カミツレ ~7の二乗不思議~

【かみつれななのじじょうふしぎ】

ジャンル 甘くて切なくてちょっぴりしょっぱい思春期百合AVG
対応機種 Windows Vista/7/8/8.1
発売・開発元 りぷる
発売日 2015年2月27日
定価 8,800円
レーティング アダルトゲーム
配信 DMM:2015年3月13日/6,995円
廉価版 2016年4月28日/3,480円
判定 なし
ポイント 心に「男の子」を宿す女主人公
発売前から脱落者続出
シナリオ構成は良い
りぷる作品
にーづまかぷりっちょ! - りんかねーしょん☆新撰組っ!
ミライセカイのプラネッタ - カミツレ ~7の二乗不思議~

生き別れた妹との再開、そして
「学園の7の二乗不思議」が
悩める彼女たちを翻弄する---



概要

りぷるの4作目。
タイトルの「二乗」は「じじょう」と読む。「事情」と掛け言葉にするためと思われる。
処女作『にーづまかぷりっちょ!』のキャラクターがゲスト出演するが、本筋に関わらないため、単品でも楽しめる。

ストーリー

睦月はれっきとした女の子。 なのに、幼いころから自分の中の「男の子」の存在に悩まされていました。
思春期を迎えるころ、そのせいで両親は離婚、大好きな双子の妹とも離ればなれになってしまいます。
月日は経ち、女子校に進学した睦月が1年目の夏休みを終えた新学期、転校生がやってきます。 なんとその子は、生き別れた妹の七海でした。
ところが、かつて甘えん坊だった七海は、クールな性格に変貌。
睦月に対しても素っ気ない態度しか取りません。
クラスで孤立を深める七海を心配しつつ、相手にされない睦月は悩みます。

ルームメイトから学園の七不思議の一つ 「音楽堂の大鏡」の伝承を教えられた睦月は音楽堂へ向かい、鏡の前に立ちます。

鏡よ、鏡。鏡さん。 わたしはどうしたらいいの?

その瞬間、睦月は七不思議の一つ 「あべこべ時間」に呑み込まれてしまいます。
さまよいながらも、 睦月は再び大鏡の前にたどり着きます。
その鏡はなぜか懐かしくて、少し切ない気分にさせられます。
見とれていると、突然鏡がまばゆい光を放ち 「キミの願いをかなえるよ」との声が響きました。

同時に気を失った睦月が目を覚ますと、そこは自分の部屋。
今のは夢? それとも現実? ただ、睦月の手の中には小さな鏡がありました・・・。

そのときから、睦月と七海、そして周囲の女の子との関係が大きく動きます。
すれ違う想い、ぶつかる心。 同性への恋に悩む彼女たちの物語は、まだ始まったばかりです。
(公式サイトから引用)

特筆すべき設定・発売前の評価

  • 心に男の人格を抱えた女主人公」という設定
    • 主人公の平岡 睦月は、男の人格「むつき」との二重人格。
    • 体は常に女であり、心の半分が男であると言える。
      • 物語開始の時点では睦月が基本的に体をコントロールしており、むつきの人格は基本的に内側で眠っている。
  • むつきの詳細
    • 作中でも「むつき」と表記される男の人格。
    • 一般的なエロゲの男主人公に近い性格。
    • 女好きでスケベな面があるが、ヒロインのピンチには駆けつけるなど良識もある。
    • 睦月とは過去にいざこざがあり、細かい争いは続くものの仲は悪くない。睦月曰く「手間のかかる弟」。
    • 男の立ち絵が用意されているが、これはイメージのようなもので作中のキャラクターからは睦月(女の体)として認識される。
  • 上記の設定に対しては批判的な意見が目立った
    • 体験版にむつきとヒロインのエロシーンがあったため、「男人格を入れて百合を名乗るな」といった意見が目立った。
      • 前述したように、CGと心は男×女だが体は女×女であるというややこしい状況である。
    • 体験版範囲ではむつきの設定が特に生かされることもなかったため、買い控えた人もいた。

