総括所見:デンマーク(第4回・2011年)


CRC/C/DNK/CO/4(2011年4月7日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2011年1月24日に開かれた第1594回および第1595回会合(CRC/C/SR.1594 and 1595参照)においてデンマークの第4回定期報告書(CRC/C/DNK/4)を検討し、2011年2月4日に開かれた第1612回会合において以下の総括所見を採択した。

I.序

2.委員会は、第4回定期報告書および事前質問事項(CRC/C/DNK/Q/4/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎するとともに、多部門からなる締約国代表団との建設的対話を評価する。しかしながら委員会は、締約国の第4回定期報告書が条約に関する報告ガイドラインにしたがっていなかったことに留意し、締約国に対し、今後の定期報告書は現行ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2)にしたがって提出するよう促すものである。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書に基づく第1回報告書に関して2006年9月29日に採択された総括所見(CRC/C/OPSC/DNK/CO/1)および武力紛争への子どもの関与に関する議定書に基づく第1回報告書に関して2005年9月30日に採択された総括所見(CRC/C/OPAC/DNK/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

II.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展

4.委員会は、以下の法律が採択されたことに評価の意とともに留意する。
  • (a) 不利な立場に置かれた子どもおよび若者への特別な支援をともなう事案の処理において子どもの最善の利益への対応がよりよく行なわれるようにするために社会サービス法を改正するとともに、子どもが危険な状況に置かれている場合に職権で事案を取り上げる国家社会不服審査委員会(Ankestyrelsen)の権利を強化した、2010年子ども改革法(Barnets Reform、2011年1月1日施行)。
  • (b) 親責任法(2007年10月施行)。
  • (c) 代替的養護環境にある子どものケアの水準の向上を目的とした養護措置改革法(2004年12月22日の法律第1442号、2006年1月1日施行)。
5.委員会は、以下の人権文書が批准されたことを歓迎する。

III.主要な懸念領域および勧告

A.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条6項)

