オリロワ2nd @ ウィキ

短時間の追憶

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「…」

診療所の一角の事務所窓口から、金髪の女性、サーシャ・ニホンヤナギは顔を覗かせていた。
息を整えながら、目を凝らし、暗闇を探る。
全世界英雄協会に所属するサーシャだが、生憎ヒーロー達の様な超人的な力を持ち合わせてはいない。
ならば、彼女に出来る事は早急の対象者の発見、安全か否かの確認。
そして、同行者である今野穂乃香の保護である。

それが自らに課せられた『指令』なのだと、サーシャは考えた。
拳銃の扱いには自信がある。
けれど、だからといってそのまま不自由無く戦える訳ではない。
だからこそ、早い段階で国坂正義との合流が必要なのであるが、それが出来るにしろ出来ないにしろ。
自分に出来る事を、通し尽くすだけである。

「…サーシャ、どう?」
「あ…穂乃香さん…いえ、誰も来る気配は…」

金髪のサイドテールを揺らしながら、サーシャは同行者である今野穂乃香へと言葉を返した。
彼女とサーシャが暮らす生活は真逆である事は、サーシャが理解している。
ただ生憎、その自分の素性について詳しくは話していない。
それは穂乃香へと妙な心配をかけてはいけないからだ。
―――今はただ、『少しばかりだけ頼れる人』として行動しよう―――
サーシャは固く、そう誓った。

「でも、もう結構経ってるし誰か来てもおかしくないわ」
「そう…ですね。穂乃香さん、何処かで休んでていいですよ?私が見てますから」
「えー…駄目よ。年頃の女の子に無理させたくはないし…」
「妊娠中の妊婦さんが何言ってるんですか…私なら少しくらい無茶しても大丈夫ですって」
「…」
「と・に・か・くっ!私に任せて下さいっ!」
「…分かった。ありがとね。サーシャ」

サーシャへと背を向け、穂乃香は事務所の奥の部屋へと入っていった。
それを見届けたサーシャはまた暗闇へと視界を向ける。
言い放つ様で、穂乃香に不快な思いをさせたかもしれない、とサーシャは思ったが、別に今はそんなどう思われてもいいのだ。

(…あーあ。早く国坂君来ないかなぁ…)

状況を簡単に打開してくれるヒーロー、国坂正義。
彼が居るならば―――いや、もしかしたら彼と同等の力を持つ人も居るかもしれない。

「…最悪、殺し合いに乗った人が来たらその時は…」

私が、穂乃香さんを守らなきゃ。
穂乃香さんには子どもが居るんだ。
私は二人の幸せな未来をいとも簡単に見捨てるなんて、出来ない。

「…残業にもほどがあるけど…こういう残業も、必要かもしれないわね」

サーシャは一人で苦笑いした。
誰からも分からない様に、強さを気取って。

【一日目・黎明/B-2 診療所受付内事務所】

【サーシャ・ニホンヤナギ】
【状態】平常、強い決意
【装備】アーミーナイフ
【所持品】基本支給品
【思考】
1.穂乃香と共に診療所に籠城、彼女とお腹の子供を守りたい
2.首輪の解除をしたい
3.出来れば国坂正義と合流したい

【今野穂乃香】
【状態】平常、妊娠9ヶ月
【装備】ハイスタンダード22口径2連発デリンジャー(装弾数2/2)
【所持品】予備の銃弾×6、基本支給品
【思考】
1.診療所に籠城して、夫の到着を待つ
2.殺し合いに乗る気は無い


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08:3人 サーシャ・ニホンヤナギ :[[]]
08:3人 今野 穂乃香 :[[]]



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