総括所見:フィジー(第2~4回・2014年)


CRC/C/FJI/CO/2-4(2014年10月13日)/第67会期
原文:英語(平野裕二仮訳)

I.序

1.委員会は、2014年9月4日および5日に開かれた第1909回および1910回会合(CRC/C/SR.1909 and 1910参照)においてフィジーの第2回~第4回統合定期報告書(CRC/C/FJI/2-4)を検討し、2014年9月19日に開かれた第1929回会合において以下の総括所見を採択した。
2.委員会は、締約国における子どもの権利の状況についての理解を向上させることを可能としてくれた、締約国の第2回~第4回統合定期報告書(CRC/C/FJI/2-4)および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/FJI/Q/2-4/Add.1)の提出を歓迎する。しかしながら委員会は、報告書の提出が遅れたことを遺憾に思うものである。委員会は、締約国のハイレベルな部門横断型代表団との間に持たれた率直かつ建設的な対話について評価の意を表する。

II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展

3.委員会は、とくに以下の立法措置がとられたことを歓迎する。
  • (a) フィジー憲法(2013年)。
  • (b) 子ども福祉令(2010年)。
  • (c) 犯罪令(2009年)。
  • (d) 家族間暴力令(2009年)。
  • (e) 婚姻法(改正)令(2009年)。
  • (f) 雇用関係規則(2007年)。
  • (g) 刑事施設および矯正法(2006年)。
  • (h) 家族法(2003年)。
  • (i) 出入国管理法(2003年)。
4.委員会は、以下の文書が批准されたことに評価の意とともに留意する。
  • (a) 国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)(2012年4月)。
  • (b) ジュネーブ諸条約の第I、第IIおよび第III追加議定書(2008年7月)。
  • (c) タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約(2003年10月)。
  • (d) 就業が認められるための最低年齢に関する国際労働機関条約(1973年、第138号)(2003年1月)。
  • (e) 最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する国際労働機関条約(1999年、第182号)。
  • (f) 国際刑事裁判所ローマ規程(1999年11月)。
  • (g) 国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ条約(1980年)(1999年3月)。
5.委員会は、とくに以下の制度上および政策上の措置を歓迎する。
  • (a) 学校基準監視査察政策(2014年)。
  • (b) 子どもの健康政策・戦略(2012~2015年)。
  • (c) 学校における子どもの保護政策(2012年)。
  • (d) 乳幼児期教育政策(2011年)。
  • (e) 障害とともに生きている人に関する国家政策(2008~2018年)。

III.主要な懸念領域および勧告

A.一般的実施措置(条約第4条、第42条および第44条(第6項))

委員会の前回の勧告
6.締約国の第1回報告書に関する委員会の総括所見(1998年、CRC/C/28/Add.7)を実施するために締約国が行なった努力は歓迎しながらも、委員会は、そこに掲げられた勧告の一部について十分な対応がとられていないことに、遺憾の意とともに留意する。
7.委員会は、締約国に対し、条約に基づく第1回報告書に関する総括所見の勧告のうち十分に実施されていないもの(とくに資源配分、データ収集、出生登録、体罰、性的虐待および障害のある子どもに関連するもの)に対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。
包括的な政策および戦略
8.委員会は、締約国が、子どもに関する包括的な国家的政策および戦略を策定していることを歓迎する。しかしながら委員会は、当該戦略がまだ草案段階であることを懸念するものである。
9.委員会は、締約国に対し、戦略が時宜を得た形で採択するようにするためにあらゆる必要な措置をとるとともに、その実施を促進するために十分な人的資源、技術的資源および財源が配分されることを確保するよう、奨励する。
調整
10.委員会は、国家子ども調整委員会(NCCC)が関連省庁の常駐書記官から構成される予定である旨の締約国の説明を歓迎するものの、内閣がまだ当該体制を承認していないことに留意する。委員会は、現在のところ、とくに有効性を欠いた体制および資金の不十分さによってNCCCの有効性が阻害されていることに、懸念とともに留意するものである。
11.委員会は、締約国が、調整に関するNCCCの責任を強化し、かつこの新体制が速やかに承認されるようにするためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。委員会は、NCCCに対し、その効果的運用のために必要な人的資源、技術的資源および財源が提供されるべきことを勧告するものである。
資源配分
12.2014年予算で子どもの保護のためのプログラムに財源が配分されたことは歓迎しながらも、委員会は、条約実施のための他の予算科目が特定されていないことに、懸念とともに留意する。
13.子どもの権利のための資源配分――国の責任」に関する2007年の一般的討議に照らし、かつ条約第2条、第3条、第4条および第6条を強調しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 条約の実施をとくに目的とした国家予算を採択し、当該予算がすべての年齢の、両性のおよびあらゆる社会経済的背景を有する子どものためであることを確保し、かつ、被害を受けやすい状況に置かれた子ども(とくにマイノリティ集団の子どもおよび障害のある子ども)のための戦略的予算項目を定めること。
  • (b) 資源配分の十分性、効率性および公平性を恒常的に評価する目的で評価および監視のための機構を設置すること。
データ収集
14.委員会は、条約の多くの分野について信頼できる細分化されたデータが存在せず、かつ、条約の実施に関連する政策およびプログラムの効果を体系的に評価するいかなる機構も設置されていないことを遺憾に思う。
15.子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)に照らし、委員会は、締約国に対し、包括的なデータ収集システムを確立するためにあらゆる必要な措置をとるよう促す。すべての子ども(とくに、被害を受けやすい状況に置かれた子ども)の状況についての分析を容易にするため、データは、条約の全分野を網羅し、かつ年齢、性別、地理的所在、民族的出身および社会経済的背景別に細分化されるべきである。さらに委員会は、データおよび指標が関連省庁の間で共有されるべきことを勧告する。
独立の監視
16.委員会は、新たな人権・反差別委員会が設置される予定である旨の情報を歓迎する。しかしながら委員会は、フィジー人権委員会の子どもの権利担当官の官位が、資源上の制約のために2年間空席となっていることに、懸念とともに留意するものである。さらに委員会は、委員会に配分される資源が不十分であるためにその効率性が阻害されているという報告があることを懸念する。
17.子どもの権利の促進および保護における独立した人権機関の役割についての一般的意見2号(2002年)に照らし、委員会は、締約国が、新たな人権・反差別委員会を設置するプロセスを速やかに進めるとともに、この新たな委員会および当面の間はフィジー人権委員会が全面的に機能すること(人権侵害の訴えを調査する任務を含む)を確保するためにあらゆる適切な人的資源、技術的資源および財源を配分するよう、勧告する。とくに委員会は、締約国に対し、フィジー人権委員会内であるか新たな委員会内であるかにかかわらず、子どもの権利担当官をあらためて任命するための速やかな措置をとるとともに、当該担当官に対し、あらゆる必要な人的資源、技術的資源および財源を提供するよう促すものである。子どもの権利担当官は、子どもによる苦情を子どもにやさしいやり方で受理し、調査しかつこれに対応し、被害者のプライバシーおよび保護を確保し、かつモニタリングおよびフォローアップのための措置をとることができるべきである。
普及および意識啓発
18.委員会は、条約の規定に関する意識を高めるために締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、条約がまだすべての地方言語に公式に翻訳されておらず、かつ、キャンペーンを含む意識啓発プログラムにおいて外洋諸島および遠隔地のコミュニティが対象とされていないことに、懸念とともに留意するものである。
19.委員会は、締約国が、条約および委員会の総括所見を国全体で体系的に普及しかつ促進するための努力をさらに強化するよう勧告する。その際、とくに以下の点に焦点が当てられるべきである。
  • (a) 条約、総括所見および一般的意見が締約国のすべての地方言語に翻訳されることを確保すること。
  • (b) さまざまなコミュニティの子どもにとくに合わせた広報資料、ならびに、親向けおよび子どもとともにまたは子どものために働くすべての専門家向けの広報誌資料を配布すること。
  • (c) 外洋諸島および孤立したコミュニティを含む地方コミュニティにおいて、意識啓発プログラムの組織化および実施に関して地方政府機構と緊密に協力すること。
  • (d) インターネットおよび地方言語ラジオ局を通じてメディアの意識を増進すること。

