美少女戦士セーラームーンSuperS 真・主役争奪戦

【びしょうじょせんしせーらーむーんすーぱーず しんしゅやくそうだつせん】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 1枚
発売元 エンジェル
メガハウス
開発元 キッド
発売日 1996年3月8日
定価 5,800円
プレイ人数 1人~2人
判定 クソゲー
ポイント アニメ版への過剰尊重仕様
故にあまりにも遅い必殺技
ほぼ全要素で隙のないクソさ
ファンアイテムとしても微妙
BGMだけ素晴らしい
謎の歌い手の正体は……?
美少女戦士セーラームーンシリーズリンク


概要

当時少女を中心として社会現象に発展した漫画・アニメ『美少女戦士セーラームーン』の格闘ゲーム第3弾。3DO『美少女戦士セーラームーンS』のシステムをベースにしたアレンジ移植かつフルモデルチェンジ作品。
『セラムンS』は技などの一部の要素をSFC『美少女戦士セーラームーンS 場外乱闘!? 主役争奪戦』から引き継ぎ、本作はさらに多くの『場外乱闘』の要素を引き継いでいる。そのためどちらとも違った作風となっている。
プレイヤーキャラクターは、スーパーセーラームーンとスーパーセーラーちびムーン、そして内部四戦士と外部四戦士の合計10人。

ドジなムーンの代わりに、誰が主役にふさわしいか勝負で決めるというストーリー。
『セラムン』ゲームシリーズでは初となるプリレンダ3DCG+モーションキャプチャを採用している。

SFC『場外乱闘』は初心者から上級者まで楽しめる大変優れた格闘ゲームとして評価され、キャラゲーとして見てもグラフィックやBGM、迫力ある技演出も悪いものではなかった。
3DO『セラムンS』は格闘ゲームとしての評価は高くないが駄作とする声もそれほどなく、キャラを美しいセル画で描いているといったキャラゲーとして見ればおいしい要素が豊富である。
だが肝心のゲーム内容は格ゲーとして最低最悪の出来であり、キャラゲーとしてもすすめにくい紛う方なきクソゲーである。


問題点

CG

パッケージのムーンから独特なオーラが放たれていることから分かるようにCGのクオリティがひどい。

  • 電源をONにすると、いきなりとんでもないムービーを見せつけてくる。
    • 冒頭でムーン達がイバラに囚われているが、このシーンのムーン達が不気味極まりない。マネキンにしか見えず、得体の知れない不安感に襲われる。
    • 笑顔のはずなのに無機質で、ハッキリいって全然美少女に見えない。これではキショう女である。
      • タキシード仮面のアップは一瞬だけだが、その一瞬でヤバさを理解できてしまう
    • OPムービーはかっこよさを演出する意図は理解できるが、完全に技術が追いついていない。
      • 『セラムンS』のムービーの技術も低かったが、あちらは一部をアニメにしていたり、戦士達の必殺技演出の評判は悪いものではない。
  • ゲーム中はプリレンダモーションキャプチャーのセーラー戦士達が動く。こちらも全く可愛らしく見えない。はっきり言って気持ち悪い
    • 画面に比べて小さく描かれており、その分顔面崩壊している
      • さらに動き方がカクカクしているのにクネクネしている奇跡のグラフィックとなっている。
    • 勝利時はもちろん、敗北時にもポーズを取るのだが、本来なら可愛いポーズなのに微塵も可愛くない
  • 初回限定生産版はピクチャーレーベル。ムーンのCGが描かれている。だが全く嬉しくない
    • 通常版は戦士達の星の記号が描かれている。こちらの方が可愛い。
  • 何故こうなったかと言うと「当初は3DO版と同様のセル画にする予定だったが、お偉いさんが『流行りのCGにしよう』と提案したから」らしい。なんという失言をしてくれたんだ……。
    • 同年に同じコンセプトで発売されたPS挌ゲーの『あすか120%スペシャル BURNING Fest』はまともな美少女であるため、本作の美少女達がいかに酷いかよく分かる。

