ZERO ESCAPE 刻のジレンマ

【ぜろえすけーぷ ときのじれんま】

ジャンル 極限脱出アドベンチャー
対応機種 ニンテンドー3DS
プレイステーション・ヴィータ
プレイステーション4
Windows(Steam)
発売元 チュンソフト
開発元 チャイム
発売日 【3DS/PSV/Steam】2016年6月30日
【PS4】2017年8月17日
定価 【3DS/PSV】5,800円(税別)
【PS4】3,800円(税別)
【Steam】5,638円→4,104円→2,190円(税込)
レーティング CERO:D(17歳以上対象)
判定 良作
ポイント 最後の極限脱出
「決断」のデスゲーム
極限脱出シリーズ
9時間9人9の扉 /善人シボウデス / 刻のジレンマ



概要

数多くの登場人物が織り成すサスペンスシナリオを搭載した脱出ゲーム『極限脱出』シリーズの一作。
前作の『極限脱出ADV 善人シボウデス』から4年越しの新作であり、シリーズ完結作である。
シナリオ・ディレクションは過去2作と同様打越鋼太郎氏だが、キャラクターデザインは前作までの西村キヌ氏から友野るい氏に交代している。

前作は基本的に1人の主人公の視点で時系列順に物語が進行していたが、今作は登場人物が3チームに分かれ、各チームの視点で脱出に挑む群像劇に近い形になっている。

前作、前々作と異なりタイトルに「極限脱出」は付いておらず、海外におけるシリーズ名である「Zero Escape」の名を冠している。それに伴ってか、旧作よりも海外を意識した部分が多く見受けられる。


ストーリー

全ての始まり、Xday、ラジカル6が漏洩した日。そして60億人が死ぬことが決定した日。
2028年12月31日のネバダ砂漠。
それは、実験施設「Dcom」での共同生活が始まってから6日目のことだった。
その日、Dcomで実験を行っていた者たちを含める9人の男女は目覚めると監禁室の中にいた。
左の手首にはバングル。
そこに仮面をつけた謎の人物が現れる。
「ある日偶然そこにカタツムリがいた、たったそれだけである女性が死んだ。人生とは理不尽なものだ……そうは思わんか?」
謎の人物は、自分を 第二のゼロ と名乗る。
「君たちにはDecisionゲームをしてもらう。これはきみたちと、私と、人類の存亡をかけたゲームだ」
Decision(決断)ゲームとはなんなのか?
3つの区画に分かれて行われるデスゲームの行方は?
はたして、生き残るのはどのチームなのか?
そして、「人類の存亡」とはなんなのか?
今、悪夢のゲームが始まる。

世界観・用語

  • ディシジョンゲーム(Decision Game)
    • ゼロに仕掛けられたゲーム。閉じ込められた地下核シェルターからの脱出を目指す。
    • 参加者は3人1チームに分けられ、Cチームはカルロス・淳平・茜、QチームはQ・ミラ・エリック、Dチームはダイアナ・シグマ・ファイとなっている。シェルターはC区画・D区画・Q区画の3区画に分けられている。チームは自分の区画の中しか行けず、他の区画へは行くことができない。
      • 各シナリオの主人公はCチーム編がカルロス、Qチーム編がQ、Dチーム編がダイアナ。この3人の視点でストーリーを体験していく。
    • シェルターから脱出するには、各区画のラウンジから繋がるエレベーターホールへの扉(Xドア)から地上に出るしかない。
    • Xドアを解錠するには6個のパスワードを入力する必要がある。パスワードは参加者が1人死亡する毎に1個ずつ開示される。つまり、他のチームの人間が全員死ねばチームは生き残ることができる。
    • 前作までのノナリーゲームやABゲームのような、数字や色を用いた仕掛けや複雑なルールは存在しない。ルールは、後述するように90分毎に記憶消去が行われる事と、6人が死亡すれば脱出の為のパスワードが得られるという事だけ。
      • しかしシェルター内には様々な仕掛けが施されており、主人公達は何度も命の危険に晒され、否応無しに脱出ゲームや「決断」を迫られる事になる。
  • バングル
    • 全員に強制装着された腕輪。参加者が活動を開始してから90分後に麻酔薬と記憶消去薬がバングルから装着者に注射される。ゆえに参加者は記憶消去薬によって前回の活動期間の行動を覚えていない。ただし、ゼロの判断によって記憶消去薬を投与しない場合もある。また、両側のボタンを押すことで現在時刻が表示される。

