〈付与術師〉


◆特製

戦場での役割:後方攻撃or戦場制御
HP:少ない
MP:多い
装備可能な鎧:布鎧
装備可能な白兵武器:杖、短剣、魔道書、魔法具
装備可能な射撃武器:なし


◆解説

〈付与術師〉は、魔法攻撃職でありながら、直接敵を倒す火力にではなく、パーティの能力上昇や戦場操作に特化した支援型の魔術師である。
仲間に有利な効果をもたらす魔法バフ、敵を妨害する魔法デバフにおいては他職の追随を許さない多彩な特技を有し、状況対応能力は12職業随一と言える反面、〈付与術師〉本人の戦闘能力は12職業ワーストであり、ソロでは何もできないと揶揄される職業のためプレイヤー間での人気も12職業ワーストになってしまっている。魔術師系職業の常で、防御力・耐久力も低い。
一方でパーティーメンバーとしてみた〈付与術師〉は決して無力な職業ではない。〈キーンエッジ〉〈アキュラシィサポート〉で武器攻撃を行う味方をサポートしつつ、〈エリクシール〉〈リフレックスブースト〉で回復力と回避力も上げるような真似ができるのは〈付与術師〉だけだ。しかし一方これらの地味な援護魔法は〈付与術師〉のプレイヤースキルとは無関係に、パーティーに参加しそのはじめに使用すれば永続するため、一時結成された見知らぬ他人同士のパーティーでは評価され難い。
仲間を強化した場合仲間の与ダメージは増えるものの、本人のダメージ出力は低いままであり、それがDPS計測ソフト(パーティーやレイドで誰がダメージをどれくらいだしたか調べる外部ツール)上でも明らかなのが、〈付与術師〉差別の一因である。
〈ナイトメアスフィア〉〈アストラルヒュプノ〉といった数々の魔法は、ダメージこそ低いものの、敵の行動を妨害する効果に優れ、一手で戦況を一変させることすらできる。腕のいい〈付与術師〉と組んだプレイヤーは「同じクエストなのに普段より格段に楽ができた」と感じるのだが、一方でこれらの状態異常呪文では敵を倒す、すなわち戦闘を集結させることは出来ない。勝てる敵を相手にこの種の呪文を使用するのは、戦闘を長引かせるだけでマナー違反と批判されることもある。
このように援護魔法の選択、妨害魔法のタイミングなどを見極めるには熟練を要することも確かで、〈付与術師〉として知名度をあげられるプレイヤーは元々少ない〈付与術師〉人口のほんの一握りとなっている。こういった特性から「いるだけ職」「TVのび太」などといわれてしまっている。


◆ビルド

■エンハンサー:支援特化型

〈付与術師〉が備える数々の援護魔法を得意とするビルド。〈キーンエッジ〉〈オーバーランナー〉〈リフレックスブースト〉といった直接的な能力上昇をもたらす魔法バフを中心に、〈ゲインイミュニティ〉(耐性上昇)〈アストラルチャフ〉(ヘイト取得率低下)など多彩な魔法を使いこなして、仲間のあらゆる能力を増強する。
これらの永続的な援護呪文以外にも攻撃が命中すると追加ダメージを与える茨を敵に巻き付ける〈ソーンバインドホステージ〉によって間接的な火力の底上げを行うのも定番の戦術である。味方との連携が必須なものの、発動した場合の総ダメージは〈妖術師〉の魔法に手が届き、燃費の良さでいえばそれをはるかに凌ぐ。〈インフィニティフォース〉のような短時間大ブーストなどを使いこなす者も多い。
エンハンサーはこのような強化呪文を使いこなし、この種の呪文を秘伝段階まで育てている。もっとも〈付与術師〉の印象に近いのがこのエンハンサービルド。ただしあまりにもオーソドックスであるために、すべての〈付与術師〉はエンハンサーであると言える。また腕が悪い〈付与術師〉のほぼすべてがエンハンサーである(エンハンサーで満足しているといっても良い)。
独自ビルドを開拓する〈付与術師〉はエンハンサー的な視点でいくつか好みの援護魔法を「秘伝」として、他のビルドに接続することが多いのである。

