総括所見:ノルウェー(OPAC・2007年)


CRC/C/OPAC/NOR/CO/1(2007年7月6日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2007年5月25日に開かれた第1238回会合においてノルウェーの第1回報告書(CRC/C/OPAC/NOR/1)を検討した。この検討は、締約国の代表団が第39会期に採択された委員会の決定第8号にしたがって報告書の技術的審査を選択したため、代表団の出席を得ずに行なわれたものである。委員会は、2007年6月8日に開かれた第1255回会合において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、選択議定書で保障された権利に関してノルウェーで適用される立法上、行政上、司法上その他の措置に関する追加的情報を提供してくれる、締約国の第1回報告書および事前質問事項(CRC/C/OPAC/NOR/Q/1/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎する。
3. 委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第3回定期報告書に関して2005年6月3日に採択された委員会の前回の総括所見(CRC/C/15/Add.263)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

B.積極的側面

4.委員会は、締約国が選択議定書の批准時に行なった、ノルウェー軍への志願入隊に関する最低年齢は18歳である旨の宣言を歓迎する。委員会はまた、敵対行為への直接参加、軍隊への義務的徴募ならびに国の軍隊とは異なる武装集団における兵士の徴募および使用に適用される最低年齢要件を締約国が満たすことを確保するために行なわれた、郷土防衛法および軍役義務法の改正(2001年1月19日の法律第3号)ならびに刑法改正(2002年6月18日の法律第54号)も歓迎するものである。
5.委員会は、締約国が世界中の多くの和平プロセスおよび和解プロセスにおいて調整役として積極的役割を果たしており、かつ、紛争時および紛争後の状況ならびに和平プロセスにおいて人権の実現を強化するための努力を行なっていることについて、締約国を賞賛する。この文脈において、委員会は、女性と平和および安全保障に関する安全保障理事会決議1325 (2000)を実施するためのノルウェー政府の行動計画(2006年3月8日)を歓迎するものである。
6.委員会は、南の子どもおよび若者のための締約国の戦略「30億の理由」を歓迎する。これは、武力紛争を防止し、紛争の平和的解決を促進しおよび永続的かつ安定した平和を構築するためにノルウェーがアフリカ、アジアおよびラテンアメリカで行なっている、精力的な経済上、政治上および外交上の努力を強化するものである。委員会はまた、軍隊への子どもの徴募を防止し、かつ、子ども兵士の武装解除、動員解除および地域コミュニティへの再統合ならびに保護およびリハビリテーションを促進することに対する締約国のコミットメントも歓迎する。
7.委員会は、武力紛争における子どもの問題を国連安全保障理事会の議題に掲げ続け、かつその位置づけを強化するために締約国が行なっている努力に、評価の意とともに留意する。

