創作発表板@wiki

2-6

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

二回戦 第六試合 発子・クリーシェ VS 岬陽太

作者 ID:yEMpz0VM0

串子「ワインねえ。ウチみたいな屋台に置くものじゃないと思いますけど」

山梨「なんちょ……なんとかそこをお願いします。この大会が終わるまででいいですから」

獣羽鶏「この謎の白い液体はなんだぁーっ!」
桃太郎「くはははは! そんなものカルピスに決まっておろう、はーっはっはっは!!」

串子「まあそれなら構いませんけど、それだとあまり意味がないんじゃないでしょうか。……お客さんウイスキーもう空けたんですか? 顔真っ赤ですよ」

婆盆「またなのだ、すまんな。だが顔は元からだ」
大阪「名前だけでも売ろうちゅう魂胆かい。あ、姐さん生ひとつー」
ハルト「私はマックスコーヒーをいただこうか」

山梨「あーっやぶせったい! おまんらちっとだまっとれ!!」

がや…
     がや…

晶「こらそこ、なにボーッと突っ立ってんの!」

陽太「……」

晶「もしもーし」

陽太「……悪い晶、ちょっと寄り道してくる」

晶「え? ちょっと、次陽太の試合でしょ! 始まっちゃうよ!」


※ ※ ※


発子「ひなの、例の試合見たわよね」

ひなの「ええそりゃあ。岬陽太くんですよねー……もしかして姉さん、なんか変な事考えてませんー?」

発子「変ってなによ。私はただちょっとあの能力が我が家に欲しいなーとか思っちゃったりしちゃったりしただけよ!」

ひなの「姉さんはほんと筋金入りですねー」

「ぶうー(ここまで来るといっそ清々しいものだな)」
「ムカツクムカツクムカツク」


※ ※ ※


ワーワー


アンテナ『さあ白熱してまいりました創発トーナメント! 二回戦は第六試合、発子・クリーシェ対岬陽太の対戦となっております!!』

柏木「データの上では発子選手有利だね。陽太選手がそこにどこまで喰らいつけるか、先に敗れた鎌田選手の分まで頑張って欲しい所だけど」

アンテナ『あれ、柏木さんは発子さん側じゃないんですね』

柏木「いやあ、そっちのほうが展開として面白いだろ」

アンテナ『はあ……と、両選手リングインです。会場もそれに合わせヒートアップ!』


  ヨウタ! ヨウタ!
               ハツコ! ハツコ!


