Redout

【れっどあうと】

ジャンル 反重力レースゲーム


対応機種 Windows
PlayStation 4
Xbox One
発売元 【Win(Steam)/One】34BigThings
【PS4】H2 Interactive
開発元 34BigThings
発売日 【Win(Steam)】2016年9月3日
【PS4/One】2018年4月5日
定価 【Win(Steam) 通常版】3,600円
【Win(Steam) Deluxe Edition】4,838円
【PS4】3,480円
【One】3,564円
判定 良作


概要

F-ZERO』『WipEout』『Rollcage』『POD:Planet of Death』などのオマージュ作として制作された反重力レースゲーム。
中でも『WipEout』の影響を非常に強く受けている作風が特徴。ゲーム内の随所に類似点が見受けられ、「精神的続編」とも言える内容となっている。

元々はSteam用ゲームとして配信されたが、後に『Redout:Lightspeed Edition』の名称で家庭用ゲーム機にも移植された。
日本ではPS4/Xbox Oneにおいて、ダウンロード専用ソフトとしてのみ販売。

特徴

ゲームモード

  • CAREER
    • メインモード。100種類を超えるレースイベントを攻略する。
    • 各イベントには、成績や順位に応じて3(+1)種類のメダルが用意されており、その内のいずれかを獲得できればイベントクリア。
      通常は金・銀・銅メダルの3種類だが、一部イベントでは最上位のプラチナメダルが存在する。ただし、獲得条件は表示されない。
    • レースイベントを終えることで、賞金及び経験値を獲得できる。
      • 稼いだ賞金で、機体やパワーアップの購入・アップグレードができる。
      • 経験値を稼いでプレイヤーレベルが上がると、上位クラス機体やパワーアップの購入が可能となる。
    • 攻略中、時折「CONTRACT(契約)」が発生する。提示された条件を満たすことで報酬をもらえる。
      • 契約を結ぶかどうかはプレイヤーの判断で決められる。
      • 報酬は契約の内容で変わり、賞金以外にも機体やパワーアップを獲得できる場合がある。
      • 機体やパワーアップを指定されていた場合、契約中に変更すると失敗となる。
      • 基本的に失敗してもペナルティはない。ただし、契約によっては前払いが必要なものもあるため、失敗するとその分が失われる。
  • QUICK RACE
    • レースモード・コース・機体・パワーアップを自由に指定してレースが可能なモード。
    • コースに関しては、CAREERで一度でも走行していないと選択できない(一部例外あり)。
    • CAREERでは未購入の機体も使用可能。ただし、「PROTOTYPE」として扱われ、以下の制約が付く。
      • カラーが専用の1種類で固定
      • アップグレード適用不可
  • SPLIT SCREEN
    • 画面分割による2人対戦モード。
  • ONLINE
    • オンライン対戦モード。

レースモード

  • 単独レース
    • TIME ATTACK
      何周か走行し、その内最短時間でゴールした周のタイム測定を行う。
    • PURE TIME ATTACK
      パワーアップ禁止のTIME ATTACK。
    • SPEED
      タイムボーナスが存在するTIME ATTACK。
      指定速度以上で走行する、ブーストパッドを踏むことでタイムボーナスが発生し、その分がラップタイムから減算される。
    • SURVIVAL
      制限時間が無くなるかヘルスが0になるまでに、多くのチェックポイントを通過することが目的のモード。リスポーン不可。
      制限時間はチェックポイント通過時に加算される。
      コース上には決まった場所にトラップが配置されている。接触するとダメージ・速度低下・視界妨害が発生する。
    • INSTAGIB
      ダメージ量増加、リスポーン不可のTIME ATTACK。
  • 集団レース
    • RACE
      通常の集団レース。
    • PURE RACE
      パワーアップ禁止のRACE。
    • ARENA RACE
      リスポーン不可のRACE。
    • LAST MAN STANDING
      1周するごとに最下位が強制リタイアさせられるRACE。
      周回は最後の1機になるまで行われる。
    • SCORE
      規定周回数で多くのスコアを稼ぐモード。
      スコアは自動加算されていき、順位が高いほど加算速度が上がる。
      ブーストパッドを踏む、特定箇所で一定速度以上で走行する、そのゲーム中のベストタイムを更新する、コーナー接触せずに走行することでもスコア加算される。
      反対に、ヘルスが0になると減点。
    • BOSS
      1ロケーションにおける全5コースがテレポーターで繋がれた専用コースを走行するRACE。
    • TOURNAMENT
      CAREERでのみプレイ可能。数試合の集団レースに参加し、最終獲得ポイントを競うイベント。
      基本的にRACEが行われるが、イベントによってはそれ以外の集団レースが行われることもある。

