パロディウスだ!

【ぱろでぃうすだ】

ジャンル 横スクロールシューティング
対応機種 ファミリーコンピュータ
開発・発売元 コナミ
発売日 1990年11月30日
定価 5,800円
判定 なし
ポイント FC版グラディウスシリーズの中では最も業務用に忠実
その代償として処理落ち・チラツキが頻発
ちちびんたリカが無念のリストラ
グラディウスシリーズ

概要

1990年4月25日に稼働した『パロディウスだ! ~神話からお笑いへ~』のファミコン移植作品。
ファミコンへの移植に伴い『~神話からお笑いへ~』のサブタイトルが削除された『パロディウスだ!』名義での発売となった。

アーケードで好評を得ていたグラディウスシリーズの最新作がファミコンで遊べると聞いて大喜びしたプレイヤーも多かったのだが…

システム・変更点など

  • 基本的なシステム自体はほぼAC版と同様なので割愛。FC版での変更点を以下に記す。
  • ステージ構成
    • 計7面。AC版の10面のうち4つ(4・6・7・9面)をカットし、オリジナル面(遊園地)を3面に追加している。
      1 2 3 4 5 6 7
      AC1面(海賊) AC2面(ピエロ) 新規(遊園地) AC3面(お菓子) AC5面(モアイ戦艦) AC8面(北極) AC10面(要塞)
      • 3面「速いぜ!ジェットコースター!」:遊園地をモチーフにしたステージ。観覧車やジェットコースター、バイキングといった遊園地の遊具をモチーフにした敵やギミックが多く登場。
        ちなみに、ステージ内のジェットコースターの敵を倒し空になったジェットコースターに乗る事によって、中ボスまで高速スクロールで進む事が出来る。ボスは便器をモチーフにした「ウーンボットン」。
    • 更に今作ではFCへ移植されるにあたって、7ステージ中4ステージで特定の条件を満たすことにより隠されたステージに行く事が出来る、所謂「エキストラステージ」も追加されている。
      • 1面:ステージ内の天井を破壊する事で侵入。空の上をモチーフにしたエリアで、初代『グラディウス』3面のマザーのパロディの雲形の敵が登場する。
      • 3面:ステージ内の壁を破壊する事で侵入。AC 9面(墓地)をアレンジした物で、同ステージで特徴的だった鬼火の大群や同ステージボス「吉原ダユー」をモチーフにしたボスも待ち構えている。
      • 5面:モアイ戦艦の最初に登場する「よしだ君」の破壊した上で口の中に入る事で侵入。モアイ戦艦の内部を探索するという、MSX『グラディウス2』の戦艦内部を意識した様な作りのステージ。もちろん登場する敵は全てモアイ。
      • 6面:AC版における氷づけのゴーレムがいた場所にある入り口から侵入。AC版4面で特徴的だったグラディウス名物「火山噴火」が待ち構える他、AC版では氷づけにされていたミニゴーレムも登場。
      • また、各エキストラステージの最後では操作中の自機を別のキャラに変更する事が出来るカプセルを獲得する事が出来る。
  • 難易度選択
    • 本作では自機とパワーアップモードを選択した後にゲームの難易度を選択してからゲームを始める形式。
    • 難易度はEASYからHARDまでの3段階。
    • 難易度が高いほど敵も強くなるのだが、HARDでは1面から打ち返し弾が発生する様になる関係でクリア自体も困難になる。
  • 白ベルの効果変更
    • 白ベルはAC版では台詞で攻撃するメガホン攻撃だったが、FC版では取得すると自機が1upする効果に変更された。

