たん、たん。
連続して銃声が鳴り響く。
ききん、ききん。
連続して金属音が鳴り響く。
朝の光が差す草原で二人の少年が殺しあう。
連続して銃声が鳴り響く。
ききん、ききん。
連続して金属音が鳴り響く。
朝の光が差す草原で二人の少年が殺しあう。
「チッ、あのでっかい篭手が厄介だな……!」
「逃げてばっかでいいのかよ……そらよぉっ!」
「逃げてばっかでいいのかよ……そらよぉっ!」
浅月は自分の持つP90から発射される弾丸がどれも致命傷に至らぬことに舌打ちを。
剛太は今の勢いを保ちながら押しこもうと更なる追撃を。
武装錬金、ピーキーガリバーの特性である空気中の酸素を取り込むことで巨大になるのを利用して多種多様な攻撃を織り成し続ける。
放たれる銃弾もその能力を駆使して自分の肉体に通らないように防ぐ。
剛太は今の勢いを保ちながら押しこもうと更なる追撃を。
武装錬金、ピーキーガリバーの特性である空気中の酸素を取り込むことで巨大になるのを利用して多種多様な攻撃を織り成し続ける。
放たれる銃弾もその能力を駆使して自分の肉体に通らないように防ぐ。
「くっだらねえ! 女死んだからって関係ねえ奴に八つ当たりか!? 惨めだなっ!」
「うるせぇ! 先輩は俺の全てだったんだ! 先輩がいたから俺はここまでやってこれた、生きてこられた!!
なのに……なのにっ! 死んじまった、俺を残して!!!!!」
「こんな殺し合いだ、誰が死んでもおかしくはねぇだろうが」
「それでも、何で……どうして先輩なんだよ、死ぬべき奴はもっといるだろう」
「まあな、少なくとも今のてめえは――――この世界で最も死ぬべき人間だぜ」
「黙れ……」
「黙らねえよ、糞野郎。ほら、さっさとかかってこいよ。
それともなんだ、怖気付いたか? 先輩がいないと何もできない子なんでちゅかーってなぁ!」
「うるせぇ! 先輩は俺の全てだったんだ! 先輩がいたから俺はここまでやってこれた、生きてこられた!!
なのに……なのにっ! 死んじまった、俺を残して!!!!!」
「こんな殺し合いだ、誰が死んでもおかしくはねぇだろうが」
「それでも、何で……どうして先輩なんだよ、死ぬべき奴はもっといるだろう」
「まあな、少なくとも今のてめえは――――この世界で最も死ぬべき人間だぜ」
「黙れ……」
「黙らねえよ、糞野郎。ほら、さっさとかかってこいよ。
それともなんだ、怖気付いたか? 先輩がいないと何もできない子なんでちゅかーってなぁ!」
呪われた子供と殺し合いに乗ったバカな奴。
この腐った肥溜めみたいな戦場で潰しあうにはおあつらえ向きな野郎どもだ。
ただ外野で震えているだけの奴等など知ったことか。ここは、俺達の戦場だ。
そんな糞野郎同士、不条理な世界に抱いた憎しみと憐れみを武器に込めて殺しあう。
二人の頭に浮かぶものは奇しくも同じ。互いに立場こそ違えど抱くのは。
この腐った肥溜めみたいな戦場で潰しあうにはおあつらえ向きな野郎どもだ。
ただ外野で震えているだけの奴等など知ったことか。ここは、俺達の戦場だ。
そんな糞野郎同士、不条理な世界に抱いた憎しみと憐れみを武器に込めて殺しあう。
二人の頭に浮かぶものは奇しくも同じ。互いに立場こそ違えど抱くのは。
「「お前は今ここで殺してやる」」
真っ黒な殺意でしかない。
言葉の応酬が終わったことで命をベットにした奪い合い。
銃弾が飛び、ピーキーガリバーによって防がれる。
その繰り返しがまた始まるかのように思われたが、違った。
言葉の応酬が終わったことで命をベットにした奪い合い。
銃弾が飛び、ピーキーガリバーによって防がれる。
その繰り返しがまた始まるかのように思われたが、違った。
「弾切れ……!」
リロードをする隙がないと悟ったのか浅月は手に持つP90をデイバックに投げ入れた。
使えないものを手に持っていても意味が無い。
これを好機と読み取ったのか剛太は浅月にへと突っ込んでくる。
使えないものを手に持っていても意味が無い。
これを好機と読み取ったのか剛太は浅月にへと突っ込んでくる。
(ここまでは計算どおり、こいつはやっぱり仕掛けてきた)
なぜP90を“弾切れしてもいないのに”わざわざしまったのか。それは浅月の策にあった。