ゲームシステム

  • キャンセルシステムがない。華麗なキャンセルコンボは不可能。
    • あるにはあるが、連打キャンセル、バックステップ中に必殺技でキャンセル、小技を空振りキャンセルしての投げのみ。
  • 連打キャンセルの仕様がおかしい。
    • 連発中の技で固定される。例えば近距離用パンチで始動すると、遠距離になっても近距離用のパンチしか出せない。
      • もちろんパンチからキックに変更することも出来ない。
      • 当然立ち技としゃがみ技の変更も出来ない。
    • 回り込まれても振り向かない。隙だらけ。
      • 遠く離れた後ろにいる相手を攻撃しようと、近距離技を絶え間なく繰り出す姿はシュールである。
  • ジャンプ攻撃のヒット、ガード問わず、自分が跳ね返ってしまい、飛び込みコンボが不可能。
    • 着地ギリギリで当てれば跳ね返らずに済むが、着地のモーションが完了してニュートラルポーズに移行しなければ一切の行動が出来ないので、結局飛び込みコンボはどう頑張っても不可能。
      • ジャンプが組み込まれている必殺技は着地時の隙がほぼ無い(皆無?)が、それらの必殺技から追撃することは出来ない。
    • ジャンプ状態になる必殺技を連続ガードされると(?)、跳ね返りがかなり遅くなる現象がある。
  • 滞空中に攻撃を受けると問答無用でダウンしてしまうため、起き攻めの起点にされると辛い。うかつなジャンプは自滅行為に等しい。
  • しゃがもうとするとモーションを完了させなければ何も行動出来なくなる。
    • このせいでしゃがみ技が使いにくい。回避できる立ち技が少なくないことを考慮しても、通常技の差し合い、つまり地上戦に向いているとは言い難い。
      • 利用価値があるしゃがみ技は、スライディングを潰すための小足、一部の対空用大P、ダウンさせられる大足くらい。
    • しゃがみモーション自体が遅いという追い打ちもある。
  • しゃがみ状態から立ち上がる時にも、操作を受け付けない隙が出来る。
  • 相手が空中にいると、立大Pと屈大Pが勝手に対空用の技に変化する。
    • 便利だと思うかもしれないが、本作の対空技は信用しにくく、変化前の大Pの方を使いたい時は少なくない。
  • ジャンプ直後に技を出せない。判定が広いヴィーナスのPでさえ地上の相手に当たらない。挌ゲーのテクニック「しゃがみガードで強固な守備を維持する相手の守りを崩せる昇り技」は出来ない。
  • 振り向きモーションを完了するまでの間は何一つ行動出来ない。
    • 他のゲームよりも明らかにモーションが遅い。キャラによっては目測15フレームはある。
  • 後ろから攻撃されてダウンし、ダウン中に相手が正面に回ってきた場合、起き上がり後に相手が正面にいるにもかかわらず後ろに振り向き、やっぱり誰もいないので再び振り向くというマヌケかつ隙だらけな姿を見せつけてくる。
  • 食らいモーションの終了直前に謎の無敵状態がある。
    • 連打キャンセルはきちんとコンボになる。
  • ヒットやガードの硬直中にも投げられ判定がある。つまり小から投げを「ガードも回避も不能の連続攻撃」に出来る。
    • 投げを完全なるコンボのパーツとして組み込めるゲームは珍しい。
  • 相手を投げ飛ばす方向を選べない。
    • 全キャラ共通で投げコマンドが前進方向+大Pになっているせい。後退方向や大Kでも投げられたら良かったのだが。
  • 自分の飛び道具が残っている間は飛び道具を撃てないのは格ゲーでは普通のことだが、本作は飛び道具以外の必殺技も発動出来なくなってしまう不思議なシステムがある。
  • ダウンから起き上がる時、ニュートラルポーズになるまでは、小技などの一部の技に対してガード出来ない無防備な状態になっている。
    • ニュートラルポーズを経由する必要があるので、直接しゃがみやジャンプをすることは絶対に出来ない。ゆえに下段ガードやジャンプ回避が出来ない。
  • ガードの仕組みが摩訶不思議で混乱をさけられない。
    • ガードに移行する引き金となった技の動作が終了しなければ、ガードを解除することができない。
      • 相手がなにかの技を出す→ガード状態になる→ガードもしくは空振りする→技の動作が終わっていない→ガード状態のまま動けない→技の動作が終わったと同時にガードが解ける。
      • 逆に攻撃判定が残っていても相手の動作が終了していればガードが解ける。要するにガード不能技がある。
      • ガード開始から一定時間経過で一瞬ガードが解除される。しかも「ガード不可能になっているのであって、ガード動作自体を解除したわけではないから、ガード動作を完全解除して自由に動くことは出来ない」状態である。そのため出が遅い技の開始時にガードすると、何ひとつ行動できずに、攻撃判定出現の瞬間にガードが解けて喰らってしまう。ガード成功でガード能力有りの時間が延長されることもないので、小連打キャンセルをガード出来ずに喰らいまくる。
    • 各技にはガード移行可能な間合いが設定されている。ガード移行可能距離より、攻撃判定のリーチの方が長いとガード出来ずに喰らってしまう。
    • 攻撃判定出現がとても早い技を接近した状態で使われるとガードモーションへの移行が間に合わず、なすすべもなく喰らってしまう。
    • 全キャラのほとんどの技が上記の「技動作終了でガード不能」、「技開始時にガードで途中解除」、「遠距離で技開始でガード移行不可能」、「近接でガードが間に合わない」の性質を持っている。
    • 立ちガード状態だとしゃがみガードへの変更が不可能。逆も言える。
    • 相手に背を向けている時のガードの成否は、また別なものとなっている。
    • ガードの入力は「相手の反対方向にキー入力」ではなく「自キャラの向きと反対方向にキー入力」である。
  • 下段判定になっている技が非常に少なく、足払いですら立ちガードできてしまう。
    • どうやらキャラによって上段と下段の食らい判定が異なっているようだ。
  • 必殺技コマンドの説明が「右向き時の場合」であるのは他のゲームも同じだが、本作は「本当に右向き時の場合の入力」である。
    • 他のゲームは「キャラの向き」は無関係で、実際は「相手キャラの位置より左にいる場合であって、キャラの向きが左右どちらでも何の関係もない」である。本作は正真正銘「キャラが右を向いている」となっている。
  • 一歩進むという歩行モーションを完了するたびに一瞬立ち止まる。そのせいで歩行動作中の速度と比べて、実際の移動速度が遅く、クネクネしたキャラグラフィックにカクカクが追加される弊害にも。
    • 歩く動作を完了させなければ立ち止まらないかも、と期待してもムダで、小刻みに動いても一瞬立ち止まってしまう。
    • どういうつもりか、ほとんどのキャラが前進より後退のほうが速いミステリー仕様。
  • ここまでで悟った人もいるだろうが、モーションが完全に終わるまでは操作不能になるものばかり=動きがもっさりしていて、操作性もゲームテンポも非常に悪い。
  • ACSの項目が、攻撃がパンチとキックに細分化、投げ技が追加されて合計8つ。持ちポイントは難易度により15~30に変化(対戦モード時は30で固定)し、15まで割り振れるようになった。しかし1ポイントごとの強化は大したことがなく、ポイント配分のバランスも悪い。
    • 『場外乱闘』では合計6つ、1ポイントごとに約1.08倍に強化、最高で5ポイント、持ちポイントは10~20となっている。むだに種類が増え、相対的にポイントが減少したのに、効果が薄くなっている。
    • 説明書ではパンチ、キック、投げ技が「攻撃力を高くします」と全く同じの投げやりな説明文となっている。

