人外と人間

不定形生物×人間♀ 中の人などいない! 和姦

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中の人などいない! 5-318様

暑い。熱い。厚い。夏なら更に『篤い』が加わる。
狭い視界。思うように動かない身体。要求されるアクティブなリアクション。
例え、中に汗ダクのおっさんとか、ガラの悪いあんちゃんとか、ロリコンとか、ショタコンとか、変態紳士とかが入っていたとしても。

着ぐるみに詰まっているのは、夢と希望なんです。
中の人などいない! のですよ。


テマパークのマスコットの着ぐるみを着て子供達に愛想を振り撒く私の肩を、もう一人のマスコットの着ぐるみが、ぽむぽむと叩く。
指さされた先にある広場の時計塔の時計の針は、休憩時間になったことを示していた。
可愛い動きで子供達に手を振って、可愛くスキップしながら、関係者以外立ち入り禁止のドアを開け、休憩室へ滑り込む。

「っぷっはーーー! 生き返るーーー!!」

強制サウナからの解放。着ぐるみの頭を取ると冷たい空気が気持ちいい。
頭だけ取った状態でゆったりと椅子に座り、飲んでいたスポーツドリンクをテーブルに置いた。
頭に巻いていたタオルを取りながら隣に座ったもう一人の着ぐるみに話しかける。
「中野さんは頭取らないんですか?」
「え? ああ、うっかりしてた。」
そう言って中野さんは、ひょいっと着ぐるみの頭を持ち上げて、横に置いた。

着ぐるみの頭の下に、頭はない。ただ、ぷよんとした緑の塊が着ぐるみの中に収まっている。

中野さんは、ぷにょんぷにょん。そんな擬音が似合う不定形生物だ。

初めて見たときは、それはもう肝を潰したものでしたけど、とってもいい人だし、すぐにそんなことは気にならなくなりました。
「暑さとか、僕はあんまり感じないからね。」
私はそんな中野さんがちょっとだけ羨ましい。こういう仕事をしていれば尚更だ。

だけど中野さんは「こんな身体だと、働ける所も限られてくるけどさ」と、軽く自嘲するかのように、笑う。
でも、いつも続けて、「今の仕事は結構、気に入ってるんだ」と、今度は本当に楽しそうに言うのだ。

「・・・やっぱり羨ましいです。暑くないの。」
「もう冬なのに、やっぱり暑い?」
「そりゃあもう。冬休みで人も多いですし、今日も結構汗かいちゃいましたよ。」
夏は夏で地獄を見たが、冬も冬でアクティブに活動する閉鎖空間は、やっぱり暑い。

「・・・じゃあ、その汗、吸い取ってあげるよ。冷えたら風邪引いちゃうでしょ?」
「え、あ、ちょっと待ってください! 人が来たらどうするんですかっ!?やめて下さいって・・・っ、んひゃあっ!?」

着ぐるみから中野さんが這い出て、私が着ている着ぐるみの中に侵入してくる。
そのまま私の皮膚の表面を滑りながら、とうとう全身を着ぐるみの中に納めてしまった。
中野さんの体積はそんなに多くはなく、外から見ても大した違和感はない。

着ぐるみの下はとても軽装なので、服の中への侵入も容易に許してしまう。
「駄目ですよ! こんなとこで、ひゃ、あっ!駄、目ぇえっ!」
しかし中野さんはそんな私の言葉を無視して、うねうねと楽しげに、全身を撫で回すように身体を伸ばした。
ぺたりと隙間なく素肌に密着されながら這い回られる。
すっかり身体に馴染んでしまった感覚に、いつも通り素直に反応してしまう。

べたつくことはないけれど、つきたてのお餅のように柔らかな、けれどひんやりとした身体が皮膚を這いずり、汗を吸収してゆく。
その感触だけでも声が漏れてしまいそうなのに、中野さんの低体温な身体が、汗を吸い取るのと同時に私の体表面の熱を奪い、こそばゆさと共にゾクゾクとした快感が背筋を走る。
しかし決して胸の先端にも局部にも刺激を与える事はなく、ひたすらにじれったい刺激が続いていた。

「んっ、はぁ・・・ぅ・・・・・・あ、れ?」
突然、中野さんの動きが止まった。
「はい、おしまい。『汗』は吸収し終わったよ。」
しかし、身体から離れるわけでもなく、未だに中野さんは私に身体を這わせたままだ。

