総括所見:ノルウェー(第4回・2010年)


CRC/C/NOR/CO/4(2010年3月3日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2010年1月21日に開かれた第1480回および第1482回会合(CRC/C/SR. 1480 and 1482)においてノルウェーの第4回定期報告書(CRC/C/NOR/4)を検討し、2010年1月29日に開かれた第1501回会合において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、条約の2つの選択議定書の実施に関する情報も記載した第4回定期報告書、および委員会の事前質問事項(CRC/C/NOR/Q/4/Add.1)に対する文書回答が提出されたことを歓迎するとともに、締約国における子どもの状況に関する理解の向上を可能にしてくれた、豊かな情報を含んだ報告書および上級レベルの部門横断型代表団との率直かつ建設的な対話を賞賛する。

B.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、以下の法律が採択されたことに評価の意とともに留意する。
  • (a) 児童福祉法改正(未成年者のための児童養護センターに関する第5A章を含む)(2009年6月/7月)。
  • (b) 児童福祉事案を扱う専門児童委員会の設置に関する新法(2009年3月)。
  • (c) 反差別およびアクセシビリティ法(2009年1月)。
  • (d) 新移民法(2008年5月15日)。
  • (e) 民族、宗教等を理由とする差別禁止法(2006年1月)。
  • (f) 平等・反差別オンブッドおよび平等・反差別裁定委員会に関する法律(2006年1月)。
  • (g) 新幼稚園法(2005年6月)。
4.委員会は、締約国が、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書を2003年9月に批准したことを歓迎する。

C.主要な懸念領域および勧告

1.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条6項)

委員会の前回の勧告
5.委員会は、条約に基づく締約国の第3回定期報告書(CRC/C/15/Add.263)および2つの選択議定書に基づく第1回報告書(CRC/C/OPAC/NOR/CO/1およびCRC/C/OPSA/NOR/CO/1)についての委員会の総括所見を実施するために締約国が行なってきた努力を歓迎するとともに、この総括所見に記載されている積極的側面、懸念および勧告ではこれらの3つの条約に基づく締約国の義務に言及されていることに締約国の注意を促す。
留保
6.委員会は、「罪を問われている少年および少年犯罪者を成人から隔離しておく義務に関して」締約国が市民的および政治的権利に関する国際規約第10条2項(b)および3項に対して付した留保について懸念する。これは子どもの権利条約に基づく子どもの権利にも影響するためである。
7.委員会は、締約国に対して当該留保の撤回を検討するよう促すとともに、少年司法について触れたこの総括所見のパラ59および60に対して締約国の注意を促す。
立法
8.委員会は、法律を条約と全面的に調和させる目的で法律を改正しまたは新法を採択するために政府が行なっている現在進行中の活動に留意するとともに、条約とノルウェー法との関係の専門的検討を命じた政府の取り組み(ソーヴィッグ報告)を歓迎する。
9.委員会は、締約国が、ノルウェー法を条約と調和させるための努力を引き続き行なうよう勧告する。そのための手段には、健康に関わる事柄について意見を聴かれる子どもの権利、プライバシーに対する子どもの権利の保護および親から分離された子どもの後見に関する規則との関連で子どもの権利を基盤とする改正または新法制定を行なうことも含まれる。
調整
10.委員会は、ノルウェーで自治体の自律性が重視されていることは認識しながらも、政府と自治体の間、自治体間および自治体内の調整を向上させるための努力が効果を発揮しておらず、そのためさまざまなサービスの利用可能性、サービスへの容易なアクセスおよびサービスの調整ならびに新たな課題に応じた修正可能性が、国全体で比較可能な形で保障されていないことを懸念する。委員会は、子どもの権利を実施する自治体のサービスに、そのようなサービスの提供規模および合意された提供枠組みの遵守の度合いの面で大幅な違いがあることに、懸念とともに留意するものである。委員会はまた、調整が行なわれていないために、脆弱な立場に置かれて権利を軽視されやすい傾向にある子どもの集団がその権利の実施に関して特別な欠陥が生じるおそれにさらされていることも、懸念する。
