人外と人間

ハエトリグモ×人間♀「新婚初夜」 和姦

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ちなみに、悪友の緑色軟体は、中の人こと中野さんです。
関連 → ハエトリグモ×人間♀ 非エロ

新婚初夜 6-175様

こういうとき、何を言えばいいのだろう。
いい式だったね、ではなんだかおかしい。それは招待された側が言う台詞だ。

「・・・ええと。」
『うん』

入籍も済ませた。式も終わった。
あと、すべきことと、いえば・・・。

「あ! 郵便受けの名前書き直してくる。」
『それは明日、二人でやろうって言った』
「そ・・・う、でした。うん。そうでした。」
『うん』
「えーと・・・。」
『・・・こわい?』
「そうじゃ、ない、けど。」
『大丈夫』
「・・・うん。」
『優しくする』
「いつだって、優しいじゃない。」
『抑えきれなくなるかもしれない』
「そこまで言われたら、どんなにされても許せるかも。」
『それでも、優しくする』

「・・・わ、私も、頑張る。」
『無理は、させない。大事な、花嫁』

お互いを引き寄せるように抱擁しあった後、体を離し、少しだけ距離をおいた。

第一歩脚が振り上げられ、ふいふいと振られている。
表情も、歩調も、なにもかも、いつもよりずっとずっと真剣な求愛。
ようやく、応える事が出来る。
期待と不安とで、どうにかなってしまいそうだ。

「・・・ふつつかものですが、末永く、よろしくお願いいたします。」
『こちらこそ』

なんだか妙な感じだが、彼の同種は求愛に応える時は身を低くするのだと聞いていたから、
多分これでも合ってる筈だ。
さすがに、求愛の後ですぐにのしかかったりはしないけれども。

『脱ぐ? 脱がせる?』
「・・・脱ぐ。」

さすがにお風呂からずっと全裸のままでいるのは恥ずかしいからとパジャマを着たが、
見ている前で脱ぐのも結局恥ずかしい。
まさかこの期に及んで隣の部屋に追いやるわけにもいかない。

「あ、電気・・・消さないと。」
『そのまま』
「え、で、でも・・・。」
『暗いと見えない』
「見えたら恥ずかしいし・・・。」
『じゃあ、妥協』

ばちんばちんと紐が引かれ、オレンジ色の光が部屋を薄ぼんやりと包んだ。
確かに暗くはなったが、目が慣れるとこれでも結構明るい。
昼行性だから暗いと見えないとかいうけど、多分人間の目よりは、よく見えてるんだと思う。

「・・・向こう、向いてて?」
『何で?』
「だってなんか、恥ずかしい。」
『でも、後ろの目で見える』
「見ようとしなきゃ、見えないじゃない。」
『見えれば見たい』
「うー・・・。じゃあ、私が向こう向く。」
『結果は同じ』

「気分の問題。」

普通に脱ごうとしているのに、何故かうまくボタンが外せない。
衣擦れの音と脱いだパジャマの仄かな暖かさが、なんだか妙に生々しい。
残りは、上一枚と、下一枚。
胸を覆い隠す布切れに手をかけたまま、動けない。
心臓が、凄い勢いで脈打っている。

「っひゃ、あ!?」

不意に、つぅっと、背筋を毛むくじゃらな脚がなぞった。
どうやら、時間をかけすぎたせいで、焦れてきてしまったようだ。

『・・・脱がせていい?』
「・・・う、ん。」

ゆっくりと、布団に押し倒される。
背中にまわされた脚で器用にホックが外され、
胸を覆っていた布切れはそのままするすると脱がされたが、
羞恥に負け、とっさに手で覆い隠してしまう。

『手』
「・・・恥ずかしい。」
『大丈夫』
「で、でも・・・。」
『これからもっと恥ずかしい』
「え、あ、ちょっ、と、ふぁ、あ、やんっ!」

毛むくじゃらな脚は少しずつ、覆い隠す手を押し退けるように膨らみを刺激する。
やがて手は退けられ、一方は嬌声を抑える為に口元に。
もう一方はシーツを掴み、強く握りしめていた。

