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全島会議一週間前

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全島会議一週間前


「暑い」
「暑いな」
夏。連日猛暑が続きあの冬が恋しくなってきた。
本部のソーニャの部屋にはソーニャとロゼッタ、そしてだらけた体勢を取っている亀とビゼンがいる。
一週間後に始まる全島会議について話しているのだがこの状態では話すこともままならない。
返事が遅れていた西の村は高齢である長老の代理で揉めていて連絡が送れたそうだ。
その旨を送ってくれれば良かったのではないだろうかと思ったが過ぎたことは話しても仕方あるまい。
亀とビゼンは暑いのが苦手らしくもうだめなようだ。
一方ロゼッタは汗一つかかず町の見取り図に書き込みをしている。
「魔物の脅威がなくなった以上はあまり警備を強化する必要はないかもしれませんね」
「確か向こうも護衛を連れてくるみたいだし必要ないかもな」
「ええ。念のために数人付けておくぐらいでいいでしょう」
「そういえばあの隊商は参加してくれるのかな」
先日久しぶりに本州からの隊商がこの町にやってきた。それも大型のだ。
人数は護衛を含めて三十人近くになり、荷物も荷車何十個分とこれまでの隊商と比べ物にならない量である。
隊商の商人曰く「次いつ来れるかわからないからな」とのこと。それだけ東京拠点の状況は緊迫しているのだろう。
こちらに来る前に西の村に寄ったらしく西の代表者たちも一緒に来ていた。
ついでにいい機会なので隊商の人間に島の外の話をしてもらおうと全島会議への参加を打診していたのだ。
「ええ。隊商の代表者が出てくれるそうです」
「島の外の話か。東北拠点が制圧されたというのは聞いたけど東京も危なそうだよな」
「いい話は出ないでしょうね。この会議も無駄なことかもしれません」
「嫌な事を言うな……」
とは言ってもだんだんと減っていく本州からの来訪者を考えると確実に戦況は悪化の一途を辿っているに違いない。
しかしこの会議の話し合いの結果によってはいざ北の国が襲撃してきても連携を取って撃退できるかもしれない。
やるからには得るものが多いほうがいい。幸いにも会議は一日だけではない。出来るだけ実りのあるものにしたい。
部屋の扉を控えめに叩く音が聞えた後、室外で待機していたコユキが用件を告げた。
「隊商の代表者が一度荷物を見に来ないかとのことです」
「よし行こう。すぐ行こう」
「おっと俺はもう向かってるぜ」
腐っていた二人が飛び出していった。そして悟る。おそらくあの二人は隊商のところへ行かない。涼みに行ったに違いないと。
「……この調子じゃ一週間で何も決まらない気がする」
「大丈夫ですよ。私が全部決めますから」
なんと頼もしいお言葉だ。その言葉に甘えることにしてソーニャも隊商へ向かうことにした。

「ん? 遅かったね」
「あれ、本当に来てたんだ」
現地に着くと亀が荷物を眺めていた。
荷物と言っても町自体が購入するものがあれば町民が購入するようなものもある。
亀が見に来たのはそういった類のものだ。
「掘り出し物を探しにね」
「掘り出し物ねぇ……」
亀の横に置いてある何に使うかもわからない古ぼけた道具たちがそれなのか。ソーニャの眼にはゴミにしか見えない。
「ん? これ魔術書だ」
そう言って一冊のこれまたカビ臭そうな一冊を手に取る。値段を見ると子どものお小遣いでも三冊は買えそうな値段だ。
それを見ていた商人がだめだめ、と手を振る。
「その魔術書、偽書だよ」
「偽書?」
「魔術書って基本的には一品限りだからさ。結構高かったりするんだよ。
 それでちょっと魔法の知識かじったような連中が魔術書っぽそうなことをひたすら書いたもの。それが偽書」
「つまり……ただの落書きということか」
「そういうこと。ま、こんなのでも子供だましにはなるからね。気分は魔法使い! 的な」
「なんでそんなものを売ってるんだ?」
「おおかた自分も魔術をかじった程度の知識だから騙されて掴んじゃったんだろう」
「そんなところさ」
商人がやれやれと手を上げる。
「じゃあこれタダで貰うね。古い紙が欲しかったんだ」
「いや、金は置いてけ」
偽物だと教えた後でも金を取るのは忘れない。これが商人か。



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