ゆっくりいじめ系2026 都会派ありす ノーマルエンド




















「ばりざはばりざのあがぢゃんがほぢがっだの゛ぉぉぉぉぉ!!!」

もう限界だった。まりさは我慢の限界だった。
まりさはずっと一匹だった。小さい頃家族が人間に殺されてから、ずっと一匹だった。
人間の男性に拾われて、それから一緒に暮らしてはいるが、家族も仲間のゆっくりもいなかった。

だからまりさは家族が欲しかった。ゆっくりの家族が。
だからサンタさんに可愛くてゆっくり出来る赤ちゃんを頼んだのだ。
なのに、なのになんで────!!

「れいぱーのあがぢゃんなんがじんじゃえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」

まりさは跳躍し、「みゃみゃ~」とすり寄ってきた子ありすを踏み殺そうとした。
まりさは赤ちゃんを欲しがってはいたが、こんな子供が欲しかったのではない。
あんな、愛もゆっくりも何も無いすっきりー! で出来た子供など。恋人と一緒にするすっきりー! ではない子供など!

せめて、せめてまりさ種の子供がいれば話はまた別だっただろう。しかし、生まれた子供は皆ありす種。
否応なしに、あのレイパーありすを思い出させる。

自分が幼い頃まだ一緒だった家族の中には、ありす種もいた。まりさはそんなありす種の親も姉妹も大好きだった。
しかし、あのありすと家族が一緒であるなどと、考えたくも無かった。
まりさの親も姉妹も優しくて、上品で立派な都会派のありすだった。

だというのに、あのレイパーありすはそんな親達とはまるで違う。下品で、粗野で、相手の事など微塵も考えていない田舎者のありす。
すっきりー!はとっても神聖で、大事な、大好きな相手とやるはずのもの。
それを愛も無く無理矢理強制して……。まりさは誰ともすっきりー! したことが無かったのに。
心に決めた相手とだけ、すっきりー! するつもりだったのに。

まりさは家族以外の他のゆっくりに会ったことが無かったし、これからも出会いは殆ど無いだろうと思っていた。きっと恋人も容易には出来ないだろうと。
だから、だからまりさは欲しいものを何でも届けてくれるというサンタさんにお願いをしたのだ。
子供が欲しいという願いは同時に、大好きになれるゆっくりできる恋人が欲しいという願いでもあったのだ。

そんなまりさの願いを。大好きな相手とゆっくり出来る可愛い子供を作って、幸せな家庭を築きたかったというまりさの願いを。
あのレイパーありすは、粉微塵にブチ壊したのだ。
あんなありすが、大好きだった親や姉妹などと一緒だなんて考えたくも無かった。
いや、一緒の種だからこそ、より一層憎悪が募った。

そしてそれは、この子ありすにも向けられた。
あのレイパーありすの子。自分の夢をブチ壊して、したくもないすっきりー! で出来た子供。
なおかつあのレイパーありすを彷彿とさせるその姿が、まりさの中から殺意以外の感情を吹き飛ばした。

この子ありすはあのレイパーありすの子。すなわち同種。
自分の夢を壊したヤツ。死に別れた家族とは比較にならないほど田舎者なありす。

半分は自分の餡子を受け継いだ、自分の子だという認識も忘れて、まりさは襲い掛かる。
まりさの純潔を奪い、夢を奪った悪魔を殺すために。


まりさは全力で子ありすを踏み殺す。そうなるはずだったし、そのつもりだった。
しかしそれは、男が放った蹴りによって阻止された。

「ゆびゅっ!?」

顔面に膝がめり込み、壁にたたき付けられるまりさ。
最初は何が起こったか分からなかった。自分は憎きレイパーありすの子を殺すはずなのになんで吹っ飛んでいるのか。
ただ顔面に激しい痛みがあることは分かる。
「ゆぐぐ……」と痛みを堪えて顔をあげると、ずんずんと近づいてくる飼い主の男の姿がある。

そうして理解した。まりさは飼い主の男によって蹴られたのだと。
男は無表情でまりさに歩み寄ってくる。これまで男の暮らしていたまりさには、男がその無表情の下に怒りを隠しているのを理解した。
まりさは思い出した。「子供を殺したら捨てる」という飼い主の言葉を。

だが、まりさはまだあの子ありすを殺していない。だけど、そんな事とは関係なく、現に今男は怒っている。
だからまりさは、男は殺した殺していないに関わらず、まりさが自分の子である子ありすを殺そうとした事自体に怒っているのだと理解した。

