総括所見:ナウル(第1回・2016年)


CRC/C/NRU/CO/1(2016年10月28日)/第73会期
原文:英語(平野裕二仮訳)

I.序

1.委員会は、2016年9月13日および14日に開かれた第2134回および第2135回会合(CRC/C/SR.2134 and 2135参照)においてナウルの第1回報告書(CRC/C/NRU/1)を検討し、2016年9月30日に開かれた第2160回会合において以下の総括所見を採択した。
2.委員会は、締約国における子どもの権利の状況についての理解を向上させてくれた、締約国の第1回報告書の提出を歓迎する。委員会は、締約国のハイレベルな部門横断型代表団との間に持たれた建設的対話に評価の意を表するものである。

II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、以下の文書の批准またはこれへの加入を歓迎する。
  • (a) 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(2011年)。
  • (b) 障害のある人の権利に関する条約(2012年)。
  • (c) 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約(2013年)。
  • (d) 拷問等禁止条約の選択議定書(2013年)。
4.委員会はまた、以下の立法措置がとられたことも歓迎する。
  • (a) 子どもの保護および福祉法(2016年)。
  • (b) 犯罪法(2016年)。
  • (c) 教育(改正)法(2015年)。
  • (d) サイバー犯罪法(2015年)。
5.委員会は、以下の制度上および政策上の措置に評価の意とともに留意する。
  • (a) 国家障害政策の採択(2015年)。
  • (b) 子ども保護サービス局の設置(2015年)。
  • (c) 国家若者政策(2009~2015年)の採択。
  • (d) ナウル・ジェンダー国別計画の採択(2014年)。

III.主要な懸念領域および勧告

A.実施に関する一般的措置(第4条、第42条および第44条(6))