B.子どもの定義(条約第1条)

20.委員会は、締約国が、婚姻法(改正)令(2009年)を通じて女子の婚姻年齢を16歳から18歳に引き上げ、男子と同一としたことを歓迎する。しかしながら委員会は、憲法で子どもが18歳未満の者と定義されているにもかかわらず、締約国の法律に、まだ条約と全面的に一致していないものがあることを懸念するものである。
21.委員会は、締約国が、子どもの定義に関する国内法を自国の憲法と、ひいては条約と全面的に調和させるよう勧告する。

C.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条)

差別の禁止
22.差別を禁ずるいくつかの法律が存在することは歓迎しながらも、委員会は、民族的マイノリティの子ども、HIV/AIDSとともに生きている子どもおよび障害のある子どもがしばしばスティグマおよび差別に直面していることに、深刻な懸念とともに留意する。さらに、締約国が初めて定めた国家ジェンダー政策(2014年4月1日)は歓迎しながらも、委員会は、家父長制的な態度、ジェンダー役割についての深く根差した見方、ならびに、家庭およびコミュニティにおいて女子を差別する現行法令が蔓延していることを深く懸念するものである。
23.条約第2条に照らし、委員会は、締約国に対し、すべての子どもが、いかなる理由に基づく差別もなく、条約に基づく平等な権利を享受できることを確保するとともに、この目的のため、以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 法律上および事実上の差別を解消するための包括的戦略を採択しかつ実施するとともに、人種、性、障害およびHIV/AIDSに感染していることまたはそのように見なされることを理由とするあらゆる形態の差別をとくに禁止する法律を制定すること。
  • (b) すべての年齢層の住民を対象とした、障害のある子どもおよびHIV/AIDSとともに生きている子どもの状況に関する広報キャンペーンを確立すること。
  • (c) 女子を差別し、かつその人格、才能ならびに精神的および身体的能力を最大限可能なまで発達させることを阻害する可能性がある否定的な態度および慣行ならびに深く根差したステレオタイプを解消するための包括的戦略の策定および明確な達成目標の設定を、新たな政策に基づいて進めること。
  • (d) 前述の措置に関して、差別を受けるおそれがある、あらゆる社会経済的、民族的および地理的背景の子どもと協議し、かつその関与を得るとともに、社会的および文化的変革、ならびに、平等を促進しかつ可能性を開花させる環境づくりを促進するために社会のあらゆる層の関与を得ること。

D.市民的権利および自由(第7条、第8条および第13~17条)