システム

  • 機体
    • 6+1(DLC)のチーム×4クラス(I~IV)の全28機。上位クラスほど総合性能が高くなる。
    • CAREERではイベントごとに選択可能なクラスが設定されており、それに適したクラスしか使用できない。
    • パラメータは以下の6項目。これらは全4種類のアップグレードによって、各機体につき一度だけ強化可能。
      • ACCELERATION(加速)
      • MAX SPEED(最高速)
      • GRIP(旋回性能)
      • STRUCTURE(耐久力)
      • ENERGY POOL(エネルギー容量)
      • RECHARGE SPEED(エネルギー回復速度)
    • 機体カラーは「LIVELY」22種類、「COLOR SET」48種類の組み合わせから設定可能。
    • レース中は機体側面に2種類のゲージが表示される。
      • 左側はヘルスゲージ。HPに相当し、コーナーやライバル機との接触で減少。一定時間ダメージを受けなければ自動回復する。
        ダメージの蓄積やコースアウトで0になると機体が爆発し、リスポーンまで大幅なタイムロスとなる。レースモードによってはリタイア。
      • 右側はエネルギーゲージ。アクセル操作中に回復し続ける。ブーストやアクティブパワーアップ発動に必要。
    • 操作について、レースゲーム共通のアクセル、ブレーキ、ステアリング以外に、ピッチ、スライド、ブースト、パワーアップがある。
      • ピッチは主にジャンプ地帯での飛距離・高度の調整に使う。
        上下に激しく動くコースでは適切なピッチ操作をしないと、床に機体を擦り付けてダメージまたはレッドアウトが発生して視界妨害が起こる。
      • スライドは機体を平行移動させる操作。ドリフトの慣性打消しや直線コースでの進路微調整に役立つ。
      • ブースト操作で機体を急加速させる。ブースト中はエネルギーを消費する。
      • パワーアップボタン押下で、エネルギーを消費して各種アクティブパワーアップを発動する。
  • パワーアップ
    • 1機体に対して、アクティブとパッシブの2種類のパワーアップを装備可能。それぞれに6種類のパワーアップが存在する。
    • アクティブはボタン押下で発動するもの。主に妨害系と一時的性能強化系に分けられる。
    • パッシブは装備しているだけで効果を発揮するもの。各種性能底上げが基本だが、中には特定条件下でのみ発動するものもある。
    • アップグレードは1種類のパワーアップに対して最大3回行える。

