総括所見:インド(第3~4回・2014年)


CRC/C/IND/CO/3-4(2014年7月7日)/第66会期
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2014年6月2日および3日に開かれた第1885回および1886回会合(CRC/C/SR.1885 and 1886参照)においてインドの第3回・第4回統合定期報告書(CRC/C/IND/CO/3-4)を検討し、2014年6月13日に開かれた第1901回会合において以下の総括所見を採択した。

I.序

2.委員会は、インドの第3回・第4回統合定期報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/IND/Q/34/Add.1)の提出を歓迎する。これにより、締約国における子どもの権利の状況についての理解を向上させることが可能となった。委員会は、他部門にまたがる締約国の代表団との間に持たれた前向きな対話について、大いなる評価の意を表する。

II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、以下の立法措置がとられたことを歓迎する。
  • (a) 国家食料安全保障法(2013年9月10日)。
  • (b) 性犯罪からの子どもの保護法(2012年11月14日)。
  • (c) 無償の義務教育に対する子どもの権利法(2009年8月)。
4.委員会はまた、以下の文書が批准されたことにも評価の意とともに留意する。
  • (a) 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書(2005年11月)。
  • (b) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書(2005年8月)。
  • (c) 障害のある人の権利に関する条約(2007年10月)。
  • (d) 国際的な組織犯罪の防止に関する条約、ならびに、同条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書ならびに陸路、海路および空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書(2011年5月)。
5.委員会はまた、以下の制度上および政策上の措置がとられたことも歓迎する。
  • (a) 国家乳幼児期ケア・教育政策(2013年9月27日)。
  • (b) 国家子ども政策(2013年4月26日)。
6.委員会は、締約国が国際連合の諸特別手続による訪問を常時受け入れる意思を明らかにしたこと(2011年)に、積極的対応として留意する。

主要な懸念領域および勧告

A.一般的実施措置(条約第4条、第42条および第44条(6))