出生登録/名前および国籍
24.委員会は、出生登録に取り組むために締約国が行なっている努力を歓迎するとともに、新憲法で出生登録および市民権に対する権利が保障されていることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、出生登録がまだ無償ではないこと、および、登録の遅れが手数料によって処罰されることを遺憾に思うものである。委員会はさらに、この2年間、とくに離島において出生登録率が低下しているという報告があることを懸念する。
25.委員会は、新生児を登録する両親の義務に関する意識啓発キャンペーンを開始するべきである旨の前回の勧告(CRC/C/15/Add.89、パラ35)をあらためて繰り返す。委員会はさらに、その際、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。
  • (a) 登録料(登録が遅れた場合の手数料を含む)が恒久的に廃止されることを確保するためにあらゆる必要な措置をとること。
  • (b) 遠隔地におけるおよびマイノリティ集団の子どもの出生登録を増加させるための措置を引き続き発展させる等の手段により、出生登録に関わる懸念が依然として深刻な子どもの集団に特段の焦点を当てること。
26.委員会は、市民令第7条で、フィジーで遺棄されているのを発見されたいかなる乳児も、反証がないかぎりフィジーで出生したものとみなすと規定されていることに留意する。しかしながら委員会は、この規定により、フィジーで出生したのではないことが証明されたものの、にもかかわらず国籍を定めることのできない子どもが無国籍となるおそれが生じかねないことを懸念するものである。
27.委員会は、締約国が、フィジーで遺棄されているのを発見された子どもが無国籍にならないようにするため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。さらに委員会は、締約国が、無国籍の削減に関する条約(1961年)の批准を検討するよう勧告するものである。

E.子どもに対する暴力(第19条、第24条(第3項)、第28条(第2項)、第34条、第37条(a)および第39条)

あらゆる形態の暴力からの子どもの自由
28.委員会は、家族間暴力令が採択されたことに評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、女子に対して向けられる家族間暴力、および、女性に対して向けられ、ひいてはその子どもに影響を及ぼす家族間暴力の発生率が高いことを深く遺憾に思うものである。これとの関連で、委員会はさらに、女子および女性に対する行為の加害者が訴追された際、ブルブルのような伝統的謝罪が、実務上、刑を言い渡す前に情状酌量の要素として考慮される場合があるという締約国の説明について、深刻な懸念を覚える。
29.委員会は、締約国に対し、家族間暴力を処罰する法律の強化および全面的実施を図り、かつ、伝統的謝罪がいかなる状況下でも情状酌量の要素として認められないことを確保するよう、促す。委員会はまた、締約国に対し、態度の変革を図り、かつ女子および女性に対して家族間暴力を通報するよう奨励するためにあらゆる必要な措置(意識啓発キャンペーンを含む)をとるとともに、以下の措置をとるよう促すものである。
  • (a) 女性および子どものための、統合的なカウンセリングサービスを備えた十分な数のシェルターを(遠隔地も含めて)設置するとともに、これらのシェルターに十分な人的資源、技術的資源および財源を提供すること。
  • (b) 女性および子どものためのシェルターを提供している市民社会組織と、引き続き緊密に協力すること。
  • (c) 虐待を行なうパートナーであって家族の稼ぎ手であった者から逃げてきた女性が、子どもおよび自分自身のための金銭的支援にアクセスできることを確保すること。
体罰
30.委員会は、体罰からの保護が憲法で定められていることを歓迎するとともに、「合理的な罰を科す」教員の権利のもとで体罰の使用を法的に正当化している少年法第57条が現在見直しの対象とされていることに留意する。さらに委員会は、家庭、代替的養護現場および保育における体罰が明示的に禁じられていないことに、深刻な懸念とともに留意するものである。
31.体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての一般的意見8号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、体罰に代わる手段として積極的な、非暴力的なかつ参加型の子育てならびにしつけおよび規律の維持を促進するよう促すとともに、さらに、体罰を法律によって包括的に禁ずること、および、体罰の悪影響に関する意識を喚起し、かつ学校、家庭および施設ケアにおける規律の維持およびしつけが子どもの尊厳に一致する方法で行なわれることを確保するための措置をとることを求めた前回の勧告(CRC/C/15/Add.89、パラ36)をあらためて繰り返す。締約国はさらに、すべての教育者および教員を対象とした、子どもの権利に関する定期的な義務的研修を確立しなければならない。
性的搾取および性的虐待
32.委員会は、検事総長事務所が2010年に子ども保護部(2009年)〔原文ママ〕を創設したこと、ならびに、通報およびフォローアップのための制度「沈黙の壁を打破する」が創設されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、組織化された児童買春ネットワークおよび売春宿等を通じ、締約国で子どもの性的搾取および性的虐待が蔓延していることに、このうえない懸念とともに留意するものである。さらに、委員会は以下のことを著しく懸念する。
  • (a) ブルブルのような伝統的謝罪が被害賠償として用いられており、かつ、実務上、性犯罪に関する情状酌量の要素としてブルブルが用いられる可能性があること。
  • (b) 子どものニーズを考慮した専門サービスが容易に利用可能とされておらず、男子のためのサービスがほぼ存在しておらず、かつ、法律扶助が限定的であり、必要なすべての者に利用可能とされているわけではないこと。
  • (c) 女子に対する性犯罪に対応する、実働可能なかつ訓練を受けた警察官(最前線の女性警察官を含む)がとくに農村部において存在せず、かつ、事件の秘密保持が十分に行なわれていないこと。
  • (d) 性的虐待および性的搾取が(とくに女子の性格または慎みに「問題がある」と考えられるときに)社会によって犯罪とみなされないことが多く、かつ、性的搾取について、加害者ではなく女子が、加害者の関心を惹いたとして非難されることがしばしばあること。
  • (e) 性暴力および性的虐待について声をあげることが、被害者、家族および加害者を辱め、かつ被害者が女子である場合にはその「経済的価値の低下」につながるとして一般的に否定的にとらえられていることから、性的虐待および性的搾取がしばしば通報されないままとなっていること。
  • (f) 子どもに対して金を稼がなければならないという圧力がかけられていることから、子どもの性的搾取が貧困と緊密に結びついていること。
33.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) ブルブルのような伝統的謝罪が、子どもの性的虐待および性的搾取についての情状酌量の要素としても被害賠償としても用いられないことを確保し、かつ、全件訴追方針の実施をさらに強化する目的で、法律を改正し、かつ意識啓発キャンペーンを確立すること。
  • (b) 子どもの商業的性的搾取に反対する一連の世界会議で採択された成果文書にしたがい、適切な支援サービスを提供するとともに、防止、被害を受けた子どもの回復および社会的再統合のためのプログラムおよび政策の策定および実施を確保すること。
  • (c) 性的搾取の被害者に対する非難と闘うための意識啓発キャンペーンを実施するとともに、法執行官、ソーシャルワーカー、裁判官および検察官を対象として、秘密保持を尊重する子どもに配慮したやり方で苦情申立てを受理し、監視しかつ調査する方法についての研修を実施し、かつ、最前線で働く十分な人数の女性警察官の養成を確保すること。
  • (d) 子どもの性的搾取、および、子どもが性産業に従事させられることに関連する重大な危険性についての意識啓発キャンペーンを実施するとともに、性的搾取の根本的原因の一部に対処することも目的として、貧困対策プログラムを実施すること。
ヘルプライン
34.委員会は、締約国が、計画されているチャイルド・ヘルプラインの開設を速やかに進めるとともに、当該ヘルプラインが24時間運用のフリーダイヤルサービスとされ、かつ十分な訓練を受けた十分な人数の職員が配置されることを確保するよう、勧告する。さらに委員会は、締約国が、介入およびフォローアップを可能とする目的でヘルプラインと国のパートナー(警察、保健制度および社会福祉制度など)および市民社会との協力を促進し、かつ、このヘルプラインを締約国全域のすべての子どもに周知するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告するものである。