「・・・えーと・・・中野さん?」
中野さんは、私の身体がもう疼いてしまっているのも分かってるし、もっと感じる所を触って欲しがっているのも分かってる。

「職場でヤろうとしたら、帰っても家でヤらせてあげないって言ったのは、恵子だよね?」
とっても楽しそうに、中野さんはそう言った。
分かってて、私から言わせようとしているのだ。

「中野さんの・・・意地悪。」
「イヤならもう止めるよ。」

ずるるっと、中野さんが着ぐるみから出ようとするのを、私は慌てて引き止めた。
掴もうとしても掴めなくて、流れるような喪失感に焦ってしまう。
「やっ・・・! やめ、ないで・・・ください・・・。最後までぇ・・・っ・・・。」
「職場なのに? 誰か来るかもしれないよ?」
「でもっ、もう・・・。」
「じゃあ、恵子から言い出したんだから、帰ってもヤらせてくれる?」
「う・・・分かりましたよ。それでも、いいですから・・・。」

着ぐるみの頭を取ってようやく冷めた顔が、再び別の要因で火照ってゆく。
「着ぐるみの中だけなら、外から見ても分からないね。」
中野さんはずるずるっと、再び私の身体に絡みついていった。

「っあ、ひうっ、うあっ、く、やっああ!」
中野さんが胸を覆って、揉むだなんて生易しいもんじゃない動きでぐにぐにと形を歪め、時折思い出したように敏感な先端に刺激を与えるものだから、快楽を予測出来ずに恥ずかしい声が洩れてしまう。

「こっちはもう、汗じゃない体液でぬるぬるだね。」
中野さんが溢れた愛液を吸い取ってゆく。
かなりトロトロになってしまっているはずだが、中野さんが覆って吸収しているので外には漏れ出ていない。
波打たせ、こねまわすように表面を責められ、陰核を押し潰すように責められ、溢れ出る愛液が吸われてゆく。
「くああ、っうぅ、気持ち、い・・・っ、ああっ!」

ぐぷん、と中野さんの身体が秘裂の中に入り込んだ。
そのままずるずると膣内に侵入して、ある程度の量が入ったところで、ぐにぐにと膣内をかき回し、擦りあげながら復運動を開始する。
「んっ、やああ、ん、はあぁっ、ああっ!」
動きを予想することが出来ない責めと、中を擦り、押し上げるような異物感に自然と快感は高まり、いつしか強請るように腰を浮かせていた。
「い・・・いっ。ひああぁ・・・。ひっ、うあああっ!」

おなかの中の心地よい圧迫感。快感が上り詰めてゆく。
私の絶頂が近いのを察してか、中野さんの動きが激しくなる。
中野さんの身体は腰や背中にも回され、まるで私を抱きしめるかのように包み込んでいった。

「いっ、あっ、いっちゃ、う・・・っ! いっあ、ああ、っく・・・っああああっ!!!」
視界は白く染まり、びくびくと身体が跳ねた。
溢れた愛液を中野さんが吸い取ってゆく感覚に、再び軽く快感を煽られそうになってしまう。

力が抜け、椅子に寄りかかった。未だ余韻冷めやらず、時折腰が軽く痙攣する。
溢れ出た汗やその他諸々の液体はみんな中野さんが吸い取ってしまったらしく、べた付いた感じはあまり残っていない。
「・・・は・・・ぁ・・・っ。ちょっと、激しすぎですよぉ・・・。」
「大丈夫? ・・・ごめん。ちょっと夢中になりすぎた。」
「ふふっ、大丈夫ですよ。休憩時間で、なんとか回復出来そうですから。」

着ぐるみの中に中野さんを納めたまま、余韻を冷ましながらそんな会話をしていると、突然ドアが開いて、割と顔なじみの男性スタッフが入って来た。

「お、有定さんも休憩?」
「え!? あ、ええ。珍しいですね、こっちの休憩室に来るなんて。」
ここには休憩室が2カ所ある。
ここではない、向こうの新しい休憩室には椅子やテーブルだけでなく、自販機や大きな液晶テレビも据え置いてある。
こちらの古い休憩室には椅子とテーブル、あとは古いテレビがあるだけで、滅多に人は来ない。