システム

  • クエストパート
    • クエストパートは、いわゆる脱出パートであり、シェルター内の施設を探索して、そこに仕掛けられた謎を解いていくというもの。
    • 前作と違い上下左右のギミックもあり、前作よりは難しめ。
  • シネマパート
    • シネマパートは、いわゆるムービーシーン。全員がフルボイスで喋り、臨場感の溢れるドラマを堪能できる。
  • ディシジョンパート
    • 本作で行われるデスゲームである。 内容は、ゼロから提示される理不尽極まりないゲームや、チームメンバーとの論争など実にさまざまだが、選択次第でのちの展開に大きな影響を与えるものばかりなので、慎重に慎重を重ねた決断を下す必要がある。
    • 一見正しい選択も実は違ったり、またその逆もあるなど、単純なイエスノーの二元論を超越した、良い意味で厄介な選択肢になる。
  • フローティング・フラグメント・システム
    • 本作のストーリーは、時系列の不明な「物語の断片」の中からプレイする物語を選ぶという「フローティング・フラグメント・システム」を使ってゲームを進めていく。
    • 物語の断片の数はストーリーを進めるごとに増えていき、徐々に全貌が明らかになるという仕組みである。途中でほかの断片を選び直すこともできるので、詰まったら別のチームに切り替えてみると、また違った視点でストーリーの背景が見えてくる。また、クリアした断片は「グローバルフローチャート」として時系列順に可視化される。
  • Quest-FILE
    • 脱出パートで部屋を調べると手に入るファイル。
    • 主に脱出パートのヒントである
  • Cinema-FILE
    • ムービーパートで出てくる用語・固有名詞の解説してくれるファイル。

評価点

歯ごたえのある脱出ゲームの難易度

  • 今回も仕掛けやミニゲームパズルが数多く用意されている。好評だった前回を踏襲して、大元の難易度は「簡単すぎず、難しすぎず、理不尽でない」の範囲をキープしている。
    • 脱出の仕方はどれも同じだった前作までと異なり、脱出の種類も増えている。二人視点での攻略など飽きさせない。
      • 前作までの脱出パートは先に進む為に挑戦させられる課題、ゲームを盛り上げる余興と言った側面が強く、ストーリー上の意味はさほど無かった。しかし今回の脱出パートはいずれもストーリーに組み込まれており、謎を解くモチベーションに繋がっている。
    • 施設内のいたるところを調べ、点と点をつなぎ合わせていき、一本の線としてつなぎ合わせるというクエストパートの展開はまさに王道の謎解きとなっている。ある意味、プレイヤーの推理力が最も試されるシステムでもあり、見事謎を解いた時の達成感は確かなものがある。
    • 前作までは打越氏が脱出パートも全て考案していたが、今作では新たに脱出パート担当のデザイナーが二名参加しており、よりバリエーションに富んだ謎解きが用意されている。
    • 本作の意味深なパッケージイラストは、実はある脱出パートの場面である。忘れた頃に出てきて、プレイヤーを驚かせてくれる。

シナリオ面

  • 続きを知りたくなるシナリオ
    • 時間、場所、歴史、様々に描かれる物語は多くの謎に満ちている。以前と同じように、伏線はテキストだけでなくゲームの構成要素全体を取り込みダイナミックに張られている。
    • それらがゲームの進行に合わせて次々と種明かしされていくさまの面白さとその内容の意外性が、プレイヤーを熱中させてくれる。
    • 閉鎖された空間で行われるデス・ゲームから起こる臨場感ある人間ドラマも健在。
    • ゲームの状況によっては仇討ちに走ったり、自暴自棄に陥る者も現れる。そして、信頼や愛情が目覚めることも。絶望的な状況であるからこその人間ドラマも本作の魅力の一つである。
  • システムと設定が巧みに交差している。
    • フローティング・フラグメント・システムという様々な時間、場所、人物で行われるゲームやシナリオの数々はシステムそのものが伏線となっており、ゲームとよくマッチしている。
    • 何故このシステムなのか?何故この世界観なのか?それさえも伏線となっており、ゲームの楽しみの一つである。
    • このパートではパスワードが分からず、先に進めないルートも別の場所でパスワードを知るということもあり、システム全体が謎解きとなっている。
  • 過去作の伏線回収
    • 過去作(特に前作)では多数の謎を残して終わってしまっていたが、本作ではその多くが解明され、物語は大団円を迎える。
      • 前作の消化不良極まりない結末で「現実のシナリオロック」を喰らったプレイヤーは、本作においてようやくロックを解除する事が出来る。あの物語の結末がどこに向かうのか、それは本作をプレイしてその目で確かめて欲しい。
  • 哲学・数学 ・心理学要素
    • スワンプマン問題、眠り姫問題、モンティ・ホール問題など本作でも哲学、心理学などが混ぜられたシナリオは好評。トリックと合わせて打越氏の持ち味が存分に活かされており、物語を深めてくれている。某有名時間遡行映画を例にした考察もある。
  • 雑談の増加
    • 脱出パートでは雑談が復活。淳平と茜の夫婦漫才を始め、本編の良い塩梅となっている。
    • 前作ではイージーモードでしか殆ど聞けなかったので、今回はそう言った点を気にせず楽しんで脱出ゲームに挑戦できる。