ゲームバランス

  • 飛び道具系必殺技の出が遅すぎる。発射に数秒かかる
    • 「ボイスに合わせた、アニメを見ているかのような丁寧な演出」と言えば聞こえはいいが、テンポ感が重視される格闘ゲームにおいてがテンポを阻害するだけの要素でしかない。
    • 大で発動するとさらに隙が酷くなる。だが大でないとダウンさせられないものもあり、小で撃つ価値がなければ大で撃つしかない。そこまでするほど大に価値があるかは疑問だが……。
    • 弾の判定や軌道に個性があるが、それを利用した戦術を考える余地のないほど隙がある。
    • 実は弾だけでなく、体(にまとったエネルギーやかざした武器)自体にも攻撃判定がある。弾の発射前後でも命中させられる。一部は連続ヒットもさせられる。しかしそれで隙を補えているかと聞かれると……。
    • しゃがんだだけであっさり回避できたりするほど簡単にガードや回避が出来るが、操作性が悪いので甘くみているとガードや回避に失敗することもある。
    • アニメでは必殺技が遅い設定は無い。そうでなければ敵の攻撃がすんでのことで命中する時に必殺技を開始してギリギリ間に合う説明がつかない。
  • 超必殺技は通常の飛び道具よりも隙がある。キャラの組み合わせによっては、画面端で発動させたのに、画面端にいる相手が接近してきて、何もできずに超必殺技をつぶされてしまうほどである。使い物にならない。
    • そのかわりに威力が高い。それもACSの力を借りずとも約半分の体力を奪ってしまう壊れた威力である。
      • ガードさせればいい方だが、削り量はかなり少ない。
      • ガードの仕組みが特殊なので、近すぎていたり、逆に遠すぎるとガード出来ずに直撃する。
    • 超必殺技は飛び道具ばかりで面白みに欠ける。
  • 飛び道具属性ではない体術の必殺技もあるが、多くは飛び道具よりはマシ程度の性能。
  • 全体的に通常技のリーチが短い。武器を持ったプルートとサターンですら何の冗談かと疑うほど短い。
    • ヴィーナスの遠立大Pはチェーンによる攻撃でリーチがトップクラスなのだが、そんな技でも画面全体で考えると短いとしか言えない。
    • しゃがみ技は立ち技よりもリーチが短いものが多く、しゃがみ動作が完了するまで行動不能になるのも相まって、大足等の一部の技しか使い道が無い。
  • 対空技の判定が真上にしかないものが多く、少し遠くからの飛び込み技を迎撃出来ないことがしょっちゅうある。
    • 「相手が空中にいると勝手に変化する大P」の中には真横にしか判定がないものがある。対空として活用出来ない対空技とは何なのか。
  • 空中戦の意義が薄い。
    • 空中技は小なら動作が素早いが攻撃がすぐに終わって威力が低く、大なら持続が長くて威力が高いが動作が遅い。ここまでは妥当な設定だが、飛び込みコンボが不可能であっては空中被ダメ→ダウン→起き攻めによるハメの危険を無視出来るほどの利点は少ないとしかいえず、飛び道具等の隙を突いて一発当てる、という使い方しか望めない。
      • いくら対空技が使いにくくとも、飛び込みコンボを警戒する必要は無い。あえて攻撃せずに飛び込んでガードを固めた相手を投げるいわゆる空ジャンプ戦法も「着地モーション完了まで身動き出来ない」という仕様によって役立たず。他のゲームでは基本の「地上の対空技が弱ければ、空中技で迎撃すればいい」は、ジャンプ直後に技を出せないシステムの本作には当てはまらない。よって確実に迎撃できる状況でなければガードで安定してしまう。
      • J技が終了したら再び技を出せるシステムだが、それを活かせる状況はまずない。
  • 前述で軽く触れていたが、モーションが終了するまでの間は移動も技もガードもできない無防備な状態になっているものだらけ。そして起き上がり時にガード不可能な技の中には転倒効果付きのものがある。つまり起き上がりに転ばせる技を重ねるだけで、脱出不可能な、完全なるハメが成立する。そしてハメ技は全キャラが持っている
    • 格闘ゲーム界の『デスクリムゾン』と呼ばれる有名クソゲー『THE MASTERS FIGHTER』でも採用されているが、本作のほうが先取りしている。
      • あちらはタイミングがシビアなのだが、本作は「振り向き動作が完了するまでに攻撃を食らった場合は、振り向く前の方向に戻された上に振り向き動作をはじめからやり直さなければいけない」システムなので、一部のキャラのハメはとっても簡単にできる。
      • 理論上は「振り向き動作中の完全無防備な瞬間に大足を当てる」でどのキャラでも大足ハメが成立するが、振り向き開始と同時に大足を開始して、振り向き終了より先に大足を当てるのは困難か不可能。
    • 無抵抗の相手を延々と、いや、永遠にハメられるのは格闘ゲームとしてバランスが壊れていると言わざるをえない。
      • 「全員がハメ技持ちなら、不利な相手でも終わらずに済むから、逆にバランスがとれている」と考えることもでき、実際に『サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣』がそのバランスであるとされているが、本作では通用しない。何故なら通常技のけん制力に欠け、情けない性能の必殺技しかなく、移動能力も起き上がり速度もダメなちびムーンがあまりにも弱いからである。
  • セーラー戦士達の特徴及び問題点
    + 長いので折り畳んでいます
  • 月野うさぎ(スーパーセーラームーン)
    • 通常技が使いやすく、起き上がりが早い。「ムーン・ティアラ・アクション」は飛び道具としては高性能だが役立つかは何とも言えない。「ムーン・スパイラル・ハート・アタック」は存在意義が不明なほど隙だらけ。「お願い!銀水晶!!」は飛び道具属性の対空かつ無敵技だが、横への判定が狭すぎる。超必殺技の「ムーン・ゴージャス・メディテイション」は驚愕の隙がある代わりに威力が高くて謎の無敵時間を持つ。