委員会の前回の勧告
7.第2回定期報告書に関する委員会の総括所見(2004年、CRC/C/15/Add.228)をフォローアップするために締約国が行なってきた努力は歓迎しながらも、委員会は、そこに掲げられた勧告の一部について全面的な対応がとられていないことに、遺憾の意とともに留意する。
8.委員会は、締約国に対し、条約に基づく第2回定期報告書についての総括所見に掲げられた勧告のうち未実施のものまたは部分的にしか実施されていないもの(とくに、差別の禁止、養子縁組、有害慣行、性的搾取、教育、保健、児童労働および少年司法の運営に関するもの)に対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。
第32条に関する宣言
9.委員会は、条約第32条に関する締約国の宣言は不必要である旨の見解をあらためて表明する。
10.委員会は、締約国に対し、委員会のこれまでの勧告(CRC/C/15/Add.115、パラ66およびCRC/C/15/Add.228、パラ8)にしたがい、条約第32条に関する宣言の撤回を検討するよう促す。
立法
11.委員会は、第2回定期報告書(CRC/C/93/Add.5)の検討以降、締約国が、子どもの権利に関する立法上の枠組みを強化するために多くの連邦法を採択しまたは改正してきたことに留意する。しかしながら、立法ではいまなお条約の適用される範囲が完全に網羅されていない。委員会は、締約国の連邦体制内でさまざまなレベルの権限および権能が定められていることにより、子どもの権利に関する法律が異なるやり方で適用され、かつ、締約国全域で子どもの権利の実施に断片化および矛盾が生じていることを懸念する。
12.委員会は、締約国が、連邦および州のレベルで、子どもの権利に関する立法上の枠組みが条約の原則および規定と一貫したかつ矛盾のないやり方で調和されることを確保するため、子どもに関連するすべての立法の再検討および改正を進めるよう勧告する。締約国は、締約国においてすべての法律がすべての子どもに同一のやり方で適用されることを確保するべきである。
包括的な政策および戦略
13.委員会は、2013年に国家子ども政策が採択されたことに留意する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。
  • (a) 同政策を実施するための国家行動計画がまだ策定されていないこと。
  • (b) 州および県のレベルで進められている、国家子ども政策にのっとったそれぞれの行動計画の策定の進展に関する情報、および、同政策の効果的実施を確保するために配分される資源についての情報がないこと。
14.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) あらゆるレベルにおける国家子ども政策の適用を可能にする要素を含んだ、国家行動計画ならびに州および県のレベルでの同様の計画の策定を優先的に進めること。
  • (b) 国家子ども政策を効果的に運用するための十分な人的資源、技術的資源および財源が時宜を得たやり方で配分されることを確保すること。
  • (c) 子どもおよび若者、親、非政府組織(NGO)および関心のあるその他の関連機関の積極的関与を促進し、かつその便宜を図ること。
調整
15.委員会は、締約国が、旧女性・子ども発達局を女性・子ども発達省に格上げして財源および人的資源も増やすことにより、その権限および調整の役割を強化したこと、および、国家子ども政策の実施の監視を任務とする国家調整行動グループを設置したことに留意する。しかしながら委員会は、これらの措置がまだ、子どもに関連する政策およびプログラムを実施するための、あらゆるレベルにおける省庁間の調整の改善につながっていないことを懸念するものである。
16.委員会は、締約国が、条約の実施に関連するあらゆる活動を省庁間、連邦および州のレベルで調整する十分な権限を女性・子ども発達省が有すること、および、国家調整行動グループがあらゆるレベルで有効に機能することを確保するための努力を強化するよう、勧告する。締約国は、同省および同グループの双方に対し、その効果的活動のために必要な人的資源、技術的資源および財源が提供されることを確保するべきである。
資源配分
17.委員会は、計画策定および予算編成のプロセスを改善し、かつ子どものための制度およびプログラムに配分される予算を増額するために締約国が行なっている努力に留意する。しかしながら委員会は、予算配分において子どもの保護のニーズが十分考慮されていないことを懸念するものである。委員会はまた、配分された資源の不適切な管理が生じており、かつそれが高水準の汚職によって悪化させられていること、ならびに、監視および評価のための効果的な制度が存在しないことも懸念する。
18.子どもの権利のための資源配分――国の責任」に関する2007年の一般的討議ならびに条約第2条、第3条、第4条および第6条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) すべての社会部門、とくに教育、保護および子どもの保護に対する予算配分(連邦および州のレベルで子どものために用いるものとして使途指定される資源を含む)を相当に増額すること。
  • (b) 関連の部門および機関における子どものための明確な配分額を具体的に定め、かつ具体的な指標および追跡システムを備えた、子どもの権利の視点を有する予算編成プロセスを確立すること。
  • (c) 連邦および州のレベルで条約の実施のために割り当てられる資源の配分の十分さ、有効性および公平性を監視しかつ評価するための機構を設置すること。
  • (d) 汚職を防止しかつこれと闘うためにあらゆる必要な措置をとること。
データ収集
19.委員会は、15~18歳の子どもに関して利用可能なデータが乏しいこと、および、収集されるデータのタイプが制約されていて条約の全分野を網羅するものになっていないことを、とりわけ懸念する。
20.子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)に照らし、委員会は、締約国に対し、データ収集システムを速やかに改善するよう促す。すべての子ども(とくに、被害を受けやすい状況に置かれた子ども)の状況についての分析を容易にするため、データは、条約の全分野を網羅し、かつ年齢、性別、地理的所在ならびに民族的、国民的および社会経済的背景別に細分化されるべきである。さらに委員会は、データおよび指標が関連省庁の間で共有され、かつ、条約の効果的実施を目的とする政策、プログラムおよびプロジェクトの立案、監視および評価のために活用されるべきことを勧告する。この文脈において、委員会はまた、締約国が、とくに国際連合児童基金(ユニセフ)との技術的協力を強化することも勧告するものである。
独立の監視
21.委員会は、2007年に、とくに自己の権利侵害に関する子どもからの苦情を受理する権限を有する国家子どもの権利保護委員会が設置されたこと(州および連邦直轄地域における委員会の設置を含む)に留意する。しかしながら委員会は、パリ原則に全面的にのっとった委員会の委員の選任手続が定められていないこと、予算配分が不十分であること、独立機関として任務を遂行する自律性が欠けていること、および、このような委員会がまたすべての州に存在するわけではないことを、懸念するものである。
22.独立した国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(2002年)を考慮に入れながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) パリ原則が全面的に遵守されることを確保するため、国家委員会およびあらゆるレベルに設置される他のすべての委員会の独立性を、資金、権限および不処罰特権の観点も含めて確保すること。委員会は、この目的のため、締約国が、国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)およびユニセフとの技術的協力を強化するよう勧告する。
  • (b) このような委員会を締約国全域で速やかに設置すること。
普及および意識啓発
23.委員会は、条約を普及し、かつ条約についての意識を高めるために締約国が行なっている努力に留意する。しかしながら委員会は、公衆一般およびとくに子どもたちの間で条約に関する意識が低いこと、ならびに、とられた措置の評価が実施されていないことを懸念するものである。
24.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.228、パラ24(a))をあらためて繰り返し、締約国に対し、公衆一般が子どもを権利の主体として認めることを確保する目的で、条約を普及するための努力、ならびに、意識啓発プログラムを通じて子どもの権利に関する公衆一般およびとくに子どもたちの感受性を高めるための努力を強化するよう促す。このような意識啓発プログラムには、メディアなどあらゆる形態の情報伝達手段、および、社会経済的にもっとも不利な立場に置かれた地域における意識啓発のための対象を明確にした介入策が含まれるべきである。委員会はまた、締約国が、地方言語で作成された子どもにやさしい条約の訳が入手できることを確保するためにあらゆる必要な措置をとることも勧告する。
研修
25.委員会は、子どもの権利に関連する研修の実施および能力増進のために締約国が行なっている努力が不十分であり、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家の需要に対応しきれていないことを懸念する。
26.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.228、パラ24(c))をあらためて繰り返し、締約国に対し、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家(とくに法執行官、裁判官、検察官、教員、メディア、ヘルスワーカー、ソーシャルワーカー、あらゆる形態の代替的養護に従事する職員および出入国管理機関)を対象として、子どもの権利に関する十分かつ体系的な研修を実施すること。これとの関連で、締約国は、とくに、意識啓発キャンペーンを実施し、具体的なマニュアルを開発し、能力構築ワークショップを実施し、かつ子どもの権利を学校カリキュラムに編入するべきである。
市民社会との協力
27.委員会は、さまざまな分野のサービス提供において締約国がNGOとの調整を図っていることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、そのような協力が組織的なものではないこと、ならびに、締約国が、子どものためのサービスの提供を各州が契約したNGOに委託しているように思われること、および、しかし提供されるサービスの質の監視および評価は行なっていないことを、懸念するものである。
28.委員会は、締約国に対し、国が支援して行なわれる子どもの権利関連のすべての政策、計画およびプログラムの計画立案、実施、監視および評価に、コミュニティおよび市民社会(非政府組織および子ども団体を含む)の組織的関与を得るよう求める。委員会はまた、締約国が、NGOによって子どもに提供されるサービスの質および提供範囲を効果的に監視するための措置をとることも勧告するものである。
子どもの権利と企業セクター
29.委員会は、製造業関連企業の操業のために多数の子どもおよびその家族(とくにPOSCO社の製鉄所がある地域およびオディシャ州の港湾施設がある地域で暮らしている家族および子ども)が強制的に立ち退かされ、かつ先祖伝来の土地を失っていることを懸念する。委員会はまた、条約および国際人権基準が遵守されるようにするための保障措置についての情報がないことも懸念するものである。
30.企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務についての一般的意見16号(2013年)、および、人権理事会が2008年に全会一致で採択した国際連合「保護・尊重・救済枠組み」に照らし、委員会は、締約国が、企業セクターが国際的および国内的な人権基準、労働基準、環境基準その他の基準(とくに子どもの権利に関わるもの)を遵守することを確保するための規則を定め、かつ実施するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 締約国で操業する産業を対象とした、その活動が人権に悪影響を及ぼしまたは環境基準その他の基準(とくに子どもの権利に関わるもの)を脅かさないことを確保するための明確な規制枠組みを確立すること。
  • (b) 企業(とくに製造業関連企業)が国際的および国内的な環境基準および健康基準を効果的に実施することを確保し、これらの基準の実施状況を効果的に監視し、違反があった場合には適切な制裁を科すとともに被害者に救済を提供し、かつ、適切な国際的認証が追求されることを確保すること。
  • (c) 企業に対し、自己の企業活動により生ずる環境面、健康関連および人権面の影響ならびにこのような影響に対処するための計画についてのアセスメント、協議ならびにその全面的な公的開示を行なうよう、要求すること。