委員会の前回の勧告
6.委員会は、締約国の第3回定期報告書の検討後、2005年9月に採択された委員会の総括所見(CRC/C/DNK/CO/3)を実施するために締約国が行なった努力を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、委員会の懸念および勧告の一部が不十分にしかまたはまったく対応されていないことを遺憾に思うものである。
7. 委員会は、締約国に対し、第3回報告書に関する総括所見の勧告のうち未実施のものまたは十分に実施されていないもの(立法、調整、国家的行動計画、普及、データ収集および代替的養護に関するものを含む)に対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。
留保
8.子どもの権利条約第40条2項(b)に付された締約国の留保を継続することで影響を受けうるのは少数の事件に過ぎないと締約国が指摘していることには留意しながらも、委員会は、軽罪で刑の言い渡しを受けた子どもの上訴権を制限し、公正な裁判に対する権利を侵害する当該留保が維持されていることを、依然として懸念する。
9.1993年の世界人権会議で採択されたウィーン宣言および行動計画(A/CONF.157/23)に照らし、委員会は、締約国が、条約第40条2項(b)に対して付した留保の撤回を検討するよう、勧告する。
条約の地位
10.裁判所および行政機関による条約の援用および適用が可能であることには留意しながらも、委員会は、限られた数の事件でしか条約が参照されておらず、かつ、司法機関および行政の意思決定機関による条約の適用も限定されていることに、懸念とともに留意する。これは主として、条約が締約国の国内法に全面的に編入されていないことによるものである。
11.委員会は、締約国が、条約を国内法に全面的に編入するための措置をとる等の手段により、裁判所および行政の意思決定機関が子どもの権利条約を適用することを促進するよう勧告する。
立法
12.委員会は、締約国によってとられた、子どもの生活に直接関係する立法措置を関係する。これには、親の責任および保育に関するものならびに2010年子ども改革法およびその目的(個人の発達および健康に関わる機会均等を確保するため、特別なニーズを有する子どもおよび若者に対する支援を増強させること)が含まれる。しかしながら委員会は、条約の適用範囲を完全に網羅した、より包括的な性質の立法上の枠組みが存在しないことを依然として懸念するものである。委員会はまた、グリーンランドおよびファロー諸島における子どもの権利立法の、条約の原則および規定との調和がまだ図られていないことも懸念する。
13.委員会は、締約国全域の立法および行政規則が条約および2つの選択議定書の原則および規定に全面的に一致し、かつ、新規立法が子どもに対する影響の観点からしかるべき事前評価および事後評価の対象とされることを確保するため、締約国(グリーンランドおよびファロー諸島の当局を含む)があらゆる必要な措置をとるとともに、条約上のすべての権利を包含した、権利を基盤とする子ども法の起草を検討するよう、勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、国連児童基金(ユニセフ)の支援を得て行なわれる予定の、グリーンランド子ども・若者支援法について提案されている改革が、子どものすべての権利および意見を全面的に考慮に入れた包括的実践となることを確保するよう、促すものである。
調整
14.2007年自治体改革法が、社会(市民)サービスの資金拠出および実施を自治体に移管することによって国レベルと地方レベルとの責任配分の合理化を目指していることには留意しながらも、委員会は、条約の実施の横断的かつ縦断的な全般的調整を担当する、国レベルの明確な機構が存在しないことを依然として懸念する。さらに委員会は、新たな責任配分によって資源のより少ない自治体および(または)発展の遅れている自治体(グリーンランドおよびファロー諸島の自治体を含む)に悪影響が生じ、それによって、異なる自治体の子どもが権利を全面的に享受面することに関わる格差が深まる可能性があることを、深く懸念するものである。
15.委員会は、締約国に対し、領域全体における子どもの権利の実施を包括的なかつ首尾一貫したやり方で確保することを目的として、部門を横断し、かつすべての地域圏および自治体を対象とする上級レベルの調整システム/機関を明確に特定するよう、求める。さらに委員会は、このような調整において、自治体改革法の実施を理由として生じる可能性がある自治体間格差の問題に対し、時宜を得たかつ開かれた対応が行なわれるべきことを勧告するものである。
国家的行動計画
16.委員会は、子どもに関して策定されたさまざまな部門別戦略(グリーンランドの2010年の戦略「安全な子ども時代」を含む)を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国が、条約を領域全体で全面的かつ効果的に実施するための、権利を基盤とする包括的な政策および調和のとれた行動計画をまだ採択していないことを遺憾に思うものである。
17.委員会は、締約国が、条約を全面的に実施するための包括的な政策および調和のとれた行動計画を策定するよう勧告する。委員会は、締約国がその際、このような包括的政策および行動計画が権利を基盤とし、かつ、とくにグリーンランドおよびファロー諸島の領域におけるさまざまな地域的文脈を全面的に考慮した国レベルの開発計画における不可欠な構成要素とされることを確保するよう、勧告するものである。委員会はさらに、調和のとれた行動計画には、すべての子どもによるすべての権利の享受に関する進展を効果的に監視するための、具体的な、期限の定められた、かつ測定可能な目標および達成目標が掲げられるべきことを、勧告する。この国レベルの行動計画については、その実施のために必要な財源、人的資源および技術的資源の適切な配分を確保するため、国、諸部門および自治体の諸戦略および予算との連携が図られるべきである。
独立の監視