      • ハメ技は大足。ただし通常はヴィーナスにしか通用しない。しかし画面端を背にして、投げで相手を画面端に飛ばして、後方から大足で全キャラをハメられる。そのかわりガード不可能及び大足が連続で当たって二段目がガード不可能になる間合いはシビアで、大足の先端がギリギリ当たるようにする必要がある。
    • ちびうさ(スーパーセーラーちびムーン)
      • 最弱キャラ。通常技の判定が狭すぎて差し合いが非常に不利で、長所の食らい判定の狭さのみではいかんともしがたい。他のゲームのチビキャラと違って移動性能も劣悪。起き上がりが遅いのも厳しい。「ピンクシュガー・ハート・アタック」も「ルナPアタック」も意味不明性能。空中必殺技の「スウィンギング・マシュマロ」は空中技で跳ね返るシステムと空中で静止して「スウィンギング」とゆっくり言い終えてから攻撃する物理法則無視かつ無駄な演出のせいで使わない方がまだマシなレベル。超必殺技の「トゥインクル・エール」は高威力+ガード不能+追尾性能だが、相手が前進したり、早めにバックステップするとガードか回避され、発動の遅さを狙われる危険もある。小足を連発された瞬間に、何も出来ずに敗色濃厚という凄まじいキャラ。
        • ハメ技である大足がスライディングなのでこれさえ当たってくれれば勝ち目を見いだせるかもしれない。だが、相手にめり込んで左右の位置が入れ替わり、しゃがみ状態での振り向きの遅さとスライディングのリーチの問題でハメられなかったり、それを回避するための「しゃがみから立ち動作→振り向き動作→しゃがみ動作」も遅かったり、正面からでも歩行の遅さで起き攻めが間に合わなかったり、そもそも小足連発の壁に大足を阻まれたり……。なおサターンには不安定(フレーム単位で上段と下段が変化するのか、他に条件があるのかは不明。)で、ちびムーンとプルートに対しては大足ハメが効かないが、ちびムーンには近小K→投げハメが有効。
    • 水野亜美(セーラーマーキュリー)
      • 全体的に小のリーチが短く、けん制は大振りな大がメインになるが、大足は判定も動作も優れている。移動と起き上がり速度も優秀。シャボン・スプレーは使い道があるか怪しい。「シャイン・アクア・イリュージョン」は判定の広さとダウン性質があるが、隙が大きい。「リバース・ブレイク・ステップ」は移動技かつ接近して出せばガード不能というネタがあるが魅せ技の域を出ない。「マーキュリー・アクア・ラプソディー」は使えない超必殺技。
        • 画面端に追い詰めて小イリュージョンの発動及び発射直後を当てるのがハメ技で、全キャラに有効。威力が高いのでハメ殺すまでに時間はかからないが、何回もタイミングよく発動するのは難しいか。
    • 火野レイ(セーラーマーズ)
      • 通常技のリーチが長く、JPはお札を投げる技なのでリーチがある。起き上がり速度に問題あり。必殺技は全てダウン効果を持つ。「ファイヤー・ソウル」はしゃがみで回避されるのが辛い。弾を何発も撃つ「バーニング・マンダラー」は発射さえ出来れば強い。「ファイヤー・ヒール・ドロップ」は隙が少なくてダウンを奪える、使い所がある貴重な必殺技のひとつ。「マーズ・フレイム・スナイパー」は判定が狭く、ちびムーン相手だと立っていても回避されておしまいという超必殺技。
        • 画面端を背にして、逆に相手を端に投げ飛ばして、後ろから大足ハメできる。ガードされない間合い調節はムーンよりは易しい。また正面からでも、遠距離から(?)大足の二回目の判定(連続ヒットではなく、二回目に発生する攻撃判定。)を当てれば全キャラ(?)をハメられる。
    • 木野まこと(セーラージュピター)
      • 攻撃力が高く、投げの隙が小さくて起き攻めしやすく、起き上がりが早い。反面通常技が遅いものが多い。「シュープリーム・サンダー」と「スパークリング・ワイド・プレッシャー」はダウン性質を考慮しても使えない。「ジュピター・ダブル・アクセル」は移動かつ対空技だが活躍するかは不明。「ジュピター・オーク・エボリューション」は上下左右に弾を撃つが低威力で、バックステップであっけなく回避される悲しい超必殺技。
        • 画面端に追い詰めて近小P(ちびムーンにはK)→投げでハメられる。ただしサターンには通用しないあるいは困難。大足がギリギリ届く間合いからなら全キャラに対して大足ハメ可能?
    • 愛野美奈子(セーラーヴィーナス)
      • 通常技の使い勝手は良くないが、遠立大PとJPのチェーンの判定がトップクラスの強さで、大足の性能も良好。対空屈大Pは攻撃判定が設定されていないと思われる(!)。起き上がりが遅い。全キャラでハメ耐性がワースト1なのが難点。「クレッセント・ビーム」はどこで使うべきか不明。「ヴィーナス・ラブ・ミー・チェーン」は飛び道具属性で無敵付きの対空技だが、横への判定はほとんど無い。「ヴィーナス・ウィンク・チェーン・ソード」は飛び道具性質で出が遅いが、後半の波動がガード不能。「ヴィーナス・ラブ・アンド・ビューティ・ショック」はごく普通の無用な超必殺技。
        • ムーン、マーキュリー、ジュピター、ヴィーナス、ウラヌスに対して正面から大足ハメが可能。ちびムーンは近小K→投げでハメられる(ネプチューンはムリか激ムズ。)。起き上がりに小ソード→チェーンをガード→ガード不能の波動が連続ヒットしながらヴィーナスに近づく→大足→小ソード~、のハメは不安定もしくは不可能。
    • 冥王せつな(セーラープルート)
      • どういう訳か武器の「ガーネット・ロッド」を使ったP技の多くがリーチが短い。対空立・屈大Pが横にしか判定が無くて理解に苦しむ。移動速度が速く、起き上がりが早い。サターンに次ぐハメられにくさを持つ。「デッド・スクリーム」はしゃがみで回避されない分、他の飛び道具より恵まれている部類か。「アクション・スピンスター」の使い道は特に無い。超必殺技の「クロノス・タイフーン」は上下判定が広いので、発動さえすれば高性能だが……。
        • プルートとサターン以外に近小K→投げハメ可能で、難易度が低くてやりやすい。
    • 海王みちる(セーラーネプチューン)
