総括所見:ベラルーシ(第2回・2002年)


CRC/C/15/Add.180(2002年6月13日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2002年5月27日に開かれた第786回および第787回会合(CRC/C/SR.786 and 787参照)においてベラルーシの第2回定期報告書(CRC/C/65/Add.15)を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。
  • (注)2002年6月7日に開かれた第804回会合において。

A.序

2.委員会は、報告ガイドラインにしたがった締約国の第2回報告書が提出されたこと、および、事前質問事項(CRC/C/Q/BEL/2)に対する文書回答が迅速に提出されたことを歓迎する。委員会は、ベラルーシにおける条約の実施に直接関与しているメンバーが締約国の代表団にひとりしかいなかったことは遺憾に思いつつ、建設的な対話、および、対話の際に行なわれた提案に対する前向きな反応に留意するものである。

B.積極的側面

3.委員会は、締約国が、国内法を条約の規定とさらに調和させるために多数の法律を採択したこと(新民法および1999年に採択された新婚姻家族法ならびに子どもの権利法の2000年改正を含む)に留意する。
4.国際条約法が1998年に採択されたことにより、条約のような国際条約の規範が現行法の一部となり、したがって裁判所で直接援用できるようになったことは、委員会の歓迎するところである。
5.委員会は、前回の勧告(1994年2月7日付のCRC/C/15/Add.17、パラ11)に照らし、国家子どもの権利委員会が1996年に設置されたことに留意する。
6.委員会は、前回の勧告(前掲パラ11)にしたがい、子どもの権利の保護に関する国家的計画(1995~2000年)が1995年4月19日付大統領令第150号により採択され、かつ、2001年5月24日付大統領令第281号で承認された大統領プログラム「ベラルーシの子どもたち」(2001~2005年)によりフォローアップされていることを、認識する。
7.委員会は、1999~2004年の期間を対象とする国家人権教育計画が1999年3月に採択されたことを歓迎する。
8.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書を締約国が採択したことを歓迎する。委員会はさらに、ベラルーシが、前回の勧告(前掲パラ13)どおり、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)に署名したことに留意するものである。

C.条約の実施における進展を阻害する要因および困難

9.委員会は、経済的移行を理由として悪化し、かつ家族、とくに子どもの多い家族および農村部で生活している家族に影響を与えている貧困がいまなお締約国における条約の全面的実施を阻害していることを、認知する。さらに委員会は、チェルノブイリ原発事故の悪影響が根強く残っており、住民一般に、ならびにとくに子どもの健康および発達に影響を及ぼしていることに留意するものである。

