総括所見:デンマーク(第3回・2005年)


CRC/C/DNK/CO/3(2005年11月23日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2005年9月26日に開かれた第1072回および第1073回会合(CRC/C/SR.1072 and 1073参照)においてデンマークの第3回定期報告書(CRC/C/129/Add.3)を検討し、2005年9月30日に開かれた第1080回会合(CRC/C/SR.1080)において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、定期報告書の作成に関するガイドラインにしたがって作成された締約国の第3回定期報告書および事前質問事項(CRC/C/Q/DNK/3)に対する文書回答が時宜を得た形で提出されたことにより、デンマークにおける子どもの状況に関する理解を向上させることができたことを歓迎する。委員会は、締約国に対し、グリーンランドにおける子どもの状況に関する情報を記載してくれたことについて評価の意を表するものである。しかしながら委員会は、ファロー諸島に関する十分な情報が報告書に含まれていなかったことを遺憾に思う。
3.委員会は、関連省庁の専門家を含む締約国代表団との率直かつ建設的な対話に、評価の意とともに留意する。委員会はまた、代表団にグリーンランドの代表が1名参加していたことについても評価の意を表するものである。

B.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展

4.委員会は、以下のものを含む、報告対象期間中に見られた多くの積極的発展を歓迎する。
  • (a) 子どもの権利条約の実施について全般的進展があったこと。
  • (b) 子どもの権利の促進および保護に関するものも含む政府開発援助に対し、引き続きコミットメントを示していること。
  • (c) 外国人法および統合法が改正され、保護者のいない子どもの庇護希望者の法定代理人について定められたこと。
  • (d) 子どもの性的虐待に関わる刑事手続の進行に関して司法運営法が改正されたこと。
  • (e) 若者関連の問題について政府に助言を行なう若者フォーラムが設置されたこと。
5.委員会はまた、以下の文書の批准を歓迎する。
  • (a) 武力紛争への子どもの関与ならびに子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の両選択議定書(それぞれ2002年9月および2003年8月)
  • (b) 国際刑事裁判所ローマ規程(2001年6月)。
  • (c) 国際組織犯罪防止条約を補足する、人、とくに女性および子どもの取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2003年9月)。

