レナス 古代機械の記憶

【れなす こだいきかいのきおく】

ジャンル RPG

対応機種 スーパーファミコン
メディア 12MbitROMカートリッジ
開発元 コピアシステム
発売元 アスミック
発売日 1992年11月13日
価格 9,800円(税別)
書換 ニンテンドウパワー
1997年12月1日/1,000円/F×3・B×4
プレイ人数 1人
セーブデータ 4個
判定 なし
ポイント 異世界での冒険
HP消費で呪文を唱える
十字キー操作
レナスシリーズ : I - II


概要

惑星「ライガ」の衛星「レナス」が舞台のRPG。英語表記は「LENNUS」。
レナスの地表は「陸半球」と「海半球」に分かれており、陸半球は北の「ナスクオト」と南の「サスクオト」という大陸に分かれている。

ストーリー

コームはレナスに勇気をもたらした。
ソフィはレナスに愛をもたらした。
ガブニードスはレナスに知恵をもたらした。
我らレナスの民はとこしえにたたえん…
(過去にレナスに降り立った3人の勇者をたたえる歌)

魔法学校に通う少年チェズニは、ふとした事から敷地内に建つ「ガブニードスの塔」に封印された古代機械「ダル・グレン」を復活させてしまう。
ダル・グレンを再び封印できるのは封印を解いた者、すなわち自分のみ。
チェズニは暴走したダル・グレンによるレナス崩壊を食い止めるため、旅に出ることになった。

特徴

  • 種族
    • 人間に近いラフルヤ族、美麗なセイノール族、力のあるゴドム族、空を飛べるスクルー族…など、計10種類もの種族がいて、身体能力も全く違う。
      • 混合種族もいて、両親の組み合わせにより様々な見た目のものに分かれるが、それらは一括して「ルボッツ」と呼ばれている。
    • 主人公のチェズニとヒロインのミディアはラフルヤ種族だが、どこか普通とは違う感じを受ける。
      • 新たな呪文の習得や装備変更ができるのはこの二人のみ。
  • 魔法の概念
    • MPの概念がなく、HPを使って呪文を使う。
      • HP回復魔法はない。回復は後述のボトルを使って行う。
    • 8種類の「精霊」の概念があり、1種類または2種類の精霊を組み合わせた呪文を唱えると魔法が発動する。
      • 例えば火の精霊「ズザン」と玉の精霊「モムロック」を組み合わせて火玉の呪文「ズゾムン」になるという具合。
    • 各精霊には熟練度があり、対応する呪文を使う事で威力や攻撃範囲が成長していく。
    • 町の学問所で精霊の書を購入することで、新たな精霊を身につけられる。
      • 精霊の種類が増えるほど組み合わせも多くなり、呪文の種類も飛躍的に増えていく。
      • チェズニは火、ミディアは土属性の精霊を最初から持っている。このため、同じ精霊の書を買っても、二人が使える呪文は少々変わってくる。
  • 傭兵
    • パーティーメンバーは4人までで、チェズニとミディア以外の2人は傭兵を参加させる仕様。
      • ストーリー上、強制的に加入し、イベントが済んだら離脱するNPCもいる。
    • 無条件で加わる者もいるが、お金やアイテムが必要だったり、兄弟2人コンビで雇うのが条件というキャラもいる。
      • 仲間にした後でも、金を盗んで逃げだしたり、仲間から外れるのを拒否するキャラもいたりする。
    • 一度雇ったことがある傭兵は、呪文や「酒の匂い」というアイテムでいつでも呼び出すことができる。
    • ロボット傭兵という変わり種もいる。
      • ロボットなだけあってボトルでHPを回復させることができない。
      • HP0になると戦闘終了後に爆発し、二度とパーティに加えられない。
      • 計3体いるが、2体同時に加入させることはできない。
    • 加入経験のある傭兵はエンディングにも登場する。中には、どのツラ下げて来たんだお前はというツッコミも。
  • 戦闘時の操作は片手による十字ボタンで行う。
    • 空いている右手でメモを見たりすることができる。
  • 戦闘システム
    • ランダムエンカウント方式。
    • 地上の敵は画面下側、空中の敵は上側に表示される。
      • 地上付近しか攻撃できない魔法や空中の敵に有効な魔法などがあり、使い分けが重要。
  • 回復アイテムはベルト部分に装備するボトル類のみ。
    • HP回復ボトル(ミニボトル、ハイボトル等)と状態異常回復ボトル(クリアボトル)の2種類を使ってパーティメンバーのHPと状態異常を回復する。
    • ボトルには使用回数があり、使い切っても宿屋でボトル用の薬を補充する事で再度使えるようになる。
      • 回復手段のリソースが限られているという事であり、レベルが上がっても回復量が増えたりはしない。