11.委員会は、締約国が、政府の「モニタリング向上」イニシアティブ等も活用しながら国全体で子どもの権利がどの程度実施されているかを緊密に監視し、合意された規則および枠組みをすべてのサービス提供者が遵守しているかどうか監視するための機構の活用を強化し、かつ、あらゆるレベルで調整のとれたサービスを提供するためのシステムにおいて、権利の全面的享受のために特別な援助を必要とする子どもに特段の注意が払われることを確保するよう、とりわけ緊急に勧告する。
国際協力
12.委員会は、国際協力に貢献するために締約国が行なっている力強い努力を歓迎する。委員会はまた、子どもの権利への言及が多数見られる締約国の白書「グローバル経済における企業の社会的責任」(議会宛報告書No.10 2008-2009)も歓迎するとともに、企業と人権に関する国際基準(そこでは子どもおよびその権利に対しても言及されるべきである)を策定するための国際連合の努力に対する締約国の支持にも、関心をもって留意するものである。委員会は、締約国に対し、二国間の開発パートナーとの協力においては、子どもによるその権利の享受を増進させる目的で、委員会のそれぞれの総括所見も考慮に入れるよう奨励する。
独立した監視
13.委員会は、子どもオンブズマンの任期に関して新たに採択された規則に留意するものの、子どもからの苦情を受理する権限は必要なときに子どもに即時的援助を与えるひとつの方法であり、かつ子どもの権利侵害に関わる主要な問題領域を判定するための手段として機能しうるにも関わらず、このような権限を子どもオンブズマンに与えるという委員会の提案が受け入れられなかったことを遺憾に思う。
14.委員会は、締約国が、子どもからの苦情を受理する権限および時宜を得た効果的なやり方で苦情のフォローアップを行なうための資源をオンブズマンに与えることを検討するよう、勧告する。
資源配分
15.委員会は、2010年の中央予算により自治体で新たに400のポストが創設される予定であることを歓迎するものの、自治体の高度な自律性に鑑みれば、この予算が必ずしも子どものためのサービスの向上に配分されるとはかぎらない可能性があることに留意するとともに、締約国によれば今後さらに多くのポストが必要になるとされていることにも留意する。委員会は、地理的所在によって子どもが利用可能なサービスに格差が存在し、かつこれらのサービスのなかには職員が深刻に不足しておりかつ資源も不十分なものがあるという情報(子どもからの情報も含む)を懸念するものである。
16.委員会は、締約国に対し、子どもの基本的権利を実施するための質の高いサービスが国全体で利用可能とされることを確保するために必要な自治体向けの人員および物的資源を増加させる努力を継続しおよび強化し、ならびに、配分された資源を自治体がこの目的のために用いることを確保するための措置をとるよう、促す。委員会は、締約国が、子どものための予算配分を監視する目的で子どもの権利の視点からの予算追跡を導入するとともに、子どもの権利のための資源〔配分〕――国の責任に関する2007年の一般的討議をもとにまとめられた委員会の勧告を考慮に入れるよう、勧告するものである。
普及、研修および意識啓発
17.委員会は、条約に関する意識啓発ならびに子どもに関わる専門家および実務家の研修に関して締約国が行なっている努力は評価しながらも、にもかかわらず、この研修がすべての専門家集団を完全に網羅しておらず、義務的でなく、かつ体系的にフォローアップされていないことを懸念する。委員会は、子どもに対して責任を負う地方の公的機関が条約に掲げられた権利について十分精通していないことをとりわけ懸念するものである。
18.委員会は、締約国が、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(子どものケアのための施設の職員、保健従事者、ソーシャルワーカーおよび法執行官を含む)の体系的研修を継続しおよび強化し、ならびに、政策立案機関および自治体の行政機関においても子どもの権利の関する意識を高めるべきであるという、これまでの勧告をあらためて行なう。委員会はまた、子どもの権利に関する包括的情報を、単科大学および総合大学における、子どもおよび家族に対応するあらゆる職業の養成カリキュラムならびにあらゆる段階の学校カリキュラムの一部とすることも勧告するものである。

