メトロイドプライム フェデレーションフォース

【めとろいどぷらいむ ふぇでれーしょんふぉーす】

ジャンル ファースト・パーソン・シューティング
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 任天堂
開発元 Next Level Games
発売日 2016年8月25日
定価 5,076円(税込)
判定 なし
ポイント マルチプレイ前提の難易度
ゲームとしてはそこまで悪くない
ただ、メトロイドとしては意見が分かれる
メトロイドシリーズ


概要

Other M』から6年ぶりのメトロイドシリーズ新規タイトル、『プライム3』から8年ぶりのプライムシリーズ関連作。
開発はプライムシリーズを担当したレトロスタジオではなく、『マリオストライカーズ』『パンチアウト!!』や『ルイージマンション2』を担当したNext Level Gamesが務める。

これまでのメトロイドシリーズは、シングルプレイ専門の探索型アクションで主人公はサムス、というのが伝統であった。
しかし、本作はサムスが主人公ではなく、プレイヤーは銀河連邦の特務部隊「フェデレーションフォース」の一員として任務に挑む、シリーズとしては初のマルチプレイ対応タイトルという異色作である。


ストーリー

コスモ歴20X6年、スペースパイレーツによるフェイゾン汚染の危機はサムス・アランの活躍によって阻止された。
その後、たとえ残党であっても尚強大なスペースパイレーツの脅威を重く見た銀河連邦はコードネーム『ゴーレム』計画を開始。
サムスのパワードスーツを基本モデルとしたバトルアーマー「メック」を開発し、銀河連邦兵士による「フェデレーションフォース」を結成した。
フェデレーションフォースの最初の任務としてかつて連邦軍の基地が存在したが、隕石の衝突により環境が寒冷化したエクセルシオンに基地を再建すべく、
バミューダ星系三連惑星「エクセルシオン」「バイオン」「タルバニア」へ調査に向かう。

(プロデューサー田邊賢輔が語る『メトロイドプライム フェデレーションフォース』より)


特徴

メック

  • 銀河連邦がサムスのパワードスーツを基に開発した搭乗型ロボット。プレイヤーはこのメックに乗って各種ミッションに挑むことになる。
    • サムスと同じくアームキャノンを搭載しており、弾数無限のパワービームとそのチャージショットによる射撃が主な攻撃手段となる。一方で『プライム』シリーズのようなバイザーの切り替えやモーフボールへの変形機能などは存在しない。ただし出撃前に後述するチップや各ウェポンを選択することで、能力や装備をカスタムすることができる。
      • ウェポンは所謂副兵装で、いずれも弾数制限がある。ミサイルやスーパーミサイルのように従来作でも見られたものから、回復用のリペアカプセルに囮を設置するデコイといった本作ならではの装備もある。
      • これらのウェポンには「ウエイト」と呼ばれる重量制限があり、持ち込みには一定の制約がある。ただし、ミッション中でもコンテナなどを破壊することでウェポンは補充可能であり、持ち込まなかったウェポンを入手・活用できる場面もある。
    • この他、ジャンプ後にはホバリングによって短時間の滞空ができたり、チャージビーム構え中は移動速度が低下するといった、従来作のサムスとは異なる操作や制約がある部分も。
    • 一定条件を満たせば、「メックペイント」という機能によってメックのカラーチェンジが可能。ただし、一部のメックペイントを除きメックの性能自体は変化しない。
      • 特定のamiiboを読み込むことで解禁されるメックペイントもある。メトロイドシリーズのもの以外では、マリオシリーズの一部キャラクターが該当している。
    • また、一部のミッションではメックから降りて戦うことになる。この状態では非力極まりなく、少しでも被弾すれば即死あるのみ。

チップ

  • メックに装備できる強化アイテム。当初は1個のみだが、最終的に3個装備可能になる。
    • ミッション中にステージのあちこちに落ちているものを回収できるほか、ミッションクリア時に貰えることもある。
    • ミッションを途中で中断したり、敵にやられてミッション失敗となった場合、一定確率で破損し消失する。これ以外では、効果を発揮すると確実に破損する使い捨てのチップや、絶対に破損しないチップというのものも少数だが存在する。