立法
6.委員会は、条約の規定との一致および調和化を確保するために現行法の包括的に向けた努力が行なわれていることを歓迎するとともに、子どもの保護および福祉法の採択(2016年)および家族保護法の提案に、肯定的対応として留意する。委員会はまた、憲法でとくに子どもの権利を保障する手段として憲法再検討プロセスを再開しようとする努力も歓迎するものである。しかしながら委員会は、一部の法律について条約との調和を図る必要性が残っていることを懸念するものである。
7.委員会は、締約国に対し、条約の国内法化を確保するとともに、国内法と条約の原則および規定との調和を図る努力を引き続き行なうよう、奨励する。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 関連の法律に掲げられている規定が子どもの保護および福祉法(2016年)と調和することを確保するための措置をとること。
  • (b) 家族保護法の成案の採択を、優先的事項として速やかに進めること。
  • (c) 国レベルで採択されるすべての新法を対象として子どもの権利影響評価を導入すること。
  • (d) 憲法再検討プロセスを再開し、かつ、子どもの権利が憲法でとくに保障されることを確保するための措置をとること。
包括的政策
8.委員会は、子どもの権利をとくに促進しかつ保護するための包括的政策が定められていないことを懸念する。委員会は、子ども保護サービス局の職員が子どもの保護および福祉に関する訓練を受けておらずまたは正式な経験を欠いていることを示す報告があることに、懸念とともに留意するものである。
9.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの権利を促進しかつ保護するための包括的政策を策定し、かつ、当該政策が十分な人的資源、技術的資源および財源によって裏づけられることを確保すること。
  • (b) 子どもの保護政策を策定し、かつその実施の有効性を定期的に評価するため、子どもを含むすべての関係者との協議を確保すること。
  • (c) 新たな子ども保護サービス局に十分な人的資源、技術的資源および財源を配分すること。
  • (d) 社会福祉部門を対象とした能力構築戦略(内務省およびその諸部局を対象とした、子どものウェルビーイング、福祉および保護に関する教育・能力開発プログラムを含む)を発展させること。
調整
10.委員会は、部門を横断する形でならびに国レベルおよび地方レベルで、条約の実施に関連するすべての活動の調整が不十分であることを懸念する。
11.委員会は、締約国が、部門を横断する形でならびに国レベルおよび地方レベルで条約の実施に関連するすべての活動を調整するための効果的機構を発展させ、かつ必要な人的資源、技術的資源および財源を配分するよう勧告する。
資源配分
12.2015~2016年度の予算配分で条約の規定を実施するための対応がとられていることには留意しながらも、委員会は、編成過程において、関連部門および関連機関における子どものための予算配分額(指標および追跡システムを含む)ならびに被害を受けやすい状況に置かれた子どものための予算配分額が定められていないことを懸念するものである。
13.子どもの権利実現のための公共予算(第4条)に関する一般的意見19号(2016年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの権利の視点を含んだ予算編成手続を確立するとともに、関連部門および関連機関における、子どものための明確な配分額(具体的指標および追跡システムを含む)を定めること。
  • (b) 条約の実施に割り当てられる資源の配分の十分性、効率性および公平性を監視しかつ評価する機構を設置すること。
  • (c) 公的対話、とくに子どもたちとの対話を通じて、かつ公的機関(地方レベルの公的機関を含む)に説明責任を適正に履行させる目的で、透明なかつ参加型の予算編成を確保すること。
  • (d) 子どもの予算上のニーズに関する包括的評価を実施するとともに、十分な予算資源を配分し、社会部門に配分される予算を増額し、子どもの権利に関連する指標に基づいて格差に対応し、かつ、とくに、教育および社会的援助の分野における配分額を十分な水準まで増やすこと。
データ収集
14.委員会は、体系的なデータ収集機構が存在しないために、子ども(とくに障害のある子ども、周縁化された状況で暮らしている子どもならびに子どもの庇護希望者および難民)に関する細分化されたデータが欠乏していることを懸念する。
15.条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約のすべての分野を網羅するためにデータ収集システムを速やかに改善するとともに、データがとくに年齢、性別、障害、民族、国民的出身および社会経済的背景ごとに細分化されることを確保すること。
  • (b) データおよび指標が関連省庁の間で共有され、かつ、条約の効果的実施を目的とする政策、プログラムおよびプロジェクトの立案、監視および評価のために活用されることを確保すること。
  • (c) 統計的情報の定義、収集および普及を行なうに際し、「人権指標:測定・実施ガイド」(Human Rights Indicators: A Guide to Measurement and Implementation)と題する国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報告書に掲げられた概念上および手法上の枠組みを考慮に入れること。
独立の監視
16.委員会は、人権の促進および保護のための国内機関の地位に関する原則(パリ原則)にしたがって国内人権機関を設置するべきである旨の、2015年の普遍的定期審査の際に行なわれた勧告を締約国が受け入れたこと(オンブズマン事務所の設置の可能性を含む)に、肯定的対応として留意する。しかしながら委員会は、これまでのところ何ら進捗がないこと、および、子どもの権利を監視する具体的機構が整備されていないことを懸念するものである。
17.子どもの権利の促進および保護における独立した国内人権機関の役割についての一般的意見2号(2002年)に照らし、委員会は、締約国が、子どもによる苦情を子どもに配慮したやり方で受理し、調査しかつこれに対応し、被害者のプライバシーおよび保護を確保し、かつ被害者のためのモニタリング、フォローアップおよび検証の活動を行なうことを任務とする、子どもの権利の監視のための独立機構を速やかに設置するよう勧告する。委員会はまた、当該機構に対して十分な人的資源、技術的資源および財源を配分することも勧告するものである。
普及、意識啓発および研修
18.委員会は、裁判所における子どもの権利について地域的状況に合わせた資料の開発とともに、条約に関連する意識啓発プログラムおよび研修の発展が進められていることに、肯定的対応として留意する。しかしながら委員会は、これらの資料にアクセスできず、かつ条約に掲げられた自己の権利を知らない、被害を受けやすい状況に置かれた子ども(とくに子どもの庇護希望者および難民)を対象とした、条約についての研修および意識啓発が不十分であることを懸念するものである。
19.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもとともにおよび子どものために働く専門家集団(法執行官、裁判官、弁護士、保健従事者、教員、学校管理者、ソーシャルワーカー、メディア専門職などおよび他の必要な集団)を対象として、子どもの権利に関する十分かつ体系的な研修を実施するための努力を強化すること。
  • (b) 寛容および多様性を強調しながら、あらゆる段階の学校カリキュラムに条約の原則および規定に関する教育を含めること。
  • (c) 子どもの権利に関する情報の普及への子ども参加に特段の注意を払うこと。
  • (d) 子どもの保護担当官および子どもの福祉を担当するその他の官吏を対象とした研修・業務マニュアルを開発すること。
  • (e) メディアに対し、子どもの権利に対する配慮を確保し、かつ、番組等の制作の際に被害を受けやすい状況に置かれた子どものことが含まれるようにするよう、奨励すること。
  • (f) 非政府組織その他の関係者と緊密に協力しながら、条約、その原則および規定に関する意識を国全体で高めるための努力を強化すること。
市民社会
20.委員会は、国際的な市民社会組織およびジャーナリストが、とくに地域対応センター(Regional Processing Center)における子どもの庇護希望者および難民への対応との関連で、子どもの権利に関して調査する能力を制約されていることを深刻に懸念する。委員会はまた、一部の国際的組織が脅迫を受けているという報告、および、同国を訪問するジャーナリストを対象とする返金不可の査証申請手数料が200米ドルから8000米ドルに引き上げられたという報告があることも懸念するものである。
21.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 子どもの権利の擁護者およびその活動を正当に承認するための即時的かつ具体的な措置をとること。
  • (b) 国際的および国内的な非政府組織およびジャーナリストとの信頼および協力の環境を構築すること。
  • (c) 子どもの権利、とくに障害のある子どもおよび周縁化された状況で暮らしている子ども(子どもの庇護希望者および難民など)の権利に関連する政策、計画、プログラムおよび進展の計画、実施、監視および評価に市民社会の関与を得ること。

