総括所見:ノルウェー(OPSC・2005年)


CRC/C/OPSA/NOR/CO/1(2005年10月20日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2005年6月24日に開かれた第1037回会合(CRC/C/SR.1037参照)においてノルウェーの第1回報告書(CRC/C/OPSA/NOR/1)を検討し、2005年6月3日に開かれた第1052回会合において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、報告ガイドラインにしたがっており、かつ選択議定書に基づいて提出された最初の報告書である、締約国の包括的な第1回報告書の提出を歓迎する。委員会は、代表団との率直かつ開かれた対話を評価するものである。

B.積極的側面

3.委員会は、選択議定書で網羅されている権利を実施しかつその保護を強化するために締約国がとった多くの措置を歓迎する。これには、「女性および子どもの人身取引と闘うための2003~2005年行動計画」、「子どもと若者のインターネットの利用に関する特別行動計画」、インターネットの安全な利用に関する知識を普及し、かつ子どもの性的虐待および子どもの性的搾取と闘うための「安全・意識・事実・手段」(SAFT)プロジェクトが含まれる。
4.委員会はまた、人権法によって選択議定書が2003年10月にノルウェー法に編入されたことにも、満足感をもって留意する。
5.委員会はまた、子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春と闘うための国際的および二国間技術協力活動にも、評価の意とともに留意する。

C.主要な懸念領域および勧告

1.実施に関する一般的措置

選択議定書の実施の調整および評価
6.委員会は、選択議定書の実施に関与するさまざまな省庁および政府機関に関して提供された情報に留意するものの、選択議定書で網羅されている権利を保護する目的で中央および地方の双方のレベルで包括的な部門横断型政策を確保するための、これらの機関間の調整が不十分であることを懸念する。委員会はまた、選択議定書の実施を定期的に評価するための機構が存在しないことも遺憾に思うものである。
7.委員会は、締約国に対し、選択議定書で対象とされている分野における調整を中央および地方の双方のレベルで強化するとともに、その実施を定期的に評価するための機構を設置するよう奨励する。
国家的行動計画
8.「女性および子どもの人身取引と闘うための2003~2005年行動計画」は歓迎しながらも、委員会は、締約国に対し、現行計画の評価を基礎とする新たな行動計画に基づく努力を引き続き行なうよう奨励する。
普及および研修
9.委員会は、公衆の間で選択議定書の規定に関する意識を高めるための努力が行なわれていないことに懸念を表明する。委員会はまた、選択議定書で対象とされている分野についての調査研究に基づく情報が全般的に欠けているため、特定の研修コースの必要性を評価することが困難であることに、懸念とともに留意するものである。
10.委員会は、締約国が、子どもおよび親を含む住民の間で選択議定書の規定に関する意識を高めるための措置をとるよう勧告する。
データ収集
11.委員会は、選択議定書で対象とされている問題についての細分化されたデータおよび最近実施された全国的標本抽出研究が存在しないことを遺憾に思う。
12.委員会は、締約国が、選択議定書で対象とされている問題についての調査研究が行なわれること、ならびに、とくに年齢、ジェンダーおよびマイノリティ集団によって細分化されたデータが体系的に収集されかつ分析されることを確保するよう、勧告する。
予算配分
13.委員会は、選択議定書を実施するための予算配分に関して提供された情報が限られていることに留意する。
14.委員会は、締約国に対し、次回報告書で、選択議定書を実施するための予算配分に関する、より完全な情報を提供するよう奨励する。

