ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ

【ぽけっともんすたー れっつごーぴかちゅう・れっつごーいーぶい】

ジャンル RPG




対応機種 Nintendo Switch
発売元 ポケモン
開発元 任天堂
制作 ゲームフリーク
発売日 2018年11月16日
定価 5,980円
【モンスターボール Plusセット】9,980円
【Nintendo Switch本体セット】37,980円
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
周辺機器 モンスターボール Plus対応
判定 良作 (管理人裁定による)
シリーズファンから不評 (管理人裁定による)
ポイント 新規・復帰層向けのソフト
大きく変わった捕獲の仕様
ボリュームや通信要素は少ない
ポケットモンスターシリーズ


概要

Nintendo Switch初の『ポケットモンスター』シリーズ本編作品*1*2
初代『ピカチュウ』版を基にして再構成(公式での呼称。リメイクもしくはリブートとも)した作品だが、スマートデバイスアプリ『Pokémon GO』からの新規層や親が初代世代の児童層を意識し、一部要素が現行作品から簡略化されているのが特徴。
また『Pokémon GO』からポケモンを転送できるようになっている他、本作と同時発売の周辺機器「モンスターボール Plus」との連動要素も追加されている。
開発者インタビューでは「『ピカチュウ』そのままの移植では遊ぶ人が限られるのでできる限り新たな遊びを加えた*3」「初年度のみならず来年再来年と継続して売れるビギナー向けタイトルになってほしい」とコメントしている。

過去の本編シリーズとは直接通信できないが、クラウドサービス『Pokémon HOME』に対応しており、『ソード・シールド』以降の新作へとポケモンを連れて行くことができる*4


特徴

原作からの変更点・新規要素

バトルシステム・ポケモンのステータス関連は第7世代(『SM』『USUM』)を基にしているが、後述の通り様々なアレンジも加わっているので別項に分けて後述する。

ストーリー・キャラクター

  • 話の大筋自体は原作同様だが、主人公及びライバルは本作オリジナルの人物となった。これに伴い一部イベントの展開も若干変化している。
    • お馴染みのレッド(初代主人公)とグリーン(初代ライバル)は、本作の主人公やライバルとは別の登場人物として作中に登場し、本作のストーリー以前にすでにカントー地方を旅し終えたという設定になっている。
  • 初回殿堂入り後に特定の条件を満たすと、これまでは『赤緑』の攻略本や漫画『ポケットモンスターSPECIAL』等の外部書籍にしか登場していなかった*5少女が「ブルー」として登場する。
    • それらの書籍と違い、服装がミニスカートのノースリーブワンピースからショートパンツ着用に変更されている。
  • 『FRLG』でも名無しのままだったロケット団の幹部が、『HGSS』に登場した最高幹部のアポロに差し替えられた。
  • メインストーリーには関わらないが、過去作からとあるキャラクターがゲスト出演している。

相棒ポケモン

  • 最初のパートナー(相棒ポケモン)はバージョンによってピカチュウ/イーブイで固定。この相棒ポケモンは通常のピカチュウ/イーブイとは違う特別仕様となっている。
    • 『ピカチュウ』版同様進化できない代わりに、通常種よりも種族値*6が110増加しており、個体値*7も全て最大とかなり強くなっている。
    • 相棒ポケモンは『ピカチュウ』版のピカチュウと違い通信交換に出せない。1本のソフトに相棒ピカチュウと相棒イーブイを両立させることもできないので注意。
      • なお『Pokémon HOME』に預けることもできない。
  • 相棒ポケモンは各地にいるNPCから専用の「相棒技」を教えてもらえる。相棒技の内容はピカチュウ・イーブイで異なるが、いずれも極めて強力。
    • 『ピカチュウ』版のピカチュウは終盤まで起用するには厳しいスペックだったが、本作の相棒ポケモンは能力値強化と相棒技のおかげで最後まで十分戦えるだけの強さを持っている。
  • また通常の技とは別枠の特別な技である「ヒジュツ」も特別なNPCから教えてもらえる。邪魔な木を切る・海を渡る・別の町に一瞬で飛ぶなど、第6世代までの「ひでんわざ」に相当する効果を持っている。
    • ヒジュツには原作のひでんわざにあったジムバッジによる使用制限が存在しない。極端な例だと「ニビジム→ハナダジム*8と順番で攻略した後にいきなりグレンジムを攻略する」といった原作ではできない攻略ルートもとれる。
  • メニュー上部から相棒ポケモンと触れ合える。第6世代の「ポケパルレ」や第7世代の「ポケリフレ」と同様に撫でたりつついたり、きのみを与えたりして仲良くなれる。
    • 嫌がる所を撫で続けたり、道具欄から進化の石を与えようとすると不機嫌になるが、再び触れ合えばすぐにご機嫌を直してもらえる。
    • 触れ合いによって好感度が高くなると相棒ポケモンからアイテムを貰えたり、バトルで強力な専用技を使えるようになる。
  • ちなみにアニメ版主人公サトシの相棒であるピカチュウはオスであるが、本作の相棒ポケモンはメスも出現する。どちらの性別が出るかはゲームを最初から始めた時のムービーで決まる。
    • これまでイーブイはオスとメスの姿が同じだったが、本作では相棒イーブイに限りメスの尻尾の模様がハートマークのような形になっており、オスとの区別がつくようになっている。

ピカチュウ・イーブイに関する他の仕様

  • ピカチュウの声は『XY』以降同様アニメ版と同じ大谷育江氏が担当しているが、イーブイもゲーム版では初めて声優が配役されており、悠木碧氏が担当する。
    • 悠木氏はアニメ『ベストウイッシュ』のアイリス役で知られるが、同シーズン2でイーブイ役も担当した経験がある。
  • 『ピカチュウ』版とは異なり、ピカチュウとイーブイが野生で出現するようになっている。こちらは従来と同様のステータスで相棒技を覚えられず、進化が可能。

