総括所見:ノルウェー(第2回・2000年)


CRC/C/15/Add.126(2000年6月28日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2000年5月22日に開かれた第625回および第626回会合(CRC/C/SR.625-626参照)において、1998年7月1日に提出されたノルウェーの第2回定期報告書(CRC/C/70/Add.2)を検討し、2000年6月2日に開かれた第641回会合において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、締約国の第2回定期報告書の提出、追加情報の提供、および質問事項(CRC/C/Q/NOR/2)に対する締約国の文書回答の提出を歓迎する。委員会は、報告書に記載された有益な統計的情報、および、対話の過程で追加情報を提供するために代表団が行なった率直かつ建設的な努力に、評価の意とともに留意するものである。

B.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、子どもの権利条約の実施における全体的な進展について締約国を賞賛する。
4.委員会は、加えて、子どもオンブズパーソン事務所が果たしているきわめて積極的かつ独立した役割について締約国を賞賛する。委員会はまた、締約国が、自国の開発援助プログラムにおいても、かつ関連する国際的な場への参加を通じても社会部門を優先していることも、特筆に値すると考えるものである。同様に、委員会は、締約国が研究組織「チャイルドウォッチ・インターナショナル」の発足を支援したこと、および、対話および協力の精神にのっとり、とくに人権問題に関して国内の専門家による援助の提供を促進することを目的としてNORDEMを発展させていることを、賞賛する。
5.委員会は、締約国報告書の作成におけるものも含めて政府とNGOとのあいだに建設的対話が存在すること、および、代替的報告書の作成に関してNGOに支援が与えられたことを、心強く感ずるものである。
6.委員会は、刑事訴訟法の改正を受けて、条約第40条2項(b)(v)に対する締約国の留保が1995年に撤回されたことを歓迎する。加えて、委員会は、子ども法の改正により子どもの立場およびその権利の保護が強化されたことも心強く感ずるものである。
7.委員会はまた、国際的な経済不況傾向が(報告対象期間の一部において)広範に広がり、かつ社会サービスの地方分権化が進展しているにも関わらず、児童福祉プログラムのための予算が締約国において増加していることに、満足感とともに留意する。委員会はさらに、児童福祉プログラムの実施に関して自治体によってとられた政策および措置を監視するシステムが、県知事の報告手続を通じて設置されていることにも留意するものである。
8.委員会は、外国人に対する不寛容の傾向と闘い、かつ人種主義および排外主義の問題に対応するために、締約国が、青少年の関与および参加によるものも含めて相当の努力を行なっていることに留意する。委員会はまた、このような問題に対する同様のアプローチを奨励するうえで、締約国が地域的な場で積極的な役割を果たしていることも歓迎するものである。
9.委員会は、締約国報告書の刊行以降に行なわれた市民法改正が行なわれたこと、および、ノルウェー市民その他のノルウェー在住者によって養子縁組された外国人の子どもの状況にそれが積極的影響を及ぼしていることに、満足感とともに留意する。委員会はさらに、1995年の法律の採択によって女性器切除が禁止されたこと、および、1994年の婚姻法の改正により、婚姻の一方の当事者が、婚姻を強制されたときは当該婚姻を無効と宣言するための手続を開始できるようになったことに留意するものである。加えて、委員会は、親に対する広範な支援および介入のプログラムが用意されていることを歓迎する。
10.委員会は、発展途上国における子どもの権利を支援することに対し、国際協力その他の援助を通じて締約国が豊かな貢献を行なっていることに関して、締約国を賞賛したい。
11.委員会は、締約国報告書において、締約国の第1回報告書に関する委員会の総括所見が頻繁に言及されていること、および勧告の一部に対応するための努力が行なわれたことを歓迎する。

