総括所見:ベラルーシ(OPSC・2011年)


CRC/C/OPSC/BLR/CO/1(2011年4月8日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2011年1月25日および26日に開かれた第1597回および第1598回会合(CRC/C/SR.1597 and 1598参照)においてベラルーシの第1回報告書(CRC/C/OPSC/BLR/1)を検討し、2011年2月4日に開かれた第1612回会合において以下の総括所見を採択した。

I.序

2.委員会は、締約国の第1回報告書および事前質問事項(CRC/C/OPSC/BLR/Q/1/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎するとともに、ハイレベルな代表団との前向きな対話を評価する。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、条約に基づく締約国の第3回・第4回定期報告書および武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書に基づく第1回報告書について採択された総括所見(2011年2月4日、それぞれCRC/C/BLR/CO/3-4およびCRC/C/OPAC/CO/1〔ママ〕に掲載)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

II.一般的所見

積極的側面
4.委員会は、人身取引、不法な移住および関連の不法行為に対する対策プログラム(2008~2010年)に、評価の意とともに留意する。

III.データ

5.委員会は、選択議定書で対象とされたすべての分野に関するデータ収集、分析および監視のための体系的機構が存在しないことを遺憾に思う。
6.委員会は、締約国が、選択議定書で対象とされたすべての分野に関するデータ収集、分析、監視および影響評価のための包括的かつ体系的な機構を発展させかつ実施するよう、勧告する。当該データは、もっとも脆弱な立場に置かれた集団の子どもにとくに注意を払いながら、とくに性別、年齢、国民的および民族的出身、地理的所在、社会経済的背景ごとに細分化されるべきである。罪種別に細分化された、訴追および有罪判決の件数に関するデータも収集することが求められる。これとの関連で、委員会は、締約国が、とくに国連児童基金(ユニセフ)の技術的支援を求めるよう、勧告するものである。

IV.実施に関する一般的措置

立法
7.委員会は、子どもの売買を個別の問題としてではなく人身取引の不可欠な一部として見なしている締約国のアプローチについて、懸念を覚える。
8.委員会は、締約国に対し、子どもの売買(この概念は人身取引に似てはいるものの同一ではない)を法律上も実際にも禁止する選択議定書上の義務を負っていることを想起するよう、求める。
国家的行動計画
9.委員会は、子どもの権利に関わるさまざまな計画およびプログラムならびに人身取引に関する行動計画(2011~2013年)に留意しつつも、選択議定書をとくに対象とする行動計画が存在しないことを遺憾に思う。
10.委員会は、締約国が、条約およびその選択議定書の実施のための包括的な政策およびそれに対応した国家的行動計画を採択し、かつ当該計画の効果的実施を確保するために十分な監視評価システム(地方レベルにおけるものを含む)を確立するとともに、市民社会および子どもたち自身を含むすべての関係パートナーのいっそうの関与を促進するよう、勧告する。
調整および評価
11.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノを防止するための取り組みに従事している15以上の省庁のうち、いずれの国家機関が選択議定書の実施について主たる責任を負っているかが明確でないことを、遺憾に思う。
12.委員会は、締約国が、横および縦の双方の調整を確保しながら、選択議定書の実施を担当する国レベルの調整機関または調整機構を設置するとともに、当該機関または機構が、国レベルでも地方レベルでもその任務を効果的に遂行するための十分な人的資源、技術的資源および財源を有することを確保するよう、勧告する。
普及および研修
13.締約国の公的機関、マスメディア、国際機関およびコミュニティ団体が人身取引に反対する広報キャンペーンを行なっており、かつ学校で人身取引に関する情報が提供されていることには留意しながらも、委員会は、意識啓発活動では主として人身取引について扱われており、選択議定書で対象とされている犯罪について具体的に扱われていないように思われることを、懸念する。委員会は、子どもとともにおよび子どものために働く専門家が、選択議定書の規定にとくに関連した十分な研修を受けていないことを、遺憾に思うものである。
14.選択議定書第9条2項に照らし、委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび長期的な意識啓発措置を通じ、子ども、その家族およびコミュニティを含む公衆一般に選択議定書の規定を広く知らせるとともに、このような犯罪の被害を受けた子どもとともに働くすべての専門家集団(とくに警察、弁護士、検察官、裁判官、ソーシャルワーカーおよび出入国管理官)を対象とする、選択議定書の規定に関する体系的な教育および研修を継続しかつ強化するよう、勧告する。

