総括所見:インド(OPAC・2014年)


CRC/C/OPAC/IND/CO/1(2014年7月7日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2014年6月2日および3日に開かれた第1885回および第1836回会合(CRC/C/SR.1885 and 1886参照)においてインドの第1回報告書(CRC/C/OPAC/IND/1)を検討し、2014年6月13日に開かれた第1901回会合において以下の総括所見を採択した。

I.序

2.委員会は、締約国の第1回報告書および事前質問事項に対する文書回答((CRC/C/OPAC/IND/Q/1/Add.1)の提出を歓迎するとともに、締約国の多部門型代表団との間に持たれた建設的対話を評価する。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、2014年6月13日に採択された、子どもの権利条約に基づく締約国の第3回・第4回統合定期報告書についての総括所見(CRC/C/IND/CO/3-4)および子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書に基づく第1回報告書についての総括所見(CRC/C/OPSC/IND/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

II.一般的所見

積極的側面
4.委員会は、締約国が、 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、銃器ならびにその部品および構成部分ならびに弾薬の不正な製造および取引の防止に関する議定書を批准したこと(2011年5月)を歓迎する。
5.委員会は、選択議定書の実施に関連する分野でとられたさまざまな積極的措置、とくに少年司法(子どものケアおよび保護)改正法(2006年)およびジャンムーカシミール州少年司法(子どものケアおよび保護)改正法(2013年)の採択を歓迎する。

III.実施に関する一般的措置

立法
6.委員会は、締約国の法域における選択議定書の法的地位に関する情報がないことを懸念する。
7.委員会は、締約国が、選択議定書の規定を国内法に編入するためにあらゆる必要な法的措置をとるよう勧告する。
宣言
8.委員会は、選択議定書の批准時に締約国が行なった宣言によれば、「新兵予定者をインド軍(陸軍、空軍および海軍)に採用するための最低年齢は16歳である。入隊および必須訓練期間後、能力を証明された軍隊要員は、18歳に達した後に初めて作戦地域に派遣される」ことに留意する。
9.委員会は、締約国に対し、宣言を撤回し、かつ軍隊への採用に関する最低年齢を18歳と定めるよう促す。
調整
10.女性・子ども発達省が内務省および国防省と協力しながら選択議定書の実施の調整を担当していること、ならびに、その他の関連省庁、州政府機関および非政府組織との間で選択議定書の実施を調整するために国家調整グループが設置されたことには留意しながらも、委員会は、会合の開催頻度が少ないことを懸念する。
11.委員会は、締約国が、議定書の全面的実施を確保するため、女性・子ども発達省およびその他の関連機関の調整を強化するよう勧告する。
資源配分
12.委員会は、締約国も報告書で認めているように子どもの保護のために予定されている予算配分額がきわめて低いこと、および、選択議定書を実施するための活動のためにとくに使途を指定された予算配分が行なわれていないことを懸念する。
13.委員会は、締約国が、国、広域行政圏および地区のレベルで選択議定書のあらゆる分野を効果的に実施するために十分なかつ対象の明確な資源が配分されることを確保するよう勧告する。
普及および意識啓発
14.委員会は、関連の中央政府省庁、州政府および連邦直轄地の行政機関を含むさまざまな機関に対して選択議定書が普及されていることを歓迎する。にもかかわらず、委員会は、一般公衆の間で選択議定書に関する意識が低く、かつ、とくに動乱発生地区において、公衆、子どもならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家ならびに地方の公的機関の間で選択議定書の関連規定を普及するための努力が不十分であることを懸念するものである。
15.選択議定書第6条第2項に照らし、委員会は、締約国が、とくに動乱発生地区において、選択議定書の原則および規定が公衆、子ども、教員ならびに中央および地方の関連公的機関の間で広く普及されることを確保するよう勧告する。
研修
16.委員会は、関連の職種の専門家、とくに軍隊、警察および少年司法要員が選択議定書の規定に関する十分な研修を受けていないことを懸念する。
17.委員会は、締約国が、関連のすべての専門家集団、とくに中央準軍事部隊を含む軍、国際平和維持軍の構成員、中央武装警察部隊、州警察部隊(特別警察官および村落防衛委員会を含む)、裁判官、ソーシャルワーカー、教員、メディア専門家および議員を対象とする人権研修を強化するとともに、選択議定書の規定に関する具体的研修を実施するよう勧告する。
データ
18.委員会は、選択議定書が対象とする分野のほとんどについてデータおよび統計が存在しないことに、懸念とともに留意する。
19.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 選択議定書が対象とするすべての分野についてデータ収集、分析、監視および影響評価を行なう包括的なシステムを発展させかつ実施すること。
  • (b) データが、もっとも被害を受けやすい立場に置かれた集団の子どもに特段の注意を払いながら、性別、年齢、国民的および民族的出身、州または準州、農村部または都市部の居住、先住民族としての地位ならびに社会経済的地位の別に細分化されることを確保すること。
  • (c) 収集されたデータを分析し、かつ選択議定書を実施するための政策の立案およびその目標に向けて達成された進展の評価の基礎として活用すること。
  • (d) この点に関して、国際連合児童基金(UNICEF)を含む国際連合の機関および計画の援助を求めること。

