総括所見:ベラルーシ(OPAC・2011年)


CRC/C/OPAC/BLR/CO/1(2011年4月28日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2011年1月26日に開かれた第1598回会合(CRC/C/SR.1598参照)においてベラルーシの第1回報告書(CRC/C/OPAC/BLR/1)を検討し、2011年2月4日に開かれた第1612回会合において以下の総括所見を採択した。

I.序

2.委員会は、選択議定書に基づく締約国の第1回報告書および委員会の事前質問事項(CRC/C/OPAC/BLR/Q/1/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎するとともに、ハイレベルな代表団との間に持たれた前向きな対話を評価する。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、条約に基づく締約国の第3回・第4回定期報告書および子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書についての第1回報告書について採択された総括所見(2011年2月4日、それぞれCRC/C/BLR/CO/3-4およびCRC/C/OPSC/CO/1に掲載)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

II.積極的側面

4.委員会は、軍への自発的入隊を18歳に達した者に制限する(軍士官学校への入学を除く)旨の、批准時に締約国が行なった制限を歓迎する。
5.委員会はさらに、選択議定書が締約国において法律としての地位を有していることを歓迎する。

III.実施に関する一般的措置

普及および研修
6.委員会は、子どもの状況の改善および子どもの権利の保護のための国家的行動計画(2004~2010年)に、選択議定書の規定を子どもならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家に対して周知するための措置が含まれていることに、積極的側面として留意する。しかしながら委員会は、選択議定書の規定に関する研修が不十分であるように思われることを懸念するものである。委員会はまた、選択議定書に関する一般公衆の意識が低いことも懸念する。
7.委員会は、締約国が、選択議定書の原則および規定が一般公衆に対しておよびとくに子どもの間で広く普及されることを確保するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、軍の構成員を対象とする、選択議定書の規定に関する具体的研修をともなう人権研修を強化するよう勧告するものである。さらに委員会は、締約国が、子どもとともに活動するすべての関連の専門家集団(検察官、裁判官、法執行官、ソーシャルワーカー、医療従事者、教員およびメディア従事者を含む)を対象として、議定書の規定に関する意識啓発、教育および研修のためのプログラムを発展させるよう、勧告する。
データ
8.委員会は、選択議定書の実施に関わるデータが不十分であることを遺憾に思う。
9.委員会は、締約国が、選択議定書の実施に関する情報および統計を収集する目的で、かつ、締約国の領域内にいる子どものうち国外で国以外の武装集団により徴募されまたは敵対行為において使用されたすべての者(子どもの難民および庇護希望者を含む)を特定しかつ登録するために、中央データ収集システムを設置するとともに、条約に基づく次回の定期報告書でこの勧告の実施に関する情報を提供するよう、勧告する。

IV.防止

軍学校
10.数が減っていることには留意しながらも、委員会は、子どもを対象とする軍学校の数がいまなお多いこと、および、これらの学校について軍事機構が責任を負っているのが一般的であることを懸念する。委員会はとくに以下のことを懸念するものである。
  • (a) 国防省に直接報告責任を負い、かつカリキュラムに軍事教育が含まれているミンスク・スボロフ軍学校に、男子が12~13歳で入学していること。
  • (b) 子どもが17歳から幹部候補生として士官学校に入学でき、したがって当該年齢から軍の構成員と見なされていること。
  • (c) 普通学校生を対象とする軍事愛国サマーキャンプの活動が軍部隊の敷地で行なわれ、かつ兵器の紹介も行なわれること。
11.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもを対象とする軍学校の数を漸進的に削減するとともに、全学校に関する責任を国防省から教育省に移管すること。
  • (b) ミンスク・スボロフ軍学校に入学できる最低年齢を引き上げ、かつ同校における兵器使用訓練を廃止すること。
  • (c) 士官学校に在籍する18歳未満のすべての学生を文民と見なし、かつその子どもとしての権利を尊重すること。
  • (d) 子どものための独立した苦情申立て機構の十分な制度を設置すること。
  • (e) 子どものを対象とするサマーキャンプから軍事的側面を取り除くとともに、これらのキャンプに関する責任を教育省に委ねること。
平和教育
12.委員会は、学校で子どもの権利に関する特別科目が教えられていること、および、子どもが選択議定書について学習していることを歓迎する。しかしながら委員会は、学校カリキュラムにおける平和教育の授業が不十分であることを懸念するものである。
13.委員会は、締約国が、学校カリキュラムに平和教育を含め、かつ学校で平和および寛容の文化を奨励するための効果的措置をとるよう、勧告する。委員会はまた、締約国に対し、教員の養成教育および研修に人権教育および平和教育を含めることも、奨励するものである。