野生ポケモンとの遭遇、捕獲

  • 従来のように草むらや洞窟などを移動している時に発生するランダムエンカウントではなく、草むらや洞窟などからポケモンのシンボルが出現し、シンボルに接触することで捕獲に移行するようになった。
    • 殿堂入りした後は上空からも出現するようになり、ごく稀にレアなポケモンや伝説のポケモンも現れる。
  • ポケモンを捕獲する流れも、従来のようにバトルで弱らせてからモンスターボールで捕まえるのではなく、直接モンスターボールを投げるという過去作におけるサファリゾーンや『GO』寄りの仕様に変わった(ただしカーブボールは存在しない)。
    • 出現したポケモンは動き回ってボールの照準をずらしたり、威嚇してボールを弾き返すことがある。また「照準が表示されたまま威嚇する動作*9」が追加されており、近い内に逃げ出す合図になっている。
    • 使用できるボールも、モンスターボール・スーパーボール・ハイパーボール・マスターボール・プレミアボールの5種類のみに簡略化された。
      • TVモードかテーブルモードでJoy-Conかモンスターボール Plusを使用して操作している時は、コントローラを振ることでボールが飛ぶようになっており、ポケモントレーナーになったような体験ができるようになっている。
      • 携帯モードでの操作時はボタンを押すだけでボールを投げる点は従来と同じだが、ジャイロ操作で狙いをつけるようになっている。
    • 原作と同様に固定シンボルとして出現するマルマイン・カビゴン・ファイヤー・サンダー・フリーザー・ミュウツーに限り、一度バトルで倒してから捕獲に入るようになっている。このバトルにはコマンド入力も含めて時間制限があり、オーバーすると相手のポケモンが逃げてしまう。伝説のポケモンは逃げられても一度殿堂入りすると戻ってくる。
  • ポケモンを捕獲すると、手持ちのポケモン全員に経験値が入る。「同じポケモンを連続で捕獲する」「Joy-Conによる操作で捕獲する」など、捕獲時の状況に応じて経験値にさまざまなボーナスが入る。
  • 過去作のポケトレのように、同じポケモンを連続して捕まえた数がカウントされる。カウントはポケモンに逃げられたり他のポケモンを捕まえると途切れるが、自分から逃げたり別のフィールドに移動した場合は維持されるなど、ポケトレと比べて制限は緩くなっている。
    • 連続捕獲数が高いと個体値が高いポケモンやレアなポケモン、色違いのポケモンが出現しやすくなるというボーナスがある。
  • 新アイテム*10の「コロン」を使用すると、ポケモンの出現数が増えるだけでなく、レアなポケモンや色違いのポケモンの出現率も上がる(連続捕獲数のボーナスと重複する)。図鑑埋めや厳選にありがたいアイテムといえる。
    • なお、この「レアなポケモン」はポケモン図鑑で「生息地不明」と表示されるポケモンも含まれる。いわゆる御三家(フシギダネ・ヒトカゲ・ゼニガメ)なども例外ではない。あくまで「生息地不明」であり「未生息」ではないという設定を上手く活かしている。なお、遭遇・捕獲しても「生息地不明」の表示は変わらない。
  • ボールを消費しやすい環境になったことを考慮して各種ボールの価格が過去作の半額になっていたり、一般トレーナーに勝利するとお金の他にボールを貰えたり、モンスターボールが不足している場合にモンスターボールを無料でくれるおじさんが洞窟に配置されている。

ポケモンの連れ歩き・騎乗

  • 相棒ポケモンは常に主人公にくっついて歩くことになるが、それ以外に1匹別のポケモンを出して連れ歩ける。一部のポケモンは騎乗できる。
    • 本作は原作にあった自転車が無くなっているが、ペルシアン・ウインディ・ギャロップのいずれかに騎乗している時はかなり速く移動できる。
    • 初回殿堂入り後、リザードンなど連れ歩き時に騎乗して空を飛べるポケモンを出すと更に高く飛べるようになり、上空でも野生ポケモンとエンカウントできるようになる。

主人公のキャラメイク・着せ替え要素

  • 主人公の容姿変更が行えるが、髪型と色を変えられない・服は最大10着程度で色変更もできないなど、自由度は『XY』及び『SM』『USUM』より低く、あくまでおまけレベルである。
  • 相棒ポケモンも主人公とは別に着せ替えが可能。主人公とお揃いの格好にすることもできる。またTVモード以外で相棒ポケモンと触れ合っている時にタッチ操作で撫で続けると、頭部が人間の髪型のように変化する。

2人同時プレイ

  • Joy-Conのおすそわけプレイに対応している。TVモードまたはテーブルモードで使用していない方のJoy-Conを振るともう一方の性別の主人公が出現し、操作することが可能。
  • 野生ポケモンの捕獲では2人のボールを投げるタイミングが合うと捕獲率と捕獲成功時の経験値にボーナスが入り、トレーナーとのバトルではシングルバトルでもプレイヤー側が2体で戦えるなど、有利に攻略できるようになる。
  • 操作が簡略化されていることもあり、Joy-Conを一人で両方使ってのプレイも支障無くできるようになっている。

マスタートレーナー

  • 初回殿堂入り後、進化前も含めたそれぞれのポケモンを極めたトレーナーが各地に出現する。道具使用不可で同じポケモン(ただし同種ポケモンのアローラのすがたとメガシンカは使用可)による1対1の勝負となり、勝利するとそのポケモンのマスターと認められる称号が貰え、ポケモンセンター利用時や通信対戦時に表示される肩書きとして設定できる。
  • マスタートレーナーが繰り出してくるポケモンは単にレベルが高いだけでなく後述の覚醒値も上げており、ポケモンによっては状態異常技や弱点を突く技を使ってくるなど一筋縄ではいかないものも*11
    • 難易度が高い分、倒し方も「攻撃技で相手のHPを0にする」という正攻法だけでなく「相手に状態異常を与えて自滅するのを待つ」「相手の技のPPを切らせるなどして、わるあがきによる反動ダメージで倒す」など、戦略もストーリー以上に考える必要がある。
    • マスタートレーナー戦ではバトルに勝利しても賞金はもらえないが、負けても手持ちのお金が減ることもない。
  • メタモンと伝説・幻のポケモンは例外で、バトルは起こらない代わりにある程度の強さの該当ポケモンを連れてくると称号が貰える。
  • 6体分の称号を獲得すると本作最強のトレーナーとバトル(マスタートレーナー戦同様、アイテム使用不可)することができるようになるほか、全てのポケモンの称号を獲得すると特別な称号を貰える。

『Pokémon GO』との連動

  • 本作と紐付した『GO』のアカウントから、一部の特別なポケモン*12とミュウを除くカントー図鑑内のポケモン(アローラのすがた含む)+メルタン・メルメタルを転送できる。
    • 一度本作に転送したポケモンや本作で捕まえたポケモンを『GO』に転送する手段は無い。特に『GO』でないと進化できないメルタンを転送する際は注意が必要。
    • 一度本作にポケモンを転送した後、『GO』側では一定時間メルタンをゲットできるようになる「ふしぎなはこ」を入手できる。
  • 転送させたポケモンは、セキチクシティにある「GOパーク」で捕獲できる(ただし一度捕獲するとGOパークには戻せない)。GOパークは最大1000体のポケモンを預けられる。
    • 『GO』から転送して捕獲したポケモンは「交換で他人から貰ったポケモンと同様に貰える経験値が通常より多い」一方で、「『親』はプレイヤー自身であるため、ジムバッジを集めていない状態でレベルを上げすぎても指示に従わなくなることがない」というメリット尽くしの仕様となっている。
    • 通信進化や片方のバージョンでしか出現しないポケモンでも問題なく転送できるため、一方のバージョンのみで図鑑を完成させることも可能となっている。
    • なお個体値は『GO』における個体値を基に再計算されるが、『GO』にはすばやさの概念がない関係からこれのみランダムとなる。
    • 同じポケモンが大量にGOパーク内にいるとアメを貰えるミニゲームで遊べる。
    • 原作にあったサファリゾーンはGOパークと入れ替わる形で無くなっている。ケンタロスやガルーラなどサファリゾーン限定だったポケモンは全て他の場所で野生で出現する。

