18km
Gic(ジック) ハマーアシストAL-assist203 12万8000円 約10万5千円~ 3.8Ah リチウム 内装3段 強11km、標準12km、エコ14km
バイク技研 YS-11ハイブリッド 11万9700円 約11万6千円~ 2.5Ah リチウム 変速なし ターボ13km、ノーマル22km、エコ35km
バイク技研 YS-33ハイブリッド 14万4900円 約14万5千円~ 2.5Ah リチウム 変速なし ターボ13km、ノーマル22km、エコ35km
※実売価格は通販最安値価格より。


■良くある間違い

×:小さいから軽そう
○:折り畳み機構は重い
折り畳み自転車と言えば「小さく折り畳んで持ち歩ける」というイメージだが、
電動折り畳みの場合は、重すぎて担いで持ち歩く事は殆ど不可能
フレームが真ん中から折れる折り畳み機構なので、走行中に壊れないだけの安全強度を保つ必要があり、
その補強の分だけ同サイズの小径車よりも少し重くなる。更に電動ユニットで重量5~6kg増加。
つまり、電動アシスト折り畳みは担いで持ち歩く為の折り畳みでは無い
「車に積める」
「狭いスペースでも保管できる」
のが電動アシスト車の場合の折り畳みの目的となる。

×:折り畳んで輪行したい
○:担いで輪行は殆ど無理
折り畳み自転車と言えば「飛行機や電車に積んでの輪行」もイメージされるが、
電動ユニットの重さの為に、担いで持ち歩けないので輪行できない。
(YS-11ハイブリッドの様な特殊な例を除く)
総重量が15kgを越えた辺りから、重すぎて輪行して持ち歩くには適さない様になる。

折り畳みを選ぶ目的は?
本来は持ち運べるのがメリットの所を、電動ユニットの重さでそのメリットが無くなっているので、
あくまで「車載」「省スペース」といったメリットが目的で購入となる。
本当に折り畳み機構が必要か、よく吟味して車種選定を。
※詳細は「折り畳みタイプの長所・短所」の項目を参照。


◆オフタイム《5.0Ah》(パナソニック)

型 番 BE-ENW073
価 格 12万6000円(実売約10万6千円~)
電池容量 5.0Ah(26.0V)リチウム電池
航続距離 強23km、標準26km、エコ37km
重 量 19.1kg
GD値 3速時GD値:4.8m、60rpm時:17.2km/h
24km/h到達時:ペダル毎分83.7回転
スプロケ 41×13~28T×外装7段(シマノMF-HG37)
サイズ 全長151cm、全幅57cm
折り畳み時:長86×高65×幅38cm
サドル高 74~89.5cm
適応身長 140cm~

■主要装備
特殊 バックライト搭載スイッチ
電装 LEDスポーツバッテリーライト(本体バッテリー給電)、リア反射板
車体 折り畳み機構(フレーム中央分割)付きアルミフレーム、フラットバーハンドル
車輪 前輪:HE規格18×1.75インチ(幅44mm)セミスリックタイヤ(ChengSing製)
後輪:HE規格20×1.75インチ(幅44mm)セミスリックタイヤ(ChengSing製)
アルミ製リム(黒塗装&サイド切削加工)、鉄スポーク
制動 前輪:Wピボットキャリパーブレーキ、後輪ローラーブレーキ(シマノ:InterM)
積載 片足スタンド、1キー2ロックワイヤー錠
装備 グローブサスペンションサドル(VERO)
■特徴
▼特徴
折り畳み電動アシスト自転車の代表的車種。
「オフタイム」の先祖の「WiLLエレクトリックバイク」から数えれば長いモデル暦を持つ。
前輪は畳んだ時のサイズ縮小の為に18インチを採用、
後輪は走行性能確保の為に20インチと、前後異径タイヤなのが特徴。
エネループバイクSPJと比べると、5.0Ahリチウムで航続距離が長いのが利点。
▼電池容量&航続距離
オフタイムは現行モデルで最も長距離移動できる折り畳み車となる。
長距離走行に不利で短距離移動がメインの折り畳み車としては、十分な航続距離と言える。
その代わり、5Ahより大きい容量のバッテリーは搭載不可能
バッテリーの真上を通るフレームのスペースに余裕が無く、縦長の8Ahや12Ahが入らない。
これはパナソニック製の小径車モデルに共通の問題。
▼車重
非電動の折り畳み自転車「ライトウィング」をベースに電動化。
初代WiLLの頃には僅か16.9kgだった車重も、電池容量拡大と引き換えに年々増加し、
2011年モデルではついに19.1kgにまで増えてしまった。
さすがにここまで重いと電車やバスでの輪行には適さない。
若い男性でも担いだまま階段昇降や都市部の広い駅構内を歩き回るのは厳しい。
輪行できるのは車載か、徒歩で担ぐ距離が殆ど無い場合に限られる。