V.禁止および関連の事項

現行刑事法令
14.委員会は、18歳未満の者を国軍以外の武装集団に徴募することまたは当該武装集団の一員として敵対行為に関与させることを犯罪とした刑法改正(第136条)を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国の法律で「敵対行為への直接参加」の定義が定められていないことを遺憾に思うものである。
15.委員会は、締約国が、敵対行為への直接参加の定義を刑法で定めるよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、軍のすべての規則、教範その他の訓令が選択議定書の規定にしたがうことを確保するよう、勧告するものである。
裁判権
16.委員会は、締約国のいずれかの国民によってまたはいずれかの国民に対して国外で行なわれた選択議定書上の犯罪について締約国が裁判権を設定できるのは、行なわれた行為がその遂行地である国でも犯罪である場合のみであるという、締約国の立場を遺憾に思う。
17.委員会は、締約国が、その管轄下にある者によってまたはその管轄下にある者に対して国外で行なわれた選択議定書上のすべての犯罪について、当該行為がその遂行地である国でも犯罪とされていることを要件とすることなく裁判権を設定することを検討するよう、勧告する。

VI.保護、回復および再統合

被害を受けた子どもの権利を保護するためにとられた措置
18.委員会は、締約国が、ベラルーシに入る子どもの難民の社会化および適応のためのプロジェクトを実施していることに留意する。しかしながら委員会は、国外で徴募されまたは敵対行為において使用された可能性がある子ども(子どもの難民および庇護希望者を含む)を特定するためにとられた措置に関する情報、および、これらの子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のためにとられた措置に関する情報が存在しないことを、遺憾に思うものである。
19.委員会は、締約国に対し、徴募されまたは敵対行為において使用された可能性がある子どもを特定するための手続を確立するとともに、これらの子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のために必要な措置をとるよう、奨励する。当該措置には、これらの子どもの状況に関する慎重なアセスメント、これらの子どもが利用可能な法的助言サービスの強化、および、選択議定書にしたがってこれらの子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を促進するための、即時的な、文化的に敏感な、子どもに配慮したかつ学際的な援助の提供が含まれるべきである。

VII.国際的な援助および協力

武器輸出および軍事援助
20.小型武器および軽兵器に関する欧州安全保障協力機構の文書から派生する国際的義務の遵守に関する2002年7月15日の大統領令第383-Z号は歓迎しながらも、委員会は、子どもが武力紛争に関与している可能性がある旨の情報が受領されている国に対する小型武器および軽火器の輸出が法律で禁じられていないことを、遺憾に思う。委員会は、ベラルーシの人権状況に関する元特別報告者の報告書(A/HRC/4/16、パラ47)で明らかにされているように、締約国が国際武器取引に関与しているとされていることに、懸念とともに留意するものである。
21.委員会は、締約国に対し、以下のことを法律に反映させるよう促す。
  • (a) 子どもが武力紛争に関与している国に対する小型武器および軽兵器の販売および輸出を明示的に禁止すること。
  • (b) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、銃器ならびにその部品および構成部分ならびに弾薬の不正な製造および取引の防止に関する議定書にしたがい、小型武器および軽兵器の製造および取引を含む不正な行為を犯罪化するとともに、記録の保管および銃器への刻印を義務づけること。

VIII.その他の法規定

22.委員会は、締約国が、国際刑事裁判所ローマ規程への加入を検討するよう勧告する。

IX.フォローアップおよび普及

23.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を、国防省、大統領府、閣僚評議会、国民議会(上院および下院の双方)ならびにすべての関連省庁、国および地方の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
24.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を促進する目的で、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を、公衆一般、メディアおよびとくに子どもたちが広く入手できるようにすることを勧告する。

X.次回報告書

25.第8条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書およびこの総括所見の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回定期報告書報告書(提出期限2017年10月30日)に記載するよう要請する。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年12月26日)。