発子「クリーシェさんだデコ助野郎!!」
陽太「俺の真の名は月下! 岬月下だ!」

アンテナ『(こいつら面倒くせー)……さて準備が整いました、間もなく試合が開始です』

よし子「ファイっ!!」

カァーン


陽太「……こいつは確かにちょっと分が悪いな」

ジリ…

発子「だったら今から尻尾巻いて逃げる?」

陽太「まさか。相手が女神なら尚更だ、何故なら俺は……」

発子「『神に、この世の理に叛く男』? いいわやってみなさいよ。やれるもんなら、ね!」

ザザッ

アンテナ『ああーっとさきに踏み込んだのは発……クリーシェ選手! 流石動きやすい服装に戻っただけはあります』

柏木「いやあれは……まあ、そういう事でいいか」

陽太「やらせるかよッ!」

アンテナ『おっと陽太選手、棒状の武器でカウンター! 』

柏木「チュロスだねえ」

バキッ

アンテナ『~~ッッ! 凄い音です!! これは顔面にモロに入っ――』

バキッ

ゴリッ ガリッ

発子「ふん、なかなか歯ごたえがあるじゃないの」

アンテナ『――ていない!! 歯で受け止めている! というより食べているぞクリーシェ選手!!』

陽太「ならばハードクラッカーで…」

バクン

アンテナ『あーっとクリーシェ選手、陽太選手がかた焼きを取り出すや否や喰らい尽くしたーッッ! 早いのは消化速度だけではない!!』

発子「あんたがどんな武器を出そうが、食べ物である以上私の前では無力よ!」

ドン

晶「まずいよ陽太……どうするの……?」


ワーワー


陽太「くそっなにかないのか、なにか!?」

発子「攻めてこないならこっちからいくわよ?」

陽太「……ええいどうにでもなれ!」

よし子「ファミチキだーーーっ!?」

発子「そんな餌に私が……クマー!!」

ガシッ

彼方「駄目だあの女神なんとかしないと」


陽太「今だ……グレイシャスダガー!」

発子「なにが今だって?」

パシッ

SSP「背面からの一撃を…足の指で!!」

ハルト「ふむ、そのための裸足か」

倉刀「本当にそうなんでしょうか…?」


シャリッ…… シャリッ……

発子「今は亡きガリガリくんマンゴー味とはやるじゃない。ますます家に欲しい逸材だわ」


陽太(状況は最悪だ…例えラッキーパンチがあっても"万物創造"じゃ致命傷を与えられない。ならば…………)

発子「もうおしまい? 私相手に出し惜しみしてたら稼げる時間も稼げないわよ」

陽太「――ッ!! いいぜ、あんたがなんでも食っちまうってんなら……その胃袋の限界をぶち壊す!!」

ポポポポーンッ

アンテナ『おーっと陽太選手、チョコレートにとんがりコーン、次々と食べ物を出現させ攻撃するがーっ! 対するクリーシェ選手、それをブラックホールの如く平らげていきます!! 一回戦で食あたりを起こしてしまった彼女ですが大丈夫なんでしょうか!?』


発子「……それには心配及ばないわ。少なくとも毒なんかを盛られる事はない……『毒を食った事がある』ならともかくね」

ドドドドド

陽太(こいつやはり……)

ドドドドド

発子「フフフ、今のアンタじゃあ『叛く』どころか逃げ延びる事だってできやしないわ……よく『創造』力を働かせることね」

ドン

陽太(俺の能力を把握していやがる!!!)


「いつまでお菓子で遊んでんだコラー!!」「レイディッシュ見せろよレイディッシュ!」


陽太「くっ……能力を持たぬものには分かるまい!」


アンテナ『……それにしても陽太選手はなぜ一回戦のように大根を使わないのでしょうか?』

柏木「使わないんじゃなくて、使えないんだよ。一見同じように見えるけど、彼の能力は昼と夜で性質を変化させるのさ」

白夜「今の彼の異能、万物創造(リ・イマジネーション)は人の手によって歪められた暴食への供物を生み出す悲しき力」

ドウラク「大根のような食材を生み出すには日没を待たなければならないという事だ。因みに私のライトエグザはカニを……」

アンテナ『どっから湧いてきた』

柏木「とにかくクリーシェ選手はそれを把握した上で行動していたという事だ。創発を見守る女神というだけはある」


陽太「ハァ……ハァ……あんたの胃袋は底なしかよ……」

発子「あなたの体力はずいぶん底が浅いみたいだけどね」

晶「陽太が能力の使い過ぎでバテてきてる……あの人、まさかこれを狙って……?」

発子「それじゃあ食後の軽い運動といきましょうか!」

ドムン

陽太「ぐうっ!」

アンテナ『おっとどうした陽太選手! 掌打をまともにに受けてしまったッ! 砂埃を巻き上げながら吹き飛ばされるーーーッッ!!』


陽太(くそっ! 万事休すか …………いや……)


柏木「彼の身体能力はあくまで男子中学生のそれだ。戦闘経験を積んでいるとはいえ肉弾戦に持ち込まれてしまうと厳しいね」

発子「さて、悪いけどそろそろトドメにいかせてもらうわ」

晶「陽太っ!」


陽太「今だッ!」

アンテナ『なんだこの大量の粉はーーーっ!? これにはクリーシェ選手思わずむせ返る!』

発子「ゴホッ……ガホッ………」
(粉末ジュースで目潰しとは考えたわね。でもその程度で見失うほど……)