      • 技のリーチが短いものの動作の早さは優秀で、特に大足の早さはトップ。通常技と違って、起き上がり動作は長い。「ディープ・サブマージ」は見た目より判定が狭い役立たず飛び道具で、たったちびムーンに当たらずに接近され、大足でハメられてしまう。「スプラッシュ・エッジ」は一瞬無敵になる対空技で使い道のある必殺技だが、攻撃中にもかかわらず地上技で叩き落されてハメられる危険が常に付きまとう。「サブマリン・リフレクション」は弾の出現から発射までに無駄に時間がかかる、どうでもいいただの超必殺技。
        • 後ろに投げて画面端に追い詰めて、背後から大足ハメできる。難易度はマーズと同程度。さらにマーズと同じ理由なのかは不明だが、正面からでも全キャラに対して大足ハメが成立する可能性がある。
    • 天王はるか(セーラーウラヌス)
      • 最強キャラ。通常技のリーチも動作も優秀。大足のスライディングはちびムーンと同じく上段下段の判定が安定しないが、ちびムーンより高性能。攻撃力が高い。移動が素早い。投げの隙が小さく、大足ハメや投げハメに移行できるほど投げ飛ばし距離が短く、相手は背を向けるのでハメ維持も簡単。弱点は起き上がりが遅く、ヴィーナスに次ぐハメ耐性の無さくらい。「ワールド・シェイキング」は存在理由皆無の飛び道具。「ウラヌス・ワールド・アタック」は判定が広い、長い移動距離、高威力、ガードされても多段ヒットで削れる、隙が小さい、大でダウン、反撃されても地上食らい判定になりやすい、一方的に負けることが少なくて大体相打ちになる、変なガードシステムのおかげで空振りしても強制ガード+ガード不能の高性能技。一方的に負けてダウンすることもあるので下手したらハメ殺されるが……。「スペース・ソード・ブラスター」は超低性能な超必殺技で、遠近問わずガード不能効果が全く無くて使ったら後悔する。
        • ムーン、マーキュリー、ジュピター、ヴィーナス、ウラヌスに対して大足ハメが有効。ちびムーンには近小K→投げのハメが有効で、マーズ、プルート、ネプチューンにもギリギリでハメられる。
    • 土萠ほたる(セーラーサターン)
      • 武器のサイレンス・グレイブの存在感が全く無いリーチの短いP技の数々。遠小Pが距離によっては攻撃判定出現時間の長さから2ヒットするが、だからなんだというレベルである。近立大Kはハイキックからの回し蹴りの二段だが、ちびムーン以外には食らいモーション終了直前の無敵のせいで必ず二段目が空振りして反撃確定になる体たらく。移動が遅ければ、起き上がりも遅い。ガード動作時と違って、食らい動作時に投げられ判定が無いか狭すぎる可能性があり、そのおかげで投げハメを回避できる。「デス・リボーン・レボリューション」は飛び道具性質だが弾を発射せず、さらには体の攻撃判定が狭すぎて、相手が密着して技を出してくれて食らい判定を広げて貰わないと絶対に当たらない。「サイレンス・ウォール」は一定時間自分の周囲に飛び道具性質のバリアを張り、上手くやればバリアからの地上技がコンボになる。しかしマーキュリーの大足などのリーチが長い技で一方的に攻撃されてしまう。必殺技に発射系飛び道具を持たない代わりか「サイレンス・グレイブ・サプライズ」は超必殺技の中でトップの発射速度を持つので、何とか当たるチャンスが見つかるかもしれない。
        • 画面端に追い詰めて小レボリューションでハメが可能。マーキュリーの小イリュージョンハメと同じくタイミングを合わせるのは難しくて、相手によっては成立しない?その場合でも、画面端に追い詰めて投げたあと、後ろから大足あるいは近小Pからの投げあるいは小レボリューションで全キャラをハメてしまえる。ただし難易度は高いほうか。
  • 「ウラヌス>他のキャラ(あえて言えばウラヌスに唯一ハメられず、逆にハメてしまえるサターンが準強キャラ)>ちびムーン」と言えば悪い印象はないかもしれないが、キャラ格差は小さくない。
  • 結局本作は「劣悪な操作性に苦しみ、必殺技はほとんど使わず、超必殺技での一発逆転を望むことすら叶わず、危険な空中技は極力控え、不安定なガードにおびえながら、使いにくい通常技の中から限られたマシな性能の技で地味な地上戦をして、どちらかがダウンしたらハメに入って、さっきまでの地道な差し合いがどこ吹く風の一方的で単調で退屈な展開になる」に集約される。
  • CPUは起き上がりに大足を絶対にガードしない。簡単にハメ殺せてしまう。
    • 通常の攻略ではもちろん、リアルタイムアタックを目指す時にも重要となる。だが終始代わり映えしない単調なプレイで、ネタプレイにすらならない。
  • CPUは基本的に弱いが、一部の思考が凶悪。
    • 意味なく技を空振りしまくるのだが、接近してこちらが何か技を出そうとすると有無を言わさず投げてくる。
    • プルートは平然と投げハメをしてくる。
    • 一部のキャラの思考は共通しているようで、延々と大足を繰り返すシュールなパターンが用意されている。
      • 大足連発の優先順位は高くないので、こちらから手を出せばすぐに解除するのだが、油断するとちびムーンのスライディングでハメ殺される
  • 説明書には難易度によってCPUの強さが変わると書かれているが、難易度を変えてもCPUの強さが全然変化しない。
    • 難易度による変化は、ACSの持ちポイントのみとなっている。
  • ACSで設定するハンデとなるおちゃめの効果がハンデになりすぎている。
    • 15まで上げると発動確率が尋常ではなくなり、発動タイミングが「ジャンプの着地直後に再びジャンプしないでいる」「歩行しようとした瞬間」というように『場外乱闘』よりも増えている。何とニュートラルだと時間経過でも発動してしまう。
      • おちゃめポーズに攻撃判定があるが頼りになるはずもなく、プレイヤーの腕にあまりにも実力差がなければ勝負にならない程のハンデ。
      • しゃがみ状態を維持すればおちゃめが起きないので、強力なスライディングが出来るウラヌスなら勝算がある。