C.主要な懸念事項、提案および勧告

1.実施に関する一般的措置

委員会の前回の勧告
6.委員会は、締約国の第2回定期報告書(CRC/C/70/Add.6)の検討後に表明されたさまざまな懸念および勧告(CRC/C/15/Add.151参照)への対応が立法上、行政上その他の措置を通じて行なわれてきたことに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、一部の懸念表明および勧告、とくに国内法への条約の編入、条約の普及、思春期の健康および少年司法制度に関するものへの対応が十分ではないことに留意するものである。
7.委員会は、締約国に対し、前回の勧告のうち部分的にしか実施されていないものおよびこの総括所見に掲げられた一連の勧告に対応するためにあらゆる努力を行なうよう、促す。
留保
8.委員会は、締約国が法改正を行なう予定であり、それによって第40条に付した留保の適用範囲を限定できる可能性がある旨の、代表団によって提供された情報を歓迎する。
9.委員会は、ウィーン宣言および行動計画に照らし、締約国が、第40条に付した留保の全面的撤回に向けた努力を継続するよう、勧告する。
立法および実施
10.委員会は、条約が国内法に正式に編入されていない理由についての報告書および事前質問事項への文書回答における締約国の説明、および、締約国は条約の全面的実施のために精励している旨の代表団の発言に留意する。委員会はさらに、締約国が、欧州人権条約を含む他の地域的文書を国内法に編入していることに留意するものである。
11.委員会は、締約国が、国内法令が条約と全面的に一致することを確保するための努力を継続しかつ強化するよう、勧告する。委員会はさらに、国内法の規定が条約に掲げられた権利に抵触するときは常に条約が優先するべきことを勧告するものである。
調整
12.委員会は、条約の実施を調整する任務を委ねられた家族・消費者問題省の設置を歓迎するとともに、テーマ別の調整のための臨時省庁間委員会が役割を果たしていること、および、自治体が2006年中に一貫した子ども政策を策定しなければならないことに留意する。しかしながら委員会は、国レベルにおいておよび国と地方レベルとの間で包括的調整がどのように確立されるのかがいまなお不明確であることを、懸念するものである。
13.委員会は、締約国が、条約の包括的かつ効果的実施を国の全域で確保する目的で締約国のすべての政策を効果的に調整する、家族・消費者問題省の能力を強化するよう、勧告する。
国家的行動計画
14.委員会は、さまざまな部門別行動計画には留意しながらも、包括的な国家的行動計画がいまなお存在しないことを懸念する。
15.委員会は、締約国が、さまざまな部門別行動計画を包含し、条約のすべての分野を網羅する包括的な国家的枠組みにこれらの行動計画を位置づけることによってこれらの計画間に存在する可能性がある食い違いに対応し、かつ、子どもに関する総会特別会期(2002年)の成果文書「子どもにふさわしい世界」を考慮に入れた、国家的行動計画を策定しかつ実施するよう勧告する。
データ収集
16.委員会は、とくに事前質問事項に対する文書回答で提供されたデータの量に評価の意とともに留意するものの、これらのデータにはいまなお欠落があるという締約国の懸念を共有する。委員会はさらに、グリーンランドおよびファロー諸島における条約の実施についての統計データがないことを懸念するものである。
17.委員会は、締約国が、条約の実施の全体像を理解するために必要なデータを収集するための努力を継続しかつ強化するよう、勧告する。委員会はさらに、グリーンランドおよびファロー諸島における条約の実施についての詳細なデータを次回の定期報告書で提供するため、締約国が必要な措置をとるよう勧告するものである。
子どものための資源
18.条約の実施に振り向けられた資源配分について利用可能とされた情報は歓迎しながらも、委員会は、グリーンランドに関する情報がきわめて限られていることを懸念する。
19.委員会は、締約国が条約第4条に基づく義務をどの程度満たしているかに関する適正な評価が行なえるようにする目的で、とくにグリーンランドおよびファロー諸島における条約の実施に関わる国家予算の額および割合についての具体的情報の提供を継続しかつ強化するよう、勧告する。
独立の監視機構
20.委員会は、国家子ども評議会が監視の役割を担っており、かつ、その役割および職務について現在締約国で議論が行なわれている旨の情報に留意する。しかしながら委員会は、同評議会の財源が削減されたことを懸念するものである。
21.国内人権機関に関する一般的意見2号(2002年)に照らし、委員会は、締約国が、条約の実施を監視するための独立機関(オンブズマン事務所または国家子ども評議会など)を指定し、またはそのための別個の機関を設置するよう、勧告する。当該機関に対しては、個別の苦情申立てに対応する権限が与えられ、かつ必要な人的資源および財源が提供されるべきである。
研修/条約の普及
22.締約国が努力を行なっていること、および、条約の普及が継続的プロセスであり、かつ国家子ども評議会の活動において高い優先順位を与えられていることには留意しながらも、委員会は、条約に関する体系的なかつ一貫した教育が学校で行なわれていないことを依然として懸念する。
23.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう奨励する。
  • (a) 条約その他の関連の人権条約をカリキュラムに編入するとともに、初等学校および中等学校の双方においてこれらの条約に関する教育を強化すること。
  • (b) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての者(たとえば裁判官、弁護士、法執行官、公務員、地方政府職員、教員、ソーシャルワーカーおよび保健従事者)およびとくに子どもたち自身を対象とする、子どもの権利を含む人権についての体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させること。

2.一般原則

差別の禁止
24.委員会は、人種または民族的出身を理由とする直接間接の差別を禁止し、かつ嫌がらせおよび差別するよう指示することを禁止する規定を含む民族平等法が2003年5月に採択されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、民族的マイノリティの子ども、子どもの難民および庇護希望者ならびに移住者家族に属する子どもに対する事実上の差別ならびに人種主義的および排外主義的態度についての前回の懸念(CRC/C/15/Add.151参照)をあらためて表明するものである。これとの関連で、委員会は、社会権規約委員会(E/C.12/1/Add.102参照)および人種差別撤廃委員会が表明した懸念と見解を一にする。
25.条約第2条に照らし、委員会は、締約国が、すべての子どもに対するあらゆる形態の事実上の差別を防止しかつ撤廃するための努力を強化するよう、勧告する。
26.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択された宣言および行動計画をフォローアップするための行動計画の作成が進められているという情報を歓迎する。委員会は、当該計画の内容および実施に関する情報を次回の定期報告書に記載するよう要請するものである。
子どもの意見の尊重
27.委員会は、行政上の意思決定プロセスにおいて、12歳の未満を含む子どもの意見がいっそう考慮されるようになっていることを歓迎する。
28.条約第12条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 子どもとともに働くすべてのおとなが、自己の意見を表明する力のある子どもに対してそのための十分な機会が提供され、かつその意見が効果的に考慮されるようにするための訓練を受けることを確保すること。
  • (b) すべての自治体が、子どもおよび若者による積極的参加の要件を満たし、かつ、子どもの意見がどの程度考慮されているか(子どもの意見が関連の政策およびプログラムに及ぼした影響を含む)について定期的に検討することを確保すること。