「ゆ゛っ! おにいざんごべんなざいっ! でも、ばりざはざんだざんにゆっぐりしたあがぢゃんがほじいっで────」

まりさには、言い訳を言う権利さえ与えられなかった。
男は問答無用でまりさを踏みつけ、蹴り飛ばした。再び壁にぶつかって跳ね返ってきたところをキャッチ。
ずい、とまりさを自分の眼前へと引き寄せた男は、ドスを効かせた声でまりさに言った。

「まりさ。俺は言ったよな? 自分の子供や人からのプレゼントを大事にしないヤツは嫌いだって。一匹でも殺したら捨てる、って」

ガタガタとまりさは震えた。これまで向けられたこともないほどの、男の怒りに。
それは男にとっては親が我侭な稚児に抱く程度の怒りであったが、まりさにとっては涙を流して全身で震えあがらせるには充分であった。

「ゆぐっ、でもありずはばりざのあがぢゃんじゃないよ゛っ! あんなれいぱーのごなんで────」

言い訳しようとしたところで、まりさの顔面に男の拳が突き刺さった。
言葉も顔も潰されたまりさは、これまで受けたこともないほどの暴行と怒りの言葉によって完全に泣きに入っていた。

「子供じゃない? 何を言っている、ちゃんとお前の生やした茎から生まれた、れっきとしたお前の子供だろうが」

ドゴム
男はまりさの底部に膝蹴りを叩き込んだ。
「ゆびっ!?」とゆっくりにとって他の部位よりなおさら大事にしている底部に攻撃が入ったことにより、まりさは更に恐怖を募らせた。

「それにな、サンタさんはお前のためを思ってありすを連れてきたくれたんだぞ? お前が赤ちゃんが欲しいって言うから、サンタさんはわざわざお前のためにプレゼントを用意してくれたんだぞ?」

男は左手でまりさの髪を掴み、右手でまりさの頬をぺしぺしと叩きながら言い聞かせる。
まりさは一言も言い返せぬまま、いや、言い返すことを許されないまま、ゆぐぐっ、と目に涙を溜めて震えている。

「それをっ!」

そんなまりさを、男は台所の方へ投げ飛ばした。
フローリングの床に叩きつけられ、弾んだまりさは冷蔵庫の角に頭をぶつけた。ずるり、とまりさが大事にしている帽子がずり落ちる。

男はすたすたと投げ飛ばしたまりさに近寄り、痛みで動けぬ状態のところを、ガスコンロの上に置いて、ガスコンロの火を点けた。
強火で。

「ゆ゛ぎゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!! あぢゅい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!!」
「人の好意を無下にしたどころか、実の子供を殺そうとするだなんて、お前は本当にクズなまりさだなぁ、おい」

最大の火力で炎を放出するガスコンロが、まりさの足を侵略する。
まりさは目から涙を、口の端から泡を出して逃れようとした。
自身の底部を焼き尽くす、灼熱の炎から。焼き、焦がし、痛みを与える地獄の火から。
最大の火力で炎を放出するガスコンロが、まりさの足を侵略する。
しかし、男がそれを許さない。頭の上から必死に押し付けて、まりさを火ガスコンロから逃れさせないようにしている。

「い゛ぢゃい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!! だづげでっ!! おにいざんだづげでぇぇぇぇぇ!!! ごべんなざい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」
「まりさの相手はありすだろう、ってサンタさんは気を利かせてくれたというのに。お前の死に別れた家族がありすだったって聞いて気を利かせてくれたというのに」

まりさがどれだけ泣いても謝っても、男は容赦しなかった。
殺人は未遂でも犯罪だ。だから殺ゆも未遂でも刑罰執行。そう言いたいかのように。
まりさは滝のような涙を流した。涙はまりさの頬を伝い、ガスコンロへと落ちてジュッと音をたてて蒸発する。

「ゆ゛ぐぃ゛ぃ゛ぃ゛!! だっで、だっでれいばーありずはゆっぐじでぎない゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」
「まだ言うかこいつは!」

もはや半分以上芝居がかった口調で男はまりさを更に上から押し込んだ。
もはや炎の発生源に底部がつくのではないかというほど接近している。
まりさはあまりの熱さと苦痛にぶるんぶるん体を揺らして脱出しようとしているが、男の手から逃れることは出来ない。

「ゆ゛びぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!! わるぐない゛っ!! ばりざはわるぐないも゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
「…………ふぅ、もういいよまりさ」

