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ここにいていいだろうかとは尋ねない

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匿名ユーザー

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ここにいていいだろうかとは尋ねない◆SqzC8ZECfY



ひとりたすければ

ひとりうまれたことになるのか

そのいのちは

よいいのちか




「今そこで人が死のうとしてる。僕にはそのほうが重い」




レムをなくし

ひとりになって

こころの中の彼女がわらうように

あるく




「今いるそこが暗闇でも、あなたの手の中の切符はいつでも書き込まれるのを待ってる。だから、だから……決して手放さないで」




その生き方が確信になって

ゆらいで

喜びの涙と哀しみの涙

幾千万の銃弾の中

痕はふえて




「なあ……本当の所、訊いていいか? 百年近くその中で生きてきて、お前一度も人間に対して憎しみを持ったことがなかったのか!?」




そしてたどり着いた場所は




「何度裏切られた? 何度傷つけられた? 何度嘘をつかれた? 何度屈辱を受けた?
 人間扱いされなかったことは? 大切なものを奪われたことは? いわれなく疑われたことは? 笑われながら踏みにじられたことは?」




歪みが導くさらなる絶望








「――現実を凝視しろ。お前は……矛盾だらけだ」








わすれようとしていたなまえ




「貴様が『ジュライ』でやったことを…………思い出しやがれぇぇええ!!!!」




封じようとしていたあやまち




「貴様が奪ったのは!! 俺の!! 半身そのものだ!!!!」




とりかえしのつかないこと
















「僕は化け物―ひとごろし―だ」
















すまない……


すまない……


すまない……


すまない……




それでも……




僕は……




前に……




進まなくちゃ……




   ◇   ◇   ◇


中天に差し掛かろうとする太陽が荒れ果てた古城跡を照らしていた。
ところどころが崩れかけた城壁や瓦礫が散乱する入り口とは対照的に、建物の奥は豪華な調度品で整えられたつくりになっている。
一階のとある部屋。
来客の応接に使われていたのだろうか。
ゆったりとした空間には、華美すぎない程度に上品な雰囲気をもたらすソファーやシャンデリアがある。
足を踏み込めばくるぶしまで沈む絨毯に荷物を置き、ソファーに腰掛ける二人組。
そしてその向かいのテーブルを挟んだもう一つのソファーに寝かされている黒ずくめの男。
この部屋には三人の人間が存在していた。
寝かされている男に起きる様子はない。
それを心配そうな顔で見守る二人組の名は、黒髪のロングヘアーが新庄・運切といい、栗毛のショートヘアーの少女は伊波まひるといった。

「大丈夫かなぁ……かなりいい角度で入っちゃったし……」
「そ、そんなこといわないで! 不安になっちゃうじゃない……」

新庄の言葉に対し、男が気絶する原因となったまひるの顔がこころなしか青ざめている。
こう見えて大の男を吹き飛ばすパンチを放つ腕力の持ち主だ。
そして殴られた結果として気を失って二人に運ばれ、こうして寝かされている男がいる。
それから二人は食事を取り、さらにしばらくたつが目を覚ますような動きは見られない。
ロングヘアーの黒髪をもつ中性的な顔立ちの――実際中性そのものだ――新庄はここで時計を見た。
もうすぐ12時だ。
ギラーミンの言うとおりならば、もうすぐ次の放送が流れることになる。
前回の放送では15人が呼ばれた。
その15人は何故死んだのか。
自殺などは論外。ギラーミンが放送で言ったように誰かに殺された――そう考えたほうが妥当だ。
それはこの土地のどこかに人を殺すような人間が存在しているということであり、それが多少の誤差はあるにせよ15の死を撒き散らすほどの数であるということだ。
そして新庄たちは実際にカズマという男に襲い掛かられた。
まひるに至っては最初に会った高槻巌という男性が前回の放送で死亡したとも知らされたという。
たった数時間前まで生きていた人間が死んでいく。
ここで殺し合いが行われているということを、もはや否応無く思い知らされる。
佐山やブレンヒルトは大丈夫だろうか、と新庄は思う。
スプーンに反応がある限りは佐山は大丈夫だろう。
いや、無くてもきっと彼は大丈夫だと確信を持つ。
そう信じること、そして同じ方向に向かってともに歩んでいくことが自分の役目だと新庄は考える。
佐山が他人に無理強いされて動くなどありえない。
だからギラーミンのいうことはきかないだろう。
ゆえに佐山の正逆の存在であり、だからこそ共に歩むことを誓った新庄の行くべき道は彼と同じだ。
ギラーミンのいうことはきかない。
殺し合いなんてしない。
自分に出来ることでギラーミンに抗おう。
内心でそう決意して、そこでまひるの横顔に脅えの色があることに気付く。
その視線はある一点を凝視している。
ヴァッシュというらしい黒ずくめの男が寝ている方向だ。
新庄も彼女の視線を追う。
寝たままのヴァッシュの手に握られた、鈍い銀の光を放つリボルバー拳銃があった。
とりあげることも考えたが、いきなり武装を没収するのも反感を買うのではないかとそのままにしておいたのだ。
何よりこの男が意識が無いにも関わらず、その手を固く握り締め、簡単に放せるとは思えなかった。