今までは遠距離から撃ってもピーキーガリバーに防がれ、何の意味をなさなかった。
いたずらに弾薬を消費していてはジリ貧。
加えて、後ろで呆然としている優希とフェイトの援護も期待できない。
「オラそこだ、ぶっ殺せー!!」と叫んでいる伊万里についてはもう言うまでもない。
いつまでもこの状態を続ける訳にも行かずに少し危険ではあるが賭けに出た。
P90をしまうことで隙を作る。そうすることで、剛太は接近してくると予想。
そこから繰り出すであろうピーキーガリバーの一撃をギリギリの所で躱す。
そして、放送前の戦闘で散らばっていたデイバックからかすめ取り、万が一の時の為にポケットに忍ばせている折りたたみナイフを素早く取り出してすれ違いざまに胸に突き刺す。
単純ではあるが自分がP90以外の武器を持っているのに気づいていない上に頭に血が上っている“素人”には有効だと考えた。
今までは遠距離から撃ってもピーキーガリバーに防がれ、何の意味をなさなかった。
いたずらに弾薬を消費していてはジリ貧。
加えて、後ろで呆然としている優希とフェイトの援護も期待できない。
「オラそこだ、ぶっ殺せー!!」と叫んでいる伊万里についてはもう言うまでもない。
いつまでもこの状態を続ける訳にも行かずに少し危険ではあるが賭けに出た。
P90をしまうことで隙を作る。そうすることで、剛太は接近してくると予想。
そこから繰り出すであろうピーキーガリバーの一撃をギリギリの所で躱す。
そして、放送前の戦闘で散らばっていたデイバックからかすめ取り、万が一の時の為にポケットに忍ばせている折りたたみナイフを素早く取り出してすれ違いざまに胸に突き刺す。
単純ではあるが自分がP90以外の武器を持っているのに気づいていない上に頭に血が上っている“素人”には有効だと考えた。
浅月は一つ勘違いをしている。剛太はただの素人ではない。
彼は化物たるホムンクルスを殲滅する為に訓練を重ね、核鉄を与えられるまでに至った錬金の戦士なのだ。
断じて素人ではない。いくら頭に血が上ろうとも心の何処かで冷静さを保ち続けている。
だからこそ――油断は死に繋がる。
彼は化物たるホムンクルスを殲滅する為に訓練を重ね、核鉄を与えられるまでに至った錬金の戦士なのだ。
断じて素人ではない。いくら頭に血が上ろうとも心の何処かで冷静さを保ち続けている。
だからこそ――油断は死に繋がる。
「手榴弾だと……てめえ、特攻隊紛いのことしてんじゃねえよ!」
「ほら、どうした。さっさとこいつを遠くに投げないと巻き添え食らって死んじまうぜ?」
「ほら、どうした。さっさとこいつを遠くに投げないと巻き添え食らって死んじまうぜ?」
剛太は勝利を確信する。ここで、勝負を決めるべく浅月と同じく勝負に出る。
投げつけるのはM24型柄付手榴弾。銃弾の妨害もない為に正確な方向へとこれを投げつけることが出来る。
一投必中、乾坤一擲! 放たれた手榴弾は寸分の狂いなく浅月へと迫る。
この投擲を当然無視出来る訳もなく浅月は投げつけられた手榴弾をギリギリでキャッチし投げ返す。
投げつけるのはM24型柄付手榴弾。銃弾の妨害もない為に正確な方向へとこれを投げつけることが出来る。
一投必中、乾坤一擲! 放たれた手榴弾は寸分の狂いなく浅月へと迫る。
この投擲を当然無視出来る訳もなく浅月は投げつけられた手榴弾をギリギリでキャッチし投げ返す。
「肥大しろ、ピーキーガリバー」
だがそのケースも予測している。予測していれば躱すこともどうということはない。
ピーキーガリバーを地面に突き刺して身体がすっぽりと隠れるぐらいに肥大させる。
これによって投げ返ってきた手榴弾の爆発を完全に防いだ。
ピーキーガリバーを地面に突き刺して身体がすっぽりと隠れるぐらいに肥大させる。
これによって投げ返ってきた手榴弾の爆発を完全に防いだ。
「チッ、ホント厄介だな、その馬鹿でかい篭手は!」
剛太は地面からピーキーガリバーを引き抜いて再び浅月へと接近する。
でかい分だけ振りは大振り。よく見れば躱すことができるはずだ。
でかい分だけ振りは大振り。よく見れば躱すことができるはずだ。
「武装解除」