3.市民的権利および自由

適切な情報へのアクセス
29.子どもによるインターネットの利用について研究し、かつそのような利用に関する一連の「交通安全規則」を策定しようとするメディア評議会の取り組みは歓迎しながらも、委員会は、インターネット上で発見しうる不適切な資料および違法な資料の量が多いことを懸念する。
30.委員会は、締約国に対し、条約第17条(e)にしたがって子どもがその福祉にとって有害な情報および資料から保護されることを確保するよう、奨励する。

4.家庭環境および代替的養護

家族再統合
31.委員会は、家族再統合の資格を認められる子どもの年齢制限を18歳から15歳に引き下げる法改正について、依然として懸念を覚える。
32.委員会は、締約国が、家族再統合の手続が条約第1条と全面的に一致することを確保するためにあらゆる措置をとるよう、勧告する。
代替的養護
33.委員会は、家庭外養護に措置される子どもが増えていることに懸念とともに留意する。委員会は、以下のことをとりわけ懸念するものである。
  • (a) 家庭外措置の必要性に関する徹底したアセスメントが常に行なわれているわけではないこと。
  • (b) 若年の子ども(0~7歳)の相当数が3回以上の措置を経験していること。
  • (c) 民族的マイノリティの子どもが、人口比に照らして過剰に代替的養護施設に措置されていること。
  • (d) 子どもとその親との接触がきわめて限られていること。
34.委員会は、締約国が、家庭外養護への措置を可能なかぎり回避する目的で、子どもおよびその親を支援するための努力を強化するよう勧告する。とくに、委員会は締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 子どものいかなる措置も、当該措置の必要性に関する全面的アセスメントの後に行なわれることを確保すること。
  • (b) すべての事案で、子どもの措置の前に作成される行動計画に目標およびその達成手段が盛りこまれること、および、当該計画が子どもの積極的参加を得て策定されることを確保すること。
  • (c) 家庭外養護の対象とされた子どもにとっての継続性を確保するため、あらゆる必要な措置をとること。
  • (d) デンマーク系以外の民族的出身の里親家庭および施設職員を募集するため、あらゆる必要な措置をとること。
  • (e) 子どもとその親との定期的接触を、当該接触が子どもの最善の利益に反しないときは常に積極的に促進しかつ支援すること。
虐待およびネグレクト、不当な取扱い、暴力
35.委員会は、児童虐待と闘うための行動計画を社会問題省が採択したこと(2004年)を含むさまざまな取り組みを歓迎する。しかしながら委員会は、字王虐待およびネグレクトその他の形態の家族間暴力が高い水準で発生していることを、依然として懸念するものである。
36.委員会は、締約国が、以下の措置をとること等を通じ、児童虐待の被害者である子どもに十分な援助を提供するための度慮kを継続しかつ強化するよう、勧告する。
  • (a) 児童虐待をともなう事案の早期発見および処理。
  • (b) あらゆる形態の児童虐待を防止しかつこれと闘うための、子どもの関与を得て行なう公衆意識啓発キャンペーンおよび教育キャンペーン。
  • (c) 子どもを虐待するおそれがある家庭をとくに対象とした子育て訓練プログラム。
  • (d) 暴力の被害を受けたすべての者がカウンセリングならびに回復および再統合のための援助にアクセスできることを確保すること。
  • (e) 家庭で虐待の被害を受けた子どもに対し、十分な保護を提供すること。
  • (f) 全国的なヘルプライン「ボーネ・テレフォン」への支援およびこれとの連携を強化すること。
37.子どもに対する暴力の問題に関する事務総長の詳細な研究および政府に対する関連のアンケートとの関係で、委員会は、当該アンケートに対する締約国の文書回答、および、2005年7月5~7日にスロベニアで開かれたヨーロッパ・中央アジア地域協議への締約国の参加を、評価の意とともに認知する。委員会は、すべての子どもがあらゆる形態の身体的、性的または精神的暴力から保護されることを確保し、かつ、このような暴力および虐待を防止しかつこれに対応するための具体的な(かつ適切な場合には期限を定めた)行動に弾みをつける目的で、締約国が、市民社会と連携しながら、この地域協議の成果を行動のためのツールとして活用するよう、勧告するものである。