3.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条)

  • (訳者注)2が欠落しているのは原文ママ。
差別の禁止
19.委員会は、2006年1月に反差別法が施行されたこと、ならびに、やはり2006年に平等・反差別オンブッドおよび平等・反差別裁定委員会が設置され、かつ「平等促進および民族差別防止のための行動計画」が採択されたことを歓迎する。委員会は、子どもの年齢差別が法律に含まれるべきか、および、子どもが年齢を理由として差別された場合に苦情を申し立てる権利を与えられるべきかについて現在行なわれている議論に留意する。しかしながら委員会は、マイノリティおよび先住民族の子どもがスティグマを付与されかつ不当な取扱いを受けている(他の子どもによるものも含む)と感じており、かつ、障害のある子どもから自分の権利が尊重されていないという不満が出されているという情報(子どもからの情報も含む)があることを懸念するものである。
20.委員会は、締約国に対し、マイノリティ集団の子ども、先住民族の子どもおよび障害のある子どもに対する差別と闘い、かつ、差別から保護されるすべての子どもの権利について子どもが幼いころから慣れ親しむようにするため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。委員会はまた、締約国が、法律の適用範囲を拡大することにより年齢を理由とする差別から子どもを保護する可能性について注意深く検討するようにも勧告するものである。
21.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択された宣言および行動計画ならびに2009年のダーバン・レビュー会議で採択された成果文書をフォローアップするために締約国が実施した措置およびプログラムのうち、子どもの権利条約に関わるものについての具体的情報を、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)も考慮にいれながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。
子どもの最善の利益
22.委員会は、2004年のケース取扱い規則および2006年の子ども法改正(いずれも監護事案における子どもの保護に言及している)、ならびに、子どもの庇護申請および人道的理由に基づく在留申請の意思決定手続を規制する2008年の新移民法において、子どもの最善の利益が指導的原則のひとつとして強調されていることを認識する。にもかかわらず、委員会は、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されなければならないという原則がまだ子どもに影響を与えるすべての分野で適用されているわけではないこと(子どもの監護権に関わる事案および出入国管理関連の事案など)、および、子どもの最善の利益を考慮することに責任を負う者が、影響を受ける子どもの最善の利益に関して事案ごとに徹底したアセスメントを実施するための十分な訓練を常に受けているわけではないことを、懸念するものである。
23.委員会は、子どもの最善の利益の一般原則が、すべての法規定ならびに司法上および行政上の意思決定手続(家族問題および代替的養護の問題ならびに出入国管理関連の事案に関わるものを含む)ならびに子どもに影響を与えるすべてのプロジェクト、プログラムおよびサービスに適切に統合されることを確保するための努力を、締約国が継続しかつ強化するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、この原則を運用する方法に関する実際的支持を策定し、かつ、子どもまたは子どもたちの最善の利益の判断に関与するすべての者に対して研修を行なうようにも勧告するものである。
子どもの意見の尊重
24.委員会は、子ども法および児童福祉法の改正により、子どもが自己に関連する事案において意見を表明する権利を認められる年齢が12歳から7歳に引き下げられたこと、および、7歳に満たない子どもでも意見を聴かれる可能性があることを歓迎する。しかしながら委員会は、実際には、子どもの生活についての決定または子どもの生活のための取決めのすべての段階で、とくに子どものケアおよび出入国管理に関わる事案において、意見を聴かれる子どもの権利が全面的に実施されまたは効果的に実践されているわけではないことを懸念する。委員会は、健康問題に関して子どもが意見を聴かれる権利を認められるのは12歳に達して以降のみであることを遺憾に思うものである。委員会は、12の自治体で行なわれている試験的プロジェクトによって16歳以降の子どもが地方選挙で投票できるようになることに、関心をもって留意する。
25.委員会は、条約第12条を全面的に実施し、かつ行政上および司法上の手続(子どもの監護に関わる審理および出入国関連の事案を含む)ならびに社会一般においていかなる年齢の子どもの意見も正当に尊重されることを促進するための努力を、締約国が継続しかつ強化するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、家庭、学校、その他の子ども施設、コミュニティ、国の政策立案ならびに計画、プログラムおよび政策の評価における子どもに関わるすべての事柄について、子どもの参加を促進し、子どもがこの権利を効果的に行使できるよう援助し、かつその意見が正当に重視されることを確保するようにも勧告するものである。条約第29条にしたがい、委員会は、締約国に対し、16歳からの投票に関する試験的プロジェクトが公民教育および人権教育の提供を通じて適切に支援され、かつ、思春期の子どもの市民としての役割に対して当該プロジェクトが及ぼす影響が評価されることを確保するよう、奨励する。委員会は、締約国が意見を聴かれる子どもの権利に関する委員会の一般的意見12号(2009年)を考慮するよう勧告するものである。

4.市民的権利および自由(条約第7条、第8条、第13~17条および第37条(a))

思想、良心および宗教の自由
26.委員会は、子どもは人間生命の基本的な疑問および課題に対するさまざまなアプローチについて公正な方向づけを与えられるべきであることを示すために現在では「宗教・生命哲学・倫理」と題されている学校科目について行なわれた教育法改正を歓迎するものの、この目標が実際にどのように実施されているかについて懸念を覚える。委員会はさらに、その教育目標がノルウェー法と両立しているかに関してめったに検討されることがない、いくつかの孤立した宗教的コミュニティの子どもについて懸念を覚えるものである。
27.委員会は、締約国が、改訂された学校科目「宗教・生命哲学・倫理」の目的がどのように達成されており、かつ、この科目の目標を十分に実施するために教員はどのような支援を必要としているかに関する研究を実施するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、孤立した宗教的コミュニティの教育上の目標および実践を、ホリスティックかつ人権志向の教育に対する子どもの権利との両立性の観点から検討するよう勧告するものである。
プライバシーの保護
28.委員会は、親が、子どもの生活の詳細をウェブで明らかにする(監護権をめぐる紛争での立場を有利にすることが目的の場合もある)際にプライバシーに対する子どもの権利を侵害する可能性があるという情報に懸念を覚える。
29.委員会は、締約国に対し、親その他の者が、子どもに関する情報であってプライバシーに対する子どもの権利を侵害しかつ子どもの最善の利益にかなわないものを明らかにすることを防止する権限を、ノルウェー・データ調査局に与えるよう勧告する。
子どもに対する暴力に関する国連研究のフォローアップ
30.委員会は、子どもに対する暴力に関する国連研究の勧告をフォローアップするために締約国がとった措置に、評価の意とともに留意する。委員会はとくに、親密な関係における暴力を対象とする新たな規定を刑法に含めることにもつながった、親密な関係における暴力に関する行動計画(2004~2007年)を歓迎するものである。委員会はまた、子どもに対する暴力に関する子ども法改正の提案が提出され、現在ノルウェー議会で検討されていることに、関心をもって留意する。委員会は、締約国が提供している、子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表への支援をきわめて高く評価するものである。
31.子どもに対する暴力に関する国連研究について、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) ヨーロッパ・中央アジア地域協議(2005年7月5~7日、リュブリャナ(スロベニア))の成果および勧告を考慮しながら、子どもに対する暴力に関する国連研究の勧告(A/61/299)を実施するためにあらゆる必要な措置をとること。とくに、委員会は、締約国が以下の勧告に特段の注意を払うよう勧告するものである。
    • (i) 子どもに対するあらゆる形態の暴力を禁止すること。
    • (ii) 防止を優先すること。
    • (iii) 子どもの参加を確保すること。
    • (iv) 国際的コミットメントを強化すること。
  • (b) すべての子どもがあらゆる形態の身体的、性的および心理的暴力から保護されることを確保し、ならびに、このような暴力および虐待を防止しおよびこれに対応するための具体的なかつ期限を定めた行動に弾みをつける目的で、市民社会と連携しながらおよびとくに子どもの参加を得ながら研究の勧告を行動のためのツールとして活用すること。
  • (c) 子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表と連携し、かつ同代表を引き続き支援すること。