■クラウドコントローラー:敵集団制御型

敵の行動を阻害する魔法による戦場制御(CC:クラウドコントロール)を得意とするビルド。〈エルダー・テイル〉クエストでは、一度に多数の敵を相手にしなくてはならない場面も多く、最大で1パーティ6人しか居ない〈冒険者〉たちは数的不利を背負いつつ戦わねばならない。そんな時に活躍するのが「クラウドコントローラー」だ。Mezzer(眠らせ屋)やFreezer(凍らせ屋)とも呼ばれる彼らは〈アストラルヒュプノ〉によって殺到する敵を眠らせ、〈ナイトメアスフィア〉で敵の足を止めることで、味方が対処せねばならない敵を限定することができる。あとは仲間が順番に敵を料理するのを待つだけだ。
このビルドがもっとも活躍するのは、敵の巡回や配置がタイトなダンジョンの突破である。このようなダンジョンでは戦闘中に他のモンスターパーティーがプレイヤー側に襲いかかってくる事態が非常に多い。こういった通常パーティーでは壊滅してしまう程のハードコアな狩場において、大量の敵をさばくのはクラウドコントローラーの存在意義といってもよい。
また多数の敵が出現する多人数クエスト(レイド、フルレイド、レギオンレイド)でも重要であり、レイドを積極的にこなしているような戦闘系ギルドのほとんどは、専業の「クラウドコントローラー」を抱えている。いくら頑強な〈守護戦士〉といえど集中攻撃を受けては倒れてしまうし、味方の人数が多い分ヒーラーの手が回りきらないこともある。そんな時は、「クラウドコントローラー」が敵を無力化している間に素早く立て直しを行い反撃に転ずるのである。
装備にも妨害特化というビルドの性格が反映されており、バッドステータスを強化する杖や再使用規制時間を短縮するローブなどを選択する者が多い。どうしても地味になりがちな〈付与術師〉の中では活躍がわかりやすい部類のため、有名な〈付与術師〉はこのビルドに多い。
本編登場人物では濡羽が専門的なクラウドコントローラーである。

■マナコントローラー:魔力制御特化型

「マナコントローラー」本人は敵を倒す能力をほとんど持たないが、MP操作魔法によって味方の継続戦闘能力を強化し、消耗を最低限に抑えつつ戦い続けるためのビルドである。このような長期戦の想定は、ソロ活動やパーティーレベルでの冒険には全く不必要であり、純レイド向けビルドである。
長期にわたる大規模戦闘のペース配分をコントロールするための特化ビルドがマナコントローラーであり、〈マナチャネリング〉〈カルマドライブ〉〈マナトランス〉などといった呪文で味方のマナを増加、あるいは回復する。MPの回復手段が限られ、かつHP回復や高威力攻撃がMPに依存する〈エルダー・テイル〉において大規模戦闘中のMP補給は難問であり、このビルドの〈付与術師〉の潜在能力は高い。
ただしもともとプレイ難易度の高い〈付与術師〉の中でも、パーティ全体の状態管理をしなければならない「マナコントローラー」のプレイはさらに難しいと言える。味方の能力、装備、特技に加えて敵の配置や行動パターンを把握しなくては、適切に援護を行えないからだ。パーティー全体のMPを漫然と回復するだけではなく、必要な場所に必要なだけのMPを手渡すプレイが求められ、それゆえ、このビルドの殆どは固定されたパーティでクエストに挑んでいる。
本編登場人物では主人公シロエが不世出のマナコントローラーである。

■スプリンクラー:魔法連射型

攻撃力の貧弱な〈付与術師〉ながら、攻撃魔法をもっとも重視する異色のビルド。威力は低いがMP消費が少ないという〈付与術師〉の魔法特性を逆手に取り、連射による手数で敵を圧倒する。
主力となる魔法は速射性能に優れる〈パルスブリット〉で、これを〈キャストオンビート〉でさらに高速化、1分間42詠唱という怒涛の勢いで魔力弾をばらまき弾幕を張る。魔法に追加ダメージを発生させる〈メイジハウリング〉と併用した場合の火力は凄まじく、モンスターのHPゲージが見る見る減っていく様は「ひとりだけシューティングゲームをやっている奴がいる」と言われるほど。
そもそもスプリンクラーは存在しなかったビルドであり、ある拡張パックで実装されたアイテム〈降雨のスカラベ〉が〈キャストオンビート〉を強化するシナジーを有していたことから始まった経緯がある。その後この種のアイテムはいくつか実装されたが、スプリンクラービルドが開発されたのは比較的最近のこと。
このようなキワモノ構築を行うプレイヤーがいるとは開発元のアタルヴァ社すら予測していなかったらしく、身内向けにひっそりとアップされたプレイ動画が開発チームのブログで「What's this? CRAAAAAAAZYYYYYYYYY Enchanter!!」の見出しと共に紹介されて爆発的な再生数を記録した、という逸話がある。
とにかく魔法の連射に特化したビルドで、装備は「魔法1ヒットごとに追加ダメージが加わる」効果のあるものほぼ一択である。火力はもちろん高いのだが、高いとはいえ頑張れば〈妖術師〉に追いつけるかも――程度であって観ている分にはすごいが自分で真似をしようとは思わないビルドの典型例といえる。