「伊波さん?」
「えっ」

声をかけた途端、彼女は僅かに肩を震わせるような反応を見せる。
そんな素振りを見せる伊波に疑問を感じた新庄が、どうしたの? と問うとおそるおそるといった感じの声で答えがかえってきた。

「この人……言ってたよね。自分は人を殺したって……」

合点がいった。
まひるが脅えるのも無理はないだろう。
先ほどの大音声で自ら宣言したのだ――――自分は人を殺したと。
そして彼の手には銃が握られている。
先ほどは怪しい黒マント仮面から彼女を守るような素振りを見せた。
それを考慮すれば目覚めてもいきなり襲い掛かってくるような真似はしないとは思うが、確証はどこにもない。
しかしだからといって疑心暗鬼に囚われ、正常な判断を失うようなことはあってはならないだろう。
ここは彼女を落ち着けたほうがいいかな、と新庄は判断した。
自身も公私において全竜交渉部隊の変態兼トンデモ人間ズに囲まれ麻痺しかけていたが、世間一般の人々が銃を持つ人間を見たなら無理からぬ反応だろう。

「伊波さん、落ち着いて。襲うつもりならさっきとっくにそうしてると思うよ」
「だ、だって……って、マジックハンドで器用に肩をぽんぽんしないでっ」
「いや、流石にまた殴られたくないし。同じオチで二度ネタ三度ネタは趣味じゃないし」
「うー……」

まひるが顔を赤くしながらこちらを上目遣いで睨んでくるのが何だか微笑ましい。
少しは気が紛れたかな、と新庄は考え、言葉を続ける。

「万が一があっても、こっちだって銃があるんだしおあいこだよ。それに例え銃を突きつけあっていたって話し合いはできるんだ」
「え? ……新庄さん?」
「殺しあうより先に言葉を交わそう。互いに理解しようともがいて、どうしても無理なら妥協点を探そう。
 それでも……たとえ銃や刃物を突きつけあっていたって、そこで話し合えるのなら、それはただの殺し合いより何百倍も価値があることだと思う」

新庄・運切は全竜交渉部隊の一員だ。
世界の滅びを防ぐために、あらゆる勢力との交渉を進めるのが任務だ。
時として命のやり取りとなる戦闘をも辞さないが、それでもそれは交渉の一手としてに過ぎない。
その部隊の代表としてあらゆる困難を、力と知恵と――何より言葉で乗り越えてきた男がいる。
新庄はそんな彼を支えたいと思った。
ともに歩んで生きたいと思った。
悪役を任ずる彼とは、自分は何もかも真逆。
……だからこそ。
そして同じ道を歩むということは、新庄も言葉をないがしろにしてはならないということだ。
所詮は言葉。されど言葉。
例え結果として分かり合えずとも、互いが言葉で分かり合おうとした事実を理解できれば、そこには大きな意味がある。