D.主要な懸念領域および勧告

1.実施に関する一般的措置

前回の勧告
10.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/8/Add.6〔ママ〕)の検討後に委員会が行なった懸念表明および勧告(1994年10月24日付CRC/C/15/Add.28〔ママ〕)の一部、とくにパラ11、12、14および15に掲げられたものへの対応が不十分であることを遺憾に思う。これらの懸念および勧告はこの文書においてあらためて繰り返されているところである。
11.委員会は、締約国に対し、第1回報告書に関する総括所見に掲げられた勧告のうち未実施のものに対応し、かつ第2回定期報告書に関するこの総括所見に掲げられた一連の懸念に対応するため、あらゆる努力を行なうよう促す。
立法
12.子どもの権利に関してとられたさまざまな立法措置には留意しながらも、委員会は、国内法と条約の規定および原則との全面的両立性に関する懸念(CRC/C/15/Add.17、パラ6)をあらためて表明する。委員会はまた、立法に条約の包括的な権利基盤アプローチが十分に反映されていないことも懸念するものである。
13.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約の原則および規定との全面的一致を確保するため、権利を基盤とする視点からの現行法の包括的見直しを引き続き行なうこと。
  • (b) これとの関連で、とくにユニセフの援助を求めることを検討すること。
調整
14.1996年に国家子どもの権利委員会を設置することによって調整を向上させようとした締約国の努力は認めながらも、委員会は、同国家委員会が基本的には諮問機関であることに懸念とともに留意する。委員会はさらに、大統領プログラム「ベラルーシの子どもたち」(2001~2005年)の実施プロセスが監視されかつ見直されていることに留意するものである。
15.委員会は、締約国が、中央および地方の公的機関間で活動を効果的に調整し、かつNGOおよび市民社会のその他の部門と協力する等の手段により、国および地方のレベルで子どもの権利の実施および監視を調整する常設機関が設置されることを確保するべきである旨の勧告(前掲パラ11)をあらためて繰り返す。
独立の監視
16.独立した監視機関の設置に関して現在行なわれている議論には留意しつつも、委員会は、条約の実施における進展の恒常的監視および評価を任務とし、ならびに子どもによる苦情を受理しおよびこれに対応する権限を与えられた、国レベルの全般的機構が存在しないことに懸念を表明する。
17.委員会は、締約国に対し、人権の促進および保護のための国内機関の地位に関するパリ原則(総会決議48/134)にしたがい、国内人権機関の一部としてまたは子どもオンブズマンのような別個の機関として、独立した効果的機構を設置するよう奨励する。当該機構は、十分な人的資源および財源を提供され、かつ子どもが容易にアクセスできるものであるべきであり、ならびに以下のことを任務とするべきである。
  • (a) 条約の実施を監視すること。
  • (b) 子どもに配慮した迅速なやり方で子どもからの苦情に対応すること。
  • (c) 条約に基づく子どもの権利の侵害に対して救済を提供すること。
 これとの関連で、委員会はさらに、締約国が、とくにユニセフおよびOHCHR〔人権高等弁務官事務所〕の技術的援助を求めることを検討するよう勧告する。
子どものための資源
18.住民の生活水準の低下を防止しようとする締約国の努力には留意しながらも、委員会は、子どものための予算配分が、子どもの権利の促進および保護に関する国および地方の優先的課題に対応し、ならびに子どもに提供されるサービスに関して農村部と都市部との間に存在する格差を克服しおよび是正するためにはいまなお不十分であることに、懸念を表明する。
19.条約第4条に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう奨励する。
  • (a) 包括的な貧困削減戦略等も通じ、家族、とくに子どもが多い家族、農村部に住んでいる家族およびひとり親家族の生活水準の低下を防止するための努力を引き続き行なうこと。
