恋愛教室

【れんあいきょうしつ】

ジャンル 日常系学園ADV
対応機種 Windows XP~10
発売元 UnN/A
発売日 2017年8月25日
定価 8,800円
レーティング アダルトゲーム
配信 2017年9月8日/8,424円
判定 クソゲー
ポイント 2017年クソゲーオブザイヤーinエロゲー板次点
共通ルートは見所あり
個別ルートは軒並み薄い
シーン回想や音楽視聴モードなし
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概要

新規ブランド「UnN/A」の処女作。ブランドの読みは「あんえぬえー」
公式サイトで公開された16人のヒロインからユーザー投票を行い、上位4名がメインヒロインとして選ばれている。

発売日の翌日にヒロイン視点のエピソード追加とバグ修正のVer1.10が配信された。
2017年冬には3キャラが攻略できる追加パッチを配信予定だったが、配信前に公式ホームページは消滅した。

ストーリー

「はああっ……!」
ため息とも気合の注入とも取れそうな、そんな複雑な呼吸を教室の前で繰り返すひとりの男の子がいた。
ぎこちない動きに、いくぶんか緊張が見て取れる。
そして彼はぶんぶんと細かく何度か頭を振り回すと、意を決したように勢いよく扉を開け放った。
「おは――」 「あーっ、うわさの月島君きたきた!」 「うそっ、どこどこ!?」
さっそく、まるで珍獣でも発見したかのような扱いを受けてしまう彼。
しかしそれに対してリアクションを示す暇もなく――
「おはようございます♪」 「チィーッス!」 「月島様、ごきげんよう」 「月島先輩おはようございますっ」
「やあ、おはよう」 「んー……おはよ……」 「グッモーニンじゃ、おにーちゃん☆」 「は、はうっ……!」
――と、こんな感じで一定の距離を保ちつつも、クラスの女子たちが次々と集まってくる。
そう、月島と呼ばれた彼は紛れもなくこのクラスにおける珍獣なのだ。
昨年まで女子校だったことを考えれば、ノイズや異分子と言い換えてもいい。
……え? うらやましい? いやいや、とんでもない!
「ふんっ……ハーレムのつもりかしら?」 「死ねばいいのに」 「はは…… 参ったな」
(昨日の第一印象が悪すぎたのだろうか?)
そんなことを彼は苦笑いしつつ、脳裏で思い悩む。
結果的に彼という物珍しい存在は、この教室の学生たちを 3つの勢力に切り分けていた。
推進派、穏健派、そして保守派へと。
「さ、HRはじめるわよ~?」 「やばっ」 「じゃあね、月島君♪」 「ごきげんよう」
教室に入ってきた先生の鶴の一声で、野次馬気分のクラスメイトたちが各々の席へと足早に戻っていく。
「きり~つ」
――とくん、とくん。
まだ少し、胸の鼓動が激しい。 身体の芯のあたりが、わずかに熱い。
彼はしばしの間、自分の胸に手を当て…… そして微かに笑う。
「礼~」
委員長の号令で、今日もこうして学園生活が始まる。
まだ慣れない……昨日から始まった、この新しい日常。 新しい教室。 新しいクラスメイトたち。
もしかしたらこの鼓動は、これから始まる無限の可能性を感じてのことかもしれない――。
(公式より抜粋)

特徴

  • オーソドックスなノベルゲーム
    • 前述したようにヒロインは4人。
  • 選択肢
    • ゲーム開始早々いきなり10連続の選択肢から始まる。
      • これは主人公が質問攻めを受けるのをプレイヤーも体感する演出である。
    • その後は普通の選択肢が数回出る程度。狙いのヒロインに好感をもたれるような選択で個別ルートに入る。
  • ヒロイン視点のエピソード
    • エンディング後にタイトル画面の右下に表示されるアイコンをクリックすることで閲覧できる。
    • 短いエピソードのため、評価に影響するほどの要素ではない。

評価点

  • キャラクター
    • 二次元らしくカラフルな髪と特徴的な語尾などでキャラ付けされている。
    • そのためヒロインが16人もいながら個性はきっちり確立され、短い共通ルートを終えるだけでもキャラの見分けがつきやすい。
    • 男性である主人公も観察力の鋭さが光り、唯一立ち絵のある男性「柚木 歳太」も女装キャラとして個性を確立している。
  • ストーリー
    • 女子校へ異分子の男子が入る。という創作ではたまに見かけるジャンルだが、約半数が男子の入学に反対しているなど独自性はそれなりにある。
      • 主人公に否定的なヒロインも「祖父が愛した学園を大切にしたい」ともっともな意見をもっている。
    • ヒロインが積極的にエッチを迫ってくる個別ルートも、共通と切り離して割り切ってしまえばエロを楽しめる。
      • 飴を使うニッチなエロシチュエーションがある。珍しいので一応評価点としておく。
  • その他
    • 音楽やSEは無難な出来。ED曲は複数用意されている。
    • 共通ルートにおいては表情差分がそれなりにある。