B.一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
22.締約国の憲法で、とくに人種、出身地および政治的意見に基づく差別の禁止が定められていることには留意しながらも、委員会は、あらゆる分野、とくに水、衛生設備、教育、保健ケアおよび十分な住居との関連で、子どもの庇護希望者および難民に対する差別が根強く存在することを深く懸念する。委員会は、障害のある子どもも、とくに学校環境において差別に直面していることに、懸念とともに留意するものである。
23.条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 条約第2条にしたがい、憲法第3条を改正して国籍その他の地位に基づく差別への言及を含めること。
  • (b) 子どもの庇護希望者および難民ならびに障害のある子どもに対する社会の否定的態度に対処するための公衆教育キャンペーンを強化する等の手段により、差別を禁止する関連現行法の全面的実施を確保すること。
  • (c) すべての子どもが十分な食料、水、衛生設備、良質な教育、十分な保健ケアおよび住居にアクセスできることを確保すること。
  • (d) 子どもの庇護希望者および難民に対して特段の注意を払いながら、子どもに対する差別事案に対応するための具体的機構を子ども保護サービス局の主導のもとで導入するとともに、そのための十分な人的資源、技術的資源および財源が利用可能とされることを確保すること。
子どもの最善の利益
24.ナウル法の一部分野で子どもの最善の利益の原則が支持されていることには留意しながらも、委員会は、当該権利を確保するための包括的保障が何ら存在しないことを遺憾に思う。とくに委員会は、子どもの庇護希望者および難民が、その最善の利益を考慮されないまま、締約国によってオーストラリアから受け入れられているという報告があることに、深甚な懸念を表明するものである。
25.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 権限のある立場にあるすべての関係者に対し、あらゆる分野で子どもの最善の利益について判断し、かつそれを第一次的考慮事項として正当に重視することに関する指針を提供するための手続を発展させ、かつそのための基準を定めること。
  • (b) 子どもの最善の利益の原則が、すべての立法上、行政上および司法上の手続および決定、ならびに、子どもに関連し、かつ子どもに影響を与えるすべての政策およびプログラムにおいて適切に統合され、かつ一貫した解釈および適用の対象とされることを確保するための努力を強化すること。
生命、生存および発達に対する権利
26.委員会は、1990年以降、乳児および子どもの死亡率が全般的に低下してきていることを、肯定的傾向として歓迎する。しかしながら委員会は、ナウル国民ではない子どもおよび先住民族であるナウル国民の子どもの5歳未満児死亡率が高いことを懸念するものである。委員会はまた、子どもの庇護希望者および難民が、地域対応センターにおける狭小な、湿度の高い、かつ生命への危険がある環境下での生活のために、相当の身体的リスクおよび発達上のリスクに直面しているということがあることも懸念する。委員会はさらに、このような環境下で長期間過ごすことは子どもの精神的および身体的ウェルビーイングにとって有害であり、かつ、そのために11歳という低年齢の子どもまで自殺未遂およびその他の形態の自傷行為を行なってきたことを懸念するものである。
27.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 十分な保健ケアおよび栄養へのアクセスが、もっとも被害を受けやすい状況に置かれた家族、とくにナウル国民でない家族および先住民族であるナウル国民の家族ならびに庇護希望者および難民である家族に対しても保障されることを確保するための努力を直ちに強化すること。
  • (b) 子どもの庇護希望者および難民に関連するすべての環境が、その健康的な身体的および精神的発達ならびに生存に資するものとなることを確保すること。
  • (c) 地域対応センターで働く職員が、とくに被害を受けやすい状況に置かれた子どもおよび自傷行為を行なう潜在的おそれがある子どもを特定するための十分な訓練を受けることを確保するとともに、事案が特定された場合に、適切なサービス機関への十分な付託およびフォローアップが行なわれることを確保するためのシステムを発展させること。
子どもの意見の尊重
28.委員会は、新たな子ども保護サービス局内で、虐待の被害を受けた子どもの意見がその生活の手配に関する選択との関連で考慮されることを確保するための進展が見られることに、肯定的対応として留意する。しかしながら委員会は、全般的に、とくに家庭、学校、社会環境および司法現場における伝統的な慣行および文化的態度のために、自己の意見を自由に表明する子どもたちの権利の全面的実現が阻害されていることを懸念するものである。
29.意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)に照らし、委員会は、締約国に対し、家庭、学校、裁判所および子どもに関わるあらゆる関連の行政上その他の手続において子どもの意見が正当に考慮されることを、とくに学校における具体的な学習活動の確立および一般的な意識啓発を通じて確保するよう奨励する。委員会はまた、締約国に対し、子どもが公共政策に影響を及ぼせるようにする意味のある空間の創設を強化するため、関連の専門家と連携しながら取り組みを進めることも奨励するものである。

C.子どもに対する暴力(第19条、第24条(3)、第28条(29、第34条、第37条(a)および第39条)