その他の問題点

  • 説明書周りの不備
    • 説明書の技コマンド表はおろか操作方法解説ページにさえガード方法を記述していない。
    • 超必殺技の使用可能条件を説明していない。
    • 格闘ゲームで技等を隠すのはよくあることだが、コマンド表に超必殺技を載せているので、格闘ゲームになじみがない少女は初見では困惑するかも。
    • 説明書の技コマンド表に「オートモードではパンチボタンで発動」と書いてあるが、キックボタンでも発動する。
    • 説明書のマーキュリーのリバース・ブレイク・ステップのコマンドが間違っている。
    • 説明書のキャラ紹介でプルートだけ守護星の解説が抜け落ちている。
    • 説明書のストーリー紹介でいきなりちびうさを「チビうさ」と間違えていたり、説明書の各キャラの声優紹介で、アルテミスが「アルテミス」になっていたりと誤植が多い。
  • ロードが数秒間もかかる長さな上に頻繁に行われる。
    • 例えば電源ONからオプション設定し、タイトル画面に戻る一連の動作で、OPムービー→読み込み→タイトル画面→オプション→読み込み→戻る→読み込み→タイトル画面、ということになる。
    • バトルの前後の読み込みも頻繁。試合前のボイス→読み込み→試合終了→読み込み→勝敗ボイス→読み込み→試合前のボイス、こんな感じになっている。
    • ロード中はルナPが表示される。BGMが一切流れない無音、黒い背景、濃い陰影+生気のない瞳でこちらを見つめる無表情のルナPが数秒間も映し出されるのは軽いホラーである。
  • 練習モードで、2P側のコントローラでポーズしても2Pキャラの必殺技コマンド表を確認出来ない。
    • 『場外乱闘』ではきちんと確認できたのだが……。
  • ストーリーモードで外部戦士が使用出来ない。
    • 『場外乱闘』と同じく、後半に外部戦士達が飛び入り参加する展開上仕方ないことではある。
      • ウラヌスが「主役のポジションに興味がある」と発言する。なら使わせてよ、と思う人は多いだろう。
    • 対戦モードなら、対人でも対CPUでも外部戦士を使用できる。当然練習モードでも使用可能。
  • ラスボスは星ひとつ破壊する力を秘めたサターンではなく、ウラヌスである。
    • 『場外乱闘』でも外部三戦士のリーダー格のウラヌスがラスボスであったが、サターンを差し置いてまでラスボスにするべきなのか?
    • ムービーの内部と外部の戦士たちの必殺技演出ではサターンがトリだが……。
  • ACSで強化した能力を、キャライラストの頭上にある、赤色の四角い物体の長短で表しているのだが、ただでさえ伸びた部分が何の項目と対応しているか一切説明されていないのに、ムダにグルングルン3D回転していて訳が分からない。
  • カメラワークが遅く、キャラの動きに反応しにくい。
    • ステージの中央で戦っているのに、ステージの端をずっと映しつづける光景は珍しくない。
  • ボイス面の問題
    • 気が抜けるもしくは動作と合わないほど熱のこもったボイスが多い。
    • 「ホイッ!」、「たぁ~」、「わーい(棒読み)」といったやる気が感じられないボイスで全身脱力してしまう。大げさな断末魔や『北斗の拳』のように叫びながらちょびっとだけしか動かないウラヌスのスライディングボイスは失笑モノである。
    • 試合前後のボイスは、無意味に小声なものが多い。
      • 特に外部戦士はボソボソ喋ることが多く、聞き取るにはテレビの音量を上げなければいけない。
    • ボイスをスキップできない。
      • 第二ラウンド以降もタキシード仮面たち審判の試合開始のボイスが流れるほどボイスが頻繁にある上に、長いセリフだらけになっている。
  • キャラクター同士が密着状態になっている時のおかしな挙動
    • 密着状態で前進し続けるとキャラがめり込んで急に左右の位置が入れ替わる現象が起きる。
    • 密着してお互いに前進すると、キャラの歩行速度に関係なく1Pキャラが2Pキャラをグイグイと押し込んでいく。
    • 相手がしゃがんでいると、密着して前進してもお互いに位置が全く変わらない。
  • 画-面端付近で密着していると画面中央側のキャラが何故か前方ジャンプ出来ない。
  • 投げによるKOで負けポーズをとらないバグがある。
    • 確認できているのは、マーキュリー、ネプチューンの投げでムーンをKO。ジュピター、ネプチューンの投げでちびムーンをKO。
  • キャライラストの画力が今一つ。
    • キャライラストのムーンの顔が離れ目になっていたり、ムーンとマーズの怒り顔が無表情時との変化に乏しく不自然に見えたり、勝利イラストの向きが1P2Pとも同じ向きになるバグや、勝利ボイスとイラストが噛み合っていないなどの不整合もある。
  • ステージセレクトが不便。画面上部に各ステージが表示されているが、そこに何を選択しているかのカーソルは表示されず、現在選択中のステージは画面中央に表示される。
    • これの何が不便かというと、画面中央を見て選択中のステージを確認してから、画面上部の各ステージの位置関係を確認しないと、満足にステージ選択することができない。
    • なおステージ選択の初期位置は一番左上にあるウラヌスステージ。普通は主人公のステージが初期位置だが……。