「モンスターボール Plus」との連動

  • モンスターボール Plusは本作専用のコントローラーとして機能するほか、『GO』専用のデバイス「Pokémon GO Plus」の機能を備えている(「Pokémon GO Plus」としての機能については本項では割愛する)。
  • 本作でゲットしたポケモンを1匹転送でき、本作に戻す時に『GO』での活動量に応じてアメやきのみが貰える。
  • モンスターボール Plus1個につき、本作に転送できるミュウのデータ1匹分が入っている。本作でミュウをゲットできる唯一の方法である。

その他

  • バージョンによる出現ポケモンの違いは『赤』と『緑』のものをベースに、ムサシ&コジロウの手持ちは『イーブイ』版限定で出現するなどの違いがある。分布も1番道路でナゾノクサ・マダツボミが出るなど、一部が原作と異なる。
  • カントー御三家(フシギダネ・ヒトカゲ・ゼニガメ)は『ピカチュウ』版同様イベントで入手できるほか、出現率は低いものの特定の場所で野生のポケモンとして出現するようになった。
  • NPCとの通信交換は全て対象ポケモンのリージョンフォーム(アローラのすがた)との交換に変更された(コラッタ⇔アローラコラッタなど)。対象ポケモンがいれば何度でも交換してもらえる。
  • つりざおが廃止され、原作で釣り限定で出現するポケモンは全て水上に出現するようになった。
  • ポケモン図鑑の説明文は基本的に『ピカチュウ』版準拠(バージョン違いは無い)だが、ピカチュウ・イーブイ・メガシンカポケモン・リージョンフォームは新規の説明文が書き下ろされている(メルタン・メルメタルの説明は『GO』と同じ内容)。
  • FRLG』と同様、初回殿堂入り後にポケモンリーグの四天王とチャンピオン*13が強化されるようになった。また強化された各地のジムリーダーと1日1回再戦できるようになった。
  • ORAS』同様海外の審査機関への対応かスロットゲームが削除されたが、タマムシゲームコーナー自体はパチスロ店からゲームセンターに変更され残っている。
    • ゲームコーナーの景品だったポリゴンは野生で出現するほか、特定のNPCから譲ってもらえるようになっている。
  • 『FRLG』では微妙に残っていた現実の地名などのテキストが修正されており*14、「現実世界とは全く違うポケモンがいる世界」であることがより明確化された。
  • ジムに挑戦する際、ジムごとに特定の条件を満たさないと挑戦できないようになった。ただし実質的に無条件となるジムも存在する。
  • タケシ以外のジムリーダー、カンナ以外の四天王の手持ちが初代や『FRLG』とは異なる構成に変更された。ワタルの手持ちについてはツッコミの対象になることも多いが*15
  • 『FRLG』では移動速度が上がるランニングシューズが序盤で入手できたが、本作ではゲーム開始時点からスティックの傾け具合で移動速度が変わるようになっている。
  • これまでのシリーズ作品にはカントー地方の地名を冠する状態異常回復の銘菓*16が存在しなかったが、本作で「ニビあられ」が追加された。
  • BW2』以来6年ぶりにライバルの名前を自由に決められるようになり、しかも史上初となる「6文字のライバル名」が可能となっている。
    • 過去作では、ライバル名を入力可能な作品だと5文字制限があり、ライバル名固定の作品でも6文字の名前は無かった。

第7世代からの変更・簡略化点

各ポケモンのタイプ・相性関係は第7世代以降準拠だが、以下の通り育成・対戦面における要素の簡略化が行われている。

ステータス関連の変更点

  • RS』以降ポケモンの能力・個性の一つとして存在した「特性」は削除された。
  • きそポイント*17が廃止された。代わりにポケモンの基本的な能力値に関わるパラメータとして「覚醒値」が登場した*18
    • 各能力に応じたアメやポケモンに対応したアメを与えることで能力の実数値を1ずつ上昇(レベルアップ時でもどれか1種類が上昇。)させられ、全能力をそれぞれ+200まで上昇させられる。きそポイントと違い上昇量の合計による制限は無く*19、一度上げた能力を下げる手段は無い。
    • 通信対戦では覚醒値を反映させるかどうかのルール設定ができるようになっている。反映しない場合はレベル50フラットルールになる。

技関連の変更点

  • 技は200種類程度まで減らされている。
    • 未収録の技は効果処理が複雑な物や第二世代以降のポケモンの専用技が中心だが、「ストーンエッジ」や「インファイト」等各タイプの主力級の攻撃技でも削られた技がある。
      • 天候や各種フィールド、各種ルームなど、バトル中の場の状態にかかわる技も初代初出の技と「ステルスロック」を除き削除されている。
    • 以上の変更に伴い各ポケモンの習得技が現行作から大きく変更されており、本作で初めて覚えられるようになった技も多い。
    • 完全新規の技として前述の相棒ポケモン専用技の他、メルメタル専用の「ダブルパンツァー」が追加された。
  • わざマシンは全60種。これまで一貫してわざマシン06だった「どくどく」がわざマシン27になるなど内容が一新された。ひでんマシンは『SM』『USUM』同様廃止されており、「なみのり」など一部の元秘伝技はわざマシンに収録されている。

道具関連の変更点

  • 持ち物システムの廃止。これに伴いポケモンに持たせる戦闘用アイテムも大半が未実装となっている。
    • きのみも『GO』準拠の効果に変更されたズリのみ・ナナのみ・パイルのみとそれらの上位版「ぎんの○○のみ」・最上位版「きんの○○のみ」しか存在しない*20
    • なお、先頭に出ているポケモンのなつき度が高いと、ランダムで持ち物と同じ効果*21を発揮してくれる場合がある。
    • ただしメガシンカは採用されており、対応するメガストーンを入手していれば戦闘中にメガシンカできる。
      • 2種類のメガシンカがあるリザードンとミュウツーはそれぞれイベントでXとY両方のメガストーンが入手でき、戦闘中にどちらにメガシンカするかを選択できるようになっている。
    • 一方でZワザはZクリスタルが入手できないため使えない。

ボックス関連

  • ポケモンセンターからパソコンが撤去された代わりに、バッグからポケモンボックスにアクセスできるようになった。
    • 1つにつき30匹預けられるボックスが複数あった過去作とは違い、ゲットしたポケモンが一つのボックスに全て格納されるようになっている。預けられる数も1000匹と『SM』『USUM』(960)より微増。
  • 『GO』と同様にボックス内のポケモンをオーキド博士に転送(従来の「逃がす」に相当)でき、そのお礼にポケモンのステータスを上げられるアメが貰える。
  • ポケモンのニックネームは手持ちやボックスのメニューからいつでも変更できるようになった(ただし、過去作と同様に交換で入手した「おや」がプレイヤー自身でないポケモンは変更不可)。そのためポケモンを捕まえた後にニックネームを付けるかという質問が相棒ポケモン入手時を除いて撤廃されている。

ネット関連

  • オンラインで対戦・交換する際、ポケモン3匹で構成される合言葉を設定し、合言葉が一致したプレイヤーと通信できるようになる。相手が誰でも構わない場合は、選択しやすいピカチュウ×3が使用されることがほとんど。
  • 過去作のようなレート戦・GTS・ミラクル交換は存在しない。