C.主要な懸念事項

1.実施に関する一般的措置

立法
12.委員会は、条約の一般原則および規定がいまなお勧告にしたがって国内法に全面的に編入されていないことを、依然として懸念する。
13.委員会は、締約国がこの問題に関してひきつづき継続的議論を行なうよう奨励し、かつ、1999年5月21日の人権法によって他の地域的および国際的人権文書が編入されたのと匹敵する方法で条約を国内法に編入することを検討するよう、勧告する。
地方レベルにおける実施
14.締約国において意思決定、行政およびサービス提供が大規模に地方分権化されていることを認識し、委員会は、国レベルから自治体への相当の権限委譲が、すべての自治体が条約を全面的に考慮していないという意味で、締約国の条約実施における弱点となっているように思えることに留意する。
15.委員会は、締約国が自治体による条約のすべての側面の実施の評価を行なうこと、および、自治体レベルにおける条約の効果的実施を確保するためあらゆる努力を行なうことを、勧告する。
予算配分
16.委員会は、低所得層の子どもに対して地方の公的機関が提供する福祉サービスの範囲および水準、ならびにその結果としてもたらされる一部の子どもの生活水準が、同国全域のさまざまな自治体において不平等となっていることを懸念する。そのような不平等は、部分的には、異なる自治体機関が利用可能な財源が相当に異なること、これらの機関が定める優先順位が異なること、および、ニーズを評価しかつ援助を与えるシステムが異なっていることから生ずるものである。このような格差は、子どもの居住地域によって、子ども、とくに障害をもった子どもに対して不平等なアクセスまたは異なる水準の福祉援助を提供する効果を有する。
17.委員会は,締約国に対し、福祉サービスの提供の文脈において、たとえば条約実施のための全国的な基準および条約実施に対する全国的な資源配分を確立することにより、居住場所に関わらずすべての子どもが同じ水準のサービスに平等にアクセスできることを保障できる方法を検討するよう促す。
条約に関する研修
18.委員会は、子どもに関わる可能性がある業務を行なっている専門家の研修が組織的なものではないこと、および、多くの専門家がそのような研修を受けていないことに留意する。
19.委員会は、締約国が、教職員、弁護士および警察官を含むさまざまな専門家グループの適切な役割に関する子どもの権利研修のための指針を、関連する場合には委員会が提起した懸念に力点を置きながら発展させるよう勧告する。委員会は、とりわけ、自治体の委員会の委員および公的機関に対し、子どもの権利条約全体の実施に関する訓練を提供することに注意を向けるよう勧告するものである。

2.一般原則

差別の禁止
20.委員会は、ノルウェーの管轄下にある子ども(その在留が法的要件を満たしていない子どもも含む)が条約に定められた権利から実際上利益を得ることを確保するために締約国が行なっている努力を評価する。にも関わらず、委員会は、この原則があらゆる国内法において確立されているわけではないこと、法的保障が存在しないことにより、ノルウェー国籍を有しない一部の子どもが権利を奪われる可能性があること、および、このような子どもによる保健および教育サービスへのアクセスが若干制限されていることに、懸念を表明するものである。
21.委員会は、締約国が、ノルウェー国籍および法的地位を有せずにノルウェーの管轄内で暮らしている子どもの権利にこの状況が及ぼす、長期的影響も含む全面的影響を考慮するよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、条約第2条の全面的適用を確保する国内法改正を検討するよう奨励するものである。
最善の利益
22.委員会は、最善の利益原則を尊重しようとする締約国の相当の努力を認知しながらも、改善の余地があることに留意する。とりわけ、委員会は、自治体機関の役割の文脈で子どもの最善の利益がかならずしも全面的に考慮されていないこと、および、さらに、収監された親、保護者のいないまま庇護を申請している子どもまたは難民の子どもの最善の利益がかならずしも第一義的に考慮されていないことを、懸念するものである。
23.委員会は、締約国が、オンブズパーソンおよび市民社会と協議しながら、上記の状況を背景として最善の利益原則が何を意味するかについて検討すること、および、子どもに影響を及ぼす決定においてこの原則が第一義的に考慮されることを確保するためにさらなる努力を行なうことを、勧告する。
自己の意見を自由に表明する子どもの権利
24.委員会は、とくに自治体レベルにおける子ども代理人の任命によるものも含めて、意見を聴かれる子どもの権利を尊重するための努力を締約国が行なっていることに対し、締約国を賞賛する。しかしながら、委員会は、締約国と同じく、実際には子どもの意見が充分に聴かれかつ考慮されていないという懸念を表明するものである。委員会は、条約および国内法にもとづいてこの分野で保障されている権利、または子どもの意見の表明のために創設された機会を知らない子どもが多いことを懸念する。
25.締約国の最近のコミットメントに留意し、委員会は、締約国が、子どもの意見表明権およびそのために存在している機構その他の機会を子どもその他の者(親および法曹を含む)に知らせる努力をひきつづき行なうよう勧告する。委員会は、さらに、子どもの意見が考慮されている度合いおよびそれが政策、プログラムの実施および子どもたち自身に及ぼしている影響を定期的に見直すよう勧告するものである。