評価点

  • 見た目と実際の攻撃、食らい、投げられ、存在判定の差がほとんど無い。モーションに合わせて、驚くほど細かく設定されている。
    • だからこそ問題のあるキャラと技が存在するのだが、大幅な差があるゲームよりは良心的。
  • 必殺技と超必殺技の簡易コマンドがある。
    • だが必殺技に依存しない戦いが求められる本作では少し嬉しい程度に留まる。
      • マーキュリーやサターンでハメをするつもりなら大変ありがたい。
  • キャラのセリフは面白く出来上がっていて、ボイスも引き分け試合やコンティニュー時間カウントをはじめとして豊富に用意されている。
  • ジュピターの決めゼリフ「しびれるくらい、後悔させるよ!」が聴けるレアな作品である。
    • アニメ『S』では、デス・バスターズ幹部ウィッチーズ5のシプリン&プチロル戦の時のたった一回しか言わなかった。
      • 他の内部戦士と同じく一般公募から選ばれた決めゼリフだが、他の戦士は何回も言っている。
  • 必殺技の演出は上出来で、効果音もアニメを忠実に再現している。超必殺技は背景も凝ったものに変化し、十分に評価できる水準に達している。オリジナルの体術もそれなりにさまになっている。
    • サターンの「デス・リボーン・レボリューション」と「サイレンス・グレイブ・サプライズ」の立ち位置が逆転しているが、これはサターンのバトルポジションが特殊すぎて原作・アニメ・他のゲームで必殺技の描き方が見事にバラバラなので仕方ないところか。
      • サターンは戦闘の最終手段となりうる技を持つ設定からか戦闘描写が少ない。原作はデス・バスターズ編のラスボス戦から参戦して世界を滅ぼしてしまうレボリューションを使用し、次のデッド・ムーン編で通常の攻撃技としてサプライズを使用。アニメは『S』(デスバスターズ編)のラスボス戦で参戦したが詳しい戦闘描写はなく、本作発売の翌日から放送開始した『セーラースターズ』前半の「ネヘレニア復活編」のラスボス戦で「レボリューションの効果で、サプライズの名称の必殺技」を使用した。
      • なお防御技の名称は原作と同じく「サイレンス・ウォール」だが、後にアニメで使用した時は「サイレン・ウォール」に名称変更されている。
    • 「ムーンが幻の銀水晶を発動しているのに死亡しないのはおかしい」という声があるが、銀水晶の設定は原作とアニメで違っていて、死亡には条件があるので不自然ではない。
  • クリア後にキャラに応じてタイトル画面の題名、シルエット、星、スティック、ボイスが変化する。こだわりの演出は素直に嬉しいところ。
    • 『美少女戦士セーラーマーズSuperS』のボイス「おねがぁい」は可愛らしくて色気がある。
  • BGMの出来は素晴らしい。世界観に溶け込んでいる。
    • ムービー中に流れる、アニメでおなじみのOPソング『ムーンライト伝説』もアレンジされていて、ムービーをスキップせずに聴いているだけでも十分『セラムン』を楽しめる。