問題点

ストーリー

  • 個別ルートに問題が集中している。
    • タイトルの「恋愛教室」あたりから雲行きが怪しくなり、いきなり教室で下着を見せ付けるヒロインなど突飛な展開が目立つ。
      • エロゲなのである程度は仕方がない。とはいえ、共通ルートでは自分の意見をしっかり主張していたヒロイン達が急に色気を出し始めるので違和感が強い。
    • 個別ルートが短い。
      • ヒロインが悩みを打ち明けられて解決法を探るオーソドックスな展開だが、問題を碌に解決せずハッピーエンドとなって終わってしまう。
      • 主人公の人格形成など掘り下げられそうな要素もほとんど回収されない。

システムの不備

  • シーン回想モードがない。
    • セーブデータは81箇所あるのでエロシーン直前でセーブして、擬似的に回想モードを作ることは可能。とはいえユーザーに余計な負担を強いるのは2017年のエロゲーとしては論外である。
  • 音楽を聴くモードもない。せっかくED曲が複数あるのに惜しい。こちらもセーブデータでやりくりする必要がある。
  • バックログ関連
    • ロードした場面より前はバックログに表示されない。
    • バックログジャンプがない。
      • 搭載していない他のブランドもあるが、やはりあるに越したことはない。
  • 選択肢
    • 演出の一環とはいえ、何度も無意味な選択をさせられるのは面倒である。

バグ・不具合

  • 初期バージョンだと個別ルートに入った直後に確定でエラーが起きて進行不可能になる。
    • Ver1.10で修正されたが、今度はスキップが場面切り替えごとに止まる新たな問題が発生する。
    • 現在は公式サイトが消滅したため、ミラーサイトでパッチをDLする必要がある。
  • 致命的な不具合は上記くらいだが、最初の選択肢からいきなり脱字があるなど細かい問題は多数存在する。Ver1.10でも修正されていない。

総評

16人のヒロインは総じてキャラが立っており、グラフィックや曲など褒めどころ自体はある。
しかし不備の多いシステムや短い個別ルートで大きく評価を落としてしまった。
そして追加要素が頓挫してしまったことで、価格と見合わないエロゲのまま評価が確定してしまった。


余談

  • 冒頭は「――先に言っておくけど、少し覚悟しておいてね?」である。
    • 女子ばかりの教室に入る主人公への喚起の台詞だが、サポート放棄された本作に対する皮肉のような台詞となってしまった。
  • 体験版
    • 「人気投票用紹介編」とサブタイトルが付けられており共通ルートを遊べる。
    • 評価点で述べたように、この辺りまではまずまずの出来である。なお最初の選択肢の脱字はこのVerからある。
    • パンモロはあるが、エロシーンはない。
  • パッケージには追加パッチを予告した用紙が封入されている。
    • ヒロイン視点のエピソード追加とバグ修正は発売当日に行うと書かれているが、実際は翌日となった。
  • 定額で30日間ゲームを遊び放題の「GAME 遊び放題 プラス」に本作が提供されている。
  • 有志によって、本作の発売元「UnN/A」の正体は過去に『逃避行GAME』や『雛といっしょ』で散々やらかしたブランド「Ex-iT」の残党であった事が判明した。
    • 公式ホームページ消滅と追加ルートパッチの頓挫に加えて、Ex-iT時代に積み重ねた前科が決定打となり、ユーザーからは「新ブランドを騙り、未完成品を売り逃げするのが目的だった」と断定されてしまった。
    • Ex-iTのブランドロンダリング疑惑は今回に限った話ではなく、2015年に『妄想コンプリート!』を出したブランド「Insync」も実質的にEx-iTが看板を変えただけだったのではないかと見られている。
      • 一応こちらについては、関係者が「別の組織である」と否定しているが…同作の評価と顛末を見るに、この申し開きの信憑性は限りなく低いと評さざるを得ない。
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最終更新:2020年05月14日 12:49