評価点

ファミコン版「グラディウス」シリーズで最も業務用に近い内容であること

  • 「FC版グラディウスII」から更にアーケードに近くなった自機の装備。
    • 「ビックバイパー」はレーザーこそ『沙羅曼蛇 (FC)』と同様のまま(後述)だが、『グラディウスII』で4個装備が実現していたオプションのグラフィックがAC版により近い物に書き直され、バリアもフォースフィールドからシールドに変更。
      シールドは見た目こそはAC版に似ているが実際は自機の全身を覆うタイプが採用されていたFC版『グラディウス』とは異なり、前方のみを防ぐタイプになっている。
      レーザーは当たり判定・グラフィック共に『沙羅曼蛇 (FC)』の物と同様だが、レーザーの長さがAC版と同様に変更。
    • 『グラディウスII』の4番装備ことタコのリップルレーザーは、これまでのFC版グラディウスシリーズでは地形などに当たってしまうと消滅してしまう事からAC版から大幅に弱体化してしまい、所謂「罠装備」として扱われていた。だが、本作のリップルはAC同様に地形に当たっても消滅しなくなった他、全体的に敵の耐久力も『グラディウスII』から低下していることも相まって、結果的にAC版同様の性能へと改善された。
      加えて、バイパー同様に前方シールドも存在している事から、こちらもAC版の装備を再現。
    • バイパー、タコ以外の2体も大体AC版の装備を再現している他、前2作で採用された2段階方式のパワーアップも廃止されているため、装備内容及び機体間バランスはおおむねAC版と同等と思っても良いだろう。
  • よりアーケードに近くなったステージ・ボス
    • これまでのファミコン版グラディウスシリーズは『沙羅曼蛇 (FC)』3面ではアーケード版のプロミネンスや火炎弾に加えてファイヤードラゴンが登場していたり『グラディウスII』3面では火山とクリスタル面が統合されていたりと、オリジナル色が強い構成だった。
    • しかし、今作はよしこのミサイルや2面中ボスといったグラフィックの差し替えこそあるが、基本的にステージの地形や構造、仕掛けに敵配置や背景といった要素の多くがアーケード版をなぞっている。ボスキャラもパターンや動作など基本的に業務用を忠実に再現しているため、これまで以上に業務用に近い内容のステージをファミコンで味わう事が出来る。
    • 特筆なのが『グラディウス』の要塞ステージのパロディである最終ステージ「タコの要塞」。
      • 『グラディウス』がACからファミコンに移植された際の要塞ステージは、当時のロム容量の都合なのか電磁バリアやシャッター前の触手がカットされたりラスボスのゼロスフォースも自爆を待たなければ倒せない仕様に変更されていたりと、お世辞にもAC版とかけ離れていた内容であった。
        だが本作における「タコの要塞」は、ロム容量の増加や技術力の向上によってファミコン版グラディウスでオミットされていたそれら要素をAC版に忠実に再現されている。
        要するに「初期の作品で出来なかった事を時を経たうえでリベンジを果たす」という点を主役機のビックバイパー共々このステージで実現していて、結果的にFC版グラディウスシリーズの最後を飾るのに相応しい面と化している。
    • 各ステージ内のBGMはファミコン版『グラディウスII』からの流用や一部楽曲の削除こそ見られるものの、こちらも比較的AC版に近い内容の楽曲を使用している。

本作以前のグラディウスシリーズは家庭用ハードで業務用に近い内容の作品をプレイするにはX68000といった高価なハードを利用しなければならなかった。
だが、安価で購入出来るファミコンに移植された本作の登場によって、業務用に近い内容の作品を家庭用ハードで気軽に楽しめるようになったと言えよう。

その他

  • 隠しステージの追加
    • FC版グラディウスシリーズはMSX版のように隠しステージを追加する事が無かったが、本作で遂にエキストラステージが実装された。
    • 家庭用版グラディウスシリーズにおけるエキストラステージは、ステージ内のギミックや構造自体はそれぞれ各ステージ固有ではあるのだが、地形の素材や登場する雑魚敵は他のステージと共通の物が流用されていた。だが、それらに対して本作のエキストラステージは、地形や背景の素材に固有の物を使用、雑魚敵もステージ毎に専用の物が登場する点から、非常に個性が豊かになっている。
    • 各エキストラステージはBGMがAC4面ボスの物に変化する他、3面(遊園地)ではACの9面(墓場)が6面(北極)ではACの4面(日本)がそれぞれ再現されていたり、5面はMSX『2』の戦艦内部を彷彿とさせる構成、1面では初代グラディウス3面を彷彿とさせる耐久力の高い雑魚が登場するなど、小ネタも非常に豊富。
    • 各エキストラステージのラストに存在する操作中のキャラクターを他のキャラに変更するカプセルを利用する事によって「ゲーム途中でエキストラステージ内でカプセルを取得し別のキャラクターに変更してから後のステージを攻略」という様に、一風変わった戦略性のプレイも可能に。またこの仕様を利用し特定機でオプションを7個にするバグ技がある。