あらゆる形態の暴力からの子どもの自由
30.委員会は、とくに新たな子ども保護サービス局、子どもの保護および福祉法(2016年)、ならびに、家族間暴力および子どもの保護に対応するための統合的ケースマネジメントモデルの創設を通じて、子どもの保護制度を発展させるために締約国が行なってきた努力に留意する。このような進展にもかかわらず、委員会は以下のことを深く懸念するものである。
  • (a) 子どもに対する性暴力の訴えに関するナウル警察の捜査能力が限定されていること。
  • (b) 捜査その他の手続において救済の保証が行なわれておらず、かつ子どもにやさしいアプローチが欠けていること。
  • (c) 関連機関間の協力および情報共有が十分に行なわれておらず、かつ苦情のフォローアップも不十分であること。
  • (d) モス・レビュー(Moss Review)で明らかにされたとおり、地域対応センターで生活している子どもの庇護希望者および難民に対して非人道的なかつ品位を傷つける取扱い(身体的、心理的および性的虐待を含む)が行なわれていること、ならびに、島の周辺の難民居留地で暮らしている家族に対して脅迫、性的攻撃、虐待および暴力の脅しが行なわれており、いずれもその子どもの心理的ウェルビーイングに有害な影響を与えているという報告があること。
  • (e) ナウル到着前にトラウマを経験していた子どもの身体的および精神的回復のための援助が利用可能とされていないこと、ならびに、到着後、拘禁のような環境下で長期間暮らすことの影響により、自殺未遂、焼身自殺、自傷行為および抑うつの事案が多数発生していること。
31.あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての一般的意見13号(2011年)および持続可能な開発目標のターゲット16.2(子どもの虐待、搾取、人身取引ならびに子どもに対するあらゆる形態の暴力および拷問の廃絶)を参照しながら、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 子どもがあらゆる形態の暴力および虐待(性的攻撃を含む)から保護されることを保障するための措置を直ちに確立すること。
  • (b) 不当な取扱いの被害を受けた子どもに対してケアおよびリハビリテーションのためのプログラムが用意されることをかくほとともに、いかなる種類の再被害も回避されることを確保すること。
  • (c) すべての関連の専門家を対象とした、子どもに対する暴力についての義務的研修講座を開設するとともに、関連部門で働く専門家に対し、子どもの虐待の通報を義務化すること。
  • (d) 関連省庁間で効率的な協力、調整およびデータ共有を確保するとともに、子どもに対する暴力に関わる支配的態度を変革する手段として公衆意識啓発キャンペーンを発展させ、かつゼロトレランスに向けた取り組みを開始すること。
  • (e) 子どもの庇護希望者および難民に対する不当な取扱い、虐待および性的攻撃のあらゆる訴えを独立の立場から捜査するための即時的措置をとり、これらの子どもが安全なかつ子どもにやさしい苦情申立て手続にアクセスできることを確保し、かつ、子どもに対する暴力の事案について適正な捜査および加害者への制裁を確保する目的で警察および司法機関の捜査能力を強化すること。
  • (f) 子どもの庇護希望者および難民に対し、その子どもが経験しているトラウマおよびその他の精神保健上の問題に対処するための十全かつ十分な支援および治療が与えられることを確保する目的で、精神保健上の問題を有する子どもを専門とする要員の能力を高め、かつその増員を図ること。
  • (g) 以上の問題に対応していく手段として、国際連合児童基金(ユニセフ)および国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)の技術的協力を求めること。
虐待およびネグレクト
32.委員会は、以下のことを深刻に懸念する。
  • (a) 締約国から提供された情報によれば、女子の約30%が15歳までに性的虐待の被害を受けていること。
  • (b) 強姦およびその他の性的暴行事件における量刑が、法律で定められた最高刑をはるかに下回っていること。
  • (c) 暴力の被害を受けた子どもまたは暴力を受けるおそれがある子どもの事案に対応するための調整機構が設けられていないこと。
  • (d) 虐待された子どものための避難施設およびカウンセリングサービスが不十分であること。
  • (e) 家庭内虐待を私事または家族の問題とみなす社会的態度が蔓延していること。
33.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 子どもに対する性的虐待のあらゆる事案を優先的に捜査するとともに、加害者が迅速かつ速やかに裁判にかけられることを確保すること。
  • (b) 子どもに対する家族間暴力のあらゆる事案に関する全国的データベースを設置するとともに、そのような暴力の規模、原因および性質に関する包括的評価を実施すること。
  • (c) 子ども保護サービス局が暴力および虐待の根本的原因に対処する長期的プログラムを実施できるようにするため、同局に対して十分な人的資源、技術的資源および財源が配分されることを確保すること。
  • (d) 元被害者、ボランティアおよびコミュニティの構成員の関与を得ることならびにこれらの者に研修および支援を行なうこと等の手段により、家族間暴力、子どもの虐待およびネグレクトを防止しかつこれに対応することを目的とした、コミュニティを基盤とするプログラムを奨励すること。
  • (e) 児童虐待を防止しかつこれと闘うための包括的戦略を策定する目的で、子どもたちの関与を得ながら、意識啓発および教育のためのプログラムおよびキャンペーンを発展させること。
体罰
34.学校および刑事施設における体罰を禁止する規定が教育法(2011年、第37条)および矯正役務法(2009年、第33条)に設けられていることには肯定的対応として留意しながらも、委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 最近の法改正にもかかわらず、体罰が、子どものしつけおよび規律のための手段として社会で引き続き広く受け入れられており、かつ、家庭、代替的養護および保育の場面で全面的に禁じられていないこと。
  • (b) 学校および刑事施設において体罰が明示的に禁じられているにもかかわらず、拘禁のような環境(地域対応センターを含む)で暮らしている子どもに関して行なわれるようになった報告で、体罰が引き続き行なわれていることが示唆されてること。
  • (c) 一部の法規定、とくに犯罪法(2016年)第78条が、子育てにおける体罰の使用を正当化する根拠として解釈される可能性があること。
35.体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての一般的意見8号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) あらゆる場面における体罰を法律で明示的に禁止すること。
  • (b) 子育てにおける体罰の使用を正当化する根拠として解釈されうるすべての法規定、とくに犯罪法(2016年)第78条を廃止すること。
  • (c) 体罰の禁止規定が十分に監視されかつ執行されることを確保すること。
  • (d) 意識啓発キャンペーンを通じて、積極的な、非暴力的なかつ参加型の形態の子育てならびにしつけおよび規律の維持を促進すること。
  • (e) 犯罪者が権限のある行政機関および司法機関のもとに連れてこられることを確保すること。