▼折り畳み機能
折り畳み方式は主にフレーム中央とハンドル付け根の2箇所が180度近く折れるタイプ。
中央の折り畳み構造部は見るからに頑丈な造りだが、全体のシルエットはシンプルなのでスマートな印象を与える。
付属のバンドテープ2本で前輪と後輪を結んで動かないように固定する。
折り畳んだ状態で86×65×38cmなので、乗用車のトランクにも積載可能。
オプションの輪行バッグを使えば、車内や服を汚さずスムーズな積み降しが可能。
ただし「輪行」と名前が付いてはいるが、総重量20kg近いので本当に輪行で使うのは厳しい

▼GD値
オフタイムは全車種の中でもワースト3級にGD値が低いのが弱点。
小径車はタイヤが小さいので、本来はその分ギア比を高めて相殺しなくてはいけない。
だがオフタイムはコスト優先で、26インチの激安車に使われるボスフリーのスプロケをそのまま流用。
結果、ハリヤと同程度のギア比でタイヤ径は小さいので、GD値が異様に低くなってしまっている。
GD値はハリヤの約80%、マリポーサE.A.やCity-Xの約85%しかない。
時速24km/hを出すのには毎分85回転、ハリヤの1.25倍の忙しさでペダルを漕ぐ羽目になる。
小径車らしくノンビリと走る場合や、出先で短距離走行に使う場合には問題ない範囲だが、
通勤の様に毎日同じ道を効率良く移動したい場合や、長距離走行には不向きとなる。

▼発進・登坂性能
折り畳みとして持ち運ぶには重いが、電動アシスト自転車全体の中では軽量な部類であり、
低目のGD値と小さなタイヤ径もあって、出足の加速はなかなか良い。
登坂力も「実際に出しているアシスト比」は低目なのだが、軽量さがアシストを補ってくれ、
下手な重いママチャリタイプよりも軽快に登れる。
コンパクトさも含め、人混みや信号等の発進・停止が多い街中とは相性が良い。
▼積載性
リアキャリアのステー(支柱)を取り付ける為のダボ穴がフレームに無いので、
そのままではキャリア類を取り付けできない。
クイックエンドアダプター&キャリアダボ付きシートクランプを利用すれば、
ダボ穴の無い自転車でもリアキャリア搭載可能になる。
或いは汎用パーツのシートポストキャリアや、フロントにハンドルステム固定のバッグを付けたり、
シュガードロップのフロントキャリアを流用して取り付けたりも一応可能。
だが、仮に取り付けても耐荷重限界が低く、荷物の積載能力に乏しい
当然、折り畳んだ時に干渉する様な付け方はできず、省スペース性も低下する。
毎日重い荷物を載せて買い物をする様な実用自転車としては不向き。

▼適した使い方は?
会社の空きスペースに保管しておき、ちょっと近所に書類を届ける時などにサッと取り出して、
渋滞する車を尻目に、坂や一方通行の多い街中をフットワーク軽く飛び回る…等の、
機動力優先の使い方に適している。
また車でのレジャー旅行の際に車載しておき、出先での移動手段として利用も王道。
宿泊施設から近くのコンビニまでのちょっとした買い物等に利用できる。
GD値が異様に低いので、長距離移動には適さない
▼限定カラー
パナソニックは時期限定カラーを良く出すので、時々チェックを。
旧モデルではお洒落なツートンカラー、2010年モデルは高級感を目指したモノトーンカラーのマット塗装、
2011年は再びツートンカラーが復活した。



◆エネループバイクSPJ《3.1Ah》(サンヨー)

型 番 CY-SPJ220
価 格 オープン価格(実売約8万円)
電池容量 3.1Ah(24V)ニッケル水素電池
航続距離 強12km、標準14km、エコ18km
重 量 18.5kg
GD値 3速時GD値:5.2m、60rpm時:18.7km/h
24km/h到達時:ペダル毎分77回転
スプロケ 36T×14T×内装3段(SG-3R40)
サイズ 全長155cm、全幅58cm
折り畳み時:長83.5×高73×幅52cm
適応身長 145cm~(サドル高:78~96cm)