操作方法

  • ジャイロ操作を用いるAタイプと、Cスティックを用いるBタイプが存在する。また下画面にはマップなどの情報が表示されており、タッチ操作で表示の切り替えが可能。
    2種とも基本操作はボタン入力とジャイロ機能でほぼ完結しており、『ハンターズ』のように戦闘中にタッチスクリーンを活用する必要はなく、こちらではロックオン機能も存在する。
    • Aタイプは『プライム』『プライム2』に近いボタン配置で、フリーエイムをRボタンを押しながらのジャイロ操作で行う。Bタイプは『プライム3』のボタン配置に似ており、Cスティックでフリーエイムを行える。
      • どちらの操作方法であっても、過去三作と違い敵をロックオンしていない状態でもサイドステップが出来るようになった。
    • ただしBタイプは拡張スライドパッドを装着した3DSかNew3DSシリーズでなければプレイできず、初期型3DSで遊ぶ場合Aタイプ固定となる。

ミッション制とスコアシステム

  • 本作はプレイヤーが一般兵士ということもあり、従来作のように惑星内を自由に探索して先に進んでいくのではなく、司令官から提示されたミッションを選択して任務に就く形となっている。ミッションは全22種類で、それぞれ舞台となるステージや達成すべき目的は異なる。
  • 各ミッションではそれぞれハイスコアが記録されるようになっており、より高いスコアを目指すやり込み要素として機能している。
    • スコアが加算される要素としては敵や障害物の破壊、規定時間内でのクリアのほか、ミッション中に「特定の行動」を達成するなどと様々な項目が存在する。また、チャージビームで敵を撃破したり、リペアカプセルでダメージを回復するいった細かな行動でもボーナスが加算される。
    • ミッション毎に一定のスコアを超えると、クリア時に「メダル」がもらえる。このメダルを一定数集めると前述のチップの装備数が増えるといったメリットがある。

ブラストボール

  • 同時収録されているミニゲーム。
    • 未だに誤解している人もいるのでもう一度記述するが単体のゲームではなく、あくまで本編とは別のミニゲームである。
      • 厳密に述べるならば、このモードのみ切り出した無料版がダウンロード専用タイトルとして配信されている*1が、本頁ではあくまで同時収録のミニゲームとして扱う。
  • 作中世界では「銀河連邦にてメックの訓練用競技として採用されているスポーツ」という設定。
    互いにメックに乗り3on3で戦うサッカーのようなゲームで、巨大なボールを撃ち合って相手のゴールに入れたら得点となり、試合時間内の得点数を競い合うというルールである。
    • このモードでもメックには耐久値の概念が存在し、やられた場合も少し間をおいて再出撃はできるがその間も試合は続行状態となるため、人数面で不利となる。
    • ボールに射撃を行っていると時々アイテムが出てくる事があり、適宜使用することで試合を有利に運ぶことができる。
  • マルチプレイだけでなくシングルプレイも可能。シングルプレイではCPUチームとのレート戦や、5連戦を行う「チャレンジ」モードが存在する。
    • また、このミニゲームに限りダウンロードプレイも可能であり、ソフトを持っていない相手とも対戦を楽しめる。

