序章の始まり

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序章の始まり ◆03vL3Sy93w



「何故あやつらはこのようなことをする?」

太公望は、何故申公豹が殺し合いを開催したのか理解できなかった。
彼は道化師のような格好を悪く言う者を嫌う、一風変わった美学の持ち主である。
だが、彼の美学が無力な女子供に殺し合いをさせることになるのは、彼の性格上考えられない話である。
仮に殺し合いをさせることを美学としても、自分でわざわざ大掛かりなことをすることも考えられないのである。
封神計画のときもそうであった。彼は殷や周の双方に助言や忠告をする程度で、仙界大戦や牧野の戦いのような大規模の戦いのときも傍観者という立場にいた。
そのため、突然殺し合いを開催すること自体何か裏がない限り信じられないことである。
しかし、彼は常に傍観者の位置にいたため、彼との深い関わりが分からない。結局、結論が出ないままである。

「……とりあえず移動するかのう」

申公豹に対する考察を終了して移動しようと立ち上がった。だが、すぐに動こうとはせず、近くにある木のほうを振り向いた。

「おぬしがそこにいるのは最初から分かっておる。姿を現したらどうじゃ?」

太公望は、自分の後ろにいる人物に語りかけた。
すると、木の陰から一人の少年がでてきた。少年は自分と同じくらいの背丈で、顔つきはどことなく女の子ともとれるような顔であった。

「よく分かりましたね、音は立てないようにしたんですけど」
「姿が見えずとも気配だけで感じていたぞ」
「そうですか。ところでその声、もしかして……」
「いかにも、わしの名は太公望。このようなふざけたことには乗っていないから安心していいぞ」
「僕の名前は綾崎ハヤテです。僕もこの殺し合いには乗っていません。よろしくお願いします」


情報交換を済ませた二人は、近くにある博物館を目指して歩いていた。
二人とも他の人に会うのが目的で、建物に人が集まると考えていたからである。
そのうえ、博物館はいろいろなものが展示されているため、有力な情報が手に入れやすいのである。

(あの人、何か胡散臭いんだよな、そもそも二千年以上も前の人なんて……。でもこの状況だし、信じるしかないのかな。)
ハヤテは、中国の周という時代から来た道士である太公望の話が信じられなかった。
彼を疑っているわけではないが、古代の中国にも関わらず、現代技術を超越する技術のようなものが存在しているなどという話を信じることは出来なかった。
もしこのような状況でなかったら、彼は太公望のことを「頭のかわいそうな人」と思っていただろう。

(それにしても、最初に会った人があのピエロみたいな人の知り合いだなんて……。)
ハヤテは運命と戦う決意をした後、とりあえず他の人に会うため、一番近い建物である博物館を目指して歩いていた。その途中で太公望を見つけたのだ。
だが、その男が殺し合いに乗っていて襲い掛かってくる可能性も否定できなかった。そのため、近くにある木の陰に隠れていたのだ。すぐに見つかってしまったが。
まさか主催との関係者とは思ってもいなかった。情報交換の際にそのことも聞いてみたが、特に有力な情報はなかった。

(……とはいえ、武器が手に入ったのは良かったな。あのままじゃ、戦うこともできないし。)
ハヤテの手には一つの木刀が握られており、柄の部分に『洞爺湖』と書かれている。
その木刀は太公望に支給されたものであるが、武器を持っていないというと、その木刀を渡してくれたのだ。
その代わりに自分に支給された手配書の一枚を太公望に渡した。一人で捕まえるのは難しいので、協力してもらうためである。
また、600億という大金なので、半分に分けても問題ないだろうと判断したからでもある。

(でも大丈夫かな、あんな丸腰で。)
武器である木刀をハヤテに渡してしまったので、太公望の手にはボールのようなものしかない。それでも、太公望は「問題ないぞ」といって渡してくれた。
……気にする必要はないか。ハヤテはそう結論付けた。


(……まさかわしにこのようなものが支給されるとは。)
太公望は、両手にあるボールのようなものを見つめながら歩いていた。だが、それは彼がよく知っている人物のものだった。
このボールのようなものは『太極符印』という元素を操る宝貝である。状態変化や化学反応、挙句の果てには核融合も可能とする、ある意味危険な宝貝でもある。
この宝貝の持ち主は崑崙十二仙の一人、普賢真人であり、太公望のことを「望ちゃん」と呼ぶほどの仲である。
だが、普賢真人はすでに死んでおり、『太極符印』もそのときに自爆したはずである。
最も多くの仙道が死亡した仙界大戦によって。

(そういえばあやつは話し合いで解決しようとしておったな。)
彼は戦いというものを嫌っており、話し合いによって解決策を出そうとしていた。
もし彼がこの状況に巻き込まれたら、同じようなことをしているのだろうか。そう考えると少し笑みがこみ上げてくる。

(だが、わしにはそのようなことは出来ぬ。わしはわしのやり方でやらせてもらうぞ、普賢。)
太公望は大した才能を持ち合わせていないありきたりの道士である。そんな彼が主な武器としているのが策略である。
これによりこれまでの妖怪仙人との戦いや殷郊との戦いを制してきたのだ。そして、この殺し合いでも策略で乗り越えるつもりでいる。
だが、彼は多くの仙道とは戦ってきたが、申公豹とは本格的に戦ったことはない。当然、勝つ確証などない。
そして、そこに至るまでに多くの犠牲があるのかもしれない。

(それでもわしがやらねばならぬ。覚悟しておれ、申公豹!)
これまで多くの犠牲を目の当たりにした道士、太公望。
彼の戦いが今、ここから始まった。

【B-8/西部/1日目 深夜】

【太公望@封神演義】
[状態]:健康
[装備]:太極符印@封神演義
[道具]:支給品一式、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×1@トライガン・マキシマム
[思考]
基本:殺し合いを潰し、申公豹を倒す。
1:ハヤテと行動する。
 2:博物館へ向かい、有力な情報を探す。
[備考]
 ※殷王朝滅亡後からの参戦です。
 ※手配書は渡されただけで詳しく読んでいません。
※ハヤテと情報交換をしました。

【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!】
[状態]:健康
[服装]:トレーナーとジーンズ(第1話終了時の服装です)
[装備]:銀時の木刀@銀魂
[道具]:支給品一式、若の成長記録@銀魂、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×2@トライガン・マキシマム
[思考]
基本:運命と戦う、当面は殺し合いには乗らない
1:とりあえず太公望と行動する
 2:博物館へ向かい何か使えそうな道具を手に入れる
 3:西沢さんを含めた友人達が心配
 4:出来ればヴァッシュを捕まえて賞金を手に入れたい
 5:少年(火澄)の言っていた『歩』は西沢さんなのか、東城歩って人のことなのか、それとも他の歩という名前の人なのか……?
 6:金髪でツインテールの少女(ナギ)が心配
[備考]
 ※第1話直後からの参戦、つまりまだナギの執事となる前です。
 ※参戦時期からわかる通り、西沢・ナギ以外のハヤテキャラとの面識はありません。また、ナギも誘拐しようとした少女としか認識していません。
 ※太公望と情報交換をしました。また、その際に封神演義の世界についておおまかなことを聞きました。ただし、そのことについては半信半疑です。

【銀時の木刀@銀魂】
銀時がいつも通販で購入する愛用の木刀。柄の部分に『洞爺湖』と書かれている。

【太極符印@封神演義】
崑崙十二仙の一人、普賢真人の宝貝。元素を操ることが出来る。


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