SHIFTING WORLD 白と黒の迷宮

【しふてぃんぐわーるど しろとくろのめいきゅう】

ジャンル 新感覚パズルアクション
対応機種 ニンテンドー3DS
メディア 3DSカード
発売元 アークシステムワークス
開発元 Fishing Cactus
発売日 2012年4月26日
定価 3,990円(税5%込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 スルメゲー
ポイント 「新感覚」のフレーズは伊達じゃない
挫折しかねない複雑さ


概要

Antony Lavelles作のFlashゲーム「SHIFT」を原作とするアクションパズルゲーム。
白と黒の2色で構成された迷路状のマップを、次元の切り替えなどを駆使して脱出するのが目的となる。

ルール

原作から引き継がれている要素と、本作独自の要素(★マーク付き)が存在する。
本作において名称がついているものについてはその名称も併記。

  • マップは白と黒の2色。ただし、一部どちら側からでも壁や床となり次元の切り替えもできない縞模様や格子状のブロックも存在する。
  • 同じ色の空間はつながっており、色の異なるところが壁や床となる。
    • (★)不思議なかがみ - ブロックの床や壁面に穴が開いている場合、そこを通過することでマップの向きはそのままで異なる色の次元に移動する。
  • ジャンプは幅3ブロック分、高さ1.5ブロック分。1段の段差ならそのまま上れるが、2段以上の段差はそのままでは上れないため、次元のゆかを利用した先で飛び降りて再度反転させるなどの別の方法が必要になる。
  • 次元のゆか - 自分の真下が単色かつ異なる色の場合、R/Lボタンを押すことでそこから次元の切り替えでもう一方の色の側に移動できる。その際は足元に潜り込む形となり、マップが180度回転する。
    • (★)魔法のゆか - 反転を行った場所の足元に数字が書かれている場合、対応した数字のブロックに関する変化が起こる。その場所で反転を行うたびにON/OFFが変化する。
  • マップ上には様々なオブジェクトやアイテムが配置されており、それらに触れることでマップの変化などが発生する。
    • いざないの印 - マップ上に存在する矢印に触れると、その矢印が下向きになるように重力が変化する。マップも触れた矢印が下向きになるように回転する。次元自体は変化しない。
    • 次元のかぎ - マップに落ちている鍵型のアイテムを取るとマップに変化が発生する(鍵マークの壁が消えたり、鍵マークのついたブロックが回転したりして先への道が出現する)。
    • (★)勇者のかばん - 後半のステージでは背景の2D/3Dを変化させるギミックが登場するが、このギミックが登場して間もない段階のステージではこのアイテムをとることで変化が発生する。
  • (★)平面化/立体化 - 終盤のマップは、Yボタンを押すとマップを2D化させることができる。
    • 背景で浮遊しているブロックがマップにはめこまれて新たな道ができる、などの変化も。
    • 平面化しているときは魔法のゆかや不思議なかがみは無効化されるため、これらを反応させずに通過するテクニックとしても使われる。
  • ドアにたどり着けばステージクリア、トゲに触れたらミスとなり最初からやり直し。
    • 体力や残機の概念は存在せず、マップに仕掛けられているトゲに接触したら失敗になり、スタート地点から即リトライとなる。
    • なお、操作しているキャラがどんな高いところから落下しても失敗ではなく、奈落の底のようなトラップもない。

ゲーム構造

モード

  • アドベンチャーモード
    • メインストーリーも兼ねている。全部50ほどの面からなるパズルからなり、ひとつの面をクリアしていくと、次の面が解放されていく。
      • ストーリーモードは7つのWorldに分割されており、1つ1つのWorldは8つ程度の面から構成される。
    • 制限時間はなくじっくりと考えながらゴールを探すことができる。
    • 主人公が「デューク」を名乗る人物からの案内状を受け取り、白と黒の異次元世界に招かれるところから物語が始まる。元の世界に戻るためにプレイヤーは奮闘することになる。
  • タイムアタックモード
    • こちらは記録のタイムが制限時間となり、その時間内に扉にたどり着けなければ問答無用でミスとなる。
    • アドベンチャーモードをクリアすることで適宜挑戦可能なマップが増えていく。こちらも50ほどのマップが用意されている。