評価点

  • 圧倒的な疾走感
    • 「Race Faster Than Ever」のキャッチコピーの通り、公式側も売りにしている要素であり、本作最大の評価点。
    • 最下位クラスのIでさえ最高速が800km/h前後と、『WipEout』シリーズの上位クラスに匹敵する速さを誇る。最上位のクラスIVになれば、超音速は当たり前となる。
    • 本作の醍醐味を最大限に引き出せるアクティブパワーアップ「TURBO BOOST」。
      • 通常のブーストとは比べ物にならないほど強力な加速力を持つ。コーナーからの立ち上がり直後の低速度状態から、コンマ数秒で一気に最大速度を出せる。
      • 非常に優れた性能と実用性を持つこともあり、使い込むことでより深い没入感を得られる。
      • エネルギー最大時しか使えない、加速が凄過ぎてコースアウトの危険性を孕んでいるなどの欠点があるため、使用する箇所やタイミングを見極める必要がある。
        だからこそ、効果的に活用できるようになった時の爽快感は非常に大きい。
    • プレイヤーに強い疾走感を覚えさせる凝った演出の数々。
      • 背景や側面の建造物には常にモーションブラーが掛かる。
      • 直線コースなどで高速走行状態になると、機体が小刻みに揺れ動く。
      • ブーストパッドやTURBO BOOST使用時の視野狭窄。特に、TURBO BOOST発動と同時にパッドに乗った時の加速演出は凄まじい。
      • 走行時の風切り音。高速で通過したアーチ一つ一つにも効果音が入る。
        ジャンプ中に流れる風切り音は、単に飛行状態を表現するだけではなく、ジャンプ自体がコースアウトに繋がる危険な状況ということもあり、大きな緊張感を生み出している。
  • ローポリゴンを用いた独特のグラフィック
    • 巧みな光源処理や前述した演出などもあり、ローポリゴンと言っても古臭さや手抜き感を覚えさせない作りとなっている。
    • コースや背景の建造物は一つ一つが作り込まれており、テクスチャでの誤魔化しはほとんどない。
    • 多くのロケーションで、極彩色を多用した鮮やかな未来世界を演出している。リアル路線のグラフィックとはまた異なる美麗さがある。
    • 6+1チームそれぞれの機体のデザインは実に個性豊か。
      • 『WipEout』風のオーソドックスなデザインの反重力マシン、実在するスポーツカーに近い形状の機体、
        動力炉剥き出しの奇抜なデザインの機体、『スターウォーズ』のポッドレーサー型マシンなど、各チームで特徴が際立っている。
      • カラーバリエーションが豊富。購入すれば、計22×48=1056通りの中から好きなカラーを自由に設定できる。
  • 豊富なロケーション及びコース
    • 本作は、レースの舞台となる1つの場所(ロケーション)に対して、5種類のコースが用意されている。配信当初は5ロケーションのみだったが、それでもコースは25種類も存在した。
    • DLCも含めれば、計12ロケーションの計60コースと膨大なボリュームとなる。
    • 砂漠、雪原地帯、ジャングルなどの地球上ロケーションのみならず、宇宙空間や他惑星もあれば、VR空間もある。
    • 1ロケーションでも同じ景色一辺倒ではなく、都市を抜けたり水中を走行したりする場面もある。
    • 本作では天地が分からなくなるほど縦方向に目まぐるしく動くコースが多く、三次元的で躍動感のあるレースを楽しめる。
    • 宇宙ロケーションでは、途切れたコース同士の空間を飛行する場面が用意されている。「落下」が起こる地上ロケーションでは不可能な、無重力空間であることを活かした大胆なショートカットも可能。
  • チーム間バランスの良さ
    • どのレースモードでも全てのパラメータが万遍なく重要となるため、特別にどのチームが強い・弱いとは分かれていない。
      • コーナーによっては無理に丁寧に抜けるよりも衝突前提で強引に突破した方が良いものもある。
        また、集団レースでは予期しないダメージを受けることも多いので、レースに慣れてもSTRUCTUREは重要なパラメータとなる。
      • SURVIVALやINSTAGIBなどでは一見STRUCTURE特化チームが最強に思えるが、同時に速く走行することも重要なので、他チームでも上位の成績でクリアすることは可能。
      • PURE系レースではパワーアップが使えないが、それでもブーストは使えるので、ENERGY POOLとRECHARGE SPEEDが死にパラメータとはならない。
      • 基本走行性能であるACCELERATION、MAX SPEED、GRIPが最高レベルという、通常のレースゲームならば最強とも言える特徴のチームも存在する。
        しかし、このチームは他の性能が最低レベルであり、なおかつそれらの性能が重要なのは前述した通りのため、他チームとのバランスが取れている。
    • チームを変えても操作性がほとんど同じなので、プレイヤーの好みで選んでも問題ない性能バランスとなっている。
    • 以上のことから、CAREERで1チームに絞って攻略してもゲームクリアするのは十分可能である。
  • 豊富かつ高品質なBGM
    • ほとんどのBGMは『WipEout』シリーズのようなテクノ系。ハイテンポな曲調で高速レースを盛り上げる。
    • 各ロケーションに2~3曲の専用BGMが存在し、その場の雰囲気に合致したものが使用されている。
      • 同じテクノ系BGMでも、ロケーションが違うと曲の雰囲気も大きく変ってくる。
      • 宇宙ロケーションではこの手のゲームでは珍しく、壮大なオーケストラ調BGMが当てられている。
    • レース中、BGMは節目でループするため、シームレスに流れ続ける。そして、ゴールすると節目の部分から専用パートが流れて切り良くBGMが終了する。