18.委員会は、デンマーク国家子ども評議会に対する資金拠出額の増加を代表団が発表したことに満足感とともに留意するものの、同機関がオンブズマンの役割を果たしていないことに留意する。さらに委員会は、条約の実施を監視する独立機構の設置を求めた以前の勧告がフォローアップされていないことを深く遺憾に思うとともに、子どもがまたは子どものための苦情を提出することができるデンマーク議会オンブズマンが存在することにかんがみ、デンマークで子どもオンブズマンを設置する意思はないという締約国代表団の発言に、懸念とともに留意するものである。
19.委員会は、人権の促進および保護のための国内機関の地位に関する原則(パリ原則)の諸原則に基づき、グリーンランドに独立の子ども評議会を設置する提案が行なわれていることを歓迎する。しかしながら委員会は、ファロー諸島では子どもの権利に関する独立機構を設置するための措置がなんらとられていないことを、依然として懸念するものである。
20.委員会は、締約国が、同国のオンブズマン制度において条約が全面的に考慮されること、および、子どもの権利の実施を監視するための、透明性および十分な資源を有する、専門の、かつ個別の苦情に対応する権限を与えられた部局が設けられることを確保するための措置をとるべきである旨の勧告をあらためて繰り返す。その際、委員会は、締約国が、現在設けられている独立の監視制度の評価を実施し、かつ、子どもの権利に関するこのような部局の設置にあたってその知見を適用するよう、勧告するものである。ファロー諸島およびグリーンランドの状況について、委員会は、前回の勧告(CRC/C/DNK/CO/3、パラ21)をあらためて繰り返す。委員会は、締約国に対し、子どもの権利の促進および保護における独立した国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(2002年)を想起するよう求めるものである。
資源配分
21.委員会は、2007年自治体改革法により、高負担事案について国が部分的償還を行なうのみで、社会サービスの資金拠出、供給および配分について自治体が全面的に責任を負うこととしたために、一部自治体、とくにもっとも不利な立場に置かれた自治体の子どもが必要な社会サービスを全面的に享受できない状況が生じかねないことを懸念する。さらに、そのような格差が生じるような事態に国家不服審査委員会が対応できることには留意しながらも、委員会は、実際にはこのために資源配分の平等に対する権利が不服審査手続の遅延および不確定性の影響を受ける可能性があることを、懸念するものである。委員会はまた、グリーンランドおよびファロー諸島の子どもの教育に対する権利を実現するためおよび締約国全域の精神保健サービスのための資源配分が不十分であることも、懸念する。
22.委員会は、締約国に対し、すべての子どものすべての権利が実現されることを全面的に確保するために財政支援が必要な自治体に対して当該支援を行なう必要性を念頭に置きながら、子どもの権利を扱うすべての部門に対する資源配分が高水準のまま維持されかつ公平であることを確保するとともに、とくに教育および精神保健サービスにおける予算の要求が全面的に満たされることを確保するよう、促す。
データ収集
23.グリーンランドの領域におけるデータ収集システムが改善されたことは評価しながらも、委員会は、ファロー諸島における条約実施に関する統計データを効果的に収集するための十分な資源が存在しないことを依然として懸念するとともに、いずれの領域についても貧困および虐待事案に関する統計が作成されていないことに留意する。
24.委員会は、締約国に対し、ファロー諸島およびグリーンランドにおける条約実施についての統計システムおよび分析を強化するとともに、貧困、暴力および虐待に関連する政策およびプログラムの参考とする目的でデータが体系的に収集されかつ活用されることを確保するよう、促す。全体として、委員会は、締約国が、領域全体で、条約が対象とするすべての分野について、18歳未満のすべての者に関するデータ(とくに年齢別、性別および民族的背景別に細分化されたもの)を体系的に収集しかつ分析するための能力を引き続き強化するよう、勧告するものである。
普及および意識啓発
25.初等学校および中等学校のいずれの段階においても人権および民主主義が学校カリキュラムの一部とされている旨の締約国の情報は歓迎しながらも、委員会は、とくに子どもの間で条約に関する意識が低いことを懸念する。
26.委員会は、締約国に対し、条約に関する教育を特定の科目として学校カリキュラムに編入するよう促す。委員会はまた、締約国に対し、とくにマスメディアを通じ、公衆一般の間で条約に関する知識を促進するよう促すものである。
研修
27.委員会は、子どものためにおよび子どもとともに働く者(教員を含む)の研修カリキュラムに条約が含まれていないことを懸念する。
28.委員会は、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての者(たとえば裁判官、弁護士、法執行官、公務員、地方政府職員、教員、ソーシャルワーカーおよび保健従事者)およびとくに子どもたち自身を対象とする、子どもの権利を含む人権についての体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させるべきであるという、締約国に対する前回の勧告(CRC/C/DNK/CO/3、パラ23)をあらためて繰り返す。
子どもの権利と企業セクター
29.委員会は、デンマーク財務報告書法を改正する法律(大規模事業者の企業責任および社会的責任の説明)が2008年12月に採択され、デンマークの企業規模上位1100社に対し、企業責任および社会的責任に関する政策および取り組みについての報告が義務づけられたことに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、同法の報告枠組みの一部として子どもの権利または子どもの権利条約が具体的に言及されていないことに留意するものである。
30.委員会は、締約国が、デンマーク企業(デンマークに本社を置く多国籍企業を含む)が子どもの権利について報告するための枠組み、および、国別窓口がデンマークの多国籍企業による違反事案に対応する(国外的対応を含む)ための枠組みを設けるよう、勧告する。委員会は、締約国がその際、条約の関連規定を適用するよう勧告するものである。委員会はさらに、締約国に対し、とくに国連「保護・尊重・救済」枠組みを民間企業および公共企業体の活動に(とりわけ子どもの権利との関連で)適用することに関する世界中の経験を正当に考慮するよう、奨励する。