その言葉が紡がれるのと同時にピーキーガリバーが六角形の金属へと姿を戻す。
浅月もあの巨大な篭手が一瞬で消えたことに驚きを隠せない。
浅月もあの巨大な篭手が一瞬で消えたことに驚きを隠せない。
「隙ができたな。武装錬金」
そして、剛太の右手には再びピーキーガリバーが装着される。
拳は既に射程圏内だった。後は、一撃を放つのみ。
躱し切れない。浅月はピーキーガリバーによる掌底を受けて後ろへと吹っ飛んでいく。そして、三人のいる元で動きを止めた。
拳は既に射程圏内だった。後は、一撃を放つのみ。
躱し切れない。浅月はピーキーガリバーによる掌底を受けて後ろへと吹っ飛んでいく。そして、三人のいる元で動きを止めた。
「ひっ……!」
優希とフェイトは土に濡れた浅月を見て足を後ずさりさせる。
一方、伊万里は「オラ起きろ、さっさと起きろ! クソアロハが来るぞ!」と倒れ込んでいる浅月に蹴りを入れていた。
再び、剛太は手に手榴弾を持ち、後ろの四人へと投げ込んだ。
走って逃げた所でもう遅い、爆発は一瞬で四人を包み死へと誘うだろう。
一方、伊万里は「オラ起きろ、さっさと起きろ! クソアロハが来るぞ!」と倒れ込んでいる浅月に蹴りを入れていた。
再び、剛太は手に手榴弾を持ち、後ろの四人へと投げ込んだ。
走って逃げた所でもう遅い、爆発は一瞬で四人を包み死へと誘うだろう。
「ああああああ! このクソアロハッ! てめえらの戦闘に外野巻き込んでんじゃねー!」
そんな馬鹿げた結末なんて認めない少女が一人。
「武装錬金!!」
少女、関口伊万里の手に持つ六角形の金属が光を放つ。
そして次の瞬間には彼女達を爆風から護る壁となっていた。
剛太は知っている。かの武装錬金、元はキャプテンブラボー、防人衛の使用する武装錬金だということを。
シルバースキン。外敵による攻撃から護る防護服だということを。
そしてその能力は裏を返せば――相手に着せると拘束服となる。
そして次の瞬間には彼女達を爆風から護る壁となっていた。
剛太は知っている。かの武装錬金、元はキャプテンブラボー、防人衛の使用する武装錬金だということを。
シルバースキン。外敵による攻撃から護る防護服だということを。
そしてその能力は裏を返せば――相手に着せると拘束服となる。
(させるか、そんなこと!)
それを許してしまったら詰みだ。動きが止まっている間に浅月が起き上がってきたら殺されてしまう。
幸いなことに敵はシルバースキンを使いこなせておらず、特性についても詳しくは知らないはずだ。
ならば、そこに付け入る隙がある。伊万里が完全に使いこなせる前に――殺る。
幸いなことに敵はシルバースキンを使いこなせておらず、特性についても詳しくは知らないはずだ。
ならば、そこに付け入る隙がある。伊万里が完全に使いこなせる前に――殺る。
「何、やってるんだよ……剛太!」
まだ動きを見せていない伊万里を殺そうと疾走する瞬間、剛太のいる場所に閃光が迸った。
即座にピーキーガリバーで閃光を防ぎ、事無きを得るが厄介なことになったと舌打ちをする。
このような時に限って一番会いたくない奴が現れてしまった。
即座にピーキーガリバーで閃光を防ぎ、事無きを得るが厄介なことになったと舌打ちをする。
このような時に限って一番会いたくない奴が現れてしまった。
「はっ、見りゃあわかるだろうが、武藤。こいつら殺そうとあくせく戦ってることぐらいわかんねーのか?」
後ろを振り返ると息を荒く吐きながらサンライトハートを握る武藤カズキの姿が見えた。
ああ、見ていて苛々する。
あいつは先輩が死んだというのに平然と偽善者ぶってやがる。
まだ、人を護るなんて理想を掲げてやがる、
それに比べて、自分は――。
あいつは先輩が死んだというのに平然と偽善者ぶってやがる。
まだ、人を護るなんて理想を掲げてやがる、
それに比べて、自分は――。
剛太の中にある黒い感情が表面に吹き出しそうになる。
それを抑えるかのように、剛太は顔を醜く歪めてため息を吐き、頭を落ち着かせる。
それを抑えるかのように、剛太は顔を醜く歪めてため息を吐き、頭を落ち着かせる。
「お前こそ先輩が死んだっていうのに平然と正義の味方ごっこか?