2.子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春の禁止

現行刑事法令
15.委員会は、締約国が、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰することを目的とした人身取引に関する刑法の改正規定(第224条)を2003年7月4日に採択したことに、評価の意とともに留意する。委員会はまた、児童ポルノ(子どもの使用をともなう性的性質の動画または静止画像と定義されている)への関与に対する刑罰を定めた刑法第204条の規定にも留意するものである。委員会は、締約国の法律に掲げられた犯罪が選択議定書第3条1項(c)に挙げられているすべての行為、すなわち「児童ポルノを製造し、配布し、頒布し、輸入し、輸出し、提供しもしくは販売しまたはこれらの行為の目的で所持すること」が網羅されていないことを懸念する。
16.委員会は、締約国が、18歳未満のすべての子どもが刑法上保護されること、および、この保護において「児童ポルノを製造し、配布し、頒布し、輸入し、輸出し、提供しもしくは販売しまたはこれらの行為の目的で所持すること」に関わるすべての行為および活動が網羅されることを確保するよう、勧告する。さらに委員会は、締約国に対し、議会の勧告にしたがってポルノに関する一般的規定から児童ポルノを切り離すよう奨励するものである。
17.委員会は、締約国に対し、インターネット上の児童ポルノに関してインターネット・サービス・プロバイダに課される義務についての特別法の採択を検討するよう奨励する。

3.被害を受けた子どもの権利の保護

被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置
18.委員会は、締約国に対し、「裁量訴追」(締約国報告書、パラ28)の原則が実務上どのように適用されているか(関連の判例の実例も含む)について、および、人身取引の被害を受けた結果として行なった犯罪について子どもが訴追された事件があれば当該事件について、より詳しい情報を提供するよう要請する。
19.委員会は、締約国の児童福祉サービスにおいて、性的搾取を受けた子どもに関わる専門性が限られていることを懸念する。
20.委員会は、締約国が、児童福祉ワーカーが選択議定書の規定についての十分な研修を受けることを確保し、かつ脆弱な立場に置かれた子どもの分野で援助および支援を提供するための措置を引き続き強化するよう、勧告する。
21.委員会は、児童ポルノ犯罪の被害者が利用可能な専門的サービスが存在しないことに留意する。
22.委員会は、締約国に対し、児童ポルノ犯罪の被害者が十分なサービスを利用できることを確保するよう促す。

4.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止

犯罪を広告する資料の製造および配布の禁止
23.委員会は、児童ポルノ犯罪への対応が地域警察によって行なわれており、かつ、地域警察にはインターネット上の大量のデータおよび資料を効果的に処理する資源および技術的能力が欠けていることに留意する。
24.委員会は、締約国に対し、インターネット上の児童ポルノ関連犯罪に対応する刑事警察の能力を強化するための努力を継続するよう奨励する。委員会はまた、締約国に対し、インターネットの安全な利用について子どもおよびその親に情報を提供するための努力を継続するようにも奨励するものである。

5.国際的な援助および協力

被害者の保護
25.委員会は、締約国がバルト海諸国における防止プロジェクトを非常に活発に主導していることに留意するとともに、締約国に対し、地域的および国際的レベルにおける協力の努力を継続するよう奨励する。
法執行
26.委員会は、ヨーロッパおよび国際社会のレベルで法執行政策を強化するために締約国が行なっている積極的努力に留意するとともに、締約国に対し、引き続きこれらの努力を行ない、ならびに、選択議定書が対象とする分野で問題に直面している国々の法執行機関との二国間協力をさらに強化しおよび向上させるよう奨励する。

6.研修、フォローアップおよび普及

研修
27.委員会は、締約国が、すべての関連の専門家集団を対象とする、条約〔ママ〕の規定に関する体系的な教育および研修を引き続き強化するよう勧告する。加えて、委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムを通じ、とくに子どもに対して選択議定書の規定を広く知らせるよう勧告するものである。
フォローアップ
28.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を閣僚評議会もしくは内閣または同様の機関の構成員、議会ならびに適用可能なときは州の政府および議会に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
普及
29.委員会は、条約〔ママ〕、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。

7.次回報告書

30.第12条第2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって2008年2月6日が提出期限とされている、条約に基づく次回(第4回)定期報告書に記載するよう要請する。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年8月31日)。