評価点

  • 独特な世界観
    • 剣と魔法の王道ファンタジー物に見えるが、古代文明として機械が存在する。現代人の多くは機械を使いこなせない。
    • 多数の特徴的な種族がいて、主人公に友好的だったり敵対したりする。
      • 仲間となる傭兵にも個性豊かなキャラが多く、大きな顔グラと紹介文が用意されている。
    • フィールド画面はパステル調のグラフィックが使われている。
    • 戦闘では武器攻撃はもちろん多彩な攻撃魔法がフルアニメーションで炸裂する。
      • 防具や体の一部などで物理攻撃をしたり、魔法効果を発動させたりもできる。
  • BGMは後にアニメ業界で名を馳せる田中公平による作曲。
    • 屋外戦闘と屋内戦闘では違うBGMが流れる。出現する敵や背景も相まって、別々のゲームを交互にプレイしているかのような感覚に陥る。
    • ゲーム内の船でしか行けない場所でサウンドテストができる。
  • 敵キャラがアニメーションを行う
    • くちばしを突き出して攻撃、体を震わせて仲間を呼ぶなど、ザコ敵からして色々な動作を繰り出す。
    • 大型のボスキャラが猛スピードで武器を振るうと迫力がある。
  • おかしな名前入力の対策
    • 主人公やヒロインに「ああああ」「う○こ」などの変な名前をつけようとすると拒否される。
      • 現在ではそれほど珍しくもないが、当時としては画期的だった。少なくともスーパーファミコンでは初の仕様である。
      • 重要人物と同じ名前をつけたりもできないようにもなっている。
  • 重要な会話の際にはテストしてくれる人物がいる。
    • 本作は独自の用語が多いため、何も考えずに文章を送っていると話を理解できないまま進む事になってしまいがちであるが、会話の最後に3択クイズで試してくるようになっているので世界観を理解するまで先に進むことができない。
    • 続編ではこういう仕様が無くなってしまった。
  • 空飛ぶ乗り物で海や山を行くと、山で影が大きくなったり海で小さくなったりと細かい演出が入る。

賛否両論点

  • 好みが分かれるデザイン
    • 前衛的なキャラクター・グラフィックデザインだが、好き嫌いがハッキリと出る。主人公ですら見た目からして線が細く弱々しい。
  • 独自の仕様
    • 魔法のシステムや回復ボトルの仕様は好みが分かれるところ。

問題点

  • エンカウント率が高い。
    • 弱い敵の出現を抑える呪文はあるが、エンカウント率を下げる効果はないので適正レベルを大きく超える場所でないと役に立たない。
  • 中身を取った宝箱をわざわざ閉めて行く。
    • 一度開けた宝箱と、開けてない宝箱の区別がつかないので、取り忘れても気付きにくい。一度通った道かどうかの目印にもならない。
  • アイテムの整頓機能がなく、手動で並び替えるしかない。
  • 戦闘中、敵に呑み込まれる「のま」という状態異常がある。
    • 呑み込まれたメンバーは行動ができず、徐々にHPが減っていく。クリアボトルは効果がなく、他のメンバーでその敵を攻撃して吐き出させるしかない。
    • 攻撃メインのキャラが呑み込まれると火力不足になり、敵を倒すのが遅れてしまう。
      • こういう敵が複数出現することも多く、複数のメンバーが呑み込まれると満足に行動することもできない。
  • HPが0になった仲間は戦闘終了後にHP1で復活するようになっているが、戦闘中に復帰させる手段が無い。
    • ボス戦では単体攻撃で最大HPの半分以上のダメージを受けることが多く、常にHPを高く保って戦わなければならないのだが、魔法を使うとHPが減る仕様との相性が非常に悪い。
      • 威力のある攻撃魔法を使いにくいため、ボトルで回復しながら貧弱な攻撃でチビチビ削るという単調な戦法になりがち。
      • 一人でも戦闘不能になると復帰ができず、途端に敗色濃厚になってしまう。
  • 魔法によってはエフェクトが冗長すぎる。
    • 全体攻撃など、迫力はあるがエフェクトが長いものが多い。
      • 一瞬で終わるグループ攻撃魔法を複数人で連発すると早く敵を倒せるが、熟練度システムがあるので同じ魔法ばかり使い続けるのも効率が良くない。
      • 各精霊ごとにエフェクトの短い呪文を無駄打ちして熟練度を上げるという妙な方法が有効になってしまっている。
    • 究極の呪文「ゾンド」も威力はあるがエフェクトが長い。
      • 連発して熟練度を上げる必要がないというのが救い。
  • 取り返しの付かない要素が多い。
    • 空飛ぶ乗り物を入手後は、船に乗れなくなる。
      • 前述のサウンドテストの場所など船でしか行けない所も多くある。
    • クリア後のダンジョンは再度入れない場所が多く、前述の宝箱の取り逃しが余計に気にかかる。
    • 一部の傭兵はイベントクリア後に仲間にできなくなったりする。加入経験があれば呪文で呼び出せるが、加入させずに進めるとどうしようもなくなる。

総評

粗は多いものの、パステル調のグラフィック、フリーメンバー制、ボトル類でHP回復など独特な要素が多く、一風変わった冒険を楽しめる。
言い換えれば楽しむためには世界観に入り込む必要があるため、自由なプレイ時間を取れない人にとってはやや厳しいかもしれない。


余談

  • 本作発売から1年後、『Paladin's Quest』というタイトルでがエニックスから海外版として発売された。
  • 小説やドラマCDでも展開されている。
  • アスミックがゲーム事業から撤退したため、バーチャルコンソール・プロジェクトEGGなどの配信は絶望視されている。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年01月01日 21:26