よくやるよな。先輩の仇討ちよりも目の前の人を助けること優先か。反吐がでるな」
「……その人達は、斗貴子さんを殺したのか?」
「違う。さしずめ八つ当たりってとこだ……笑えるだろ? 先輩が死んでる頃こいつらはのんきにおしゃべりだ。
それ考えちゃあムカついてしゃあねえよ」
よくやるよな。先輩の仇討ちよりも目の前の人を助けること優先か。反吐がでるな」
「……その人達は、斗貴子さんを殺したのか?」
「違う。さしずめ八つ当たりってとこだ……笑えるだろ? 先輩が死んでる頃こいつらはのんきにおしゃべりだ。
それ考えちゃあムカついてしゃあねえよ」
哂う。自分とカズキが同じ大切な人を亡くしたというのにとる行動が余りにも違っているのがおかしくて。
だからなのか、早くこの場にいる全員を殺さなければならないのに。
だからなのか、早くこの場にいる全員を殺さなければならないのに。
「武藤、先輩が死んでも悲しくねえの?」
こんなくだらない質問をしてしまった。
◆ ◆ ◆
津村斗貴子が死んだ。それはカズキにとって信じがたいことだった。
斗貴子は死にかけた自分に新たな生命をくれ、錬金の戦士として当初は素人だった自分を導いてくれた恩人ともいえる存在だ。
そして、蝶野攻爵率いるホムンクルス集団、L・X・Eとの死闘、ヴィクターの復活。
幾多の戦いを一緒に戦い抜いてきた。そのたびに彼女には肉体面でも精神面でも助けられた。
斗貴子は死にかけた自分に新たな生命をくれ、錬金の戦士として当初は素人だった自分を導いてくれた恩人ともいえる存在だ。
そして、蝶野攻爵率いるホムンクルス集団、L・X・Eとの死闘、ヴィクターの復活。
幾多の戦いを一緒に戦い抜いてきた。そのたびに彼女には肉体面でも精神面でも助けられた。
「悲しいさ」
そう、悲しくない訳がない。
今も胸には彼女のくれた生命、核鉄が残っている。
今も耳には彼女のきついながらも優しさがこもった言葉が残っている。
今も頭には自分の武装錬金を名付けたあの朝焼けと彼女の笑顔が残っている。
かつての思い出は全ては重みとなってのしかかってくる。
今も胸には彼女のくれた生命、核鉄が残っている。
今も耳には彼女のきついながらも優しさがこもった言葉が残っている。
今も頭には自分の武装錬金を名付けたあの朝焼けと彼女の笑顔が残っている。
かつての思い出は全ては重みとなってのしかかってくる。
『キミが死ぬ時が私が死ぬ時だ』
あの浜辺での会話は色あせずに頭に思い浮かべられる。
いるだけで災厄を撒き散らす化物になりかけている自分に彼女は一緒にいようと言ってくれた。
それは何よりも嬉しくて暖かくて幸せだった。
思えばその時からカズキは斗貴子を――。
いるだけで災厄を撒き散らす化物になりかけている自分に彼女は一緒にいようと言ってくれた。
それは何よりも嬉しくて暖かくて幸せだった。
思えばその時からカズキは斗貴子を――。
「泣きたいくらいに、悲しいさ。だけど、オレは……!」
「はっ。正義の味方をまだ続けるってか。くだらねえ、俺には理解できねえよ」
「ああ、理解されなくても助けてもらえなくてもいいさ。オレはこの正義を、貫く……!」
「お前自身がもう報われないとしてもかよ。武藤、護ったって意味はないんだぜ、バケモノ寸前のてめえには」
「それでもオレは貫くさ。例え、誰一人味方がいないとしても。
人を護る戦士として戦う。斗貴子さんも人を護る為に戦って死んだと思うから。
斗貴子さんの意志を受け継いで前へと進む」
「はっ。正義の味方をまだ続けるってか。くだらねえ、俺には理解できねえよ」
「ああ、理解されなくても助けてもらえなくてもいいさ。オレはこの正義を、貫く……!」
