総括所見:ベラルーシ(第3~4回・2011年)


CRC/C/BLR/CO/3-4(2011年4月8日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2011年1月25日に開かれた第1596回および第1597回会合(CRC/C/SR.1596 and 1597参照)においてベラルーシの第3回・第4回統合定期報告書(CRC/C/BLR/3-4)を検討し、2011年2月4日に開かれた第1612回会合において以下の総括所見を採択した。

I.序

2.委員会は、締約国の報告書および事前質問事項(CRC/C/BLR/Q/3-4/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎する。委員会は、ハイレベルな代表団の出席および積極的対話により、締約国における子どもの状況についての理解を向上させることができたことに、評価の意を表するものである。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、2011年2月4日に採択された、武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書に基づく第1回締約国報告書についての総括所見(CRC/C/OPAC/BLR/CO/1)および子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書についての総括所見(CRC/C/OPSC/BLR/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

II.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展

4.委員会は、以下の立法上の措置を積極的な対応として歓迎する。
  • (a) 犯罪防止法(2009年)。
  • (b) 外国人市民および無国籍者に対する難民資格、追加的保護および一時的保護の付与に関する2008年6月23日の法律第354-3号。
  • (c) 機能不全家族の子どもの国による保護に関して一部法律を完成させかつ改正することに関する法律(2008年1月5日施行)。
  • (d) 両親を失った若年者または親のケアを奪われたその他の若年者の社会的保護に関する2005年12月21日の法律第73-Z号。
  • (e) 特別な発達上のニーズを有する者の教育(特別教育)に関する2004年5月18日の法律第285-Z号。
  • (f) 子どものネグレクトおよび少年非行の防止システムの基盤に関する2003年5月31日の法律第200-Z号。
5.委員会は、以下の文書について批准または加入が行なわれたことにも、評価の意とともに留意する。
  • (a) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書(2006年)。
  • (b) 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書(2004年)。
  • (c) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約、および、同条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2003年)。

III.主要な懸念領域および勧告

A.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条6項)