評価点

  • 個々のプレイヤー自身が出来ることは減ったものの、『プライム』シリーズらしさやその基礎は抑えている。
    • ステージギミックを解けずにしばらく進められないと、『プライム』『プライム2』のリモートスキャンのように司令官から通信によるアドバイスが送られるため、シングルプレイでも詰まりにくい作りになっている。
      • 通信が来ても答えを探す余地は残されており、回答が分かってもそこはメトロイドらしくアクションを要求されるので単調すぎるということはない。
    • 同じく携帯機で発売された『ハンターズ』は容量の都合からか敵やギミックの少なさ・使いまわしぶりが問題視されていたが、本作はステージごとに様々な敵が登場するようになっており、巨大ボスも複数存在する。
    • ストーリー面に関しても、本作は時系列上『スーパー』の前日談でもあるのだが、作中には同作における「とある疑問」への回答ともとれる要素が出てくる。
      • 『プライム』シリーズの伝統となった「次回作への布石」らしき描写も存在しており、ストーリー上のミッシングリングを埋める役割は十分に果たせている。
  • メックの設定や演出面は良好。サムスとはまた違った重量感・非力さが強調されており、逆説的にサムスの強さも表現している。
    • 前述のように、各チップやウェポンの構成は自由に行え、チップとウェポンの選択・活用次第で攻略難易度が大きく前後するミッションも少なくない。プレイヤーの立ち回りやミッション内容に応じ、その都度装備構成を考えて攻略していくというプレイスタイルは、メックを扱う本作ならではと言えるだろう。
    • 後述の通り外見はデフォルメこそされているが、各ムービーではメックならではの巨体感や重量感を感じさせる演出がなされている。例えば出撃前のムービーでは生身の兵士が軽快に飛び乗るのだが、出撃後に惑星へと降り立つ際にはホバリングしながらどっしりと着地してみせるなど、従来のサムスでは表現が難しいであろう演出はしばしば見られる。
    • サムスは今回操作できないサブキャラとしてゲーム内に登場し、プレイヤーが1ヶ所の敵基地を攻略する裏でそれ以外の複数の敵基地を1人で壊滅させていたといった活躍が語られる。作中世界の一兵士から見たサムスの強さが実感できるゲーム内容となっており、そこがしっかりと描かれたのは過去作ファンからも好評である。
      • メック自体もサムスのパワードスーツを参考にしたという設定であるが、一方で身長はサムスの倍はある巨体となっている。本作の敵キャラの体格も同様であり、そんな環境下で圧倒的な活躍を見せるサムスの実力は、本編より際立っていると言っていい。
  • 各ミッションもマルチプレイで遊ぶ場合ならば難易度も適切で、役割分担が重要になってくるなど面白さが増してくる。
    • ミッション内容は単純にザコ敵を倒すだけでなく、潜入工作や防衛ミッション、謎解きアクションや攻撃を避けつつうまく弱点を突いていくボス戦などバラエティに富んでおり、互いに助けあって難所を越えた時の達成感は強く感じられる。
  • BGMは壮大で重厚なオーケストラ調。強大なボス敵との死闘や、宇宙空間での敵艦隊との激戦など、緊迫したシチュエーションを大いに盛り上げてくれる。