C.主要な懸念領域および勧告

実施に関する一般的措置

立法
8.委員会は、締約国が、国際刑事裁判所ローマ規程第6条、第7条および第8条に列挙された犯罪(とくに、15歳未満の子どもを自国の軍隊に強制的に徴集しもしくは志願に基づいて編入することまたは敵対行為に積極的に参加させるために使用することを戦争犯罪として犯罪化した第8条2項(b)(xxvi))を独立した犯罪として導入することを目的とした刑法改正を進めていることに留意する。とくに委員会は、刑法草案で提案されている第103条1項(e)が、18歳未満の子どもを自国の軍隊に強制的に徴集しもしくは志願に基づいて編入することまたは敵対行為に積極的に参加させるために使用することを戦争犯罪として犯罪化することとしており、したがって国際刑事裁判所ローマ規程よりも高度な基準を導入しようとしていることを、歓迎するものである。
9.委員会は、軍隊または武装集団のための子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用を防止するための国内的および国際的措置を強化するため、締約国が、刑法改正のために行なっている努力を加速させるよう勧告する。
10.委員会は、18歳に満たない郷土防衛隊青年部隊の志願隊員はノルウェー軍に採用されたものとは見なされえないと締約国が明言していることに留意する。委員会は、18歳未満の志願隊員は動員の対象とされもしくは軍の構成員として編入されることはなく、実践的訓練に参加せず、または他のいかなる形でも戦争類似の活動に参加しないことに留意する。郷土防衛隊法に掲げられたこのような保護措置にもかかわらず、委員会は、子どもにとって「軍事的要素」を有するこれらの種類の活動は、平和および安全な環境が子どもの全面的保護にとって不可欠であることを強調する選択議定書の精神に全面的には一致しないとの見解に立つものである。郷土防衛隊青年部隊の志願隊員は軍事懲戒の対象とされないことに留意しながらも、委員会は、この軍事懲戒権からの除外が慣行および軍事懲戒権法(1988年)の解釈に基づくものであり、〔子どもに対する軍事懲戒が〕法律で明確に禁じられていないことを懸念する。
11.委員会は、締約国に対し、選択議定書の精神を全面的に尊重しかつあらゆる状況において子どもに全面的保護を提供する目的で、郷土防衛隊に入隊する志願隊員の最低年齢を16歳から18歳に引き上げるよう奨励する。委員会はまた、締約国が、18歳に満たない郷土防衛隊青年部隊の志願隊員はいかなる種類の軍事懲戒の対象にもしてはならないことを法律で命じるようにも、勧告するものである。
普及および研修
12.委員会は、子ども兵士の問題に関する意識を高めるために締約国が行なっている努力を心強く思う。たとえば、委員会は、国防大臣の主催で2007年3月26日に開催され、国の行政機関、軍隊、非政府組織(NGO)およびメディアの代表が一堂に会した子ども兵士(選択議定書の適用範囲も含む)に関する全国会議に、評価の意とともに留意するものである。委員会はまた、締約国の軍隊が、セーブ・ザ・チルドレン・ノルウェーと連携しながら、選択議定書および関連の問題に関する研修を行なっていることにも、評価の意とともに留意する。にもかかわらず、委員会は、締約国が国レベルで実施している選択議定書関連の普及活動および研修活動が全体として軍隊および軍事訓練に限定されていることを懸念するものである。
13. 委員会は、締約国が、軍隊および国際的作戦に従事する要員に対して引き続き選択議定書に関する研修を行なうとともに、この点に関する市民社会組織との協力を継続するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、子どもとともにおよび子どものために働くあらゆる関連の専門家集団(保健従事者、ソーシャルワーカー、教員、武力紛争の影響を受けている国からやってきた子どもの庇護希望者および移民とともにおよびこのような子どものために活動する公的機関、弁護士ならびに裁判官など)対象とする、選択議定書の規定に関する体系的な意識啓発、教育および研修プログラムを発展させるようにも勧告するものである。

国際的な援助および協力

被害者の保護
14.委員会は、締約国が、子どものための国家行動計画(主要目標9)に、戦争および紛争を経験した子どもならびに保護者のいない未成年者としてノルウェーに到着した子どもの難民の保護、リハビリテーションおよび統合を含めていることを賞賛する。委員会は、保護者のいない子どもの庇護希望者の過半数は紛争地域からノルウェーにやってきたこと、および、たとえば2004年には審査された申請の60%が却下されたことに留意する。委員会は、締約国が、ノルウェーから母国に送還された子どもの庇護希望者および難民(徴募されまたは敵対行為で使用されたことのある子どもを含む)をフォローアップするための十分な戦略を定めていないことに、懸念とともに留意するものである。
15.委員会は、締約国が、市民社会を含む関連のパートナーと協力しながら子どものための国家行動計画を実施するための具体的措置を引き続きとり、かつ、同計画を全面的に実施するための十分な予算配分およびフォローアップ機構の整備を行なうよう勧告する。徴募されまたは敵対行為で使用されたことのある子どもの庇護希望者および難民であってノルウェーから母国に送還された者について、委員会は、締約国が、これらの事案をフォローアップするための措置(適切な二国間の措置を含む)をとるよう勧告する。委員会は、締約国に対し、実行可能な場合にはこれらの子どもに関する個人的フォローアップ戦略を定めるよう奨励するものである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(2005年)に留意するよう勧告する。
財政援助その他の援助
16.委員会は、戦争の影響を受けた子どものためのプログラムを行なっている多数の国連機関、とくにユニセフに対する目覚ましい財政支援について、締約国を賞賛する。委員会はまた、子どもと武力紛争に関する事務総長特別代表、ならびに、セーブ・ザ・チルドレン、ノルウェー難民評議会および子ども兵士使用廃絶NGO連合のようなさまざまな国内的および国際的非政府組織に対する締約国の支援も歓迎するものである。委員会はまた、締約国がこの分野で行なっている二国間活動も心強く思う。
17.委員会は、締約国が、防止活動ならびに選択議定書に反する行為の被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合にとくに焦点を当てながら、選択議定書の全面的実施に対する財政援助その他の援助(武力紛争に関与した子どもの権利に対応するための多国間および二国間の活動を含む)を引き続き提供するよう、勧告する。