その他

  • 達成率
    • ストーリーモード、およびタイムアタックの両方のクリア可否が関係。

評価点

  • シンプルだが奥が深いルール
    • 主人公の能力数値管理やアイテムといった要素はなく、必要な操作もジャンプと反転、そして2次元化くらい。
    • それでいて、この2,3の一見な簡単なアクションをいつ、どこで、どのように使うかが本作の肝になる。
  • 緻密に作られた地形
    • 特定の区域から出られずに詰むといった事態が全くと言っていいほど発生しない。
    • 特定のギミックばかりをつかう攻略ではクリアできず、いろいろな思考を試みてはじめてクリアできることも多く、実際に先に進めた感動は大きい。
    • 面のグラフィックは3DS対応になっており、主人公の位置によって、ブロックの見える位置や角度も変化していく。

問題点

  • 3DS下画面が殆ど機能していない
    • 3DSの下画面は攻略中のマップの全体像を2Dドット絵形式で映している。しかし特に3DSLLでもない限り、全体像を画面内に収めた図は非常に見づらい。まるでQRコードを見ているかのよう。
    • マップの一部を拡大したり、スクロールする機能がない。そのため制限時間のないアドベンチャーモードですら、じっくり先の地形をみてどう進むかという計算を立てることができない。
  • 緻密な操作を要求する場面も多いわりに、リスタート地点がない
    • トゲに落下してミスになると、マップの出発地点から問答無用でやり直し。
      • World7以降は、落下が必要とされる一方でトゲがそこかしこに配置されるといった悪意満載なマップ設計が目立つ。
      • 本作は高いところから落ちる場面が多々ある。さらにその落ちた先に即死トラップのトゲが生えていることもよくある。問題点で挙げたとおり、下画面で先の道を予習するようなプレイはとりにくい。

賛否両論点

  • 複雑に入り組んだマップ
    • 一見小さめのマップではあるのだが、向き、足場と空間を入れ替えてすりぬけたり、時には重力の方向も変えることになるので、実際のボリュームは外見の2倍以上ある。
    • 初心者の鍛錬用と呼べるのは、せいぜいアドベンチャーモードのWorld2まで。それ以降は頭をひねらないと突破口が作れないこともしばしば。
  • 図形に関する数学的センスが問われる
    • 下画面マップではどうしても表記できないような情報も多く、どこに行けばどんなギミックがあったかについて、しっかり頭の中で処理できないと厳しいところがある。
  • アクションの腕も要求される
    • ギリギリの距離をジャンプで飛び越えさせるケースも日常茶飯事。トゲに落ちないように2D化と3D化を空中で切り替えながら、足場を出し入れするといったなかなか精密な操作を要求してくる場面もある。
    • ジャンル名にも「アクション」が含まれているため、純粋にパズルでないことはその通りである。
    • ジャンプは大した距離を移動できない。また空中で出せるわけでもないので、崖でジャンプするタイミングをガバってトゲに落下という事態もありうる。頭を使う場面も多く疲弊している時こそ、こう言ったミスが起こりやすい。
  • 異次元世界に慣れるまでが長い
    • 見た目以上のボリュームを誇るマップ、反転と2D化をまんべんなく有効活用した従来のパズルでもなかなか珍しいシステムなど、本作が本質的に持つオリジナリティやパズルとしてのやりごたえは非常に高い。
    • しかし、この真価に気付くにはこの独特なシステムを深く理解することが必要不可欠。それまでは頭をひねってよくわからないままクリアしたり、トゲにさいなまれるような難しいゲームに映りがちである。
      • 特に迷うと実質クリアが困難になるタイムアタックでは、見た目以上のボリュームを誇るマップと複数の仕掛けを縦横無尽に駆け抜ける必要があり、それが実際できれば爽快である。

総評

マップの向きの変換・物体のすり抜けといったパズルアクション自体は冒頭に挙げたFlashなどの物を踏襲しており、そこに立体化・平面化といった3DSならではの機能を取り込んで、さらにはこれらを満遍なく融合させることで完成度の高いパズルアクションを作り出すことに成功している。 ただし、下画面のマップといったパズル初心者に対しては、どこかかゆいところに手が届かない印象はある。本作でみせる独特な異次元世界を縦横無尽に動き回るには、本作の特有の異次元世界に慣れることが不可欠。

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最終更新:2021年10月15日 21:42