賛否両論点

  • グラフィック
    • とにかく発売前から賛否が大きかった点の一つ。本作は敵味方双方が3、4頭身程度にデフォルメされた世界観で描かれているが、トゥーン系ゼルダのような「別の時間軸のお話」ではなくれっきとした『プライム3』の後日談である。
      • メトロイドといえばリアル調のグラフィックで描かれるホラーパニック要素のあるSF物というイメージで固まっており、これまでと全く異なる作品の雰囲気に対し初報の時点で困惑する声が相次いだ。
    • 本作でデフォルメ化されたグラフィックが採用された理由は、スタッフ曰く「 3DSでFPSをやろうとするとどうしても視界が悪くなるため、視認性を向上するためのアイデア 」とのことである。
      • これに対し、DSでリアル頭身の『ハンターズ』が出ており、3DSは単純にDSよりも画面サイズが大きいため、配慮の必要性は本当にあったのかと指摘されやすい。
      • とはいえ視認性向上という理由にも一定の根拠はある。等身大サイズ同士のタイマンがメインの『ハンターズ』に対し、本作では一対多の巨大ボス戦も存在し、周囲の仲間で視界が塞がれる危険性もあるからである。
    • しかし、メインスタッフの坂本賀勇氏は64でメトロイドを出さなかった理由の一つに「世界観に適した表現がハードのスペック上厳しかったため」と答えている。
      • わざわざ過去のそうしたこだわりを捨ててデフォルメ化するのであれば、最初から据え置き機向けに開発すればよかったのでは?という指摘も存在する。
    • このように発売前はデフォルメついでに極端なコメディ描写が入り世界観が崩れるのではと非常に不安視されていたが、あくまで見た目がデフォルメされているだけで実際はこれまでのシリーズを踏襲したシリアスな作品として描かれる。
      • むしろパイレーツ側が(スキャン文章のせいで)半ばコメディ要員化していた本家『プライム』シリーズの方が笑いどころが多い、と評する意見も見られる。実際に遊んだプレイヤーからも「事前は気になっていたが、遊べばあまり気にはならなかった」という感想が寄せられることもある。
    • グラフィックそのものは不出来ではなくデフォルメなりに一定の品質は保っており、加えてキャラの等身を変えたことにも「全体的にサムスよりも巨大」という理由を付けているため、どのような印象を受けるかはプレイヤー次第の範疇に収まっている。
  • 探索要素の薄さ
    • 武器は基本支給品となっており、過去のメトロイド作品のように自分で探索して見つけたり、他のマルチプレイゲームのように素材を集めて武器や防具を製作する、というような要素はない。
      • とはいえ主人公一行は連邦の正規軍であるし、サムスのパワードスーツのように現地での武装の収集はいろいろな意味で念頭にない。
      • 裏を返せば、探索&収集要素特有のめんどくささは本作には存在しない。これを「シリーズ作品失格」と取るか「外伝作品ならではの戦闘特化の采配」と取るかもプレイヤー次第か。
    • 一応、前述のチップがステージの各所に配置されており、これを探索&収集する楽しみはある。もっとも、チップ自体が消耗品であるせいであまり集め甲斐はないが。
      • ウェポン選択が任意であることやスキャンバイザーが存在しない仕様から、チップの配置場所はマップの入り組んだ箇所で寄り道必須だったり、チャージビームで障害物を排除した先にあるということも多く、やや単調。また、ハイスコアにクリアタイムの概念が存在することもあり、早解き優先でステージを探索する余裕がないことも少なくなく、そもそも探索要素が基本システムと噛み合っていない節がある。
  • ストーリー
    • 坂本氏は以前より「連邦側の話をやって世界観を広げたい」と言っていたが、今作の話は概ね『プライム3』の事後処理とでも評すべき内容で、世界観が広がった印象が薄い。
    • ただし当シリーズ自体そこまでストーリー重視のゲームでもなく、過去作との設定矛盾やプレイヤーが不快になるような展開は無い。
      • また『プライム3』では、連邦側の人間や他のバウンティハンターが登場したことに対してサムスの孤独感が薄れたとしてあまりいい評価をしなかったユーザーも存在した。今回のストーリーはそちらの層にも配慮した結果…と言えなくもない。
  • ブラストボール
    • ミニゲームとしては単調になりすぎないよう細かなテクニックも複数用意されており、相応に楽しめる出来なのだが、後述する発売前の誤解から評価が分かれる面がある。
      • このミニゲームそのものを「メトロイドの世界観に存在する物」として受け入れられるかどうかも、評価の分かれ所の一つだろうか。
      • もっとも、ゲーム中のサムスはもっぱらミッションによる戦闘中であり、そのため危険なクリーチャーや犯罪者たちばかりが見えていただけで、あの世界に娯楽性のある物があっても別段おかしくはない筈である。それに関する小ネタは『プライム3』の最序盤にも存在する。
    • ミニゲーム単体の難点としては、アイテムの性能が全体的に抑えめな中で、相手全員を強制脱出させる効果の「イジェクト」の性能が飛びぬけており、この点は少々バランスを欠いていると言える。
    • 前述の「チャレンジ」は、制覇するとチップ「ハイパーモード」を獲得可能。連戦は徐々に難易度が上がる仕様で、途中敗退すれば最初からやり直しとなるために入手ハードルはやや高い。
      • 「ハイパーモード」はそれなりに優秀な効果*2を持ち、高難易度にふさわしい報酬が用意されていると言えるが、一方で「わざわざ本編外のミニゲームを相応にやり込まないと解禁されない要素がある」とも捉えられる。