■主要装備
特殊 回生充電機能(前輪モーター型、左ブレーキ連動回生充電)
電装 丸筒型3灯LED、リア反射板
車体 折り畳み機構(フレーム中央分割)付きアルミフレーム、折り畳み式フラットバーハンドル
車輪 HE規格20×1.5インチ(幅40mm)KENDA製無銘タイヤ、アルミリム、鉄スポーク
制動 前輪:Wピボットキャリパーブレーキ、後輪ローラーブレーキ(InterM)
積載 片足スタンド、ワイヤー錠
装備 標準サドル
■特徴
▼特徴
エネループバイクSPFの小径折り畳みバージョン。
折り畳みタイプの中で最廉価GD値とアシスト比率もなかなか高い。
反面、ニッケル水素3.1Ahバッテリーの航続距離の短さと
前輪駆動ゆえの坂でのアシストの弱さを持つ。
  • GD値は高いが、航続距離が非常に短い
  • 平地でのアシストは強いが、登り坂になると途端に弱くなる
等、長所と短所がハッキリしており、かなりクセの強い性質を持つ。
万人向けの優等生的な性質を持つオフタイムとはある意味対照的。
▼デザイン
外見はブラックパーツを多用して精悍な感じを演出。
各部のパーツは値段なりのクオリティなのだが、安っぽくみせない様にデザインの工夫で頑張っている。
シンプルながらスタイリッシュで、まるでコンセプトカーの様な実験車的なデザインにも見える。
白黒カラーは若干パトカーやAE86のパンダトレノ風に見えなくも無い。

▼GD値
同じ折り畳みタイプのオフタイムよりGD値が高いのが利点。
タイヤも少し細目のセミスリックタイプなので舗装路での走行に適している。
▼折り畳み機能
折り畳み時のサイズは83.5×73×52cm
ペダルが折り畳めないので、オフタイムよりも若干横幅がかさばる。
畳んだ時にも自立できる様に、クランクの真下にスタンドが付くのは便利。
地面にフレームが接触しないので傷が付かずに済む。
汎用の折り畳み式ペダルに交換すれば、横幅は更に縮小可能。

▼平地のアシスト
前輪モーターなので後輪ハブの負担が少なく、強化ハブを使わなくてもアシスト比率1:2に出来る。
よって、低価格モデルながらパワーモードでは最大アシスト比率1:2に近いのが売り。
(あくまで「最大値」なので、日常使用では最大値が常時出る訳ではない)
車体の軽さもあり、平地限定なら十分パワフルなアシストを発揮できる。
前輪駆動なので、ウィリー気味になると前輪荷重が抜けて発進が鈍くなるので注意。
▼登り坂のアシスト
反面、前輪モーター小径車の弱点として、急激な登り坂に滅法弱い
登り傾斜で車体が斜め上を向くと、荷重は後輪に集中して前輪が浮く感じになる。
特に小径車はホイールベースが短くて軽いので、ウィリー気味になり易い傾向がある。
前輪モーターの空転を検知すると、安全の為にアシストが停止(減少)してしまう。
この為、アシスト比率が高い割には、急激な登り坂に対応できない事がある。