キャラクター

  • 『999』から淳平と茜、『善デス』からファイとシグマが登場。前作と前々作の主人公とヒロインが集結するという、正に完結作に相応しいキャスティングにファンからは発売前から歓喜の声が上がった。前作に絡む伏線回収も本作の醍醐味である。
  • 新キャラのダイアナ、Q、カルロスらも前作キャラに負けず劣らずの個性があり、彼らもゲーム全体の伏線の大きく関わってくる。
  • シネマパートではキャラクターの意外な過去や性格の側面などにもスポットが当てられており、非常に見応えもある。
  • 今回の新規声優も杉田智和氏や石田彰氏、坂本真綾氏と過去作に負けず劣らず高い知名度を誇る人気声優揃い。重厚な人間ドラマを迫真の演技で盛り上げてくれる。
    • 後のダブルパックで音声が付いた『999』では淳平、茜のCVは本作に準拠している*1
    • 能登麻美子氏のみダイアナ役で続投しているが、これにもちゃんと理由がある。

グラフィック

  • 3Dキャラクターデザインの向上
    • 『善デス』では粗い3Dモデルに批判が大きかったが、今回は大きく改善。特に、前作のファイのモデリングは大きく変化して高評価。
    • シネマパートでは、主人公たちが勝手に話し、動き、まるで海外ドラマを見ているように感じる。

システム面

  • フローチャート機能
    • 今回は様々な時間や場所に飛ばされる仕様であり、様々なチーム、場面を選択するのだが、フローチャートがあり、時系列的には混乱することは少ない。
    • クリア後に時系列毎にみるとまた違った見方が現れる。
  • バックログやスキップが搭載された。