■イヴルアイ:逃れえぬ邪眼の呪縛

仲間への支援、敵への弱体に長ける〈付与術師〉の中でも、特に弱体化付与(デバフ)に特化したキャラクター構築を行なったものが「イヴルアイ」「ゲイザー」などと呼ばれるビルドである。
敵に状態異常(バッドステータス)を与える行為は攻撃であり、当然モンスターは抵抗をしてくる。通常のソロ活動やパーティーレベルでの戦闘においてモンスターの抵抗力は、一般的な〈付与術師〉の魔力を越えるものではない。
強力な相手程この抵抗力も強く、特にレイドボスともなれば弱体化の専門家である〈付与術師〉であっても確実に弱体化させられる保証はない。イヴルアイはこの敵の抵抗を突破することに特化しており、レイドボスの高い抵抗や魔法防御すらやすやすと突破して様々な状態異常を付与し、仲間の戦いをサポートする。
武器攻撃職、魔法攻撃職には対象が特定の状態異常を受けていることで更なる威力を発揮するタイプの特技も数多く存在するため、イヴルアイとの連携で全体的な火力は大きく跳ね上がることになる。ダメージを与えることはないが状態異常を受けた敵を即死させる〈ブラックアウト〉の存在により、レイドボスのお供のミニオンなどを確実に対処できるのも強みといえる。対象の魔法や射撃の射程距離を著しく減退させる〈ブレインバイス〉にいたっては、レイド戦の戦略そのものを変化させうる強力な特技。
これらを駆使し、ダメージには頼らない戦法を構築するイヴルアイは〈付与術師〉という職業の本質の一端を体現するビルドのひとつといえる。
もちろんソロ戦闘やパーティー戦闘には相性が悪く「イヴルアイ」が選択肢に上ることさえ稀である。弱体化に特化した一方でダメージ出力に関しては〈付与術師〉の例に漏れず高いとは言いがたく、単独での敵撃破は難しい。たとえ同格以下の相手であったとしても長期戦を強いられることは必至。豊富な状態異常も、それ単体では決定力にはならないため、それらを活かして攻めてくれる仲間の存在が必要不可欠なのである。
このビルドの登場は2012年の拡張パック〈永遠のリンドレッド〉によって搭載された特技群に始まるが、登場当時「〈付与術師〉に新しい可能性登場、ただしまたレイド向き」「〈付与術師〉のボッチ人生再出発」「〈付与術師〉育成のマゾ歴史にまた1ページ」などとの評価を受けた。もちろんこういった悪評の中でも〈付与術師〉愛好家は「やれやれだぜ」という態度を崩さなかったことは言うまでもない。
イヴルアイに限った話ではないが全体的に〈付与術師〉の絶対数は少なく、それゆえに彼らの強み、特性を理解できていない〈冒険者〉も少なからず存在する。見た目の火力の低さから、パーティーへの加入を断られることも多く、かといってソロでの育成は困難――そういった要因から〈付与術師〉の道をあきらめたり、敬遠するプレイヤーは多く、結果として熟練した付与術師の希少さに拍車がかかる結果となっている。
レイド戦闘などを数多くこなす大手ギルドでは〈付与術師〉の戦術評価が存在するため、在野のスカウトや後進の育成に力を入れているところも少なくないが、それでも「12職でもっとも人数が少ない職業」の地位は当分揺らぐことはなさそうである。


