総括所見:アイルランド(第2回・2006年)


CRC/C/IRL/CO/2(2006年9月29日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2006年9月20日に開かれた第1182回および第1184回会合(CRC/C/SR1182 and 1184参照) においてアイルランドの第2回定期報告書(CRC/C/IRL/2)を検討し、2006年9月29日に開かれた第1199回会合において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、締約国の包括的な報告書の提出、および、アイルランドにおける子どもの状況についてさらなる情報を提供してくれた、事前質問事項に対する詳細な回答(CRC/C/IRL/Q/2 and Add.1)を歓迎する。委員会はさらに、締約国のハイレベルな代表団との間に持たれた実りのある開かれた対話に、評価の意とともに留意するものである。

B.締約国によるフォローアップ活動および達成された進展

3.委員会は、以下のような新法および政策措置が採択されたことに、評価の意とともに留意する。
  • (a) 地位平等法および教育(福祉)法(2000年)。
  • (b) 人権委員会法(2000年および2001年)。
  • (c) 子ども法(2001年)。
  • (d) 子どもオンブズマン法(2002年)。
  • (e) 特別なニーズを有する者のための教育法(2004年)。
  • (f) 「われらが子どもたち――その生活」と題する国家子ども戦略(2000年)、「位置について、用意、さあ遊ぼう」(Ready, Steady, Play)と題する国家遊び政策(2004年)、および、2001年に検証が実施された国家貧困対策戦略。
4.委員会は、以下のものを含む、子どもの権利の保護に関連する国際条約が批准されたことに、評価の意とともに留意する。
  • (a) 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書(2002年11月)。
  • (b) あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(2000年12月)。
  • (c) 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約(2002年4月)。
5.委員会は、条約の実施に関する第1回報告書の検討後、委員会の総括所見(CRC/C/15/Add.85)をフォローアップするためにとられたさまざまな措置、とくに以下の措置を歓迎する。
  • (a) 国家子ども局(NCO)および国家子ども諮問評議会が設置されたこと(2001年)。
  • (b) 子どもオンブズマンが任命されたこと(2004年)。
  • (c) 子ども大臣官房が設置されたこと(2005年)。

C.主要な懸念事項および勧告

1.実施に関する一般的措置(第4条、第42条および第44条6項)