委員会の前回の勧告
6.委員会は、条約に基づく締約国の第2回定期報告書の検討時に行なわれたさまざまな懸念表明および勧告(CRC/C/15/Add.180)への対応が不十分であることに、懸念とともに留意する。委員会は、これらの懸念および勧告をあらためて繰り返すものである。
7.委員会は、締約国に対し、条約に基づく第2回定期報告書に関する総括所見の勧告のうち未実施のものまたは実施が不十分なもの、とくに、条約との一致を確保するための法律の見直し、人権の促進および保護のための国内機関の地位に関する原則(パリ原則)にしたがった独立した監視機構の設置、条約の実施における非政府組織(NGO)の関与、NGOの登録および活動の促進ならびに少年司法の運営に関するものに対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。
立法
8.委員会は、締約国が、2002年に委員会から勧告されたように、法律を条約と調和させることを目的とする法律の完全な見直しを行なっていないことを遺憾に思う。委員会はさらに、締約国における子どもの権利が、議会が制定する法律ではなく主として大統領令によって規律されているように思われることを懸念するものである。委員会は、これらの大統領令がすべて議会により採択される法律に移行されるわけではなく、かつこのプロセスに時間がかかり過ぎることを懸念する。
9.委員会は、締約国が、条約の規定および原則との全面的一致を確保するため、すべての国内法および関連の行政指針の包括的見直しを行なうべきである旨の勧告を、あらためて繰り返す。委員会はさらに、締約国が、大統領令を議会制定法に移行するプロセスを加速することにより、子どもの権利の促進および保護に関していっそうの安定を確保するよう、勧告するものである。
調整
10.委員会は、省庁間にどのような調整機構が設けられており、かつ、どの省庁が条約の実施を調整する主務機関なのかに関する情報が存在しないことを遺憾に思う。委員会はさらに、この2年間、国家子どもの権利委員会が機能していなかったことを懸念するものの、2011年から構成の異なる新たな国家子どもの権利委員会が設置される計画である旨の、締約国代表団の情報に留意するものである。
11.委員会は、締約国が、国家子どもの権利委員会を強化しかつその再活性化を図るか、または条約の実施を調整するための新たな効果的制度を設置するとともに、国、広域行政圏および地方のレベルで効果的な調整機構が設置されることを確保するよう、勧告する。
国家的行動計画
12.委員会は、子どもの権利に関わるいくつかの計画およびプログラムが採択されたことに留意する。これには、子どもの状況の改善およびその権利の保護のための国家的行動計画(2004~2010年)、2006~2010年の期間で実施される大統領プログラム「ベラルーシの子どもたち」(2015年まで実施期間が延長されるとともに、定期的評価のためのシステムが設置され、かつ実施のための資源が配分される予定)および20以上の部門別プログラムが含まれる。しかしながら委員会は、国家行動計画についてその実施のための十分な資源が提供されていないこと、および、このように多数の計画およびプログラムが存在するために取り組みの混乱および重複が生じる可能性があることを懸念するものである。
13.委員会は、締約国が、種々の計画およびプログラムを、条約およびその選択議定書のすべての分野を網羅した、子どもに関する単一のかつ包括的な国家的行動計画に統合するとともに、同計画に対してその実施のための十分な資源を提供し、当該計画の効果的実施を確保するための確固たる監視評価システム(地方レベルにおけるものを含む)を確立し、かつ、市民社会および子どもたち自身を含むすべての関係パートナーのいっそうの関与を促進するよう、勧告する。
独立の監視
14.委員会は、条約およびその選択議定書の実施を監視する任務を委ねられた、国レベルの独立した機構が締約国に存在しないことを懸念する。委員会は、この役割は国家子どもの権利委員会によって履行されており、したがって新たな独立機構は必要ないという締約国の立場に懸念を覚えるものである。
15.委員会は、締約国が、パリ原則に全面的に一致し、かつ子どもの権利の保護および促進における独立した人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(2002年)を反映した、条約およびその選択議定書の実施の監視を任務とする独立のかつ効果的な国レベルの機構を設置するよう、勧告する。締約国は、当該機構が、18歳未満のすべての子どもによってアクセス可能であり、子どもの権利侵害に関する苦情を子どもに配慮したやり方で受理しかつ調査する権限を与えられ、かつこれらの苦情に効果的に対応するための人的資源、財源および技術的資源を有することを確保するべきである。締約国は、この点に関して国連人権高等弁務官(OHCHR)の技術的援助を求めるよう、奨励される。
資源配分