発子「もがっ! なにを入れ――」

陽太「――おっと折角大口開けてもらったのに吐き出してもらっちゃ困るぜ!! ……噴き上がれっ!!」

ズバッシャアァーッ

アンテナ『なんだァーッッ!? 掌で押さえ込まれたと思ったらクリーシェ選手から突如として凄まじい量の泡が!!』

柏木「これは……メントスガイザーか!?」

アンテナ『知っているんですか、柏木さん!!』

柏木「メントスガイザーとは! メントスのもつ表面構造に炭酸飲料が持つ二酸化炭素の気泡化を促進し、必要エネルギーを低下させることで発生する劇的な圧力増加現象! 特にダイエットコーラと直接混ざり合った場合の威力は間欠泉(ガイザー)の名どおり想像を絶する威力を発揮する!!」

発子「ガハッ……ゴホッ……もう容赦しないわっ……」

キュィィィィ

アンテナ『まばゆいひかりがあたりをつつみこむ!…ここに来てようやくクリーシェ選手変身です! 一回戦ではここから対戦相手を圧倒しましたが今回はどうなるのか!?』

陽太「ここまで出し渋ったところをみるに、それなりのデメリットがあるみたいだな」

女神「…今から消え行くあなたには関係のないことよ」

陽太「ああ。あの魔法の弾はマズいからな。さっさと退散させてもらうぜ」

晶「えええ!? ちょっと陽太、なんとかするんじゃなかったの!?」

女神「……逃がさない」

ポウッ

アンテナ『速い! すでにクリーシェ選手の頭上には蒼弾が完成して――』


――カッ!


ドッゴォォォォォォン!!!