「お前自身がもう報われないとしてもかよ。武藤、護ったって意味はないんだぜ、バケモノ寸前のてめえには」
「それでもオレは貫くさ。例え、誰一人味方がいないとしても。
人を護る戦士として戦う。斗貴子さんも人を護る為に戦って死んだと思うから。
斗貴子さんの意志を受け継いで前へと進む」
その思いは叶わぬものだけど。
大切な人を護れずに今も生きているけれど。
それでもその重みを抱えて前へと進むと決意したから。
化物と化してしまうであろう瞬間までカズキは諦めない。膝を屈することをしない。
誰かを護るという思いを繋ぎ続ける。
大切な人を護れずに今も生きているけれど。
それでもその重みを抱えて前へと進むと決意したから。
化物と化してしまうであろう瞬間までカズキは諦めない。膝を屈することをしない。
誰かを護るという思いを繋ぎ続ける。
「だから、止めるぞ……剛太! 同じ仲間として!」
サンライトハート。彼女がくれた護る為に戦う武装錬金。
これを片手に、この殺し合いを終わらせる。
その先に待っている人がもういなくてもカズキは、前へと進む。
これを片手に、この殺し合いを終わらせる。
その先に待っている人がもういなくてもカズキは、前へと進む。
「はっ、俺はお前みたいに他人護って喜ぶ程善人じゃねえんだ。先輩だけ、いてくれればよかった。
俺にとってはそれだけが前へ進む動力だった。だからもう、どうでもいいんだ。
むかついたら殺す。適当に生きるさ、はははっ! 死ねば先輩に会えるかもしれないしなァ!」
「剛太、それは間違ってるんだよ! そんなことしても斗貴子さんは喜ぶ訳ないだろ!」
「いまさらなんだよ! いまさらどうしろってんだ! 誰かを護る為に戦えってか? そんな正義の味方、願い下げだ!
ほら戦おうぜ、武藤。化物対化物を狩る戦士様、おあつらえ向きな理由もあることだしよ!」
「今だ、ちぇすとおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
俺にとってはそれだけが前へ進む動力だった。だからもう、どうでもいいんだ。
むかついたら殺す。適当に生きるさ、はははっ! 死ねば先輩に会えるかもしれないしなァ!」
「剛太、それは間違ってるんだよ! そんなことしても斗貴子さんは喜ぶ訳ないだろ!」
「いまさらなんだよ! いまさらどうしろってんだ! 誰かを護る為に戦えってか? そんな正義の味方、願い下げだ!
ほら戦おうぜ、武藤。化物対化物を狩る戦士様、おあつらえ向きな理由もあることだしよ!」
「今だ、ちぇすとおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
二人の会話を遮る大きな声。それと同時に迫る一つの影。
剛太は迫る影に軽く舌打ちをして横へと跳躍する。
影の正体は関口伊万里。
展開したシルバースキンは三人に被せ、着の身着のまま鞘付きの太刀を携えてふんぞり返っていた。
剛太は迫る影に軽く舌打ちをして横へと跳躍する。
影の正体は関口伊万里。
展開したシルバースキンは三人に被せ、着の身着のまま鞘付きの太刀を携えてふんぞり返っていた。
「ようクソアロハ! もう怒ったぞ、あたしは! メガネは使えねえし残り二人は辛気臭い面してるし!
いっぺんあたしがぶっ殺すから覚悟しろや! というか避けてんじゃねえよ! 黙ってぶっ倒されろよ!」
「え、えと……とりあえず落ち着いて」
「爆弾投げられたってのに落ち着いていられるか槍野郎!」
「槍……そりゃあ槍だけどさ……」
「つうかお前はどうでもいいんだよ、ひっこんでろ! あたしが用あるのはそこのクソアロハだ! さっきからガタガタ好き放題言いやがって!