  • (b) 子ども、とくに社会でもっとも脆弱な立場に置かれた集団に属する子どもの経済的、社会的および文化的権利の全面的実施のために、利用可能な資源を最大限に用いることにより、および必要な場合には国際協力の枠組みの中で資金が配分されることを確保する目的で、子どもの権利に関わる問題についての優先的課題を明確に特定すること。
  • (c) 子どもに関する支出の影響および効果を評価する目的で、国および地方のレベルで子どもに支出されている予算の額および割合を明らかにすること。
データ収集
20.委員会は、条約が対象とするすべての分野に関するデータが細分化されていないことに懸念を表明する。委員会はさらに、子どもに関するデータが、子どもの権利の分野における進展を評価する目的で、かつ同分野における政策立案の基礎として、十分なやり方で活用されていないことに留意するものである。
21.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) もっとも脆弱な立場に置かれた集団(経済的に不利な立場に置かれた世帯の子ども、農村部で暮らしている子ども、施設の子ども、障害のある子どもおよびチェルノブイリ原発事故の結果の影響を受けている子どもを含む)をとくに重視しながら、条約が対象とするすべての分野について、18歳未満のすべての子どもに関する細分化されたデータを体系的に収集しかつ分析する機構を強化すること。
  • (b) 条約の実施および監視を目的とする政策およびプログラムの立案および評価のために、これらの指標およびデータを効果的に活用すること。
  • (c) この点に関してユニセフの技術的協力を求めること。
市民社会との協力
22.委員会は、最近になっていくつかの非政府組織が設立されたにも関わらず、とくに市民的権利および自由の分野における条約の全面的実施に市民社会の関与を得るために行なわれた努力が不十分であることに、懸念を表明する。委員会はさらに、非政府組織が困難な登録手続を経なければならないこと、および、とくに外国からの資金拠出が制限されており、そのため非政府組織の有効性および独立性が制約される可能性があることに、深い懸念とともに留意するものである。
23.委員会は、市民的権利および自由に関するものも含む条約の規定を実施する際のパートナーとして市民社会が果たす重要な役割を強調する。委員会は、締約国が以下の措置をとる旨の勧告(前掲パラ12)をあらためて繰り返すものである。
  • (a) 条約の実施のあらゆる段階を通じ、とくに市民的権利および自由との関連で、子どもとともにおよび子どものために活動する非政府組織(とくに権利を基盤とする組織)および市民社会のその他の部門のいっそう制度的な関与を得ることを検討すること。
  • (b) 自由権規約委員会の勧告(CCPR/C/79/Add.86、パラ19)にしたがい、非政府組織の登録および活動を促進する目的で法令および行政実務を遅滞なく見直すこと。
研修/条約の普及
24.前回の勧告(前掲パラ17)にしたがい、条約の普及ならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家の研修のための努力が行なわれてきたことは認めながらも、委員会は、これらの措置を強化する必要があると考える。
25.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) とくに地方レベルでおよびメディアを通じて条約を促進するための、いっそう創造的な手法(絵本およびポスターのような視聴覚補助手段の活用も含む)を発展させること。
  • (b) 子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家集団(裁判官、弁護士、法執行官、保健従事者、教員および学校管理者など)を対象として、子どもの権利に関する十分かつ体系的な研修および(または)感受性強化措置を行なうための努力を継続しかつ強化すること。
  • (c) とくに、1998年国際条約法の効力および裁判所で条約を直接援用する可能性について、司法機関を対象とする十分な研修を行なうこと。
  • (d) 非政府組織および市民社会のその他の部門の関与を得る目的で、とくにユニセフ、ユネスコおよびOHCHRの技術的援助を求めること。