5.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(4項)および第39条)

家庭環境
32.委員会は、父親の親休暇が10週に延長されたことを歓迎する。委員会はまた、同棲中の両親が子ども法のもとで子どもに対する共同親責任を認められるのが通例であること、および、親を能力面および責任面で援助するための家族カウンセリング・サービスが拡大されかつ強化されたことにも留意するものである。しかしながら委員会は、別居および紛争の際に裁判官および専門家が十分な資質を有していない場合があること、子どもが、別居および紛争の際、その最善の利益にかなう場合に双方の親との接触を確保するための援助を受けていないこと、および、親とともに暮らす子どもの権利が親の退去強制の待機期間中に十分に考慮されていないことを、懸念する。委員会はさらに、子どもが収監中の親と継続的関係を保つことが十分に支援されていないことを懸念するものである。委員会はまた、重大なネグレクトおよび虐待の場合を除き、児童福祉機関は親の同意がなければ子どもに援助を提供できないことも懸念するとともに、このために、援助を必要としている子どもが援助を受けられていない可能性があることに留意する。
33.委員会は、締約国が、親としての責任を適確に履行できるよう親を援助するための努力を強化するとともに、カウンセリング、紛争解決または家族別離問題に関与するすべての専門家および実務家の、家族生活の継続を支援しまたは監護に関するもっとも受け入れ可能な解決策を見出す能力、および、離婚または別居の際にはあらゆる状況において子どもの最善の利益を考慮しながら双方の親との子どもの接触を援助する能力を増進させるための努力を強化するよう、勧告する。委員会はまた、親の退去強制の際には親とともに暮らす子どもの権利が十分に考慮されるべきこと、および、刑務所当局は子どもが収監中の親と面会するための手配の便宜を図るべきことも、勧告するものである。委員会はさらに、親に通知することによって子どもに援助を提供する可能性が阻害されるおそれがあるときは親の同意とは独立に児童福祉機関に接触を図る権利を子どもに与えるよう、勧告する。
家庭環境を奪われた子ども
34.委員会は、締約国が、親と暮らすことのできない子どもが入所型養護施設に措置される件数を減らし、これに代えて可能な場合には常に里親家庭を活用するための努力を行なってきたことに留意する。しかしながら委員会は、広範な在宅援助にも関わらず、家庭養育から分離される子どもの人数が増えていることを懸念するものである。委員会は、里親家庭のすべての子どもについていずれかの監督者が指定されているわけではないこと、および、監督者が自己の任務に関する準備を十分に整えていない可能性があることに、遺憾の意とともに留意する。委員会はまた、適切な選択肢がすべての場所で利用できるわけではないこと、および、そのため子どもの措置が時として運次第になっていることも懸念するものである。委員会はさらに、家族および子どもに対する在宅援助ならびに代替的養護への措置を担当する児童福祉機関が深刻な資金不足に陥っており、かつ、里親家庭または在宅の子どもに関して予防的活動およびフォローアップ活動を行なう能力も制約されていることを懸念する。
35.委員会は、締約国が、子どもに対して十分なケアおよび支援を提供できなくなるおそれがある家族についての予防的努力を拡大しおよび強化し、ならびに、予防的努力がうまくいかないときは、子どもに対してその最善の利益にしたがった養護を提供するために必要なさまざまな代替的便益を利用可能とするための資源を、児童福祉機関に対して提供するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、代替的養護下にある子どもを注意深くフォローアップし、子どもの家庭復帰の可能性を定期的に検討し、かつ、成年に達するまで子どもが代替的養護下に留まるときは成人期への移行を容易にするよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、子どもの代替的養護に関する国連指針〔PDF〕(総会決議A/RES/64/142)を考慮するようにも勧告するものである。
虐待およびネグレクト
36.委員会は、子どもの虐待およびネグレクトに対応するために締約国が策定した多数の行動計画に、評価の意とともに留意する。委員会は、裁判官、専門家および弁護士を対象として、暴力および虐待ならびに暴力および虐待が疑われる場合の監護事件に関する研修が行なわれたことを歓迎するものである。しかしながら委員会は、同国の一部地域の児童福祉機関が暴力にさらされている子どもを特定しかつ支援するための資源または能力を有していないこと、および、既存のヘルプラインが子どもに十分に周知されていないことを懸念する。委員会はまた、種々の文化の家族で生じる暴力への対応および暴力と無縁な子育てに関する助言の伝達についての能力が限られていることも懸念するものである。
37.委員会は、締約国が、国のすべての地域の子どもおよび家族に対して他の文化の尊重を考慮した十分かつ適切な援助が提供され、かつ、子どもがヘルプラインおよび効果的援助を受けられるところについての情報を有することを確保するよう、勧告する。