▼航続距離
僅か3.1Ahのバッテリーなので、航続距離が非常に短いのが最大の弱点。
更に、モーターが前輪直結で変速機を介さない性質上、小径ホイールで大径と同じ速度を出すには、
モーター回転数が増えて電力消費が悪化する。
この為、同じ回生でも26インチより「燃費(電費)=1Ahあたりの走行距離」が短い。
また、SPJの電池容量はオフタイムの約60%だが、航続距離は約50%しか無い。
SPJが回生機能を使っても、オフタイムとはバッテリー容量に比例した以上の航続距離差がある。
▼下り坂が少ない時の航続距離
オートモード航続距離は14kmだが、
4度勾配をパワーモードで登り続けた場合は2.7kmにまで減少。
直結モーターの回生モデルは、アシスト走行中の燃費(電費)が非回生モデルよりも悪い
つまりアシスト走行の燃費(電費)の悪さを、回生充電で補って航続距離を伸ばしている。
この為、下り坂が少ない道、または急傾斜過ぎて24km/h以下に抑えにくい坂道等、
回生充電できない状態で走行した時の燃費(電費)は、非回生モデルより悪くなるので注意。
連続で坂道を登る様なコースとは相性が悪く、僅か数kmしか走れない事も。
▼SPJのメリットは?
せっかくの回生充電機能も、元々の航続距離が短いので、
本来の回生タイプが持つ筈の航続距離が長いと言うアドバンテージに成り得ていない。
相対的に「回生充電機能のデメリット」面が目立ってくる。
SPJの評価の際には回生機能はあてにせず折り畳み機能と価格の安さを評価する事になる。
いずれにせよ航続距離が短いので、メインの移動手段としては厳しい。
車載専用機等、価格の安さを活かしてのセカンドマシン的使い方がメインとなる。
▼積載性
オプションにキャリアや前カゴ等の設定は無い。
汎用タイプのカゴやキャリアを取り付け可能だが、元々折り畳み車ゆえ荷物の積載性には乏しい
これ1台で買い物から通勤から車載から全てをカバーしようとすると無理が出るので、
大量の買い物と言った日常生活用には前カゴ付きのママチャリタイプを使い、
2台体制で各車の得意フィールド毎に使い分けると吉。



◆ハマーアシストAL-ASSIST203《3.8Ah》(Gic)

http://www.gic-bike.com/hummer/hm_assist.htm

2011年モデルスペック
型 番 AL-ASSIST203
価 格 12万8000円(実売約10万5千円)
電池容量 3.8Ah(25.2V)リチウム電池
航続距離 強11km、標準12km、エコ14km
重 量 18.0kg
GD値 3速時GD値:5.5m、60rpm時:19.8km/h
24km/h到達時:ペダル毎分72.7回転
スプロケ 36T×14T×内装3段(SG-3R40)
サイズ 全長158cm、全高103cm、全幅58cm
折り畳み時:長158×高80×幅58cm
適応身長 150cm~(サドル高:79~98cm)

■主要装備
特殊 回生充電機能(前輪モーター型、左ブレーキ連動回生充電)
電装 丸筒型3灯LED、リア反射板
車体 H型アルミフレーム(フレームサイズ410mm)、折り畳み式アルミ製フラットバーハンドル
車輪 HE規格20×1.95インチ(幅50mm)KENDA製無銘タイヤ、アルミリム、鉄スポーク
制動 前輪:Wピボットキャリパーブレーキ、後輪ローラーブレーキ(InterM)
積載 片足スタンド、ワイヤー錠
装備 標準サドル
■特徴
▼特徴
前輪モーター式のエネループバイクのユニットを搭載
エネループバイクSPJのバッテリーをリチウム3.8Ahに増やした代わりに、
フレームの折り畳み機能が無くなり、ハンドルのみ折り畳める「半折り畳み式」に。
▼会社
自動車メーカーの国内販売ライセンスを持つ会社Gic(ジック)が販売元。
Gic自体は自転車を作らず、他社製の車体(DAHONの無銘OEMやホダカ製等が多い)に、
サンスター技研製ユニットや、サンヨー製エネループバイクのユニットを付け、
それに自動車メーカーのブランド名を付けて数年おきに販売している。
つまり、ハマーやシボレーは実際には自転車には全く関与していない
勘違いして「ハマーが作ったなら頑丈なんだろうな」等と思わない様に注意。
ハマーとは全く関係の無い廉価グレードの自転車に、ハマーから商標使用権を得て、
ハマーのエンブレムを貼り付けただけに過ぎない。クオリティは値段相応となる。
おそらくエネループバイクの提唱する『両輪駆動(2WD)』に、
HUMMERの四駆(4WD)イメージを連想させて命名理由にしたと思われる。
▼歴代モデル
2010年まではサンスター技研の動力ユニットを使っていた。
2011年はベース車と動力ユニットの供給先を変更。エネループバイクのユニットへ。
サンスター技研製ユニットの「後輪駆動、18インチ、15kg以下、折り畳み」から
サンヨー製の「前輪駆動、20インチ、18kg以上、半折り畳み、回生充電」へと、
かなり性質の異なるフルモデルチェンジとなった。
↓モデルの変遷

▼折り畳み機能
エネループバイクSPJやオフタイムと違い、フレーム部は折り畳めない
つまり、ハンドルが半分に折れ曲がって高さが減るだけ。
折り畳み時のサイズは158×80×58cm
これを折り畳みと称して良いかは微妙な所。
車載時にハンドルが折り畳めるのは重要なので、最低限の機能はあるとも言える。
ただ長さが160cm近くもあるので、車載でもスペースが結構無いと入らない。

