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第十話 男と獣と人間と~その二

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第10話 男と獣と人間と~その2




淳子たちがある店の店員からこの街の歴史と現状を聞き出しているころ、
セフィロスと竜崎はいまだに町をぶらぶらしているだけだった。

なにか収集を持っていかねば残りの四人から何を言われるかわかったものではないので、
先ほどから情報を得ようと道行く人々に声をかけようとしているのだが、どういうわけかそのとたんにひどく怯えた顔をされ、逃げられてしまうのだ。
この街の住人がよそよそしいのは足を踏み入れた時から感じていたがこれは少し異常だと二人は思っていた。どうなっているのだ?

「竜崎、お前も感じているだろうがこの街のやつらはなぜこんなにおびえているのだ?少し尋ねようとしただけで逃げられる始末だ」
「はい私もそう思います私の生きている世界の歴史ではだいたい恐怖政治を敷く君主がいると国民はこんな感じになったようですが」

「ならばその君主とやらを倒せばこの街のやつらもこの状態から解き放たれるのだろう?なぜ一丸となって立ち上がろうとしない?」
「君主は強大な権力をもった存在なのはいうまでもありませんしたがって民が反乱などおこそうものならすぐに強力な軍隊をもって鎮圧し
 結果かかわった人間の大半は処刑されてしまいます幸い闇人さんたちの話ではこの世界にはお金が存在しませんので重税に苦しむことは
 ないはずですからそれは救いですがどちらにせよ圧政に苦しんでいることに変わりはありません。なんとかしたいですね」

「神はなにをやっているのだ?大勢の人間が苦しんでいるというのに何もせずに手をこまねいているだけか。だとしたら何と無力な神なのか」
「だから私たちを召喚したのでしょうつまりこの街というか国を救うことが世界を変えるための第一歩だと考えることができます」

「なるほどな。だがそのためには結局情報が必要になるだろう。何もわからずに無闇に戦うのは危険だ。たとえお前の頭脳をもってしてもな」
「お褒めに預かり光栄です。私もあなたの分析に同意しますまずは情報を入手することが第一です。相手は強大ですから一丸とならないと」

その時、二人の目の前にある事件が飛び込んできた。
見ると、ある姉弟がチンピラ5人に囲まれている。15歳くらいの弟が必死に抵抗していたが
殴られあっけなく取り押さえられてしまった。姉のほうは押し倒され暴行を受けそうになっている。
通り過ぎる人たちは見て見ぬふりをして通り過ぎるだけだ。
「あの連中にでくわしたのが淳子じゃなく私たちだったのが連中には幸運だったな。殺さずにすむ」
次の瞬間、セフィロスは目にもとまらぬ速さで一人を殴り倒した。

いきり立つチンピラ。一斉に襲い掛かるが回し蹴りや肘打ちなどを見舞われ一蹴される。
そして一切、愛刀・正宗を使うことなくチンピラ5人を倒してしまった。
「ひぃ!参った!降参だ!頼む、お願いだから命だけは助けてくれ!
俺達まだ死にたくねぇんだよ!何でもするからさ!頼むよ助けてくれよ!」と跪くチンピラ。

普通このような展開では悪役は「おぼえてろ!」などと無様な捨て台詞を残して逃げていくものだが、
セフィロスが凄まじい殺気を放ち、逃げられないことを悟ったのだった。
「そんなに言うなら許してやろう。その代わり貴様らが知っていることをすべて話してもらおうか。
たとえばこの国の歴史、現状などだ。できなければ貴様らの命の保証は出来かねるが」


「そんなことでいいならいくらでも話すさ。まず俺たちは人間じゃなく獣人だ。
獣に人って書いて獣人な。この街は今から30年くらい前までは人間たちが平和に暮らしてたんだけどよ、
そこに森林伐採なんかで住処を追われた俺達獣人が移住してきたんだ。当時俺達には住処を奪った人間たちに恨みがあった。
そして俺達獣人は身体能力で人間より優れてるからそこを生かして人間たちを襲い屈服させた。
そして人間たちに謀反を起こされないように『世界救済委員会』っていう組織を結成。以来この街を含む11の町を一つの国家として治めるようになったんだ。
世界救済委員会は『獣貴十二師』っていう獣人たちの頂点に君臨してるやつが治めていて、
そいつらの決定は絶対で誰にも逆らえない。逆らえば軍事部に粛清されちまうから」

「そして貴様らもその世界救済委員会とやらのメンバーというわけか?だから支配の対象である人間、つまりこの姉弟を襲ったというわけか?」

「いや、救済委員会のメンバーは獣人全体の6割くらいで残りの4割が俺らみたいな上級市民として人間たち下級市民をさっきみたいにいたぶろうとしたり
 獣貴十二師に準ずるような貴族たちは人間たちを召使としてこき使ったりしている。貴族連中は人間を生物と思ってねえからこき使いすぎて死んじまっても
 ゴミ捨て場に捨ててきて代わりを探してくるんだ。あれはさすがに俺達もひでぇなって思うから抗議とかしたりすんだけど聞く耳持たずさ。
 獣人は死んだらみんな地獄に落ちちまうんだろうな。いくら人間に恨みがあるとも言ってもこれは正直やりすぎだ。悪かったな嬢ちゃん、坊や」


プイ、とそっぽを向く少年と苦笑いを浮かべて頭を下げる少女。
「わかった。これであの4人にも手土産ができたな。さて貴様らはもういっていい。私たちはこの姉弟を送っていく」
そして去っていくチンピラたち。セフィロスが姉弟に声をかける。
「怪我はなかったか…あるよな。殴られたり、押し倒されたりしたものな。またさっきみたいのに襲われないように家まで送ろう」
そう言って手を差し出したセフィロスの手を取って少年は立ち上がった。
続いて少女も引き起こし、4人は姉弟の家まで歩いて行った。


そして姉弟の家までたどり着いた。
「すみません。わざわざ送っていただいてありがとうございます。お茶でも御馳走しますのでどうぞ上がっていってください」
「いえ私たちは先を急いでいるのでまことに残念ですがお断りさせていただきますお気持ちはありがたく頂戴しますが」それを断る竜崎。うなずくセフィロス。
「ならせめてお名前を伺わせてください。それすらも駄目ですか?」


「セフィロスだ」「竜崎と申します」そして名前だけ告げ、立ち去るする二人。
実はその実、誘いを断ったのをすごく公開していた。なぜならその少女はすごく美人だったから






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