16.2011~2015年を対象とする諸計画で子どものために配分される国内総生産(GDP)の割合を高めようとする意思があることは歓迎しながらも、委員会は、締約国における予算策定手続において子どもに配分される資源を明確に特定することができないため、子どもに関する支出の追跡およびその効果の評価が妨げられていることを、遺憾に思う。
17.委員会は、締約国が、子どもの権利の実施のための戦略的配分を行ない、その実施を追跡し、かつ配分の結果および効果を監視することを可能にするような予算策定の試行を開始するよう、勧告する。政策、戦略およびプログラムの実現に予算配分がどのように役立ったかを評価するため、子どもの権利に関わる効果評価が定期的に実施されるべきである。その際、締約国は、子どもの権利のための資源配分――国の責任に関して2007年9月21日に行なわれた一般的討議の際の委員会の勧告(2007年)を考慮するとともに、とくに国連児童基金(ユニセフ)の技術的援助を求めることを検討するべきである。
データ収集
18.委員会は、とくに国レベルの社会経済データベース「ベラルーシインフォ」の創設を通じ、子どもに関わる分野のデータ収集を強化しようとする締約国の努力を評価する。しかしながら委員会は、マイノリティ集団に属する子ども(とくにロマの子ども)の状況ならびに無国籍の子どもおよび子どもに対する暴力のような、条約で対象とされている多くの具体的分野について情報が存在しないことを懸念するものである。
19.委員会は、委員会〔ママ〕が、子どもに対する暴力、少年非行、児童労働、遺棄、移住、マイノリティ集団(とくにロマ)に属する子ども、無国籍の子どもならびにHIVに感染しおよびHIVの影響を受けている女性および子どもにとくに注意を払いながら、細分化されたデータの収集を強化するよう、勧告する。
普及、研修および意識啓発
20.委員会は、同国の学校で子どもの権利の課程が教えられていることには留意するものの、子どもとともにおよび子どものために働く専門家ならびに一般公衆の間で条約に関する意識の水準が低いことを懸念する。
21.委員会は、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(法執行官、教員、ヘルスワーカー、ソーシャルワーカーおよびあらゆる形態の代替的養護に従事する者を含む)を対象として、子どもの権利に関する十分かつ体系的な研修が行なわれるべきことを勧告する。委員会はさらに、締約国が、条約で定められた権利に関する一般公衆、とくに子ども(学校に行っていない子どもを含む)の意識を高めるための努力を増強するよう、勧告するものである。
22.委員会はまた、締約国が、メディアが子どもの権利(とくに子どもの尊厳およびプライバシーに対する子どもの権利)を尊重し、条約の普及を支援し、かつ番組に子どもの意見を含めることを確保することも、勧告する。委員会はさらに、締約国が、メディアに対し、とくに子どもの権利に関する専門職倫理綱領を定めることを奨励するよう、勧告するものである。
市民社会との協力
23.委員会は、市民社会組織の登録(および再登録)のための委員会が閉鎖され、かつその職務が法務省に移管されたこと(市民社会組織およびその連合体(協議会)の登録に関わるいくつかの問題についての2006年10月6日の大統領法第605号)に留意する。しかしながら委員会は、実際には、とくに登録のために必要とされる手数料が高額であることにより、締約国の市民社会組織が登録に際して困難を経験していることを、依然として懸念するものである。委員会はまた、登録を受けないまま活動するNGOの活発な構成員である者が刑法第193条により犯罪者とされることを含む、NGOの困難な活動条件についても懸念を覚えるものである。
24.前回の勧告(CRC/C/15/Add.180、パラ23)を参照しつつ、委員会は、締約国に対し、非政府組織の登録および活動を促進しかつ非登録NGOの構成員であっても犯罪者とされないようにする目的で、法令ならびに司法上および行政上の実務を見直すよう促す。
子どもの権利と企業セクター
25.法人の法的責任に関する法律案を策定するための努力は歓迎しながらも、委員会は、同法がまた議会に提出されていないことを懸念する。
26.委員会は、法人の法的責任に関する法律を速やかに制定するよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、国連・ビジネスと人権枠組みにしたがい、企業セクターが、とくに子どもの権利との関連で、企業の社会的責任に関する国内外の基準を遵守することを確保するための規則を策定しかつ実施するよう、勧告するものである。人権理事会によって2008年に全会一致で採択された国連・ビジネスと人権枠組みは、企業による人権侵害に対する保護を提供する国の義務、人権を尊重する企業の責任、および、人権侵害が生じた際、救済措置にいっそう効果的にアクセスできる必要性について簡潔に述べたものである。