その他

  • 廃止された特性の内、野生ポケモンの性格を一定確率で固定する「シンクロ」の要素は、「タマムシシティにいるきとうしにお金を払うことで、野生ポケモン(前述のGOパークのポケモン、NPCから譲ってもらう形で入手できるポケモンも含まれる)の性格を日付が変わるまで選んだ性格に必ず固定する」という仕様で再現されている。
    • 性格固定の効果は午前0時にリセットされる。
    • 利用時の質問で2回とも同じ色を選択した場合は無補正の性格となり、色に応じて性格名称が決まる。
  • 性別の概念は残っているが、孵化システムは廃止されている。これまで親からの遺伝でしか習得できなかった技(タマゴ技)の一部は技思い出しで習得可能。
  • 「ふしぎなおくりもの」による配信でポケモンを受け取る場合、本作では受け取りのためのNPCがおらず、手持ちかボックスに直接預けられるようになった。このため配信ポケモンの個体値や性格などを厳選できなくなった。

評価点

  • 相棒であるピカチュウ・イーブイが非常に愛らしい。
    • アニメ準拠でゲーム開始時は無愛想だった『ピカチュウ』版の時と違い、最初から主人公に好感を示している。
    • 触れ合いの際のリアクションは撫でる場所や好感度、触れ合い時の初期配置などの条件によって多彩に変化するため飽きにくい。
      • 不機嫌になってしまった後にご機嫌を取ろうとする時の反応も可愛いので一見の価値はある。
    • 今作で追加された悠木碧氏によるイーブイの声は「萌えを狙いすぎている」など否定的な意見も無くはないものの、イーブイの魅力を引き出しており概ね好評。
  • 大まかなストーリーやセリフは原作を尊重しながらも現代風に改変されており、原作を思いだしつつ変化も楽しめる構成になっている。
    • 同じく本編リメイク作である『ORAS』の改変が不評だっただけに発売前は不安視する声もあったが、本作には目立った改悪は存在しない。
    • 新ライバルは原作のライバルと違い主人公に友好的で好感の持てる性格となっており、グリーンとはまた違った魅力ある人物となっている。
    • グリーンも「本編前にレッドに負けたことで自身の思い上がりぶりを反省した」という『金銀』以降に繋がるキャラ造形となっているほか、一部のジムリーダーやモブトレーナーに他のシリーズ作を思わせる台詞が追加されており、原作より世界観の広がりを感じられるようになっている。
    • アニメではお馴染みであるロケット団のムサシ・コジロウの出番が増加し、より印象に残りやすくなっている。また初心者へのヒント役も兼ねており、児童層への配慮をしつつもプレーヤー自身が探して進むことを阻害しない形となっている。
  • 連れ歩きの復活。本編としては『HGSS』から9年ぶりの復活となる。
    • オリジナルの『ピカチュウ』版ではピカチュウしか連れ歩けなかったが、本作では153種全てのポケモンを連れ歩ける。
    • 『HGSS』と同様に連れ歩くポケモンを手持ち6体の中に入れる必要こそあるが、『HGSS』からの改良点として先頭以外のポケモンとも自由に連れ歩きが出来るようになった。
    • ドットから3Dモデルになったことで各ポケモンのモーションも個性が出るようになり、コロコロ転がるサンドパンやビリリダマ系・のんびりついてくるヤドン系・現実の蛇のように蛇行するアーボ系・蛙のようにピョンピョン跳ねて移動するフシギバナ*22等、色々一緒に歩いてみるだけでも楽しい。
    • 騎乗可能なポケモンには、ウインディ・ギャロップ・ラプラスなどアニメや漫画等で人が騎乗するシーンが存在するポケモンが該当している他、過去のメディアミックスで騎乗シーンの無かった意外なポケモンも対応しており、該当ポケモンが好きなユーザーからはかなり好評。
  • 野生ポケモンのシンボルエンカウント。
    • フィールド上で直接ポケモンが見えることで、ポケモンたちの生活感がより強くなった。また、その道路の出現ポケモンの確認にも役立つ。
    • これまでのランダムエンカウント制では対策なしだと常にエンカウントする洞窟探索が煩わしくなっていたが、本作では一定歩数ポケモンが出なくなるスプレーが無くてもサクサク探索できることが大いに評価された。
      • 逆に言えば、捕獲を主とする今作ではスプレーがほぼ死にアイテムと化しているともとれる。
    • また『GO』と違い、色違いのポケモンはフィールド上で判別ができる仕様となっている。エンカウントして初めて色違いの抽選が行われるランダムエンカウントに対し、フィールド上に出現するタイミングで色違いの抽選が行われるため、色違いに出会える機会が相対的に増えている。
  • 2Pプレイの導入。
    • 攻略がしやすくなるだけでなく、特に初代をプレイ済みの親世代が当時を懐かしみながら子供と一緒にプレイできるという点で好評。
  • その他
    • 『GO』の仕様が導入されたことでポケモンボックスの使い勝手が向上した。
      • いつでもどこでもアクセスできるようになったことで手持ちの切り替えや整理が便利になったほか、不要になったポケモンを一括で逃がせる(博士に転送する)ようになった点は過去作で要望していたプレイヤーに喜ばれた。
    • タマムシシティのきとうしによる野生ポケモンの性格固定はややお金がかかるものの、過去作で一通りの性格の「シンクロ」持ちを揃える手間が無くなったほか、必ず性格を固定できることで厳選難易度が下がっている。
    • 音楽は生音のオーケストラ調にアレンジされて評価は高い。
      • 『FRLG』はアレンジが評価の高い一方、原曲とかけ離れたアレンジが一部あったが、本作ではどれもGB版の原曲のメロディに忠実なアレンジがされている。
      • ファンファーレやジングル、ふしぎなおくりもののBGMも新規にアレンジが行われている。
    • 『SM』『USUM』で批判が大きかったメガシンカポケモンの図鑑説明文は、痛々しい表現がほぼ皆無となり、一部のポケモンは本来の設定通りトレーナーとの絆を意識した内容になっている。
      • 例えばメガギャラドスは『サン』では「破壊本能しか残っていない」と凶暴さを強調したような内容だったが、今作では「本当に信頼するトレーナーの指示には応える」とフォローが入った。
    • ある場所で確定捕獲が可能な「マスターボール」を正規の方法で量産が可能。これにより、三鳥などの捕獲難度が非常に高いポケモンをどうしても捕まえられない場合の救済措置がある。