「んやぁ、っ! くすぐった、ぃいっ・・・!」
『くすぐったい?』
「っあぁんっ、んぁ、っ!」
『敏感?』
「そんなの、分かんなっ、ひぁっ!」

脚でふにふにと揉みしだかれ、脚先の毛で、さわさわと刺激される。
その度に快楽が沸き上がり、背を反らせ、腰を浮かせてしまう。

「ひ、ぁあっ!」
『まだ、胸だけ』

「でも、こんな、あぁっ!」

やがて愛撫する脚は胸だけではなく、首筋や耳、わき腹など、
皮膚が薄く敏感な部分をくまなく撫でていった。

羞恥に頬を染め、太股を擦り合わせ、腰を捩らせ、快楽に肌を震わせる雌。
雄として最高の悦楽を味わわんが為、残された最後の布切れに脚を掛けた。

「や、ぁ、ちょっと待って!」
『待たない』

局部を覆っていた布切れが下げられてゆくと、僅かな水音を伴って
秘所と布切れとの間に透明な糸が架かり、ふつりと切れた。
それを察し、頬が更に染まる。
自分の体だというのに、あの場所がこんなにもいやらしく濡れるなんて、知らなかった。

力の抜けきった身体はいとも簡単に一糸纏わぬ姿になり、またもや覆い隠さんが為に手が伸びたが、その手は脚に阻まれた。

「・・・あんまり、見ないで・・・。」
『なんで』
「やっぱり、は、恥ずかしい・・・。」
『こんなになってるのに?』
「だ、だってそんな、やっ! あ、ひぁあ!」

そっと秘所に触れた脚先が、粘液に濡れる。
消化液を流し込んだ訳でもないのに、中は既にとろとろに蕩けている。
そのまま浅い処を、ねちっこい水音をさせながらかき回すと、びくびくと身体を震わせる。
脚を離すと、引き留めるかのように、先ほどよりも長く、粘液の糸が紡がれた。


『そろそろ』
「はぁ、・・・っ・・・う、ん。」

眼を潤ませ、頬を紅潮させ、息を荒げて横たわる姿は、様々な欲望を掻き立てる。
ぞわぞわとした欲望の赴くまま、鋭い牙の付いた顎を、柔らかな薄い皮膚に寄せた。

『・・・食べたい』
「・・・うん。」
『食べたい?』
「ううん。・・・食べられたい。」

抱き起こされ、肌に当てられた牙が首筋をそっと撫ぜると、ぞくぞくとした感覚が背を走った。

『でも駄目』
「・・・うん。」

とは言ったものの、一度湧きあがった捕食欲求は収まりがつかず、
脚を裸身に絡ませて密着し、顎を唇に寄せた。
柔らかな唇に口づけ、隙間を無くしたくて、触肢で頭を引き寄せると、
頭部を掴まれ、引き寄せられて、さらに互いが密着した。

「ん・・・。」

食むように、液体しか摂取できない構造をした顎で、口内に分泌されている、粘り気を伴った体液を吸う。
舌が触れてきたが、抵抗するでもなく、そのままこちらの顎を確かめるように這っていた。
なんだか少し、くすぐったい。

「んぷぁ・・・ぅ、はぁ・・・、はぁ・・・っ。」

ゆっくりと、脚と触肢を解き、顎を離す。
息を止めていたのか、伸びた唾液の糸が胸の薄い皮膚に垂れるのも気にせず、若干荒い呼吸を暫く繰り返していた。

『前から気になってたけど』
「な、なに?」
『なんで息止め?』
「・・・だってそっちが息しないから、息、するの、忘れちゃって・・・。」

ちゅーをする度に忘れている気がする。
単に個人的な癖なのかとも思っていたが、もしかして、
こういうときに息をしてはならないという暗黙のルールでもあるのだろうか?
だとしたら、鼻と口で呼吸する生物はこういうとき不便なのではないだろうか。
腹にある気管と書肺で呼吸する生物にとっては、よく分からない感覚だけれども。

唇以外にもう一か所、捕食できそうな箇所はあるけれど、あまり体力を消耗させるのもよくない。
それに、最初から全てを味わってしまってはつまらない。
大切な獲物は、じっくりと味わわなければ。

上半身を再び寝かせ、仰向けになった。
閉じた足の間に脚を差し込まれ、開くように促される。

「えっと・・・その・・・。」
『大丈夫。言えば、止める』
「・・・うん。」

第一歩脚で下腹部をゆるゆると愛撫された後、軽く上げた両足が両第二歩脚でしっかりと支えられ、
濡れた秘裂に触肢があてがわれた。

無論、人間とは体の構造が違うのだから、生殖器の構造も大きく異なる。
そもそも、人間の外陰部にあたる部分は無く、あらかじめ触肢の中に精子を移しておいて、
それを雌の生殖孔へと挿入する。