B.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
27.委員会は、ジェンダーの平等に関する国家的行動計画(2008~2010年)が採択されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、ジェンダーに基づく差別が締約国で大規模に行なわれており、かつ性別に基づく差別をとくに禁ずる法律が定められていないことを、依然として懸念するものである。委員会はまた、ロマの子どもに対するいやがらせが行なわれており、かつこれらの子どもが保健ケア、教育および社会サービスへのアクセスとの関連で差別を経験していることも、懸念する。
28.委員会は、締約国に対し、性差別主義的および人種主義的態度および行動を含む差別と闘うための努力を強化するよう、促す。委員会はさらに、締約国が、子ども(とくにロマの子ども)に対する差別を、とりわけ教育制度およびメディアを通じて防止しかつ根絶することに高い優先順位を置くよう、勧告するものである。委員会はまた、2009年のダーバン・レビュー会議で採択された成果文書に対しても、締約国の注意を促す。
子どもの最善の利益
29.委員会は、子どもの最善の利益の原則が締約国の法律、とくに外国人市民および無国籍者に対する難民資格、追加的保護および一時的保護の付与に関する2008年法に体系的に反映されていないことを懸念する。
30.委員会は、締約国が、条約第3条に掲げられた子どもの最善の利益の原則が、子どもに影響を与えるすべての法令ならびに司法上および行政上の手続に反映されることを確保するための検討を実施するとともに、実際にも、子どもに影響を与えるすべての行動において子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保するよう、勧告する。
子どもの意見の尊重
31.委員会は、自己に影響を与える決定についての子どもの意見が、とくに家庭においてめったに正当に考慮されないことを懸念する。委員会はさらに、子どもに対し、自己に影響を与えるすべての司法上および行政上の手続(親の権利の剥奪の事案を含む)において、その年齢および成熟度にしたがって意見を聴かれる機会が提供されていないことを懸念するものである。委員会は、子どもが親の同意を得ずに裁判所に訴えを起こし、かつ法的援助を求めるために達していなければならない年齢が高いこと(14歳)を懸念する。
32.委員会は、一般公衆を対象とする意識啓発プログラム等も通じ、子どもが、公使双方の領域で、自己に影響を与えるすべての事柄について意見を表明する権利を認められ、かつこれらの意見が正当に重視されることを確保するための努力を、締約国が強化するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、関連の法改正等も通じ、子どもが司法上および行政上の手続に参加し、かつ自己の見解を知らせることができることを確保するよう、勧告するものである。これとの関連で、委員会は、意見を聴かれる子どもの権利に関する委員会の一般的意見12号(2009年)に対して締約国の注意を促す。