「信じて、伊波さん。話し合うんだ。相手の事を聞いて、自分の事を話すんだ」
「だって……私が最初に会ったあのおじさん死んじゃった……メカポッポ君だって、あの人に……それなのに新庄さんはどうして?
 怖いよ……死にたくないよ……私、フツーの高校生だよ……そんなに強くないんだよ……」

まひるは俯いて、僅かに声を震わせる。
そこで新庄は初めて気がついた。
彼女が今まで無理して強がっていたことに。
殺し合いという異常行為が正当化されるこの空間で、少しずつ心を蝕まれていたことに。
そして今まで自分はそれをフォローできていると思っていた。
落ち込んでるかなと気遣って励まして、その度に彼女は大丈夫だと笑みを返していた。
だがそれでもそれは強がりでしかなく、新庄は気付けなかった。
ああ、馬鹿だ――と思う。
新庄は自分の愚かさを悔いる。

「さっきの刃物を投げつけてきたのだって……そうだ、あれってドッキリとかじゃないの? 最初から無意味に大掛かりな仕掛けでさ。
 ほら、みんなで私達を驚かせて、それで影で笑ってるんだよ……だって……そうでなかったら……あのまま当たってたら私は死――」
「伊波さん!」

逃避。
それもひとつの緊急回避の方法だろう。
立て続けに発生する異常現象を前にして、精神のオーバーヒートを防ぐために、その場しのぎであろうとも有効には違いない。
だが。
自分たちをとり囲む現状が変わらない以上、そのツケはいつか払わなくてはならない。
それが致命的な場面でおこることになるとも限らない。
新庄は伊波まひるという少女を気遣おうとして、それが間違っていた。
ならば。
間違ったなら正せばいい。
後悔などで歩みを止めるな。
そうなったらそこで終わりだ。
だから……!


――……進撃せよ<<ゴーアヘッド>>だ!


「伊波さん、僕だってそんなに強いわけじゃないよ」
「…………何?」

声は暗い。
そしてか細い。
俯いてぎゅっと握った両手は震えていた。
新庄は己と真逆の存在を想う。
彼のようにうまく出来るだろうか。

「……僕には両親がいないんだ」
「……」

まひるは無言。
それでも新庄は淡々と。

「今は仲間ができたよ……でもね、ずっと寂しかったんだ。ずっと独り。ずっと今までそうだったから」

ソファに腰掛けて、隣のまひるに話しながら何気なく窓の外を見る。
差し込む太陽の光が眩しい。
水色の空が外には広がっている。

「独りでいるのがいやなんだ。大切な誰かと一緒にいたいんだ。誰かを傷つければ、そのぶん人は離れていくから」

まひるの無言は変わらず。
新庄の言葉だけが、シャンデリアが煌く部屋の天井に染み込んでは消えていく。

「だから殺したくないんだ。自分勝手な僕の都合で。怖いし死にたくないけど、それと同じくらい寂しいのが嫌なだけなんだよ」

そこで口を閉じた。
無言。
まひるも無言。
伝えたい言葉は伝えた。
だから新庄は待つ。
気まずいはずだった沈黙はもう苦にならなくなっていた。

「……………………私も寂しいのは……いや、かな……」

しばらくして、ようやく聞けたまひるの言葉。
それに対して新庄は顔をほころばせ、彼女を真っ直ぐに見た。
その表情は柔らかな微笑だ。

「うん……いいんじゃないかな」
「……えへ」
「ははっ」

お互い笑いあった。
互いに理解しあうこと。
それは、あるいは一方的な勘違いかもしれない。
だがそれでもこの笑顔は確かなかたちとしてここにある。
ならば、それでいい。
それを足がかりに前へ進めるから。

「…………あ」
「ん?」

まひるの視線が真横に向きを変えたのはその時だった。
釣られて新庄も同じ方向へと向き直る。
そこには寝かされた黒いコートの男がいるはずだった。
その状況に変化はない。
相変わらず男はソファーに横になっている。
……いつのまにか目を開け、ただの知り合いというにはいささか近すぎる距離で向かい合う二人をガン見しながら。


「…………いつから見てたんですか?」
「…………いやぁ、気付いたらなんか声をかけづらい雰囲気だったもんで、つい」


   ◇   ◇   ◇


……それで?