つぷり、と、潤った秘裂に触肢の先端が差し込まれ、
そのままゆっくりと、押し広げるように挿入されてゆく。
じわじわと、身体の中心にヒリついた痛みが広がる。

「っあ・・・・・・っ。」
『止める?』
「・・・大丈夫。・・・何されたって、嫌いになったりしないから。」
『無理させて何かあったら、僕は、僕を許せなくなる』
「・・・本当に、大丈夫だから。・・・ね?」

痛みに耐え、喘ぎながらも少しだけ身体を起こし、
覆いかぶさっているけむくじゃらの脚に手を当て、額を擦り寄せてくる。
いつも通りの温かく柔らかな感触に、途方もない心地よさを感じる。

『・・・わかった』

触肢が、深く、更に深く、奥へと入り込んでゆく。
触肢に生えた体毛のぞわぞわとした感触を膣内に感じ、
それが快感へと変換され、蓄積されてゆくのも感じた。

「うぁ、あ・・・っ。」

一番奥まで触肢が到達し、止まる。

「入っ・・・た、ぁ。」
『痛い?』
「・・・ちょっとだけ。」
『慣れるまで、しばらくこのまま』
「ん・・・。」

歩脚が愛撫を再開し、触肢を挿入したまま、
手近な、というより口に近い太股を、牙を立てずに軽く咬んでいた。
やさしく、皮膚を傷つけないように。それでいて、痕を残すように。

「やっ、そ、そんなとこ、咬んじゃだめぇっ。」
『なんで?』
「だ、だって、痕が残っちゃ・・・っひあっ!」
『傷はつけない。痕が付いても、僕以外、見ない』
「でも・・・っ。」
『やっと、手に入れた。だからもう、絶対に離さない』

言ってから、胸中で自嘲した。
なにが、やっと、だ。僕のほうから言い出したくせに。
なにが、手に入れた、だ。彼女を物扱いしていいわけがない。

けれど、彼女はその言葉に頷き、少し恥ずかしそうに、微笑んだ。

「・・・私も、絶対に離さないからね。」

薬指に填めたその金属で縛るまで手を出さなかったのは、
下らない杞憂に付き合わせてしまったからだというのに。
体格の大きな雄を忌避するようになるという同種の雌の生態を彼女に当てはめるなんて、
成体にあるまじき、実に愚かで、幼稚な考えだと自分でさえも思っていた。
我ながらなんて狭量なんだろうと恥じ入った。
でも、一度感じたその不安を振り切ることは、できなかった。

だから、土壇場で、以前から相談相手になってくれていた悪友が全部バラしたときは、もう駄目だと思った。

『だってさあ、そういうのはきちんと言わなきゃ駄目だろ。』

奴は、事も無げに全てを言ってのけた後、あっけらかんとした顔をして、そう言った。
いや、あいつにそもそも顔なんて無いれども、あくまでもそういう雰囲気で、だ。
それが道理だということぐらいは分かっている。
言わないまま、隠し通そうとしていた自分こそが間違っているということだって分かっている。
分かっていても、焦りに焦った。

だからってこんな土壇場で言わなくたっていいだろうこの緑色軟体め
いや確かに黙ったままだった僕が悪いことぐらい分かっているけれど
せめて心の準備とかいろいろと準備ってものとか順序ってものとかが
成田離婚なんてレベルじゃないだろこのタイミングでとかあり得ない
それとも前に僕の彼女のほうが可愛いって言ったのをまだ根に持って
どうしてくれようかこのぷにぷに野郎いっそ全部ずるずるっと食って
いやそれだとまだ体の中で生きてるからまず消化液を流し込んでから

いや、それよりも、そんなことよりも、だ。

呆れられたんじゃないだろうか。
馬鹿なんじゃないかと思われたんじゃないだろうか。
そんなに信用されていないのかと、思われてはいないだろうか。

がくがくと脚を震わせながら、彼女を振り返った。
見るまでは、見ずに済むから、出来るだけゆっくりと振り返ったけれど、
視界が広いせいで、すぐに彼女の表情は見えてしまった。