6.基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(3項)、第23条、第24条、第26条および第27条(1~3項))

健康および保健サービスへのアクセス
38.委員会は、食生活向上に関する行動計画(2007年まで)および運動に関する行動計画(2005~2009年)に評価の意とともに留意する。委員会は、公立保健所制度および学校保健サービスを強化することに対する締約国のコミットメントを認めるものである。しかしながら委員会は、受領した情報(子どもからのものも含む)によれば自治体はいまなおこれらのサービスを比較可能な規模および質で提供していないことを、懸念する。
39.委員会は、締約国が、子どもが国内のすべての場所で良好な保健サービス(学校におけるものを含む)にアクセスできることを確保するよう勧告する。
思春期の健康
40.委員会は、薬物およびアルコールの問題を防止するための早期介入に関する指針が2009年に導入されたこと、および、薬物およびアルコールの濫用に関する拡大計画が2010年に開始されることを歓迎する。ここ数年、子どもおよび若者による有害物質濫用の水準が安定しておりまたは若干下降していることには留意しながらも、委員会は、この水準が依然として高いことを依然として懸念する。加えて、薬物の過剰摂取による若者の死亡件数が多いことは委員会にとって重大な懸念の対象である。
41.委員会は、締約国が、薬物濫用を減らすための努力を継続しかつ強化するとともに、思春期の健康と発達に関する委員会の一般的意見4号(2003年)を考慮に入れるよう勧告する。
精神保健
42.全国精神保健プログラムを通じて子どものための精神保健サービスが改善されつつあることには留意しながらも、委員会は、子どもおよび若者のための精神保健ケアの待機期間がますます長くなっていることを懸念する。委員会はまた、注意欠陥・多動性障害(ADHD)と診断された子どもに対してリタリンおよびコンサータのような精神刺激薬が処方される例が短期間に急速に増加していることを示す研究について、深刻な懸念を覚えるものである。
43.委員会は、締約国が、精神保健ケアの分野で子どもを対象として活動する、特別な訓練を受けた専門家の人数を増やすことを通じ、子どもおよび若者を対象とする精神保健ケア制度のあらゆる要素(予防、プライマリーヘルスケアにおける一般的な精神保健問題の治療および深刻な障害の専門的ケアを含む)を引き続き発展させるとともに、精神保健サービスにおける待機期間を短縮するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、子どもに対する精神刺激薬の過剰処方現象を注意深く検討するとともに、ADHDと診断された子どもならびにその親および教員が広範な心理的、教育的および社会的措置および治療にアクセスできるようにするための取り組みを行なうことも勧告するものである。
有害な伝統的慣行
44.女性性器切除(FGM)および強制婚の防止のための行動計画(2008年)ならびに双方の問題に対応するためにとられた措置には評価の意とともに留意しながらも、委員会は、強制婚および近親婚の件数が増えているという報告に懸念を覚える。委員会はまた、FGMが行なわれた事件が系統だった収集および訴追の対象となっておらず、かつ、通報された事件でさえ、資源が限られていることおよび関連機関間の調整が不十分であることを理由として警察によって却下されているという報告にも懸念を覚えるものである。
45.委員会は、締約国に対し、とくに子どもとの関連で、FGM、強制婚および近親婚の問題に対応するための防止措置および保護措置(これらの行為の加害者を訴追することも含む)を継続しかつ強化するよう奨励する。委員会は、締約国に対し、これらの慣行の悪影響に関する意識を高めるためにコミュニティの指導者およびNGOと協力すること、同国で強制婚が増えているとされることの実際の理由を明らかにするために強制婚に関して収集された情報を分析すること、および、締約国の国際協力プログラムにFGMおよび強制婚との闘いを含めることを奨励するものである。
十分な生活水準に対する権利
46.委員会は、貧困線以下の生活を送っている子ども、とくに親が失業している家庭、〔親の〕教育水準が低い家庭、ひとり親家庭、複数の子どもがいる家庭および移民家族の子どもに対してますます注意が払われるようになっていることに留意する。委員会は、家族および子どもを対象とする措置は歓迎するものの、これらの措置において、貧困が発達、健康および教育に及ぼす悪影響から子どもが具体的に保護されていないことを懸念する。委員会は、世帯所得補充手当に不平等かつ非体系的な差異があることもあって貧困率が全国で明らかに異なること、および、多くの低所得家庭が暮らしている自治体住宅がより子どもにやさしい環境に改修されていないことを懸念するものである。
47.委員会は、とくに乳幼児期の具体的ケアおよび教育、発達および学習に関する不利な条件を埋め合わせるための学校における特別プログラム、不利な立場に置かれた集団の子どもの栄養状態および健康を改善するための措置、ならびに、自治体住宅をより子どもにやさしいものにするための努力によって、締約国が、貧困下で暮らしている子どもをその状況の有害な影響から保護するための努力を行なうよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、貧困家庭が、ノルウェーのどこに住んでいるかに関わらず十分な援助を受けられることを確保するよう促すものである。