F.家庭環境および代替的養護(第5条、第9~11条、第18条(第1項および第2項)、第20条、第25条および第27条(第4項))

家庭環境を奪われた子ども
35.委員会は、施設養護最低基準の実施の監視が限定的であること、および、ホームの運営に関して社会福祉・女性・貧困緩和省が困難に直面しているためにこのようなサービスの外部委託につながっている旨の報告があることを、遺憾に思う。
36. 子どもの代替的養護に関する指針(総会決議64/142付属文書)に対して締約国の注意を喚起しつつ、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 里親養育および施設への子どもの措置が定期的に再審査されることを確保するとともに、子どもの不当な取扱いの通報、監視および是正のためのアクセスしやすい回路を提供する等の手段によってこれらの養護の質を監視し、かつ、その一方で、入所ホームに対して十分な人的資源、技術的資源および財源が確実に配分されるようにすること。
  • (b) 社会福祉・女性・貧困緩和省に対し、入所ホームを効果的に運営し、かつその監視を行なうために必要な資源を提供する目的であらゆる適切な措置をとること。
養子縁組
37.委員会は、養子縁組令の草案において、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関する1993年5月29日のハーグ条約と国内法との整合性の確保が図られていることに留意する。しかしながら委員会は、同草案が2012年6月以降、内閣の承認待ちとなっていることを遺憾に思うものである。さらに、委員会は以下のことを懸念する。
  • (a) 養子縁組の監視を公式に担当する国内当局が設けられていないこと。
  • (b) 子どもが、公式な手配を通じて養子にされる場合と同一の保護を保障されない非公式な手配を通じて養子とされる、非公式な国内家族間養子縁組の慣行が続けられていること。
  • (c) この5年間に中国、インドおよびパキスタン出身の子どもの養子縁組が増加しており、適切な監視またはフォローアップが行なわれていない旨の報告があること。
38.委員会は、締約国が、養子縁組に関する規則および手続を見直し、それらが条約と全面的に一致することを確保するとともに、とくに以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 養子縁組草案の採択を速やかに進めるとともに、国際養子縁組に関する他国との二国間取決めを強化すること。
  • (b) 非公式な養子縁組を監視するための措置をとり、かつ効果的に実施するとともに、すべての養子縁組が、明確な権限を与えられた中央当局によって裁判所の許可の対象とされ、かつ十分にフォローアップされることを確保すること。
  • (c) 養子とされた子どもに関する、年齢、性別および出身別に細分化されたデータを収集する中央集約型のシステムを設置すること。
  • (d) 養子縁組事件を担当するすべての専門家を対象として、事案の評価、審査および処理のために必要な研修を実施すること。

G.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条(第3項)、第23条、第24条、第26条、第27条(第1~3項)および第33条)