特徴

  • 多くの恋愛アドベンチャーと同じく、選択肢で展開が変わるシステム
    • 共通ルートを経て個別ルートに入る。個別ルートは一本道。
    • 『音楽堂』『寄宿舎』のように場所を選んでヒロインと出会う場面もある。
  • メインヒロインは5人
    • 百合……かどうかは意見が分かれそうだが、攻略対象は全員女である。
    • 妹の七海はルートロックがかかっており、最初に攻略することは出来ない。
  • 学校が舞台
    • 「学校の七不思議」のようなオカルトの噂が出回っており、一定条件下で実現される。
    • 例として『あべこべ時間』という七不思議があり、1月11日のようなゾロ目の日付かつ23時59分と0時の間に不思議な空間が発生する。

評価点

  • 悩みに真剣に向き合う個別ルート
    • 主人公自身が二重人格に悩んでいるため、ヒロインの悩みに真剣に向き合うことが伝わってくる。
      ここに来てようやく……といった感じではあるが、むつきの存在意義が発揮される。
    • 「家族に自分を否定される」「理想と現実の自分のギャップ」といったありがちな題材ではあるが、堅実にまとめられている。
    • いずれも前向きになれる後味の良い終わり方なのもポイント。
  • 構成
    • 七海以外の個別ルートで明かされた情報で、オカルト設定の裏づけなどが行われている。
    • そのため、事実上のトゥルーエンドに当たる七海ルートでの展開に納得しやすい。
    • 何故二重人格となったのか? という疑問に対する回答がなされ、それに関わる伏線は日常で何度か使われている単語である。
    • 落としどころも妥当であり、やはり前向きな希望のあるエンディングである。
  • オカルト要素
    • 得体の知れない恐怖とミステリアスな雰囲気を併せ持ち、日常のアクセントとなっている。
    • 個別ルートではテーマにうまく合致している。
  • グラフィック
    • 立ち絵や一枚絵は十分なクオリティ。万人受けしやすいかわいいグラフィックである。
    • キャラの書き分けもできており、個性を生み出すのに一役買っている。
    • 背景も凝っており、ミステリアスなオカルト要素を盛り上げている。
  • エロシーン
    • むつきが絡む一部のシーンは批判があるが、それ以外は出来が良い。
    • エッチのときだけ立場が逆転・主人公以外の2人でエッチ・3Pなど、シチュエーションが凝っている。
    • OP曲 「salvation」、ED曲 「蝶」共に、ゲーム内容をよく表した歌詞である。
    • 暗い顔をしたヒロインが並ぶOPもクリア後に見ると印象が変わる。

問題点

  • 誤字や収録ミスが多い
    • 体験版や発売直後に評価を落とした一因。
    • 現在は修正パッチで改善されているが、依然として残ったミスもある。
  • むつきの存在
    • やはりというか、発売後も「こいついらなくね?」という意見は出た。
    • 前述したように個別ルートでは活躍を見せるが、活躍が後半なので前半は拒否反応が出やすい。
  • 最後まではっきりしない要素
    • オカルトに深く関わるサブキャラが居るのだが、そのキャラの過去が掘り下げられない。
    • 「プールで全裸で泳ぐ七海」など意味深な一部のシーンも謎のまま。
    • そのため心情を理解しにくいキャラが残ってしまっている。
  • 立ち絵のバリエーションがやや少ない
    • サブキャラも含め10人以上の立ち絵があるが、各自のバリエーションは少ない。
    • そのため、テキストと微妙に合わない表情になるシーンが幾度かある。
  • アイキャッチがない
    • 場面転換を急に感じやすい。

総評

『心に「男の子」を宿す女主人公』という珍しい設定は大いに人を選び、脱落者が続出してしまった。
しかし奇をてらっただけには終わっておらず、男の子を生かした人間関係や個別ルートは光る部分がある。
細かい難点も多いものの独自の魅力はあるため、テンプレの学園モノから少し外れたエロゲを遊びたい人にオススメ。


余談

  • 体験版範囲では設定が生かされず反感を買ったため、宣伝として効果的だったかは不明。
    • 「百合AVG」を名乗れるかはともかく、体験版のおかげで発売後に宣伝詐欺扱いされるようなことはなかった。
  • タイトルに「二乗」が使われるエロゲは他に『8665^2 ハルルコのジジョウ』がある。

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最終更新:2023年03月10日 21:46