賛否両論点

  • 配色について
    • 本作は内容自体は上述の通り業務用を再現しているのだが、流石にスペックの劣るファミコンでの発売らしく配色の再現が難しかったようで、AC版から見たら違和感のあるカラーリングに変更されている。
  • 白ベルの効果変更
    • 原作における白ベルを取得すると使える「メガホン攻撃」は使い勝手こそ非常に悪いが表示される台詞が非常におバカな物で構成されている事から、パロディウスにおける象徴的な存在の一つに分類されていた。
    • だが、ファミコン版で効果が1UPに変更されてしまった事により使い勝手こそ良くなったが、その反面としてお笑い成分も薄れてしまった事は賛否が分かれる。
      • ファミコンの描画性能を考えれば、横に長いセリフをちらつき無く表示するのはまず不可能であるため、仕方のないことではある。
  • ステージ3について
    • 本作のステージ3はFC移植に伴い新規で追加されたオリジナルステージで、観覧車状の砲台や接触すると高速スクロールになるジェットコースターといったステージ内のギミックやボスも非常に独特。
    • なのだが、今作のステージの多くは比較的AC版に忠実な内容が中心であることに対して今作オリジナルのステージ3は浮いて見えてしまいやすく、AC版のプレイヤーから「蛇足」と捉えられがち。
    • ちなみに、同ステージではルーレットカプセルが多く配置されていて、ジェットコースターも利用すると高速スクロールになるのだが、これら要素がFC版でカットされた6面の代わりとして見るには焼け石に水程度と言わざるを得ない。
  • EDの内容変更
    • 本作のEDはAC版からOP曲のボーカル版である「パロディウス音頭」が流れる物に差し替えられている。
    • ED内容自体はパロディウスに相応しい非常に愉快な物だが、AC版に思い入れのあるプレイヤーから「ここは変えて欲しくなかった」と言われてしまう事がある。

問題点

  • 処理落ち・チラツキが多すぎる
    • 本作を少し遊ぶすると大体分かる点だが、ゲームプレイ中に頻繁に処理落ちやスプライト欠けが起こってしまう。これによってゲーム自体も遊びにくいと言わざるを得ない。
      • 何故、本作が処理落ちやチラツキが多すぎるのかというと、その理由はそもそものゲーム内容にある。
        というのも、これまでのFC版グラディウスシリーズではハード特有の低容量を補うためか、業務用の再現を止めてオリジナル要素を中心の作りに変更しキャラのサイズも縮小化させた事によってスプライトを上手く抑えていた。
        だが、本作はキャラクターや背景、自機の装備を業務用とほぼ同じ内容で再現してしまったことから、結果的に処理落ちやスプライト欠けが頻繁に発生するようになってしまったという。
    • ファミコンで無理して業務用を再現しようとせずに、前作同様、オリジナル要素を中心にすれば良かったのに…
  • 使いづらくなったベルパワー
    • AC版『パロディウスだ!』では赤(菊一文字バリア)か青(スーパーボム)のベルパワーを所持している状態でミサイルボタンを押すとベルパワーを発動させる事が出来る事から、「いかにどの場面でベルパワーを使っていくか」という様な戦略性も存在していた。
      だが、FC版はボタン数の関係でショット及びミサイル発射ボタンが一つに統合されていて、ショットを発射する際にベルパワーも勝手に発動してしまう。これによってAC版から赤と青のベルパワーが使いにくくなってしまった。
      • ちなみに、本作の後に発売されたGB版でもこの問題は存在。従ってPCE版発売までの間でベルパワー関連が課題になる事に…
  • 2面中ボスについて
    • AC版の2面で中ボスとして登場する「ちちびんたリカ」はその巨大な姿や露出度の高い衣装、元ネタのクラブから受け継がれた腰振りが多くのプレイヤーにインパクトを残した。
      だが、当時の任天堂ハードに出演するにはあまりにもエロい姿だった事からリストラを喰らってしまい、代役として露出が低くデザインも無難な「ミス・ミシタリーナ」に差し替えられてしまった事はAC版のファンから批判されやすい。
      • なお名前の由来は「見したりーな(=もっと見せてやれよ)」という意味合いであり、スタッフ側からも変更は苦渋の決断であったことが窺える。
      • 更に同キャラの動き自体もAC版より格段に遅く、登場から撤退まで非常に時間が掛かりやすい。プレイヤーへのストレスも溜まりやすく、人によっては「本作最大の難関」と称されてしまう事も。
      • 結局ミシタリーナの登場はFC版1回限りとなったため、凡庸なデザインも災いしてかFC版の不満点を一身に受ける存在として挙げられやすい不幸なキャラとなってしまった。