7.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条)

教育(職業訓練および職業指導を含む)
48.委員会は、質の高い幼稚園への幼児の完全通園を達成するという締約国の政策に留意するものの、新たに到着した幼い難民のインクルージョンのために使途指定の補助金が支給されているにも関わらず、移民の背景を有する子どもが十分に就園していないことを懸念する。委員会はさらに、基礎的なノルウェー語および母語による新カリキュラムにしたがっていない自治体が多く、そのため子どもの進路全般に悪影響が生じていることを懸念するものである。マジョリティ層の子どもならびに普通中等学校および職業中等学校双方の子どもを含む子どもの中退率も、委員会にとってさらなる懸念の対象である。委員会は、幼稚園および学校におけるいじめと闘うために行なわれている多くの努力を歓迎するものの、これらの場所において高水準のいじめが生じているとされることを深く懸念する。
49.委員会は、締約国に対し、早期教育の価値についてすべての親を教育し、かつすべての子ども(とくに移民の子どもおよび早期教育支援を必要とするその他の子ども)に対して良質な幼稚園への就園を保障するための努力を強化するよう奨励する。委員会はまた、締約国が、子どもが教室での指導によりついていけるようにするため、学校に新言語カリキュラムを導入するよう自治体に緊急に助言するとともに、伝統的に修了率がよくない集団にとくに焦点を当てながら、子どもが学校教育を修了することを確保するための措置をとるようにも勧告するものである。委員会はさらに、締約国が、学校におけるいじめと闘うための努力を継続しかつ強化するとともに、子どもたちに対し、これらの有害な行動を減らしかつ解消するための努力に参加するよう促すことを勧告する。

8.特別な保護措置(条約第22条、第38条、第39条、第40条、第37条(b)~(d)、第30条、第32~36条)