▼電動ユニット
電動ユニットはサンヨー製なので基本的な性質もエネループバイクSPJと同じ。
電源スイッチやバッテリーケースの形状もエネループバイクと同じ形。
回生の長所(ブレーキ能力と発電能力)、回生の短所(登坂力、走行抵抗)等も同じ。
制御系がエネループバイクSPJと違うかは不明だが、おそらく大差はないと思われる。
オート、パワー、標準、等の3種類の走行モード制御もエネループバイクと同じ。

▼電動ユニット
バッテリーだけは3.8Ah(25.2V)リチウム電池と、SPJよりもグレードアップ。
バッテリーのスペック的に、ヤマハとブリヂストンで2010年まで採用されていた、
長寿命になる前の旧型4.0Ah(定格3.8Ah)リチウム電池と同一の中味と思われる。
(ヤマハとブリヂストンのバッテリーの中味はサンヨー製)
メーカー公称値の航続距離は、何故か3.1AhのエネループバイクSPJより短い
(業界統一パターンのテストドライバーの違いの問題か?)
▼モデル選定
性能面ではOEMなので良くも悪くもエネループバイクSPJに近く、安定とも言える。
エネループバイクSPJとの違いは主に折り畳み機能と電池種類の差。
また大手メーカーと違うマイナー製品なのでサポート拠点数や体制の差も出る。
その辺の大手系とマイナー系のサポートの差を理解できる人向け。



◆YS-11ハイブリッド《2.5Ah》(バイク技術研究所)

型 番 YS-11H
価 格 11万9700円(実売約11万6千円)
電池容量 2.5Ah(25.6V)リチウム電池
航続距離 ターボ13km、ノーマル22km、エコ35km
重 量 12.5kg
GD値 3速時GD値:4.1m、60rpm時:14.7km/h
24km/h到達時:ペダル毎分98回転
スプロケ 48T×12T(変速機無し)
サイズ 全長116cm、軸間距離81.8cm
折り畳み時:長89×高58×幅28cm
適応身長 145cm~(サドル高:50~90cm)

■主要装備
特殊 サンスター技研製動力ユニット(235Wモーター)、半折り畳み機構
電装 前後反射板、1灯LEDライト(オプション品、乾電池式)
車体 Wトライアングル形状アルミフレーム
折り畳み式バーハンドル(2サイズ)、鉄フォーク
車輪 HE規格14×1.5インチ(幅40mm)セミスリックタイヤ
アルミリム、ステンレススポーク
制動 Wピボットキャリパーブレーキ
積載 アルミ製片足スタンド、折り畳み式ペダル
装備 超細身軽量スポーティサドル、スポンジグリップ
■特徴
▼特徴
ベース車の「YS-11」が「最軽量で車重7.3kgの折り畳み」を売りにした超軽量車。
その「YS-11」の電動バージョンが「YS-11ハイブリッド」。
それゆえ電動アシスト自転車中では最軽量の12.5kgを達成している。
流石にこれだけ軽いと、電動では難しいと言われた電車やバスでの輪行が可能になる。
本体も輪行を意識した構造で持ち運びの利便性を考えた工夫がなされている。
軽量化を重視して変速機を搭載していないので長距離の移動には向かない。
↓小径車の重量比較…旧型は12.3kg、現行機は動力部の小変更で0.3kg増加。

▼モデル由来
名前の由来は国産旅客機「YS-11」の元技術者が、開発&製造&販売に関わっている為。
(日本航空→トヨタ自動車→バイク技術研究所設立)
ヘッドチューブに輝く飛行機型のエンブレムも、YS-11の血筋を主張している。

▼造り
価格が若干高めなだけあって、各部の造りは丁寧でコストを掛けている。
フロスティングシルバーのボディは、耐磨耗・耐食性を高めた硬質アルマイト加工に。
サンドブラスト処理(梨地仕上げ)で質感が高く、ジュラルミン地の航空機をイメージさせる。
この表面は擦り傷が目立たないので、折り畳み時に傷が付くのを気にせず扱える。
小径タイヤは回転数が増えて消耗が激しい分、ベアリングに高級パーツを使い、
フレーム各部の溶接も職人ハンドメイドの丁寧な仕上げ。
製品と言うよりに近い造りで、購入者の所有欲を満たすクオリティを持つ。