D.家庭環境および代替的養護(第5条、第9~11条、第18条(1)および(2)、第20条、第21条、第25条および第27条(4))

家庭環境を奪われた子ども
36.親族養育がナウル文化の不可欠な一部になっていることは評価しながらも、委員会は、拡大家族の構成員による代替的養護に措置された子どもの地位および状況の監視が不十分であることを懸念する。
37.子どもの代替的養護に関する指針(総会決議64/142付属文書参照)に対して締約国の注意を喚起しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 家庭を基盤とする子どもの養護を監視するための法的枠組みを定め、かつ、家族のもとに留まることができない子どものための里親養育制度を確立すること。
  • (b) 家族および代替的家族養護者に対し、あらゆる必要なサービスおよび支援を提供すること。
  • (c) 利用可能なあらゆる形態の代替的養護に関して質の高い基準を定めるとともに、拡大家族による代替的養護の取決めに関して行なわれるいかなる決定においても子どもの意見を考慮すること。
  • (d) 拡大家族による代替的養護への子どもの措置に関する定期的再審査を確保するとともに、子どもの不当な取扱いを通報し、監視しかつ救済するための回路を提供する等の手段により、当該措置における養護の質を監視すること。
  • (e) 介入のための機構を確立し、かつ、拡大家族内の非公式な養子縁組システムの監視能力を強化すること。
  • (f) 親からの子どもの分離が、それが子どもの最善の利益にかない、かつ子どもの保護またはウェルビーイングのために必要な場合に、最後の手段としてのみ行なわれることを確保すること。
養子縁組
38.かつてナウル国民以外の者によるいかなる養子縁組も禁止していた子どもの養子縁組令(1965年)第9条が2015年5月に廃止されたことには肯定的対応として留意資ながらも、委員会は、公式な養子縁組制度との関連で用意されている登録および介入のための機構について利用可能な情報がないことを懸念する。
39.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) この慣行の広がりを理解し、かつ十分な政策および措置を採択する目的で、養子縁組に関する国家的研究の実施およびデータ収集の強化を図ること。
  • (b) 養子縁組を登録し、規制しかつ監視するための機構を確立すること。
  • (c) 国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年5月29日)の批准を検討すること。

E.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条(3)、第23条、第24条、第26条、第27条(1)~(3)および第33条)