3.市民的権利および自由

思想、良心および宗教の自由
26.委員会は、初等教育、前期中等教育および後期中等教育に関する締約国の1998年7月17日の第61号法(「宗教・知識・倫理教育」に関する新たな共通カリキュラムを導入するもの)においてとられているアプローチが差別的になる可能性があることを、懸念する。委員会は、とくに、授業の一部に参加したくないと考える子どもおよび親に免除を認める手続を懸念するものである。
27.委員会は、締約国が新カリキュラムの実施を見直し、かつ既存のものに代わる免除手続を検討するよう勧告する。
暴力および有害情報
28.委員会は、社会およびとくに若者(年長の子どもを含む)のあいだで暴力行為が増加しているという締約国の認識を認知する。
29.委員会は、締約国が、そのような暴力の原因に対応し、かつその発生件数を減らすための努力を追求するよう勧告する。

4.家庭環境および代替的養護

親からの分離
30.委員会は、刑務所で刑に服している親との接触を維持することとの関連で、子どもの最善の利益、とくに親からの分離に関わる子どもの権利が全面的に尊重されていないことを懸念する。委員会はさらに、締約国の積極的な努力にも関わらず、刑事犯罪で有罪とされた外国人を退去強制する決定が行なわれるさい、退去強制の対象とされる者の子どもに当該決定が及ぼす影響に関する専門家の意見が制度的に参照および考慮されていないことを懸念するものである。
31.委員会は、それが子どもの最善の利益である場合には子どもが収監された親との個人的関係および直接の接触を維持することを確保するため、締約国が、非収監者の家族との接触に関わる規則をもっと柔軟に適用するよう勧告する。委員会はまた、退去強制が親から子どもを分離することを意味する場合には子どもの最善の利益が考慮されることを確保するため、締約国が、退去強制決定が行なわれる手続を再検討するよう勧告するものである。
家族の再統合
32.ノルウェー国民ではない子どもの家族の再統合に対して締約国が非常に積極的なアプローチをとっていることは支持しながらも、委員会は、家族の再統合について定めた重要な国内法の規定が最大限に適用されていないことを懸念する。とりわけ、委員会は、手続的遅延のために子どもが家族の再統合の可能性について情報を得ていないこと、または手続が組織的でないことのいずれかを理由として、子どもがこれらの規定をかならずしも利用できていないことを懸念するものである。
33.委員会は、締約国に対し、子ども、および親または法定保護者のようなその他の関係者に家族の再統合のための可能性および手続に関して情報を知らせるための標準的手続を定め、かつ、これらの手続を定められた指針にしたがって組織的に実施するよう促す。
家庭環境を奪われた子どもの保護
34.委員会は、とくに非公式な自発的措置手続を通じて親の家庭外に措置される子どもの人数が増えていることを懸念する。このような手続は、子どもの最善の利益が遵守されることを必ずしも保障しない可能性がある。
35.委員会は、締約国が、親の家庭外に子どもを措置しなければならなくなる要因および非公式な措置の慣行そのものの双方を慎重に分析し、かつ、家庭生活に対する子どもの権利および子どもの最善の利益が尊重されることを保障するための効果的措置をとるよう勧告する。