C.市民的権利および自由(条約第7条、第8条、第13~17条、第19条および第37条(a))

名前および国籍
33.委員会は、締約国における無国籍者の人数の多さに留意するとともに、締約国に在留する無国籍の子どもの人数および状態についてのデータが存在しないことを懸念する。
34.条約第7条にしたがい、委員会は、締約国に対し、無国籍を防止する目的で、可能なかぎり国籍を取得するすべての子どもの権利の実施を確保するよう、促す。とくに、締約国は無国籍の子どもに関するデータを収集するべきである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の技術的援助を求めるよう奨励する。委員会はさらに、締約国が、無国籍者の地位に関する1954年の条約、無国籍の削減に関する1961年の条約、国籍に関する1997年の欧州条約、および、国家承継に関連する無国籍の回避に関する2009年の欧州評議会条約の批准を検討するよう、勧告するものである。
表現の自由、結社および平和的集会の自由ならびに適切な情報へのアクセス
35.国家青少年政策の基盤に関する法律が2009年に施行され、青少年の結社の自由について追加的保障が定められたことには留意しながらも、委員会は、表現の自由(情報を受ける自由を含む)ならびに結社および平和的集会の自由に対する子どもの権利が法律上も実務上も保障されていないことを懸念する。委員会はさらに、2010年12月の大統領選挙との関連で行なわれたデモの際に青少年が拘禁されたことも懸念するものである。
36.委員会は、条約第13条、第15条および第17条にしたがい、表現の自由、結社および平和的集会の自由ならびに適切な情報へのアクセスに対する権利の全面的実施の保障を確保するため、締約国があらゆる必要な措置をとるよう勧告する。
思想、良心および宗教の自由
37.委員会は、思想、良心および宗教の自由に対する子どもの権利が締約国で正当に尊重されかつ保護されていないことを懸念する。委員会は、とくに以下のことについて懸念を覚えるものである。
  • (a) 市民部隊として組織され、一般教育学校および職業訓練学校を含む教育施設の巡回を行なっているとされる情報提供者の目的および活動。
  • (b) 礼拝しまたは宗教もしくは信念との関係で集会を開く自由ならびにこれらの目的のための場所を設置しおよび維持する自由も含む宗教の自由に対して課されている制限。
38.委員会は、条約第14条3項にしたがい、かつ宗教または信念に基づくあらゆる形態の不寛容および差別の撤廃に関する宣言(1981年)を考慮に入れ、締約国が、思想、良心および宗教の自由に対する子どもの権利を尊重するよう勧告する。
体罰
39.犯罪に対する刑としての体罰は違法であり、かつ教育施設の規則で体罰が禁じられていることには留意しながらも、委員会は、体罰が、家庭では合法とされており、刑事制度および代替的養護の現場を含む施設では明示的に禁じられておらず、かつ社会で広く受け入れられていることを、依然として懸念するものである。
40.委員会は、締約国が、家庭、学校その他の施設におけるあらゆる形態の体罰を禁止し、かつ体罰の有害な影響に関する意識を高めるための措置を発展させるとともに、子どもの尊厳と一致する方法でかつ条約にしたがって行なわれるべき、家庭、施設および刑事制度における代替的形態のしつけおよび規律を促進するべきである旨の勧告(CRC/C/15/Add.180、パラ40(d))をあらためて繰り返す。これとの関連で、委員会は、体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利に関する委員会の一般的意見8号(2007年〔ママ〕)に対して締約国の注意を促すものである。
子どもに対する暴力に関する国連研究のフォローアップ
41.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう奨励する。
  • (a) 子どもに対する暴力に関する国連研究の勧告の実施を確保する等の手段により、ジェンダーにとくに注意を払いながら、子どもに対するあらゆる形態の暴力の撤廃に優先的に取り組むこと。
  • (b) 同研究の勧告、とくに子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表が強調した以下の勧告を締約国がどのように実施しているかに関する情報を、次回の定期報告書で提供すること。
    • (i) 子どもに対するあらゆる形態の暴力を防止しかつこれに対処するための国家的な包括的戦略を各国で策定すること。
    • (ii) あらゆる場面における、子どもに対するあらゆる形態の暴力の明示的な法的禁止を、国レベルで導入すること。
    • (iii) データを収集し、分析しかつ普及するための全国的システムおよび子どもに対する暴力に関する調査研究事項を強化すること。
  • (c) 子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表、ユニセフ、OHCHR、世界保健機関(WHO)および他の関連の機関、とくに国際労働機関、国連教育科学文化機関(ユネスコ)、UNHCRおよび国連薬物犯罪事務所ならびにNGOパートナーと協力し、かつその技術的援助を求めること。