2.一般原則

一般原則
26.委員会は、差別の禁止、子どもの最善の利益(第3条)、子どもの生命、生存および発達に対する権利(第6条)ならびに子どもの意見の尊重(第12条)の原則が、締約国の法律ならびに行政上および司法上の決定、ならびに、子どもに関連する国および地方双方のレベルの政策およびプログラムに全面的には反映されていないことを懸念する。
27.委員会は、締約国が以下の措置をとるべきである旨の前回の勧告(前掲パラ11)をあらためて繰り返す。
  • (a) 条約の一般原則、とくに第2条、第3条、第6条および第12条を、子どもに関わるあらゆる関連の法律に適切な形で統合すること。
  • (b) 政治上、司法上および行政上のすべての決定ならびに子どもに影響を及ぼすプロジェクト、プログラムおよびサービスにおいてこれらの原則を適用すること。
  • (c) あらゆるレベルの計画および政策立案、ならびに、社会保健福祉機関、教育機関、裁判所および行政機関によるあらゆる行動においてこれらの原則を適用すること。
差別の禁止
28.委員会は、差別の禁止の原則が、経済的に不利な立場に置かれた世帯の子ども、農村部で暮らしている子ども、施設の子ども、障害のある子ども、ロマの子どもおよびチェルノブイリの影響を受けている子どもを対象として、とくに十分な保健ケアおよび教育のための便益へのこれらの子どもによるアクセスとの関連で全面的には実施されていないことを、懸念する。
29.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 差別にさらされている子ども、とくに脆弱な立場に置かれた前掲の集団に属する子どもの状況を監視すること。
  • (b) このような監視の結果に基づき、あらゆる形態の差別の解消を目的とした、具体的かつ十分に的を絞った行動を掲げる包括的戦略を策定すること。
30.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国がとった措置およびプログラムのうち子どもの権利条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条1項(教育の目的)に関する委員会の一般的意見1号も考慮に入れながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。
子どもの意見の尊重
31.子どもの意見を聴くことを認めた規定には留意しながらも、委員会は、裁判官または他の意思決定機関がこの点に関して有している裁量権が強すぎることを懸念する。
32.第12条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 意見を表明するのに十分な成熟度を備えたすべての子どもが、その子どもに影響を与えるすべての司法手続および行政手続で意見を聴かれることを確保すること。
  • (b) 親、子どもとともにおよび子どものために働く専門家ならびに公衆一般を対象として、子どもが意見を聴かれ、かつその意見を真剣に考慮される権利を有していることについて周知するためのキャンペーンを実施すること。