◆代表的な特技

もはや説明するまでもないが、直接ダメージを与える能力は12職中最低である。〈付与術師〉の特技の多くは「敵の行動を阻害する」特技と「味方の能力を底上げする」特技に大別でき、その2点だけ見れば他職の追随を許さない性能とバリエーションを誇るといえる。ただし、それは落とし穴でもあり、威力の高い攻撃をしていればパーティに貢献できる職業と違って、どの場面でどの特技を使うのが有効なのかを判断する難易度が非常に高くなってしまっているのである。
かくして、うまく性能を発揮できない〈付与術師〉が溢れ、「いるだけ職」とくさされてしまっているわけだが、きちんと特技を使いこなせる〈付与術師〉と組んだ経験が1回でもあれば、その評価はたやすく覆るに違いない。

■〈アキュラシィサポート〉

攻撃補助魔法:味方1人の命中率を上昇させる強化魔法。「命中率」というのがミソで、近接攻撃に限らず魔法攻撃にも効果がある。系統上位特技になっても上昇数値は据え置きではあるが、僅かな命中率の差が明暗を分ける高難度戦闘においてはその効果がはっきりと出てくる。効果時間は非常に長いので一度かけてしまえば数時間持続する。

■〈アストラルチャフ〉

ヘイト操作魔法:気配を遮断する銀色の靄で味方を包み込み、敵からの注意を逸らす補助魔法。効果中、対象が取得するヘイトは減少する。相対的に後衛職の火力や回復力を上げることに繋がる、縁の下の力持ちとでも言うべき特技。雑魚戦ではその分直接的な支援をした方が効率がよいが、レイドなどでは後衛への事故が減るために感謝される。

■〈アストラルバインド〉

補助魔法・行動阻害:目標にした敵を拘束し、移動を制限する魔法。魔法職は高火力によって敵を殲滅するDD(ダメージディーラー)であると同時に、敵の能力を制限して味方の戦闘を有利にするCC(クラウドコントロール)機能も少なからず有しているが、〈アストラルバインド〉はその基本であり、細部のディティールは異なるものの3職それぞれに用意されている。
この特技によって敵を足止めしている間に戦士職が前進して前線を構築する戦術はパーティ連携の基礎とみなされており、さまざまな場面で出番のある魔法。使用すると、魔力の輝く糸が相手をリング上に締め付ける。

■〈アストラルヒュプノ〉

攻撃魔法・状態異常攻撃:敵を眠らせて無力化する魔法。使用すると効果時間の間対象に「ZZZ」と記載されたアイコンが表示される。眠りの間はあらゆる行動がとれないが、持続効果は短く最長で十数秒。しかも、効果中にダメージを受ければ強制的に目覚めてしまう。しかし、睡眠中に再び〈アストラルヒュプノ〉を着弾させれば、睡眠時間を延長することも可能。〈アストラルヒュプノ〉の再使用規制時間は5秒であるために、腕利きであれば、2体の敵を完全に無力したまま維持できる。これは専門用語で「MezKeep」「すやすや拘束」などとよばれる。習熟位階や装備の選択によっては3体~4体の敵を拘束し続けることも可能だが、魔法が抵抗されたり何らかの事故でプレイヤーの操作がミスしたりすればすぐさま目覚めて襲いかかってくるためにその難易度は決して低くはない。
レイド装備を身につけた〈付与術師〉のスタイルのひとつ「Freezer」は、この〈アストラルヒュプノ〉および行動阻害魔法に特化したビルドで、その名前通り、敵の集団の行動を凍てつかせる。

■〈インフィニティフォース〉

その他・補助魔法・必殺技:対象の味方1人の能力リミッターを解除し、ごく短時間(15秒ほど)の全体的なステータスアップと同時にMPを無制限に使用できる状態にする。〈妖術師〉であれば強力な魔法を連打可能となり、〈暗殺者〉〈盗剣士〉も同様に大きな火力を発揮できる(もっともヘイトは通常どおり発生するので、倒しきれなければ手痛い反撃が待ち構えているが)。効果中は身体の中から金色の光があふれるように湧き出すエフェクトが表示される、通称「スーパーモード」。再使用規制時間が40分と長く〈付与術師〉の切り札的魔法。
〈大災害〉以後、この特技を使用後は激しい疲労に襲われることが判明したため、使用に二の足を踏むものは少なくないようである。

■〈エリクシール〉

回復補助魔法:味方単体の回復系特技の効果を上昇させる補助魔法。上昇量は系統上位特技を取得するにつれて強化されていく。回復職のいないパーティではほとんど意味を成さないが、1人の回復職が多数をカバーするレイドコンテンツなどでは回復能力の底上げが部隊全体の耐久度を格段に引き上げるため、大規模ギルドに所属する〈付与術師〉はこの特技を重点的に成長させている者もいる。逆に言えばそうでもない限りあまり日の目を見ない特技である。