彼女は、優しく微笑んでいた。

「なーんだ、そんなことなら、早く言ってくれればよかったのに。」
『・・・え』

だってそれくらい、大切に思っていてくれたんでしょうと、言ってくれた。
そう思ってくれていた事が嬉しいのだとまで言ってくれた。

大切になりすぎて手を出せなくなったのは、やはり、そんな彼女だからこそだろう。
・・・堪えきれなくなりそうな時は、多々、あったけれども。
あのまま言わずにいたら、きっと後悔しただろうし、禍根を残したに違いない。
やはり、悪友には感謝しなくてはならないな、と、改めて思う。

だが今はそんなことを考えるより、眼の前の雌を愛でるのが先だ。


膣内で、触肢が再び動き出した。
ゆっくりと、しかし次第に速度を上げ、緩急をつけながら。
痛みを上回る快楽に押し流されそうになり、脚を必死で抱き寄せると、
足を支える脚にも、少しだけ力がこもった。

『そろそろ』
「うん、っ、っあああっ、ああぁっ!!」

触肢の血嚢が収縮し、体の奥の方に精液が押し出される。
その強烈な感覚がそのまま快感となり、達した。
視界が白く染まり、膣は収縮し、更に奥へと精液を飲み込もうと蠕動する。
その度に、中に入っている物の形がはっきりと伝わり、繋がりを強く実感した。

脱力した身体から、濡れそぼった触肢が、薄く血を含んだ愛液を纏ってずるずると引き抜かれたが、
よほど奥に入れられたのか、精液はあまり漏れだしてはこなかった。

満たしていたものが抜け出ていく喪失感と、ようやく果たされたという達成感で感情が高ぶり、
涙が幾筋か零れた。

『痛、かった?』
その様子に狼狽え、おずおずと、頬に眼を寄せてきた。

「・・・ちょっとだけ。」
『泣いてる?』
「うん・・・うれしいから。」

どうやら照れているらしく、脚をもじもじとさせている。
寄せられた眼に頬を擦り寄せると、布団に押さえつけるように抱きしめられ、
ぐりぐりと体毛を擦りつけられた。

「で。」
『・・・で?』
「もう一回、じゃないの?」
『え』
「だって、反対側がまだ・・・でしょ?」
『それはその、これはその』

触肢は他の脚同様に対で付いていて、通常は両方の触肢に精液を込め、
一度の交尾で幾度かの挿入を繰り返す。
この場合、右触肢の精液は放出したが、まだ左触肢には精液が貯まったままになっている。

『無理は、させない』
「あと一回くらい、大丈夫だよ?」
『でも』
「大丈夫。・・・全部、欲しいの。」
『・・・じゃあ、位置、変える』
「え? ・・・う、うん。」

ぐるんぐるんと、こちらの位置を変えるだけではなく、あちらも位置をかえてみるらしい。
ああでもないこうでもないと、色々と模索している。

『・・・よし』
「・・・え!? こ、この体勢なの・・・?」
『だめ?』
「駄目じゃ・・・ないけど・・・。」

確かに、足をあげ続けるよりはこの体勢の方が楽かもしれない。
けれど、けれど、だ。

「さっきより恥ずかしい・・・。」

脚の付け根、胸板の上に乗って、顎に恥部を向ける。
身体は第一、第四歩脚で支えられ、第二、第三歩脚が、身体を撫で回す気満々で構えている。
まな板の上の鯉ならぬ、胸板の上の獲物と言ったところか。

『あ』
「な、なに?」
『問題発生』
「どうしたの?」
『見えない』
「・・・。」

ものすごく意外だとでも言いたげに、目の前の腹が揺れている。
元々身体の下を視界に入れるような構造ではないのだから当たり前といえば当たり前なのに、
なぜこの体勢をとるまで気が付かないのか。

「やっぱりさっきの体勢に戻したほうがいいんじゃない?」
『なせばなる』
「え!? あ、やぁあんっ!!?」

なさねばならぬ、なにごとも。
見えないけれども見えないなりに、なにかしらの感覚は得ているらしく、愛撫の場所は的確だった。
先ほどの愛撫とは違い、今度は背中が重点的に攻められている。
胸ほど感度の高い場所ではないが、一度達して過敏になった身体はそれすらも性感に変えていた。
ぐちゅり、と、さっきまでの行為で未だ濡れそぼる秘裂へと触肢が挿入された。
しかし、先程までの激しさは無く、奥までは貫かずに浅いところをじりじりと攻めてくる。
さっき拓かれたばかりだというのに、一度達したからだろうか、もっと奥まで欲しいと、身体が疼く。