▼折り畳み機能
フレーム前部とハンドルが変形、3種類の折り畳み形態を使い分けできる。
【第1形態】転がして移動
サドルとハンドルを下げ、バッグを掛けた状態。車体サイズが約半分になる。
バッグに入れた状態で下部から車輪が出たままなので、転がして移動できる。
【第2形態】カート状にして移動
上記【1】の状態から、サドルだけをバッグから上に伸ばして突き出す。
サドルを取っ手にして掴み、カート状態にして転がして移動。
【第3形態】担いで移動
タイヤも完全にバッグに収納し、ショルダーバッグとして担いで持ち運べる。

▼モデルチェンジ
なお、年式によって微妙に折り畳み方式も変わっており、
初代のYS-11はフレームが完全に2つに分割して外れる方式だったが、
畳んだ時に外れた2つのフレームがぶつかり合って傷が付く欠点を改善する為に、
2代目はフレームは折り畳みが無くハンドルだけ折り畳む半折り畳み方式に、
3代目はYS-11キャリーと同じくヘッドチューブの後部にヒンジが付いて折れ曲がる方式に。

↓現行YS-11の折り畳み方式…写真は非電動YS-11だが折り畳み方式は同じ。

↓旧式YS-11の折り畳み方式…写真は非電動YS-11だが折り畳み方式は同じ。

▼アシスト力
サンスター技研のパワーユニットは、ターボモードに切り替えた時のみ新基準1:2対応になる。
ただし法令上は時速10km/hまでアシスト比1:2可能なのに対して、
時速7km/hで新基準対応のパワーを出すのを止めてしまい、早めにアシスト逓減が始まる。
モーターはスペック上は定格235Wのモーターなのだが、
大手メーカー製ユニットに比べ、登り坂や高速域のアシスト力では劣る
急坂発進の漕ぎ出しは、坂に対して横向きに発進して勢い付けてから坂を登ると良い。

ブレイスやリアルストリームの様に力押しできず、坂では決してパワフルなユニットとは言い難い。
ただYS-11は並の非電動の自転車よりも軽く、14インチの超小型タイヤなので、
平地での体感的な発進加速のアシストは十分。電源を切ってアシスト無しでも軽快に漕げる。
▼登坂&ブレーキの注意
ホイールベースが短いので、登り坂では力を入れすぎてウィリーしてしまわないように注意。
また下り坂での前ブレーキ時にも急制動をかけると前につんのめる危険がある。
軽量+極短ホイールベース+14インチ超小径タイヤの独特の操作感覚には少し慣れが要る。
▼出足の良さ
同じ後付け動力ユニットのエアロアシスタント系等と比べて、ペダル進角に対するレスポンスが鋭敏
ペダルを踏み込むと即座にアシストが追従するので、機敏な動きが可能。
特にYS-11は車体の軽さとタイヤの小ささから、他の電動アシスト自転車とは一線を画す乗り味。
スピードは全然出ないが、ウィーンとモーターが唸ってトコトコと走り出す感じは独特の面白さがある。
自転車と言うより電動キックボードに近い人車一体の感覚。
▼高速性能の悪さ
発進はキビキビしているが、何しろ僅か14インチの超小径タイヤな上に、変速機なし
実際にみると非常に小さく感じる14インチタイヤだが、GD値は内装3段ママチャリタイプの2速位。
軽量ゆえ漕ぎ出しの加速だけは素早いが、その後すぐに速度が頭打ちになる。
当然ながら高速走行には全然向いていない
▼運用の目的
高速走行、長距離走行、悪路走行、急な坂等、ハードな走行には向かない。
輪行予定先の走行距離や勾配や路面状況等を考えて計画的に運用する必要がある。
「駅まで短距離だけ乗って、輪行して電車で移動し、駅から目的地まで再び乗って移動」
等、輪行で距離が稼げる点を活用したい所。
▼オプションサドル変更
標準装備サドルは、まるでコンコルドの機体を思わせる形状。
黒地に翼に当たる部分に銀の入ったツートンカラーで、細くスポーティでスパルタンな形。
この標準サドルではお尻が痛くなりそうと言う人向けに、オプションでコンフォートサドルを用意。
シートポストも標準40cmに対して、大柄な人向けに50cmのロングタイプが用意されている。