B.一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
31.委員会は、さまざまな集団の子どもの間で、教育、保健ケア、安全な水および衛生設備ならびにその他の社会サービスへのアクセスに関して、また条約に掲げられた権利の享受に関して格差があることを懸念する。委員会はまた、指定カーストおよび指定部族の子ども、障害のある子ども、HIV/AIDSに感染・罹患している子どもならびに子どもの庇護希望者および難民に対する差別が根強く残っていることも懸念するものである。
32.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 周縁化された状況および不利な立場の状況に置かれたすべてのカテゴリーの子どもに対するすべての形態の差別(複合的形態の差別を含む)に対処するための包括的な戦略を採択しかつ実施するとともに、社会的および文化的変革を促進する目的で、広範な関係者と連携し、かつ社会のあらゆる層の関与を得ながら当該戦略を実施していくための十分な人的資源、財源および技術的資源を確保すること。
  • (b) 周縁化された状況および不利な立場の状況に置かれた子ども(指定カーストおよび指定部族の子ども、障害のある子ども、HIV/AIDSに感染・罹患している子どもならびに子どもの庇護希望者および難民など)が、基礎的サービスにアクセスでき、かつ条約に基づく自己の権利を享受できることを確保するとともに、この目的のために十分なプログラムを採択し、かつその結果を評価すること。
33.委員会は、締約国において女子および女性に対する差別が蔓延しており、かつ、女子に対する差別を固定化する家父長制的な態度ならびに深く根づいたステレオタイプおよび慣行が根強く残っていることを深く懸念する。委員会はさらに、男子の優先および女子の不平等な地位を固定化する積年の伝統および文化的影響により、男女産み分けのための中絶、女子の嬰児殺および遺棄が依然として広く行なわれており、その結果、とくに女子に対する男子の比率が高まっていることを懸念するものである。
34.委員会は、締約国に対し、条約の規定と一致せず、かつ女子に対する差別を固定化する根本的原因、社会的および制度的規範および慣行も考慮に入れるなどして、女子および女性に対する社会的、文化的および経済的差別を防止しかつこれと闘うために、包括的なアプローチの採択および効果的かつ組織的な行動を進めるよう促す。委員会はさらに、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 第12次国家5か年開発計画にしたがい、男女比の達成目標(男子1000人に対して女子950人)の達成を確保するために緊急の措置をとること。
  • (b) 意識啓発、ならびに、女子差別につながる文化的規範および慣行を強化する諸要因への対処等の手段により、女子の嬰児殺および遺棄を防止するために法律上および政策上の即時的措置をとること。
  • (c) 男女産み分けのための中絶を防止するため、受胎前・出生前診断技術法の効果的実施を確保するとともに、規制のための機構を強化すること。
子どもの最善の利益
35.国家子ども政策(2013年)に、子どもに関連するすべての行政上および司法上の手続、政策ならびにプログラムにおける指導的原則として子どもの最善の利益の原則が編入されていることには留意しながらも、委員会は、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利が、子どもに影響を及ぼすすべての分野で、子どものためにおよび子どもとともに働いている専門家によって実際に一貫して適用されることを確保するためにとられた措置についての詳しい情報がないことを懸念する。
36.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) すべての分野で子どもの最善の利益について判断することおよび子どもの最善の利益を第一次的考慮事項として正当に重視することについての指針を、権限を有する立場にあるあらゆる関係者に対して示すための手続および基準を策定するとともに、これらの手続および基準が、裁判所、行政機関および立法機関、官民の社会福祉施設ならびに伝統的指導者および宗教的指導者ならびに公衆一般に対して普及されることを確保すること。
  • (b) この点に関わる効果的な監視および評価のための手続を確立すること。
子どもの意見の尊重
37.委員会は、子どもの社会参加を増進させるために締約国が行なっている取り組み(「子どもレポーター」イニシアチブなど)、および、自己の権利およびウェルビーイングに影響を与える民事手続への子ども参加を増進させるために締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、社会が一般的に子どもを権利の保有者と見ていないこと、ならびに、公的領域への子どもの参加、ならびに、家庭、学校、コミュニティおよび中央レベルで子どもが意見を聴かれる機会が不十分であることを懸念するものである。
38.意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)に照らし、委員会は、締約国が、条約第12条にしたがって当該権利を強化するための措置をとるよう勧告する。委員会はさらに、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) ソーシャルワーカーおよび裁判所がこの原則を遵守するようにするための制度および(または)手続を確立する等の手段により、関連の法的手続において意見を聴かれる子どもの権利を認めた法律の効果的実施を確保するための措置をとること。
  • (b) 子どもにとってもっとも重要な問題を特定し、これらの問題に関する子どもの意見を聴き、自己の生活に影響を与える家庭の決定において子どもの意見がどの程度十分に聴かれているかを明らかにし、かつ、国および地方の意思決定において子どもが現にまたは潜在的に最大の影響力を行使しうる回路を見出すための調査研究を実施すること。
  • (c) 国家的政策の策定に関する公的協議(子どもに影響を与える問題に関する子どもたちとの協議を含む)を、高い水準のインク―ジョンおよび参加を前提としながら標準化するため、このような協議のためのツールキットを開発すること。
  • (d) 女子および被害を受けやすい状況に置かれた子どもに特段の注意を払いながら、家庭、コミュニティおよび学校(学校評議会機関を含む)において、すべての子どもが意味のある形でかつエンパワーメントされながら参加することを促進するためのプログラムおよび意識啓発活動を実施するとともに、これらのプログラムおよび活動に関する定期的な事前事後の評価を確保すること。

C.市民的権利および自由(第7条、第8条および第13~17条)

出生登録
39.委員会は、締約国全域で全体として出生登録率が低いことおよび出生登録率に格差があること、ならびに、すべての者の出生登録の重要性に関する関連当局および住民の意識が不十分であることに、懸念を表明する。委員会はまた、出生登録率と出生証明書の発給件数が一致していないことも懸念するものである。
40.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう強く促す。
  • (a) 出生および死亡登録法(1969年)の改正を速やかに成立させ、出生登録を住民にとってアクセスしやすいものとし、かつ、出生の登録および出生証明書の速やかな発給の双方を保障すること。
  • (b) とくに農村地域で移動登録事務所を設置し、かつ、まだ登録されていない子どもおよび出生証明書を持たない子どもを全員登録することを目的としたキャンペーンを実施する等の手段により、出生登録率を高めるためにあらゆる必要な措置をとること。
  • (c) 定期的な大衆キャンペーンを通じ、出生登録の重要性に関する親および関連当局の意識を促進するとともに、出生登録の手続ならびに出生登録によって生じる権利および資格についての情報を提供すること。
アイデンティティに対する権利
41.委員会は、締約国の一部地域で、とくに条約第6条~9条および第19条に違反する、匿名のままの子どもの遺棄を可能とする「ゆりかご赤ちゃん受け入れセンター」が運営されていることを深く懸念する。
42.委員会は、締約国に対し、匿名のままの子どもの遺棄の慣行を終わらせ、かつ可能なかぎり早期に代替的選択肢の強化および促進を図るために、あらゆる必要な措置をとるよう促す。さらに委員会は、締約国に対し、家族計画サービス、十分なカウンセリングおよび計画していなかった妊娠に関する社会的支援を提供すること、ならびに、ジェンダーもしくは障害を理由とするまたは婚外子が受け入れられていないことによる乳児の遺棄を防止するための措置をとること等の手段により、乳児の遺棄の根本的原因に対処するための努力を強化するよう、促すものである。
国籍
43.委員会は、締約国とパキスタンとの国境地帯に位置する村落で生まれた子ども(カッチ・コミュニティに属する子どもなど)が無国籍になっていること、および、その結果、条約が対象とするすべての分野でその権利が制限されていることを懸念する。
44.委員会は、締約国に対し、条約第7条にしたがってこれらのコミュニティに属する子どもに国籍を与えるためにあらゆる必要な措置をとるとともに、無国籍者の地位に関する条約の批准を検討するよう勧告する。
思想、良心および宗教の自由
45.委員会は、締約国の憲法では宗教の自由に対する権利が保障されているものの、法律では、子どもが親と異なる宗教を選択することが認められていないことを懸念する。
46.委員会は、すべての子どもが親の宗教にかかわらず宗教の自由を享受する権利を確保するため、締約国があらゆる適切な措置をとるよう勧告する。

D.子どもに対する暴力(第19条、第24条(3)、第28条(2)、第34条、第37条(a)および第39条)

