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上陸

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集

上陸

「何でまた君と一緒なんだ?」
「それはこっちのセリフだよ。」

「ようこそ、箱庭館へ。歓迎するよ。」
「ワタシはヒーロー学園から研修で参りましたユキチと申します。
 この島で保安ですとか、警備関係のお仕事をお手伝いするよう言われております。」
やぁ、ボクの名前はユキチ……。
ヒーロー学園 正義部 忍者ゼミに所属する5年生で、世界中でヒーローのOJTを受けてきたんだ。
今回はその総括として、この島の治安を守るお手伝いを影からすることになったんだ。

「さっさといくよ。」

「別に一緒に来たわけじゃないよな?」
紅いスーツケースを引きずっている彼女の名は、エレボスという。
彼女も同級生で実習に来ている。

学園の船から一緒だったんだけど、まさか目的地まで一緒だとは思わなかったね。

何故、悪部の彼女と正義部のボクが同じ場所で研修をするのかというのは、
将来社会に出たとき、お互いに大人の事情等を理解するためらしい。

ちなみに
ボクはいわゆる正義の特殊諜報員として、この島の治安を守るお手伝いをするわけだけども……。
悪の特殊諜報員志望者であるエレボスが、この島で何の手伝いをするのかは知らないし聞くつもりはない。
どうせ悪事を手伝うに決まってし、それを探るのも課題の一部なんだ。
(でも安心して欲しい。)

体の血液を利用して、自由自在にあらゆる兵器を製造できるという特異な能力から
「動く兵器庫」とまで学園でも恐れられ悪の自治会長まで務めた彼女が、
この島の悪い連中とつるんで何を企もうと、このボクが阻止してみせる!!

「ここがユキチ君の部屋、隣がエレボスさんの部屋。」

「また覗くんじゃねぇぞ。」
「誤解されるようなこと言うな!」

ヒーロー学園にはカラクリ寮という諜報員育成専用の寮があって、
普段はボク達はそこで生活してるんだけど、
先輩に騙されて(恒例行事らしい)入浴の時間を間違えたことがあったんだ。
(あの時は死ぬかと思った。)

「あ……、管理人さんおはようございます。」
バタンとドアを開けて向かいの部屋の住人がでてきた。
「おはようってもう昼よ?ちょうど良かった。
 今日からこの館に来ることになった……。」
住人はドアを開けたままフリーズしている。
「テュポンさん?」
「兄ちゃん!!」

「やべ!!」

般若の面をした住人は体を透明にして、いずこへと消えてしまった。
恥ずかしがりやだからいつもお面をしているんだけど、
逆に目立つと思うんだよね。

「今のってテュポンさん??」
エレボスに尋ねるのは、テュポンさんが彼女のお兄さんだからだ。
ちなみに彼女は上にお姉さんもいるんだけど、色々あってお姉さんの方が学年は下なんだよ。

「知り合いだったのかい?」
「ええ……、まぁ……。」
「ちょっとワタシ気分が優れませんので失礼するわ。」
そういう言い残すとエレボスはズルズルとスーツケースを部屋へ運びこみ、
すぐに中からガチャっと鍵を掛ける。

「テュポンさんはいつ頃からここに?」
「う~ん、彼透明人間になれるだろ?
 だから居るのか、居ないのか俺にはよくわかんないんだけど、
 最初に来たのはそうだなぁ……、
 3ヶ月前くらいに自分探しに来たとか言ってたなぁ。
 確か写真家だって聞いてたんだけどなぁ。」

(3ヶ月前というと……。)
ちょうどテュポンさんが内定していた悪の秘密結社が、
不況のあおりで統合になって内定取り消しを受けた頃じゃないか。

「食事は食堂で取れるから。」
「ありがとうございます。」
管理人さんはスタスタと元の場所へと戻っていった。

管理人さんが用意してくれた部屋に盗聴器や監視カメラが無いかを丹念に確認、
(最近のモノはとても高性能だから、しっかり確認しないとね。)
あとは早々、非常階段の場所の確認と……。

一通りの確認を終えると椅子に座り、ノートパソコンとプリンターを立ち上げる。
正義のヒーローであるボクのお約束のようにその正体を知られてはならない。

え?さっき名乗ったじゃないかって?

管理人さんは別だよ。

(さて今回は世を忍ぶ姿として何をしようかな……。)

今回はいつも通りでいこう。

この島でのボクは医者だ。
薬の調合は得意だし、医療技術もそこそこ自信がある。
人体にも精通しているから針治療だってできるし、これなら誰もボクがヒーローだとは思うまい。

(ポチっとな。)

さっそく白衣や医療器具や薬品の発注しないとな。
ちなみにこれらの経費は全てゼミ費で賄われるからって無茶やってると
後からジライヤ先生に大目玉を食らうので注意っと……。

一方その頃

「兄ちゃんのことは、後で姉ちゃんに報告するとして……。」

アタシの名前はエレボス。昼と夜の顔を持つ女。

どういう意味かって?

それは読んで字の如く、夜のお仕事をしてるってことよ。
詳しくは内緒★

ちなみに昼間はフリーライターをしているわ。
夜に得た情報や体験を記事にするも良し、ファンタジーを加えて小説として発表するも良しってところよ。

そんなアタシの本当の顔は……、
ヒーロー学園 悪部 裏忍者ゼミの5年生なんだけど、
この島には恒例のヒーロー研修の総仕上げとして来たわけ。

その最後の仕上げの相手の正義のヒーロー役が、
あのインテリエロコンタクトなんてついてないわ。
コンタクトといっても、目が悪いわけじゃなくて赤外線が見えたりとか、
色々な特殊な効果があるコンタクトらしいんだけど……。

(言わないとわからないから地味よね。)

まぁ良い、アタシはやるからには全力を尽くす女。
長年の決着を今度こそつけるとしよう。
とりあえず、この島を仕切っている一番悪い奴を探すとしよう。
そいつをサポートすることが今回のアタシの研修目的。

ヒーロー学園物語スレより
ユキチ&エレボス&テュポン 入館

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