V.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止(第9条1項および2項)

選択議定書で禁じされた犯罪を防止するためにとられた措置
15.委員会は、とくにインターネット上の児童ポルノの製造および流布を抑止するために締約国が行なっている努力についての情報に、評価の意とともに留意する。にもかかわらず、委員会は、選択議定書で対象とされた犯罪の防止に対して締約国が優先的注意を向けていないことを、遺憾に思うものである。
16.委員会は、根本的原因、問題の規模ならびに保護措置および防止措置の存在を明らかにし、かつ対象の明確な措置を採択する目的で、締約国が、子どもの売買、児童買春および児童ポルノの性質および規模に関する調査研究を行なうよう、勧告する。

VI.子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春の禁止ならびに関連の事項(第3条、第4条(2項および3項)ならびに第5~第7条)

現行刑事法令
17.委員会は、締約国の刑法で選択議定書に掲げられたすべての犯罪が網羅されているわけではないことを懸念する。しかしながら委員会は、委員会の勧告を考慮しながら法律を再度見直すつもりである旨の、締約国代表団から得られた情報を歓迎するものである。
18.委員会は、締約国が、刑法を改正して選択議定書第2条および第3条と全面的に一致するようにするとともに、不処罰を防止するため、法律が実際に執行され、かつ加害者に適切な制裁が科されること確保するよう、勧告する。とくに、締約国は以下の行為を犯罪化するべきである。
  • (a) 性的搾取、営利目的の子どもの臓器移植もしくは強制労働に子どもを従事させることを目的として、いかなる手段によるかは問わず、子どもを提供し、引き渡しまたは受け取ること、または、養子縁組に関する適用可能な法的文書に違反し、仲介者として不適切な形で子どもの養子縁組への同意を引き出すことによる、子どもの売買。
  • (b) 児童買春の目的で子どもを提供し、入手し、周旋しまたは供給すること。
  • (c) バーチャルな児童ポルノ、あからさまな性的活動に従事する子どもを描いているわけではない子どもの挑発的描写(児童エロチカ)を含む児童ポルノを配布し、輸入し、輸出し、提供し、販売し、所持し、または情を知ってこれにアクセスしもしくはこれを閲覧すること。
  • (d) これらのいずれかの行為を奨励する資料の製造および配布。
法人の刑事責任
19.委員会は、締約国の法律において法人の刑事責任が定められていないことを遺憾に思う。
20.選択議定書第3条4項に照らし、委員会は、締約国が、選択議定書で対象とされたすべての犯罪に関する法人の責任について定めるよう、勧告する。
裁判権および犯罪人引渡し
21.締約国が、犯罪発生地国の法律に関わらず、人身売買関連犯罪についての域外裁判権を設定できることには留意しながらも、委員会は、人身取引の要素をともなわない子どもの売買、児童買春および児童ポルノの犯罪についてもこれが当てはまるのかに関する情報がないことを、遺憾に思う。委員会はさらに、犯罪人引渡し条約が締結されていないために犯罪人引渡しが相互主義の基準に基づいて行なわれることを、懸念するものである。
22.委員会は、締約国が、法律により、選択議定書で対象とされたすべての犯罪について双方可罰性の基準を課すことなく域外裁判権を設定しかつ行使できることを確保するための措置をとるよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、犯罪人引渡しのための効力を有する二国間協定が存在しないときは選択議定書をその法的根拠として活用するよう、勧告するものである。