B.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
31.委員会は、締約国の新移民法(2010年8月1日施行)について、とくに、国民でない者が在留権を取得するための基準がいっそう困難な水準のものとなったこと、および、ポイントに基づく新たな基準のもとでポイントと引き換えに公的手当の受給権がなくなることを理由として、懸念を表明する。委員会は、このことが、移民に対する差別、とくに教育その他の必須社会サービスへのアクセスに関わるロマの子どもに対する差別を悪化させる事実上の効果を有する可能性があることを、懸念するものである。この文脈において、委員会はまた、不利な立場に置かれた家族のうち締約国に新たに到着した家族(その大多数は民族的マイノリティに属している)に対して提供される国の援助に、同様の状況にある他の住民に提供される援助と比べて格差があることも、懸念する。
32.委員会は、締約国が、不利な状況に置かれた家族が社会サービスおよび国の援助に公平にアクセスできることを確保するよう、勧告する。委員会は、締約国に対し、その際、事実上の差別(民族的マイノリティに属している男子および女子ならびに(または)特別なニーズを有しておりもしくは被害を受けやすい状況に置かれている男子および女子にとりわけ影響を及ぼしている可能性がある複合差別を含む)の監視およびこれへの対応を包括的に行なうための、細分化されたデータを収集しかつ分析するよう促すものである。
33.委員会は、締約国に対し、諸保護法の効果的執行を確保すること、あらゆる形態の差別を防止しかつこれと闘うための研究を行ないおよび包括的な広報キャンペーンを開始すること、ならびに、社会およびとくに家庭における子どもの状況およびニーズについての社会の感受性を強化することを、求める。これとの関連で、委員会は、「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画を、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)を考慮に入れながらフォローアップし、かつ、その際、いかなる事由(ジェンダー、民族的出身、出入国管理上の地位、障害、性的指向その他)に基づく差別とも無縁な価値および行動を促進するための努力を強化することを目的として締約国が実施した措置およびプログラムに関する具体的情報を、次回の定期報告書に記載するよう要請するものである。
子どもの最善の利益
34.子ども改革法によって子どもの最善の利益への新たな焦点が包含されたことは歓迎しながらも、委員会は、とくに自治体による子どもの家庭外措置の決定および保護者のいない子どもの庇護希望者の申請においてこれが十分に考慮されていないことを、依然として懸念する。
35.委員会は、締約国が、とくに家庭外措置について決定する際および難民認定手続において、自治体が子どもの最善の利益を考慮することを確保するよう、勧告する。
子どもの意見の尊重
36.委員会は、子ども改革法(2010年)、親責任法(2007年)および養護措置改革法(2004年)のような新法が、意思決定への子どもの関与の強化につながってきたことを歓迎する。しかしながら委員会は、行政手続および法的手続(措置を含む)において意見を聴かれる子どもの権利が十分に明確にされておらず、かつ、上述の法律で求められている自治体子ども政策を起草する際、自治体が子どもの十分な関与を得ていないことに、留意するものである。
37.委員会は、(a) 締約国が、(i) 自治体が自治体子ども政策を起草する際、措置に関わる事柄についても含めて、かつ、(ii) 障害のある子どもの教育、保健および福祉に関わるすべての問題について、子どもの意見が考慮されることを確保するための措置をとること、および、(b) 委員会に対する次回報告書についても含め、自己の権利に関わるすべての事柄に関して子どもが意見を聴かれるためのいっそうの機会を設けることを、勧告する。委員会はまた、締約国が、適切な研修を通じ、子どもの問題に対応するすべての専門家およびスタッフが子どもの意見表明の支援に関する見識および能力を有することを確保するよう、勧告するものである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、意見を聴かれる子どもの権利に関する委員会の一般的意見12号(2009年)を参照するよう求める。