まりさの底部はもう完全に炭と化した。もう二度と跳ねることも這うことも出来ないであろう。
男は焼け焦げた底部とは対照的に涙でグショグショのまりさの顔を見やる。そこには昨日までの優しさは無く、まりさをゴミのように扱うかのような目だけがあった。
事実、男はもうまりさを喋るゴミとして扱っている。

男はまりさの体を一旦持ち上げ、両手で傾ける。今度は顔面が下にくるように。そしてその状態のまま、ゆっくりとまりさを降ろしていった。
まりさはそれにより、これから何をされるのかをさとり、大慌てで男に懇願する。

「ゆ゛っ!? おにいざんなにずるのっ! やべでっ、やべでね゛っ! ごべんなざい、ばりざもうわるいごどじませんがら、だがら、だがらゆるぢでぐだざ────」

ガスコンロの火がまりさの顔面を直撃した。

「ゆ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」

ゴウゴウと放たれる青い火は、まりさの顔面を焼き焦がす。涙がジウジウと蒸発する音と、まりさの叫びによる合唱が響き渡る。
ゆっくりにとって体とは顔だ。その顔が今ガスコンロの火にとって全面焼き尽くされている。

「いや゛だぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!! じんじゃう゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛、ばりざじんじゃう゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」

口から絶叫。目から涙。
まりさの顔から零れたそれは、すぐさま炎に巻かれて香ばしい音を奏でる。
男は既にまりさの言葉に何も返さない。

「じに……だ、ぐ……な゛……ばり、ざ……は……あが……ぢゃ……もっど……ぐり……だがっ……だ」

火がまりさの顔面を焼き焦がしていくうちに、徐々にまりさの声は小さくなっていった。
火がまりさの口を焼き焦がして動かなくしていっているのだ。

やがて男はまりさの叫び声が終わったのを確認すると、火を消してまりさを持ち上げた。
まりさの顔は原型が分からぬ程に焼き潰れていた。目も口も、かつての名残しか見当たらない。
男はまりさを突付いた。
ぷるぷるとまだ焼けていない無事な所が動いて、まだ生きているのを確認するとまりさをゴミ袋に入れて口を縛った。

まりさの目はまだ生きていた。
それは活力がまだ残っているという意味ではなく、まだ機能しているという意味だ。
まりさの瞼はありすと同じように、半ば潰れかけていたが、それが眼を防護する役割も果たしてくれた。
焼き潰れて半眼となったまりさの眼は、悲しげに男を見つめている。

まりさは信じたくなかった。昨日まで優しくしてくれた男が、自分をこんなゴミのように扱っていることに。
家族を失ってどん底な状態にいた自分を救ってくれた存在が、手の平を返したように自分をどん底に叩き落していることに。

捨てるという事が、〝ペットを捨てる〟ようにではなく、〝ゴミを捨てる〟かのようであることを。
透明なゴミ袋の中から、まりさは男を見つめる。もう、何も言うことはできない。もう、何も伝えることは出来ない。
男と話したかった。言葉を交わしたかった。話せば、きっと〝おにいさん〟も分かってくれるだろうと、まりさは信じていた。
もちろん、そんな事はもう叶わない。生涯は選択の連続である。まりさは選択を誤った。
まりさの生涯はもう、このままゴミとして捨てられ死んでいくだけの消化試合である。

「おっと」

男はまりさを入れたゴミ袋の口を縛った所で思い出した。床に落ちた、まりさの帽子のことを。
まりさは一瞬、目に希望を宿した。男が心変わりしてくれて、自分を助けてくれるのかもと思った。
しかしそんな事は無く、男は袋の口を開いてまりさの帽子を入れると、再び袋を縛った。
まりさの心中にはもう、暗闇しか残っていなかった。






男はまりさへの処置をしている最中の、生ゴミで思い出した。ゆっくりを生ゴミに入れてコンポストにするという方法を。
一度試してみたかったと思っており、また今はちょうどいいゆっくりが居る。
男は子ありす達の下へと向かった。あの子ありす達をゴミ箱に放り込んで生ゴミを処理するコンポストにしようと考えたのだ。

子ありす達は男が母親であるまりさに行なった所業に怯え、部屋の隅でガタガタと震えていた。その眼には恐怖しか映っていない。
自分達を殺そうとしたとはいえ、子ありす達にとっては現在認識している中で唯一の親なのだ。
そんな子ありす達には構わず、男は子ありすを一匹残らず生ゴミ用のゴミ箱へと放り込み、蓋を閉めた。

「みゃみゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「だじゅげでぇぇぇぇぇ!!!」
「ゆえ゛ぇぇぇぇぇぇぇん!!!」