■〈エレクトリカルファズ〉

攻撃魔法:対象に継続ダメージ(効果の持続時間中、単位時間あたりに一定のダメージを与え続けること)を与える電撃属性の単体攻撃魔法。効果時間の間、放電する雷の弾丸が敵にまとわりつく。発動的にチャージが可能で単位時間あたりのダメージを増強することもできるが、〈妖術師〉や〈召喚術師〉の魔法と比べると見劣りする。支援魔法を使い終え、大技の再使用規制時間が終わるまでの暇潰し、という意味合いで使われることも多い。
なお、対象からは継続ダメージ発動ごとに特徴的な音と光が放たれるため、〈大災害〉後は敵の位置を乱戦や夜闇で見失わないようにするためのマーカーとしての利用がされるようになっている。

■〈オーバーランナー〉

移動補助魔法:効果時間中、対象の移動速度を増加する。その他のステータスは上昇しないが、対象の攻撃範囲から移動で逃れることのできる可能性も増加することから、間接的に被ダメージを低減させる効果も期待できる。一方で、使われた側が加速した移動速度に慣れていないと混乱を引き起こすため、辻支援で使うには向かない。使用すると効果時間の間対象に長靴型のアイコンが表示される。

■〈カルマドライブ〉

回復補助魔法:効果時間中、対象の攻撃がクリティカルすると、対象のMPが大きく回復する。MP回復手段の限定されている〈エルダー・テイル〉における〈付与術師〉の特異性を象徴する特技の一つ。使用すると効果時間の間対象に四葉のクローバー型のアイコンが表示される。

■〈キーンエッジ〉

攻撃補助魔法:味方単体の武器の攻撃力を上昇させる補助魔法。上昇量は系統上位特技を習得するにつれて強化される。効果を受けた武器はうっすらと白い光を放ち、切れ味(威力)が増したように見える。また持続時間が長く、一度使えば数時間持続するのも特徴。こういった戦闘前にあらかじめ準備しておく系統の呪文を数多く習得するのも〈付与術師〉の職業特性といえる。

■〈キャストオンビート〉

その他・補助技:高速詠唱や詠唱短縮による魔法の連発を行う自己強化特技。使用者が使う魔法系特技の使用後硬直時間と再使用規制時間を短縮する。効果時間中はMPと詠唱時間の制約はあるものの、魔法の高速連続使用が可能となる。支援系魔法は複数の種類を重ねがけすることが期待される場面が多く、強力な特技である。そもそも再使用規制時間などが〈キャストオンビート〉を前提に設計されているために、〈付与術師〉は日常からこの特技を多用する。しかし、いかんせん地味であり〈付与術師〉以外が意識することは少ない特技でもある。

■〈ゲインイミュニティ〉

防御補助魔法:味方単体の心身に魔力を流し込み抵抗力を上げ、特定のバッドステータスにかからなくする補助魔法。長い効果時間を持つため、一度かければ数時間効果が持続する。防止できるバッドステータスにはレベル制限と持続時間制限があり、専門職である回復職に遠く及ばない。とはいえ、回復職が一般的にあつかう「バッドステータス回復魔法」とは違い、「事前の手が空いているときに使える」柔軟性がある。敵の使用するバッドステータスがわかっていれば、回復職の負担を軽減できる。ただし、既にかかっているバッドステータスを回復する効果はないため、初見の相手には役立てることが難しい。