3.市民的権利および自由

33.委員会は、第13条、第15条および第17条の実施が制限されていることに、懸念とともに留意する。
34.委員会は、締約国が、条約第13条、第15条および第17条で認められた表現の自由、結社および平和的集会の自由ならびに適切な情報へのアクセスに対する権利の全面的実施を、すべての子どもに対して保障するよう勧告する。

4.家庭環境および代替的養護

親の責任
35.委員会は、離婚率が高いことならびにひとり親家庭の数および親によるネグレクトの事案の数が増えていることを含め、ベラルーシで家族の解体現象が広がりつつあることに、深い懸念とともに留意する。子どものいる家庭手当法(2002年4月1日)など、締約国が家族の強化のために若干の措置をとっていることには留意しながらも、委員会は、貧困削減戦略の実施を含む家族志向政策を扱っている公的機関間で調整が行なわれていないこと、防止措置が皆無に近いこと、および、職業ソーシャルワーカーが機能不全家族に対応するための十分な訓練を受けていないことに、懸念を表明するものである。
36.条約第18条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 家族の解体を防止しかつ家族の発展を強化するための措置を引き続き策定すること。
  • (b) 親教育、カウンセリングおよびコミュニティを基盤とするプログラム等を通じ、子どもの養育責任に関する助力を家族に提供するための社会的援助および支援を向上させること。
  • (c) ソーシャルワーカーを十分に訓練すること。
  • (d) とくにユニセフの国際援助を求めること。
家庭環境を奪われた子ども
37.婚姻家族法に掲げられた公式な脱施設化優先政策には留意しながらも、委員会は、里親養護その他の形態の家族を基盤とする代替的養護が十分に発展しかつ利用可能とされていないため、家庭環境を奪われて施設に措置される子ども(障害のある子どもを含む)の人数が多いことに、重大な懸念を表明する。加えて委員会は、施設が、資源がないことを理由として、非常に質の低い居住環境およびケアしか子どもに提供しておらず、かつ、子どもが自己の措置に関する懸念および苦情を伝達する効果的機構を有していないことに、懸念とともに留意するものである。
38.条約第20条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの遺棄を防止しかつ削減するため、戦略の策定および意識啓発活動の発展を含む効果的措置をとること。
  • (b) 里親養護、家庭的里親ホームその他の家族を基盤とする代替的養護を増やしかつ強化するための効果的措置をとること。
  • (c) 子どもの施設措置は最後の手段としてのみ行なうこと。
  • (d) 施設の環境を改善するためにあらゆる必要な措置をとること。
  • (e) ソーシャルワーカーを含む施設職員に対して支援を提供しかつ研修を行なうこと。
  • (f) 養護を受けている子どもからの苦情を受理しおよびこれに対応し、養護の質を監視し、ならびに条約第25条に照らして措置の定期的再審査を確立するための効果的機構を設置すること。
  • (g) 施設養護を離れた子どもに対し、フォローアップおよび再統合のための十分な支援およびサービスを提供すること。
虐待およびネグレクト
39.委員会は、家庭、学校その他の施設における子どもの不当な取り扱いおよび虐待に関する情報および意識が不十分であることに、懸念を表明する。
40.条約第19条および委員会の前回の勧告(前掲パラ40)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) これらの慣行の規模、範囲および性質を評価する目的で、ドメスティックバイオレンス、子どもに対する暴力、不当な取り扱いおよび虐待(性的虐待を含む)についての研究を行なうとともに、子どもに対する身体的および精神的暴力ならびにネグレクトの発生件数を記録するために創設された統計システムを実施すること。
  • (b) 子どもの不当な取り扱いおよび虐待を防止しおよびこれと闘い、ならびに態度の変革に寄与するための十分な措置および政策(公的キャンペーンを含む)を採択し、かつ効果的に実施すること。
  • (c) 被害を受けた子どもの保護(プライバシーに対する権利の保護を含む)を向上させる目的で、ドメスティックバイオレンスならびに子どもの不当な取り扱いおよび虐待(家庭における性的虐待を含む)の事案を、子どもに配慮した調査手続および司法手続において効果的に調査すること。
  • (d) 家庭、学校その他の施設におけるあらゆる形態の体罰を禁止し、かつ体罰の有害な影響に関する意識を高めるための措置を発展させるとともに、子どもの尊厳と一致する方法でかつ条約にしたがって行なわれるべき、家庭における代替的形態のしつけを促進すること。
  • (e) 条約第39条にしたがい、子どもに対し、法的手続における支援サービス、ならびに、強姦、虐待、ネグレクト、不当な取り扱いおよび暴力の被害者の身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための支援サービスを提供するための措置をとること。
  • (f) 「家庭および学校における子どもへの暴力」(CRC/C/111参照)ならびに「子どもに対する国家の暴力」(CRC/C/100参照)に関する一般的討議の際に採択された委員会の勧告を考慮すること。
  • (g) これとの関連で、とくにユニセフおよびWHOの国際協力および技術的援助を求めること。