体罰
47.委員会は、すべての教育施設およびケア施設で体罰が法的に禁じられていることに留意する。しかしながら委員会は、以下のことを依然として懸念するものである。
  • (a) 教育施設における当該禁止規定が6~14歳の子どもについてしか適用されないこと。
  • (b) 施設以外のケア現場では体罰がいまなお合法的であること。
  • (c) しつけおよび規律の維持のための措置ならびに犯罪に対する刑としての体罰が締約国全域で禁止されているわけではないこと。
  • (d) 締約国の努力にもかかわらず、家庭、代替的養護の現場および学校現場ならびに行刑制度において体罰が引き続き広く用いられていること。
48.体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての一般的意見8号(2006年)およびあらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての一般的意見13号(2011年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 18歳未満の子どもに対する、すべての場面におけるすべての形態の体罰を領域全体で明示的に禁止すること。
  • (b) 体罰に対する一般的態度を変革する目的で、この慣行の有害な影響(身体的影響および心理的影響の双方)に関する包括的かつ継続的な公衆教育、意識啓発および社会的動員のためのプログラムを、子どもたち、家族、コミュニティならびに伝統的指導者および宗教的指導者の関与を得ながら導入すること。
  • (c) 子どもの不当な取扱いを行なった者に対して法的手続が組織的に開始されること、および、これらの者が適正に訴追されることを確保すること。
  • (d) 積極的な、非暴力的なかつ参加型の子育てならびにしつけおよび規律の維持を促進すること。
  • (e) 既存の苦情申立て機構を、秘密が守られ、かつ子どもにやさしいものとなることを確保する目的で強化すること。
虐待およびネグレクト
49.委員会は、締約国において、家庭、代替的養護施設、学校およびコミュニティ等における子どもの暴力、虐待(性的虐待を含む)およびネグレクトが広く蔓延していることへの多大なる懸念をあらためて表明する(CRC/C/15/Add.228、パラ50)。委員会は、以下のことを深刻に懸念するものである。
  • (a) 刑事(改正)法(2013年)上、15歳以上の既婚女子の性的虐待は犯罪とされておらず、性犯罪からの子どもの保護法(2012年)との整合性を欠いていること。
  • (b) 利用可能なデータによれば、締約国における強姦被害者の3人に1人が子どもであり、かつ、虐待者の50%が、子どもが知っている者または信頼および権威を有する立場にある者であること。
  • (c) 社会的スティグマへの恐れから、子どもの性的虐待の事案のほとんどが通報されておらず、かつ、通報された事案の訴追率に関する情報がないこと。
  • (d) 性的虐待の被害を受けた子どものための、子どもに配慮した治療および専門的検診サービスが不十分であること。
50.前回の勧告(CRC/C/15/Add.228、パラ51)にのっとり、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 18歳未満の女子に対するあらゆる形態の性的虐待(婚姻間の強姦を含む)が全面的に犯罪化されることを確保すること。
  • (b) 身体的、性的および情緒的虐待を含む子どもの虐待を防止しかつこれと闘うことを目的とした包括的な戦略を、ジェンダーの側面を考慮に入れながら立案するため、子どもたちの関与を得ながら、意識啓発および教育を目的としたプログラムおよびキャンペーンをさらに強化しかつ促進すること。
  • (c) 性的虐待およびあらゆる場面(とくに学校)における体罰をとくに重視しながら、子どもに対する暴力のあらゆる事案に関する国家的データベースを設置するとともに、このような暴力の程度、原因および性質に関する包括的評価を行なうこと。
  • (d) 子どもの性的虐待のあらゆる事案が義務的に通報されることを確保するための機構、手続および指針を確立するとともに、加害者の適正な捜査、訴追および処罰を確保するためにあらゆる必要な措置をとること。
  • (e) 子どもの性的虐待を防止し、かつ性的虐待被害者に対するスティグマに対処するための意識啓発活動を実施するとともに、アクセスしやすく、かつ子どもにやさしい効果的な通報制度を整備すること。
有害慣行
51.委員会は、児童婚禁止法(2006年)が制定されたにもかかわらず、締約国において児童婚が広く蔓延していることを深く懸念する。委員会は、同法の全面的実施を妨げる障壁(社会的規範および伝統の蔓延、それぞれの宗教的コミュニティに適用される独自の最低婚姻年齢を定めた種々の人事法の存在、ならびに、同法に関する法執行官の意識の欠如)について懸念を覚えるものである。委員会はまた、ダウリーおよびデーヴァダーシーの慣行など、女子にとって害となるその他の有害慣行が蔓延していることも懸念する。
52.委員会は、締約国に対し、同法が宗教上のさまざまな人事法に優越することを強調する等の手段により、児童婚禁止法(2006年)の効果的実施を確保するよう促す。委員会はまた、締約国が、女子の健康およびウェルビーイングにとって有害な児童婚を防止する目的で、態度の変革ならびにカウンセリングおよびリプロダクティブヘルス教育の開始を目的として意識啓発プログラムおよびキャンペーンを実施する等の手段により、ダウリーの要求、児童婚およびデーヴァダーシーの慣行と闘うために必要な措置をとることも勧告するものである。
ヘルプライン
53.委員会は、締約国が、チャイルドライン・インド財団と連携しながら子どものための24時間ヘルプラインを運営していることに留意する。しかしながら委員会は、当該ヘルプラインが国レベルですべての子どもにとってアクセスできるものになっていないことを懸念するものである。
54.委員会は、締約国が、国、州および県のレベルですべての子どもが24時間ヘルプラインを無償で利用できることを確保するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、ヘルプラインへのアクセス方法に関する子どもたちの意識を高め、サービスの効果的運用のために必要な人的資源、技術的資源および財源を提供し、かつ、助言およびカウンセリング、付託サービスに関する情報ならびに必要な場合の救出活動を含むフィードバックを確保するよう、勧告するものである。

E.家庭環境および代替的養護(第5条、第9~11条、第18条(1および2)、第20条、第25条および第27条(4))

