その他 ゆっくりの習性を利用してみた

  • ゆっくりの取替え子は幸運を呼ぶ、という都市伝説があります。
  • この世界のゆっくりは中身を漏らさない限り、なぜか野生動物に襲われません。ゆっくりや人間には襲われますが。


対策 と傾向


「れ み り ゃ だ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !!」
今日の夜もどこかの森からこの声がこだまする。
ゆっくり捕食種。ゆっくりに生まれながら他のゆっくりを食べるもの達である。
正直どんぐりの背比べな気が大いにしないでもないが当の本人たるゆっくりにとっては恐怖そのもの。
傷を負って餡子を漏らさない限り動物に襲われることはないためか、日常的に襲ってくるこいつ等は相当怖い、らしい。


新米ブリーダーとしてそこそこ忙しい日々を送っていたある日のことだ。
俺が家に帰ると玄関前にゆっくりがたたずんでいた。
「お家宣言しようも入れなかったとかいうオチじゃないだろうなぁ」
などと思いながら近寄るといきなり
「おにいさん!ちぇんたちにれみりゃをなんとかするほうほうないかな!?」
「わぁお、斬新なアプローチだなおい」
話を聞いてみると体つきれみりゃが毎夜のごとくやってくるらしい。おかげで群れは寝るに寝れず大層困っているんだとか。
人間にに教えを請いに来る野良ゆっくりなんて……初めてみたよ。長がちぇん、という群れも初めて聞いたが。
「で、なぜ俺に聞いてくるんだお前ら……俺はまったく関係ない人間だぞ」
「にんげんさんはこわいよぉだけどおにいさんはれみりゃやふらんをいじめたことがあるんでしょ?」
なぜ知っている………。まぁ何度か家に侵入したれみりゃとかを夕餉のおかずにしてたが。
「ああ、なん回かあるがその時のいじめ方を教えてどうするんだ?お前らじゃ基本できない方法が多いぞ」
まず先に余計な希望を与えないように言っておく。できないことをできないと教えないと背伸びして自滅するからな、こいつらは。
現実をまず教えねば。
「わかるよぉ……、でもれみりゃがなにがにがてだとか、これがすきだというのがわかれば
 それをつかってみんなをにがしたりおっぱらったりできるかもしれないよ、わかるねぇ?」
 対策を考えてたのか。ちぇんにしては頭がいい。少しぐらいこいつらを助けてやるのもいいかもしれん。
 こいつらが壊滅して俺が躾けているゆっくり達が夜に空飛ぶ肉まんに持ってかれても困る。
「おまえらにできそうことを2、3教えてやる。これができればお前らでもれみりゃを何とかできるかもしれん」
「ほ、ほんと?」
「俺ら人間には聞かんからな?」
「わ、わかってるよ!」
絶対れみりゃに利いたら人間でも使う気だったな……。
「まぁいい、れみりゃの弱点の一つは辛いものだ、唐辛子や山椒とかだな」
「れみりゃもからいのでゆっくりできないの!?」
「れみりゃもお前らを食うって違いがあるだけでゆっくりだからな。辛いのが大嫌いなんだよ」
「からいのがにがて……わかったよぉ!」
「もう一つは日光。あいつらが太陽の出てるときに襲ってこない理由がこれだ。なぜか知らんが太陽に触れるとあいつら灰になるらしい」
「わかったよぉ」
「最後の一つだがあいつらはお前らが怯えて当たり前だと思っていることだ」
「なんでそれがじゃくてんなの、わからないよぉ?」
「考えてみろ、お前らが食べてる草や果物がいきなり噛み付いてきたらビックリするだろ?」
「ちぇんたちはくささんじゃないよぉ!」
わかっとるわ!
「れみりゃにはそう見えるんだ、だからお前らを簡単に食べられる、わかるね?」
「……わかったよぉ、でもれみりゃはこわいよ?どうすればれみりゃにこうげきできるの?」
「むぅ………」
確かに。れみりゃに対する恐怖は本能的なものなんだろう………。本能を乗り越えられる…もっと強い何か、アレだ!!
できればゆっくり共には使ってほしくない手段だが……。俺にはアレぐらいしか思いつかんしなぁ……。
「よし、恐怖に打ち勝つものを俺が用意してやる、ただし本当に最後の手段として使え。芥子団子も用意してやる。
 あいつらは意地汚いから落ちてる怪しいものでも食べるからな」
「ありがとぉぉ!」
「なに、そのかわり頼みが一つある」
「たのみ?」
「あぁそれはだなぁ、群れにいたらでかまわないんだが両親とは違うゆっくりが産まれたところはいないか?」
「うぅん、たしかいたよぉ?ありすとぱちゅりぃのこどもなのにまりさがうまれてきたんだよぉ」
「その子を貰えないか?大事にするから」
「う~ん、わかったよぉ。それでいいなら」
よっし、取替え子ゲットぉ!内心ガッツポーズをしながら俺は群れがある、と言う場所に向かった。
群れの巣の真ん中辺りの空き地にテントを敷き、
「じゃあ、今夜は仕掛けを置くから、真ん中の広場にいるからな。あかりを一晩中ともしとくかられみりゃはこないだろうよ、ゆっくり休んでおけ」
「わかったよぉ」
そういってちぇんは巣の方向へと跳ねていった。
さて、設置をせねばならんな、と。