放り込む度に叫び声をあげる子ありす達。そんな子ありす達に向ける情は男の中には無かった。
男は飼うのも虐待するのもまりさ専門だったのだ。それ以外のゆっくりは取るに足らない存在。

そして、家族と人からのプレゼントを大事にしないヤツが嫌い、という言葉もあながち嘘ではなかった。

「まったく、世には奥さんがレイプされて出来た子供でも生むのに賛成し、我が子のようにその子の兄と一緒に育てた父親もいるというのに」

もっとも、それは男が本に影響されやすい人物だったという面もあるのだが。







「さてと、静かになったし、大掃除でもするか」

まりさの生ゴミ処理や子ありす達のコンポストで思い出したかのように大掃除を始める男。
事実、まりさが子ありす達を殺そうとするまでは今年は大掃除しなくてもいいかと思っていた。
だがペットが一通りいなくなると今度は手持ち無沙汰になった。だからする事もないので大掃除に手をつけたのだ。

男はまず物置と化した部屋へと向かった。掃除をするならまずはそこだろうと考えたのだ。
男はその部屋に六日ぶりに足を踏み入れ、ありすを見つけた。
クリスマスに焼き殺したありすだ。男はその存在をすっかり忘れていた。

男はありすを閉じ込めた透明な箱に近寄る。箱の中のありすは表面的には丸焦げで面影は全く無かったが、原型は留めていた。
てっきり残らず炭となって崩れていたと思っていたが、まぁ死んでいることには変わりないだろうと男は判断した。
男は透明な箱から黒焦げのありすを取り出した。真っ黒の球形を持って先ほどの部屋へと戻る。

部屋に戻った瞬間男の耳に生ゴミのゴミ箱から「ゆっー! ゆっー!」だの「だしちぇ! とかいはのありちゅになにしゅるの!」だのといった子ありすの喚き声が聞こえ、男は顔をしかめた。
そのうち諦めて黙るだろうと判断し、男はありすだったものをまりさと同じゴミ袋に入れた。
夫婦仲良く同じゴミの日に捨ててやろうと思ったのだ。

「せめてあの世では仲良くしろよ」

男は袋の中の二匹にそう言い、再び口を閉めた。
男は気付かなかったが、袋の中の二匹は揃って絶望と悲しみに染まった目をしていた。

「ゆ゛ぅぅぅぅぅ!!! みゃみゃに、みゃみゃにあわしぇてぇぇぇぇぇ!!」
「ゆっぐちちていってね!!」
「きょんなのとかいはじゃないわっ!」

と、少し良い事をした気分になっていた男の耳に、耳障りな声が届いた。
コンポストにした子ありす達の叫び声だ。男は生ゴミ箱の方へと振り向く。
さっきから煩い煩いと思っていたが、これは相当だ。蓋を閉めているというのに、きゃんきゃんも響く。

いずれ諦めるだろうと無視していたが、これは我慢できるレベルじゃない。
男は先ほどの自分の思い付きを後悔し、生ゴミ箱へ向かいその蓋を開けた。

「ゆっ? おにーしゃんだちてくれるの?」
「みゃみゃにあわしぇちぇ!」
「ゆっくちちていってね!!」
「とかいはのおにーしゃん、ありがちょう!!」

蓋を開けると生ゴミは全く減っていなかった。代わりに七匹の子ありすが嬉々とした表情で男を見上げている。
男は短気な性格でもあった。さっきから聞かせ続けられたやかましい声と、その助けてもらう事が規定事項かのような物言いに激昂した。
男はゴム手袋をして生ゴミ箱に腕を突っ込むと、子ありすを一匹一匹取り出した。

「ゆ~♪ おそらをとんでるみちゃい~♪」

取り出すごとに暢気な声をあげる子ありすを見て、男はもう親と同じ処置をして苦しめなければ気が済まないと怒りを募らせた。
取り出した子ありすを同じく捨てる予定だったタッパーへと仕舞いこむ。
七匹全部をタッパーへ入れたところで、男はゴム手袋を外してガスコンロへと向かう。

「ゆゆ~♪ おにーしゃん、だしてくれちぇありがちょう!」
「とってもとかいはなおにーしゃんね♪」
「ちゅっちゅしてあげるわ~♪」

イラッ。
本来ならば笑って流す程度でしかなかった子ゆっくりの戯言も、まりさから始まる連続の不愉快連撃を受けた男にとっては怒りを煽る効果しかない。
男はフライパンを取り出した。フライパンをコンロに乗せ、しっかりと強火で熱する。