家庭環境を奪われた子ども
55.親が乳幼児のケアを改善できるようにすることを意図した国家乳幼児期ケア・教育政策(2013年)は歓迎しながらも、委員会は、その実施がまだ開始されていないことを懸念する。委員会はさらに、子どもの養育義務の履行にあたって親および家族を支援するための国家的な戦略およびプログラムが存在しないこと、ならびに、家族カウンセリングおよび子育て支援のためのプログラムが存在しないことにより、家庭における子どものネグレクト、不適切な取扱いおよび虐待のリスクが高まっていることを懸念するものである。委員会は、代替的養護制度を向上させようとする締約国の努力には留意するものの、締約国において、いまなお家庭を基盤とする養護ではなく施設措置が支配的であることを懸念する。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。
  • (a) ニーズを有している子ども、サービスを提供されている子どもおよび種々の形態の代替的養護を受けている子ども、親および親族養育者のための支援サービス、子どもの遺棄、ネグレクトおよび虐待ならびにとられた措置(立法措置を除く)についての細分化されたデータが存在しないこと。
  • (b) 里親および親族養育者のアセスメント、選抜、研修、報酬および監督、養護を受けている子どもに関する再審査手続、ならびに、子どもホームの認証、最低要件および監督ならびに公的養護を受けている子ども(国、民間、NGOまたは教会が運営する施設に措置されている子どもを含む)のための苦情申立て機構についての情報が存在しないこと。
56.子どもの代替的養護に関する指針(総会決議64/142付属文書)を想起しつつ、委員会は、金銭的もしくは物質的貧困またはこのような貧困を直接の原因とする環境が、子どもを親による養育から分離することの唯一の正当化事由とされるべきではないことを強調する。委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 親のための十分な支援サービスを確立するとともに、子育てのスキルに関する意識啓発プログラムおよび研修プログラム(体罰に代わる手段についてのものを含む)を採択しかつ実施すること。
  • (b) 子どもの施設措置を少なくする目的で、可能な場合には常に家庭を基盤とする養護を支援しかつ促進するとともに、代替的養護を受ける子どもの親族養育および里親養育の制度を確立すること。
  • (c) 子どもを代替的養護の対象とするべきか否かの判断に関する、子どものニーズおよび最善の利益を基礎とした十分な保障措置および明確な基準を確保すること。
  • (d) 里親養育および施設への子どもの措置が第三者により定期的に再審査されることを確保するとともに、子どもの不適切な取扱いおよび虐待に関する通報、監視および救済のためのアクセスしやすい回路を提供することなどにより、当該措置における養育の質を監視すること。
  • (e) 施設入所児のリハビリテーションおよび社会的再統合の質を可能なかぎり最大限に高める目的で、代替的養護施設および関連の子ども保護サービスに十分な人的資源、技術的資源および財源が配分されることを確保すること。
養子縁組
57.委員会は、「子どもの養子縁組を規律する指針」(2011年)が出されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。
  • (a) 締約国において養子縁組が非公式に行なわれ続けており、かつ養子縁組手続の監督が行なわれていないこと。
  • (b) 養子縁組に関して異なる法律が効力を有しており、かつこれらの法律の間に矛盾があること、および、養子縁組行為の完結との関連で少年司法(子どもの養護および保護)改正法(2006年)に法的抜け穴があること。
  • (c) 民族的および宗教的つながりに関わらない、子どもおよび家族一般の養子縁組に関する法律がないこと。
  • (d) まだ適正に規制されていない代理出産の商業的利用が広く行なわれており、子どもの売買および子どもの権利侵害につながっていること。
58.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 養子縁組に関する法律を、子どもの権利条約および国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)に一致させる目的で見直すこと。
  • (b) 「子どもの養子縁組を規律する指針」(2011年)の効果的実施を確保し、直接または仲介者として養子縁組に対応しているすべての個人および機関の効果的な監視機構および認証制度を確立し、これらの個人および機関の数の制限を検討し、かつ、国内および国際養子縁組の手続がいかなる当事者にとっても金銭的利得をもたらさないことを確保すること。
  • (c) 養子縁組の過程全体を通じて子どもの最善の利益が最高の考慮事項とされ、かつ、子どもの意見が、その年齢および成熟度を正当に考慮しながら、最大限可能な範囲で考慮に入れられることを確保すること。
  • (d) 生殖補助医療(規制)法案(2013年)およびそれに続くその他の法律に、代理出産の斡旋の定義、規制および監視について定めた規定が掲げられることを確保するとともに、不法な養子縁組を目的とする子どもの売買(代理出産の不適切な利用を含む)を犯罪化すること。締約国は、不法な養子縁組に関与したすべての者に対して対応がなされることを確保するべきである。
親が収監されている子ども
59.委員会は、6歳未満の子どもは刑務所で母親とともに暮らせること、および、締約国が最近、受刑者の子どもに金銭的援助を行なう制度を導入したことに留意する。しかしながら委員会は、親に刑を言い渡すときを含めて、子どもの最善の利益が常に考慮されているわけではないことを懸念するものである。
60.委員会は、親に刑を言い渡す際には子どもの最善の利益が第一次的に考慮されるべきであること、および、親が子どもから分離されることにつながる刑は可能なかぎり回避されるべきであることを勧告する。委員会はまた、子どもが収監されている親とともに暮らすべきか否かを決定する際、締約国が、子どもの最善の利益を正当に考慮することも勧告するものである。その際、刑務所に関わる全般的環境および乳幼児期における親子の接触の特別な必要性に対する正当な配慮が全面的に考慮されるべきであり、かつ司法審査の選択肢も認めることが求められる。

F.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条(3)、第23条、第24条、第26条、第27条(1~3)および第33条)