翌日、仕掛けを設置し終わり、俺は取替え子まりさをもらい里に帰った。それからその群れがどうなったかはしらない。
もらったまりさとは上手くやっている。幸運がくるかどうかはしらんが、ブリーダーとしてはきっちり躾けているつもりだ。



その日の夜、群れが寝静まった夜にれみりゃがやってきた。
「う~……おくちがからいどぉ………、あまあまでくちなおしだどぉ」
「「れみりゃだぁぁぁぁぁぁ!!」」
ここまではほぼいつもどおり。しかし、今回はおにいさんがつくった「しかけ」がある。
お兄さん曰く『れみりゃにたいするきょうふもこえられる』らしいのだが長のちぇんはどういったものかはわからない。
だが、どうにかなるに違いない、とおにいさんの指定した丸いわっかの書かれた場所までれみりゃを誘き寄せて皆で紐を思いっきり引いた。
次の瞬間、れみりゃの頭上に無数の死んだゆっくりのパーツや飾りがあめあられと降り注いだ。
お兄さんが食用のゆっくりの飾りや部品を仕込んでいたわけだ。
「う~?」
これがどういったものかはれみりゃは知らない。だが、くっついたこのよくわからないものを取ってから獲物たちに向かおうとして。
さっきまでと様子が違うことに気づいた。
「う~!?」

当初ちぇんは困惑していた。いきなり、しらないゆっくり達の亡骸がれみりゃの頭上にかかっていたのだから無理は無い。
しかし、次の瞬間猛然たる怒りが沸いて来た。なんだあれは。あれはゆっくりできない代物だ。あんな奴がいたらゆっくりできないよ!と。
群れの仲間達も意思は同じらしく、今か今かと号令が待たれていた。ちぇんは叫んだ。
「ゆっくりしねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
次の瞬間、狂戦士と化した一団がれみりゃに襲い掛かった。
「うぁぁぁぁぁぁぁい、いだいどぉ!ご、ごうまがんのれでぃーになにずるんだどぉ!?」
反撃をするれみりゃ。しかし、いつもならここでとまるはずの餌の攻撃がとまらない。
ゆっくりできないものを殺す。いま、この集団はそのためだけに動いているのだ。
「ゆがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ざ、ざぐや!ざぐやぁぁぁぁぁ………」
悲鳴も群れに飲み込まれ、このれみりゃは二度と巣には帰れなかった。
ちぇんが意識を取り戻したとき、そこにあったのは傷つき、倒れる仲間の姿(幸いにも死んだものはいなかった)
と殆ど原型をとどめていないれみりゃの姿、そして狂騒状態に自分達をおいやった見知らぬゆっくり達の遺骸だった。
ちぇんはおにいさんがどういう方法をつかったのか少しだけわかった。
「しんだゆっくりのおかざりやにおいがついたゆっくりとはなかよくできないってことだね、わかるよぉ」
ゆっくり達は見知らぬゆっくり達の遺骸を埋め、それから再び仕掛け台の上にれみりゃの死体を置いた。
それいらい、この群れで捕食種の被害を受けることは大きく減ったという。


あとがき 
ゆっくりできないゆっくりは死ね、と言う概念を逆手に取れば捕食種と互角に戦える、と思って書いてみた。
あの反応はニホンミツバチの覚悟遺伝子みたいなものだと思って書いてみました。
でも、お兄さんの干渉といえど死者を使うコイツラってもうゆっくりじゃないですね。



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最終更新:2008年11月09日 15:04
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