C.市民的権利および自由(条約第7条、第8条、第13~17条、第19条および第37条(a))

拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰
38.委員会は、ファロー諸島で家庭および代替的養護環境における体罰が合法とされていること、および、学校規律に関する政府通達第1号(1994年1月12日)が体罰は用いられるべきではないと述べているにも関わらず、法律に明示的禁止規定がないことに、懸念とともに留意する。
39.委員会は、締約国に対し、体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利に関する委員会の一般的意見8号(2006年)を正当に考慮しながら、すべての場面においてかつ領域全体で体罰が禁止されることを確保するための措置をとるとともに、子どもの固有の尊厳に一致した、規律およびしつけのための代替的措置の使用を奨励する目的で、意識啓発および公衆教育のためのプログラムを実施するよう、促す。
子どもに対する暴力に関する国連研究のフォローアップ
40.子どもに対する暴力に関する国連研究(A/61/299)について、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう奨励する。
  • (a) 子どもに対する暴力に関する国連研究の勧告の実施を確保する等の手段により、ジェンダーにとくに注意を払いながら、子どもに対するあらゆる形態の暴力の撤廃に優先的に取り組むこと。
  • (b) 同研究の勧告、とくに子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表が強調した以下の勧告を締約国がどのように実施しているかに関する情報を、次回の定期報告書で提供すること。
    • (i) 子どもに対するあらゆる形態の暴力を防止しかつこれに対処するための国家的な包括的戦略を各国で策定すること。
    • (ii) あらゆる場面における、子どもに対するあらゆる形態の暴力の明示的な法的禁止を、国レベルで導入すること。
    • (iii) データを収集し、分析しかつ普及するための全国的システムおよび子どもに対する暴力に関する調査研究事項を強化すること。
  • (c) 子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表と協力するとともに、とくにユニセフ、国連人権高等弁務官事務所、世界保健機関(WHO)、国際労働機関、国連教育科学文化機関、国連難民高等弁務官事務所および国連薬物犯罪事務所ならびに非政府組織の技術的援助を求めること。

D.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(4項)および第39条)

家庭環境
41.女性および子どもに対する暴力に対抗する締約国の諸行動計画(2002~2004年および2005~2008年)、ならびに、代表団が述べたようにファロー諸島で家庭における暴力に対抗する行動計画が採択されたことは歓迎しながらも、委員会は、被害者であるか目撃者であるかに関わらずドメスティックバイオレンスの行なわれている状況下で暮らしている子どもに対し、焦点化された必要な注意が向けられていないことを懸念する。とくに委員会は、ドメスティックバイオレンスを理由としてクライシスセンターにおけるショートステイを必要としている子どもが、適切な形で登録されておらず、かつ自治体による支援またはフォローアップも提供されていないことを懸念するものである。委員会はさらに、ドメスティックバイオレンスの行なわれている状況下で暮らしている子どもに関連した自治体の取り組みが不十分であることを懸念する。
42.委員会は、締約国が以下のことを確保するよう勧告する。
  • (a) ドメスティックバイオレンスを理由としてクライシスセンターのサービスを必要とする子どもに対し、自治体が十分な支援を提供するとともに、そのような支援が子どもの入所中にかつ退所後のフォローアップにおいて提供されること。
  • (b) 子どもがドメスティックバイオレンスの被害を受けておりまたはそのような暴力を目撃している旨の報告があるときは、公的機関がその子どもの状況を一貫して検討すること、および、そのようなすべての事案が適正に記録されかつ登録されること。
  • (c) ドメスティックバイオレンスの被害を受けた成人に対しても心理的支援が利用可能とされること。
家庭環境を奪われた子ども
43.委員会は、家庭外養護、とくに施設養護に措置される子どもが多数にのぼることを引き続き懸念する。2007年自治体改革法により、家庭支援および家庭を奪われた子どもの養護に関する責任は、地域圏当局の技術的支援を得ながら自治体が負うことになったことには留意しながらも、委員会は、地方当局が十分な指導および監督を受けていないことを懸念するものである。委員会はさらに、個別行動計画を作成されることなく養護措置の対象とされる子どもが依然として多数にのぼることに、懸念とともに留意する。個別行動計画においては、2004年養護改革法にしたがい、とくに子どもまたは若者の発達および行動、家庭の状況、学校、健康および余暇時間に関わる目標および細目標が定められなければならない。
44.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもが養護措置を受けることにつながるリスク要因に対応することにより、子ども改革法(2010年)に関する措置の実施において家族に適切な支援が提供されることを確保すること。
  • (b) 最善の利益の保護のために養護措置を受けた子どもの指導、監督および監視について中央および地域圏の公的機関による十分な支援が行なわれることを確保すること。
  • (c) 養護措置改革法(2004年)にしたがい、養護を受ける子どもについて個別行動計画が定められることを確保し、かつ養護を受ける子どもの意見を全面的に考慮するために必要な措置をとること。
  • (d) 家庭環境を奪われた子どもに提供される養護の形態として施設養護よりも家族型養護の方が優先されることを目的とした行動計画を策定しかつ実施すること。
  • (e) 上記の勧告を履行するにあたり、総会が決議64/142によって採択した子どもの代替的養護に関する指針〔PDF〕を全面的に考慮すること。