障害のある子ども
40.この点に関する締約国の努力には留意しながらも、委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 障害のある人へのサービスの提供または公共建築物、公共空間およびあらゆるサービス提供地域へのアクセスの保障を義務づける明示的な法規定が定められていないこと。
  • (b) 知的障害および心理社会的障害のある子どものインクルージョンが、訓練を受けた専門家(言語療法士、精神保健専門家および心理学者を含む)の不足のために依然として満足のできる水準に達していないこと。
  • (c) 社会的態度を原因として、親が、子どもの最善の利益を考慮することなく、インクルーシブ教育を実施している学校に障害のある子どもを通学させないという決定をすることがあり、そのため障害のある子どもの大多数がエイブル・ディゼイブル・センター〔特別学校の名称〕に通っていること。
41.障害のある子どもの権利についての一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、 障害に対する人権基盤型アプローチを採用し、かつ、障害のある子どものインクルージョンを確保するための包括的戦略を定めるよう促す。委員会はまた、締約国に対し、以下の措置をとることも促すものである。
  • (a) 障害のあるすべての人が、他の者との平等を基礎として、公共建築物、公共空間およびあらゆるサービス提供地域にアクセスできることを確保するための法規定を定めること。
  • (b) 余暇活動、コミュニティを基盤とするケアおよび合理的配慮のなされた社会住宅の供給など、公的生活のあらゆる分野における障害のある子ども(知的障害および心理社会的障害のある子どもを含む)の全面的インクルージョンを促進するための措置を優先的にとること。
  • (c) 障害のあるすべてのこども(知的障害および心理社会的障害のある子どもを含む)に対し、親の同意から独立した、普通学校におけるインクルーシブ教育への権利を保障するとともに、普通学校において資格のある者による援助が利用できることを確保すること。
  • (d) 学習障害のある子どもに対して個別支援および適正な配慮を提供する統合学級で活動する、専門の教員および専門家を養成しかつ配置すること。
  • (e) 障害のある子どもに関するデータ収集を強化するとともに、条約ならびに現行の法律および政策の実施の有効性に関する研究および分析を実施すること。
  • (f) 障害のある子どもに対するスティグマおよび偏見と闘うための意識啓発キャンペーンを実施すること。
健康および保健サービス
42.委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 新生児および母親のための出産直後のケアが限られた形でしか提供されておらず、かつ家庭訪問政策が整えられていないこと。
  • (b) 5歳未満児の予防可能な死亡および罹病を減少させかつ解消するための政策およびプログラムの実施において、人権を基盤とするアプローチがとられていないこと。
  • (c) 完全母乳育児政策が定められていないことから、哺乳瓶による人工栄養が同国で非常に一般的になっていること。
  • (d) 子どもの肥満が高水準にあり、かつ、その結果として子どもの健康に影響が生じていること。
  • (e) 子どもの庇護希望者および難民(その多くは過密かつ非衛生的な環境における生活のために慢性的病態を有している)に対して保健サービスが提供されておらず、かつ、地域対応センターにおける主な医療提供者に小児科医が含まれていないこと。
43.到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)に照らし、かつ持続可能な開発目標のターゲット3.2(2030年までに新生児および5歳未満児の予防可能な死亡に終止符を打つこと)に留意しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 新生児および母親のための十分な産後ケアを確保するために十分な人的資源および財源を配分するとともに、保健相談員を任命して家庭訪問を実施させること。
  • (b) 5歳未満児の予防可能な死亡および罹病を削減しかつ解消するための政策およびプログラムの実施に対する人権基盤型アプローチの適用に関するOHCHRの技術的指針(A/HRC/27/31)を実施しかつ適用すること。
  • (c) 「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を全面的に実施するとともに、包括的キャンペーンを通じて母乳育児の保護、促進および支援を図るための国家的プログラムを策定すること。母親に対し、病院、診療所およびコミュニティにおけるカウンセリング体制を通じて適切な支援が提供されるべきであり、また「赤ちゃんにやさしい病院」イニシアティブが全国で実施されるべきである。
  • (d) 世帯栄養水準、とくに新生児および5歳未満児の栄養状態ならびにビタミンおよび微量栄養素の十分な摂取について評価するための調査を実施すること。
  • (e) 健康的な食料の選択肢が負担可能な価格で利用可能とされることを確保するための政策を策定するとともに、子どもにとっての健康的な食習慣の利点を広報するための意識啓発キャンペーンを強化すること。
  • (f) すべての子ども、とくに社会的および経済的に不利な立場に置かれた集団の子ども(子どもの庇護希望者および難民ならびに障害のある子どもを含む)を対象として、良質なプライマリーヘルスケア、専門的保健ケアおよび歯科ケアが提供され、かつ公平にアクセス可能とされることを確保すること。
  • (g) 適切な資格を有する医療スタッフを任命し、地域対応センターおよび難民居留地における子どもの全般的健康状態のモニタリングを行なわせること。
精神保健
44.委員会は、資格のある専門家(とくに児童精神医学者および心理学者)が存在せず、かつ、すべての子どもを対象とする、コミュニティを基盤とする精神保健サービスが提供されていないことを懸念する。
45.委員会は、締約国が、コミュニティを基盤とする精神保健サービスが容易に利用できるようにし、かつ、学校、家庭およびケアセンターにおける予防活動を強化するよう勧告する。
思春期の健康
46.委員会は、10代の妊娠率が相対的に高いことを懸念する。委員会はまた、包括的な国家的プログラムが定められておらず、かつ機関間の調整も行なわれていないことから、若年妊娠予防のための戦略的かつ持続可能な対応を発展させていく可能性が阻害されていることも懸念するものである。加えて、委員会は、子どもおよび若者の間でタバコおよびアルコールの濫用が著しく多く行なわれていることに、懸念とともに留意する。
47.条約の文脈における思春期の健康と発達についての一般的意見4号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 家族計画および避妊法、若年妊娠の危険性ならびに性感染症の予防および治療に関する情報を含む、セクシュアル/リプロダクティブヘルスについての包括的かつ年齢にふさわしい教育を提供すること。
  • (b) 思春期の女子および男子を対象とした秘密が守られるカウンセリングおよび現代的避妊法を含む、セクシュアル/リプロダクティブヘルスサービスを発展させること。
  • (c) 子どもおよび青少年によるタバコおよびアルコールの使用に対し、とくに、子どもおよび青少年に対し、このような物質の濫用に関する正確かつ客観的な情報ならびにライフスキル教育を提供することにより、直ちに対応すること。
生活水準
48.貧困および社会的排除に対処するために締約国が行なっている努力には肯定的対応として留意しながらも、委員会は以下のことを深く懸念する。
  • (a) 周縁化されたコミュニティの子どもが貧困の影響を不均衡に受けている一方、難民家族および障害のある子どものいる家族が多面的な貧困を経験する危険性の高い状況に置かれていること。
  • (b) 住宅環境が不十分であること(過密状態を含む)、および、住宅が必要な法的基準を満たすことを確保するための適正な規制が行なわれていないために子どものウェルビーイングに悪影響が生じていること。
  • (c) とくに、湿度の高い地域対応センターにおいて、清潔かつ安全な飲料水および衛生設備を含む基礎的サービスへのアクセスが限られており、かつ、1人が1日ごとに摂取できる水の量に制限があり、子どもおよびその家族が脱水症状およびその他の深刻な健康上の問題に直面しやすい状況に置かれている旨の報告があること。
49.委員会は、持続可能な開発目標のターゲット1.3(すべての者を対象とした、全国的に適切な社会保護制度および社会保護措置の実施)への注意を喚起するとともに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの貧困削減のための戦略および措置の強化を目的とする焦点化された協議を、家族および子どもたち(被害を受けやすい状況に置かれた子どもたちを含む)ならびに市民社会組織との間で持つことを検討すること。
  • (b) 貧困線以下の生活を送っている子ども(とくにひとり親家族、3人以上の子どもがいる家族および障害のある子どもがいる家族の子ども)に提供される支援を強化するとともに、社会的保護措置において、人間にふさわしい生活水準を子どもに保障するためにかかる現実の費用(健康、栄養のある食事、教育、十分な住居、水および衛生設備に対する子どもの権利に関連する支出を含む)が対象とされることを確保すること。
  • (c) 子ども(子どもの難民および障害のある子どもならびにその家族を含む)の特別なニーズを考慮に入れながら、住宅に関する法律、政策およびプログラムを見直すこと。
  • (d) 清潔な水および衛生設備へのアクセスをすべての子どもに保障するための即時的措置をとるとともに、地域対応センターで課されているいかなる水の摂取制限も直ちに解除されること、ならびに、衛生設備の見直しおよび改善が行なわれることを確保すること。