「まあ、ちょっと気まぐれ? ってやつ?」
「は、はあ・・・。そうですか。」
どうやら中野さんが私の着ぐるみの中に入っていることに気付く様子はない。

「・・・あれ? 中野は? 着ぐるみカラじゃん。さっきなんか話し声が聞こえてた気がしたけど・・・。」
「あっ、えーと、携帯ですよ! 携帯! 友達から電話掛かって来ちゃって。中野さんだったら、ちょっと用事があるからって出ていきましたよ。」
「ふーん。そっか。」

とっさの嘘でもなんとか通じたことに安堵したのも束の間、入ってきたスタッフは、中野さんの着ぐるみが脱ぎ捨てられている椅子とは反対側の、私の隣に座ってきた。

「恵子ちゃんってさー、本当に頑張り屋だよなあ。」
「はぁ・・・?」
なんで突然名前で呼び出すんですか? この人は。
「こんなに顔が真っ赤になるまで、仕事頑張っちゃってるしさあ。」
そう言って馴れ馴れしく、ぺたりと頬に手を当てる。

その瞬間、私の体に張り付いたままの中野さんが、沸騰するかのようにごぼりと蠢いた。

頬を触る鬱陶しい手をさっさと跳ね退けたいのに、未だに中野さんが絡み付いているので思うように動かせない。
いや、違う。中野さんが私の体を動かしていて、私の思うように動かないのだ。

一瞬のうちに、ずずずっと、右肩と右腕を完全に覆うように中野さんが移動する。
背中や腰、左肩にも中野さんが身体を伸ばす。
私の上体を中野さんが、やや右にひねった。

中野さんが何をしたいのかを、ようやく理解した。
「やっ、駄目ですよ!駄目ですってば!!」

駄目だと言いつつ大した抵抗もしてこない恵子に、『いける!これはチャンスだ』とでも思ったのか、男性スタッフはさらに距離を縮めようとする。
「ほんとに、中野の奴なんかには勿体無いくらいの、いい女だよなー・・・」

「中野さん!! 駄目ですってばーーー!!」

男性スタッフが意識を失う前に見たものは、視界いっぱいの、着ぐるみが放つ右ストレートだった。

私の手は中野さんが覆っていたから痛くなかったものの、男性スタッフはものの見事に気を失ってしまった。

「・・・どうするんですか中野さん! この人、気絶しちゃいましたよ!?」
とりあえず、空いている椅子を利用して寝かせてはおいたけど、まだ目を覚ます気配はない。
「手加減はした。そのうち起きるだろ。」
「やりすぎですよ!」

「・・・恵子は僕のだから、手を出すなって言っておいたのに。」

そう言って中野さんは、さっき手が当てられた場所まで身体の一部を伸ばし、ごしごしと擦るように這い回った。

「中野さん・・・?」
「・・・声が漏れると困るよね。」
私の着ている着ぐるみの頭を中野さんが拾い上げ、私にかぶせた。着ぐるみの視界は暗く、狭い。

「な、何を・・・? ひゃあっ、あっ、いっあああ!!?」
再び、中野さんが私の身体を責め始める。今度は先程よりも強く、激しく。
「やあああっ、さっきイったばっかり・・・っだから、っ感じすぎちゃっ・・・ああっ!」
激しく膣内をかき回される。先程入り込んだ時よりも膣内に入り込む体積は増やされて、お腹いっぱいに詰め込まれた中野さんが、ぐりぐりと子宮口を押し上げた。
「うあ、あ・・・!中、広がっちゃ・・・っうう・・・!」

視界が暗くなったことで体の感覚が研ぎすまされ、よけいに強い快感が流れ込む。
強い圧迫感と、暴れ回るかのように乱暴な責めに身体が翻弄されてゆく。

中野さんは普段、身体の中の空洞を振動させて声を出していて、最近、骨伝導とか色々な振動を編み出したらしく、悪戯半分でなにかと私に振動を与えてきたりしていたのだが・・・。

局部で動き回っている中野さんが突然激しく振動し始め、今まで感じたことがない程の、電撃のように強烈な快感が走る。
「うううあっっ!? やっ、やぁああっ!それ駄目え・・・っ、んゃ、めぇえ!! そん、な、ぁ、んああっああああっ!」
それはまるで、中野さんの激情をそのままぶつけられたかのように激しいものでした。