5.基礎保健および福祉

障害のある子ども
38.委員会は、一部自治体で障害のある子どもの保育に関する政策が定められていない可能性があること、および、子どもの最善の利益が常に尊重されているわけではないことを懸念する。
39.委員会は、締約国が、以下の目的のためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。
  • (a) 障害のある子どものニーズがすべての自治体の政策で全面的に考慮されることを確保すること。
  • (b) 障害者の機会均等化に関する国連基準規則(総会決議48/96)を考慮に入れながら、障害のある子どもに対してサービスへの平等なアクセスが提供されることを確保すること。
  • (c) 必要な支援を提供し、かつ、教員が普通学校で障害のある子どもを教育する訓練を受けることを確保する等の手段により、障害のある子どもに対して平等な教育機会を提供すること。
健康および保健サービス
40.委員会は、とくに学校および保育所における健康促進プログラムならびに喘息、アレルギーおよび全般的ウェルビーイングに関わる問題防止のための取り組みを含む保健プログラム「健康な生涯」が採択されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、運動の少なさおよび栄養バランスの悪い食事があいまって生じる体重過多の問題がデンマークの子どもの間で増大しつつあることを懸念するものである。委員会はまた、グリーンランドで乳児死亡率が高くかつ栄養不良の発生件数が多いことも懸念する。
41.委員会は、締約国が、子どもの体重過多および肥満に対応するための努力を継続しかつ強化するとともに、条約の文脈における思春期の健康と発達に関する委員会の一般的意見4号(2003年)に細心の注意を払うよう、勧告する。とくに締約国は、肥満を予防しおよびこれと闘うための努力ならびにグリーンランドにおける栄養不良を削減しおよび予防するための努力を強化するよう、促されるところである。委員会は、締約国が、乳児死亡率が高い問題に対処するため、遠隔地および農村部における出産前ケア政策を引き続き改善するよう、勧告する。
精神保健サービス
42.精神保健ケアサービスを強化するためにとられた措置は認知しながらも、委員会は、相当数の子どもおよび若者が成人向けの精神医学センターに措置されていることなどの課題が残されていることを懸念する。委員会は、グリーンランドにおける自殺率がとくに青少年の間で高いことを深く懸念するものである。
43.委員会は、締約国に対し、子どもおよび若者が成人向けの精神医学センターに措置されることを回避する目的ですべての子どもおよび若者に十分な治療/ケアが提供されることを確保するため、精神保健ケアの発展を継続しかつ強化するよう、奨励する。委員会はさらに、締約国が、とくにグリーンランドにおける青少年の自殺を防止するための措置を強化するよう、勧告するものである。
44.委員会は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)および注意欠陥性障害(ADD)について誤診が行なわれており、そのため、精神刺激薬の有害な作用に関する証拠が増えているにも関わらずこれらの薬が過剰に処方されているという情報があることを懸念する。
45.委員会は、ADHDおよびADDの診断および治療についてさらなる調査研究(子どもの心理的ウェルビーイングに対する悪影響の可能性も含む)を行なうとともに、これらの行動障害への対応に、できるかぎりその他の形態の管理および治療を用いることを勧告する。
十分な生活水準
46.委員会は、締約国が貧困および社会的排除の防止のための行動計画を策定したこと、および、この計画に子どもおよび若者に関する節が設けられていることに留意する。しかしながら委員会は、社会的に不利な立場に置かれた家庭の子どもおよび民族的マイノリティの子どものニーズが同計画に全面的に反映されていない可能性があることを、懸念するものである。
47.委員会は、締約国が、すべての子どものニーズが満たされることを確保するとともに、子ども、とくに社会的に不利な立場に置かれた家庭の子どもおよびデンマーク系ではない民族的出身の子どもが貧困下で暮らすことのないことを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう、勧告する。

6.教育、余暇および文化的活動

48.委員会は、すべての若者がその民族的背景に関わりなくデンマークの教育制度において平等な教育機会を享受できるようにすることを目的とする統合向上作業部会および「すべての若者が必要とされている」キャンペーンを含め、締約国がとっているさまざまな措置を歓迎する。
49.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) すべての子どもが初等中等教育にアクセスできることを確保するために必要な措置をとること。
  • (b) 民族的マイノリティの教育の促進に特段の注意を向けながら、教育における人種的格差を是正するための努力を強化すること。
50.学校におけるいじめと闘うためにとられた多数の措置(教育環境法を含む)は歓迎しながらも、委員会は、この現象が学校で根強く生じており、かつ子どもおよび若者の関与/包摂が不十分であることを依然として懸念する。
51.委員会は、締約国が、いじめと闘うための措置を強化し、かついじめの削減を目的とした取り組みへの子どもの参加を確保するよう勧告する。