5.基礎保健および福祉

健康および保健サービス
41.妊産婦および子どものケアのためのサービスならびに子どもの健康を向上させるためのさまざまなプログラムを再編しようとする努力には留意しながらも、委員会は、子どもの有病率が上昇していること(新生児のHIV感染数の増加を含む)、結核がほぼ流行病と言えるほど広がっていること、ならびに、とくに低所得世帯および子どもが3人以上いる家庭の子どもの間でヨウ素欠乏症および栄養上の問題が多数発生していることを、懸念する。委員会はさらに、交通事故率および自動車事故率が高く、かつ自殺率の高さも子どもに影響を与えていることに留意するものである。
42.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 妊産婦死亡率、周産期死亡率および乳児死亡率をさらに減少させるため、効果的な周産期ケアの促進に関するWHO戦略を引き続き実施すること。
  • (b) すべての子ども、とくにもっとも脆弱な立場に置かれた集団の子どもが、無償のかつ良質な基礎的保健ケアにアクセスできることを確保すること。
  • (c) 乳幼児期の発達に対する統合的かつ多層的アプローチを確保するため、健康および栄養に焦点を当てた国レベルの政策を策定すること。
  • (d) 母子感染の予防に焦点を当てながら、新生児のHIV感染数の増加に対応すること。
  • (e) 子どもの怪我を予防する目的で、子どもを事故および怪我から保護するための十分な法律を策定し、国レベルの政策的優先事項および目標に怪我の予防を含め、かつ受傷事故管理プログラムを開発すること。
  • (f) 子どもの自殺の規模および原因を評価するために包括的かつ学際的な研究を行なうとともに、この現象を防止しかつこれと闘うための十分な政策およびプログラムを発展させること。
  • (g) とくにWHOおよびユニセフの技術的援助を引き続き求めること。
思春期の健康
43.委員会は、薬物、アルコールおよびタバコに依存する子どもおよび青少年の人数が増えていること、10代の妊娠中絶が多いことならびに若者の間でHIV/AIDSの件数が増加していることに、懸念とともに留意する。
44.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 全国規模の包括的プログラムである「青少年を対象とする医療活動および回復力強化活動」(1999~2003年)およびHIV予防国家戦略計画(2001~2003年)を効果的方法で実施するとともに、思春期の健康(精神保健を含む)に関する政策を促進するための努力を増強すること。リプロダクティブヘルスおよび有害物質濫用に対して特段の注意が向けられるべきであり、かつ学校における健康教育プログラムがさらに強化されるべきである。
  • (b) 思春期の健康上の問題(性感染症およびHIV/AIDSの悪影響を含む)の規模および性質を評価するために包括的かつ学際的な研究を行なうとともに、十分な政策およびプログラムを引き続き発展させること。
  • (c) 健康教育訓練プログラムの有効性をとくにリプロダクティブヘルスとの関連で評価し、かつ、子どもの最善の利益にかなう場合は親の同意を得ずにアクセスすることのできる、若者に配慮した、秘密の守られるカウンセリング、ケアおよびリハビリテーションのための便益を発展させるため、さらなる措置(十分な人的資源および財源の配分を含む)をとること。
  • (d) とくにUNFPA〔国連人口基金〕、ユニセフ、WHOおよびUNAIDS〔国連エイズ合同計画〕の技術的協力を求めること。
環境保健
45.委員会は、子どもの間でさまざまな疾病(がん、免疫不全および貧血症を含む)の件数が増加していることを含め、チェルノブイリ原発事故の悪影響が根強く残っていることに、懸念とともに留意する。委員会はさらに、チェルノブイリ原発事故被災者への援助が完全に人道的なものに留まっており、長期的政策に焦点を当てたものとなっていないことに留意するものである。
46.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) チェルノブイリ原発事故の影響を受けている子どもに提供される専門的保健ケアを、その心理社会的側面も含めて引き続き向上させること。
  • (b) 放射能汚染関連疾患の早期発見および予防のための努力を強化すること。
  • (c) 被災者援助に対する長期的開発アプローチにいっそう焦点を当てること。
障害のある子ども
47.障害のある子どもを統合するための努力には留意しながらも、委員会は、障害のある子どもの人数が増えており、かつこのような子どもを施設に措置する慣行が行なわれていることに懸念を表明する。委員会はさらに、障害児がいる家庭に対する支援が不十分であることに、懸念とともに留意するものである。
48.条約第23条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの障害の原因およびその予防方法を明らかにするための研究を行なうこと。
  • (b) 障害のある子どもの状況を評価し、かつそのニーズに効果的に対応する目的で、このような子どもの状況が監視されることを確保するための措置をとること。
  • (c) 障害のある子どもの状況および権利に関する意識を高めるための公的意識啓発キャンペーンを実施すること。
  • (d) 障害のあるすべての子ども、とくに農村部で生活している子どものためのプログラムおよび便益に対して必要な資源を配分するとともに、このような子どもが家族とともに自宅で生活できるようにするための、コミュニティを基盤とするプログラムを強化すること。
  • (e) 障害のある子どもの親を、カウンセリングおよび必要なときは金銭的支援によって支援すること。
  • (f) 障害者の機会均等化に関する基準規則(国連総会決議48/86)および「障害のある子どもの権利」に関する一般的討議の際に採択された委員会の勧告(CRC/C/69、パラ310-339)に照らし、教員に対して特別研修を行ない、かつ学校をいっそうアクセスしやすいものとする等の手段もとりながら、障害児の普通教育制度への統合および社会へのインクルージョンをさらに奨励すること。

6.教育、余暇および文化的活動

教育
49.学校カリキュラムに人権教育を含めるために締約国が行なった努力は認めながらも、委員会は、ベラルーシ語による教育の利用可能性が、乳幼児教育から中等教育に至るまでますます制限されつつあることに、懸念とともに留意する。さらに委員会は、中等教育で学ぶ子どもの人数が減少していること、および、とくに中等制度における教育水準に大きなばらつきがあり、低所得地域および農村部にとって不利益が生じていることに、留意するものである。
50.条約第28条および第29条に照らし、締約国は以下の措置をとるべきである。
  • (a) ベラルーシ語による教育が利用でき、かつ、ロマの子どもおよび他のマイノリティに属する子どもが良質な教育にアクセスできることを確保すること。
  • (b) 教育の目的に関する委員会の一般的意見1号にしたがって第29条1項に挙げられた目標を達成するため、全国で教育の質を向上させること。