総評

ゲーム面で見れば適当に作ったとしか考えられないシステムとバランス、長くて頻繁なロードといった、格ゲーというかゲームとしてダメな部分が散見され、キャラゲーとしてみれば3DO版のセル画表現をわざわざ捨ててまで3Dに走った結果、奇妙なグラフィックとムービーがプレイヤーを萎えさせる。
到底クソゲーとしか言い表せない出来に終始しているのでは、通常のセラムンファンにも一般的な格ゲーファンにも到底受け入れられないだろう。


その後の展開

  • 本作発売から6ヶ月後、セガサターンで本作のマイナーチェンジ移植作の『美少女戦士セーラームーン SuperS - Various Emotion』が発売された。
    • 購入者特典として、本作で使用されたOVAのセル画が抽選で当たるキャンペーンが開催された。
    • ゲームシステムに変更があり、フロントステップ追加、ガード方法が方向キー入力式からボタン式に変更、キャラの動作が全体的に速くなった、ジャンプ技を当てても跳ね返らなくなった、KO時のスローモーションがなくなった等の変更により、展開がややスピーディー化して格闘ゲームとしての爽快感は多少なれど上がっている。外部戦士に新技追加、必殺技の性能変化などもある。また、ちびムーンのサイズが異常にデカくなり、キャラセレクト時のイラストもPS版のものから長さだけ伸ばしたので、違和感を禁じ得ない。
      • システム自体にテコ入れが加わった一方で、ゲームバランスがPS版よりさらに悪化している点もあり、超必殺技の攻撃判定の拡大+威力がACS無補正でも即死させるほどに強化+発生時に時間停止が追加されて極悪非道技と化した。相変わらず完全ハメも存在する。
    • 演出面では、テキストのみでボイスが無かった部分がアニメーションになった、一部のキャライラストの描き直し、キャラ選択画面等の背景とBGMの変更、ステージの一新、試合前後のイラストでボイスに合わせて表情が変わるといった演出の強化が行われた。最大の評価点はオマケモードでテレビアニメでは存在しなかったサターンの変身シーンが見られるところ*1*2
      • 逆に劣化した点は、ムービーの画質が劣化、試合中のボイスの音質の劣化、ロード画面のルナPの削除など。『セラムンS』と同様にクリア後に裏技コマンドが表示され、画面の構図も同じだが、本作ではボイスがなくなっている。またロードの長さと頻度の問題は未解決である。

余談

  • 『セーラームーン』の格ゲー化について、「少女漫画を格ゲーにするの?」「仲間同士で戦うの?」「脇役達は主役になりたがるようなキャラ設定なの?」「女の子に需要があるの?」というツッコミがされることがあるが、それには発売当時の時代背景が影響している。
    • 本作発売当時の90年代は『ストリートファイターII』を発端として格ゲーが社会現象になっていた時代であり*3、バトル要素がある作品は格ゲー化されまくっていた。セーラームーンが格ゲー化されたのもある意味必然であり、この作品以前にもベルトスクロールアクションなどが作られている。
  • 本作のムービーで主題歌の「ムーンライト伝説」が流れるのだが別人によるカバーであり、「原作者の武内直子氏が歌っている」説がある。
    • 原作者ではない別人説もあるが、どちらにしても確証がないため、真相は藪の中である*4
      • エンディングのスタッフロールでは歌手名のみ「?」と表記されている。なおSS版では歌手の欄そのものが記載されていない。
  • ゲームに限らず「一人ずつ登場する演出」は仲間入りした順であるのが普通だが、ムービーではマーキュリーよりマーズが先に登場している。ただしこれは本作に限った話ではなく、作品を見ていればマーズが目立つ理由は何となく分かるだろう*5
    • 外部戦士はプルートが最も早く登場したがレギュラー化は遅くて、ウラヌスがサターンを除いた外部三戦士のリーダーポジションで出番も多かった。
  • ムービーを制作したのは漫画家の岸虎次郎氏で、本人がtwitterで当時の状況を語っている。
  • 『セーラームーン』シリーズのCGムービーとしては、後年にリメイク版アニメ『美少女戦士セーラームーンCrystal』にて変身バンクに採用され、さらにユニバーサル・スタジオ・ジャパンの立体映像シアター『ザ・ミラクル4-D』として製作されている。
    • しかし『Crystal』のバンクはファンから不評で、第3期から手書きのアニメに変更されている。東映アニメーションは『プリキュア』シリーズで美少女アニメキャラのCG製作ノウハウを培っており*6、本作とは比較するまでもなくハイクオリティな映像に仕上がっているが、『セーラームーン』においてCGムービーは一種の鬼門のようである。
+ よくネタにされるOPムービー。熱意自体は伝わってくる


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最終更新:2023年05月20日 00:16

*1 サターンが参戦したのは『S』、『セーラースターズ』前半の「ネヘレニア復活編」と後半の「シャドウ・ギャラクティカ編」のいずれもラスボス戦で、合わせてたった3回であり、全ての戦闘で既に変身した状態で登場している。

*2 ただし、変身シーンは全キャラ共通で「最初の変身時のセリフの部分・最後の決めポーズの部分」しか見られない。

*3 原作・アニメ共にうさぎ達が格ゲーをプレイしている描写がある。

*4 原作者は握手会等で声を披露しているので、そういったイベントの音声データでも見つかれば真相に近づけるが……

*5 内部戦士達の中で唯一、マーズがムーンとおバカな争いを頻繁に繰り広げている。対してマーキュリー達はいつも仲良くしてくれている。

*6 目の大きさや鼻の簡略化など、本来の人体の構造からかけ離れたアニメ調キャラのCGモデル製作は難しく、現在でも課題となっている。