たっぷりと、たっぷりと熱して油をひく。
その様子をタッパーから見ていた子ありす達は何か美味しいものをくれるのではないかと期待に胸を膨らませている。
その期待を、男は五秒で砕いた。

タッパーを持ちあげフライパンの上まで持っていくと、引っくり返して子ありす達を全員熱したフライパンの上に落としたのだ。

『ゆびぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!』

響き渡る、子ありす達の合唱
とてつもない熱に子ありす達は泣き、叫び、暴れ、逃れようとする。
それを男は阻止する。フライ返しでもってフライパンの外へと跳ねて逃げようとする子ありすをフライパンへと叩き返す。

「あんよ゛がっ!! ありずのあんよ゛ぎゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛じゅぅ゛ぅ゛ぅ゛い゛ぃ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」
「ゆっぐぢでぎないわ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
「だじゅげでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」

少しでも熱さから逃れようと跳ねる子ありす達。しかしそんな僅かな抵抗も男は許さなかった。
フライ返しで跳んだところを叩き落したり、頭を押さえてじっくりと底部を熱する。
阿鼻叫喚の地獄絵図。子ありす達は滂沱の涙を流すが、それとてまさしく焼け石に水。子ありす達の底部が焼かれるのを阻止するには至らない。
何分経っただろうか。しっかりと熱せられた子ありす達は、全員その底部を焼き焦がし、二度と動けぬようになった。

「あ゛りじゅの、ありじゅのあんよ゛、が……」
「ゆぐっ、ゆ゛え゛ぇ゛ぇ゛…………」
「いちゃいよ゛ぉ゛ぉ゛……」
「みゃみゃぁ……」
自分達の足が二度と使い物にならなくなり、涙する子ありす達。焼け焦げたことで感覚が鈍くなり、叫ばないで泣くだけの余裕が出来たのだ。
男はそんな子ありす達のわずかな安息も、奪い去る。
今度は菜箸。男はその長い箸を以ってひょいひょいと子ありす達を引っくり返す。
顔面が下になるように。

「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
「いぢゃい゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
「み゛ゃ゛み゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!」
「ゆびぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!

顔面ごと、口を焼き潰す。
まりさにも行なったことだ。今度はそれが子ありす七匹同時にだというだけ。
今度は先ほどのように手を加える必要は無い。底部が役に立たず、顔面を下にした状態では子ありす達に逃れる術は無い。
このまま放って、喋れなくなるのを待てばいい。

口を下にしているためくぐもった子ありすの悲鳴をBGMに、男は文庫本を開いた。
料理の最中に料理の教本を見ているかのような気軽さである。そんな気軽な男の前では、ゆっくりにとってはR-18指定並の惨劇が繰り広げられていた。

「ゆ゛びゅあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「だじゅげで゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」
「ありじゅおうぢがえる゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!」

なんで、どうして。子ありす達は思う。思い返す。なんでこんな事になっているのかと。
この素晴らしき世界に生まれて、ゆっくりできると思ったのに。幸せに暮らせるはずだったのに。
お母さんと、暖かいお家があって、ずっとゆっくりできると思ったのに。
なのに、なんで、

『ゆ゛ぎゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!』
















ありすは幸せだった。
何故なら家族が一緒だから。
ありすは幸せだった。
感覚は無くとも、こうして家族と肌を合わせられるのだから。

焼かれた子ありす達はまりさとありすと同じゴミ袋に入れられた。仲良し丸焦げ一家である。
家族全員口を焼かれ、足を焼かれたためすーりすーりすることも、喋ることも出来ない。
だが、それでもありすは幸せだった。まだ家族全員生きているのだから。
どんな形であれ、ありすは、こうして、望んだ家族と一緒にいるのだから。こんな近い距離に、家族がいる。

見る事と、聞くことしか出来ない体のまま、ありすは短く小さな幸せを噛み締めた。
ありすは幸せだった。
命尽きるその時まで、家族と一緒に過ごせるのだから。

ありすは涙した。ようやく出会えた家族に。
まりさは涙した。失った幸せな日々に。
子ありす達は涙した。あるはずだったゆっくりを求めて。

丸焦げゆっくり一家は仲良く、ゴミ袋の中で泣いた。
丸焦げゆっくり一家は仲良く、他のゴミと一緒に処理され死ぬその時まで、一緒にいることだろう。





おわり



─────────────────
あとがきのようなもの

どれが正史というわけでもありません
正史はアナタの中に存在するかもしれません



byキノコ馬



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最終更新:2022年01月31日 03:31
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