委員会の前回の勧告
6.委員会の前回の総括所見をフォローアップしかつ実施するためにとられたさまざまな措置は歓迎しながらも、委員会は、表明された懸念および行なわれた勧告の一部(とくに権利の保有者としての子どもの地位、および、政策および実務における子どもの権利基盤アプローチの採用に関するもの)について、まだ十全な対応がとられていないことを遺憾に思う。
7.委員会は、締約国に対し、第1回報告書に関する総括所見で行なわれた勧告のうちまだ十全な対応が行なわれていないものに対応し、かつ第2回定期報告書に関するこの総括所見に掲げられた一連の懸念に対応するため、あらゆる努力を行なうよう促す。
立法および実施
8.委員会は、法的枠組みをさらに発展させるためにとられた措置は歓迎するものの、とくに1997年および2001年の子ども法における具体的規定の制定のペースが遅いことから法的枠組みの効果的実施が阻害されていることを、依然として懸念する。委員会は、前回の総括所見で委員会が勧告したように条約が国内法に編入されていないことに、遺憾の意を表明するものである。
9.委員会は、締約国に対し、関連の子ども法で未制定のままとなっている子どもの権利の保護のための規定を制定するため、優先的課題としてあらゆる必要な措置(資源の配分を含む)をとるよう促す。委員会は、締約国に対し、条約を国内法に編入するためにさらなる措置をとるよう奨励するものである。
国家的行動計画
10.委員会は、子どもたちの生活向上およびその権利の保護の増進のための主要な文書として、2000年に国家子ども戦略が採択されたことを歓迎する。委員会はまた、同戦略に掲げられた行動および目標の指針となる総括的原則、ならびに、その策定に際して行なわれた裾野の広い協力および公的協議(非政府組織(NGO)および学界とのものを含む)にも、評価の意とともに留意するものである。
11.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 権利基盤アプローチがすべての活動に適用されることを確保するため、同戦略の達成状況を評価すること。
  • (b) 同戦略の目標および活動の実施に関する具体的期限を定めること。
  • (c) 同戦略の実施のために具体的予算配分を行なうこと。
12.委員会は、締約国が、同行動計画において条約のすべての分野が網羅され、かつ、子どもに関する国連総会特別会期(2002年5月)で採択された成果文書「子どもにふさわしい世界」が考慮されることを確保するための措置をとるよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、国家子ども戦略の実施および監視を参加型のかつホリスティックな方法で進めるとともに、これらの活動の状況および効果に関する情報を次回の報告書で提出するよう、勧告するものである。
独立の監視
13.委員会は、アイルランド人権委員会および子どもオンブズマン(人権一般の促進および保護ならびにとくに子どもの権利および福祉に対応する同オンブズマンの事務所を含む)が設置されたことを歓迎する。子どもからまたは子どもに代わって提出される苦情を調査する権限が具体的に含まれていることは歓迎しながらも、委員会は、いくつかの制限が課されていることにより、刑務所および警察署に収容された子どもに関わる調査において子どもオンブズマンの権限が妨げられる可能性があることを、懸念するものである。
14.委員会は、子どもの権利侵害を生じさせるおそれがある間隙の可能性を解消する目的で、締約国が、子どもオンブズマンとともに、オンブズマン事務所の調査権限の範囲を制限する特定の規定を再検討し、かつその改正を提案するよう勧告する。
15.オンブズマン事務所が独立して職務を遂行できることを確保するため、委員会は、締約国が、ウラクタス(国民議会)および財務省を通じてオンブズマン事務所に直接財源を提供する方法および手段を追求するよう、勧告する。委員会はまた、子どもの権利の促進および保護における独立した国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(2002年)に対しても、締約国の注意を喚起するものである。
データ収集
16.委員会は、とくに国家子ども戦略の枠内におけるNCOの調査研究機能を通じて達成された、統計データの収集における進展に留意するとともに、アイルランドの子どもたちの生活を探求する「全国子ども縦断研究」が委託されたことに、評価の意とともに留意する。委員会はまた、文書回答において締約国から提供された情報および新たな国家データ戦略への言及(CRC/C/IRL/Q/2/Add.1)にも、評価の意とともに留意するものである。しかしながら委員会は、年齢、性別、民族ならびに農村部および都市部の別によって細分化された、子どもに関する体系的かつ包括的なデータが存在しないことを依然として懸念する。このようなデータは、アイルランドでとくに脆弱な立場に置かれた子ども(虐待、ネグレクトまたは不当な取扱いの被害者、ストリートチルドレン、障害のある子どもおよび施設養護を受けている子どもを含む)の状況の分析を可能としてくれるはずである。
17.委員会は、締約国が、細分化されたデータの体系的かつ包括的な収集を条約に一致する形で発展させるためのさらなる措置を、中央統計局ならびに他の政府省庁および政府機関の役割の強化等も通じてとるよう勧告する。このようなデータは、子どものための政策およびプログラムの創設、実施および監視のために活用されるべきである。
普及、研修および意識啓発
18.委員会は、締約国が、前回の勧告に応じ、関連の公的機関および公衆一般の間で条約を普及しかつ周知するためのさらなる措置をとったことに、評価の意とともに留意する。とくに委員会は、条約が国家子ども戦略とあわせて普及されていること、ならびに、NCOおよび子どもオンブズマン事務所がそれぞれのウェブページ等を通じて意識啓発活動を行なっていることを歓迎するものである。
19.委員会は、締約国に対し、子どもにやさしい資料も含んだ定期的なかつ全国規模の意識啓発キャンペーン、ならびに、子どもとともにおよび子どものために働く専門家(とくに学校、保健サービスおよび社会サービスで働く専門家ならびに法曹および法執行官)を対象とする重点対象型のキャンペーンおよび必要な研修等を通じ、条約の規定がおとなおよび子どもの双方によって広く知られかつ理解されることを確保するための努力をさらに強化するよう、奨励する。

3.一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条)