先程とは比べものにならないくらいの目眩く快楽に、理性は掻き消え、涙も涎も垂れ流してしまう。
きっと今の私は、みっともない表情をしてしまっているのだろう。
「あっ、あ、あああっ!中野ひゃあ、ん・・・っ!」
口の中にも中野さんが入ってきて、舌を絡めとられた。
快楽に流され、まともにそれに応えることが出来ないが、それでも無意識のうちに私も舌を絡めようともがく。

こぼれ落ちた唾液すらも中野さんは吸収し、やがて私の思考は真っ白に塗り潰され、何度も、何度も、どこまでも、快楽の奔流に押し流されていった。

「・・・もうっ!本当にやりすぎですってば!!」
「いや・・・ほんと・・・ごめん・・・。」
もう休憩時間も終わろうかという頃になってようやく、我に返った中野さんが私の着ぐるみから抜け出てくれた。
中野さんの体は、私の体温で暖められてすっかり温くなってしまっている。

「もしかして中野さん・・・ヤキモチ、焼いちゃったんですか? それとも、『中野の奴なんかには』っての、気にしちゃったんですか?」

罰が悪そうにたぷたぷと揺蕩っていた中野さんの動きが、ぴたりと停止した。

「・・・。」

図星ですか。どっちも。

「もう・・・。他の人に触られたくらいでヤキモチ焼かなくてもいいんですよ? 私はちゃーんと、中野さんが大好きで、中野さんの彼女なんですから。」
「・・・ごめん。」
いやまあ、ヤキモチ焼かれるだけなら、ちょっと嬉しいですけどね。・・・殴ってスッキリしましたし。

「謝らなくてもいいですけど・・・私、足腰が立たなくてしばらく動けそうにないです・・・どうしましょうか・・・。」
暫く休もうにも、もう休憩時間は残っていない。

「んじゃあ・・・最後の手段か。」

みょいーん ぷちん と、中野さんが二人になった。

『結構な量を吸ったから体積も増えたし、後半だけなら多分大丈夫だよ。』
二人になった中野さんの声がステレオで聞こえる。
中野さんは一定時間内なら分裂しても、また合体すれば大丈夫らしい。
一定時間が過ぎると意思の統合がうまくいかなくなって、もう片方との折り合いが付かずに大変なことになるとかならないとか・・・。

私が脱いだ着ぐるみの中に、もう一人の中野さんが入ってゆく。
中野さんの体積は元々それほど多くはないけれど、中野さんはいつも、身体を細く伸ばしたり筒状にしたり、色々と工夫して着ぐるみを着ているので、中身がみっちり詰まっていなくても違和感はない。

『恵子はどっかに隠れて休んでて。僕はコイツをあっちの休憩室に運んだら、仕事に戻るから。』

中野さんが、さっきから気絶したままのスタッフを持ち上げる。
一人は足を、もう一人は腕を。ぴったり息のあった動きで持ち上げて、そのまま運んでいった。
中野さんはああ見えて結構な力持ちだ。私なんか軽々と持ち上げられてしまう。
まあ、そうでもなければ、半分になった身体を更に細長く伸ばして重い着ぐるみを着るなんていう芸当は出来ないんだろうけど。

『あ、手が滑ったー。』
その声の直後に、どさりと鈍い音が廊下から聞こえてきた。
・・・声をハモらせながら二人同時に手を滑らせる人がどこにいるっていうんですか、中野さん。

見つからないように暫くトイレに潜んでいたけれど、次第に退屈してきた。
もう体力も回復しているから、なんだかズル休みしてる気分。それにトイレって寒い。

「・・・こっそり、見に行っちゃおうかな。」
二人に分裂した中野さんがどういう風に働いているのか、とても興味をそそられる。
もしかしてもう誰かにバレてて、怒られてたりしていないかどうかも心配だったりします。

休憩室を抜け出し、新しい方の休憩室を通ったときに、さっき殴られて気絶したスタッフが意識を取り戻していた。
「痛・・・あれ、俺なんでこんなとこで寝てんだ?」

もし中野さんが殴ったことが露見したら厄介なことになるかもしれません。
ちょっと記憶があやふやなうちにテコ入れしておきましょう。
「えーとですね、私に殴られて気絶しちゃったから、私がここに運んだんですよ。」