E.基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(3項)、第23条、第24条、第26条、第27条(1~3項))

障害のある子ども
45.障害のある子どもの権利の充足状況を改善するために締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、障害のある子どもの親であって子どもの養育のために労働市場から撤退しなければならない者に対する手当の減額が構想されていることを、懸念する。教育に関して、委員会は、隔離された状況下で教育を受けている障害児の人数が多いことに関して締約国が行なった分析に評価の意とともに留意し、かつこの点に関わる締約国の懸念を共有するものである。委員会はまた、教員養成シラバスが最近改訂されて特別ニーズ教育に関する必修単位が盛りこまれたことにも評価の意とともに留意する一方で、障害のある子どもの学業成績が他の子どもに比べて顕著に低いことを依然として懸念する。委員会は、全般的に、学校においても養護施設および里親家庭の現場においても、障害のある子どもの意見が頻繁に聴かれていない(監督のための訪問中も含む)ことを懸念するものである。
46.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう強く勧告する。
  • (a) 障害のある子どもの親であって障害児の養育のために労働市場から撤退しなければならない者に対する手当の減額の計画を再考すること。
  • (b) 条約第12条および障害のある人の権利に関する条約第7条3項にしたがい、あらゆる現場(精神保健の現場を含む)における子どもおよび若者が処遇、サービスおよび支援に関わる事柄について自由に自己の意見を表明する権利および機会を保障され、かつこれらの権利を行使するための年齢および障害にふさわしい支援にアクセスできることを確保する目的で、法改正を行なうための措置をとること。
  • (c) 必要に応じ、障害のある子どもに対して代替的コミュニケーションのための便益を提供すること。
  • (d) 障害のある子どもが受ける教育の質がすべての子どもの教育の質と平等の水準であることを確保する目的で、すべての教員を対象として障害のある子どものニーズに関する十分な研修を行なうための措置をさらに強化すること。
  • (e) 障害のある子どもを小学校に移籍させる計画を迅速に実施するとともに、その際、障害のある子どもの権利に関する委員会の一般的意見9号(2006年)を考慮すること。
母乳育児
47.委員会は、母乳代替品の販売促進に関する締約国の法律が、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」および世界保健機関決議がその後採択した関連の決議に一致していないことに留意する。
48. 委員会は、締約国が「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を全面的に実施するよう勧告する。締約国はまた、赤ちゃんにやさしい病院をさらに促進し、かつ看護師研修に母乳育児を含めることを奨励するべきである。委員会はさらに、締約国が、国際規則にしたがった体系的な方法で母乳育児に関するデータを収集するための措置をとるよう勧告する。
思春期の健康
49.委員会は、18歳未満の者に対するアルコールの販売が締約国で禁じられる予定であることを歓迎する。委員会は、とくに不利な状況に置かれた子どもの間で、子どもの肥満率が高く、かつこれに関連して生活習慣病およびいっそう高い死亡率にさらされる状況が強まっていることを、依然として懸念するものである。委員会はさらに、グリーンランドおよびファロー諸島の女子の間で望まない妊娠が生じていることを懸念する。
50.委員会は、締約国が、健康上の助言およびケア(学校で提供されるものを含む)、健康的な食料ならびに十分な運動の機会へのアクセスを確保する等の手段により、子どもおよび青少年の肥満と闘うための努力を強化するよう勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国が、マスメディアおよび食品業界が子どもおよび青少年による健康的なライフスタイルおよび消費習慣に貢献することを確保するため、これらの業界の関与を得るよう勧告するところである。委員会はまた、グリーンランドおよびファロー諸島の当局が、望まない妊娠を防止しかつこれに対応するための適切なプログラムおよび戦略を迅速に作成しかつ実施することも、勧告する。
精神保健
51.委員会は、精神医学的評価および治療を必要とする子どもへの治療の保障が確立されているにも関わらず、治療を提供する地域圏の能力が依然として不十分であり、かつ、精神保健上の問題に関する評価および治療を必要とする子どもが長期間待機しなければならない状況が根強く続いていることに、懸念とともに留意する。加えて、国家保健委員会が注意欠陥・多動性障害(ADHD)および注意欠陥性障害(ADD)に対する診断および処方を監督し、かつ必要に応じてこれに介入する権限を有していることには留意しながらも、委員会は、ADHDおよびADDの診断を受けた子どもに対する精神刺激薬の処方が増加していることを依然として懸念するものである。
52.委員会は、締約国が、子どもおよび若者のための包括的な精神保健ケア制度(予防、一般的な精神保健問題のプライマリーヘルスケアにおける治療および重度障害の専門的ケアを含む)を引き続き発展させるとともに、精神保健サービスにおける待機期間を短縮するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、子どもに対する精神刺激薬の処方を注意深く監視するとともに、ADHDおよびADDの診断を受けた子どもならびにその親および教員に対し、より広範な心理的、教育的および社会的措置および治療を提供するための取り組みを行なうことも、勧告するものである。委員会はまた、締約国が、子どもが行なう可能性のある精神刺激薬の濫用を監視する目的で、全国的な有害物質濫用ホットライン(Giftlinjen)を通じ、物質の種別および年齢にしたがって細分化されたデータの収集および分析の実施を検討することも、勧告する。
生活水準
53.委員会は、締約国において相当数の子どもが貧困下で暮らしているという報告があることに懸念を表明する。委員会はまた、いわゆる300時間ルール(2008年現在は450時間ルール)がとくに子どもおよび女性に及ぼす影響についても懸念を覚えるものである。当該ルールにより、給付を2年以上受けている婚姻している夫婦のそれぞれが通常の雇用条件下で最低450時間労働しなかった場合、補足給付が減額されまたは廃止されることになる。とくに委員会は、このルールが民族的マイノリティの女性に主としてかつ不相応に影響を及ぼす効果を有しており、このような女性の子どもに重大な影響が生じていることを懸念するものである。
54.委員会は、締約国に対し、経済的に不利な立場に置かれた家族(ひとり親家庭の子ども、国の福祉を受けている親の子どもおよび新規在留家族の子どもを含む)を支援し、かつ十分な生活水準に対するすべての子どもの権利を保障するための努力を強化するよう、求める。委員会はまた、締約国が、450時間ルールが子どもおよび女性に及ぼす影響を地方当局と協力しながら監視するとともに、これらの子どもおよび女性が社会的不平等および排除の対象とならないことを確保するための措置をとることも、勧告するものである。さらに委員会は、締約国に対し、子どもの貧困に効果的に対応する目的で、グリーンランドおよびファロー諸島におけるものも含む子どもの貧困についてのデータを包括的に収集しかつ分析するために必要な措置をとるよう、促す。