行くぜ、うらららららららららあああああああああああ!」
いっぺんあたしがぶっ殺すから覚悟しろや! というか避けてんじゃねえよ! 黙ってぶっ倒されろよ!」
「え、えと……とりあえず落ち着いて」
「爆弾投げられたってのに落ち着いていられるか槍野郎!」
「槍……そりゃあ槍だけどさ……」
「つうかお前はどうでもいいんだよ、ひっこんでろ! あたしが用あるのはそこのクソアロハだ! さっきからガタガタ好き放題言いやがって!
行くぜ、うらららららららららあああああああああああ!」
伊万里は般若のような形相を浮かべて縦横右往左往に太刀を振り回す。
だが、その一撃はいかんせん大振り、素人でも軽く躱すことができるレベルである。
剛太は当然、全ての攻撃を易々と躱す。
だが、その一撃はいかんせん大振り、素人でも軽く躱すことができるレベルである。
剛太は当然、全ての攻撃を易々と躱す。
「おら当たれぇ! さっさと死ねぇ!」
「とんでもねえ奴だ……ああ、畜生ついてねえ!」
「もうやめろ、剛太! これ以上感情に身をまかせるな!」
「とんでもねえ奴だ……ああ、畜生ついてねえ!」
「もうやめろ、剛太! これ以上感情に身をまかせるな!」
三者三様、感情を顕にして戦闘は再び始まった。
ガンガンとけたたましい金属音が草原に響き渡る。
振る、斬る、突く、潰す。
どの攻撃も未だ誰一人を殺すに能わない。
三人共に決定打がなく、戦線は膠着していた。
ガンガンとけたたましい金属音が草原に響き渡る。
振る、斬る、突く、潰す。
どの攻撃も未だ誰一人を殺すに能わない。
三人共に決定打がなく、戦線は膠着していた。
「一番むかつくのはてめえだ、クソアロハ! てめえの八つ当たりであたしの恋路の邪魔をすんな!
うざってえんだよ、ウジウジしやがってよぉ!!」
「ああ!? 黙れよ、クソ女! てめえに大切な人を失った悲しみがわかんのかよ!」
「わかってたまるか、馬鹿野郎! そんなの知るか! あたしが言いたいのはだな、人殺すんなら他んとこ行ってこいってことだ!」
うざってえんだよ、ウジウジしやがってよぉ!!」
「ああ!? 黙れよ、クソ女! てめえに大切な人を失った悲しみがわかんのかよ!」
「わかってたまるか、馬鹿野郎! そんなの知るか! あたしが言いたいのはだな、人殺すんなら他んとこ行ってこいってことだ!」
何を言っているんだ、こいつは。
奇しくも剛太とカズキの抱く心持ちが一致する。
それもそうだ、人を殺すならよそでやれなどと言われるとは普通は思わない。
ここは常識的に考えて人を殺すなんてやめろ、などと止める言葉ではないのか。
奇しくも剛太とカズキの抱く心持ちが一致する。
それもそうだ、人を殺すならよそでやれなどと言われるとは普通は思わない。
ここは常識的に考えて人を殺すなんてやめろ、などと止める言葉ではないのか。
「もう一度言ってやる! クソみてえな八つ当たりはよそでやれ! 消・え・ろっっっ! わかったか、クソアロハああああああああああああああああああ!」
「は、ははっ……クソ女にクソって言われるなんてな、もういい。武藤諸共死にやがれよ! 潰すぞ――ピーキーガリバー」
「は、ははっ……クソ女にクソって言われるなんてな、もういい。武藤諸共死にやがれよ! 潰すぞ――ピーキーガリバー」
剛太の意志に応じてピーキーガリバーの大きさが一回り、二回りと大きくなっていく。
そして巨大化した掌が頭上高く掲げられ、そのまま力の限り振り下ろす。
狙うはいきなりの巨大化に目を点にして驚いている伊万里。
動きを止めている今ならば一撃を与えられる。
そして巨大化した掌が頭上高く掲げられ、そのまま力の限り振り下ろす。
狙うはいきなりの巨大化に目を点にして驚いている伊万里。
動きを止めている今ならば一撃を与えられる。
「させるかぁ!」
最も、それを邪魔する偽善者がここにいるのだからあっさりとは通らない。
カズキはピーキーガリバーがこれ以上進まないようサンライトハートを天高く突き上げる。
ガリガリと金属が削れる音が聞こえる。
剛太は二人を押し潰そうと。カズキはこのまま突き上げて貫こうと。伊万里は奇声を上げながら太刀を捨ててピーキーガリバーを持ち上げようと。