「ん・・・っ、ね、ねえ、もう少し、奥に・・・。」
『えっち』
「え!? そ、それは私の台詞じゃないの!?」
『さっきまで恥ずかしがってたのに』

ああ、すっかり雌蜘蛛になっちゃってとばかりに大げさに振る舞う様を見ていると、
羞恥よりも呆れのほうが勝ってきた。

「・・・わざと言ってる?」
『勿論』
「でもって、わざとやってる?」
『もっちろん』

愉快そうに揺れる腹部を腹立ち紛れにぽこぽこ叩いても、やはり愉快そうに揺らすだけだった。

「うー・・・。えっち。」
『それはお互い様』
「変態。」
『それもお互い様』

「で、でも、だってこんな、ぁ・・・っ!? や、あああぅぁっ!」

反論しようとしたとたん、今まで止まっていた触肢の動きが再開し、奥まで抉られた。
燻っていた快楽が蘇り、一気に上り詰めそうになってしまう。

「うぁ、ああっ、だ、駄目ぇ! そんな、激しくしちゃ・・・っあ・・・ああっ!」

虐げることに快楽など見出さないけれど、彼女が快楽に溺れる姿には、溺れそうになる。
溺れ、喘ぎ、呼吸もままならない。そんな状況でも、名を呼び、抱きしめてくる。
それが愛おしくて、全ての脚で抱きしめ、触肢を奥まで突き入れた。
再び彼女が、びくびくと体を震わせて甘い声を洩らす。
それに合わせ、再び血嚢を収縮させる。
かき回されて溢れた白濁と愛液の混合物の奥に、さらに白濁を注ぎ込む。
繋がりから体液がごぷりと溢れ、顎を伝い、眼を伝い、布団へと染みていった。

彼女の体が弛緩したのを感じ、そっと、壊れ物を扱うように体の上から降ろして、布団の上に横たえた。

さすがに疲れたのか、少し意識が朦朧としているようだが、先程の言葉通り、僕の脚を離そうとしない。
風呂場に連れていって諸々の体液を流し落としても、ウトウトと半分眠ったままなのに手を離さない。
けれども、これはこれで悪くない気分なので、起こして離させてしまうのは勿体無い。
結局そのまま身体を洗って布団に運び、眠りについた。
ようやく手が緩んだのは、明け方になってからだった。


うっすらと差し込む朝日に目覚めてみれば、いつの間にやら横にいたはずの毛むくじゃらの姿がなかった。
なんだか無性に寂しいような、腹立たしいような気持ちになり、床に残されていた糸を思いっきり引っ張ってやった。
しおり糸は命綱代わりに常に垂らして歩いている糸だから、これを引っ張った先には・・・

『うわっとっとっと』
「一本釣り大成功っと。」

腹の先から出る糸を引っ張られたことでバランスを崩し、よろけながら台所から出てきた。

「何してたの?」
『・・・朝ごはん、いらない?』
「こういう朝は、一緒に布団の中でゆっくりするの!」
『おなかすいてない?』
「ごはんよりも、お風呂よりも、あなたが先。」
『それ、僕の選択権・・・』

その選択肢は僕が先に使いたかった、と、文句をつぶやいた後、
でもまあいいか、と、ごそごそと布団に入ってきた。
相変わらずの体格のせいで布団は持ち上げられてしまっているが、そんなことはどうでもいい。

片側四本の歩脚と頭胸部の間に挟まれ、抱え込まれた。
獣とは違う、不思議な感触の体毛に抱きついて、頬を擦り寄せる。
今までと同じだけれど、今までとは違う。
薬指に填めてくれた指輪と、見えない糸とで、雁字搦めに絡めとられている。
離れたくない。離れられない。離してなんかあげない。
見える幸福と見えない幸福がいっしょくたになって、とても幸福だ。
おなかと腰の違和感も、眠ったことで幾ばくか薄れた気だるい疲労も、薄赤い咬み痕すらも、幸福の証。
これからきっと、こんな朝を何度も迎える事ができるのだろう。

でも、新婚初夜は一度しかないのだ。
あっさり目覚めて終わらせてしまうのは、ちょっと勿体無い。

だから、あとちょっとだけ。
でも、あとちょっとだけ。

ちょっとだけ、この幸せなまどろみを満喫したら、おいしいあさごはんをつくってあげよう。
それから、約束通り、郵便受けの名前を書き変えよう。

二人で、いっしょに。



おわり





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