障害のある子ども
61.委員会は、親による障害児の遺棄率が高いことを深く懸念する。委員会はさらに、障害のある子どもを対象としたプログラムの計画および実施に際して関連省庁間の調整が行なわれていないこと、および、障害のある子どもに対する締約国のアプローチにおいて、もっぱら施設ケアおよび医学的治療が中心に位置づけられていることを懸念するものである。
62.条約第23条および障害のある子どもの権利についての委員会の一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、障害に対して人権基盤型アプローチをとるよう促すとともに、具体的には以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約のあらゆる規定および成果測定のための指標を統合した、障害のある子どものための国家的行動計画を策定するとともに、その実施に関して関連省庁間の効果的な調整を確保すること。
  • (b) 障害のある子どもの遺棄の防止を目的として、障害のある子どもの親を支援するために十分な人的資源、技術的資源および財源を配分すること。
  • (c) 障害のある子どもが条約に掲げられた権利(教育、保健ケアおよび社会サービスへのアクセスを含む)を全面的に享受できることを確保するために十分な措置をとること。
  • (d) 締約国全域で障害のある子どもに対する差別を防止しかつ解消することを目的として、障害のある子ども、公衆一般および特定の専門家集団を対象とした意識啓発キャンペーンおよび教育キャンペーンを実施すること。
健康および保健サービス
63.委員会は、締約国に、子どもの健康および保健サービスへの子どものアクセスを向上させるためのさまざまな政策およびプログラムが存在することに留意する。しかしながら委員会は、都市部と農村部との間に保健サービスの質および保健サービスへのアクセスに関する格差が根強く残っていること、ならびに、締約国が保健サービスの提供をますます民間セクターに依存するようになっていることを、深く懸念するものである。委員会はまた、住民にとって保健サービスの費用が高いこと、および、提供されるサービスの質の規制が行なわれていないことも懸念する。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。
  • (a) 新生児死亡率が高く、かつ、締約国で毎年死亡している140万人の5歳未満児の50%が新生児であること。
  • (b) 締約国が行なっているさまざまな取り組みにもかかわらず妊産婦死亡率が高く、かつ、15~49歳の女性の55.3%が、子どもの出生時の低体重につながる貧血症を有していること。
  • (c) 子ども(とくに5歳未満児)の間で、妊産婦の栄養不良および貧血ならびに乳幼児に対する不十分な栄養の与え方と密接に関係している慢性的栄養不良(発育阻害)、消耗症(急性栄養不良)および低体重が高い水準で生じていること。
  • (d) 生後6月未満の子どものうち46%しか完全母乳育児の対象とされておらず、かつ生後1時間以内に母乳を与えられる子どもはわずか24%にすぎないこと。この状況は、調製粉乳が利用されていること、および、これに関連して乳児の健康状態に悪影響が生じていることをうかがわせるものである。
  • (e) 予防接種率の向上が芳しくなく、かつ、予防接種を完全に受けているのは子どもの21%にすぎないこと。
  • (f) 急性呼吸器感染症、下痢性疾患および熱病(マラリアに関連する熱病を含む)などの感染症が子どもの間で蔓延しており、いずれもが子どもの罹患および死亡の主たる原因となっていること。
  • (g) とくに農村部において安全な水、公衆衛生設備および個人衛生のための便益へのアクセスが不十分であり、これにともなって、屋外排泄が広く行なわれており、かつそのために子どもの健康に悪影響が生じていること(下痢性疾患による5歳未満児の死亡の約88%はこれらの要因に関連したものである)。
64.到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 保健サービスへのアクセスおよび保健サービスの負担可能性を向上させるために民間セクターとのパートナーシップを確立し、かつ民間セクターが提供するサービスを規制する等の手段により、保健サービスへのアクセスおよび保健サービスの質に関して祖存在している格差に緊急に対処するための努力を強化すること。
  • (b) 子どもの健康状況を向上させるための、とくに急性呼吸器感染症、栄養不良および下痢性疾患の高い発生率に対応するための具体的な母子保健ケア政策、プログラムおよび制度に特段の注意を払いながら、保健部門に適切な資源が配分されることを確保すること。
  • (c) 子どもの低栄養と闘うための規定を含む国家食料安全保障法(2013年)の効果的実施を確保すること。
  • (d) 完全母乳育児の実践(出生時からの授乳を含む)、補完食の与え方(固形食による補完の有無を問わない)および母親のための微量栄養素補給支援を促進するための努力を増進させ、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」(WHO、1981年)の効果的実施およびその遵守を確保し、当該基準の違反を特定するために監視および通報のシステムを整備し、かつ、当該基準の違反が行なわれたあらゆる状況(調製粉乳の販売促進および配布に関与している民間企業による、調製粉乳のサンプルおよび宣伝資料の広報および配布を含む)に対して厳格な措置をとること。
  • (e) すべての子どもの完全予防接種を確保すること。
  • (f) 屋外排泄の慣行が有する健康上のリスクに関して公衆一般を対象とした意識啓発キャンペーンを実施し、とくに農村部および最貧困地域で安全な水および衛生設備へのアクセスを確保するための措置をとり、かつ、安全な水源の改善に投資すること。
  • (g) この点に関してとくにユニセフおよび世界保健機関(WHO)との技術的協力を強化すること。
思春期の健康
65.委員会は、締約国が思春期のリプロダクティブ/セクシュアルヘルスに関する戦略を採択したことに留意する。しかしながら委員会は、国全体におけるその実施およびそれが思春期の子どもの健康に及ぼした影響についての情報が乏しいことを懸念するものである。委員会は、締約国において、思春期の女子がセクシュアル/リプロダクティブヘルスに関する情報およびサービス(現代的な避妊手段を含む)にアクセスできておらず、かつその結果として10代の妊娠率が高いこと、ならびに、女性の不妊手術および安全性を欠いた中絶が広く行なわれていることを、深刻に懸念する。
66.思春期の健康に関する一般的意見4号(2003年)を参照しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 思春期のリプロダクティブ/セクシュアルヘルスに関する戦略が効果的に実施されること、ならびに、セクシュアル/リプロダクティブ教育が、若年妊娠および性感染症の予防にとくに注意を払いながら、学校の必修カリキュラムの一部とされ、かつ思春期の女子および男子を対象として行なわれることを確保すること。
  • (b) 思春期の女子および男子が、セクシュアル/リプロダクティブヘルスについての秘密が守られる情報およびサービス(現代的避妊法および女子のための合法的中絶など)に実際に効果的にアクセスできることを確保するための措置をとること。これとの関係で、締約国は、中絶に関する決定において妊娠している10代女子の意見が常に聴かれかつ尊重されることを保障するべきである。
  • (c) 男子および男性にとくに注意を払いながら、責任のある親としてのあり方および性的行動についての意識を高め、かつそのようなあり方および行動を促進するための措置(ライフスキルへのアクセスおよび有害物質濫用の防止を含む)をとること。
HIV/AIDS
67.委員会は、「子どもとAIDSに関する政策枠組み」が2007年に採択されたことに留意する。しかしながら委員会は、手役国のHIV/AIDS感染者の相当数が子どもであること、および、これらの子どもに対する抗レトロウィルス薬の供給に関する情報がないことを懸念するものである。委員会はまた、出産前ケアサービスの対象範囲ならびにカウンセリングおよび検査へのアクセスが限られていることから、HIV陽性である多数の妊婦が特定されておらず、そのため子どもの感染リスクが高まっていることも懸念する。
68.HIV/AIDSと子どもの権利に関する一般的意見3号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 2006年以来保留のままとなっているHIV/AIDS法案を採択するとともに、同法に、HIV/AIDSに感染した子どものニーズに条約にのっとって対応する具体的規定が掲げられることを確保すること。
  • (b) HIV/AIDSの母子感染を予防するためにとられている措置を維持するとともに、効果的な予防措置の実施を確保するためのロードマップ(行程表)を策定すること。
  • (c) 早期診断および早期の治療開始を確保するため、HIV/AIDSに感染した母親およびその乳児のフォローアップ治療を向上させること。
  • (d) 良質なかつ年齢にふさわしいHIV/AIDS関連およびセクシュアル/リプロダクティブヘルス関連の保健サービスへのアクセスを向上させること。
  • (e) HIVに感染した妊婦および子どもを対象とした、抗レトロウィルスによる治療および予防法へのアクセスおよびその提供範囲を向上させること。
  • (f) この目的のため、とくに国際連合合同エイズ計画(UNAIDS)およびユニセフとの技術的協力を強化すること。
生活水準
69.委員会は、締約国における国内総生産(GDP)の増大にもかかわらず、貧困線以下で生活している人々の割合が高いことを懸念する。委員会は、都市部および農村部のいずれにおいても子どもの貧困が蔓延していること、ならびに、子どもの生活水準に大きな格差があり、不利な立場および周縁化された状況に置かれた子どもがとりわけ脆弱な状態にあることを懸念するものである。
70.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 貧困と闘うためにあらゆる必要な措置をとること。
  • (b) とくに、とりわけ貧困に陥りやすい状況にある子どもおよび家族のための社会的保護および対象特化型プログラムを通じて、子どもの生活水準に関する都市部/農村部の格差、社会的格差ならびにカーストおよび部族に基づく格差を解消するため、あらゆる必要な措置をとること。
  • (c) 第12次国家5か年開発計画に掲げられている子どもの権利充足のための戦略および措置を強化する目的で、子どもの貧困の問題に焦点を当てた協議を、家族、子どもたちおよび子どもの権利に関わる市民社会組織との間で持つことを検討すること。

G.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条、第30条および第31条)