カズキはピーキーガリバーがこれ以上進まないようサンライトハートを天高く突き上げる。
ガリガリと金属が削れる音が聞こえる。
剛太は二人を押し潰そうと。カズキはこのまま突き上げて貫こうと。伊万里は奇声を上げながら太刀を捨ててピーキーガリバーを持ち上げようと。
殺す。
殺させない。
沢村とデート。
殺させない。
沢村とデート。
それぞれがこの殺し合いで勝利をもぎ取ろうと意志を輝かせる。
三者三様の意志が混ざり戦況は膠着する。
三者三様の意志が混ざり戦況は膠着する。
「あ?」
膠着状態の終わりは一発の銃弾だった。
たんっと小気味いい音が三人の耳に入った。
それは一瞬。一秒の出来事。カップラーメンすら作れない短い時間。
だがその一瞬が膠着と一人の人間を壊した。
たんっと小気味いい音が三人の耳に入った。
それは一瞬。一秒の出来事。カップラーメンすら作れない短い時間。
だがその一瞬が膠着と一人の人間を壊した。
「俺を忘れてるんじゃねえよ」
銃弾が飛んできた先、そこにはP90の銃口を剛太にポイントしていた浅月がいた。
蚊帳の外からの一撃。それは誰もが想定してはいなかったものだった。
銃弾は、剛太の眉間を貫いた。
力を失った身体は数秒経って地面へと崩れ落ちる。
同時にピーキーガリバーが解除され、核鉄へと戻った。
蚊帳の外からの一撃。それは誰もが想定してはいなかったものだった。
銃弾は、剛太の眉間を貫いた。
力を失った身体は数秒経って地面へと崩れ落ちる。
同時にピーキーガリバーが解除され、核鉄へと戻った。
剛太の間違いは何だったのか。
感情の赴くままに乱入したのが間違いだったのか。
この島に降り立ってすぐに斗貴子を探しに行かなかったのが間違いだったのか。
最も、正しい答えがあるにしろもうその間違いを直すことはできない。
ただ、確かにいえることは剛太は奪われたまま、何も取り戻すことも出来ずに死ぬということだ。
たった一つの銃弾の一撃で錬金の戦士としての努力が。
たった一つの感情の暴走でこれから先の人生が。
思い一つ残す瞬間すら与えられずに全てを奪われた。
結局の所、剛太は狂人となって人を殺す殺人鬼になる訳でもなく、感情を制御して仇討ちに全てを捧げる訳でもなく。
感情の赴くままに乱入したのが間違いだったのか。
この島に降り立ってすぐに斗貴子を探しに行かなかったのが間違いだったのか。
最も、正しい答えがあるにしろもうその間違いを直すことはできない。
ただ、確かにいえることは剛太は奪われたまま、何も取り戻すことも出来ずに死ぬということだ。
たった一つの銃弾の一撃で錬金の戦士としての努力が。
たった一つの感情の暴走でこれから先の人生が。
思い一つ残す瞬間すら与えられずに全てを奪われた。
結局の所、剛太は狂人となって人を殺す殺人鬼になる訳でもなく、感情を制御して仇討ちに全てを捧げる訳でもなく。
「死ね、半端者」
感情を抑えることのできない宙ぶらりんな半端者だった。
無様に、哀れに、一人の弱き青年の生命は終わる。
されど、世界は止まらない。
無様に、哀れに、一人の弱き青年の生命は終わる。
されど、世界は止まらない。
【中村剛太@武装錬金 死亡】
【I-6/一日目/朝】
【浅月香介@スパイラル~推理の絆~】
【状態】全身打撲
【装備】月臣学園の学生服、FN P90(0/50)@スパイラル~推理の絆~、折りたたみナイフ
【所持品】支給品一式、携帯電話、大量の五百円玉@魔法先生ネギま!、スクール水着@魔法先生ネギま!、予備弾倉×2
【思考】
基本:知り合いとの合流
1:とりあえず殺し合いには乗らない。
2:時間軸の違いと怪我の治りについて困惑。
※参戦時期は12巻終了後
【状態】全身打撲
【装備】月臣学園の学生服、FN P90(0/50)@スパイラル~推理の絆~、折りたたみナイフ
【所持品】支給品一式、携帯電話、大量の五百円玉@魔法先生ネギま!、スクール水着@魔法先生ネギま!、予備弾倉×2
【思考】
基本:知り合いとの合流
1:とりあえず殺し合いには乗らない。
2:時間軸の違いと怪我の治りについて困惑。
※参戦時期は12巻終了後
【片岡優希@咲-Saki-】
【状態】健康
【装備】
【所持品】支給品一式(水を三分の一消費) 不明支給品1~3
【思考】
基本:????