5.基礎保健および福祉

36.委員会は、拒食症および過食症の発生件数が多いこと、および思春期の青少年のあいだでアルコールの消費が蔓延していることを懸念する。委員会はまた、子ども、とくに男子による自殺がひきつづき発生していることに対しても、懸念を表明するものである。
37.委員会は、締約国に対し、医療上の問題でも心理的問題でもある拒食症および過食症のケースに対応する努力をひきつづき行なうよう奨励する。加えて、委員会は、思春期の青少年のアルコール消費水準を減らすために締約国が行なっている努力に留意するとともに、締約国が、思春期の青少年の健康なライフスタイルをひきつづき促進するよう勧告するものである。さらに、子どもによる自殺をすべて特定することが困難でありうることを認識し、かつ1994年の総括所見(CRC/C/15/Add.23)のパラグラフ17の勧告にしたがって、委員会は、締約国が、子どもの自殺(10歳未満の子どもによるものも含む)の発生件数および原因に関する調査を継続するとともに、当該調査の結果を活用して、締約国の1994年の自殺防止プログラムの参考にし、かつ当該プログラムをさらに発展させるよう勧告する。
障害のある子ども
38.委員会は、障害のある子どもが、同世代の仲間と最大限可能な形で社会的に統合できていないことを懸念する。
39.障害のある子どもの権利が全面的に実現されることを確保するために締約国が行なっている努力を認識し、かつ、障害者の機会均等化に関する国連基準規則(総会決議48/96)および障害のある子どもの権利に関する一般的討議の日に採択した委員会の勧告(CRC/C/69)に照らし、委員会は、締約国が、締約国の第2次行動計画で強調されているように、障害のある子どもが他の子どもたちと時間を共有できることを確保するための努力をひきつづき行なうよう勧告する。
精神保健サービス
40.委員会は、締約国と同様に、子どもを対象とした精神保健サービスおよび精神保健の専門家にアクセスするために待機する人数が多く、かつアクセスが遅れていることに対して懸念を表明する。これは、心理学者および精神科医の人数が不充分であることによるものである。
41.委員会は、締約国に対し、子どもが精神保健サービスにもっと時宜を得た形でアクセスできるようにするための手段を模索し、かつ、とくに、精神科医および心理学者の不足に対応するよう奨励する。
保育サービス
42.委員会は、締約国と同様に、保育定員の増加がひきつづき必要とされていること、および、利用可能な手当の現金支給計画ではこのニーズを埋め合わせることにはならないことに、懸念を表明する。
43.委員会は、締約国と同様に手当の現金支給計画の評価を勧告し、かつ、さらに、すべての子どもが保育を受けられることを確保するというそもそもの目的を締約国が追求するよう勧告する。

6.教育、余暇および文化的活動

教育への権利
44.委員会は、締約国と同様に、一部教員の教育上の背景に限界があることおよび専門的訓練が欠如していることに懸念を表明するとともに、そのような限界が教育および児童に悪影響を及ぼしていること、および、そのような限界は教員の低賃金を含む膨大な要因の結果であることに留意する。
45.委員会は、締約国が、教員の低賃金その他の要因が締約国の教育に及ぼしている影響を研究し、かつ、特定された問題に対応するための努力を行なうよう勧告する。
教育へのアクセス
46.委員会は、締約国に存在する多くのロマの子どもおよびその他の移住性集団の子どもが義務教育の必要年限を修了していないことを懸念する。
47.委員会は、締約国が、移動通信施設の使用および遠隔学習プログラムなどを通じ、1年の一定期間を移動して過ごす子どもが正規の教育にいっそうアクセスしやすくする手段を模索するよう勧告する。