賛否両論点

  • システム全般の方向性について
    • 前述したとおり、これまでの本編シリーズとは異なったシステムデザインが行われている。「初心者向け重視の結果」ととるか「シリーズの面白みが削がれている」ととるかで評価が分かれがち。
    • これまでのポケモン本編シリーズのリメイクは当時の新作に準じた作りであったが、本作で第7世代に準拠している部分は部分的なものに留まっている。
    • 野生ポケモンの捕獲は概要で述べたように直接モンスターボールを投げるという『GO』寄りの仕様に変わったため、本作の捕獲仕様に戸惑うシリーズファンもいる。
  • ブルーの扱いについて
    • 3Dモデルやモーションは非常に可愛らしく仕上がっており、従来のファンからは概ね好評。
    • しかし、バトル終了後や再戦時に「サイコパス」と評されるほどの奇行に走る点には難色を示すプレイヤーも多い。また、その時の会話中に何度かモーションが入ってホワイトアウトするためテンポが悪い。その行為は登場作品を間違えている
  • グラフィックについて
    • 『SM』で一度上がった頭身が再び『XY』『ORAS』に近い印象の3.5頭身に下がった*23。また、マップの地形はGB時代を簡略化したマス目時代の名残が残るものとなっている。
    • 初報時には『SM』からよりリアルになったグラフィックを期待していた層から「Switch相当ではない」など厳しい意見も寄せられた。しかし、実際にプレイすると水彩画の温かみが感じられるテクスチャや、町ごとにガラリと変わった建物のデザイン、明るく綺麗なライティングなど親しみの持てる絵作りへの工夫が感じられる。
    • また、相棒ポケモンや主人公をはじめとするキャラクターの表情や動きも非常に豊か。ムービーシーンでは演出やカメラワークも作り込まれており、旅の思い出を彩る。

問題点

ゲーム単体での問題点

  • TVモード・テーブルモードの操作感はあまりよろしくなく、片手操作を強要される点でも不評。
    • Joy-Conを使った捕獲はポケモントレーナーになりきる気分で楽しめるのは良いのだが、チュートリアルはあるものの慣れない内はボールを無駄に消費してしまいがちになる。
    • 携帯モードでは従来の操作方法とあまり変わらず、野生ポケモンとの遭遇時にはボタンを押すだけでボールを投げるため、他のモードよりやりやすくなる。
      • 一見するとモーションセンサーにしか対応していないように見えるが、左スティックにも対応しているのにそこに関する説明がされていないのは不親切。
      • それに加えて左スティックだけで操作したくてもモーションセンサーをOFFにできないのも不便。
    • 本作の捕獲の仕様のためなのかProコントローラーが対応していない点も惜しまれる。
  • 携帯モードのプレイ中に限るが、トキワのもり等でポケモンが大量に出現している時や、セキチクジム*24で処理落ちが発生することがある。
    • 更に、殿堂入り後に道路の空中でもポケモンが飛び交うようになると、地上のポケモンと合わせるとかなりの数になる為、そこでも処理落ちが起きやすくなる。
  • ボタン設定が不親切。
    • 全ての操作がどのモードも5つのボタンでしか行われない。ボタンが余ったところでショートカット設定もできない。
      • おそらくボタンの少ないモンスターボール Plusに対応するためと思われる。
  • モンスターボール Plusをコントローラーとして使う際にデメリットがある
    • モンスターボール Plusは形状や振動などの効果で「本物のモンスターボールでポケモンを捕まえている感覚を味わえる」「それ以外にもこの機器ならではのメリットがある」のだが、このソフトのコントローラとして使う分にはJoy-Con操作の完全な劣化互換となる。
      • 前項で「このゲームはボタンが5つしかなく余ったボタンにショートカットも触れない」と触れたが、そもそもモンスターボール Plusにはボタンは3つしか存在しない*25。そのためJoy-Conではできる操作をモンスターボールPlusではオミットしている
      • 具体的に説明するとこのゲームはスティック=移動、Aボタン=決定、Bボタン=キャンセル、Yボタン=サブ操作、Xボタン=メニューを開くもしくはYと別に行う必要がある操作、というスティック+4ボタンで操作する。だがモンスターボール Plusではボタンが3つしかないのでXボタンに当たる操作はできないのである。メニューに限りフォローされているが「Yと別に行う必要がある操作」はボールPlusを使ってプレイしている間は諦めるしかない。
      • ちなみにそのモンスターボールPlusでできない操作というのは「バトル中の自軍ポケモンの技の詳しい解説を表示する」ことである。戦闘中にポケモンの技の効果を忘れたり、新たに技を覚えてどれかを忘れさせる時に技の詳細を効果を確認することができないため、技の効果を一通り覚えたベテランプレイヤー以外は不便である。たしかにGBA以前のポケモンもそうだったが、5,000円以上の追加機器を買ってGB時代のシステムに退化するのはひどい。
      • またSwitchではホーム画面からソフトを終了する為に使用するボタンがXボタンに割り振られているため、モンスターボールPlus単体ではソフトを終了出来ない点も地味に不便である。
      • Wii時代のリモコン+ヌンチャクのように、投げる動作をJoy-Conもしくはボール、逆の手にもう片方のJoy-Conで操作のフォローをする両手持ちを選べれば解決するのだが。
  • 戦闘中の数値表示に難がある。
    • 携帯モードでプレイするとHPの表示が見づらい。
      • フォント自体が見づらい上に文字の大きさも小さい。設定で変えられるようにできなかったのだろうか。
    • 技の現在PPがタイプごとのアイコンの模様と被ってやや見づらい。特にノーマルタイプの技は完全に模様と被っているため顕著。
  • ヒジュツ・ソラワタリの習得方法が分かりづらい。
    • 他のヒジュツは原作で対応するひでんマシンを貰えた場所で習得できるが、これのみ「そらをとぶ」のひでんマシンを貰えた場所とは違う上に、場所のヒントも無いので見逃しやすい。
      • 場所自体はストーリー上で必ず通る場所であり、あるフラグを立てればその箇所の様子が明らかに変わるので、それに気付くことができれば問題ない上に、習得しなくても移動が面倒になるだけでクリアには影響しないのがせめての救いか。
      • ちなみに原作で「そらをとぶ」のひでんマシンを貰えた場所では「そらをとぶ」のわざマシンを貰えるが、単なる攻撃技になっている(技としての仕様自体は従来の作品と同じ)。
      • 反対に、ひでんマシン「なみのり」に相当するヒジュツ・ミズバシリは前述の通り原作と同じ場所で習得でき、わざマシンとしての「なみのり」は別の場所にアイテムとして落ちている。
  • 殿堂入り後に行えるマスタートレーナー戦は面倒な点が目立つ。
    • 153の種族分用意されておりボリューム自体はあるが、ひたすらレベルを上げてアメで強化して相手を倒すだけとやや単調。攻略用の技構成も一部のポケモンを除いてほぼテンプレ通りになりがち。
      • もちろん限界まで強化した個体なら正攻法でも大抵は倒せるのだが、相手を倒すだけならテンプレ通りの技構成にする方が明らかに手っ取り早い。
    • 進化前のポケモンのマスタートレーナーは例外なく本来進化するレベルを大幅に超過したレベルの個体*26を使用してくる。
      • ストーリーで使用してきたポケモンの場合、余程進化前に愛着が無い限りまず進化してしまっており進化前ポケモンのマスタートレーナー戦で出すことができないため、改めて進化前を捕獲した上で進化させずに育成し直す必要がある。
      • ポケモンに持たせている間は進化しなくなる道具「かわらずのいし」も無いため、レベル進化する進化系統で進化前ポケモンのマスタートレーナーに挑むためのポケモンを育成する場合、進化レベル到達以降はレベルが上がる度にBボタンによる進化キャンセルをし続けなければならず、手間がかかる。『ポケモンクエスト』ではステータス画面で進化しないように設定できたため、逆輸入してもよかったのでは?
    • トランセルやコクーンのマスタートレーナー戦は覚えられる技の性能とタイプ相性の都合上、しっかり鍛えても尋常ではないターン数がかかるため、もはや苦行である。
    • 全てのポケモンの称号を獲得したところで貰えるのが特別な称号しかなく、明らかに作業量と釣り合っていない。そのため6体分の称号を獲得して特別なトレーナーと戦った後は放置するプレイヤーがほとんど。
  • GOパークにいるポケモンの整理が面倒。
    • ボックスのようにリストでポケモンを管理する機能が存在しない(パーク一覧もそのパーク内のポケモンの種族と数を表示する機能しかない)ため、わざわざ広いエリアを探し回って一体ずつポケモンに話しかけないと捕獲・移動できない。
  • アメによる能力アップで1回につき能力値を1ずつしか上げる事が出来ない。
    • 上限一杯まで一気に上げたくても纏めて投与する手段が無く、時間が掛かる上に回数も嵩む為、ボタンへの負荷が尋常ではない。
    • なお、L、R、ZL、ZRの各ボタンがAボタンと同じ機能として割り振られているので、それらをバランス良く使う事で1つのボタンへの集中的な負荷を減らす工夫は一応出来る。