  • (訳注)番号の振り間違いは原文ママ。
差別の禁止
20.委員会は、人種主義と闘う国家行動計画の策定(2005年)、および、とくに同計画の5つの目的(保護、包摂、供給、承認および参加)を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国のすべての子どもが差別の禁止の原則を平等に享受しているわけではないおそれがあり、かつ、異なる民族性を有する子どもおよびマイノリティに属する子どもがいっそう高い水準の人種主義、偏見、固定観念および外国人嫌悪に直面していることを、懸念するものである。
21.委員会は、締約国が、人種主義と闘う国家行動計画が全面的に実施され、かつ、子どもたちの間の、とくに初等中等教育における人種主義、偏見、固定観念および外国人嫌悪に対応するための措置に具体的注意が向けられることを確保するよう、勧告する。
子どもの最善の利益
22.委員会は、子どもの最善の利益の尊重を確保するための措置が一部の分野でとられたことに留意するものの、この原則への対応がいまなお不十分であることを依然として懸念する。
23.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの最善の利益の一般原則がいかなる区別もなく第一義的に考慮され、かつ子どもに関連するすべての法律に全面的に統合されることを確保すること。
  • (b) この原則が、政治上、司法上および行政上のすべての決定ならびに子どもに影響を及ぼすプロジェクト、プログラムおよびサービスにおいても適用されることを確保すること。
子どもの意見の尊重
24.委員会は、子ども議会および若者議会等も通じて子どもの意見の尊重を促進するためにとられた措置、および、中等学校における実効的な生徒評議会の設置に関して見られた進展に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、訴訟後見人に関する具体的規定が定められていないこと、ならびに、これらの措置が体系的かつ包括的なやり方でとられていないこと、および、地方レベルの公的機関および主題別の公的機関への対応が行なわれていないことを、懸念するものである。委員会はまた、子どもオンブズマンが受理する苦情の多くが子どもの意見が尊重されていないことに関わるものであることにも、留意する。
25.条約第12条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもが、とくに家庭、学校その他の教育施設、保健部門およびコミュニティにおいて、自己に影響を与えるすべての事柄について意見を表明し、かつその意見を正当に重視される権利を有することを、憲法上の規定等も通じて確保するための努力を強化すること。
  • (b) 子どもに対し、自己に影響を与えるいかなる司法上および行政上の手続においても意見を聴かれる機会が与えられ、かつその意見が子どもの年齢および成熟度にしたがって正当に重視されることを確保すること。これには、とくに子どもが親から分離される事案において、1991年子どもケア法で定められた独立代理人(訴訟後見人)が利用されることの確保も含む。
  • (c) 意見を聴かれる子どもの権利に関する委員会の一般的討議(2006年9月15日)の際に採択された勧告を考慮すること。

4.市民的権利および自由(第7条、第8条、第13~17条および第37条(a))

プライバシーの保護
26.子ども裁判所で訴追される子どものプライバシーが保護されていることには評価の意とともに留意しながらも、委員会は、上級裁判所で訴追される子どもに対して同一の保護が与えられていないことを懸念する。
27.委員会は、締約国が、プライバシーの保護を子どもが関係するすべての法的手続に拡大するために必要な措置をとるよう、勧告する。

4.家庭環境および代替的養護(第5条、第18条(1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(4項)および第39条)