障害のある子ども
39.委員会は、障害のある人の権利の保護に関する2013年憲法の規定およびインクルーシブ教育政策(2010年)ならびに障害令草案(2013年)を歓迎する。しかしながら委員会は、障害のある子どもがしばしば差別および排除に直面していることに大いなる懸念とともに留意し、かつ、さらに以下のことを遺憾に思うものである。
  • (a) 障害のある子どもがしばしば極度の貧困に直面していること、ならびに、障害のある子どもが保健サービス、教育サービスおよび社会サービスに効果的にアクセスできることを確保し、かつこれらの子どもの社会への全面的インクルージョンを促進するために締約国がとっている措置が不十分であること。
  • (b) 障害のある子ども(とくに女子)が、買春を含む性的搾取および性暴力の被害をいっそう受けやすい状況に置かれていること。
  • (c) 障害のある子どもを対象とした特別学校がインクルーシブ教育よりも優先されており、かつ、障害のある子どものための中等段階の教育が行なわれていないこと。
  • (d) 障害のある子どもとともにおよびこのような子どもとともに働く、十分な訓練を受けた専門家の人数が不十分であるとともに、フィジー早期介入センターでは発話障害が主たる機能障害であるのに同国に言語療法士がいないこと。
40.障害のある子どもの権利についての一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、障害に対して人権基盤型アプローチをとるよう促すとともに、具体的には以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 障害のあるすべての子ども(精神障害、発話障害、聴覚障害および視覚障害のある子どもを含む)が十分な金銭的支援を受けられることを確保するとともに、とくに遠隔地の子どもに焦点を当てながら、障害のある子どもが十分な社会サービスおよび保健サービスに平等にアクセスできることを確保するための予算配分を増額すること。
  • (b) 障害のある子どもが直面している暴力および性的搾取のおそれに関する意識を高めるとともに、コミュニティ、家庭および施設現場における障害のある子どもの保護を増進させるためにあらゆる必要な措置をとること。
  • (c) インクルーシブ教育の発展が特別学校における教育よりも優先されることを確保し、かつ当該方針にしたがって教員の養成および研修を進めるとともに、障害のある子どもが中等教育に全面的にアクセスできるようにすること。
  • (d) とくに遠隔地において、必要なすべての専門職を利用できるようにするためにいっそうの努力を行ない、かつ、この点に関する人的資源、技術的資源および財源の配分を増やすこと。
健康および保健サービス
41.委員会は、5歳未満児死亡率、乳児死亡率および妊産婦死亡率の低下を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国が、この点に関する2015年までのミレニアム開発目標をまだ達成していないことに、懸念とともに留意するものである。委員会はさらに、乳児死亡率および5歳未満児死亡率に関して地域格差があり、とくに村が遠隔地にあることおよび容易にアクセスできる保健サービスがないために東部地域および北部地域で5歳未満児死亡率が相当に高くなっていることを遺憾に思う。
42.到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) とりわけ、とくに遠隔地における予防措置および治療(予防接種の実施ならびに栄養および衛生条件の向上を含む)に焦点を当てることにより、5歳未満児死亡率をさらに削減するための努力を強化すること。
  • (b) 助産師の養成および研修の機会を増やし、かつ、分娩後出血および他の主要な妊産婦の死因を予防するための具体的措置が一般化されることを確保する等の手段により、産前ケアを向上させ、かつ妊産婦の死亡をさらに少なくするための努力を強力に進めること。
  • (c) 都市部/農村部の格差に特段の注意を払うとともに、すべての子どもが、遠隔地および農村部も含めて保健サービスへの同一のアクセスおよび同一の質の保健サービスを享受できることを確保し、かつ、サービスへのアクセスに関する格差を縮小するために具体的措置をとること。
  • (d) この点に関して、とくに国際連合児童基金(ユニセフ)および世界保健機関の金銭的および技術的援助を求めること。
精神保健
43.委員会は、国家自殺防止委員会の設置、国家自殺防止施策(2008年)、および、とくに主要な3か所の病院にストレス管理サービスを設置するとした精神保健令(2010年)など、締約国がとった制度上、政策上および立法上の措置を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国内の子どもの間で自殺行動が増加していることを遺憾に思い、かつ、さらに以下のことを懸念する。
  • (a) ストレス管理サービスにおいて、子どものニーズにも対応するための具体的態勢が整えられていないこと。
  • (b) 自殺が子どもについての重大な健康上の懸念であると考えられているにもかかわらず、いまのところ、子どもを対象とした、専用のかつ広く利用可能な、専門家によるカウンセリングサービスが設けられていないこと。
  • (c) 自殺を図る危険性がもっとも高いと考えられているのがインド系フィジー人であること。
44.委員会は、締約国に対し、自殺行動の効果的防止を確保する目的で、子どもの間に存在する自殺リスク要因(抑うつの根本的原因を含む)についての調査研究を実施するとともに、当該調査研究の結果を活用して、とくに子どもを対象とした包括的なサービスシステム(ストレス管理サービスならびに精神保健促進活動および防止活動を含む)を発展させるよう、促す。さらに委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。
  • (a) とくに遠隔地の子ども、貧困下で暮らしている子ども、路上の状況にある子ども、学校に行っていない子どもおよび家庭外で養護されている子どもを含むすべての子どもが、ソーシャルワーカーおよび心理カウンセリングサービスに平等にアクセスできることを確保すること。
  • (b) これらの措置をとるにあたり、インド系フィジー人の子どもに特段の注意を向けること。
有害慣行
45.委員会は、とくにインド系フィジー人コミュニティにおいて、15歳の女子の斡旋婚が蔓延していることを非常に懸念する。
46.委員会は、締約国が、早期婚および強制婚の犯罪化および訴追を確保するために法改正を行なうとともに、早期婚および強制婚の有害な影響に関する意識啓発プログラムおよび教育プログラムを開始するよう勧告する。
思春期の健康
47.思春期の健康発達クリニックによる取り組みおよび家庭生活教育に関する教員研修を通じた取り組みの双方によって、子どもにセクシュアル/リプロダクティブヘルスについて情報を提供するためにとられた措置は認知しながらも、委員会は、10代の妊娠率が高いことを非常に懸念する。
48.子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達についての一般的意見4号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 思春期の子どもを対象とする包括的なセクシュアル/リプロダクティブヘルス政策を採択するとともに、セクシュアル/リプロダクティブヘルス教育が、若年妊娠および性感染症の予防にとくに注意を払いながら、学校の必修カリキュラムの一部とされ、かつ思春期の女子および男子を対象として行なわれることを確保すること。