F.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条)

教育(職業訓練および職業指導を含む)
55.「いじめを見張ろう」および「いっしょにいじめに対抗しよう」キャンペーンのような取り組みが行なわれており、かついじめ対策行動計画を定めている学校の割合が高いことは歓迎しながらも、委員会は、学校でいじめが蔓延しており、かつ、行動計画が遵守されなかった場合の学校当局の責任およびフォローアップ措置について法律が明確さを欠いていることを懸念する。委員会はさらに、現行教育プログラムのもとでは、欧州連合または欧州経済領域の市民の子どもしか母語による教育を受ける権利を有していないことを懸念するものである。
56.委員会は、締約国が、とくに親の関与を得る一連の教育手法および社会教育学的手法ならびに適切な学校計画モニタリングを導入することにより、学校におけるいじめを防止しかつこれに対応するための努力を継続しかつ強化するよう、勧告する。委員会はまた、自治体が組織する母語授業を受けていないバイリンガルの生徒を対象とする母語教育の再導入も勧告するものである。

G.特別な保護措置(条約第22条、第30条、第32~36条、第38~40条および第37条(b)~(d))

子どもの庇護希望者および難民
57.委員会は、保護者のいない子どもの庇護希望者の受入れセンターの水準が高いこと、および、このような子どもが、デンマーク外国人法改正によって庇護申請を却下する決定が行なわれた後も引き続き法定代理人にアクセスできることを、歓迎する。しかしながら、委員会は以下のことを懸念するものである。
  • (a) 庇護申請の最終処分前に失踪する子どもの庇護希望者がいること。
  • (b) 庇護を希望する家族の子どもの多くが、その置かれた状況により引き起こされたまたは当該状況に関連するトラウマを経験した結果、心理的または精神医学的問題を有するようになったと診断されていること。
  • (c) 年齢判定に協力しない子どもが手続上の結果に直面することになること。
  • (d) 学齢にある子どもの庇護希望者の大多数が、デンマークの普通学校よりも相当に教育の質が低い別の学校で教育を受けており、かつ、これらの学校では、子どもに進学の資格を与える履修単位が付与されないこと。
58.上述の一連の懸念に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) とくに18歳に達すると同時に行なわれる在留権の取り消しが失踪に及ぼしている可能性がある影響との関連で、保護者のいない子どもの庇護希望者の失踪に関する体系的調査を実施するとともに、そのような状況下にある子どもの権利が全面的に尊重されることを確保するための締約国の政策の立案にあたってその知見を統合すること。
  • (b) 保護者のいない子どもの庇護希望者の失踪を防止することを目的とした、時宜を得た、実際的かつ適切な措置を開始すること。そのための手段には、(i) ダブリンII規則の適用を、それが子どもの最善の利益に一致する事案に限定すること、および、(ii) 保護者のいない子どもの庇護希望者全員に対し、子どもの最善の利益ならびに情報および表現の自由に対する権利を正当に考慮しながら、到着後直ちに、かつ庇護手続が終了するまで、訓練を受けた後見人および必要なときは法的援助が提供されることを確保することが含まれる。
  • (c) デンマーク外国人法について行なわれている改正の提案を見直すことにより、子どもが年齢判定手続に協力しないときは手続上の結果が生じるようにする旨の提案を削除するとともに、そのような手続の実施方法に関する国際基準が導入されることを確保すること。
  • (d) デンマーク外国人法を、トラウマを負い、かつ心理的または精神医学上の問題を有すると診断された子どものために法律上の地位および持続可能な解決策を確保するようなやり方で適用するとともに、このような子どもの精神的リハビリテーションのために必要な社会上および健康上の措置を提供すること。
  • (e) 子どもの庇護希望者および難民が、デンマークの学校に通っている子どもと同一の質の教育を受けることを確保すること。
性的搾取および虐待
59.締約国が性的虐待と闘うための行動計画(2003年)の改訂中であることには留意しながらも、委員会は、改訂計画の作成プロセスにおいて子どもの意見が直接考慮されまたは求められていないことを懸念する。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。
  • (a) 性的虐待の被害を受けた子どもが利用可能な心理社会的支援が不十分であること。
  • (b) 性的虐待に関する現行の通報制度に、子どもの虐待およびネグレクトの発見および通報への専門家の関与に関する指針が欠けていること。
  • (c) ファロー諸島において、ネグレクトまたは虐待を受けた子どもの迅速な回復および再統合のための公的措置について統合的調整が行なわれていないこと。
  • (d) ファロー諸島において、訓練を受けた専門家が子どもの虐待または暴力が関係する事案について関連の当局に通知を行なわない例が報告されていること。
60.上述の懸念に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもに対し、性的虐待と闘うための行動計画(2003年)の改訂について意見を提出するための直接の回路を提供すること。
  • (b) 改訂行動計画において、性的虐待の被害を受けた子どもを対象としたホリスティックかつ長期的な心理社会的支援の提供を強化すること。
  • (c) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書がグリーンランドおよびファロー諸島で適用されることを確保するための措置をとること。
  • (d) ネグレクトまたは虐待を受けたファロー諸島の子どもの迅速な回復および再統合を支援するための公的措置の調整が図られること、および、子どもとともに働く専門家が、子どもが虐待またはネグレクトを経験していることが疑われるすべての事案について、関連当局に一貫して通報することを確保すること。
  • (e) 子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針(2005年7月22日の経済社会理事会決議2005/20付属文書)を全面的に考慮しながら、犯罪の被害を受けたおよび(または)犯罪の証人であるすべての子ども(虐待、ドメスティックバイオレンス、性的および経済的搾取、誘拐ならびに人身取引の被害を受けた子どもを含む)が司法に効果的にアクセスでき、かつ条約で求められている保護を提供されることを、十分な法律上の規定、手続および規則を通じて確保すること。
人身取引
61.委員会は、子どもの人身取引と闘う締約国の努力は歓迎しながらも、デンマークが依然として、人身取引関連の犯罪(強制的な児童売春および児童労働を含む)の被害を受ける子どもにとって重要な通過国および目的地国のひとつであることを懸念する。委員会はまた、人身取引を行なった者ならびに子どもに強制労働および強制売春をさせた者を訴追するための努力が引き続き強化されなければならないことも、深く懸念するものである。委員会はさらに、人身取引の被害を受けた子どもに対する在留許可の付与を促進するための法的枠組みが存在しないことに、懸念とともに留意する。
62.委員会は、締約国に対し、子どもが人身取引の餌食とされないことを確保する目的で、領域内の子どもの権利、とくに保護者のいない子どもの権利を保護するための効果的措置をとるよう促す。委員会は、締約国に対し、その際、以下の措置をとるよう促すものである。
  • (a) 人身取引の被害者である疑いのある子どもが、人身取引の対象とされたことの帰結である状況の結果として収監されず、かつ専門的援助サービスを提供されることを確保すること。
  • (b) 性的目的および労働目的で人身取引を行なった犯罪者を精力的に訴追し、有罪とし、かつ刑に服させること。
  • (c) このような犯罪に対する制裁が、この深刻な人権侵害および子どもの権利侵害の重大性に相応するものとなることを確保すること。
  • (d) 法執行官ならびに子どもとともにおよび子どものために働くその他の社会サービス職員が、被害者の発見および処遇の手法に関する効果的研修を受けることを確保すること。
  • (e) 広範かつ全国的な公衆意識啓発プログラムを奨励しかつ支援すること。
  • (f) 子どもの人身取引に対する政府の対応を改善するため、人身取引対策の取り組みのモニタリングを増進させること。
  • (g) 適切な立法上の措置を通じて、人身取引の被害を受けた子どもが、送還がその最善の利益にかなう場合を除いて送還されないことを確保すること。
ヘルプライン
63.委員会は、子どもヘルプライン(ボーネ・テレフォン)が十分な資金を得ておらず、かつ毎日24時間開設されているわけではないことに、懸念とともに留意する。
64.委員会は、締約国が、子どもヘルプラインが毎日24時間開設されることを確保するとともに、当該ヘルプラインに対し、その運営のための十分な財源および人的資源(領域全体を通じた意識啓発のための資金拠出を含む)を提供するよう、勧告する。
少年司法の運営
65.委員会は、少年司法の運営に関わる以下の問題について深い懸念を表明する。
  • (a) 司法運営法により、14~17歳の者を、(i) 8か月までの未決拘禁(この期間制限は、締約国が例外的事情と考える事件においてはさらなる延長の対象となる)および (ii) 4週間までの独居拘禁の対象とすることが認められていること。
  • (b) 刑事責任年齢が15歳から14歳に引き下げられたこと。
  • (c) 刑法改正により、子どもが関わる事件における収監刑の期間の上限(8年)が廃止されたこと。
66.上述の懸念に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 少年司法における子どもの権利に関する委員会の一般的意見10号(2007年)にしたがい、そのような基準、とくにとくに条約第37条(b)、第39条および第40条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)および自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)が全面的に実施されることを確保すること。
  • (b) (i) 未決拘禁の条件を明確に定め、かつ (ii) その期間を可能なかぎり制限するとともに、18歳未満の者を独居拘禁の対象とすることを禁止するため、司法運営法を改正すること。
  • (c) 18歳未満の者に言い渡される収監刑の上限(8年)を削除した最近の刑法改正の廃止を検討すること。
  • (d) いかなる子どもも、状況に関わらず、普通刑務所制度下で成人とともに収監されることがないことを確保するための措置をとること。
マイノリティ集団または先住民族集団に属する子ども
67.委員会は、国際的規範にしたがって伝統的権利を主張することのできる独自の先住民族コミュニティとしてのイヌイットのアイデンティティを確認するべきであるという自由権規約委員会(2008年、CCPR/C/DNK/CO/5、パラ13)および人種差別撤廃委員会(2010年、CERD/C/DNK/CO/18-19、パラ17)の勧告を、締約国がまだ全面的に実施していないことを遺憾に思う。
68.委員会は、自由権規約委員会(2008年、CCPR/C/DNK/CO/5、パラ13)および人種差別撤廃委員会(2010年、CERD/C/DNK/CO/18-19、パラ17)の勧告をあらためて繰り返すとともに、締約国に対し、先住民族の子どもとその条約上の権利に関する委員会の一般的意見11号(2009年)にしたがって、イヌイットの子どもが、いかなる資格も奪われずかついかなる差別も受けることなく、安全な文化的環境で成長し、自己のアイデンティティを維持しおよび発展させ、ならびに自己の言語を用いる権利を行使できることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。