0:咲ちゃん、のどちゃん、染谷先輩……。
【状態】健康
【装備】
【所持品】支給品一式(水を三分の一消費) 不明支給品1~3
【思考】
基本:????
0:咲ちゃん、のどちゃん、染谷先輩……。
【関口伊万里@スパイラルアライヴ】
【状態】健康
【装備】葛葉刀子の野太刀@魔法先生ネギま!
【所持品】支給品一式、シルバースキン@武装錬金、不明支給品0~2
【思考】
基本:沢村とデートしたい!
0:あれ、あたしが一撃ぶち込む前にこいつ死んだ?
1:クソアロハムカつく。槍野郎邪魔すんな。メガネマジ使えねえ。
※参戦時期は最終話終了後
【状態】健康
【装備】葛葉刀子の野太刀@魔法先生ネギま!
【所持品】支給品一式、シルバースキン@武装錬金、不明支給品0~2
【思考】
基本:沢村とデートしたい!
0:あれ、あたしが一撃ぶち込む前にこいつ死んだ?
1:クソアロハムカつく。槍野郎邪魔すんな。メガネマジ使えねえ。
※参戦時期は最終話終了後
【フェイト・テスタロッサ・ハラオウン@魔法少女リリカルなのは】
【思考・状況】:精神衰弱、肉体疲労(中)
【思考・状況】:なし
【道具】:支給品一式、不明支給品0~2
【思考・状況】
基本:????
0:ユーノ……クロノ……。
※二期終了後からの参戦です。
※I-6に金属バット、支給品一式×2、不明支給品0~2は浅月達で分配されました。
【思考・状況】:精神衰弱、肉体疲労(中)
【思考・状況】:なし
【道具】:支給品一式、不明支給品0~2
【思考・状況】
基本:????
0:ユーノ……クロノ……。
※二期終了後からの参戦です。
※I-6に金属バット、支給品一式×2、不明支給品0~2は浅月達で分配されました。
【武藤カズキ@武装錬金】
【思考・状況】:腹部にダメージ、右肩に刺突痕(応急処置済み)
【装備】:サンライトハート@武装錬金
【道具】:支給品一式、投げナイフ、不明支給品1~3
【思考・状況】
基本:ゲームには乗らない
1 他の参加者と協力して情報交換。
2 知り合いとの合流
※7巻62話からの参戦。
※近くに支給品一式、応急処置セット、M24型柄付手榴弾×2、ピーキーガリバー@武装錬金が落ちています。
【思考・状況】:腹部にダメージ、右肩に刺突痕(応急処置済み)
【装備】:サンライトハート@武装錬金
【道具】:支給品一式、投げナイフ、不明支給品1~3
【思考・状況】
基本:ゲームには乗らない
1 他の参加者と協力して情報交換。
2 知り合いとの合流
※7巻62話からの参戦。
※近くに支給品一式、応急処置セット、M24型柄付手榴弾×2、ピーキーガリバー@武装錬金が落ちています。
Back::俺が願ったもの/私が願ったもの | 時系列順で読む | Next:たった一つだった冴えたやりかた |
Back::俺が願ったもの/私が願ったもの | 投下順で読む | Next:たった一つだった冴えたやりかた |
Back::壊れた世界たち | 浅月香介 | Next:[[]] |
Back::壊れた世界たち | 片岡優希 | Next:[[]] |
Back::不屈の意志はこの胸に | 武藤カズキ | Next:[[]] |
Back::壊れた世界たち | 関口伊万里 | Next:[[]] |
Back::壊れた世界たち | フェイト・テスタロッサ・ハラオウン | Next:[[]] |
Back::壊れた世界たち | 中村剛太 | GAME OVER |