■〈ソーンバインド・ホステージ〉

攻撃魔法:設置型と呼ばれる特殊な単体攻撃魔法。命中すると瑠璃色の茨のような輝きが対象にまとわりつく(行動は束縛しないが描写が拘束魔法に似ているため、大災害後は振りほどく等のために結果的に行動が止まることはある)。命中しただけではダメージが発生しないが、命中した対象がその後に別の攻撃を受けたとき、そのダメージに連動してダメージを与える。詠唱時間は2秒、再使用規定時間は15秒。熟練度の等級で茨の数とダメージが上昇し、「秘伝*1クラスだと茨の数は5つでダメージは1回当り約1000。
付与術師の魔法としては高いダメージソースとなる魔法である。また、通常の攻撃魔法と比較して、味方の攻撃と全く同じタイミングでダメージを与えることができるため、敵の回復魔法によるリカバリーがされにくいという利点もある。たとえば〈施療神官〉の反応起動回復を想定した場合、通常の攻撃魔法1回と味方の攻撃1回を行えば2度反応起動回復が発動するが、〈ソーンバインドホステージ〉と味方の攻撃の連携に対しては1度しか発動しない。敵が〈神祇官〉であればダメージ遮断障壁を張りなおす暇を与えずに済むし、〈森呪遣い〉の脈動回復中の相手であれば、1度目の攻撃と2度目の攻撃の間の回復量を無視できる。
もっとも、設置と起爆の2手順が必要なため速効性に欠ける難点や、他職との比較で「〈妖術師〉が普通に攻撃魔法を打ち込んだ方が手っ取り早く強い」などと言われがちだったりするなど、さほど評価が高い特技ではない。

■〈ディスペルマジック〉

補助魔法:無色無音の魔力の波動(さざ波のようなエフェクトが発生する)を放ち、対象にかかっている魔法を解除する特技。解除できるかどうかはその魔法をかけた術者と〈ディスペルマジック〉の使用者のレベル差によって判定される。敵のかけた強化魔法を無効化する、味方にかけられた妨害魔法を取り除くといった用途のほかに、魔法的な原理で作動する罠を解除することもできる便利な特技である。

■〈ナイトメアスフィア〉

攻撃魔法・状態異常攻撃:指定地点を中心とした範囲に半透明の精神雷撃を投射し、範囲内の敵に精神属性ダメージと、移動力低下のバッドステータスを与える魔法攻撃。透き通った球状の力場が数回、周囲に広がるようなエフェクトを発生させる。系統上位特技になってもダメージはあまり伸びないが、移動速度の低下率が大きくなり、レベル90の付与術師ともなれば実に80%以上の低下率となる。また、バッドステータス付与確率は習熟位階に応じて上昇するため、効果的に運用するならばある程度の秘伝書強化は必須といえる。

■〈パルスブリット〉

攻撃魔法:小型の光弾を撃ち出し、敵を攻撃する魔法。射出速度も高く、連打も可能であり、ヘイト上昇率も低く、けっして悪い特技ではないのだが、攻撃職としては情けなくなるほどダメージの低い呪文である。発射音も軽く、光弾の弾道もまっすぐ飛んでいくがなぜか着弾より手前でお辞儀をするなど、エフェクトはかなり地味、かつしょっぱい。そのため他プレイヤーから「お辞儀玉」「しょっぱ玉」「攻撃するふり魔法」などといわれ、揶揄の対象となってきた。実際に再使用規制時間が短く、便利に連射していけるために鍛えればダメージ出力の主軸になり得る(それにしても連射をしてやっと、という話ではあるが)。
〈キャストオンビート〉や高額なレイド装備による詠唱時間短縮などをくみあわせて、短時間ながらも1分あたり30以上の詠唱などをおこなうビルド「スプリンクラー」では、本職の〈妖術師〉に匹敵するダメージをたたき出せることもあると噂されるが「そんなに高額な装備をつかって一芸特化」「何やってるか判らない」「所詮は〈付与術師〉」などとイメージアップの役には立っていない。

■〈フォースステップ〉

攻撃補助魔法:1分間、味方1人の特技再使用時間のタイマーを加速させる(実質、再使用時間が減少する)と同時に、次に行なう攻撃のダメージが微増する補助魔法。効果を受けた仲間には加速する時計のエフェクトアイコンが表示される。効果量は90レベルの〈付与術師〉が秘伝級の〈フォースステップ〉を使用した場合でタイマー加速20%、ダメージは+10%。一見大きな数字に見えないが、レイド戦闘など長時間のバトルではトータルダメージに如実に差が出る。パーティを陰から支える〈付与術師〉らしい支援魔法といえる。〈フォースステップ〉自体は比較的多用できる特技のために、味方にどんどん使っていける。しかし、使いすぎると『こき使いやがって』という心象を与えるので中の人へのケアも忘れずに。