IV.防止

年齢確認手続
20.委員会は、軍隊、警察部隊およびその他の準軍事部隊に入隊予定の新隊員の年齢を確認する効果的な機構が設けられていないことを懸念するとともに、締約国における出生登録率の低さによってこの問題が悪化していることに留意する。とくに委員会は、公的出生証明書が存在しないときは、軍隊、警察部隊およびその他の準軍事部隊への採用が、推定の生年月日を記載した在学証明書を根拠に行なわれる場合があることを懸念するものである。
21.委員会は、締約国に対し、軍隊への子どもの採用を効果的に防止する目的で、新隊員の年齢が一貫した形でかつ効果的に確認されることを確保するよう促す。さらに、締約国は、すべての子どもが出生時に登録されることを確保するためにあらゆる必要な措置をとるべきである。
国以外の武装集団による子どもの徴募の防止
22.委員会は、18歳未満の子どもがさまざまな国以外の武装集団によって徴募され、かつ北東部諸州の動乱発生地区、毛派の武装集団が展開している地域およびジャンムーカシミール州において敵対行為で使用されている現象について深く懸念する。委員会はさらに、動乱発生地区において国以外の武装集団が社会の貧困層および周縁化されている層の家族の子どもを強制的に徴募していることを懸念するものである。
23.委員会は、締約国に対し、国以外の武装集団による18歳未満の子どもの徴募および敵対行為における使用を禁止しかつ犯罪化する法律を迅速に制定するよう促す。委員会はさらに、締約国に対し、動乱発生地区で国以外の武装集団が行なっている、社会の貧困層および周縁化されている層の家族の子どもの強制的徴募を防止し、かつその根本的原因を解消するためにあらゆる必要な措置をとるよう促すものである。これらの措置には、強制的徴募の根本的原因を取り上げた意識啓発プログラムを実施すること、そのような子どもが学校に通えるようにすること、ならびに、子どものいかなる強制的徴募についても親および家族が通報できるようにする監視および通報のためのシステムを設置することが含まれるべきである。
軍事学校
24.委員会は、13歳という年少の子どもが軍事大学および軍事学校に編入されていること、ならびに、これらの子どもが火器の使用をともなう基礎的軍事訓練に参加していることを懸念する。委員会はまた、動員が行なわれた場合または武装抵抗集団との衝突その他の緊急事態におけるこれらの子どもの軍事上の地位、最低服務機関および早期除隊条件に関する情報が提供されなかったことも懸念するものである。委員会はさらに、このような大学および学校に独立のかつ秘密が守られる通報機構が設けられていないことを懸念する。
25.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 軍事学校にいる18歳未満のすべての子どもについて、火器の使用を含む軍隊形式の訓練を禁止するための措置をとること。軍事施設に入所する者は、出生証明書または年齢を確認できるその他の文書を所持しているべきである。
  • (b) 学校カリキュラムおよび教育担当職員が選択議定書を遵守することを確保するため、軍事学校の定期的監視を確立すること。
  • (c) 軍事学校で学習する子どもが18歳に達するまで文民とみなされることを確保すること。
  • (d) 士官学校および高等軍事教育機関に入学する18歳未満の子どもが軍事規律の対象とされないことを確保すること。
  • (e) 軍事大学および軍事学校に在籍する子どもの福祉を監視し、かつこれらの子どもによる苦情申立てについて調査することを目的として、これらのプログラムに参加する子どもがアクセスできる、独立の、秘密が守られる、かつジェンダーに配慮した苦情申立ておよび調査のための機構を設置すること。
人権教育および平和教育
26.中央中等教育委員会が軍事学校に人権講座を導入するための措置をとったことは歓迎しながらも、委員会は、人権教育および平和教育を学校カリキュラムに体系的に編入するプログラムが存在しないことを遺憾に思う。
27.教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)を参照しつつ、委員会は、締約国が、学校カリキュラムに平和教育を含め、かつ学校において平和および寛容の文化を奨励するために効果的措置をとるよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、教員の養成および研修に人権教育および平和教育を含めることも奨励するものである。
保護対象文民施設への攻撃および(または)その占拠
28.毛派の武装集団が展開している地域で公共のインフラおよびサービスを提供する統合行動計画の採択は歓迎しながらも、委員会は、国以外の武装集団が学校を意図的に攻撃していること、ならびに、インド北東部および毛派の武装集団が展開している地域で国軍が学校を占拠していることを懸念する。
29.委員会は、締約国に対し、国際人道法にしたがい、学校など子どもが相当数存在する場所の占拠および使用ならびにこれらの場所への攻撃を防止するためにあらゆる必要な措置をとるよう促す。委員会はまた、締約国に対し、学校が適宜明け渡されることを確保するとともに、学校への不法な攻撃および(または)学校の不法な占拠の事案についての捜査が速やかに行なわれ、かつ加害者が訴追および処罰の対象とされることを確保するための具体的措置をとることも促すものである。