H.国際人権文書の批准

69.委員会は、締約国に対し、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書、および、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書の適用可能性をグリーンランドおよびファロー諸島にも拡大するよう、促す。委員会はまた、締約国が、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約(1990年)および障害のある人の権利に関する条約の議定書(2006年)の批准を検討することも、勧告するものである。

I.フォローアップおよび普及

70.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を国家元首、最高裁判所、議会、関連省庁および地方当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
71.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第4回定期報告書および文書回答ならびに関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが同国の言語で(デンマークに在留する移民および難民がもっとも一般的に使用している言語への翻訳を含む)広く入手できるようにすることを勧告する。

J.次回報告書

72.委員会は、締約国に対し、次回の定期報告書を2016年2月1日までに提出するとともに、この総括所見の実施に関する情報を当該報告書に記載するよう、慫慂する。委員会は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2)に対して注意を喚起するとともに、締約国が、今後の報告書は当該ガイドラインにしたがうべきであり、かつ60ページを超えるべきではないことを想起するよう求めるものである。委員会は、締約国に対し、報告ガイドラインにしたがって報告書を提出するよう促す。ページの制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲ガイドラインにしたがって報告書を見直し、かつその後再提出するよう求められることになる。委員会は、締約国に対し、報告書を見直しかつ再提出することができないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できないことを想起するよう、求めるものである。
73.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された統一報告ガイドライン(HRI/MC/2006/3)に掲げられた共通コア・ドキュメントについての要件にしたがい、最新のコア・ドキュメントを提出するよう慫慂する。条約別報告書および共通コア・ドキュメントは、一体となって、条約に基づく調和化された報告義務を構成するものである。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年1月20日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。