子どもの難民、庇護希望者および保護者のいない子ども
50.委員会は、締約国が明らかにしたところによれば、保護者のいない庇護希望者に関わる事案の検討は優先されなければならないことを歓迎する。委員会は、新移民法が、新たな出入国管理規則とともに、子どもの最善の利益が第一次的に考慮される旨を定め、かつ子どもに在留許可を与える基準を緩和したことに、関心をもって留意するものである。委員会はまた、児童福祉法第5A章によって、保護者のいない子どもに関する責任が児童福祉機関に委譲されることも歓迎する。しかしながら、委員会は以下の点について懸念を表明するものである。
  • (a) 武力紛争の影響を受けた子どもの特定がおざなりにされていること。
  • (b) 決定が行なわれるまでに時間がかかること。
  • (c) 後見人がしばしば過重な負担を抱えており、そのために役割を十分に果たせていないこと。
  • (d) 締約国が、無作法であり、文化的に配慮を欠き、かつ全般的に信頼できないと見られている年齢判定法を活用する可能性を検討していること。
  • (e) 受入れセンターから失踪する、保護者のいない子どもの人数が増えていること。
  • (f) 保護者のいない子どもの庇護希望者が児童福祉機関によって十分にフォローアップされていないこと。
51.委員会はまた、締約国が児童福祉機関の責任を15歳未満の子どもに限定し、15歳以上の子どもをそれよりも少ない援助しか受けられない状況に置いていること、および、人道的理由に基づく在留許可の決定に際しては子どものノルウェーとの結びつきが重視されるという締約国の発言にも関わらず、ノルウェーで長年暮らしてきた子どもが、ノルウェーとの結びつきを示す確固たる書類があるにも関わらず退去を強制される場合がある旨の報告があることも、懸念する。委員会はさらに、保護者のいない子どもの庇護希望者の養護教育センターをその出身国に設置しようという締約国の計画について懸念するものである。これらの子どものほとんどは戦争および紛争がはびこっている国々の出身であり、出身国では保護を保障することができないためである。
52.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの庇護希望者のなかから武力紛争の影響を受けた子どもを注意深く特定し、かつこれらの子どものリハビリテーションおよび社会的再統合を確保すること。
  • (b) 手続の理解に関して子どもの庇護希望者を援助する後見人を迅速に任命するとともに、提出されている後見人制度関連法案を通じて後見人の役割を明確にすること。
  • (c) 庇護希望者の地位が決定されるまでの待機期間を短縮するための措置をとること。
  • (d) 年齢判定の手続が科学的な、安全な、子どもおよびジェンダーに配慮した公正なやり方で実施されることを確保し、子どもの身体的不可侵性が侵害されるいかなるおそれも回避すること。
  • (e) 計画どおり、児童福祉機関の責任を15歳、16歳および17歳の子どもにも拡大すること。
  • (f) これらの子どもを、ノルウェーでの滞在中、注意深くフォローアップすること。
  • (g) 子どもが失踪して人身取引および搾取を行なう者の手中に陥ることがないようにすること。
  • (h) 失踪の事案を調査し、かつ姿を隠された子どもへのアクセスを可能にする方法を見出すこと。
  • (i) 安全ではない避難元への子どもの送還を回避するとともに、このような子どものノルウェー滞在を、子どもがより平和的条件のもとで帰還する際に必要とされる能力および技能を身につけさせるための機会として活用すること。
  • (j) 子どもの将来についての決定が検討されているときは常に、当該の子どもの最善の利益およびノルウェーとの結びつきが第一次的に考慮されることを確保すること。
  • (k) 出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(2005年)を考慮すること。
売買、取引および誘拐
53.委員会は、人身取引に関する刑法の規定(第224条)が、搾取することおよび他の者を物乞いに誘い込むことも対象とされることを強調するため2006年6月に改正されたことに、関心をもって留意する。委員会は、人身取引被害者の援助および保護を全国的に調整するためのプロジェクトである「人身取引被害者援助・保護調整部局」(KOM)の存在に、評価の意とともに留意するものである。委員会はさらに、子どもの人身取引被害者に関する情報が断片的であり、かつ、子どもを売った者および移送した者ならびに取引された子どもを搾取した者が効果的に裁判にかけられていないことを懸念する。
54.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 2009年に終了した行動計画の結果を評価し、かつ新しい行動計画策定のために当該検討結果を活用すること。
  • (b) 売買および取引の被害を受けた子どもに焦点を定めるとともに、この犯罪と闘う任務を与えられた諸部局に対して必要な人的資源および財源を配分すること。
  • (c) 国内に存在する人身取引被害者を系統的に特定し、人の売買、取引および誘拐を犯罪とする法律を執行し、かつ被害者が的確な処遇を受けるようにするための措置を発展させかつ実施すること。
性的搾取および虐待
55.委員会は、性的搾取および虐待の分野における刑法の新たな規定および改正(児童ポルノに関する規定および性犯罪を行なう意図で子どもと会うことに関する規定を含む)を歓迎する。委員会はまた、子どもに対する性的および身体的虐待を防止する戦略計画(2005~2009年)も歓迎するものである。委員会は、とくに性的搾取および虐待の規模を地図上で明らかにするためのマッピング・プロジェクトが実施されたことに、関心をもって留意する。委員会はまた、性的虐待を含む虐待を経験した子どもに支援を提供する「チルドレンズ・ハウス」の存在にも評価の意とともに留意するものである。しかしながら委員会は、性的搾取および虐待への対応に関わる能力が限定されていることを遺憾に思う。委員会はまた、裁判官による事件の審理に関して14日という法定期限が設けられているにも関わらず、性的虐待事件の通報から審理までに非常に時間がかかっていることも懸念するものである。
56.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの〔商業的〕性的搾取に反対する世界会議(1996年、2001年および2008年)で採択された宣言および行動綱領ならびにグローバルコミットメントならびにこの問題に関する他の国際会議の成果にしたがい、防止、被害を受けた子どもの回復および社会的再統合のための適切な政策およびプログラムを引き続き実施すること。
  • (b) より多くのチルドレンズ・ハウスをすべての県に設置し、かつこれらの施設に十分な人的資源および財源を提供すること。
  • (c) 搾取および虐待を受けた子どもが可能なかぎり早期に援助を得ることを確保すること。