7.特別な保護措置

保護者のいない子ども、子どもの庇護希望者および子どもの難民
48.委員会は、子どもの庇護希望者との関係で条約の規定および原則が完全に尊重されているわけではないことを懸念する。具体的には、委員会は、庇護を申請した子どもが申請手続に参加する充分な機会を提供されていないこと、およびその意見が充分に考慮されていないことを懸念するものである。委員会は、保護者のいない子どもの庇護希望者ひとりひとりに個人的後見人を任命するなどの積極的制度が、全面的に実施されていないと考える。さらに、委員会は、庇護申請の処理が遅延していること、および、地方教育制度に統合されていない子どもの申請者がいることを懸念するものである。
49.これらの手続への子ども参加を向上させるために締約国が継続的計画を進めていることを認識し、委員会は、締約国に対し手これらの努力を追求するよう奨励するとともに、子どもが手続に参加しかつその関心事を表明する充分な機会を提供されることを確保するため、締約国が、子ども(保護者がいるかいないかは問わない)の庇護申請を審査する手続を見直すよう勧告する。さらに、締約国が発展させている後見人制度が貴重な貢献を行ないうることを認識し、委員会は、当該制度を実施し、かつ、後見人に対する適切な研修の提供などにより、意図された当該制度の機能が発揮されることを確保するために、追加的努力を行なうよう勧告するものである。
50.委員会は、締約国が、申請の処理および子どもの定住のための手続が遅延する理由を、その短縮を図る目的で検討するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、子どもが通常の学校制度に迅速に統合されることを確保するため、さらなる努力を行なうようにも勧告するものである。委員会は、加えて、手続の見直しにおいて締約国が条約の規定および原則を考慮するよう勧告する。
51.子どもの難民および庇護希望者に心理社会的援助を提供するために締約国が行なっている追加的努力に留意し、委員会は、締約国と同様に、そのような援助を必要としているすべての子どもがそれを受ける機会を得ているわけではないことに懸念を表明する。委員会はまた、締約国に到着した時点で子どもの難民および庇護希望者のあいだに栄養不良が生じている場合があることも懸念するものである。
52.委員会は、締約国が、現在利用可能な心理的援助を拡大していっそう広範な人数の子どもおよびその親を対象とし、かつ、そのような援助が必要とされる子どもを締約国への到着と同時に特定するためにあらゆる努力を行なうという計画を追求するよう勧告する。委員会は、締約国に対し、栄養不良の問題に対応する努力をひきつづき行なうよう奨励するものである。
少年司法
53.委員会は、罪を犯した子どもに対して締約国が現在とっている対応において、児童福祉上の措置、または子どもが15歳以上の場合には罪を犯した成人にふさわしい対応のいずれかにのみ焦点が当てられることが多く、少年司法における防止およびリハビリテーションの側面が充分に重視されていないことを懸念する。
54.委員会は、締約国が、少年司法手続の文脈において子どもの最善の利益が第一義的に考慮されることを確保する努力を追求し、罪を犯した子どもの防止およびリハビリテーションのニーズをいっそう考慮するよう勧告する。
性的搾取および虐待
55.委員会は、締約国で性的虐待が生じていること、および、そのような問題に対応するための締約国の既存の予算がもっとも効果的な形で活用されていないことを懸念する。
56.委員会は、締約国に対し、利用可能な資源(子どもを対象に働く成人職員の雇用を適切に審査するための資源も含む)を増加させること、児童虐待の告発に対応する法的手続を通じて監視すること、法曹関係者その他の関連の専門家を研修すること、およびそのような行為の被害者に時宜を得た形でケアを提供することによって、性的虐待の事案を防止しかつそれに対応する努力をひきつづき行なうよう促す。

7.報告書の普及

57.委員会は、1993年の第1回締約国報告書が広範にかつ早期に普及されたことに関し、締約国を賞賛する。しかしながら、委員会は、1998年の報告書は同じように広範な配布の対象とはなっていないこと、および、とくに、報告書が充分に早くノルウェー語で出版されなかったため、ノルウェーのNGOによるコメントの提出を促進できなかったことを懸念するものである。
58.委員会は、条約第44条6項に照らし、第2回報告書、委員会が提示した質問事項および締約国が提出した文書回答を公衆一般が広く入手できるようにし、かつ、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう、勧告する。そのような文書は、政府、議会および関心のあるNGOを含む公衆一般のあいだで条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。


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最終更新:2011年08月31日 06:33