7.特別な保護措置

子どもの難民および庇護希望者
52.子どもの庇護希望者の法的地位を向上させ、かつそのニーズに対していっそうの注意が払われることを確保するために外国人地位向上法および統合法が改正されたことには留意しながらも、委員会は、受入れセンターにおける環境について依然として懸念を覚える。委員会はとくに、十分な心理的支援およびレクリエーションの機会を提供する能力が限られていることを懸念するものである。委員会はまた、保護者のいない子どもの庇護希望者が受入れセンターから多数失踪していることも懸念する。
53.委員会は、締約国が、受入れセンターの環境を向上させ、かつ、保護者のいないすべての子どもの庇護希望者に資格のある後見人が任命されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、受入れセンターから失踪する保護者のいない子どもに関する研究を実施するとともに、これらの子どもの権利の尊重に関してその研究の成果を指針とすべきことを勧告するものである。委員会は、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(2005年)に対して締約国の注意を促す。
薬物およびアルコールの濫用
54.委員会は、締約国において薬物およびアルコールを消費する子どもの人数が多いことに、懸念とともに留意する。
55.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもおよび親に対し、薬物およびアルコールの濫用の有害な影響に関する正確かつ客観的な情報を提供すること。
  • (b) 薬物を使用している子どもおよびアルコールを濫用している子どもが犯罪者ではなく被害者として扱われることを確保すること。
  • (c) 薬物およびアルコールの濫用の被害を受けた子どもを対象とした、回復および再統合のためのサービスを発展させること。
性的搾取
56.委員会は、国家警察庁長官官房によって、インターネットを通じて行なわれる犯罪、とくに児童ポルノに関する事件の捜査に対応する特別IT捜査部局が設置された旨の、事前質問事項に対する文書回答で提供された情報を歓迎する。しかしながら委員会は、性的虐待を描写する画像が製造されていることおよび子どもを関与させるポルノが増加していることを深く懸念するものである。委員会はさらに、インターネット上に「児童エロチカ」画像が存在すること、および、子どもが性的サービスを提供するよう奨励されかつ操作されていることを懸念する。
57.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 1996年および2001年の子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で合意されたとおり子どもの商業的性的搾取に関する国家的行動計画を策定する等の手段を通じ、子どもの商業的性的搾取を防止するための努力を強化すること。
  • (b) 子どもを関与させたエロチックな画像の配布を犯罪化する等の手段により、児童ポルノと闘うための十分な措置をとること。
  • (c) 被害者の回復および再統合のための措置を強化すること。
  • (d) 子どもに配慮したやり方で性的搾取の事案を受理し、監視し、調査しかつ訴追する方法について、法執行官、ソーシャルワーカーおよび検察官を対象とする研修を行なうこと。
少年司法の運営
58.委員会は、少年〔司法〕運営法が最近(2004年)修正され、法律に触れた15歳未満の子どもに対してとることのできる措置について明確かつ網羅的な規則が盛りこまれたことを歓迎する。しかしながら委員会は、独居拘禁が行なわれていること、および、深刻な行動上の問題を抱えた18歳未満の者が青年施設に収監されていることを懸念するものである。
59.委員会は、締約国が、少年司法の運営に関する委員会の一般的討議にも照らし、少年司法に関する基準、とくに条約第37条(b)、第40条および第39条ならびに少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)および少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)が全面的に実施されることを確保するよう、勧告する。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 現在行なわれている独居拘禁の慣行を優先的課題として見直し、この措置の使用をきわめて例外的な事案に限定し、この措置が認められる期間を短縮し、かつその最終的廃止を追求すること。
  • (b) 困難な行動を示す18歳未満の者を収監しまたは施設に収容する慣行を廃止するための措置をとること。
  • (c) 法律に触れた15歳未満の子どもに関する規則を全面的に実施するとともに、条約第40条にしたがい、このような子どもが適正な手続きを経ずに自由を剥奪されないことを確保すること。

8.フォローアップおよび普及

フォローアップ
60.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を閣僚評議会もしくは内閣または同様の機関の構成員、国の議会ならびに適用可能なときは州または地方の政府および議会に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
普及
61.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第2回〔ママ〕定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが同国の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。

9.次回報告書

62.委員会は、締約国の定期的なかつ時宜を得た報告を評価するとともに、締約国に対し、2008年8月17日までに、120ページを超えない範囲で(CRC/C/148参照)第4回定期報告書を提出するよう慫慂する。委員会は、次回の定期報告書に、グリーンランドおよびファロー諸島に関する情報が含まれることを期待するものである。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年1月20日)。