問題点

  • 高い難易度
    • 反重力レース独特の浮遊感と操作性に慣れる必要がある。
      • 本作では上記に加えて、疾走感があり過ぎるために操作ミスを起こしやすい。
      • コーナリング時のドリフトがかなり強く掛かる。スライド操作を上手く使わないと、減速していても機体後部をコーナーにぶつけやすい。
    • クラスIIから難易度が跳ね上がり、しっかりコースを把握していないとクリアは困難となる。特に集団レースのライバル機は一気に強化され、中々距離を詰められないことが多くなる。
    • ジャンプ地帯、チューブ状コースを抜けた直後、宇宙ロケーションでの飛行場面では、対処法または走行先が分かりにくく、コースアウトの要因になりやすい。
    • ライバル機と高速で接触すると、機首の方向を大きく変えられ、大幅タイムロスとなる。酷いと逆走状態にさせられることも。ブーストで急加速したライバル機が後ろからぶつかってきた時に起きやすい。
    • PURE系レースが輪を掛けてクリア困難。
      • 他レースモードではパワーアップによるフォロー要素が強めなため、多少の操作ミスは許される。しかし、PUREではプレイヤーの純粋な実力が試され、極力操作ミスを抑えなくてはならなくなる。
      • PURE TIME ATTACKでは規定タイムが大変厳しい。コースアウトは論外で、コーナーへの接触を最小限にしないと、銅メダルさえ獲得が難しい。
      • PURE RACEは全レースモードの中で恐らく最難関。コーナーへの僅かな掠りによる減速が、順位を最下位近くまで落とす要因にさえなる。
        ライバル機の衝突による方向転換をさせられると、3位以上はほぼ絶望的。ライバル機自体が不確定要素でもあるため、クリアが運ゲーに近い。
  • 機体購入システムの仕様
    • 各チームでさらに4クラスに分けられた機体を1機ずつ購入しなければならないため、全機揃えるのに時間が掛かる。
    • CAREERを進めても上位クラス機体を持っていなければ、先のイベントに参加できない。場合によっては購入に必要な資金を稼ぐ必要が出てくる。
    • 機体を購入しても、攻略を少しでも有利にするにはアップグレードも必要になる。よって、同じクラスで複数のチームの機体を用意することが難しい。
    • 以上のことからCAREER攻略中に、「様々なチームの機体を使ってレースに参加する」プレイがしにくい。
  • アクティブパワーアップの選択肢の狭さ
    • TURBO BOOSTがあまりに高性能、高汎用なため、実質このパワーアップ一強状態。
    • 妨害系は近くにライバル機がいないと意味がないため、単独レースや1位独走維持には役に立たない。
    • 唯一、REPAIR DRONE(発動中ヘルスを急速回復)はSURVIVALやINSTAGIBなどで大きな効果を発揮する。それでも、上級者の中にはこれらのモードでさえTURBO BOOSTを使う猛者もいる。
  • その他
    • レースBGMの選曲ができない。メニューからレース画面に移行した時にランダムで設定される。
    • 日本語版における不自然な日本語訳。文章構成がおかしいものもあれば、明らかに訳し方を間違えているものもある*1

総評

レースゲームの醍醐味の一つである疾走感を徹底的に追い求め、それを見事に実現した作品。
超高速レースを満喫したいというスピード狂プレイヤーを満足させるには十分なゲーム内容となっている。
レースモードやコースが充実しているので、何度プレイしても飽きにくい点も評価できる。
『WipEout』が好きな人には、実質的な続編のような感覚でプレイできるので大変おすすめ。

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最終更新:2022年09月09日 12:28

*1 「自己修復」と表現するはずが「自家修理」となっている箇所など。