D.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(4項)および第39条)

家庭環境
42.委員会は、経済的困窮およびアルコールの濫用が、家族の解体、ネグレクト、虐待および親のケアの剥奪の高い発生件数につながる主要な要因に数えられていることを懸念する。委員会はさらに、血縁の家族から分離される子どもの人数が多いこと、および、子どもの養育責任を遂行する親の能力を高め、分離を防止し、かつ家族の再統合を奨励するための措置が十分な効果を上げていないことを、懸念するものである。さらに委員会は、大統領令第18号にしたがって行なわれる子どもの親からの分離が、必ずしもその子どもの最善の利益にのっとって行なわれるわけではない可能性があることを懸念する。
43.条約第9条および第18条にしたがい、委員会は、締約国が、家族という単位を子どもの成長およびウェルビーイングのための自然な環境として認め、親および法定保護者に対し、子どもの養育責任を遂行するその能力を高めることを目的とした支援サービスを提供するための措置を強化するよう、勧告する。さらに、大統領令第18号は法律に移行されるべきであり、当該法律においては、子どもの最善の利益のために分離が必要な場合を除いて子どもが親から分離されないことを確保するための、あらゆる必要な保護措置が定められるべきである。
44.委員会は、締約国が、扶養義務に関する判決の承認および執行に関する条約、扶養義務の準拠法に関する条約、および、親責任および子の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関する条約の批准を検討するよう、勧告する。
家庭環境を奪われた子ども
45.いくつかの入所型養護施設が閉鎖され、それにともなって家庭型養護制度の拡大および国内養子縁組件数の増加に向けた進展が見られることには留意しながらも、委員会は、多数の子どもが依然として入所型養護を受けていることを懸念する。
46.委員会は、締約国が、代替的養護を必要とする子どもが施設ではなく家庭型養護に措置されることおよび可能なときは常に家庭に復帰することを確保するための努力を増強するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、条約第25条および総会が採択した子どもの代替的養護に関する指針〔PDF〕に照らし、代替的養護に措置された子どもに関する包括的な定期的再審査機構を確保するよう、勧告するものである。
養子縁組
47.委員会は、養子縁組に関する法律において、子どもの最善の利益、および、生物学的親または保護者の十分な情報に基づく同意を得る必要性が十分に考慮されていないことを、懸念する。
48.委員会は、締約国が、すべての養子縁組案件において、子どもの最善の利益が最高の考慮事項とされ、かつ親または法定保護者が当該養子縁組について十分な情報に基づく同意を与えていることを確保するよう、勧告する。
虐待およびネグレクト
49.子どもを虐待およびネグレクトから保護するために締約国が行なっている努力、ならびに、回復およびリハビリテーションのためのサービスを提供しているシェルターおよびセンターが利用可能であることには留意しながらも、委員会は、締約国において防止の水準が低く、かつ虐待およびネグレクトの被害を受ける子どもの人数が多いことを懸念する。
50.委員会は、締約国が、ドメスティックバイオレンスを防止しかつこれと闘い、ドメスティックバイオレンスの防止および抑止に関する法律を採択し、かつ、ドメスティックバイオレンスの事案への対処法について専門家を体系的に訓練するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。