教育(職業訓練および職業指導を含む)
71.委員会は、無償の義務教育に対する子どもの権利法(2009年)が採択されたこと、および、第1学年における子どもの就学率がほぼ100%に達していることを歓迎する。しかしながら委員会は、とくに指定カーストおよび指定部族出身の子どもならびに女子の脱落率が高いことを懸念するものである。委員会はまた、通学していない子どもが多数にのぼること、第5学年における脱落率が高いこと、計算能力および識字能力が貧弱であること、教育の質が低いこと、ならびに、資格のある教員および教室が不足していることも懸念する。
72.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) とくに無償の義務教育に対する子どもの権利法(2009年)にのっとって学校開発計画を策定する等の手段により、連邦および州のレベルで同法を全面的に実施するための努力を強化すること。
  • (b) とくに州レベルおよび農村部において、教育の質を向上させ、かつ教員を対象として十分な研修を実施するために必要な措置をとること。
  • (c) 全国の学校カリキュラムに子どもの権利教育を導入すること。
  • (d) 周縁化された状況に置かれている子どもに対して教室の後ろに座るよう強要することなど、教育現場で行なわれているさまざまな差別的慣行に対応すること。
  • (e) 就学準備および乳幼児期教育プログラムの拡大を向上させること。
  • (f) 高い脱落率を下げるための具体的プログラムをさらに採択するとともに、通学していない子ども、児童労働者、不利な立場および周縁化された状況に置かれた子どもならびに女子が、教育に対する自己の権利を行使するにあたって支援および援助を与えられることを確保すること。
  • (g) 効果的な計画立案および対応のために、通学していない子どもを追跡するためのデータ情報システムを向上させ、質および学習の成果を測定し、かつ教育に関するデータと子どもの保護に関するデータの関連づけを図ること。
  • (h) 思春期の子どもによる中等教育へのアクセスを増進させるための措置をとるとともに、学校から脱落した子どもを対象とした、子どものスキル増進のための良質な職業訓練を促進すること。
73.委員会は、国以外の武装集団による学校施設への攻撃および治安部隊による学校の占拠について深刻な懸念を表明する。
74.委員会は、締約国に対し、あらゆる手段を用いて学校、教員および子どもを攻撃から保護するとともに、攻撃および暴力からの学校の保護を向上させるための措置の策定にコミュニティの関与を得るよう促す。委員会はまた、締約国に対し、治安部隊による学校の選挙を禁止し、かつ、必要に応じ、損した学校の再建および修理を緊急に進めることも促すものである。
乳幼児期の発達
75.国家乳幼児期ケア・教育政策が2013年9月に採択されたことには評価の意とともに留意しながらも、委員会は、無償の義務教育に対する子どもの権利法(2009年)において乳幼児期のケアおよび教育の提供が要求されていないこと、および、前掲政策がまだ実施されていないことを懸念する。
76.委員会は、0~6歳のすべての子どもに対して普遍的なかつ質の高い乳幼児期教育およびケアサービスを確保する目的で、国家乳幼児期ケア・教育政策にのっとり、乳幼児期のケアおよび教育を、教育制度の一環として無償の義務教育に対する子どもの権利法に編入するとともに、すべてのレベルにおける同政策の実施のために十分な資源を配分するよう、勧告する。

H.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)、第38~40条)