シリーズとしての問題点

  • 基本的に初代と同じ150種類のポケモンしか登場せず、全国図鑑への拡張イベントも存在しない*27。『金銀』『DPt』『XY』で追加されたカントーポケモンの追加進化形や進化前も入手できない。
    • モンスターボール Plusが必要なミュウ、『GO』との連動が必須のメルタン・メルメタルを除けば他にはメガシンカポケモンとリージョンフォームしか存在せず、特に過去作をやり込んだプレイヤーは物足りなさを感じてしまう。
  • 『SM』『USUM』と同様、自転車・ダウジングマシンが廃止された。
    • 自転車の代わりとなる騎乗可能なポケモンは、『SM』『USUM』のライドポケモンとは異なり細い隙間を通っている間は自動で引っ込むようになっている。しかし手持ち1枠を消費してしまうためパーティ構築の幅が狭まる。
      • 原作では自転車で通れた道幅でも自動でポケモンが引っ込んでしまい遅くなってしまうことがあるので、そこも自転車より劣っている。特に12番道路や13番道路で顕著。
      • 小回りが利きづらく、ダンジョン内で間違って階段に入ってしまったり、狙っていないポケモンとエンカウントしてしまうことがあるのも難点。
    • ダウジングマシンの代替として、隠しアイテムの近くに寄ると相棒ポケモンが尻尾を振って教えてくれるが、効果音は鳴らないため画面を注視しないと分かりづらい。おまけにポケモンへの騎乗中や水上移動中は隠しアイテムに反応しなくなる。
  • ジムの挑戦条件について
    • 基本的に原作と同じ攻略ルートで達成している無意味なものか達成していないプレイヤーを遠回りさせるものしかなく、必要性のわからない要素になっている。
    • 特に「レベル45以上のポケモン*28」「50種類以上捕獲」に関しては、原作の中盤以降どこからでも挑めるという自由度の高さを制限するきらいが強く、遊びの幅が狭まったとして批判されている。
  • 捕獲率を上げる手段に難があり、野生ポケモンが強くなってくると捕獲自体も困難になる。
    • 基本的に3種のボールと累計捕獲数、ズリのみ、2人プレイでの同時投げのみ。
      • ズリのみはきのみ育成が無いため大量に入手しようとすると時間がかかる。同時投げはボールの消費も2倍であり、タイミングがずれて失敗すると通常と同じ捕獲率になるため積極的には使いにくい。
    • 過去作において最もポピュラーな「HPを減らす」「状態異常にする」という手段はもちろん、クイックボールなどの特殊なボールや作品ごとの◯◯パワー系アイテム、捕獲クリティカル*29・カーブボール*30といったシステムもないため、過去作と比べやりづらくなっている。
      • 同じ種族のポケモンの通算捕獲回数が増えるごとに捕獲成功率が段階的に上がる仕様はあるものの、元の捕獲率が低ければ本末転倒でしかない。
  • 金策の乏しさ
    • 本作では大量のボール代やきとうしへの依頼料、何度でも使える反面一個数万円のわざマシン、一個3万円のメガストーンなど大金が必要になるが金策に乏しい。特にポケモンリーグ周回のない殿堂入り前が顕著。
      • 進化の石が原作の2,100円から5,000円へと値上げしているのも難点。
    • 一般トレーナーとの再戦はできず*31、換金アイテムも定期的に復活するものの非効率的であるため、無制限に稼ぎができるのはポケモンリーグや一部トレーナーの周回しかない。
      • 持ち物廃止によりおまもりこばんが無くなりそれに代わる要素もないため、過去作と比べてどうしても効率が劣ってしまう。
    • 戦闘後に使用した分のお金が貰える「ネコにこばん」のわざマシンが原作より早いタイミングで手に入るようになり、同時にピカチュウとイーブイが習得可能になったが、低威力の技なのでこれだけに頼ると戦闘に時間がかかり、貰えるお金もレベル依存なので特に序盤だと恩恵を得にくい。
      • 相棒がイーブイの場合はタイプ一致の補正がかかり中盤まで主力技として十分使える他、最序盤で野生で登場するピカチュウを捕まえ「ネコにこばん」を習得させ、おすそわけプレイを用いて常に2体がかりで「ネコにこばん」をして攻略を進めていけば冒険に必要な経費を稼いでいくことは可能。しかしピカチュウの場合は上述の通りタイプ不一致の低威力のままであり、ただでさえバトルが一部のポケモンとトレーナー戦のみとなった本作において常に同じポケモン・同じ技で攻略していくのは、経験値が分配されるとはいえあまりにも単調でありポケモンシリーズの醍醐味を大きく失ってしまう。
  • クリア後に解放される要素の少なさ
    • マスタートレーナー戦の他にはジムリーダーとの再戦やとあるトレーナーとの対戦がある程度。
    • 原作からの追加マップもなし。『FRLG』で追加されたナナシマも実装されていない。ナナシマはナナシマで水増しと言われることもあったが、本作でリベンジをしてほしかったという意見もある。
  • 大幅に縮小された通信要素
    • GTSとミラクル交換が廃止されたことで、気軽に交換したり、通信進化系を入手するのが難しくなった。
    • レート対戦も廃止。実質フリー対戦のみとなった。独特の環境でのガチ対戦を期待していたユーザーは肩すかしを喰らうはめになった。
      • 対戦時の背景も相変わらずデジタル調のみ。
  • 技と特性が削除されたことによる弊害。
    • 過去作ではメインとして起用されうる技まで削除されたことで、運用方法を大幅に変える必要があるポケモンが存在する。強力な特性に依存していたポケモンも同様。
      • タイプ一致となる鋼タイプの物理技が無くなったダグトリオ(アローラのすがた)や、特性削除と元の技レパートリーの都合からメガシンカでタイプ一致となる飛行タイプの技を一切使えないメガカイロスなどが顕著。
    • 6vs6が主流で交代の機会が多い本作の対戦では、リザードンなどいわタイプが弱点=ステルスロックのダメージが大きいポケモンが扱いにくくなっている。設置されたステルスロックを除去する技「こうそくスピン」「きりばらい」も削除されているため、一度相手にステルスロックを設置されてしまうと除去する手段が一切無い事に加えて天候変化*32と違ってターン経過でも消えずに戦闘終了まで永続するのがこれに拍車を掛けている。
    • 前述の通り対戦自体は簡素化されているとはいえ、『赤緑』におけるエスパータイプとこおりタイプの二強、『XY』におけるメガガルーラほどの壊れではないがタイプによる有利不利が大きい対戦環境となっている。