  • (b) 妊娠した10代、思春期の母親およびその子どもの権利を保護し、かつこれらの女子および子どもに対する差別と闘うための政策を策定しかつ実施すること。
  • (c) 男子および男性にとくに注意を払いながら、責任のある親としてのあり方および性的行動についての意識を高め、かつそのようなあり方および行動を促進するための措置をとること。
HIV/AIDS
49.抗レトロウィルス薬の無償供給または「フィジー国家HIV/AIDS戦略計画(2007~2011年)」など、HIV/AIDSの蔓延を抑制するために締約国が行なっている努力および取り組みは歓迎しながらも、委員会は、HIV〔陽性〕と診断される若者の率が着実に高まっていることを著しく懸念する。
50.HIV/AIDSと子どもの権利に関する一般的意見3号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 予防および保護の方法(より安全なセックスの実践方法を含む)に関する情報および資料を公衆(とくに思春期の子ども)に対して普及すること。
  • (b) 早期診断および早期の治療開始を確保するため、HIV/AIDSに感染している母親およびその子どものフォローアップ治療を向上させること。
  • (c) 質が高く、かつ年齢にふさわしいHIV/AIDSおよびセクシュアル/リプロダクティブヘルス関連サービスへのアクセスを向上させること。
  • (d) とくに国連エイズ合同計画(UNAIDS)およびユニセフの技術的援助を求めること。
薬物および有害物質の濫用
51.委員会は、フィジー警察が、教育省に設けられた国家有害物質濫用諮問審議会と協力しながら専門の薬物対策部を設置したこと、および、同審議会が学校でキャンペーンを組織していることに、肯定的対応として留意する。しかしながら委員会は、マリファナ、エクスタシー、スピードおよびコカインなどさまざまなタイプの薬物の使用ならびにシンナーの吸引が子どもの間で増えていることを遺憾に思うものである。
52.委員会は、締約国が、とくに子どもおよび青少年に対して有害物質濫用の防止に関する正確かつ客観的な情報およびライフスキル教育を提供することにより、子どもおよび青少年による薬物の使用の発生に対処するとともに、子どもおよび若者を対象とした、アクセスしやすく若者にやさしい薬物依存治療およびハームリダクション(危害軽減)のサービスを発展させるよう、勧告する。
母乳育児
53.母乳育児を促進し、かつ「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を実施するためにとられた措置は歓迎しながらも、委員会は、締約国が、同基準を監視するいかなる機構も導入していないことを懸念する。さらに、委員会は以下のことを懸念するものである。
  • (a) 生後6か月までの子どものうち完全母乳育児を受けていない子どもの人数が多いこと。
  • (b) 適切な母乳育児のやり方に関する知識が広がっていないこと。
  • (c) 乳幼児への栄養補給に関する包括的政策が定められていないこと。
54.委員会は、締約国が、新生児室のあるすべての病院について「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」の十分な実施の監視が定期的に行なわれることを確保するとともに、以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 母乳育児の重要性および人工栄養のリスクに関する意識啓発を図ること。
  • (b) 適切な母乳育児のやり方を促進し、かつ、乳幼児への栄養補給に関する政策(乳児への栄養補給とHIVに関する政策を含む)を策定すること。
気候変動が子どもの権利に及ぼす影響
55.委員会は、国家気候変動政策の導入および国家気候変動調整委員会の設置を歓迎するとともに、さらに、子どもが気候変動および気候変動対策について学ぶ場を提供するための努力を締約国が強めていることを評価する。しかしながら委員会は、子どもたちが自己の意見を聴かれるようにし、かつ気候変動に関して行なわれる決定に貢献できるようにするためにとられている措置が不十分であることに、懸念とともに留意するものである。委員会は、気候変動が子どもおよびその家族(とくに、気候変動によって土地および淡水源の喪失または塩化が生じており、かつ農業および生計維持の機会が減少している、沿岸部および低地のフィジー人コミュニティで暮らしている子どもおよび家族)に及ぼす影響について著しい懸念を覚える。委員会はまた、子どもは大人よりも深刻な災害リスクに直面しており、かつ気候変動の被害もより受けやすいことを示す報告があることにも注意を喚起するものである。
56.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 気候変動および災害リスク管理の問題に対応する政策またはプログラムの策定において、子どもの特別な身体的および心理的脆弱性およびニーズならびに子どもの意見が考慮され、かつ、子どもが気候変動に関する政策対話に全面的に関与できることを確保すること。
  • (b) とくに外洋諸島において十分な量の安全な飲料水へのアクセスを増進させ、かつ十分な衛生設備を提供する目的で、安全な水の供給および衛生設備の持続可能性を確保するための国内法および国家的政策を完成させかつ実施すること。
  • (c) 気候変動の影響を受けている子どもおよび家族が質量ともに十分な支援を受けられることを確保するため、社会的保護制度を強化すること。
  • (d) 気候変動および自然災害に関する意識および備えを学校カリキュラムおよび教員養成・研修プログラムに編入することにより、この点に関する子どもの意識および備えを高めること。
  • (e) これらの勧告の実施に際し、二国間、多国間、地域的および国際的協力を求めかつ強化すること。
生活水準
57.委員会は、貧困緩和基金による住宅供給プロジェクトを歓迎するものの、町会および住宅公社が金銭的負担の可能な住宅の需要を満たせていないこと、および、貧しい家族が、保有権が不安定であり、かつ生活条件も劣悪である非公式な集住地に住む以外の選択肢を持てない状況にしばしば陥っていることに、懸念とともに留意する。委員会は、さらに以下のことを懸念するものである。
  • (a) 子どもの貧困率が高いことが、締約国における児童労働の最たる原因、学校中退の主たる理由、および、子ども(障害のある子どもを含む)がますます売春に従事させられやすくなることの主たる理由となっていること。
  • (b) 政府の福祉プログラムおよび貧困削減プログラムにおいて、同国でしばしばもっとも高い貧困水準にあるインド系フィジー人が十分に明確な対象とされていないこと。
  • (c) 障害のある人(とくに子ども)が貧困下で暮らすことになる危険性がきわめて高いこと。
58.委員会は、締約国が、経済的に不利な立場に置かれた家族に支援および物的援助を提供するためにあらゆる必要な措置をとるとともに、子どもの貧困に対応するための構造的変革を実施するよう勧告する。とくに以下の点に焦点を当てるべきである。
  • (a) 非公式な集住地に住んでいるすべての家族が、十分かつ金銭的負担の可能な住宅を提供され、かつ安全な飲料水および衛生設備にアクセスできることを確保するための措置を速やかにとること。
  • (b) インド系フィジー人コミュニティの子どもおよび障害のある子どもに特段の注意を払いながら、危険な状況に置かれているすべての家族および子どもがサービスに優先的にアクセスできることを確保すること。
  • (c) ソーシャルワーカーが、危険な状況に置かれた家族および子どもを特定し、社会制度を効果的に運用し、かつ、その実施のフォローアップおよびその影響の評価を行なうための十分な訓練を受けていることを確保すること。