  • (訳注)番号の重複は原文ママ。
親の責任
28.委員会は、家族支援制度の分野における多くの発展、とくに家族支援庁の設置、6歳未満の子どもがいる家庭への四半期給付の導入および有給産前産後休暇の段階的延長を歓迎する。しかしながら委員会は、これらの制度において裾野が広い子ども中心のアプローチがとられておらず、かつ、支援プログラムについての責任および支援サービスの提供責任が異なる政府機関に割り当てられていることを懸念するものである。
29.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 異なる政府省庁のもとで提供されている支援サービスについて、これらのサービスの質および到達度を評価し、ならびに存在する可能性がある欠点を特定しおよびこれに対応するための徹底的検証を行なうこと。
  • (b) 危険な状況にある家族および子どもに提供されるソーシャルワークサービスを拡大し、週7日・24時間体制のサービスとすること。
家族再統合
30.委員会は、1996年難民法で、家族再統合に関する十分な法的枠組みが定められていることに留意する。しかしながら、条約第10条にしたがって行なわれる家族再統合は、移民を含む他の状況にも適用されるものである。委員会は、再統合を求める家族構成員が手続上の情報にアクセスできないこと、および、意思決定過程で子どもの最善の利益の原則が考慮されていないことを懸念する。
31.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 家族に関する理解の発展によりよく対応する目的で、1996年難民法における家族の定義の見直しを検討すること。
  • (b) 難民法で定められた状況以外の家族再統合に関する法的枠組みの確立を検討すること。
  • (c) いかなる法律上または行政上の手続においても、子どもが関わる決定を行なう際には子どもの最善の利益の原則が常に第一義的に考慮されることを確保すること。
親のケアを受けていない子どものための代替的養護
32.委員会は、里親養護、ならびに、親のケアを受けていない子どものために法定機関および非法定機関によって運営されている入所センターの査察を行なう社会サービス査察官が設置されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、社会サービス査察官が、まだ法律上の根拠に基づいて設置されておらず、委任された職務を遂行するために必要な資源を欠いており、かつ親のケアを受けていないすべての子どもを保護するわけではないことを、懸念するものである。
33.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 社会サービス査察官がその職務を遂行するための法律上の根拠を創設し、かつ、その権限を、必要とされている養護に関わらず、親のケアを受けていないすべての子どもに拡大するための措置を検討すること。
  • (b) 養護センターを退所する若者のフォローアップおよびアフターケアを確保し、かつそのための対応を行なうための努力を強化すること。
養子縁組
34.委員会は、現行法が、とくに国際養子縁組における保護との関連で国際基準に全面的に一致しているわけではなく、かつ子どもの最善の利益を考慮していないことを、依然として懸念する。委員会はまた、現行法を見直すためにとられている措置に時間がかかっていることも懸念するものである。
35.委員会は、締約国が、法改正を実行しかつ実施するための努力を速やかに進めるとともに、関連するすべての法律が国際基準に一致することおよび子どもの最善の利益が第一義的に考慮されることを確保するよう、勧告する。
暴力、虐待およびネグレクト
36.児童虐待およびネグレクトの問題に対応するために締約国が行なっている努力(児童虐待通報ガイドラインの策定、通報されたすべての児童虐待事案の詳細な調査および子どもの性的虐待に関する全国規模の意識啓発キャンペーンの開始を含む)は歓迎しながらも、委員会は、児童虐待の防止のための包括的な国家的戦略または措置が整備されていないこと、および、支援サービスへのアクセスに時間がかかることを、依然として懸念する。
37.条約第19条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 「子ども最優先:全国ガイドライン」を引き続き見直すとともに、法的根拠に基づいて当該ガイドラインを確立することを検討すること。
  • (b) 通報された虐待およびネグレクトのすべての事案について十分な調査および訴追が行なわれること、ならびに、虐待およびネグレクトの被害者が身体的回復および社会的再統合についてのカウンセリングおよび援助にアクセスできることを確保すること。
  • (c) 虐待、ネグレクトおよびドメスティックバイオレンスに対する十分な対応を発展させること、地域的、全国的および国際地域的調整を促進することならびに感受性強化、意識啓発および教育のための活動を実施することを含む、包括的な児童虐待防止戦略を策定すること。
  • (d) 子どもとともに働くすべての被用者およびボランティアについて採用前の評価が実施されること、ならびに、就業期間中、これらの者に対して十分な支援および研修が提供されることを確保すること。
38.子どもに対する暴力の問題に関する事務総長の詳細な研究を背景として、委員会は、すべての子どもがあらゆる形態の身体的、性的または精神的暴力から保護されることを確保し、かつ、このような暴力および虐待を防止しかつこれに対応するための具体的な(かつ適切な場合には期限を定めた)行動に弾みをつける目的で、締約国が、市民社会と連携しながら、2005年7月5~7日にスロベニアで開かれたヨーロッパ・中央アジア地域協議の成果を行動のためのツールとして活用するよう勧告する。加えて委員会は、子どもに対する暴力に関する国連研究の独立専門家報告書(A/61/299)に対して締約国の注意を喚起し、かつ、同報告書に掲げられた全般的勧告および場面に応じた勧告を実施するためにあらゆる必要な措置をとるよう、奨励したい。
体罰
39.家庭内の体罰の禁止について見直しが進められており、かつ親教育プログラムが開発されてきたことには留意しながらも、委員会は、家庭内の体罰がいまなお法律で禁じられていないことを深く懸念する。
40.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.85、パラ39)をあらためて繰り返すとともに、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 家庭におけるあらゆる形態の体罰を明示的に禁止すること。
  • (b) 体罰が受け入れられないことについて、親および一般公衆の感受性強化および教育を進めること。
  • (c) 体罰に代わる手段として積極的かつ非暴力的な形態のしつけを促進すること。
  • (d) 体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利に関する委員会の一般的意見8号(2006年)を考慮すること。

5.基礎保健および福祉(第6条、第18条3項、第23条、第24条、第26条、第27条(1~3項))