F.教育、余暇および文化的活動(第28条~31条)

教育(職業訓練および職業指導を含む)
50.委員会は、教育向上のために締約国が行なっている努力を歓迎する。委員会はまた、締約国が、職業訓練の促進を目的とした若者政策の策定を考えていることにも、肯定的対応として留意するものである。しかしながら委員会は、以下のことを依然として深刻に懸念する。
  • (a) 怠学対策がとられているにもかかわらず、不登校の水準が高く、かつ、学校からの早期離脱が依然として問題になってること。
  • (b) 子どもの難民および庇護希望者がフルタイムの教育に十分にアクセスできておらず、かつ、当初は通学していた子どもも、友人および教員による言葉の虐待および身体的虐待を理由としてすぐに脱落する傾向があること。
51.教育の目的に関する一般的意見1号(2001年)に照らし、かつ持続可能な開発目標のターゲット4.1および4.2(すべての女子および男子が、無償の、公平かつ良質な初等中等教育を修了し、かつ乳幼児期の良質な発達、ケアおよび就学前教育にアクセスできることを2030年までに確保すること)に留意しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) すべての子どもを対象として、就学前教育、中等教育および高等教育を含む良質な教育へのアクセスを向上させるための努力を、さらに強化すること。
  • (b) 中退率を削減するためのプログラムを策定し、かつ、そのようなプログラムの監視および評価を実施すること。
  • (c) 子どもの庇護希望者が、同国の他のすべての子どもとの平等を基礎として、教育に対する権利を全面的に享受できることを確保すること。
  • (d) すべての子どもに対するいじめおよび暴力を防止するための学校内キャンペーンを開始すること。

G.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)および第38~40条)