問題点

  • チップの問題点
    • 特徴で述べたように、一部を除くチップはミッション失敗や中断した時に一定確率で破損し消失する。
      この仕様のため、チップを付けたまま初見ミッションを様子見したり、うっかり間違ったチップを付けて出撃してしまうなどでやむを得ず中断したとしても、チップを消失してしまいかねない。
      • ミッション中に専用ボーナスを得られる「特定の行動」をミッション開始前に確認できないため、ミッションの様子見やトライ&エラーによる中断は半ば必須となっているのだが、その点でも噛み合っておらず相性の悪い仕様である。
    • マルチプレイにおいても、意図しない回線の不調やどうしても抜けざるを得ない急用時で中断したとしても破損してしまうため、理不尽さを感じやすい。
      • チップの「ローンウルフ*3」が使えないことや、そもそも誰か一人でも意図的かは問わず切断すれば残ったプレイヤーもクリア出来なくなる可能性が高まり、結果的にチップが破損する確率も上がるのは言うまでもない。
    • ミッション失敗・中断にリスクがある仕様自体、賛否が分かれがちではあるが、上記の仕様に加え後述の調整不足もあって問題点と呼んでいい部分となっている。
  • マルチプレイの問題点
    • マルチプレイでのミッションクリア後は各プレイヤーのスコアに応じて順位が付き、上位の人ほどチップが貰えるのだが、最下位になってしまうとチップが1つも貰えないことがある。
      • スタッフは「役割分担が重要」とコメントしているが、実際には撃破数の多いアタッカーが最もスコアを稼げるため、サポートに徹すると下位に沈みがちになってしまう。
      • これに関しては放置や寄生プレイ対策でもあるのだろうが、真面目にプレイして縁の下で支えたのに無報酬ということもありえるので、サポートで入るスコアをもっと上げるか全員報酬を貰えるようにすべきだったのではという指摘が多い。
  • シングルプレイの問題点
    • シングルプレイモードでは上記の「ローンウルフ」が利用でき、ドローンによる攻撃補助も行われるのだが、マルチプレイを前提としたゲーム内容そのものは変わらない。ドローンは一部を除いて戦闘面しかフォローしてくれないため、ステージギミックをはじめとした本来複数人で解くべき仕掛けも、全て一人で解決する必要がある。
      • この結果、敵を引き付ける囮役の存在といった役割分担が前提となっているような防衛・輸送ミッションも一人で突破しなければならないため、複数人でやるよりも大幅に難易度が上がってしまう。
    • マルチプレイとの兼ね合いからか、ミッション中には途中再開できるチェックポイントなどは一切存在しない。ミッション終盤のボス戦で敗北したり防衛目標が破壊されたりしてミッション失敗となっても、容赦なく最初からとなる。
      • シングルプレイでは前述の都合からミッション進行に時間がかかる上、素で10~20分程度かかるミッションも多いため、この点でも負担が大きい。
    • スタッフはシングルプレイについて「開発からの挑戦状であるハードモード」とコメントしており、シングルプレイにて「ローンウルフの不使用ボーナス」が存在するなど、実際にそれを意識した調整も見られる。
      しかし、どう考えてもメトロイドシリーズはシングルプレイ志向の強いプレイヤーが大多数を占めるゲームシリーズであり、まずはそちらを主軸に据えたゲームとして成立させるべきであったはず。
      • 加えてシングルプレイをハードモードと表現する割には、ゲーム単体では他シリーズのような低難易度設定が用意されていないのもややチグハグではある。もう少しシングルプレイ時の救済策や専用要素を充実させて、難易度を整えて欲しかったところ。
  • amiiboの解禁要素の問題点
    • この時期のamiibo連動要素にありがちな難点だが、特定のamiiboを読み込んだ時のみ解禁される要素の存在から、該当するamiiboを持っているか否かで戦力に差が付く。amiibo自体の入手難易度や管理の都合による部分もあるとはいえ、地味だが無視できない点である。
      • サムス (スマブラシリーズ)」を読み込ませると解禁されるメックペイントには、「ミサイルが1ウエイトで10発装備できる」という固有効果があり、ミサイルの装填数を大きく増やせることからシングル・マルチプレイ問わず優秀。
        後に発売された「メトロイド」から解禁可能なメックペイントには「リペアカプセルが2ウエイトで5発装備できる」効果があり、通常よりも回復機会を増やせるので長期戦に強い。いずれのメックペイントも、チップのような破損や使用制限はないため、最初から最後まで扱いやすい。
    • 残念ながら、これらの固有効果付きのメックペイントはamiibo以外での解禁は不可能。また、後の『サムスリターンズ』でも同じような難点が指摘されている。

総評

なんだかんだで『プライム』ではあり、3DSで遊べるマルチプレイタイトルとしては面白い部類の作品ではある。
一方でマルチプレイを前提とした結果、シリーズファンが本来求めていたであろうシングルプレイには調整不足な部分が目立ち、不必要に難易度を上げている面が多い。
発売前の懸念ほどメトロイドの世界観自体は壊してはいないが、風評を全てひっくり返せるような高い完成度には至っていないのが残念な限りである。