障害のある子ども
41.2005年障害法および国家障害戦略(2004年)のような立法上および政策上の進展は歓迎しながらも、委員会は、法的枠組みにおいて、障害のある子どもの具体的ニーズならびに必要な保健サービスおよび教育上の便益への障害児によるアクセスについて不十分な対応しかとられていないこと、ならびに、子ども法の規定の多くがまだ全面的に制定されていないことを、依然として懸念する。
42.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 障害のある子どもの具体的ニーズに対応する、インクルーシブなかつ権利基盤型の法的枠組みを採用するとともに、現行法の規定のうち障害のある子どもに関連するすべての規定を実施すること。
  • (b) 予防およびインクルージョン、障害のある子どもを対象とする利用可能な支援およびサービス、ならびに、障害のある子どもに対する社会の否定的な態度との闘いに焦点を当てた意識啓発キャンペーンを、子どもたちの関与を得ながら行なうこと。
43.委員会はまた、締約国に対し、障害者の機会均等化に関する国連基準規則(総会決議48/96)および障害のある子どもの権利に関する一般的討議(1997年10月6日)の際に委員会が採択した勧告(CRC/C/69参照)を考慮に入れながら、障害のある子どもに関連する現行の政策および慣行を見直すことも促す。
健康および保健サービス
44.委員会は、国家子ども戦略の目標第3号およびプライマリーケア戦略の策定を含む、締約国が多くの政策文書で表明している決意を歓迎する。しかしながら委員会は、この点に関する包括的な法的枠組みが存在しないこと、および、条約第24条に規定された保健ケアサービス(とくに、脆弱な状況に置かれた子どもを対象とするもの)の質およびこれらのサービスへのアクセスを保障する法定指針が策定されていないことを、依然として懸念するものである。
45.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもの健康上のニーズに対応する総括的な法律を採択すること。
  • (b) 対象を明確にした資源を提供し、かつ保健ケアサービスの質に関する法定指針を確立することにより、保健ケアサービスの利用可能性および質が国内全域で維持されることを確保すること。
  • (c) 子どものための既存の保健ケアサービスに対して配分される資源が、全部門、すなわち公共部門、コミュニティ部門およびボランティア部門の利益となる、戦略的なかつ調整のとれたやり方で活用されることを確保すること。
  • (d) 子どもの難民および庇護希望者のニーズに対して、かつ現行の「トラベラーの健康に関する国家戦略」を実施することによりトラベラー・コミュニティに属する子どものニーズに対して、特段の注意を払うこと。
46.2001年精神保健法を歓迎し、かつ、締約国が、子どもおよびその家族の精神保健に関連する十分なプログラムおよびサービスがないことを認識していることには留意しながらも、委員会は、精神保健上の困難を有する子どもが、スティグマに対する恐れから既存のプログラムおよびサービスにいまだにアクセスできておらず、かつ、18歳未満の一部の子どもが精神医学施設で成人として取り扱われていることを、懸念する。
47.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.85、パラ20および38)をあらためて繰り返すとともに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 保健省担当国務大臣が2003年に任命した精神保健政策専門家グループの知見を全面的に活用し、かつその勧告を実施すること。
  • (b) スティグマを防止するための意識啓発キャンペーンおよび感受性強化キャンペーンを行なうとともに、早期介入プログラムに焦点が当てられることを確保すること。
  • (c) 精神保健上の困難を有する子どもが18歳未満の子どもをとくに対象とするサービスから利益を得られることを確保するための努力を、引き続き行なうこと。
思春期の健康
48.子どもによるアルコールの消費に対処するための多くの政策措置(国家アルコール政策、アルコール問題戦略特別委員会、および、子ども・若者に関する議会委員会がこの問題に対して払っている注意を含む)には留意しながらも、委員会は、青少年によるアルコールの消費水準が高いことを依然として懸念する。
49.委員会は、締約国が、とくに包括的戦略(これには、意識啓発活動、〔ならびに、〕子どもによるアルコールの消費および子どもを対象とする広告の禁止が含まれるべきである)を策定しかつ実施することにより、子どもによるアルコールの消費に対処するための努力を強化するよう勧告する。これとの関連で、委員会はまた、思春期の健康に関する委員会の一般的意見4号(2003年)に対しても締約国の注意を喚起するものである。
50.アルコール問題戦略特別委員会の創設は歓迎しながらも、委員会は、男子および思春期の男性の自殺率が上昇しているという報告について懸念を覚える。委員会はまた、法定年齢に満たない段階での有害物質の濫用と自殺率との間に関連があると思われることも懸念するものである。
51.委員会は、締約国に対し、新たな10か年計画「自殺防止に関する国家行動戦略」、および、アルコール問題戦略特別委員会の第2次報告書の勧告を実施するよう促す。
52.社会的・人格的保健教育が中等学校のカリキュラムに編入されていることには留意しながらも、委員会は、リプロダクティブヘルスに関する必要な情報に対し、青少年が十分にアクセスできていないことを懸念する。当該教育は選択科目であり、親は子どもに当該教育を受けさせないことが可能である。委員会はまた、過去10年間に性感染症が目立って増加したことが報告されており、かつ若い女子の感染リスクがとりわけ高いことも、懸念する。
53.委員会は、締約国が、リプロダクティブヘルスおよびセクシュアルヘルスに関する、とくに青少年を対象とする情報およびサービスへのアクセスを増進させるための努力を強化するとともに、これらの情報およびサービスを学校カリキュラムに限定するのではなく、広報キャンペーンおよび意識啓発キャンペーンに加えて青少年の日常的な生活環境でもアクセスできるようにすることを、勧告する。
有害な伝統的慣行
54.委員会は、一部の移民コミュニティがアイルランドで女性性器切除(FGM)を行ない続けていることに、懸念とともに留意する。委員会は、FGMが条約違反であることを強く強調するものである。
55.委員会は、締約国に対し、たとえば法律でFGMを禁止すること(域外裁判権の設定を可能とすることも含む)、および、FGMの著しく有害な影響についてすべての層の住民の感受性強化を図る、対象の明確なプログラムを実施することを通じて、FGMの慣行を終わらせるための努力を引き続き行なうよう促す。委員会は、締約国が、FGMの慣行を防止するために、地方レベルのあらゆる関連のパートナー(教員、助産婦、伝統的保健従事者、宗教的指導者および共同体の指導者を含む)の関与および動員を図るよう、勧告するものである。委員会はまた、1995年1月21日に行なわれた、女子に関する一般的討議の際に採択された勧告(CRC/C/38参照)に対しても、締約国の注意を喚起する。
生活水準
56.委員会は、順調な経済的発展が全般的な貧困水準の削減に寄与してきたことを認識する。しかしながら委員会は、とくに脆弱な状況に置かれた多くの子どもが、所得が全国的な所得中央値よりも相当に低いままの世帯で暮らしていることを、依然として懸念するものである。
57.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 貧困が削減され、かつ、経済的苦境が発達に及ぼす悪影響から子どもが保護されることを確保する目的で、国家貧困対策戦略を効果的に実施し、かつ経済的苦境下で暮らしている家族への支援を強化すること。
  • (b) 最高水準の貧困を経験している家族を援助するための追加的かつ重点対象型手当として、現行の普遍的子ども手当給付への補足手当を導入すること。
  • (c) 現行の政策および戦略を全面的に実施するとともに、とくに脆弱な立場に置かれた子どもがいる家族を対象とするサービス(保育、保健ケアおよび住宅を含む)およびその補助のための予算配分を増額すること。
  • (d) 低所得家庭を対象とする負担可能な社会住宅への投資を増額すること。