子どもの庇護希望者および難民
77.委員会は、難民が長期査証および就労許可を申請できるようにする決定ならびにヒンズー教徒およびシーク教徒の難民による市民権取得手続を簡略化する決定など、締約国がとったいくつかの措置を歓迎する。しかしながら委員会は、たとえば言語上の障壁のためにサービスへのアクセスに関して子どもの庇護希望者および難民が苦境に直面しており、子どもの庇護希望者および難民が、教職員および同級生による学校での差別および保健サービス施設での差別を受けており、かつ、差別的態度のために公共空間で遊ぶ権利を制限されているという報告があることを懸念するものである。委員会はさらに、ミャンマーから来たロヒンギャ人庇護希望者(子どもを含む)の、締約国への不法入国を理由とする収容が常態化していることを懸念する。
78.出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いについての一般的意見6号(2005年)にのっとり、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 保護を必要とする子ども、とくに保護者のいない子どもの難民および庇護希望者を特定しかつ援助する目的で、子どもの保護のために現在設けられている制度(子ども保護統合制度を含む)を強化すること。
  • (b) 子どもの難民および庇護希望者に対し、社会的障壁およびこれらの子どもに対する差別を解消するための措置をとる等の手段により、教育および保健ケアへのアクセスを保障すること。
  • (c) 収容されている子どもの難民および庇護希望者を放免し、かつこれらの子どもが国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)にアクセスできるようにすること、保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもならびに子どもの難民および庇護希望者が締約国への不法入国/締約国における不法滞在を理由として収容されないことを確保すること、ならびに、これらの子どもに対し、庇護を求める権利および庇護手続が完了するまで締約国に滞在する権利を付与すること。
  • (d) 子どもの難民および庇護希望者をUNHCRに付託するための適正な付託制度を内務省のもとに設置し、かつ、このような子どもの迅速な特定および付託を促進するための標準運用手続を策定すること。
  • (e) 難民の地位に関する1951年条約およびその1967年議定書への加入を検討すること。
宗教的マイノリティ、指定カーストおよび指定部族に属する子ども
79.委員会は、宗教的マイノリティ、指定カーストおよび指定部族の不平等に対処し、かつその生活条件ならびに教育、保健サービスおよび社会サービスへのアクセスを向上させるために締約国が行なっている取り組みにもかかわらず、これらの集団に属する多数の子どもが条約上の多くの権利を奪われ続けていることを、深刻に懸念する。
80.委員会は、締約国に対し、すべての子どもが、その宗教的背景にかかわらず、または子どもが指定カーストもしくは指定部族の出身か否かを問わず、条約に掲げられた全範囲の権利を享受できることを確保するための努力を強化するよう促す。
経済的搾取(児童労働を含む)
81.委員会は、締約国が行なった若干の努力にもかかわらず、危険な条件下における児童労働(採鉱業、家事労働者のようなインフォーマル部門での債務労働および農業におけるものなど)を含む経済的搾取に、いまなお多数の子どもが関与させられている旨の懸念をあらためて表明する(CRC/C/15/Add.228、パラ72)。
82.前回の勧告(CRC/C/15/Add. 228、パラ73)にのっとり、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 児童労働(禁止および規制)改正法案(2012年)を速やかに採択するとともに、児童労働に関与した個人に対する制裁を含む、あらゆる形態の児童労働の防止および根絶のための包括的戦略を策定すること。このような戦略には、児童労働(そのほとんどは家事労働のようなインフォーマル部門で生じているが、危険な労働にあたる採鉱場および採石場での労働でも生じている)の態様および手度に関するデータベースの設置も含むものとする。
  • (b) 国際労働機関(ILO)の、就労のための最低年齢に関する第138号条約、最悪の形態の児童労働の禁止および撲滅のための即時的行動に関する第182号条約ならびに家事労働者の適切な仕事に関する第189号条約の批准を検討すること。
  • (c) これとの関連で、ILO・児童労働撤廃国際計画との技術的協力を発展させること。
路上の状況にある子ども
83.委員会は、締約国の「ストリートチルドレンのための統合プログラム」の利益を多くの子どもが享受してきたことに留意する。しかしながら委員会は、締約国において路上の状況にある子どもが多数にのぼることに鑑みて同プログラムの効果が限定的であること、および、これらの子どもの多くが被害者とみなされるのではなく犯罪者として扱われていることを、深く懸念するものである。
84.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 路上の状況にある子どもの現状に関する体系的な評価に基づき、かつこれらの子どもたち自身の積極的関与を得ながら、この現象を防止しかつ少なくする目的でその根本的原因に対処するための包括的政策を策定しかつ実施すること。
  • (b) 路上の状況にある子どもを犯罪者として扱わないようにすること。
  • (c) NGOとの調整を図りながら、路上の状況にある子どもに対して必要な保護(家庭環境、十分な保健ケアサービス、社会サービスおよび通学の便宜を含む)を提供するとともに、この目的のために必要な人的資源および財源を配分すること。
  • (d) 子どもの最善の利益に合致する場合、家族再統合プログラムを支援すること。
売買、取引および誘拐
85.委員会は、「人身取引の防止ならびに商業的性的搾取を目的とする人身取引の被害者の救出、リハビリテーション、再統合および補償に関する包括的計画」が2007年12月に採択されたことに留意する。しかしながら委員会は、子どもの国内人身取引が高い水準で行なわれていること、ならびに、締約国が、労働および性的搾取(セックスツーリズムおよび児童ポルノを含む)を目的とする子どもの人身取引の送り出し国、目的地国および通過国になっていることを懸念するものである。委員会は、締約国において、子どもが物乞い、婚姻および不法な養子縁組のために人身取引の対象とされているという報告があることを懸念する。委員会は、子どもの売買、取引および誘拐に対処するための効果的措置がとられていないこと、ならびに、これらの活動に関するデータがないことに懸念を表明するものである。
86.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの売買、取引および誘拐に関する包括的かつ体系的なデータ収集機構を設置するとともに、もっとも被害を受けやすい状況に置かれた子どもに特段に注意を払いながら、当該データがとくに性別、年齢、国民的および民族的出身、州または自治地域、農村部または都市部における居住、先住民族としての地位および社会経済的地位別に細分化されることを確保すること。
  • (b) 国内人身取引および国際的人身取引の双方の危険性について親および子どもが認識できるようにするための意識啓発活動を実施すること。
  • (c) 二国間および多国間の協定を締結すること等も通じ、国の枠を超えてで子どもの人身取引と闘うための南アジア諸国との協力をさらに強化すること。
少年司法の運営
87.委員会は、締約国全域の660県のうち608県で少年司法委員会が設置されていること、および、刑事責任に関する最低年齢を18歳と定める少年司法規則が2007年に出されたことなど、少年司法制度を強化するために締約国が行なった努力に留意する。しかしながら委員会は、刑事責任に関する最低年齢がいまなお刑法で7歳とされており、これによって少年司法規則の適用が排除されることを深刻に懸念するものである。委員会はまた、以下のことも懸念する。
  • (a) 少年司法規則(2007年)で、締約国が刑事責任に関する最低年齢の引き下げを計画していると述べられていること。
  • (b) 少年司法委員会で働く職員の、法律に抵触した子どもが関わる事件を扱うための知識、感受性および能力がきわめて限られており、かつ、これらの委員会が十分に監督されていないこと。
  • (c) 法律に抵触した子どもに関するデータを収集するための情報管理システム、処理が終了していない事件にかけられる時間、委員会の全般的運用(委員会が発する命令の性質および質を含む)ならびに特別少年警察部の役割および運用が不十分であること。
  • (d) 鑑別ホーム(調査が完了するための一時的受け入れを目的とするもの)および特別ホーム(刑を言い渡された子どもを対象とするもの)において、法律に抵触した子どもが年齢にふさわしい形で分離されておらず、かつ、法律に抵触した子どもが保護を必要とする子どもとともに収容される場合があること。
88.委員会は、締約国に対し、少年司法制度を、条約(とくに第37条、第39条および第40条)、その他の関連基準および少年司法における子どもの権利についての委員会の一般的意見10号(2007年)と全面的に一致させるよう促す。とくに委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。
  • (a) 刑事責任に関する最低年齢を18歳と定めた少年司法規則(2007年)を実施するとともに、国際的に受け入れられる水準に当該最低年齢を維持すること。
  • (b) 少年司法委員会に対して十分な人的資源、技術的資源および財源を提供し、子どものための専門裁判官を指定し、かつ、これらの専門裁判官が適切な教育および研修を受けることを確保すること。
  • (c) 法律に抵触した子どもに対し、手続の早い段階でかつ法的手続全体を通じて、資格のある、独立した、無償のまたは補助がある弁護士およびその他の適切な専門家による援助が提供されることを確保すること。
  • (d) 必要なときは常に、ダイバージョン、保護観察、調停、カウンセリングまたは地域奉仕のような拘禁に代わる措置を促進するとともに、拘禁が最後の手段としてかつ可能なもっとも短い期間で用いられること、および、拘禁がその取消しを目的として定期的に再審査されることを確保すること。
  • (e) 拘禁が必要なときは、鑑別ホームおよび特別ホームにおいて年齢にふさわしい形での子どもの分離を確保するとともに、法律に抵触した子どもが保護を必要とする子どもまたは成人とともに収容されないこと、および、拘禁環境において国際基準が遵守されること(教育および保健サービスへのアクセスとの関連を含む)を確保すること。
  • (f) この目的のため、少年司法に関する機関横断パネルおよびその構成機関(国際連合薬物犯罪事務所(UNODC)、ユニセフ、OHCHRおよびNGOを含む)が開発した技術的援助ツールを活用するとともに、少年司法の分野で同パネルの構成機関の技術的援助を求めること。

I.国際人権文書の批准

89.委員会は、締約国が、通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書など、まだ加盟国となっていない中核的人権文書を批准するよう勧告する。

J.地域機関および国際機関との協力

90.委員会は、締約国が、とくに東南アジア諸国連合(ASEAN)・女性および子どもの権利の促進および保護に関する委員会と協力するよう勧告する。

K.フォローアップおよび普及

91.委員会は、締約国が、この総括所見に掲げられた勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、第3回・第4回統合定期報告書、締約国の文書回答およびこの総括所見を同国の言語で広く入手できるようにすることも勧告するものである。

L.次回報告書

92.委員会は、締約国に対し、第5回・第6回統合定期報告書を2020年7月15日までに提出し、かつ、この総括所見のフォローアップに関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。報告書は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)にしたがうべきであり、かつ21,200語を超えるべきではない(総会決議68/268、パラ16参照)。定められた語数制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲決議にしたがって報告書を短くするよう求められることになる。締約国が報告書を見直しかつ再提出することができないときは、条約機関による検討を目的とした報告書の翻訳は保障できない。
93.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された調和化報告ガイドライン(HRI/GEN/2/Rev.6, chap. I)の共通コアドキュメントに関する要件にしたがい、最新のコアドキュメントを提出することも慫慂する。共通コアドキュメントの語数制限は、総会が決議68/268(パラ16)で定めたとおり、42,400語である。


  • 更新履歴:ページ作成(2017年1月19日)。