総評

ファミコンにおけるグラディウスシリーズは1985年に発売された『グラディウス』から順当な発展を遂げていき、AC版の内容をほぼ忠実に再現した本作が終着駅となった。
このことから本作はハード性能を考慮すると良く出来た「技術力の結晶」ともいうべき作品ではあるのだが、頻繁に起こる処理落ちによってプレイしづらく、総合的な評価も落としてしまった。

とはいえ、本作は内容自体は良かったものの、致命的な欠点で評価を落としてしまった作品。
このため、「もう一工夫」さえあればファミコン版グラディウスシリーズにおける「有終の美」を飾ることが出来たかもしれない、非常に「惜しい」一作と言わざるを得ないだろう。


その後の展開

  • 本作発売後の1991年4月5日にゲームボーイに『パロディウスだ!』が移植された。
    • 同作はスペックの劣るゲームボーイながらアーケード版の内容を実によく再現している、かつ本作のような処理落ちやちらつきも上手く抑えられている点も相まって、多くのプレイヤーから好評を得る結果になった。件のちちびんたリカも登場が実現している。
    • それによって皮肉にも「AC版の忠実移植」を謳っていたFC版の肩身も大幅に狭まってしまう事に……。
  • また、本作発売の同年12月21日にスーパーファミコンに『グラディウスIII』が移植された。
    • 同作はファミコン版『グラディウスII』の流れを継いだアレンジ色の強い移植なのだが、上位ハードへの移植やアレンジの内容や難易度も絶妙だった事から、本作とは逆に好評を得る結果になった。
  • 同じくスーパーファミコンでは翌年の1992年7月3日に『パロディウスだ! ~神話からお笑いへ~』が再移植されている。
    • 当時の家庭用ゲーム機では最も移植度が高く、SFC版より後から出たPS/SS版に見られるような一部演出の移植漏れもない。
    • ちちびんたリカもGB版に引き続き登場が許されたものの、諸般の事情で腰振りダンスが削除されることになり、ベルパワー「メガホン」の台詞の1つに「腰振らせてよ!」という自虐ネタが仕込まれている。
  • また、本作発売後の1991年1月5日にコナミの人気キャラクターを起用したクロスオーバーお祭りゲーム『ワイワイワールド2 SOS!!パセリ城』が発売されており、その中でグラディウスをモチーフとしたステージがあるが、そのコミカルな作風から本作のパロディウスだ!をベースにした作風となっている。

+ タグ編集
  • タグ:
  • 1990年
  • FC
  • STG
  • 横シューティング
  • コナミ
  • グラディウス

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年03月27日 07:27