6.教育、余暇および文化的活動(第28条、第29条および第31条)

教育(職業訓練および職業指導を含む)
58.委員会は、教育に対する権利についての法律上および政策上の枠組みを発展させかつ強化するために締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、公立初等学校における教育および教材の「事実上」の費用が親の負担とされている例があること、子どもの意見および具体的ニーズが常に十分に考慮されているわけではないこと、ならびに、トラベラー・コミュニティに属する子どもおよび障害のある子どもの間でとりわけ高い中退率が見られることを、懸念するものである。
59.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) とくに、子どもの具体的ニーズに関する適切な専門的評価を実施し、特別なニーズを有する子どもに対して技術的および資料的支援を提供し、学校の子どもが自己のウェルビーイングに関わるすべての事柄について意見を聴かれる権利を有することを確保し、かつ、すべての子どもに平等を基礎として教育を提供する目的で全般的な学級規模を縮小するための努力を継続することにより、子どもの特別なニーズが考慮される教育環境を創設するための措置を引き続きとること。
  • (b) 校舎、レクリエーションのための設備および便益ならびに学校の衛生環境の改善および向上に対しても予算配分が向けられることを確保すること。
  • (c) いじめの現象と闘うために必要が措置がとられること、および、いじめの影響について敏感なかつ子どもに配慮したやり方による対応がとられることを確保すること。
  • (d) 作成された「トラベラー教育戦略」を刊行しかつ普及するとともに、トラベラーの問題および異文化間アプローチに関する教員の感受性を高めるため、教員を対象とした研修活動を実施すること。
60.委員会は、締約国の第1回・第2回定期報告書に関する総括所見(CERD/C/IRL/CO/2)で人種差別撤廃委員会が提起した、非宗派学校または多宗派学校が初等教育施設総数の1%に満たない旨の懸念をあらためて表明する。
61.委員会は、締約国に対し、非宗派学校または多宗派学校の設置を促進し、かつ学校への受入れにおける差別を解消するために現行法の枠組みを改正するよう奨励した人種差別撤廃委員会の勧告(CERD/C/IRL/CO/2、パラ18)を全面的に考慮するよう、奨励する。
余暇、レクリエーションおよび文化的活動
62.多数の政府省庁、地方当局および保健委員会を対象とするいくつかの活動および責任を掲げ、かつ子どもが余暇、レクリエーションおよび文化的活動を享受する機会を増進する「国家遊び政策」のような取組みは歓迎しながらも、委員会は、レクリエーション施設の創設が政治的および財政的にほとんど重視されておらず、かつ、住宅に対する需要の高まりによって遊び場および公共空間の発展がさらに阻害される可能性があることを、懸念する。
63.委員会は、締約国が、子どもが余暇、レクリエーションおよび文化的活動を享受するための施設の創設をいっそう重視するよう勧告する。