■〈フリップゲート〉

移動魔法:屋内のゾーンのみで使用可能な、パーティ全体をスタート地点(ゾーンに入った場所)へ戻すことができる瞬間転移魔法。形勢不利な時の立て直しのほか、複雑なダンジョンの奥まで行った後に戻るのが面倒な時にも使われる。使用すると銀色に輝くドアのようなオブジェクトが設置され、クリックすることでそのゾーンの入り口に戻ることができる。ゲートの使用人数に制限はなく、通りがかりの人でも使用できるため、大型のレイドなどでは重宝される。

■〈ブレインバイス〉

攻撃魔法・行動阻害:その名の通り脳を万力で締め付けるかの如き強烈な精神攻撃を行う精神属性の単体攻撃魔法。対象の足元に瞳を模した魔法陣が発生し、立ち上る黒い光の柱が包む。この魔法が命中すると、対象が使用する遠距離を対象とした攻撃(魔法、武器による射撃、ブレス攻撃など)の命中率が著しく低下する。また、ヘイト上昇と消費MPが多い〈付与術師〉の魔法の切り札で、他の〈付与術師〉の攻撃魔法と比較してダメージが比較的高い(もっとも〈妖術師〉の攻撃魔法と比較すると標準的なレベルになってしまうが)。敵の遠距離攻撃をかなりの確率で制限出来るこの魔法は、事前に対象の行動パターンを把握していれば相手の封殺も可能だが、初見の敵やPvPでは利用価値がひどく下がる。〈付与術師〉の特技の例に漏れず、癖の強い強烈さを持つ魔法のひとつであり、パーティーレベルでの戦闘では仲間との連携は不可能であると言われるほどに難しい。
一方でレイドボスとの戦闘では、遠距離攻撃が存在しないことの方がまれであるために、攻略の鍵を握る可能性すらある。

■〈ヘイスト〉

その他・補助魔法:味方1人の行動スピードを加速させる魔法。これも持続時間が長いため戦闘前にあらかじめ使用しておくのが一般的な運用法となっている。ただしパーティ全員を常時加速させるには少々MPの消費が大きいため、攻撃の手数がほしい武器攻撃職や魔法職に優先して使用されることが多い。系統上位特技の習得で加速度が上昇し、90レベル時で約20%ほど詠唱時間、オートアタックの速度が上昇する。

■〈マインドボルト〉

攻撃魔法:魂と肉体に同時にダメージを与える青白い燐火を放って敵を攻撃する精神属性の単体攻撃魔法。与えるダメージは低いが、命中すると対象のMPをわずかに減少させる付属効果がある。
〈付与術師〉の攻撃魔法としてはまずまずの性能を誇るが、付属効果が地味で、「これを使うなら他の支援系魔法を」と期待される場面が多いために影が薄い特技。

■〈マインドショック〉

攻撃魔法・状態異常攻撃:対象の精神に衝撃を与える紫色の光弾を放つ精神属性の攻撃魔法。光弾は地面に着弾すると爆発し、周囲を巻き込む。範囲を対象に低いダメージを与え、命中率や回避率の低下を引き起こす惑乱のバッドステータスを与える。ダメージ源としては心もとないが、相対的に味方の攻撃力や防御力を増加させるのと同等の効果が期待できるため、乱戦における出会い頭の一撃に使用されることも多い。再使用規制時間は180秒ほどで、1戦闘中に多発できる特技ではない。

■〈マナチャネリング〉

その他・補助魔法:パーティ全員のMPをすべて吸収し、平均して返す。使用するとパーティ全体を黄色い光の帯が繋ぐエフェクトが発生する。回復魔法と比較して「リソースを回復するわけではない」魔法であるため、使いどころが理解しづらい特技として知られている。だが、パーティにおけるリソース消費ペースの調整を個々のプレイヤーのテクニックに依存せず行えるため、高難度クエストに積極的に参加するプレイヤーからの評価は高い。「戦士職や回復職ばかりMPを使い尽くして、魔法攻撃職や武器攻撃職のMPはまだたっぷり残っているのに回復や防御が追いつかずに全滅」といった事態を避けることができるこの特技の価値は、ぎりぎりの戦いでこそ輝くのである。

■〈マナトランス〉

その他・補助魔法:自らのMPを時間差でパーティーの仲間にうつす呪文。熟練度が低い場合転移量の30%ほどがロスになるが、熟練度を上げることでロスは軽減される。詠唱時間は短く、再使用規制時間も90秒とさほど重くはないために、その気になれば常用できる。〈付与術師〉の最大MPは12職でも最大に近いため供給を受けた側は急場をしのげるが、調整する側の〈付与術師〉は先を見通す戦術眼が要求される。