▼体重制限
極小サイズの小径車なので、乗員体重(総積載量)制限は85kg
著しくオーバーした場合には「消耗具合、劣化具合が本来の想定と大きく変わる」と注意喚起の表示あり。
特に折り畳み車のハンドルは、体重を掛けたり、前後左右に歪める方向の力に弱い
体重が重い人には向かない車種。坂道でハンドルを歪めない様に注意。
▼タイヤ交換
小径タイヤは、大径と同じ距離進むのに必要なタイヤ回転数が多くなり、磨耗が激しい
だがタイヤは14インチとマイナーなサイズ。取り寄せに時間が掛かったり、
自転車屋に駆け込んでも14インチが置いてなかったり、タイヤ交換に少々苦労する。
予備タイヤの確保等、パンクしてから慌てない様に事前準備をしておこう。

▼購入の選択肢
ベース車の非電動版「YS-11キャリー」は、最小7.3kgと折り畳み車としては最軽量級。
ここまで軽いと、急坂以外ではアシストに頼らなくても軽快に漕げる(スピードは出ないが)。
一方、「YS-11ハイブリッド」坂に強くなる代わりに、軽快さと輪行性能が犠牲に。
こうなると、軽量な車体に電動ユニットを付けるメリットがあるか、割と悩ましい所。
  • YS-11本来の長所である7kg台の可搬性を最大限活かすなら、非電動のYS-11を、
  • 輪行先に坂が多く、重くなってでもアシストが欲しいなら、YS-11ハイブリッドを、
元が軽量なYS-11の場合、電動版のYS-11も検討候補に入れる価値がある。
軽量さが売りの折り畳みタイプの場合、重くなる電動は必ずしもメリットにならない場合もあるので、
自分の使用環境に合うのはどちらかよく考え、可能なら両方を試乗して決める事を推奨。


◆YS-33ハイブリッド《2.5Ah》(バイク技術研究所)

http://bikes.health-life.net/ys_bike_33hybrid.html

2011年モデルスペック
型 番 YS-33H
価 格 14万4900円(実売約14万5千円)
電池容量 2.5Ah(25.6V)リチウム電池
航続距離 ターボ13km、ノーマル22km、エコ35km
重 量 16.7kg
GD値 3速時GD値:5.0m、60rpm時:17.8km/h
24km/h到達時:ペダル毎分80.8回転
スプロケ 48T×13-23T(外装7段:CS-HG50-7S)
サイズ 全長147cm、軸間距離104.5cm
折り畳み時:長86×高69×幅35cm
適応身長 160cm~(サドル高:80~95cm)

■主要装備
特殊 サンスター技研製動力ユニット(235Wモーター)、半折り畳み機構
電装 前後反射板、1灯LEDライト(オプション品、乾電池式)
車体 折り畳み機構付きWトライアングル形状アルミフレーム
折り畳み式アルミ製バーハンドル、クロモリフォーク
車輪 HE規格18×1.75インチ(幅44mm)セミスリックタイヤ
仏式バルブチューブ、アルミリム、前後輪クイックレリーズ
制動 前輪:パワーモジュレーター付きVブレーキ、後輪:Vブレーキ
積載 アルミ製片足スタンド、折り畳み式ペダル
装備 コンフォートサドル(VERO)、前輪:コイルスプリング式サスペンション
後輪:エラストマー式サスペンション
■特徴
▼特徴
YS-11が『最軽量の折り畳み』なら、YS-33は『走りにこだわった折り畳み』となる。
「前後輪サス付きの18インチスポーツタイプ」という特徴を持つ。
折り畳める割に軽く(オフタイムより軽量)、車体が走り重視になるのが特徴。
反面、バッテリー容量が僅か2.5Ahしかないので、航続距離はごく短いのが欠点。
電動アシストは補助装置として使い、必要ない時には電源OFFで使うスタイルとなる。
▼スタイル
18インチにしては長いホイールベース。スポーティで走行安定性が高い。
フレーム表面はYS-11同様にアルマイト仕上げ梨地処理
小キズが目立たず高級感がある。またブラック塗装バージョンも登場。
▼ダブルサス
フロントにコイルスプリング(バネのみ)の簡易サスペンション、
リアにはエラストマー(樹脂製クッション)製の簡易サスペンション、
前後のダブルサスペンションで振動を軽減して乗り心地を良くしている。
簡易サスなので効果は控え目で、駆動ロスが走りに悪影響にならない範囲。
ただし、振動衝撃吸収にはタイヤ径(スポーク長)の影響が大きい。
YS-33の18インチホイールの短いスポークは衝撃吸収性の余裕がなく、
簡易サスを使ってやっと20インチサス無し相当の振動吸収が出来てる、という感じ。
サス無しの20インチに比べて、特別乗り心地が良くなる訳では無いので注意。