H.教育、余暇および文化的活動(条約第28~31条)

教育(職業訓練および職業指導を含む)
59.教育省による授業料の援助、初等学校生徒を対象とする「子ども1人にラップトップ1台」プログラム、および、2014年予算に関する演説のなかで行なわれた首相の授業料無償教育宣言は歓迎しながらも、委員会は、制服、教科書および交通費のような間接的費用負担が部分的に残っていることが、家族がこれらの費用を負担できないために子どもが学校を中退することにつながっていることに留意する。さらに、委員会は以下のことを懸念するものである。
  • (a) 思春期の妊婦または母親がしばしば学校中退を強要されていること。
  • (b) 農村部の学校が、水、電気または通信手段にアクセスできない状況にしばしば直面していること。
  • (c) 教育制度が、太平洋地域で最善のもののひとつと考えられているにもかかわらず、コミュニティおよび労働力のニーズに十分に適合していないことから、締約国の学校を卒業した者の相当数が就労先を見つけられないこと。
60.教育の目的に関する一般的意見1号(2001年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 基礎教育および中等教育への予算配分額を増やし、かつ、すべての間接的費用負担および隠れた費用負担が解消されるようにすること。
  • (b) 10代で妊娠した女子および思春期の母親に対し、普通学校で教育を続けることに関する支援および援助が提供されることを確保すること。
  • (c) 効果的な学習環境を整えるために必要なインフラがすべての学校で整備されることを確保するため、十分な財政支援を配分すること。
  • (d) 教育プログラムおよび教育戦略の影響評価を実施するとともに、学校を卒業した者が国内求職市場の需要に備えられることを確保するための是正措置をとること。
61.委員会は、学校へのアクセスが向上し、通学のために子どもを大都市中心部に送り出す慣行が少なくなったことを歓迎するものの、このような慣行が根強く残っていることに留意する。
62.委員会は、締約国が、遠隔地における就学機会および交通サービスをさらに増やすよう勧告する。

I.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)、第38~40条)

