完全にランダムな牌山生成は可能なのか

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papavip

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完全にランダムな牌山生成は可能なのか


ネット麻雀の牌山生成は、ランダムな順で牌を並べる機能であるはずだが、意図的に仕組まれているとしか思えない順番で牌を引かされてしまう。
東風荘登場以来、本当にランダムな牌山を並べてくれるネット麻雀を求めて遍歴を続けてきた筆者が、なぜ完璧なランダム生成にならないのか、その理由を探った。



ネット麻雀の登場で、人々はノーレートで気軽にゲームとしての麻雀を楽しむことがいかに素晴らしいことかを学んだ。

もはや麻雀を打ちたいとき、白く煙った雀荘でタバコの煙を我慢しながら下品なオヤジにつきあったり、上司や先輩に気を使いながらビクビク打つ必要はない。
時間や人間関係を強要されなくなった麻雀ファンたちはネット麻雀に群がった。

コンピュータにより生成されたランダムな牌山は平等で、ジャラジャラうるさい割に全然混ざらない全自動麻雀卓や、面倒くさくイカサマの疑惑がつきまとう手積み卓でランダムではない牌山を前に「流れ」を読むことに悪戦苦闘する必要もなくなったのだ。
純粋に戦略や効率だけで戦績が決まる時代の到来である。

――しかし、ネット麻雀をはじめた麻雀ファンは、実際に対戦しはじめるとすぐに新たな問題点を発見した――ランダムに牌山を生成する機能が、とてもランダムとは思えなかったのだ。

たしかにある特定の局のあるプレイヤーの配牌やツモだけを見ればランダムに見える。だが、特定のプレイヤーに有利な配牌やツモが頻出し、課金プレイヤーがリーチした巡目にアタリ牌をつかまされたり、勝ち席と負け席が明確に別れたり、ドラ表示牌が続けて同じ事も頻繁に起きる。カンドラが乗ってドラ4などということすらしょっちゅうあるのだ!

私が利用したネット麻雀のプログラムは、単に欠陥品だったのか? あるいは、何らかの意図によりこのようなパターンが繰り返される裏には何かもっと深い理由があるのだろうか。
私は最初にネット麻雀を利用したときにそのような偏りに気づいて以来、牌山のランダム性を疑うようになったのだった。
私はそれ以来、この謎にとりつかれ、牌山を本当にランダムに生成してくれるネット麻雀を求めてさまざまに遍歴した。

最初に試したのは東風荘で、以来、東南荘、ロン2、麻雀格闘倶楽部、MJ、ハンゲーム、天鳳、Maru雀、雀龍門…沢山のネット麻雀で試してみたが結果はいつも同じだった――牌山にはいつも誰かに有利な偏りがあり、ネット麻雀にも「流れ」が存在するのだ。
たとえば、全34種136枚の牌の中で、中(4枚入っている)を6巡目にツモったあと、7巡目にも9巡目にもツモってきたりする。もしも学校の教師が34人の生徒の内1人だけをこのように繰り返し指名し課題をやらせたりしたなら、すぐに解雇されるはずだ。

ランダムな牌山生成について、コンピューター科学が専門の友人たちがあるヒントをくれた。彼らの説明によると、予測可能な方法で物事を処理するよう設計されているパソコンにとって、統計的にランダムである数字の連続を生成することは非常に難しいという。数字のリストをランダムに並べるよう繰り返し試みたところで、コンピューターはたびたび、はっきりとしたパターンを示す数字の列をはじき出す。

この短所を補正するため、プログラマーたちはこれまでにさまざまなアルゴリズムを考案し、大部分で互いに完全に独立している数字の長い列を計算によって作り出せるようにした。科学者たちは、このアルゴリズムを「擬似乱数生成アルゴリズム」と呼んでいる。「擬似」という語を冠するゆえんは、ここで生成される数字の列は、一見すると予測不可能なようだが、計算方法がわかれば理論的には予測可能であり、完全な乱数とは異なるからだ。

イライラを募らせた私は、ランダムについては徹底されているサイト[ random.org ]に目を向けた。擬似乱数生成アルゴリズムを使うプログラムと違い、[ random.org ]は地球の大気中の雑音を抽出して生成した完全にランダムな数字の列を利用している。

しかし、[ random.org ]の数列を使って牌山をランダム化し試してみたところ、それでも牌山に偏りがあることがわかった。
リーチの一発目には相変わらずアタリ牌をつかまされるし、勝ち席と負け席はハッキリし、カンドラが4枚乗ることもまだ観測された。

私の打っている半荘数は1日に10回未満であり、牌山がランダムでさえあればそのうちの大半に大敗が並んで現れたり、特定の人があがり続ける確率は非常に低いと思われた。
だが、私はこの点で間違っていた。

私はこれまで、各種のプログラムが牌山をランダム化していないことが問題だと思っていたのだが、そうではなかった。プログラムは実際にランダム化しているのだ。
数学者、ジェフ・レイト氏によると、問題は私の受け止め方にあるという。はっきり言えば、ランダムとはこうあるべきだという私の期待にこそ問題があるというのだ。

要点を明確にするため、レイト氏は、統計学者が「バースデー・パラドックス」と呼ぶ現象を引き合いに出した。
この現象を大まかに説明すると、部屋に無作為に選ばれた23人の人がいる場合、そのうち少なくとも2人が同じ誕生日である確率は50%を上回るというものだ。
要するに、数学上の無作為と、われわれが直観的に期待する無作為とは、往々にして矛盾するということだ。

レイト氏によると、われわれが望んでいるのは、ランダム化された牌山ではなく、恣意的に均された牌山や、麻雀のルールに応じ、牌に重み付けした上で恣意的に並び替えた牌山なのだという。
恣意的な操作を行えば牌はランダムに選出するが、たとえば、連続するツモのうちに同じ牌が続かないようにするといった選出が可能になる。

こういった方法についてサービスにすでに組み込んでいる、あるいは組み込もうとしているネット麻雀は寡聞にして知らないが、ある意味このような方式はユーザーに受け入れられるかもしれないと思った。
リアルな麻雀では対応できない無知なユーザーのサイレントな期待に応える可能性があるからだ。



民名書房刊
「牌山が偏っているのはわれわれの心理的な要因か」
より抜粋



この記事 の改変コピペです。2007年くらいにmixiの日記で書いたものを一部修正して転載。


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