賛否両論点

  • ショッキングなシーンの増加
    • ディシジョンゲームの「参加者の内6人が死ねば脱出可能」というシステムにより、登場人物の死亡が常態化。誰であろうが数回にわたって死亡する上、ゼロによる処刑は残酷なものが多く、人によっては気分が悪くなるかもしれない。
      • 刺殺、射殺などは当たり前。過激なものになると、酸で肉片になるまで溶かされる焼却されて灰になる爆弾で頭を吹っ飛ばされる、さらにはバラバラにされて首だけが置かれるといった死に様まで登場する。
      • 新キャラは勿論、淳平、茜、シグマ、ファイと言った過去作からお馴染みのキャラもが無残な死体と化すのは不可避であり日常茶飯事。その凄惨さは前作の比ではない。
  • ドラマパート
    • グラフィックが向上して、動きが出るようになり臨場感が増したのは確かだが、一方で動きが出た所為でテンポが悪くなった側面もあり、一長一短。
    • また旧作の海外の反響を受けて本作が制作された為か、登場人物の生い立ちや言動、それに伴うイベントが洋画調。登場人物自体も日本人は茜、淳平だけである。
    • この洋風な雰囲気が良いとする意見もある一方、前作までにあった砕けた雰囲気がなくなったと批判する意見もある。
  • Qの正体
    • 今作肝である、Qの正体であるが、その正体は少々賛否があり、人によってはアンフェアと思うかもしれない。
      + ネタバレ注意
    • そもそもQとされるヘルメットの少年はQではない。Qと呼ばれる人物は別に存在していて、名前も違う。
    • しかしQチームの主人公である事や、彼の名前を呼ぶ者がほぼいない事、プレイヤーに明かされるまで本物のQの存在に触れられる事自体が皆無な事(厳密に言うと触れる場面はあるが、何も情報を得ていないほとんどのプレイヤーはQではないと思い込んでしまう)などから、自然とプレイヤーは彼がQであると思ってしまう。それでいて、彼がQではない伏線は多数張られている。この打越テイスト溢れる巧みなミスリード自体は評価されている。
    • 一方で、公式サイトや各種情報、初回特典のブックレット等でははっきり「Q」と紹介されているため、これはアンフェアと思うユーザーも多い。
      • 打越氏が過去に手がけたinfinityシリーズも説明書が嘘だらけであり、それを踏襲した系統のトリックとも言えるが、あちらがプレイヤーや登場人物を騙す事にストーリー上の意味があるのに対し、少年のことをQだと誤認させることに意味は全く無い(登場人物は本人含め全員がQと少年は別人だと分かっている)。
      • 本作の説明書には登場人物紹介が無い事が幸いして、HPや他の情報誌を見ないでそのままプレイしたユーザーにはこの点に関しては問題はない。
    • 繰り返しになるが、本作のストーリーにおいて少年=Qと思わせることに意味は全く無い。つまりストーリーとは別枠で、純粋にプレイヤーのみを騙すための仕掛けとなっている。
      • そのため、見方によれば難解なストーリーをさらに分かりにくくしているだけである、という受け取り方も出来てしまう。このような仕掛けが好みか、意味を感じるか否かでゲーム上の評価は大きく変わるだろう。
      • システムの都合上、勘違いしていたりプレイヤーが正しく状況を理解していないままシナリオが進んでしまうことも珍しくなく、少年=Qという認識が断ち切られずに急に少年の呼び名が認知されている、もしくは変わったと感じ混乱したというプレイヤーも。
      • この仕掛けを組み込むのであれば、騙されたという感覚は薄まってしまうが、もう少し分かりやすい伏線があっても良かったかもしれない。
  • SHIFTの乱用
    • 前作の終盤のキーとなっていた「SHIFT」能力*2が今回も登場するのだが、前作では使用者はシグマとファイだけだったのに対し、今回はほぼ全員が使えるようになった。その理由が「大勢のSHIFT保有者といること」というもので、少々やっつけ気味ではという意見もある。
    • また、終盤にSHIFTのせいで違う歴史の自分達を「死亡が確定する未来」に飛ばす*3ことを躊躇するシーンがあるが、これまで散々SHIFTしてきたので今更感が強い。
      • 実際、作中でも早い段階で「SHIFTとはそういうもの」だと割り切るように言われるので尚更そう思えてしまう。
  • バッドエンド不可避なシステム
    • 前作と同様だが、シナリオの性質上「どちらも後味が悪い上に、最終的に両方選ばなければならない選択肢」が大量に登場する。特に今回は「運命の理不尽さ」がテーマである通り、ディシジョンゲームで迫られる決断の内容も無慈悲なものが多い。全編を通して究極の選択を何度も迫られる為、ストーリーは重くプレイヤーの精神への負担も少なくない。
    • トゥルーENDに至るには凄惨かつ陰鬱なバッドエンドの殆どを体験しなければならない。そういった体験を経ただけあって、脱出時のカタルシスは大きいが、そこまで辿り着くまでの道のりが血に塗れている事は覚悟しなければならない。
      • とは言ったものの、前述したようにとにかく登場人物が死にまくる他、後半ではSHIFT能力が多用されるので、ほとんどのプレイヤーはゲームを進めるごとに命が軽く感じるだろう。SHIFT前提であえて死に向かっていくキャラクターもいるので、彼らと同じように割り切ることが出来れば精神的な負担は軽減されると思われる。
      • もっともその境地に至れるまでの前半はどうしようもないが。
  • 脱出パートの音声はなし
    • これまでのシリーズ同様に脱出パートに音声はない。
  • トゥルーENDの是非
    + ネタバレ注意
    • トゥルーENDは最後の決断が明かされないオープンエンド形式となっている。
    • 今まで何度も究極の選択を迫るディシジョンゲームを行ってきたにもかかわらず、ラストがこのような形式のため不満に思う声もある。