7.特別な保護措置(第22条、第30条、第38条、第39条、第40条、第37条b~d、第32~36条)

子どもの難民および庇護希望者
64.2006年出入国管理・在留・保護法案を通じた、庇護希望手続に関する最近の視点には留意しながらも、委員会は、保護者のいない子どもまたは親から分離された子どもが、とくにサービスおよび独立の代理人へのアクセスとの関連で、庇護手続の際にいまなお十分な指導、支援および保護を受けられていない可能性があることを懸念する。
65.委員会は、締約国が、政策、手続および実務を国際法上の義務および他の文書(国連難民高等弁務官およびセーブ・ザ・チルドレンが作成した「望ましい実務に関する声明」を含む)に掲げられた原則と一致させるために必要な措置をとるよう、勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、子どもが公的機関または親のどちらの養護下にあるかに関わらず、支援サービスに関する同一の基準および当該サービスへの同一のアクセスが適用されることを確保するよう、奨励するものである。委員会はまた、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(2005年)に対しても、締約国の注意を喚起する。
少年司法の運営
66.委員会は、2001年子ども法で刑事責任年齢が7歳から12歳に引き上げられ、かつ反証がないかぎり当該最低年齢は14歳と推定されることになったことを歓迎するものの、同法のこの部分が施行されなかったことを遺憾に思う。さらに委員会は、子ども法のこの部分が、重大な犯罪についての刑事責任年齢を10歳に引き下げた2006年刑事司法法に移管されたことに、深い失望を覚えるものである。
67.委員会は、締約国が、2001年子ども法で定められた刑事責任年齢に関する規定を復活させるよう勧告する。
68.委員会は、法務・平等・法改正省のもとにアイルランド青年司法局が設置されたことは歓迎するものの、これが法的根拠に基づいて設置されたわけではないことを遺憾に思う。委員会はまた、2006年刑事司法法に定められた反社会的行動命令が、とくに命令違反が犯罪とみなされることから、「危険な状況に置かれた」子どもを刑事司法制度にさらに接近させる効果を有するであろうことも、懸念するものである。さらに委員会は、命令の種類および内容に関する裁判官の裁量が広く認められていることから、非難対象の行動に比例しない措置につながる可能性があることを懸念する。
69.委員会は、以下のことを勧告する。
  • (a) 締約国が、アイルランド青年司法局の法的根拠を定めるとともに、当該司法局が、条約に基づいた、子ども志向および権利基盤型の青年司法政策を起草し実施することに高い優先順位を与えるべきこと。
  • (b) 反社会的行動命令が、緊密な監視の対象とされ、かつ、防止措置(ダイバージョン制度および家族会議を含む)が尽くされた後の最後の手段としてのみ利用されるべきこと。
70.委員会は、2002年に施行された2001年子ども法で法律により定められた警察ダイバージョン・プログラムの設置に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、2006年法によって、当該プログラムの適用が「反社会的行動」を行なった10歳以上の子どもにまで拡大されたことを懸念するものである。委員会はさらに、当該プログラムへの受入れが、将来の刑事手続において刑の言い渡しとみなされうることを懸念する。
71.委員会は、「反社会的行動」を行なった子どもを警察ダイバージョン・プログラムの対象にできないようにし、かつ、当該プログラムの受入れが将来の刑事手続において刑の言い渡しとみなされることはけっしてできないようにすべきことを、勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、自由の剥奪が最後の手段として、かつ可能なもっとも短い期間でのみ用いられることを確保するため、一連の代替的措置を優先課題として実施するよう促すものである。
72.拘禁される18歳未満のすべての子どもは別個の拘禁施設――いわゆる「子ども拘禁院」――に収容されるよう定めるという締約国の意図には評価の意とともに留意しながらも、委員会は、16歳および17歳の子どもが、18~21歳の男性を対象とする閉鎖型の中度警戒拘禁センターである聖パトリック施設に拘禁されており、教育のための便益もなんら提供されていないことを深く懸念する。加えて委員会は、子どもオンブズマンが、当該施設から提出される苦情の調査および警察署の査察から除外されていることを懸念するものである。
73.委員会は、締約国が、拘禁を最後の手段として用いるためにあらゆる努力を行なうよう勧告する。拘禁が避けられないと考えられる場合、委員会は、締約国が、18歳未満の子どもに対して別個の拘禁施設を用意するよう勧告するものである。委員会は、締約国に対し、子どもが現に収容されているすべての拘禁場所を子どもオンブズマンの調査権限および査察権限の対象に含めるため、あらゆる努力を行なうよう奨励する。
性的搾取および性的虐待