7.特別な保護措置

人身取引、性的その他の形態の搾取
51.委員会は、ベラルーシが、性的その他の形態の搾取を目的とする子ども(とくに女子)の人身取引の送り出し国および通過国であるという情報に懸念を覚える。委員会は、この現象、ならびに、人身取引に関連していることが多い性的搾取、薬物濫用および薬物取引への子どもの関与ならびに経済的搾取のような問題についての情報および知識が欠けていることに留意するものである。
52.条約第32~36条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 人身取引および人身取引関連の問題(性的搾取、薬物濫用および薬物取引への子どもの関与ならびに経済的搾取など)の範囲および原因を評価する目的でこれらの問題に関する研究を行なうとともに、これらの問題を防止するための効果的な監視措置その他の措置を策定しかつ実施すること。
  • (b) 社会統合プログラムを発展させること等の手段により、子どもの人身取引、性的搾取、薬物の濫用および取引ならびに経済的搾取と闘い、かつこれらを根絶すること。
  • (c) 1996年および2001年の子どもの商業的性的搾取に反対する会議で採択された宣言および行動綱領ならびにグローバル・コミットメントを考慮に入れながら、子どもの性的搾取および商業的搾取に反対する国家的行動計画を策定しかつ採択すること。
少年司法の運営
53.委員会は、少年司法の運営に関わる状況についての重大な懸念(前掲パラ10)をあらためて表明する。新しい刑法および刑事訴訟法に基づき、少年事件は特別な訓練を受けた裁判官によって検討されうること、および、少年司法を担当する別個の部門を設置するかどうかについての議論が行なわれていることには留意しながらも、委員会は、包括的な制度がまだ確立されていないこと、検察官および弁護士が少年事件を扱う訓練を受けていないこと、ならびに、拘禁が最後の手段として用いられておらず、かつ拘禁に代わる措置が稀にしか適用されていないことに、懸念を表明するものである。さらに、少年拘禁センターの環境が非常に劣悪であり、更生の可能性がほとんど提供されていないことが留意されるところである。
54.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 少年司法の特別制度を速やかに確立するとともに、その完全な独立性ならびに十分な人的資源および財源を確保すること。
  • (b) 少年司法制度を、条約、とくに第37条、第40条および第39条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)および少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)のようなこの分野における他の関連の国際基準と可能なかぎり早期に全面的に一致させる目的で、少年司法制度に関わる法律および実務を引き続き見直すこと。
  • (c) 18歳未満のすべての者が少年司法の運営の分野における特別な保護措置の利益を享受することを確保すること。
  • (d) 未決拘禁を含む拘禁は、最後の手段としてのみ、可能なかぎり短くかつ法律で定められた期間を超えない範囲で用いるとともに、子どもが常に成人から分離されることを確保すること。
  • (e) 可能なときは常に、未決拘禁その他の形態の自由の剥奪に代わる措置を活用すること。
  • (f) 非行、犯罪および薬物依存のような問題につながる社会的条件の解消の一助とするため、家族およびコミュニティの役割を支援することのような防止措置を強化すること。
  • (g) とくに、少年の処遇のあらゆる側面を対象とした効果的な苦情申立て手続へのアクセスを保障することを目的として、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則を法律および実務に編入すること。
  • (h) 第39条に照らし、少年司法制度に関わることになった子どもの回復および社会的再統合を促進するための適当な措置をとること。
  • (i) 「少年司法に関する技術的助言および援助についての国連調整パネル」を通じ、とくにOHCHR、国連国際犯罪防止センター、少年司法国際ネットワークおよびユニセフに対して援助を求めること。

8.報告書の普及

55.最後に、委員会は、条約第44条6項に照らし、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を広く公衆一般が入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう、勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のある非政府組織を含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。

9.報告書の定期的提出

56.委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。これとの関連で、締約国が定期的にかつ時宜を得た報告を行なうことはきわめて重要である。委員会は、一部の締約国が時宜を得た定期的報告書の提出に関して困難を経験していることを認識する。委員会は、例外的措置として、締約国が条約を全面的に遵守してその報告義務の履行の遅れを取り戻すことを援助するため、締約国に対し、第3回・第4回統合定期報告書を、第4回報告書の提出期限である2007年10月30日までに提出するよう慫慂するものである。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年12月26日)。