VII.被害を受けた子どもの権利の保護(第8条ならびに第9条3項および4項)

議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置
23.委員会は、子どもの被害者または証人の事情聴取の際に教員または心理学者が同席することのような一部の保護措置が14歳までの子どもにしか適用されないことを、懸念する。委員会は、人身取引被害者の保護について定める人身取引法案に留意するものの、売買、児童買春および児童ポルノの被害者である子どもに対してこの保護がどのように適用されるのかに関する情報が存在しないことを、遺憾に思うものである。人身被害者については適用除外とされていることには留意しながらも、委員会は、16歳以上の子どもが売春に従事することが行政犯とみなされていることを遺憾に思う。
24.委員会は、締約国に対し、売買、児童買春および児童ポルノの被害者である子どもの保護を人身取引法案に含めるよう、促す。委員会はまた、締約国に対し、子どもの売買、児童買春および児童ポルノの事件の訴追に対する被害者中心アプローチを促進するとともに、被害者の援助および保護に充てられる資源を増加させることも、促すものである。委員会は、締約国が、選択議定書第8条1項および子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての指針にしたがい、18歳に達するまでのすべての子どもの被害者が十分な保護および専門的援助を受けることを確保するための措置を継続しかつ強化するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、選択議定書で禁じられたいずれかの犯罪の被害を受けた子どもが犯罪者と見なされて処罰されることがないこと、および、このような子どもに対するスティグマおよびその周縁化を回避するためにあらゆる可能な措置がとられることを確保するよう、勧告するものである。
被害者の回復および再統合
25.委員会は、子どもの被害者を担当する省庁が子どもの年齢によって異なることに留意するとともに、このような縦割りのアプローチにより、被害を受けたすべての子どもに適切な援助が提供されることを確保するうえで困難が生じる可能性があることを懸念する。委員会は、売買、買春およびポルノの被害を受けた子どもに提供されるサービスについて情報を受け取れなかったことを、遺憾に思うものである。
26.委員会は、とくに包括的なかつ調整のとれた援助を提供し、かつ、選択議定書第9条4項にしたがい、法的に責任のある者に対して被害賠償を求めることのできる子どもにやさしい手続へのアクセスを保障することによって、締約国が、第9条3項にしたがい、選択議定書上の犯罪の被害を受けた18歳未満に達するまでのすべての子どもを対象とする、社会的再統合ならびに身体的および心理社会的回復を促進するための措置を強化するよう、勧告する。

VIII.国際的な援助および協力(第10条)

27.選択議定書第10条1項に照らし、委員会は、締約国に対し、犯罪者のインターネット・プロトコル・アドレス、ホストおよびウェブサイトを追跡するためのインターネット・プロトコル特定システムを増強するため、とくに近隣諸国との多国間、地域間および二国間の取り決めを通じ、引き続き国際協力を強化するよう奨励する。委員会はさらに、選択議定書で対象とされたいずれかの犯罪の効果的な防止、摘発、捜査、責任者の訴追および処罰を可能にする目的で、締約国が、犯罪的資料のホストとなりまたはこれを配布するインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)を特定するよう勧告するものである。この目的のため、委員会は、締約国がすべてのレベルの国際的および地域的枠組みに引き続き参加するよう、勧告する。

IX.その他の法規定

28.委員会は、締約国が、非加盟国による加入に対して開かれている、サイバー犯罪に関する欧州評議会条約(2001年)および性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する欧州評議会条約(2007年)を批准するよう、勧告する。

X.フォローアップおよび普及

29.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を閣僚および議会ならびに自治体に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
30.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および文書回答ならびに採択された総括所見を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、メディア、若者グループおよび専門家グループが広く入手できるようにすることを勧告する。さらに委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じて、子どもおよびその親に対して選択議定書について広く知らせるよう、勧告するものである。

XI.次回報告書

31.第12条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書およびこの総括所見の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回定期報告書(提出期限2017年10月30日)に記載するよう要請する。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年12月26日)。