子どもの庇護希望者および難民
52.締約国がUNHCRと協力していることは歓迎しながらも、委員会は、以下のことについて重大な懸念を覚える。
  • (a) 庇護事案の処理に関してナウルとオーストラリアとの間で交わされた了解覚書において、全般的に子どもの最善の利益が考慮されていないこと。
  • (b) 子どもの庇護希望者および難民の事案が、子どもの最善の利益の原則にしたがって迅速に処理されていないこと。
  • (c) 地域対応センターの生活環境が、子どもの庇護希望者および難民の双方にとって将来の見通しが不確実であることとあいまって、精神保健上の問題を生起させかつ悪化させていて、絶望感およびしばしば自殺念慮を生じさせていること。
  • (d) 子どもの難民またはその家族を対象としたいかなる統合プログラムも実施されていないこと。
  • (e) 庇護希望者(保護者のいない子どもを含む)に対して無償の法的援助を確保するための行政上または財政上の体制が整備されていないこと。
  • (f) 地元のナウル人コミュニティからの敵意およびヘイトスピーチが広がっているという報告があること。
53.委員会は、締約国に対し、以下の措置を直ちにとるよう勧告する。
  • (a) オーストラリアからの子どもの庇護希望者または難民の移送に関連するすべての決定および取決めにおいて、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保すること。
  • (b) 条約第10条第1項にしたがい、保護者のいない子どもの庇護希望者および難民が関わる事案を、恒久的解決策を特定する手段のひとつとして積極的、人道的かつ迅速なやり方で処理すること。
  • (c) 子どもの庇護希望者およびその家族を地域対応センター外に直ちに移送する作業を優先的に進めるとともに、難民(とくに子どもおよびその家族)を対象として、これらの者が合法的滞在を認められ、かつ就労その他の機会に合理的にアクセスできることを確保する目的で恒久的かつ持続可能な第三国定住の選択肢を設けること。
  • (d) 条約第6条、第22条および第37条、ならびに、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(2005年)にのっとり、国際的保護を必要とする子どもに対し、庇護制度へのアクセスの便宜を図ること。
  • (e) 身体的および精神的健康のための保健サービス、教育および警察・司法部門等において、子どもに対するサービス(とくに保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもに対する無償の法的援助の提供を含む)に関わる付託およびケース管理のための包括的枠組みを策定すること。
  • (f) 庇護希望者および難民(とくに子ども)に対するヘイトスピーチに対抗するためのキャンペーンを発展させること。
  • (g) 難民の地位に関する条約(1951年)、無国籍者の地位に関する条約(1954年)および無国籍の削減に関する条約(1961年)の批准を検討すること。
性的搾取および人身取引
54.締約国が子どもの保護に関する政策および法律の増進および向上を図る措置をとっていることは認知しながらも、委員会は、出入国管理法(2014年)で子どもの売買、取引および誘拐がとくに犯罪とされていないこと、ならびに、売買、取引または誘拐の対象とされた子どもの保護、リハビリテーションおよび支援のために設けられている指針および措置が不十分であることを懸念する。
55.委員会は、締約国が、子どもの売買、取引および誘拐に関連する具体的犯罪について定義し、かつこれらの犯罪に対して十分に厳しい刑罰を定めた、包括的な人身取引対策法を採択するよう勧告する。
少年司法の運営
56.委員会は、全般的に、少年司法の運営に関する情報が締約国から提供されなかったことを遺憾に思う。しかしながら委員会は、子どもの権利に関する適切な訓練を受けた専門の判事および職員が存在しないこと、ならびに、法律に抵触した子どもに対応する際の、承認された少年司法原則の適用が不十分であることを懸念するものである。委員会はまた、締約国の矯正機関が著しく対応能力を欠いており、国際的に承認された少年司法基準を満たしていないことを示す報告があることについても懸念する。委員会はさらに、子どもを含む被拘禁者の不当な取扱いの報告があること、および、罪を犯した子どものための独立した拘禁施設が存在しないことを懸念するものである。
57.少年司法における子どもの権利についての一般的意見10号(2007年)に照らして、委員会は、締約国に対し、少年司法制度を条約および他の関連の基準に全面的にしたがったものとするよう促す。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 子どもに対応する裁判官が少年司法基準に関する適切な研修を受けることを確保すること。
  • (b) 法律に抵触した子どもに対し、手続の早い段階で、かつ法的手続全体を通じて、独立の有資格者による法的援助が提供されることを確保すること。
  • (c) 可能なときは常に、ダイバージョン、保護観察、調停、カウンセリングまたは地域奉仕のような拘禁に代わる措置を促進するとともに、拘禁が最後の手段としてかつ可能なもっとも短い期間で用いられること、および、拘禁がその取消しを目的として定期的に再審査されることを確保すること。
  • (d) 拘禁が避けられないときは、子どもが成人とともに拘禁されないこと、および、拘禁環境が国際基準(教育および保健サービスへのアクセスに関するものを含む)を遵守したものとなることを確保すること。
  • (e) 少年司法に関する機関横断パネルが開発した技術的援助ツールを活用すること。
犯罪の被害者および証人である子ども
58.委員会は、子どもの虐待および子どもに対する性的暴行をともなう事案であって訴追段階まで進んだものの多くが、金銭的困難および家族の評判が傷つけられる危険性に対するおそれから被害者によって取り下げられていることに、懸念とともに留意する。
59.委員会は、締約国が、社会的スティグマを取り除く手段のひとつとして、性的虐待およびネグレクトの事案の通報を子どもたちに奨励する意識啓発キャンペーンを発展させるよう勧告する。委員会はまた、再被害およびトラウマを防止する目的で、事情聴取が適切なやり方で、被疑者のいない場で、かつ十分な訓練を受けた警察官その他のスタッフによって実施されることを確保するための、子どもに配慮した手続および機構を確立することも勧告するものである。委員会はさらに、司法機関、保護観察担当官、被告人弁護士および司法手続に関与するその他のスタッフが研修を受けて子どもにやさしい手続への配慮を身につけるようにすることを勧告する。

H.通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書の批准

60.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、通報手続に関する条約の選択議定書の批准を検討するとともに、その全面的実施を確保するための適切な機構が整備されることを確保するよう勧告する。

I.国際人権文書の批准

61.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、まだ締約国となっていない以下の中核的人権文書を批准するよう勧告する。
  • (a) 市民的および政治的権利に関する国際規約。
  • (b) 経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約。
  • (c) 経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書。
  • (d) 市民的および政治的権利に関する国際規約の第1および第2選択議定書。
  • (e) 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書。

IV.実施および報告

A.フォローアップおよび普及

62.委員会は、締約国が、この総括所見に掲げられた勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、締約国の第1回定期報告書およびこの総括所見を同国の言語で広く入手できるようにすることも勧告するものである。

B.次回報告書

63.委員会は、締約国に対し、第2回~第6回統合定期報告書を2021年8月25日までに提出し、かつ、この総括所見のフォローアップに関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。報告書は、2014年1月31日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.3)にしたがうべきであり、かつ21,200語を超えるべきではない(総会決議68/268、パラ16参照)。定められた語数制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲決議にしたがって報告書を短縮するよう求められることになる。締約国が報告書を見直しかつ再提出する立場にないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できない。
64.委員会はまた、締約国に対し、国際人権条約に基づく報告についての調和化ガイドライン(共通コアドキュメントおよび条約別文書についてのガイドラインを含む)に掲げられた共通コアドキュメントについての要件(HRI/GEN/2/Rev.6, chap.I参照)および総会決議68/268のパラ16にしたがい、最新のコアドキュメントを、42,400語を超えない範囲で提出することも慫慂する。


  • 更新履歴:ページ作成(2017年2月22日)。