■〈メイジハウリング〉

攻撃補助魔法:自身の魔法を強化する補助魔法。効果時間中に唱える魔法に追加ダメージを付与する。この追加ダメージは敵の防御力を無視する特性があり、ヒットさえすれば元の魔法でダメージを与えられなかったとしても効果がある。もちろん、単純な火力の底上げとしても有用で、特に1回のスキル使用で連続ヒットが発生する魔法と併用すると追加ダメージが複数回発生し、効果が跳ね上がる。使用中は、使用者が魔法をヒットさせた直後に火花が飛び散るエフェクトが追加される。

■〈リフレックスブースト〉

防御補助魔法:味方単体の回避力を上昇させる補助魔法。上昇量は系統上位特技を取得するにつれて強化されていく。〈大災害〉後は回避率ステータスに比例した自動回避動作はなくなったが、攻撃を意識してから体が動くまでの反応速度に補正がある。

◆資料集未記載の特技

■〈アンドゥ〉

状態異常の付与術式を反転させて行使し、仲間の不調を回復する魔法。

■〈ヴィガーエンハンス〉

Vigor Enhance(直訳:活力増幅)。

■〈ゲイジングアイ〉

トグル式:敵の弱体化を強化するトグル式の特技。この特技効果をオンにしている最中は状態異常を付与する各種魔法が強化され、追加ダメージを与えられるようになる。また、〈ソーンバインドホステージ〉や〈ブラックアウト〉のように直接はダメージを与えることのない状態異常付与魔法であっても、命中時に追加ダメージを発生させることが可能になるため、低くなりがちな〈付与術師〉の火力を底上げしてくれる。ただし、頭部装備をしている場合はこの特技の効果を得ることは出来ない。アイテムスロット1個分の性能は小さいわけではなく、特にそれはレイドプレイヤーなどのアイテム資産の多いキャラクターほど顕著であった。しかし一方で、敵の弱体化をそこまで望むのもまたレイドプレイヤーであり、このジレンマには多くの〈付与術師〉が苦しむことになる。

■〈サステナー・スタイル〉

支援魔法を手製の護符や指輪などに付与して維持する戦闘スタイル。
これにより通常より多くの魔法を同時に維持できる。

■〈スピニングフェイト〉

運命の車輪を少しだけ巻き戻し、不運や不幸を少しだけ遠ざける特技。

■〈ソウルウェポン〉

攻撃補助魔法。

■〈トゥルーガイド〉

防御突破能力を上昇させ攻撃を支援する照準を仲間の眼前に生み出し、正確な攻撃を行わせる補助魔法。

■〈ブラックアウト〉

補助魔法・行動阻害:敵の抱えた不調を増幅し、対象を無力化する精神属性の単体補助魔法。対象を包み込むように薄い闇の帳が発生した後、体の中心点に向かって集束してゆく。ダメージこそ発生しないが、命中するとごく短時間、敵の意識を失わせ、朦朧状態にすることで動きを止める。さらに、あらかじめなんらかの状態異常を付与しておくことで、そのまま即死させることも可能になるのがこの魔法の大きな特徴。また、詠唱時間、再使用規制時間ともに短く、発生する敵愾心も低いので他の行動の合間にはさむように使用していける。術師より格上の強敵に対してはこの効果は無効となってしまうため実用性は低く思われがちだが、逆にレベル差が大きい弱敵に対してはほぼ確実に即死させられるため、手下を多数引き連れたボスエネミーとの戦闘などで真価を発揮する魔法といえる。

■〈プリズマイズ〉

魔力を様々な性質に変化させ、使い慣れた魔法の属性や特性を変化させる特技。

■〈マナサイフォン〉

自身のMPを仲間に渡す補助魔法。

■〈マナリーク〉

循環しだした魔力の経路にヒビを入れて漏出させ、敵の得ようとした有利な効果を不発に終わらせる魔法。


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最終更新:2020年10月01日 08:32
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*1 90レベル到達者でも一般的な冒険者では一つ下の奥伝を集めるのが手一杯という点に注意。また、秘伝にするためのアイテムはレイド報酬のため入手難度が高いかお金がかかかる。レイドに参加しまくりの冒険者でもキャラクターデザインの関係で秘伝は4つが限界