総評

ポケモン本編を初めてもしくは久々にプレイする人を対象として制作された本作は、現行作の仕様を思い切って撤廃・簡略化することで、それらの人々にも分かりやすい構成となっている。
一方でポケモンとの触れ合いを意識した要素はうまくミックスされており、特に冒険や戦闘で頼りになる相棒ポケモンに対し非常に強い愛着を覚えたトレーナーも多い。

反面、原作である『ピカチュウ』版からあまりボリュームが増えていないことや一部仕様の不便さ(特に『SM』『USUM』の延長線上にあたる作品と見た場合)により、近作をプレイ済みの人からは批判的な意見も少なくない。
とはいえ、本作はいつもの本編とはゲームとしての考え方等が異なり、元々意識的に普段の作品よりもライト層向けに振り切って製作された節がある作品でもある。
またそのような作品を敢えて制作するに至ったのも、『ポケモンGO』の大ヒットも手伝ってポケモンというコンテンツに(本編以外のアプローチで)新規に触れた層が急増していたという本作発売当時の情勢を鑑みると、その層を本編ゲームに誘導する為の入門用の作品を用意するというのは妥当な判断だったとも考えられる。
実際にポケモン本編の入門用もしくは『GO』の派生作としては一定の評価を得ている。普段からポケモン本編に触れている層にとっては、購入の際にはポケモンに何を求めるかで決めると良いだろう。


余談

  • 本作の制作発表の場では、本作とは別の「完全新作」が製作中であることも明かされた。これが後の『剣盾』である*33
    • その際完全新作の方はよりスタンダードな作品になる事が示唆されており、実際に剣盾はワイルドエリア等の新要素を含みつつもポケモンの捕獲方法をはじめ普段と同様のシステムをベースとして発展させた設計となっている。
    • このような発表をしたのは、あくまで本作は本編としては番外的な作品であり数々の独自仕様は以降の本編シリーズに継承される訳ではないという事を暗に示す意図があったものと思われる。
    • 本作以降、レート対戦非搭載であったり独自のシステムを盛り込んだりと『USUM』までの本編の型に捉われない、本編扱いのポケモンが出てくるようになっていく。そういった意味では転換点とも言えるだろう。
      • そのためレート対戦ありは本編、レート対戦なしは外伝とみなすいう風潮も存在する。
  • 発売から約3ヶ月後に体験版が配信された。製品版への引き継ぎ要素は無い。
    • とある操作をすることで相棒ポケモンをピカチュウかイーブイか選ぶことが可能となっている。
  • 過去作のユーザーが名前を自由に設定できるライバルは必ずデフォルトネームが存在しており、本作もユーザーがライバルの名前を自由に設定可能なものの、本作のライバルには最初に用意された選択肢、何も入力しなかった時の名前、最初から入っている名前のいずれもが存在しない。そのため本作はポケモン本編で初となる「ライバルのデフォルトネームが存在しない作品」となっている。
    • 公式PVでは「シン」という名前が付けられており、これが実質的なデフォルトネームとしてファンから親しまれている。
      • ちなみに公式サイトなどで付けられている主人公の名前(男主人公は「カケル」、女主人公は「アユミ」)と合わせて、サブタイトルの「Let's Go!」と掛けているのではないか(カケル=駆ける、アユミ=歩み、シン=進)という推測がある。
  • 本作ではレポートを書く画面でトレーナーIDが表示されるが、頭の数字が0の場合はそれが表示されず*34、第6世代以前のような5桁表示になる。なお、ポケモンのステータス画面や『Pokémon HOME』の連動画面では通常通り6桁で表示される。
  • 販売本数は国内218万本、世界1,453万本(2022年3月時点)。
    • 入門向けに作られた本作はファンからの前評判や予約状況が芳しくなかったため、あまり売れないと予想する声も多かった。結果、国内はシリーズの中では低い売上となったものの、一応ダブルミリオンは突破した。
    • 一方海外では非常に好調で、全世界売上はリメイク作品の中では『BDSP』に次いで多く*35、海外売上に限定すると完全新作の『DP』などよりも多い。
    • 翌年には早くも完全新作『剣盾』が発売されたため国内ではさほどロングセラーにならなかったが、海外では長期間細々と売上を伸ばしつづけており、4年目の2021年度にも世界売上100万本以上を記録するほどの粘りを見せている*36
  • Yahoo!知恵袋に「ポケモン ピカ・ブイサポート」という公式アカウントが作られており、本作に関する質問に回答していた。現在は稼動停止している。
  • 本作のグラフィックについて、ディレクターの増田氏は週刊ファミ通2018年8月2日号のインタビューで「グラフィックをあえてリアルにし過ぎず、ファンタジーらしさを出すことで、まわりでゲームプレイを見ている親御さんがビックリしないような配慮をしています。」(原文ママ)というツッコミどころ満載な回答をしている。
    • この「親御さんがビックリ」という言葉は余程ウケたのか、発売からしばらくたった現在でもポケモン内外を問わずゲームのグラフィックなどに対する揶揄としてネット上で使用されている。
  • 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』に「ピカチュウ(相棒)」「イーブイ(相棒)」がスピリッツとして登場する。
    • 本作のセーブデータがあれば、先行特典として入手出来た。後にアップデートで通常プレイでも出現するようになった。
  • 本作で追加された悠木氏のイーブイのボイスは、後の『剣盾』『BDSP』『Pokémon HOME』でも使用されている。メスの相棒イーブイの尻尾の変化も通常のイーブイ♀に流用された。
    • 『Pokémon GO』では、現時点ではイーブイ♀の尻尾の変化のみ導入されている。
    • アルセウス』以降はピカチュウとともに鳴き声が電子音ベースに戻った。
  • 『ソード・シールド』内において、Switch本体に『ピカチュウ』のセーブデータがあるとキョダイマックスできるピカチュウが、『イーブイ』のセーブデータがあるとキョダイマックスできるイーブイが手に入るイベントが発生する。
    • 共に6V固定。タマゴグループが「りくじょう」のポケモンをタマゴで厳選する時に親として有用である。
    • 本作からの引継ぎではないので、相棒を含む本作側のポケモンは失われない。
  • ポケモン本編シリーズでは毎回日本ゲーム大賞にて何かしらの賞を受賞していたが、本作は特に受賞しなかった。
    • とはいえ受賞しなかったのはゲーム大賞の話で、ファミ通アワードの方では本作は受賞されている。
  • 歴代ポケモンのメインディレクターを務めた増田順一氏が、本作を最後にメインディレクターを降板すると発表された。
    • 以後は大森滋氏を始めとする後任にメインディレクターを委ねることとなった。
  • 特徴で触れた『ポケットモンスターSPECIAL』について、かつてはゲームのリメイク作品もリメイク元から続く話として展開されていたが、本作以降のリメイク作品は題材として使われなくなった。連載速度の都合で完全新作を優先したものと思われる。
    • ただし、本作に関しては作画担当が手掛けた本作仕様のアートボードがコロコロアニキの付録になっている。
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最終更新:2024年04月10日 21:42