武装解除、動員解除および社会的再統合に関してとられた措置

社会的再統合の措置
18.選択議定書に反する行為の被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合に関して、委員会は、締約国が一部の受入れセンターにおいて庇護希望者である親に指導を提供していること、および、危機心理学センターによって開発された、難民の子どものトラウマおよびストレス後症候群スクリーニング法が臨床試験の段階に入ったことに、評価の意とともに留意する。にもかかわらず、委員会は、保護者のいない子どもの庇護希望者(徴募されまたは敵対行為で使用されたことのある子どもを含む)の監督およびこのような子どもに提供されるケアならびに受入れセンターで暮らす子どもに提供される心理的および精神医学的サービスが不十分であるという懸念をあらためて表明する(2005年6月3日に採択された、締約国の第3回定期報告書に関する委員会の総括所見(CRC/C/15/Add.263)、パラ41-42参照)。委員会は、場合により、保健ケアを必要としているものの在留許可を得ずに締約国に在留している子どもが、適正に登録されていないとの理由で保健サービスへのアクセスを否定される可能性があること、および、そのなかには国外で徴募されまたは敵対行為で使用された子どもも含まれている可能性があることに、特段の懸念とともに留意するものである。委員会は、以下のことを遺憾に思う。
  • (a) 保護者のいない子どもの庇護希望者および難民のための全国的な後見人制度が設けられていないこと。現行の後見人制度では、後見人の採用および研修の質がすべての自治体で十分とはいえない可能性がある。
  • (b) 保護者のいない子どもの庇護希望者(徴募されまたは敵対行為で使用されたことのある子どもを含む)に関する責任が、2007年10月1日より2つの公的機関、すなわちノルウェー移民局(保護者のいない子どもの庇護希望者のうち15~17歳の者)と児童福祉サービス(保護者のいない子どもの庇護希望者のうち15歳未満の者)との間で分担されること。委員会は、保護者のいないすべての子どもの庇護希望者(選択議定書に反する行為の被害を受けた子どもも含む)に対し、できれば同一のサービス担当機関のもとで適切な保護およびサービスが提供されるべきであるという見解に立つものである。
19.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 徴募されまたは敵対行為で使用されたことがあって現在受入れセンターで暮らしている子どもに対し、十分な支援および監督ならびに十分な心理的および精神医学的ケアが提供されることを確保するための措置をとること。
  • (b) 受入れセンターにおける親指導プログラムの提供を拡大し、かつ、危機心理学センターによって開発された、難民の子ども(徴募されまたは敵対行為で使用されたことのある子どもを含む)のトラウマおよびストレス後症候群スクリーニング法を早期に実施するための努力を強化するための措置をとること。
  • (c) 保護者のいない子どもの庇護希望者および難民(徴募されまたは敵対行為で使用されたことのある子どもを含む)のための、統一された全国的後見人制度の設置を検討すること。
  • (d) 保護者のいない子どもの庇護希望者全員に平等なサービス提供を保障するため、このような子どもに関する責任を、児童福祉サービスのような子どもの権利志向の単一の公的機関に集中させることを検討すること。
20.委員会はまた、締約国が、その管轄内にある子どもの難民、庇護希望者および移民であって母国において徴募されまたは敵対行為で使用された可能性がある子どもについてのデータを体系的に収集するようにも勧告する。

フォローアップおよび普及

フォローアップ
21.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を閣僚評議会、議会(ストーティング)ならびに県および自治体ならびに適用可能なときは子どもオンブズマン、ノルウェー軍および郷土防衛隊に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
普及
22.委員会は、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択したこの総括所見を、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じ、子どもおよびその親が広く入手できるようにすることを勧告する。委員会はまた、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が選択議定書を公衆一般に広く知らせることも勧告するものである。
次回報告書
23.選択議定書第8条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく第4回定期報告書に記載するよう要請する。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年9月5日)。