子どもの庇護希望者および難民
63.委員会は、子どもの難民および庇護希望者の特有のニーズおよび脆弱性に対応する特別な規定が出入国管理法に存在せず、かつ、出入国管理法に家族再統合についてのいかなる規定も掲げられていないことを懸念する。
64.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 出入国管理法第6部を改正し、子どもの難民および庇護希望者を保護者の有無にかかわらず保護する特別規定を設けること。
  • (b) 出入国管理法に家族再統合に関する規定を導入すること。
経済的搾取(児童労働を含む)
65.委員会は、最低就労年齢を15歳とし、かつ18歳未満の子どもが危険な労働に従事することを禁じた雇用関係規則(2007年)に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、危険な労働の包括的リストが作成されていないことを遺憾に思うものである。さらに、委員会は以下のことについて重大な懸念を覚える。
  • (a) 締約国で多数の子どもが児童労働に従事しており、そのほとんどが、家事労働者、肉体労働者または農場労働者として、非公式な形で家族のために働いていること。
  • (b) 児童労働が増加しており、かつ、都市部への移住、貧困、ホームレスおよび親と離れての生活といった要因によってその状況が悪化していること。
66.委員会は、締約国に対し、児童労働の根本的原因に対処するためにあらゆる必要な措置をとるとともに、同時に、児童労働(インフォーマル部門および民間部門におけるものを含む)を根絶するための法的枠組みを実施しかつ強化するよう、促す。委員会はまた、締約国に対し、以下の措置をとることも促すものである。
  • (a) 雇用関係規則を補完するため、国際基準に一致した危険な労働の定義およびリストを含めること。
  • (b) 15歳以上の子どもが労働に従事する場合、それが真正な自由選択に基づくものであり、かつ条約および国際基準にしたがって十分な保障措置の対象とされることを確保すること。
  • (c) 十分な人数の労働査察官を雇用しかつ訓練するとともに、労働法の違反者について徹底的な捜査および断固とした訴追が行なわれること、ならびに、十分に効果的かつ抑止効果のある制裁が実際に科されることを確保すること。
  • (d) 児童労働についてのデータならびに危険な児童労働の発生件数および労働条件についてのデータを、年齢、性別、地理的所在および社会経済的背景ごとに細分化された形で収集するとともに、当該データを、あらゆる形態の児童労働を防止しかつ解消するための効果的な政策および戦略の策定のために活用すること。
  • (e) 家事労働者の適切な仕事に関する条約国際労働機関条約(2011年、第189号)を批准すること。
  • (f) この点に関して、国際労働機関・児童労働撤廃国際計画の技術的援助を求めること。
路上の状況にある子ども
67.委員会は、多くの子どもが、5歳という年齢から、路上で生活しかつ働き、家庭で生活しながら恒常的に路上で働き、または特定の季節(サトウキビ搾りのオフシーズンまたは学校休業期間など)に路上で働いていることに、深刻な懸念とともに留意する。委員会はさらに、以下のことを深く懸念するものである。
  • (a) 路上の状況にある子どもの多くが、市場の手押し車の押し手としてまたは靴磨きとして働いており、かつ、その相当数が買春、ポルノおよび性的人身取引の被害者となっていること。
  • (b) 養育者が子どもに路上で物乞いをさせる事案が起きていること。
68.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) この現象の根本的原因および規模を正確に把握する目的で、路上の状況にある子どもが置かれている環境についての体系的評価を実施するとともに、根本的原因に対処するための包括的政策を策定しかつ実施すること。
  • (b) 子どもの保護に関する法律、とくに親および養育者の責任に関する法律が常に実施されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとること。
  • (c) 市民社会と調整を図りながら、路上の状況にある子どもに対して必要な保護(栄養およびシェルター、家庭環境、十分な保健ケアサービス、通学の可能性ならびにその他の社会サービスへのアクセスを含む))を提供すること。
売買、取引および誘拐
69.委員会は、出入国管理局が2011年2月に発表した「フィジーにおける人身取引一般および子どもの人身取引を根絶するための国家行動計画」を歓迎する。しかしながら委員会は、人身取引の広がりの度合いおよび根本的原因ならびにこの点に関する法執行官の研修についての細分化されたデータおよび情報が存在しないことを遺憾に思うものである。委員会はさらに、以下の点について重大な懸念を覚える。
  • (a) 娘を婚姻相手として売り渡す慣行が家族の間で行なわれていること。
  • (b) 締約国が性的人身取引および強制労働の対象とされる子どもの送り出し国となっており、人身取引の被害者となった子どもが不法な売春宿、地元ホテル、私人宅ならびに農村部および都市部のその他の場所で搾取されていること。
  • (c) 子どもを大都市の親族または家族のもとに送り出して生活させる伝統的慣行が続いており、送り出された子どもが、家庭内で隷属させられるおそれ、または食料、衣服、宿泊もしくは授業料の対価として性的活動に従事することを強要される可能性があり、人身取引の対象とされる危険性が生じていること。
  • (d) 子どもの人身取引、とくに国際的人身取引を効果的に捜査しかつ訴追するための資源が存在しないこと。
70.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。
  • (a) 危険性の高い状況に置かれている子どもを特定し、かつ対象が明確化された政策およびプログラムを策定する目的で、締約国における子どもの人身取引(とくに性的搾取を目的とした子どもの人身取引)の根本的原因および規模についての調査研究を実施すること。
  • (b) 危険性の高い状況に置かれた層の間で人身取引の危険性(子どもを都市に送り出して生活させる慣行と子どもの人身取引との関係を含む)に関する意識啓発を図るとともに、家族および子ども(とくに、被害を受けやすい状況に置かれた子ども)を対象とした、自己防衛の方法に関する広報キャンペーンを発展させること。
  • (c) 子どもの人身取引事件の捜査、訴追およびフォローアップに配分される人的資源、技術的資源および財源を増やすとともに、この点に関して法執行官を対象とした専門の研修を実施すること。
  • (d) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書、および、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書の批准を検討すること。
少年司法の運営
71.委員会は、法律に抵触した子どもが置かれている状況について深刻な懸念を覚える。とくに、委員会は以下のことを遺憾に思うものである。
  • (a) 刑事責任に関する最低年齢が10歳という低さであること。
  • (b) 特別少年裁判所がある都市はスバだけであること。
  • (c) 罪を犯した少年に対して終身刑が科されていること。
  • (d) 刑務所の環境がとりわけ劣悪であり、国際基準に合致していないこと(とくに、過密であること、インフラが劣化していることおよび必須サービスが提供されていないこと)。
72.委員会は、締約国に対し、少年司法制度を、条約(とくに第37条、第39条および第40条)、その他の関連基準および少年司法における子どもの権利についての委員会の一般的意見10号(2007年)と全面的に一致させるよう促す。とくに委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。
  • (a) 刑事責任に関する最低年齢を、国際的に受け入れられる水準にまで引き上げること。
  • (b) 専門の少年裁判所施設を追加で設置し、かつ子どものための専門裁判官を指定するとともに、これらの専門裁判官が適切な教育および研修を受けることを確保すること。
  • (c) 条約第37条(a)にしたがい、子どもに対していかなる終身刑も科されないことを確保すること。
  • (d) 可能なときは常に、ダイバージョン、保護観察、調停、カウンセリングまたは地域奉仕のような拘禁に代わる措置を促進するとともに、拘禁が最後の手段としてかつ可能なもっとも短い期間で用いられること、および、拘禁がその取消しを目的として定期的に再審査されることを確保すること。
  • (e) 拘禁環境において国際基準が遵守されること(教育および保健サービスへのアクセスとの関連を含む)を確保すること。

J.国際人権文書の批准

73.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書、武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書および通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書ならびに同国がまだ当事国となっていないその他の中核的人権文書を批准するよう勧告する。

IV.実施および報告

A.フォローアップおよび普及

74.委員会は、締約国が、この総括所見に掲げられた勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 委員会はまた、第2回~第4回統合定期報告書、締約国の文書回答およびこの総括所見)を同国の言語で広く入手できるようにすることも勧告するものである。

B.次回報告書

75.委員会は、締約国に対し、第5回・第6回統合定期報告書を2020年9月11日までに提出し、かつ、この総括所見のフォローアップに関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。報告書は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)にしたがうべきであり、かつ21,200語を超えるべきではない(総会決議68/268、パラ16参照)。定められた語数制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲決議にしたがって報告書を短くするよう求められることになる。締約国が報告書を見直しかつ再提出することができないときは、条約機関による検討を目的とした報告書の翻訳は保障できない。
76.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された統一報告ガイドライン(HRI/GEN/2/Rev.6, chap. I)の共通コアドキュメントに関する要件にしたがい、最新のコアドキュメントを提出することも慫慂する。共通コアドキュメントの語数制限は、総会が決議68/268(パラ16)で定めたとおり、42,400語である。


  • 更新履歴:ページ作成(2017年3月12日)。