問題点

シナリオ面

  • キャラクターの改悪
    • 登場人物の性格に関して、旧作から続投した4人のうちファイはほとんど変わっておらず、シグマは変わる相応の理由が存在するが、淳平・茜に関しては特に大きな理由は無いにもかかわらず、ビジュアル変更も相俟って「999」からほぼ別人と言っていいほどの変わりっぷり。
      • 淳平は正義感の強い好青年からは一変、やさぐれてしまい終始口調が荒い上、周りへの態度も悪い。一応作中でそうなってしまった理由が語られるだけ茜よりはマシだが、要は「裏社会の闇を見たから」であり、納得感は薄い。
      • 根は変わっておらず優しい、などの後に好印象に繋がる設定も殆ど見られず、とあるエンドでのカルロスへの仕打ちはクズの一言。
      • 茜は「999」の真相などを踏まえた変更であるとは考えられるが、淳平に何かがあると正気を失い、攻撃的になってしまうような感情の起伏が激しいキャラとなってしまっている。
        + ネタバレ注意
      • 特にバラバラにされた淳平を見て発狂し、チェーンソーを持ち出して無実のカルロスの前に襲いかかる場面は槍玉に上げられやすい。
      • 愛する人の変色した生首を目の当たりにするという非常にショッキングな出来事に出くわした心情は察するに余りあるが、それを考慮してもチェーンソーを持ち出し、犯人である可能性は高くとも*4本当にそうであるのか定かではないチームメイトに襲いかかるのは人としてどうなのか。
      • この場面はディシジョンゲームによってストーリーが2つに分岐するのだが、その1つでは結果としてカルロスの左腕を切り落とし、八つ当たりでは済まないレベルの実害を出している。というかカルロスが反撃しなければ確実に人1人を冤罪で殺めていただろう。
      • 因みにもう1つの分岐ではカルロスが自分を犯人だと思い込み茜に襲われるより前に自殺するのだが、茜はカルロスが倒れた瞬間に正気を取り戻す。それ故に、非常に不安定な印象を受ける。
      • 長くなるので省略するが、これ以外にもカルロスは茜の暴走に巻き込まれていたり、淳平・茜に振り回される場面が多い。1番の被害者は間違いなく彼だろう。
      • この改悪のために淳平は本作よりも「善デス」ルートの方が幸せなのでは……という声まで上がる始末。曲がりなりにも第1作である「999」の主人公とヒロインなのだが、ケチがついてしまった。
    • 考えうる理由として「999」のままの淳平や茜では残酷さがなくシナリオ展開が難しかったのかもしれないが、それにしてもあんまりな改悪である。本編のストーリーでこの2人に好感を持つ人は少ないだろう。
  • 後日談が薄い
    • 本作には後日談が用意されているが、トゥルーEND後にCinema-FILEで小説形式で語られるという寂しい物。音声などの演出もない。
      • そもそも後日談が追加されたなどのシステムメッセージは表示されないため、気づかないプレイヤーもいる。
    • トゥルーENDは大団円ではあるが、最後の選択を明かさない形で終わる。後日談では当然そこには言及されない。消化不良に感じる人もいるかもしれない。
      • 後日談自体は基本的に後味が良い内容になっているだけに残念である。映像の制作は難しかったのだろうか。
    • しかもDチームに至っては後日談自体が無い。打越氏によるとこれは意図したものだそうだが、やはり不満の声は多かった模様でtwitterで謝罪する事態になっていた。
    • また、一部キャラクターの描写が薄い。
      + ネタバレ注意
    • ミラは大量殺人鬼であった事が作中で明らかになるのだが、倫理観の欠如したシリアルキラーにもかかわらず後日談でいきなり改心して自首する
    • 作中にその過程が描かれていれば良いのだが、実際は全くそんな素振りは見せず、自分が殺されようが惨事に遭遇しようがエンディングに至るまでほぼゴーイングマイウェイを貫いている。一応、主人公達の意志に賛同はしているがその場の流れで言っているだけにしか見えず、彼女自身が自分の行為を顧みて悔い改めるような描写は作中には無い。一体、エンディング後に何があったのか。
      • また、後日談ではそのせめてもの償いの道が示される大きな出来事があるのだが、これもやはり小説形式。ちゃんと映像で(ry
  • Xドア解除のパスワードが面倒くさい
    • Xドア解除するために、わざわざ6つのパスワードを入力しなければならず少々面倒。入力させることに演出的な意味がある場面は少ない。
  • 一部伏線未回収。
    • 完結作であるがシリーズ全体で見ると未回収の伏線がある。『善デス』メンバーのその後、前作のオルタナティブENDの件など、前作の伏線のうち特に今作の本編に関わらないものは回収されていないものが少なく無い。
      • 前述の通り、『善デス』と深い関わりがあるDチームに後日談が無い事もこの問題に拍車を掛ける。主人公のダイアナ、シグマとファイは勿論、前作登場したKやアリス達がどうなったのかは一切分からないまま終わってしまう。
      • 『999』のメンバーに関してもおまけ程度にしか語られないが、あちらは本編や『善デス』で大凡の決着が付いているのでまだ良い。『善デス』に続投した四葉などは救われないが。
    • 本作は「シリーズファンの期待に応えられる」「シリーズ未経験者・予備知識のない人でも楽しめる」と、両方に配慮した作りになっているとされるが、その為に過去作に触れるのはシナリオ上の必要最低限に留められてしまっている。
      • シリーズ未経験者のハードルを低くする事は至極真っ当な事だが、それでシリーズファンに消化不良感を与えたのでは元も子もない。完結編なのだから、完全に未経験者置いてきぼりとまでは行かずとも、未経験者への配慮よりもシリーズを後腐れなく終わらせる事に専念した方が良かったのではないだろうか。
      • 一方、完結編である上に複雑なストーリーである以上、いくら配慮しても予備知識なしの初心者には分かり辛い部分はそれなりにある。結果、どっちつかずな作りになってしまっている印象も否めない。
    • また今作のみでも明かされない部分がある。
    • Dチームのエンドの一つで、地下に残るダイアナがマインドハックを受けた理由など不明な点はある。