お前はまたいつもの生き方にすがりつくのか


そいつは本当に正しいのか?


クズまで救おうとしてないか?




「わからない……わからないさ……そんなことわかるもんか!!」




ははは……


だいぶ参った顔をしているじゃあないか


ここまで色々学んだろう?


取り戻したというべきか……テスラの……あの時からだ




「……………………昨日のことを忘れたいんだ。でもね……無理だ。僕はきっと、今のこの彼女たちの事を……ずっとしつこく思い出す」




……一世紀以上かかって……!


……得たものがそんな答えか!?








「この後悔はどうすることもできないけれど…………今日、いま、僕の手はまだ動く。
 誰かの悲しみを消すことが出来たときだけ……少し楽になれる。明日も……明後日も……だから……!」




















――ここにいていいだろうかとは尋ねない。



















――ここにいようと、そう決めた。
















【A-2 古城跡・一階応接間/1日目 昼】



【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】
[状態]黒髪化、左肩に刺突による傷(再生中)
[装備]S&W M29 6インチ 0/6@BLACK LAGOON
[道具]支給品一式、拡声器@現実、予備弾丸32/32
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める、今度こそ絶対に。
 1:目の前の二人と話してみる。
 2:ウルフウッド、リヴィオとの合流。
 3:ウルフウッドがいるかもしれない……?
※原作13巻終了後から参加
※サカキ、ロベルタの名前はまだ知りません。
※詩音を『園崎魅音』として認識しています。
※口径などから、学校の死体を殺すのに使われたのはロベルタの持っていた銃ではないかと考えています。
※康一にスタンドの事について聞きました。 仗助を協力者、吉良を危険人物だと見ています。
※義手の隠し銃には弾が込められていません。弾丸を補給すれば使用可能です。
※拡声器で話した内容は少なくともエリアA-2全域には響きましたが、それ以上広く響いたかは不明です。
※全身の切り傷は再生しました。


【新庄・運切@終りのクロニクル】
[状態]:健康 、顔面打撲
[装備]:尊秋多学園の制服、運命のスプーン@ポケットモンスターSPECIAL 、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃 6/6 @トライガン・マキシマム
[道具]:支給品一式(食料一食消費、水1/5消費) 予備弾丸36発分
[思考・状況 ]
1:ヴァッシュを仲間に誘ってみる。
2:メカポッポを待ってみる。
3:まひると行動しながら小鳥遊、もしくは仲介役の女性を捜す。
4:佐山と合流しここから脱出する
5:ブレンヒルトについてはまだ判断できない。
6:人殺しはしない。
7:取り敢えず目の前の男の人と話をしてみる
※小鳥遊宗太については、彼の性癖とかは聞いています。家庭環境は聞いていません
※新庄の肉体は5:30~6:00の間にランダムのタイミングで変化します。
 変化はほぼ一瞬、霧のような物に包まれ、変化を終えます。
 午前では女性から男性へ、午後は男性から女性へ変化します。
※参戦時期は三巻以降です
※カズマを危険人物だと認識しています
※まひるに秘密を話しました




【伊波まひる@WORKING!!】
[状態]:疲労(小)、足に擦り傷・切り傷 、男に触られた事による動揺
[装備]:学校の制服
[道具]:支給品一式(食料一食消費、水1/5消費)、ARMSのコア(中身は不明)@ARMS マジックハンド×2 @WORKING!!
[思考・状況]
1:メカポッポの到着を待つ。
2:新庄と行動する。
3:諦めない。常に信じ抜く。
4:佐山、小鳥遊と合流する。
5:取り敢えず目の前の男の人と話をしてみる
※新庄を信用しています。また、彼女の特異体質を知りました
※佐山・御言に関しては変な人ということを聞いています。ブレンヒルトについては、知り合いということだけ聞いています。
※運命のスプーンのことは知りません。
※ARMSのコアの事は一応目を通しましたが、何の事かよくわかってません。




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