*1 https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2018/181031_2.pdfの10ページ参照。

*2 Switchのポケモンソフトとしては、外伝の『ポッ拳 POKKÉN TOURNAMENT DX』『ポケモンクエスト』が先に発売・配信されている。

*3 公式ガイドブックより

*4 ただし一度でも他のシリーズ作に連れて行ったポケモンは本作に戻せなくなってしまう。また、本作で入手した証としてピカチュウとイーブイをイメージしたマークが付く。

*5 ただし「『FRLG』の女主人公をデザインする際にこのキャラを意識した」とデザイナーが公言しており、全くゲーム本編に関わっていないというわけではない。

*6 種族によって決まっている、能力値に関わるパラメータの俗称。

*7 個体ごとの各能力にランダムに設定されるパラメータの俗称。同じ種族・同じレベルでも個体値の違いによって能力値に差が出てくる。

*8 原作では「いあいぎり」使用のためにハナダジムのクリアが必要だったのに対し、本作ではその為ではないが、ジムをクリアしないと泥棒に入られた家を通り抜けるためのフラグが立たず5番道路へ進めない為、どの道ハナダジムのクリアは必須となる。なおニビジムは原作同様、クリアせずに進もうとしても3番道路の入口にいるモブに呼び止められ、ジムに挑戦するよう促されて進めない。

*9 通常の威嚇の大半は物理技を繰り出す際のモーションだが、こちらは特殊技を繰り出す際のモーションとなっている。

*10 厳密には『ポケモンコロシアム』にも同名のアイテムが存在したが、中身は全く異なるので新アイテム扱いとする。

*11 なお、ファンの間では「改造厨」としてネタにされる『赤緑』のワタルと違い、相手のポケモンが覚えている技はすべて正規手段で習得できる技となっているため、技構成を真似することも可能。ただし、一部のマスタートレーナーが使用するポケモンは習得している技が3つ以下、場合によっては1つしか習得していない者もいるのだが、今作には技を忘れさせてくれるNPCがいないため既に技を4つ覚えているポケモンは習得技を3つ以下にできない仕様上、その技構成は完全再現できない。

*12 お気に入り登録済みのポケモン、帽子などを身に着けたポケモン、アーマードミュウツー、シャドウポケモン、ライトポケモンなど。

*13 厳密には、原作と違い初回殿堂入り以降は主人公がチャンピオンとして扱われ、ポケモンリーグ最後の対戦相手は新チャンピオンの挑戦者という扱いになる。

*14 例えばウインディの図鑑説明の冒頭が「ちゅうごく」→「とうよう(東洋)」に、マチスの二つ名が「イナズマ アメリカン」→「ライトニング タフガイ」に変更されている。

*15 ハクリュー2匹がシードラとリザードンに変更されており、強化前のドラゴンタイプはカイリューのみになった。シードラは初手で出してくるが、四天王の手持ちとしては力不足で、キングドラに進化できないこともあって強化後も続投されている。

*16 いかりまんじゅう(ジョウト地方)、フエンせんべい(ホウエン地方)、もりのヨウカン(シンオウ地方)、ヒウンアイス(イッシュ地方)、ミアレガレット・シャラサブレ(カロス地方)。おおきいマラサダは例外で、マラサダ自体がアローラ名物となっている。

*17 ポケモンの基本的な能力値に関わるパラメータ。種族値・個体値と異なりプレイヤーがある程度自由に割り振れる。「努力値」の俗称で呼ばれることが多い。

*18 個体値などと同様「覚醒値」という名称はゲーム内で使用される名称ではなく俗称である

*19 上昇値の違いを除けばGB版の初代及び金銀クリスタルに近い。

*20 なお、『GO』にも実装されている「ぎんのパイルのみ」は『GO』では「パイルのみ(捕獲時に入手できるポケモンのアメが倍増)とズリのみ(捕獲成功率上昇)の効果を併せ持つ」というものであったが、本作では純粋に「捕獲時にアイテムを入手できる確率がパイルのみよりも上昇する」という効果に変更されている。

*21 必中以外の技を回避、状態異常を回復、急所を狙う、HP1で耐えるの4種類。それぞれひかりのこな、きせきのみ、ピントレンズ、きあいのハチマキに相当。

*22 元々蛙がモチーフであるポケモンであることはスタッフから明かされていたが、PVで連れ歩きが公開された時は、そのモーションと後ろ足の長さに衝撃を受けた視聴者が多かった。

*23 『USUM』に出演しているサカキと見比べてみると違いが分かる。

*24 霧のエフェクトが原因。

*25 スティック押し込みで決定、もう一つのトップボタンでキャンセル、ボールを振る動作で3つ目のボタンの判定を行なっている。

*26 一例として、コイキングはレベル20でギャラドスに進化するが、コイキングマスターはレベル65の個体を使用する。

*27 本作に登場しないポケモンはデータ自体存在しない模様。

*28 ただしジム入場時に見せれば良く、見せたあとはバトルに参加するどころか手持ちに入れる必要すらない。

*29 『BW』以降の本編や『GO』に実装されていた要素(ただし『GO』は2017年2月の第二世代ポケモンと同時に実装されたため、サービス開始時からあったわけではない)。ボールを投げた後、通常ではボールが3回揺れて捕獲成功となるが、ごく稀に1回目の揺れの直後に捕獲成功の判定が発生する。

*30 『GO』に存在する独自のシステムであり、特殊なボールの投げ方(スワイプ動作)を行うことで捕獲率を高めることができる。

*31 1回目のリメイクの『FRLG』では可能だった

*32 『金銀』以降で登場するが、本作には存在しない。基本的に5ターン経過で解除されるようになっている。

*33 もっとも『ソード/シールド』という正式タイトルやPVの公開はピカブイ発売後まで1年近く待つ事となった、

*34 例えば、IDが「012345」の場合は「12345」と表示される。

*35 当然『FRLG』より多い為、2回目の初代リメイクが1回目のリメイクを上回る事態となった

*36 年度別の売上は2018年度から順に1063万、134万、131万、125万本。2年目と4年目でほとんど落ちていないのは驚異的である。