まあ、殴ったのは私の拳なのだから、半分くらいは嘘ではない。
私が暴力女だのなんだの言われるのは一向に構わないし。
この仕事が気に入っているんだっていつも言ってる中野さんが、ここで働けなくなるほうが嫌ですし・・・。

「・・・嘘なんだろ?」
速攻でバレました。
「ううう、嘘じゃないです!ホントです!」
「ハァ・・・それぐらい俺でも分かるって。・・・中野だろ?殴ったの。ってか、殴る瞬間叫んでたじゃん?」

実の所、中野さんの事を快く思っていない人達が、居ない訳じゃないんです。
人間じゃない中野さんを、少なからず、疎ましく思っているような人たちが。
そういう人たちは、中野さんが暴力沙汰を起こしただなんて知ったら、嬉々として辞めさせようとするはずです。

「・・・んな顔しなくたって心配ねえよ、誰にも言わねえって。俺が悪かったんだからよ。・・・ったく中野の奴、こんな可愛い彼女に庇ってもらえるなんて、羨ましいったらねえな・・・。」

・・・まあ、この人はそんなに悪い人じゃないんですけどね。セクハラ紛いな所以外は。
彼も休憩時間が終わったらしく、持ち場に戻っていった。

・・・自分の置かれている立場に無自覚ではないにしろ、後先考えないところがある中野さんにも問題ありですし、帰ったら後でお説教しときましょう。

その後、こっそりロッカーで普段着に着替えて、こっそり中野さんを探していたら、入り口ゲートの正面広場で女子高生とおぼしき集団に囲まれている二人の中野さんを発見。
ははは。代わる代わる記念撮影だなんて、モテモテですね。今度はこっちがヤキモチ焼いちゃいますよ。

女子高生の団体が去っても二人の中野さんはかわいい動きでマスコットを演じ続けている。
たまに人間には不可能な動きをするのもまあ、ご愛敬といったところですか。
いつも私達が入っている2体の着ぐるみは、ラブラブカップルというキャラ設定。
本来私が入っているはずの着ぐるみが、いつも中野さんの入っている着ぐるみとラブラブしていると、どうにもこそばゆい。
端から見てるとこんな感じなのかと思うと、ちょっと新感覚です。

ふと、悪戯心がわいて、売店で使い捨てカメラを購入した。
店員に気付かれてしまったけど、このショップの店員とは割と仲がいいし、黙っていてくれるだろう・・・多分。

シンクロした動きで子供に向かってリアクションし続ける中野さん達の間に割り込み、二人の中野さんと腕を組んだ。

『恵子!? もう、大丈夫なのか?』
ステレオ音声で左右から同時に同じ声が聞こえる。
もしかしてもっといっぱい分裂したら5.1chサラウンドみたいな感じになるんだろうか? なんて下らないことを考えてみたり。

「大丈夫ですよ。 それよりもほら、そこのボクー、ちょっと写真撮ってくれる?フィルムは巻いてあるからさ、そのシャッター押すだけ。」
『け、恵子?』
中野さんがなんだか突然のことに戸惑っているけど、お構いなしです。

「そうそう、そこの小さい窓から見て、私たちがちゃんと収まるようにね。・・・はい、チーズ!」

カシャッ!

「ありがとね、ボク。きっといいカメラマンになれるよ。バイバーイ!」
『・・・ほら、もう隠れてないと誰かに見つかるって。もうすぐ終業時間だし、すぐに戻るからさ。』
そう言って私の背中を押す中野さん達は、ちょっぴり照れくさそう。

「うふふ。中野さんとの初めてのツーショット・・・じゃないですね。スリーショット写真ゲットですよ。」
こういうの、恥ずかしがってなかなか撮らせてくれないんですよね。
私には散々恥ずかしいことするくせに。

「自業自得とはいえ私の分も頑張ってくれたんですし、今日のお夕飯は中野さんの好きなハンバーグにしましょうか。」
『え!? 本当!?』
「嘘ついてどうするんです。」
着ぐるみ着たままはしゃいじゃって・・・ああもう、可愛いんですから中野さんったら。



例え中身が、ヤキモチ焼き屋さんでえっちい事が好きな、緑色でぷにぷにの不定形生物だったとしても。

着ぐるみの中に詰まってるのは、夢と希望なんです。


中の人外さんなんて、いませんよ?




おわり





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