自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

380 外伝82

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匿名ユーザー

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終戦から数週間後、GHQの命令により各地にある飛行場に全ての飛空艇が集められた。稼働機や部品取りのために放置されていた機体、生産中の物まで全てだ。
評価試験のためにアメリカに接収される4機のケルフェラク―戦闘型、攻撃型、ケルフェラク改、竜母での運用を可能にした艦載型(注1)、ドシュダム1機、噴進式魔導機関を搭載した試験機を除いて我が国の飛空艇はすべて廃棄処分されることになった。
他の地域では焼却されるか重機によってスクラップにされていると同僚から聞いていた私はアメリカの手にかかって焼かれるくらいなら我々の手で処分したいと申し出て了承された。
上空ではアメリカ軍機が絶えず旋回し、周りには武装した連合軍の兵士たちが銃口を我々に向けていた。変な事など出来るはずがない。
我々は機体に取り付き、機種下面にある魔導石冷却器(注2)の安全装置を解除した。やがて機首から燻り始め、独特の金切り音を上げながら極彩色の炎に包まれていった。
主翼が溶け、魔導金属の塊と化した胴体が崩れ落ちるまでにさほど時間はかからなかった。私の周りからはすすり泣く声や嗚咽が聞こえてきた。
その光景を目に焼き付けながら我々は強く誓ったのだ。この空に、祖国の空に我々が手掛けた飛空艇を再び進空させると。必ず。どんなに時間がかかってでも。
命が尽きても炎の中から蘇るケルフェラクのように。

~ヒストリーチャンネル「復活のケルフェラク」より 戦闘飛空艇ケルフェラク主任設計者カイベル・ハドの日誌より~

この日を境にシホールアンル共和国は全ての航空機の開発及び製造を禁止された。
彼の言葉通り、70年後の1555年(2015年)2月2日、アルジア・マユ空港にてケルフェラクの名を冠した小型旅客機が初飛行に成功することになる…

注1.シホールアンル帝国における正式名称は試製ケルフェラク艦載型。連合国側のコードネームはシーフェラク。
注2.頑丈なことで知られたケルフェラクの唯一の急所。ここを損傷すると魔導機関が暴走して炎上するため、連合軍パイロットの間では「ケルフェラクの喉笛」と呼ばれていた。

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