アンテナ『なんでしょうこの爆発は…! これはクリーシェ選手によるものなのでしょうか!!』

モクモク…

陽太「発火してくれるかは賭けだったが、たっぷり巻き上げといて正解だったぜ」

柏木「粉塵爆発…空気中に漂う可燃性微粒子と酸素の連鎖反応……彼女の魔法の威力を逆手にとって決定打を補ったか。しかし………」

「思った以上にやるようね……正直危なかったわ……」

モクーッ

女神「だけど爆発は『削除』させてもらいました」

陽太「おいおい嘘だろ……!」

ドン

裏刀「あれが彼女の力。全てを無に帰す横暴な破壊神というわけだ」

女神「安心なさい、善良な人間であるあなたを直接削除したりはしないわ。少しのお仕置は必要だけど」

ポワーーッ

アンテナ『再び蒼弾ーっ!! しかも今まで以上に大きいです! これは当たればひとたまりもないぞッッ!!』

陽太「…………」

女神「さてあなたの思う通り、この姿でいるには体力の消耗が激しいわ。悪いけどこれで終わりにさせて――」

ぐらっ

アンテナ『なんでしょう、クリーシェ選手の様子が……?』

女神「これは……まさか……いやっ」

プシューーーーーー

ももか「なんか変な煙出てるけど!?」

発子「うげえーっ」

アンテナ『へ……変身が解けたァーーーッッ!!?』


陽太「どうやら運命の女神は俺に味方したようだな」

アンテナ『えーっとクリーシェ選手何故だかよろめいております…一体どうしたというのでしょう』

ゆら~っ

発子「ぐうっムカツク……こいつっ……」

陽太「効くかどうか心配だったがようやくって所か……やっぱ内蔵の強さ自体は人とあんまり変わんねえか」

発子「馬鹿な……今回は毒物や腐敗物はなかったはず……いや、この感覚は……まさかっ!」

陽太「旨かったろ? ウイスキーボンボン」


ドドンッ


アンテナ『おおっと!? クリーシェ選手拳を放つが軸が定まっていない! 攻撃をかわされただけでよろめいてしまったーッッ!』

陽太「ミレニアム・セイバー!」

バキィッ

アンテナ『首元に強烈な一撃! 千歳飴と思しき武器が粉々に砕け散っています!!』

陽太「構うかよ! セカンドスラッシュ!」

アンテナ『再び千歳飴を生成して攻撃! 受けるクリーシェ選手、完全に酩酊状態だ!!』

柏木「ふむ吸収の早さが仇になった、というには過ぎる部分もあるが、だからこそ脳に揺さぶりをかけているのだろうか。それにしてもこの巻き返し……」

陽太「もういっちょ!」

アンテナ『凄まじいラッシュ!! ここに来て主導権は完全に逆転! いったいどこにそれだけの体力を残していたのかーーっ!?』

バキャッ

発子「ふふん……それぐらいで勝てると思ってるの? なめんじゃないわよっ!」

ゆらり~っ


アンテナ『おやっ………クリーシェ選手さらにフラついていますが!?』

陽太「なにっ!!?」

ひら~り

発子「ホワチャーッ!!」

アンテナ『交わして三連突きだぁーっ!!』

発子「このクリーシェ……酔えば酔うほど強くなる!!」

ドンッ

柏木「酔拳……まさに使い古されたパターン(クリーシェ)。しかし――」

発子「――それゆえに最適! それゆえに無敵!」

クリーシェ! クリーシェ!

ワアアアアアア

陽太「……だが脳が麻痺してるのは事実だろ。おまけに体力も落ちて動きがお粗末になってるぜっ!!」

ガシイッ

アンテナ『攻撃にあずきバーを合わせて止めたー!! 陽太選手能力全開ッ! その体力は無尽蔵なのかーーーッッ!!?』

柏木「確かに成長期で片付けるには資料の数値と違いが大きすぎるな」

発子「~~ッッ!! ありえないわ……いくらなんでもあれだけ能力を使っておいて……」

ビュンッ

陽太「見聞が広いのは結構だが、肝心の足元が見えてないんじゃないか?」

ヒョイッ


陽太「一体いつから――俺が万物創造(リ・イマジネーション)を使っていると錯覚していた?」

発子「なん……だと……」

陽太「散々見てきただろ……武器じゃなけりゃあ持ち込みはOK……勝手に食ったのはあんただぜ女神さん」

ドドドドド

発子「ハッ! まさかあのウイスキーボンボンもっ!」

陽太「へえ、まだ頭が回るのか……カスクストレングスって言うらしいぜ。普通のウイスキーと違って薄めてないそのままの状態だそうだ」

晶「おい未成年どっから持ってきた」

陽太「さてネタばらしも済んだ事だし、最後まで『喰らって』もらうぜ!!」

発子「うぐっ」

アンテナ『再びよろめくクリーシェ選手にーーーっ!!』

陽太『アイアン・ハードクラッシャー!!』

ゴオオーー――

バッキャアアアアア!!!!

アンテナ『くろがね堅パンが直撃したーっ!! クリーシェ選手ダウンッ!!』


よし子「そこまでーーっ!!! 完全に泥酔状態だっ! 担架もってこーーい!!」

ハルト「…………」

アンテナ『試合終了~~ッッ!! まさかの番狂わせか!? 優勝候補とも言われた創発の女神に勝利したのは……なんと現役中学生・岬陽太だーーーッッ!!』

オオオオオオ……陽太! 陽太!

陽太「ハァ…ハァ……月下だッ!」
(半分はハッタリだったが、動揺してくれて助かったぜ……)


※ ※ ※


ひなの「……いいんですか姉さん。本当はまだ戦えたんでしょう?」

発子「あのままやったら本当に彼そのものを削除しかねないもの。しょうがないでしょ……」

ひなの「律儀ですねー」

発子「私たちの役目はあくまで創発を見守ること。殺り合う事だけを考えるのならわざわざこんな場にくる必要ないわ」

ひなの「姉さん……」

ぎゅるぎゅる……

発子「おげーっ」

謎太郎「ぶうー(油っこいものとアイスを一度に食すからだ……)」




【二回戦 第六試合 発子・クリーシェ VS 岬陽太 】
  《勝者 岬陽太》

prev next
二回戦 第四試合 二回戦 第六試合 二回戦 第一試合
一回戦 第十一試合 発子・クリーシェ -
一回戦 第十二試合 岬陽太 三回戦 第三試合

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー