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一回戦 第九試合 世田春菜 VS クズハ

作者 ◆EROIxc6GrA
アンテナ「続いての試合はセラ=ハールマンVSクズハです」

あんてな「じゅんびがととのうまで、いましばらくおまちくださいです!」


変態「セラ様!体調はどうですか」
セラ「う、うむ。まあまあ、かのぅ」

変態「そうだセラ様!血液の補充は!?今こそ俺の血を飲んで……」
セラ「いや、来る前に飲んできた。今日一日はこれで持つだろう」

変態「セラ様!」
セラ「な、なんだ;」

変態「良い試合を」グッ

セラ「……フッ。当然だ。あのような小娘など、コテンパンに打ちのめしてくれようぞ」

サスガセラサマ!
フーッハッハッハッハー!


春菜「……とは言ったものの」

春菜「さすがに今回は無理、だよね……」

春菜「相手はホンモノみたいだし……まほー使えるって言うし……」トボトボ...


ドンッ


春菜「あ、ごめんな…じゃなかった。すまぬな」

???「クック」

セラ「な、何がおかしい」

???「いや失礼。
ロリババァ、よく似合っているよ」

セラ「…………」

???「まあまあ警戒しないで。今日はキミがクズハちゃんに勝てる方法を教えようと思って来たんだ」

セラ「勝てる、方法……?」

???「そう。
聞く気になってくれたかな?」

セラ「……話だけなら、聞いてやらんこともない」

??? クスッ「じゃあ教えよう。この大会の仕組についてね」

セラ「……」

???「例えば前回大会でも、戦闘能力を持たないはずの、よし子や助手が勝ち上がっていくという例はあった。
今回も出場している加藤キューピーなんかは、ただの料理人のはずが前回の優勝者だ。」

セラ「つまり、戦える力がなくてもどうにかなる、ということか?」

???「それはちょっと違う」

セラ=ハールマンセンシュ!シアイガハジマリマスヨ!

セラ「む、」

???「もう時間か。説明はしたかったんだけど、仕方ないな」ガバッ

セラ「な、何を……!」


グワァッ!


セラ?「…………」

???「フフフ、行っておいで。
吸血鬼、セラ=ハールマン」


ワーワー
キャーキャー
シャベッタァァァァァァ


アンテナ「さあ、会場の熱気も上がって参りました!

淫テナ「ああっ!私も体が火照って……」

部長「だれだ淫テナを実況席に入れた奴は!つまみ出せェ!!!」

淫テナ「あぅん、そんなに激しくしないでぇ」

アンテナ「ええ、失礼しました。
ともかく!両者の入場です!」

ワーハルナチャーン
ミーミ!シッポ!
ヨウジョ!ショウジョ!ワー!

クズハ「わあ、人がいっぱい……緊張します」

セラ「表のドームのこけら落としがもう懐かしいの」

クズハ「でも、負けませんよ。匠さんのために、勝たせてもらいます!」

セラ「フン。私も、勝たせてやるつもりはない」

あんてな「おおっと!おちついてるように見えたふたりも、とうしはまんまんみたいです!」

柏木「クズハちゃんの実力は折り紙付きだ。対する世田……いやセラ選手の実力次第だろうね」

アンテナ「それでは!試合!開始です!!」

ゴーン!



ゴングが鳴り終わらぬ内に、仕掛けたのはセラ!
その細腕から繰り出されるとは想像が付かない、空気を刈り取るかのような一振りがクズハを襲う。

「ひゃあっ!?」

だがクズハも動物的、異形的カンで回避する。回避しつつ、既に陣は組んであった。

「!」

ドグラッ!
セラの後方、死角となっている位置から繰り出された土槍は、果たして垂直に伸びただけであった。

「な、どうして」
「魔法陣、のようなものを使うようだな。だが陣とは、その完璧性が故に、すこし弄るだけで効力を失うのだ。
この槍は、返させてもらうぞ!」

槍を引きぬき、クズハに向かい投げ返す。
クズハは超速で迫るこれを躱す、続けざまのセラの腕も躱す、直後蹴り上げられた足も後ろに飛び躱す。

「フン、その耳と尾は、飾りではないようだな」

「なななんと!試合開始直後からのセラ選手の猛攻!しかしクズハ選手もこれを全て躱しきっています!」
「これは驚いたね。事前情報では、彼女に戦闘能力はないと聞いていたから」

「お強い、ですね」
「当然だ。吸血鬼だからな」
(でも、何なのでしょうか、この違和感は……。違和感というか、既視感)

クズハの考えが答えに行き着くより、セラの攻撃再開が早かった。
彼女の腕が暴風のように襲いかかる。クズハはこれを躱し続ける。陣を組む余裕は、なかった。

「どうした子狐よ。もしかして、躱し続ければそのうち私がバテるとでも思っているのか?
なら生憎だ。私はただ腕を振っているだけなのだからな!」

(は、反撃する機会がないんですよぅ。それに、このままだと先にバテるのはこちらみたいです。何か、方法は……っ!)

何かを思いついた顔のクズハ。次の瞬間、セラの体は吹っ飛んでいた。だが彼女もリングギリギリで踏み止まる。

「柏木さん、今のは?」
「あれは……『漫画なんかでよくある相手の勢いを利用して吹っ飛ばすやつ』じゃないか!」
「その『漫画なんかでよくある相手の勢いを利用して吹っ飛ばすやつ』というのはどういう技なんですか?」
「そのままの意味だよ。さっきのはクズハちゃんが横に薙ぐ腕を躱した後、その勢いの付いた腕に向かって何らかの衝撃を与えたんだ。攻撃の方向に合わせてね。すると勢いを止めきれなかったセラ選手の軽い体は飛んでいってしまうというわけさ」
「と、いうことらしいです。
クズハ選手、『漫画なんかでよくある相手の勢いを利用して吹っ飛ばすやつ』を使い危機を脱しました!」


「この私が初歩的な『漫画なんかでよくある相手の勢いを利用して吹っ飛ばすやつ』で飛ばされるなど……久々の戦いで油断していた。だが次はないぞ」

クズハにビシリと人差し指を突きつける。だが当のクズハは、俯いてなにやら考え込んでいた。

セラから感じる違和感。そしてあの虚ろを見るかのような目――
(操られている……?)

「なるほどな」
「コンッ!?」

いつの間にかセラが目の前まで来ていた。

「安心しろ。今は手は出さない。
私が何者かに操られていると考えているのだろう」
「あれ、口に出てしまいました?」
「フッフッフ。200年も生きていると、読心術も身につくのだ」
「そ、それならなおさら。元に戻るべきです」

クズハは自分の時の事を思い出していた。大切な人を傷つけてしまった、あの時のことを。

「大丈夫だ。私の連れはそれほどヤワな精神しとらんよ」
「ですが……」
「200年生きた吸血鬼の真祖が言うんだ。間違いはない。それにな……」
「!」
「だから、安心して、そして全力でかかって来い」

「えー、こちらには聞こえない声でなにやら話し合っていた両選手ですが、どうやら話し合いは終わったようです」


クズハは飛び退き、距離を取る。

「分かりました。もう《魔素》の節約はしません。全力で行かせてもらいます!」
「受けて立とうぞ!」

既にクズハの足元には陣が3つ、4つ……5つ。何者かが上に来ると発動する型の、所謂トラップだ。

「なるほど。それならリーチの短い私のクローは届かない」
「まだ行きます!」

トラップを残したまま、幾つもの魔弾がセラを襲う。セラはそれらを避け、いなし、打ち返す。
そして気づけば後方に先程と同じ陣。

「また……っ同じ手を!」

今度は躊躇なく陣を破壊する。次の瞬間、砕けたはずの陣が爆発。“破片”がセラに突き刺さる。

「くっ、これも罠かっ」

戦術が成功。だがクズハは気を緩めない。すぐさま次手を打つ。
表れたのはまたもや同じ陣。だが今度はセラの手が一瞬止まる。止まる間に発動。数十もの巨大な土槍が、セラの小さな体を飲み込んだ!

「なんということでしょう!数瞬の間に戦局は一気に逆転!勝負はもう付いてしまったのかーーー!?」
「やったか!?と叫びたくなるような美しい連撃だね。同じ技を何回も使うことで、セラ選手の判断を鈍らせたのもグッドだ」

息を切らしつつ、それでもクズハは油断しない。いつセラが起き上がってきても対処出来るように、陣の数を増やす。

「出てきてください。まだ、やられてませんよね?」

「困ったのう。もう少し油断してくれるものと思っていたのだが」

セラの声は聞こえるが、未だ姿は見えない。

「まあまあ焦ることはない。もう少しで終わるから……よし、終わった」

「一体、何を……」



爆発。



数十あったクズハの陣が、一斉に爆発した。
《魔素》爆発の威力は凄まじく、地下ドーム全体が揺れるほどであった。客席からも悲鳴が上がる。

「だ、大丈夫です!客席は特殊なシールドで守られています!観客の皆様に被害が及ぶことはありません!」
「そうはいってもこわいものはこわいよせんぱい~」
「衝撃をモロに受けたクズハ選手、そしてセラ選手は大丈夫なのでしょうか!?」


粉塵が晴れ、まず目に入ったのがうずくまるクズハ。辛うじて息はあるようだった。

そしてセラは、

ゴトリ。

「おおっと、セラ選手、なんとリング下に隠れていました!」

「土槍が発動するのは陣より上、それならば陣より下に潜れば安全、だ」

セラの方も無傷では済まなかった。立っているのが精一杯に見える。

「かしわぎのおじちゃん、なんでばくはつがおきたの?」
「それは、あー、セラ選手、もう言ってもいいのかな?」

「……ああ、もう隠している手はないぞ」

「うむ。勝負の妨げになるから敢えて言わなかったんだが、無数の土槍がセラ選手を襲った時、彼女はある物を投げていたんだ」
「ある物?」

「おそらく、低級の使い魔か何かだろう。彼女はプロフィールによると吸血鬼だからね。それを使ってクズハちゃんの陣を書き変えさせていた」

「あの型の陣は、昔見たことがあったからな。書き換えるのは容易かった」


「ええと、つまり……そういうことなのです!」
チャントジッキョウシローーー!!

「よし子君からのツッコミが聞こえてきたね」
「うぅ…むずかしいことはわかんないです……」

「それより、クズハ選手は!?」


「ぅ……ぁ…」

呻くクズハにセラが近づく。

「体調はどう?」
「あはは。ボロボロ……です」
「棄権、するか?セコンドはタオルを迷っているみたいだが」

目を向けると、匠が心配そうな顔で、タオルを握っていた。

「私は……」

「なんと!クズハ選手立ち上がりました!」

「わたし、は、」
「いや、言わなくても、分かっている。
試合を続けようぞ」
「……はい」

「両選手、再び構えました!しかし双方満身創痍です」
「次の一撃で勝負が決まる!ってやつだね」

(さて……どうするか)
(もう《魔素》はほとんど残ってませんし……)

「おおっ!?先に動いたのはセラ選手だ!クズハ選手に向かって駆けて行きます!」
「しかしくずはせんしゅ動きません!」

(彼女の体力は私よりも限界…一突きすれば、終わる……!)
(……………………そこ、です!)

「陣……!!!」


ガッ


ドベシャァ


「セラ選手転倒!リング下に落ちました!カウントを取ります!」
「たいりょくのげんかいだったんでしょーか」
「いや、あれは……セラ選手の踏み込み位置を見計らって、クズハちゃんが石を出現させたんだ。若い美空で、よくそこまで考えついたたものだ」

「カウント7!8!9!10!!!
勝者!クズハ選手!!!!!!!!」

アンテナさんが力の限り叫ぶ!同時に、歓声が沸き起こった!



???「負けた、か」

セラ「おや、お前はさっきの」

???「どうだったかな。吸血鬼の気分は」

セラ「いいものだな。
だが、もう元に戻して欲しい」

???「何だって?キミは、力がいらないのか?」

セラ「いや、そうではなく。世田春菜という少女に、200年分の悲しみは重すぎると思ったのだよ」

???「……フン、残念だ」グワァッ


セラ?「…………やっぱり、思ったとおり悪い人じゃなかったね」

???「フフ。初めは前大会みたいに引っ掻き回してやろうかとも思ったんだけど……やっぱり僕に悪役は合わないみたいだ。
ただの解説者に戻るよ」

春菜「あの……ありがとう」

???「お礼を言われるようなことはしてないさ。じゃあね」

スタスタ

春菜「……ありがとう」


変態「セラ様ーーーーーー!」

セラ「残念ながら負けてしもうたわ」

変態「いやいや、良い試合でした!俺もう一生セラ様に付いていきますから!」

セラ「クック、言うたな?」
春菜(一生付いていく……一生付いていく……)ドキドキ


匠「クズハ!!大丈夫かクズハ!?」ガラッ!

クズハ「あ、匠さん。ここは……」

平賀「医務室じゃ。安心せい匠。大した事はないわ」

匠「そうは言ってもだな……」

彰彦「過保護…」プフッ

匠「うるせえ笑うな彰彦!」

クズハ クスッ「私は大丈夫です。体内の《魔素》が空になっただけですから」

平賀「あの爆発を防ぐためにほとんど使い切ったようじゃの。次の試合までに《魔素》を戻せば問題なしじゃ」

匠「そうか、良かった…でも、こんな危ないことはもう……」

クズハ「いいえ、勝ち上がったからには、最後までやらせてください」

匠「ああ、そうだな。分かったよ。」ニッ



【一回戦第九試合 セラ=ハールマン vs クズハ】

     《勝者・クズハ》

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