総じて、メトロイドシリーズファンや一緒にマルチプレイしてくれる人がいるようなプレイヤーならば買う価値が「なくもない」一作である。
「メトロイドをやってみたいがどれから初めていいか分からない」という人は、素直に本作ではなく過去の2Dシリーズをバーチャルコンソールで手にとるか、Wiiと『プライム』三部作を手に取った方が良いだろう。


発売前の経緯・その後の展開

  • 2015年のE3にて初公開されたPVに対し、ビジュアルやゲーム内容が不明確だったことから世界中から非難が殺到。結果開発中止を求める署名運動までも起こるという前途多難な状況に見舞われた。
    • これに関しては過度なバッシングやネガキャンも少なからず存在した。
      ただし、E3 2015にて公開された映像では試作段階だったためテクスチャが製品版よりも甘く、映像もあたかもブラストボールがメインモードの一部ともとられかねないような内容になっていたのも騒動になった一因ではある。
    • E3ではその場でマルチプレイの実演をせず、詳細なゲーム内容を明かさなかった。これも「ブラストボールがメインである」という誤解に繋がり、事態を余計に悪化させてしまった。
    • 以上の風評被害が祟ってか、本作の国内初週パッケージ版の売り上げは約8000本にとどまってしまった。
      • 後に発売された『サムスリターンズ』は国内初週パッケージ版だけで43000本以上を売り上げているため、発売前の時点で多くのファンから敬遠されてしまったと言わざるを得ないだろう。
  • また騒動が大きくなってしまった原因として、上記の通り『Other M』から5年以上もシリーズに動きがなかった点も挙げられる。
    • そんな中で多くのファンが望んでいたであろう正統派続編ではなく、シリーズとしては初の要素が多い異色作というのも完成度や任天堂の姿勢に懐疑的な目が向けられる一因となった。
    • しかも折悪しく、本作発売の前にKickstarterでの実写映画企画やファンメイドの『II』リメイク作が共に中止の憂き目にあっていたため*4、権利を持ちながら新作を一向に出さない状況に対し不満が募っており、ようやく公開された本作がこれまでとは違う新機軸の作品であったために、一挙に不満が爆発してしまったのである。
      • 結局の所「致命的に間が悪かった」としか言い様が無い。本作もかつて『プライム』を作った時にユーザー離れを心配して過去作の2D路線を受け継いだ『フュージョン』を作ったように、別の本流作品と同時に発表・発売をしていれば反発は大幅に抑えられたであろう事は容易に想像できる。
  • その後、本作発売の翌年に開催されたE3 2017にて、『2』のリメイク作品『メトロイド サムスリターンズ』とプライムシリーズの続編『メトロイドプライム4』が発表された。
    • ファンからの要望が多かった過去作のリメイクと直系の続編という手堅い構成となっており、『サムスリターンズ』は発表したその場で実演プレイも行っている。
      その後『サムスリターンズ』は国内では2017年9月15日に発売され、好評を博した。
      • 更に2021年には、Switchにおいて久々の2D完全新作『メトロイド ドレッド』が発売。こちらもかなりの高評価を得ている。
    • 一方『プライム4』はあくまで開発中であることのみを明かし、翌2018年のE3でも完成度が十分でないとして映像の公開を見送るなど、上述の点からの反省か情報公開について慎重な姿勢を取っている。
      • なお、開発は当初任天堂外のデベロッパーが担当していたが、2019年1月に「求めるべきクオリティに満たない」との理由で、「プライム」シリーズ3部作を手掛けたレトロスタジオに引き継がれ2021年現在も開発中。

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最終更新:2023年10月09日 00:24

*1 ただし、無料版のオンラインマルチプレイのサービスは、2016年12月末で終了している。

*2 HP満タン時にパワービームの威力が2倍になり、チャージビームを構えている時の移動速度減少がなくなる効果がある。加えて絶対に破損しない。

*3 シングルプレイモード専用で攻撃力が2倍になる効果のチップ。なおかつ絶対に破損しないため、シングルプレイでの救済策となっている。

*4 どちらも任天堂の許諾を得ずに進めたもので、任天堂の異議申し立ては法律に基づく正当な行為である。特に後者はGBAシリーズの画像データを使いまわしているのでかなり黒に近いグレーな作品である。