▼Vブレーキ
スポーツ折り畳みらしく、前後輪ともVブレーキを搭載し制動力を高めてある。
ブレーキ本体とワイヤーの間にはパワーモジュレーターを挟んである。
▼折り畳み機構
折り畳み機構はごく普通のフレーム中央を折り畳むタイプ。
折り畳んだ際に部品同士がガチャガチャとぶつかって暴れない様に、
前輪と後輪を磁石で吸着させて、折り畳み時も固定できる。
またクランク下にキャスター(補助輪)があり、移動時に補助するだけでなく、
クランクやモーターが地面に接触するのを防げる。
YS-11と5kg近くも違うので流石に担いで歩くには厳しい重さだが、
カート状にしてタイヤを転がして移動できるので階段以外は割と楽。
YS-11と共通のキャリングバッグならサドルに収納できる。
別品でYS-33専用キャリングケースもあり、こちらは丈夫だが大きく重いのが欠点。

▼アシストユニット
YS-33は車重が軽いので体感的な出足のアシストは十分
ただサンスター技研のパワーユニットは、パナソニックやヤマハ製に比べると、
非力で坂道のアシストが弱めな事と、電池容量が少ないのがネック。
時速7km/hで早くもアシスト漸減が始まるので、中速域のアシストも弱い。
実質的にアシストされる時間は一瞬で終わる感がある。
軽さを活かし、平地ではアシストを切って航続距離を伸ばす使い方になる。
▼リアキャリア・泥よけ
オプション品で専用リアキャリアと泥よけも容易。
もちろん折り畳み時にも支障がでない設計。
YS-11同様、サドルやシートポストもオプションで軽量タイプ等に変更可。

▼ベース車
YS-33シリーズは、ベース車の「YS-33スポーツ」もかなり魅力的。
変速機構には、なんとフロントに56Tもの超巨大スプロケを、
リアスプロケには最小で9Tという超極小歯数の9段変速「カプレオ」を採用する。
この超ハイギアードなギア比が可能な構成により、ロードバイク並のGD値を誇る。
車重も折り畳みながら11.9kgと、ギリギリ輪行可能な重量
電動ではないが、この「YS-33スポーツ」は、「YS-33ハイブリッド」に無い魅力がある。

▼YS-33ハイブリッドとYS-33スポーツの違い
電動版の「YS-33ハイブリッド」では、誠に残念ながらカプレオは搭載
フロントは48T、リアは最小13Tのシマノ製の安価な外装7段変速。
大手の電動アシスト車の様に、電動化の際にギア比を下げるマイルド調整されている。
YS-33スポーツの売りだった「ロードバイク並のGD値」が無くなり、凡庸なギア比になっている。
実際に漕ぐと、YS-33ハイブリッドは速度がすぐ頭打ちになり、YS-33スポーツとかなり差が出る。
車種 60rpm時の速度 70rpm時の速度
YS-33ハイブリッド 時速18km/h 時速21km/h
YS-33スポーツ 時速30km/h 時速35km/h
▼どちらを買うか?
YS-33スポーツはハイブリッドより4.5kg軽くなり、輪行もギリギリ可能に。
そして平地なら軽量さと高いGD値で、スポーツ車並に走れる。
一方、YS-33ハイブリッドは、輪行が厳しくなり、平地走行速度も低下
代わりに、坂道でのアシスト力を手に入れて坂や風に強くなる。
「非電動ロードバイクと電動アシスト自転車の関係」に少し似ている。
  • 平地主体で輪行を重視するならYS-33スポーツ、
  • 輪行は諦め坂道主体ならYS-33ハイブリッド、
ベース車のYS-33スポーツはギリギリ輪行可で、YS-33ハイブリッドにするとGD値が下がるので、
電動版のYS-33スポーツも検討候補に入れる価値がある。
軽量さと高いGD値が売りのYS-33スポーツの場合、重くなってGD値が下がる電動化は、
必ずしもメリットにならない場合があるので、どちらが自分の使用環境に合うか良く検討して決定を。















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最終更新:2011年07月16日 21:02