V.禁止および関連の事項

国の警察部隊による子どもの採用および使用
30.委員会は、締約国の州および準州における警察部隊への採用についての最低年齢が統一されておらず、かつ、一部の州/準州が、州警察、警察予備隊および村落防衛委員会に「少年当番兵」として18歳未満の子どもを採用しようとしていることを懸念する。
31.委員会は、締約国に対し、警察または関連の部隊および村落防衛委員会に18歳未満の子どもを採用することを締約国のすべての州および準州で禁止しかつ犯罪化する法律を制定するよう促す。
国以外の武装集団による子どもの徴募および使用
32.委員会は、非合法活動(防止)法(1967年)に掲げられ、またはインド北東部の動乱発生地区ならびに毛派の武装集団が展開している地域およびジャンムーカシミール州の諸地区で活動している国以外のさまざまな武装集団により、女子を含む子どもの徴募、誘拐および使用が継続的に行なわれていることに深い懸念を表明する。委員会は、武器および即席爆発装置の扱いならびに密告者としての活動を含むさまざまな任務のために子どもが使用されていることに、さらなる懸念を表明するものである。
33.委員会は、締約国に対し、子どもが国以外の武装集団によって徴募されないことを確保するためにあらゆる必要な措置をとる、選択議定書上の自国の義務を想起するよう求める。委員会は、子どもの強制的徴募を刑法上の犯罪と定めるよう勧告するものである。委員会はさらに、締約国が、行方不明の子どもについて家族構成員が秘密裡に申告できるようにする監視システムを設置するとともに、そのような申告について迅速かつ公平な調査が行なわれることを確保するよう、勧告する。締約国は、とくに国際連合児童基金(UNICEF)の技術的援助を求めることを検討するべきである。
域外裁判権
34.委員会は、選択議定書が対象とするすべての犯罪について域外裁判権を設定することができるかどうかに関する情報を、締約国が報告書で提供しなかったことを遺憾に思う。
35.委員会は、締約国が、国内法によって、選択議定書が対象とするすべての犯罪について、当該犯罪が締約国の市民である者もしくは締約国に常居所を有する者によってまたはこれらの者に対して行なわれた場合に域外裁判権を設定しかつ行使できるようになることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、締約国が、国際刑事裁判所ローマ規程の批准を検討することも勧告するものである。

VI.保護、回復および再統合

36.委員会は、締約国の動乱発生地区で武力紛争の影響を受けている子どもに保護を提供する、少年司法(子どものケアおよび保護)改正法(2000年)の採択およびその後の改正(2006年)を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、同法が締約国のすべての動乱発生地区で十分に実施されているわけではないこと、ならびに、同法に定める子ども福祉委員会および少年司法委員会がこれらの地区で設置されていないことを懸念するものである。
37.委員会は、締約国に対し、締約国のすべての動乱発生地区で少年司法(子どものケアおよび保護)法を効果的に実施するための機構の確立に優先的に取り組むとともに、その実施状況を緊密に監視するよう促す。
被害を受けた子どもの権利を保護するためにとられた措置
38.委員会は、18歳未満の子どもが、公共安全法(1978年)、軍特別権限法(1958年)および動乱発生地区におけるその他の治安関連法に基づく行政拘禁の対象とされていることを懸念する。委員会は、治安関連法上、子どもが成人として扱われ、かつ成人とともに拘禁されていることをとりわけ懸念するものである。
39.委員会は、締約国に対し、18歳未満の子どもに対する刑事上および行政上の手続を禁止し、かつ軍の拘禁施設におけるこれらの子どもの拘禁を禁止する目的で、治安関連法を見直すよう求める。委員会は、18歳未満の子どもはあらゆる状況下で少年司法制度により扱われるべきであること、および、この文脈において年齢確認手続が一貫してかつ効果的に適用されるべきであることを勧告するものである。とくに委員会は、締約国に対し、以下のことを確保するよう促す。
  • (a) 子どもが、武装集団に所属していることを理由としてまたは脱走等の軍法上の犯罪を理由として、軍事裁判所により恣意的に逮捕され、拘禁されかつ訴追されないこと。
  • (b) 子どもの拘禁が、最後の手段としてのみ、かつ可能なもっとも短い時間でのみ用いられること。
  • (c) 敵対行為への関与の結果として自由を奪われた子どもが、人道的に、かつその固有の尊厳を尊重されながら取り扱われること。
  • (d) 子どもに対して刑事告発が行なわれるときに、審理が、文民裁判所において、かつ少年司法に関する国際基準(子どもの権利条約に掲げられた基準および少年司法における子どもの権利に関する委員会の一般的意見10号(2007年)で説明されている基準を含む)を遵守しながら行なわれなければならないこと。
  • (e) 子どもに対し、家族との再統合および心理社会的回復へのアクセスを含む、リハビリテーションおよび再統合のためのサービスが提供されること。
武装解除、動員解除および再統合
40.委員会は、締約国が、インド北東部、毛派の武装集団が展開している地域およびジャンムーカシミール州の動乱発生地区において、武器を引き渡した者に対して金銭的補償を行なうリハビリテーション付き引き渡し計画を確立し、かつ、武器を引き渡した者を対象とする職業訓練プログラムおよび職業的奨励措置を確立したことに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、引き渡しの関連する政策のなかに、子どもの回復および統合に焦点を当てているものがひとつもないことを懸念するものである。とくに委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 州治安部隊に武器を引き渡した者のなかから元子ども兵士を組織的に特定するための機構が設けられていないこと。
  • (b) 引き渡しおよびリハビリテーションに関する政策において、武器を引き渡した者に対し、自主的に引き渡しを行なった旨の公の声明をメディアで行なうことが要求されていること。
  • (c) 武器を引き渡した幹部(子どもを含む)が治安部隊のための密告者として利用されていることから、国以外の武装集団によるその後の報復を含む安全上のリスクに晒されていること。
41.委員会は、締約国に対し、国以外の武装集団によって徴募されまたは敵対行為において使用されたすべての子ども(女子を含む)の特定、解放、回復および家族との再統合を目的とするプログラムを発展させるとともに、これらの子どもが効果的にかつ透明性のあるやり方で動員解除されることを直ちに確保するよう、促す。これとの関連で、家族の所在が判明せずまたは家族が特定できないときは、代替的な保護的収容施設が提供されるべきである。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 武力紛争に関与させられたまたはその可能性がある子どもを対処とする特定機構を確立するとともに、このような特定の担当者が子どもの権利、子どもの保護および子どもにやさしい面接スキルについて訓練されていることを確保すること。
  • (b) 少年司法(子どものケアおよび保護)改正法(2000年)の2006年改正で構想されているとおり、武器を引き渡した子どもおよび武装反政府集団に加わったときまたは武装反政府集団によって強制的に徴募されたときに未成年であったその他の若者をメディアへの露出およびとくに身元の開示から保護する目的で、リハビリテーション付き引き渡し計画を見直すこと。
  • (c) 子どもが密告者として利用されないことを確保するとともに、動員解除された子どもが安全上のリスクまたは報復の可能性にさらされないよう、当該子どもから提供された情報の秘密が保全されることを確保すること。
  • (d) 子どもが諜報目的の尋問を受けた旨の報告について迅速かつ公正な調査を実施するとともに、軍隊の責任者が適正な制裁を科され、かつ当該子どもに被害者・証人支援サービスが提供されることを確保すること。
  • (e) 子どもの権利条約に基づく次回報告書において、この点についてとられた措置に関するさらなる情報を提供すること。
身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための援助
42.委員会は、徴募されまたは武力紛争で使用された可能性のある子どもを対象とする回復、心理社会的支援、家族との再統合または保護的収容施設への措置との関連でとられた措置に関する情報が締約国から提供されなかったことを遺憾に思う。とくに委員会は、以下の点に関する情報がないことを遺憾に思うものである。
  • (a) 社会的再統合および家族再統合のために提供されている援助の態様ならびに提供されている身体的および心理的回復〔のための援助〕の態様(予算額を含む)。
  • (b) そのような援助から利益を受けた子どもの人数。
  • (c) 徴募の被害を受けた子どもが求めかつ受けた救済措置および賠償。
43.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 特定された子どもの人数および家族と再統合された子どもの人数に関する情報を提供するとともに、家族との再統合が不可能だった子どもについて、保護的収容施設を提供するためにどのような措置がとられたか明らかにすること。
  • (b) これらの子どもに対し、その身体的および心理的回復のための即時的な、子どもであることおよびジェンダーに配慮した分野横断的援助を提供するとともに、国以外の軍隊または武装集団と関連していた子どもの解放、回復および社会的再統合が優先されることを確保すること。
  • (c) これらの子どもが学校教育および必要に応じて保健サービスにアクセスでき、かつスティグマを付与されないことを確保するためコミュニティでフォローアップを行なうシステムを確立すること。
武器輸出
44.委員会は、子どもが武力紛争に関与させられているまたは関与させられていたことがわかっている国への武器(小型武器および軽兵器を含む)の販売および輸出を明示的に禁止しかつ犯罪化する立法についての情報がないことを懸念する。委員会はさらに、締約国がクラスター弾に関する2008年の条約を批准していないことを懸念するものである。
45.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもが武力紛争に関与させられているまたは関与させられていたことがわかっている国への武器(小型武器および軽兵器を含む)の販売および輸出を明示的に禁止する法律を制定すること。
  • (b) 小型武器および軽兵器の製造および取引を含む不法な活動が犯罪化され、記録が保管され、かつ火器に識別番号が刻印されることを確保すること。
  • (c) クラスター弾に関する条約(2008年)の批准を検討すること。

VII.国際的な援助および協力

国際協力
46.委員会は、締約国が、赤十字国際員会および子どもと武力紛争に関する事務総長特別代表との協力を継続しかつ強化するとともに、選択議定書の実施のためにUNICEFその他の国際連合機関との協力を強化する方法を模索するよう勧告する。

VIII.フォローアップおよび普及

47.委員会は、締約国が、とくにこの総括所見に掲げられた勧告を議会、関連省庁(国防省を含む)、最高裁判所および地方の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
48.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および文書回答ならびにこの総括所見を、インターネット等も通じ(ただしこれに限るものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。

IX.次回報告書

49.選択議定書第8条第2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、議定書およびこの総括所見に掲げられた勧告の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって委員会に提出される次回の定期報告書に記載するよう要請する。


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最終更新:2017年01月19日 16:01