システム面

  • 不完全なスキップ
    • ムービーシーンのスキップが1シーンだけでなく、1、2シーンスキップしてしまう。
    • 自分のペースで、早く進めたい場面では不便極まりない。特に上記のショッキングなシーンを見たくないというユーザーもいるため、批判が多くなった。
    • また本作は脱出パートとフルボイスのムービーシーンで構成されているが、ムービーシーンでセリフ送りをすることはできない。繰り返しになるセリフや内容でも強制スキップをオンにしていない限り飛ばすことができない。
  • パネルの反応の悪さ
    • 前作同様に画面の反応がおかしく、メモが書きにくかったり、脱出パートで調べられるものの判定が狭く詰まりやすかったりする。
      • 少しでも快適に遊ぶには手書きのメモを用意しておくことを推奨する。因みに、前作の図形並び替えのような操作性の悪い謎解きは存在しない。

総評

完結編の名の通りに以前の伏線やキャラを巧みに使い、ゲームを完成させている。
一部アンフェアな部分はあるが、ゲームそのものとしては問題ないだろう。
未回収の過去作の伏線こそあれど、『999』から続く物語自体は完結している為、過去作をプレイしたことあるユーザーはきっと満足できるゲームである。


余談

  • 2017年にSteam/PSV/PS4で、2022年3月22日にXbox Oneで『999』と『善デス』をカップリング移植した『ZERO ESCAPE 9時間9人9の扉 善人シボウデス ダブルパック』が発売された。
    • これにより、過去2作も『ZERO ESCAPE』のタイトルを冠することになった。
      • 海外では当初より「Zero Escapeシリーズ」と呼ばれており、前作『善デス』も『Zero Escape: Virtue's Last Reward』というタイトルだった。本作の海外版のタイトルは『Zero Time Dilemma』。
    • さらに本作『刻のジレンマ』を加えた三部作『ZERO ESCAPE トリロジーパック』としてもパック発売されている。これは1つのソフトにしているのではなく、単に『ダブルパック』と本作のセット販売である。
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最終更新:2023年09月22日 22:02

*1 『善デス』に登場していた四葉はそちらに準拠。

*2 別の時間軸や現在とは異なる歴史(別ルート)の自分に意識を転移させる能力。

*3 SHIFTは現在の自分の意識を転移先と入れ替える形で行われる為、例えば死の直前から三日前にSHIFTしたとすると、三日前の自分の意識が代わりに死ぬ事になる。

*4 新しい可能性を考えなければ淳平に接触出来るのは茜とカルロスのみである。