E.基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(3項)、第23条、第24条、第26条、第27条(1~3項))

障害のある子ども
51.委員会は、障害のある子どもの社会への統合を促進するためのリハビリテーション・プログラムおよび職業訓練プログラムが実施されていることに、積極的側面として留意する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。
  • (a) 障害のある子どもに関する国レベルの包括的政策が締約国で定められていないこと。
  • (b) 障害のある子どもに関する近代的なデータ収集システムが存在しないこと。
  • (c) 知的障害のある多くの子どもがいまなお入所型施設で生活しており、教育その他のコミュニティを基盤とするサービスへのアクセスを享受していないこと。
  • (d) とくに農村部において、子どもの養護の専門家が十分に存在せず、かつ良質なサービスへのアクセスが困難であること。
  • (e) 全障害児の半数近くが普通教育制度の枠外に留まっていること。
52.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 明確な目標を定めた、障害のある子どもに関する国家的政策を策定すること。
  • (b) 障害のある子どもの分野で近代的なデータ収集システムを発展させること。
  • (c) 知的障害のある子どもおよび若者ならびにその家族の健康に関するWHOヨーロッパ宣言(2010年11月、ブカレストにおいて、ベラルーシを含むWHOヨーロッパ地域の保健大臣全員が支持)にしたがい、知的障害のある子どもに関する政策を策定すること。
  • (d) 重度障害のある子どもが家族とともに暮らせるようにするため、このような子どもの親に十分な支援を提供すること。
  • (e) 専門家に対して体系的研修を行なうとともに、障害のある子どもが良質なサービスにアクセスできることを確保すること。
  • (f) 障害のあるすべての子どもが教育にアクセスできることを確保するとともに、可能なかぎり、障害のある子どもを主流の教育に統合すること。
健康および保健サービス
53.委員会は、子どもの健康水準を向上させるための措置、とくに妊産婦死亡率および新生児死亡率の削減を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、第一に呼吸器疾患(2008年に72%)、ならびに事故、怪我および中毒を主な理由として、子どもの有病率が依然として高いことを懸念するものである。委員会はさらに、子どもの権利法第5条が子どもに対する無償の治療について規定しているにも関わらず、一時在留許可を有する外国籍および無国籍の子どもが無償の治療の利用に際して困難に直面していることを、懸念する。
54.委員会は、締約国が、締約国での一時在留許可を有するすべての子ども(外国籍および無国籍の子ども双方)に対して無償の治療を保障する等の手段により、すべての子どもの健康状態を向上させるための努力を引き続き強化するよう、勧告する。
55.委員会は、やがて確実に死にいたる疾病または生命を脅かす疾病に罹患した子どもの緩和ケアに対する締約国のコミットメント、および、最近の「子どもの緩和ケアに関する命令」の採択を歓迎する。しかしながら委員会は、緩和ケアの大部分はNGOによって提供されており、十分な財政支援も行なわれていないことを懸念するものである。
56.条約第4条、第6条および第24条に照らし、委員会は、締約国が、子どもに緩和ケアを提供するための資金拠出機構を設置し、かつ、NGOが提供する緩和ケアサービスを支援するよう、勧告する。
環境保健
57.締約国が、チェルノブイリ原発事故の影響を受けている地域で復興のために相当の努力を行なってきたことには留意しながらも、委員会は、チェルノブイリ原発事故が子どもの健康に根強く悪影響を及ぼしていることに関わる懸念、とくにヨウ素欠乏症に関連して被災地で子どもの甲状腺がんが多発していることに対する懸念を、あらためて表明する。
58.委員会は、締約国が、チェルノブイリ原発事故の影響を受けている子どもに提供される専門的保健ケアを引き続き向上させ、かつ放射能汚染関連疾患の早期発見および予防のための努力を強化するべきである旨の勧告を、あらためて繰り返す。
思春期の健康
59.委員会は、性感染症の発生件数が多いこと、思春期女子による妊娠中絶の水準が高いこと、ならびに、喫煙、過度なアルコールの消費および薬物の使用が青少年にとって重大な健康上のリスク要因となっていることを懸念する。委員会はまた、青少年がHIVの流行にとくに影響を受けやすいことも懸念するものである。委員会はさらに、若者にやさしい医療カウンセリングおよびHIV検査が、すべての子どもにとって、かつ締約国の領域全体で平等に利用可能となっていないことを懸念する。
60.委員会は、締約国が、性感染症、望まない妊娠の防止、喫煙および有害物質の濫用、ならびに健康的なライフスタイルの促進をとくに重視しながら、思春期の健康の向上に関する国家的戦略を策定しかつ採択するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、包括的なHIV広報啓発キャンペーンならびに若者にやさしいHIV検査およびカウンセリングを促進しかつ拡大するよう、勧告するものである。
精神保健
61.自殺の防止および自殺未遂者への援助の提供のための措置が承認されたこと(2007年7月9日の命令第575号)および国家自殺防止プログラム(2008~2012年)が策定されたことには留意しながらも、委員会は、防止措置が有効ではなく、かつ子どもの自殺件数が増えていることを依然として懸念する。
62.委員会は、締約国が、国家自殺防止プログラムを実施し、青少年の自殺を防止するための措置を増強し、かつ精神保健ケアサービスを強化するよう、勧告する。
生活水準
63.委員会は、最低生存費以下で暮らしている子どもの人数が減少したことを歓迎する。子どものいる家庭に対して児童手当その他の給付が行なわれていることには留意しながらも、委員会は、貧困の影響を不相応に受け続けている、子どもが3人以上いる家庭およびひとり親世帯の状況について懸念を覚えるものである。
64.委員会は、発達に対する子どもの権利を確保する目的で、とくにもっとも周縁化されかつ不利な立場に置かれた家族に焦点を当てながら、領域内のすべての子どもに対して十分かつ持続可能な生活水準を確保するための努力を増進させるよう、勧告する。委員会は、貧困の根本的原因を調査し、かつこれに対応することを勧告するものである。