  • (d) 性的搾取および虐待に関する知識が、子どもを対象として活動する専門家および子どもを保護する専門家の養成・研修プログラムに統合されることを確保すること。
  • (e) 14日という法定期限にしたがい、性的虐待事件の審理を迅速に行なうこと。
少年司法
57.対話中に明らかにされたように、ノルウェーで収監されている18歳未満の子どもの人数は少なく、かつ拘禁されている子どもおよび若者は収監の有害な影響を防止するための特別フォローアップを刑務所職員から受けていることには留意しながらも、委員会は、収監される子どもの人数が増えていること、および、これらの子どもが成人の被収容者と別に拘禁されていないことを懸念する。委員会はまた、刑務所の物理的環境が子どもにふさわしくない可能性があること、および、罪を犯した少年の取扱いに関する刑務所職員向けの研修が義務的でないことにも、懸念とともに留意するものである。委員会はまた、犯罪を行なった15歳未満の子どもの司法的および手続的取扱いに関する情報が存在しないことも懸念する。
58.委員会は、締約国に対し、少年司法に関する基準、とくに条約第37条(b)、第39条および第40条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)および自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)が全面的に実施されることを確保するよう、促す。 とくに委員会は、締約国が、少年司法の運営に関する委員会の一般的意見10号(2007年)を考慮に入れながら、以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 子どもが最後の手段として、かつ可能なかぎり短い期間でしか拘禁されないことを確保するとともに、適当な場合には常に、罪を犯した少年を対象とするダイバージョンの措置を積極的に追求することによって、収監されている子どもの人数を削減すること。
  • (b) 拘禁が行なわれるときは、法律を遵守して、かつ条約に掲げられた子どもの権利を尊重して行なわれることを確保すること。
  • (c) 子どもが未決拘禁の際も刑を言い渡された後も成人とは別に収容されるようにすること。
  • (d) 司法制度の対象とされている子どもとともに働く者、少年裁判官、刑務所吏員、保護観察官等が適切な研修を受けることを確保するために必要な措置をとること。
  • (e) 収監期間を更生および教育(職業訓練を含む)のために積極的に活用すること。
  • (f) 条約および国際基準にしたがい、犯罪を行なった15歳未満の子どもが民事上の機関または行政機関によって取り扱われることを確保するとともに、これらの子どもが代替的措置にアクセスできるようにすること。
犯罪の証人および被害者の保護
59.委員会はまた、締約国が、十分な法律上の規定および規則を通じ、犯罪の被害を受けたまたは犯罪の証人であるすべての子ども(たとえば、虐待、ドメスティック・バイオレンス、性的および経済的搾取、誘拐ならびに人身取引の被害を受けた子どもならびにこのような犯罪の証人)が条約で求められている保護を提供されることを確保し、かつ、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針(2005年7月22日の経済社会理事会決議2005/20付属文書)を全面的に考慮するようにも勧告する。
マイノリティ集団に属する子どもおよび先住民族の子ども
60.委員会は、マイノリティおよび先住民族の子どもの権利を確保するために締約国が行なっている努力を歓迎するとともに、「平等促進および民族差別防止のための新行動計画(2009~2012年)」、「サーミ諸語強化行動計画」および「オスロにおけるロマの生活条件を向上させるための行動計画」に留意する。委員会は、締約国が、先住民族集団に属する子どもの言語的ニーズをとくに考慮するようマスメディアに奨励する意思を明らかにしたことに、関心をもって留意するものである。しかしながら委員会は、民族的マイノリティの子どもに対する児童福祉援助の水準がはるかに低いこと、移民の背景を有する子どもの10%はその文化的背景を理由とする脅迫または暴力を経験したことがあること、および、マイノリティの背景を有する男子はマジョリティの子どもよりも頻繁にいじめを経験していることに、懸念とともに留意する。
61.委員会は、民族的マイノリティの背景を有する子どもおよび先住民族の子どもが子どものすべての権利(福祉、保健サービスおよび学校へのアクセスを含む)に平等にアクセスでき、かつ偏見、暴力およびスティグマから保護されることを確保するため、締約国があらゆる努力を行なうよう勧告する。

9.国際文書の批准

62.委員会は、締約国が、子どもの権利の実施にも関係する国際人権文書であって締約国がまだ加盟国となっていないもの、とくに、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約、障害のある人の権利に関する条約、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約、および、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書の批准を検討するよう、勧告する。

10.フォローアップおよび普及

フォローアップ
63.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を議会(ストーティング)、関連省庁および最高裁判所ならびに適用可能なときは地方当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
普及
64.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第4回定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが同国の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。

11.次回報告書

65.委員会が採択し、かつその報告書(CRC/C/114およびCRC/C/124)に掲載した報告の定期性に関する勧告に照らし、ならびに締約国の第5回定期報告書の提出期限が第4回定期報告書の検討後3年を待たずに到来することに留意し、委員会は、締約国に対し、第5回・第6回統合定期報告書を2016年10月6日(すなわち、条約で定められた第6回定期報告書の提出期限の18か月前)に提出するよう慫慂する。この報告書は120ページを超えるべきではない(CRC/C/118参照)。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待する。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年9月5日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。