74.性犯罪者からの公衆の包括的保護について定めた2001年性犯罪者法には留意しながらも、委員会は、買春の被害を受けた子どもおよび児童ポルノに関する情報がないことを懸念する。
75.委員会は、締約国が、焦点の明確な措置を策定する目的で児童買春、児童ポルノならびにその他の形態の子どもの性的搾取および性的虐待に関する情報収集および調査研究を実施するよう勧告するとともに、締約国に対し、この点に関する詳細な情報を次回の報告書で提供するよう要請する。
売買および取引
76.子どもの人身取引・児童ポルノ法(1998年)および人身取引・性犯罪法案(2006年)には留意しながらも、委員会は、誘拐および売買または取引(目的または形態の如何を問わない)の被害を受けた子どもの状況に関する具体的情報がないことを遺憾に思う。
77.条約第34条および第35条に照らし、委員会は、とくに、人身取引と闘うための包括的戦略の採択および実施、ならびに、人身取引被害者の身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための措置(シェルター、カウンセリングおよび医療ケアの提供を含む)の整備に関する女子差別撤廃委員会の勧告(CEDAW/C/IRL/CO/4-5)をあらためて繰り返す。委員会は、締約国に対し、人身取引に関するさらなる情報およびデータ(とくに子どもに関するもの)を次回の報告書で提供するよう要請するものである。
マイノリティに属する子ども
78.委員会は、締約国報告書(とくに差別の禁止および児童福祉に関する第3章)および事前質問事項に対する文書回答(とくにトラベラー問題に関するハイレベル部会報告書に関するもの)で提供された情報に留意する。しかしながら委員会は、トラベラー・コミュニティに属する子どもの権利の享受を増進させること、ならびに、とくに教育、住居および保健サービスへのこれらの子どもによるアクセスを促進することを目的とする、十分な承認、対応および積極的措置がまだ図られていないことを、依然として懸念するものである。
79.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 人種差別撤廃委員会から求められたとおり(CERC/C/IRL/CO/2、パラ20)、トラベラー・コミュニティを民族的集団として承認することに向けていっそう具体的に行動すること。
  • (b) 子どものウェルビーイングの向上を目的とした政策および戦略ならびに具体的措置のさらなる基礎とするため、保健、住居および教育の分野において、トラベラー・コミュニティに属する子どもにとくに焦点を当てながら、調査研究または包括的ニーズ評価を実施しまたは既存の調査研究および評価を活用すること。
  • (c) トラベラー・コミュニティ特別委員会の勧告を実施すること。
  • (d) とくに教育、保健サービスおよび居住施設の享受ならびにこれらへのアクセスとの関連でトラベラー・コミュニティに属する子どもの権利の享受を増進させるためにとられた措置に関する詳細な情報を、次回の報告書で提供すること。
80.委員会は、子どもおよび若者の間でアイルランドの言語および文化を促進するための努力、ならびに、ロマの子どもの周縁化および社会的排除を防止するために行なわれている努力についての具体的情報が締約国報告書に記載されていないことを遺憾に思う。
81.委員会は、締約国に対し、次回の報告書でさらに詳しい情報を提供するよう要請する。

8.子どもの権利条約の選択議定書

82.委員会は、締約国が表明したとおり、武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書についての第1回報告書(提出期限・2004年12月)を受領することを待望する。
83.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書への署名(2000年)を歓迎するとともに、締約国の意思にしたがってこの選択議定書を批准するよう勧告する。

9.フォローアップおよび普及

フォローアップ
84.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を関連省庁、ウラクタス(国民議会)および関連の地方当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
普及
85.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれに限るものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。

10.次回報告書

86.委員会は、締約国に対し、2009年4月27日(すなわち第4回報告書の提出期限)までに第3回・第4回統合定期報告書を提出するよう慫慂する。これは、委員会が毎年受領する報告書が多数にのぼることを理由とする、例外的措置である。この報告書は120ページを超えるべきではない(CRC/C/118参照)。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待するものである。


  • 更新履歴:ページ作成(2013年1月19日)。
最終更新:2013年01月19日 17:54