F.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条)

教育(職業訓練および職業指導を含む)
65.委員会は、就学前教育施設が都市部で広く利用可能であり、かつ農村部においても程度は劣るものの利用可能であることを歓迎する。初等教育が9年間でありならびに義務的および無償であることには留意しながらも、委員会は、相当の割合(10%)の子どもが学校に行かないままであること、および、隠れた費用負担が残っていることを懸念するものである。
66.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 農村部における就学前教育施設の利用可能性を高めること。
  • (b) 義務教育から脱落した子どもが学校に復帰することを確保するための努力を行なうこと。
  • (c) 初等教育が、教科書および学校教材も含めて完全に無償であることを確保すること。

G.特別な保護措置(条約第22条、第30条、第32~36条、第38~40条ならびに第37条(b)および(d))

子どもの庇護希望者および難民
67.委員会は、外国人市民および無国籍者に対する難民資格、追加的保護および一時的保護の付与に関する法律が2008年に採択されたことを歓迎する。同法は、子どもの庇護希望者および難民がベラルーシ市民と同等な立場で保健上および教育上の便益に平等にアクセスできること、および、難民が家族再統合に対する権利を有していることを明示的に定めたものである。しかしながら委員会は、同法が、庇護の正当事由としてジェンダーに関連する迫害を含めておらず、または子どもの最善の利益の原則を反映していないことを、遺憾に思うものである。
68.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 在留資格のない子ども、保護者のいない子どもまたは養育者から分離された子どもの庇護申請を審査する際、子どもの最善の利益を第一次的考慮事項として明示的に特定するとともに、これらの子どもを収容センターに措置しないこと。
  • (b) 庇護および移民を担当する職員を対象として、庇護および補完的保護を規律する法律の適用に関する研修(子どもに特有の形態の迫害を考慮することに関する研修を含む)を行なうこと。
  • (c) 適切な保護措置を掲げた二国間協定の調印等も通じ、保護者のいないベラルーシ国籍の子どもの送還および再統合に関する決定が、子どもの最善の利益を第一次的に考慮しながら行なわれることを確保すること。
  • (d) 出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する一般的意見6号(2005年)に掲げられた委員会の見解を考慮すること。
性的搾取および人身取引
69.人身取引、不法な移住および関連の不法行為に対する対策プログラム(2008~2010年)は歓迎しながらも、委員会は、締約国が依然として、性的搾取をとくに目的とする人身取引被害者である女性および子どもの送り出し国、通過国および受け入れ国であることを懸念する。
70.委員会は、締約国が、とくに子どもの性的搾取および人身取引と闘うための努力を引き続き行なうよう、勧告する。委員会は、被害を受けたすべての子どもに対し、十分な保護、ならびに、迅速な回復およびコミュニティへの再統合のための専門的援助が提供されるべきことを勧告するものである。
少年司法の運営
71.委員会は、子どもによる犯罪が減少し、およびこれに応じて収監刑に服する子どもの人数も減少していること、ならびに、地域奉仕活動のような収監刑に代わる措置の使用が増えていることを、歓迎する。少年司法の概念に関する大統領令案には留意しながらも、委員会は、締約国がいまなお包括的な少年司法制度の設置に着手していないことを懸念するものである。委員会はさらに、罪を犯した少年に対して長期の自由剥奪刑が科されていること、再犯の水準が高いことおよび釈放後のプログラムが存在しないことを懸念する。
72.委員会は、締約国に対し、少年司法に関する国際基準、とくに条約第37条(b)、第39条および第40条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)および自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)が全面的に実施されることを確保するよう、促す。委員会は、締約国に対し、少年司法における子どもの権利に関する委員会の一般的意見10号(2007年)を考慮するよう促すものである。とくに委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 締約国のすべての地域で少年裁判所を設置し、かつ訓練を受けた少年裁判官を任命することも含め、包括的な少年司法制度を設置すること。
  • (b) 可能なときは常に、調停、保護観察、カウンセリング、地域奉仕または刑の執行猶予のような拘禁に代わる措置をいっそう活用しながら、少年犯罪の問題に対し、条約で唱道されているホリスティックなアプローチで臨むこと(たとえば根本的な社会的要因に対応すること)。
  • (c) 自由の剥奪が最後の手段として、重大な犯罪に対して、かつ可能なもっとも短い期間で〔のみ〕用いられることを確保すること。
  • (d) 社会への再統合を促進し、かつ再犯を防止する目的で、再統合のための釈放後のプログラムを実施すること。
  • (e) ユニセフおよび少年司法に関する機関横断パネルに対し、少年司法の分野における技術的援助を求めることを検討すること。
犯罪の被害者および証人である子ども
73.委員会は、締約国が、十分な法律上の規定および規則を通じ、虐待、ドメスティック・バイオレンス、性的および経済的搾取、誘拐ならびに人身取引のような犯罪の被害を受けたすべての子どもおよび(または)そのような犯罪の証人が条約で求められている保護を提供されることを確保するとともに、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての〔国連〕指針を全面的に考慮するよう、勧告する。

H.国際人権文書の批准

74.委員会は、締約国が、まだ加盟していない中核的国連人権条約およびその議定書、とくに、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書、死刑の廃止を目的とする市民的および政治的権利に関する国際規約の選択議定書、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰に関する条約の選択議定書、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約、障害のある人の権利に関する条約およびその議定書、ならびに、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約を批准するよう、勧告する。

I.フォローアップおよび普及

75.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を国家元首、最高裁判所、国民議会、関連省庁および自治体当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
76.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第3回・第4回定期報告書および文書回答ならびに関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが同国の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。

J.次回報告書

77.委員会は、締約国に対し、次回の第5回・第6回統合定期報告書を2017年10月30日までに提出するよう慫慂する。同報告書にはこの総括所見のフォローアップについての記載が含まれるべきである。委員会は、委員会が2010年10月1日に採択した条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2)に対して注意を喚起するとともに、締約国が、今後の報告書は当該ガイドラインにしたがうべきであり、かつ60ページを超えるべきではないことを想起するよう求める。委員会は、締約国に対し、報告ガイドラインにしたがった報告書を提出するよう促すものである。ページの制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲ガイドラインにしたがって報告書を見直し、かつその後再提出するよう求められることになる。委員会は、締約国に対し、報告書を見直しかつ再提出することができないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できないことを想起するよう、求めるものである。
78.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された統一報告ガイドライン(HRI/MC/2006/3)に掲げられた共通コア・ドキュメントについての要件にしたがい、最新のコア・ドキュメントを提出するよう求める。条約別報告書および共通コア・ドキュメントは、一体となって、子どもの権利条約に基づく調和化された報告義務を構成するものである。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年12月26日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。