創作発表板@wiki

女の勘

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

女の勘

「ずりゃあ!!」
「こ……この女つええ……。」
(まだまだだね。)

テュポン兄ちゃんなら、死んだことすら対象に気がつかせないはずだし、
アキレス姉ちゃんだったら、殺さずもっと有効利用するはずだもん。

優秀な兄と姉を持つと、末っ子は苦労するんだ。

ガサガサと背広の胸ポケットを漁ると手帳が出てきた。
(帰ってゆっくり読むとしよう。)

あとは通り魔的な犯行に見せかけるために財布をいただいてと……。
ユグドラジル帝国は、よみがえりの儀式とやらで厄介な事をしてくれたもんだよ。

この島最大の悪党は、アスガルド軍団リメンバーズというのが率いていて、
彼らは組織を再度正義のヒーローに壊滅させられ、行き場を失った怪人達で構成されているみたい。

そんな連中が集まってるわけだから、
当然今までの実習のように、
すぐに組織の信頼を得ることは難しくなってるの。

(流石は最後の研修だけあって、結構ハードルが高いわね。)

だからこうして、ちょっとしたことから信頼を得て、
幹部のハルと

ローガーにもっと近づこうと考えているわけ。

ユキチには暫く大人しくして貰う予定だけど、あまりのんびりしている余裕は無いだろし……。
(まぁ、やるしかないか。)

「ただいま~。」
今夜の一仕事を終えたアタシは箱庭館に戻る。
「おかえりなさい。」

この魔女のゆゆるは実に良い働きをしてくれたわ。
子供と少女に弱く人を疑うということを知らないアイツは、まさか彼女が魔女だとは気がつくまい。
「ただいま。あらそちらは?」
「私の名前はジークリンデ・ハルトシュラーよ。」
「アタシの名前はエレボス、フリーライターをしているの。」

(悪の秘密結社なんて言えるわけが無いじゃん。)

「ここへは何か取材か何か?」
「ええ、まぁそんなところよ。
 ここだけの話、聖杯伝説の取材をね。」
自分で言うのもなんだけど、完璧なカモフラージュじゃないの。

「せいはいってなんですか?」
「持つ者の願いを何でも叶えるらしいわよ。」
アタシも詳しい事は何も知らないから追求されるとまずいな。
(さて何の話題に変えようか……。)
ジークリンデとは初対面だし、もう少し彼女のことを探ってみるとしよう。
「アンタは何しに来たの?」
「静養ってところかしらね……。
 弟と来てるわ。」

「兄弟居るんだ?アタシにも姉と兄がいるの。」
「テュポンさんから聞いてるわ。」

なんでここで兄ちゃんの名前が出てくるんだろうか。

(こういうのがタイプだったのか。兄ちゃん……。)

確かにちょっと清楚な感じなキレイ系だ。
ジーと頭の先から足の先までを採点していく。
(だけど、なんか胡散臭いんだよねぇ。)
女の勘というか、なんというか、言葉の節々から違和感を感じるの。

アタシがこういう性格じゃない。
同じ穴のムジナというか、類は共をよぶというか……。
そんな気がするんだよね。

「ああ、別にちょっとしたフォトグラファー仲間ですよ。」
怪しむアタシの視線に気がついたのかジークリンデが関係を説明する。
珍しい単独行動を好む兄ちゃんが……。

(透明人間になるのに、1人じゃないと意味が無いからねぇ。)

ていうか兄ちゃん本当に写真を撮ってるだけなんだね。

(ちょっとガッカリだよ。)

「どうかしましたか?」
「いえいえ、」

「ゆゆるはおかしのいえがほしいです。」


こんな感じで朝までゆゆる、それにジークリンデと語り明かしたの。

続く

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー