サムライスピリッツ閃

【さむらいすぴりっつ せん】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 アーケード(TAITO Type X2)
発売元 SNKプレイモア
開発元 K2スタジオ
稼働開始日 2008年4月18日
配信 NESiCAxLive:2011年10月5日
判定 なし
ポイント ソウルキャリバー』風サムスピ
地味で微妙なグラフィック
なんだかんだでバッサリ感は健在
サムライスピリッツシリーズ

概要

久しぶりの3D格闘となった『サムスピ』シリーズ。
開発は新たに『天誅』シリーズや『ヴァルハラナイツ』シリーズを手掛けたK2スタジオ(現:株式会社K2)が担当*1
ストーリーラインも新しくなり、新たに「レスフィーア王国」が絡んだストーリーとなっている。

特徴

  • 操作系統は従来同様の4ボタン+同時押しあり形式だが、攻撃は従来の「弱/中/強斬り」+「キック」から「縦/横斬り」+「縦/横大斬り」+「キック」に変化。
    • 大斬りはボタン同時押しで発動し、残り1ボタンは特殊動作となっている。
    • 怒り爆発や爆発技、ガード不能技と弾き、一閃といった従来作にあったシステムも搭載している。
      • 弾きは上段と下段が存在する。
    • コマンド技に従来よりも簡単なコマンド入力や連続押し技が多い。
  • 軸移動が追加。
  • 登場キャラクターは全26キャラだが、うち半分が本作で新登場するキャラクターとなっている。主人公格となるキャラクターも御馴染みの覇王丸ではなく、「鈴姫」と「猛千代」という新登場キャラクターである。
  • イラスト担当はポリサム2作同様の「北千里」氏が担当。

評価点

  • 一撃必殺の爽快感「大斬りシステム」
    • 相手の攻撃を軸移動で避けたり技を弾いた後に大斬りを放つなど、上手く立ち回った後に大斬りを決めると特に爽快。一発逆転も押さえており、シリーズを象徴する「強斬り」を発展させたようなシステム。
      • 後述のように3D格闘らしいシステムが取り入れられたことで刺し合い感は薄れているが、「隙の大きい大斬りをいかにして相手に叩き込むか」という形の駆け引きは残されている。
  • キャライラストなど2D演出は美麗。
  • ゲーム性・キャラバランス共に良好。強弱はあるものの立ち回りや対策でカバーできる。
  • BGMに良曲多し。

賛否両論点

  • 良くも悪くもサムスピらしくなくなった。
    • 全体的に3D格闘らしい奥行を生かしたシステムが強調されており、空中コンボも導入されている。
    • しかしそれにより、かえってサムスピ特有の差し合い感が薄れてしまっている。

問題点

  • ダメージ設定が明らかにおかしい部分が多々ある。
    • 空中コンボ時のダメージ補正が極端すぎるため、とりあえずジャンプしておけばダメージを抑えられる状態になっていたり、投げが一部の通常縦横斬りを凌駕するダメージであったりと、ゲームバランスを崩す類のものではないものの、全体的にダメージ設定がおかしい。
  • 2000年代後半のゲームにしてはモデリングを始めとするグラフィック全般が微妙。一言で言うと野暮ったくPS2レベル。
    • キャラクターイラスト自体は美麗ではあるが、女性キャラの体格が男性キャラと大差が無いなどモデリングがデザインに忠実であるとは言い難い。顔の造形も似ていない。
    • 元々美麗さで売ってる作品では無いとはいえ、画面が暗く背景、演出も地味め。
      • このためか、画面が見づらいという声も多い。
      • 必殺技なども、2D格闘と3D格闘の違いを考慮したとしても全体的に地味さが拭えない。
        一応、一閃については3D格闘としての過去作を踏まえたカメラワークやモノクロになる演出で見栄え良く仕上がっている。
      • キャラ別コスチュームも無い。
  • キャラクター選出について
    • 本作に限った事でもないが、既存キャラクターが少ない事については、やはりシリーズファンから残念がる声が挙がる事が多い。
    • 加えて新規キャラクターが多く追加されたが、その殆どのキャラクターの評価はプレイヤーの多くからの人気を得たとは言い難い。
      • 強いて挙げるなら、主人公である鈴姫、次点で同じく主人公の猛千代やストーリー上で大きく絡んでくるアンジェリカ、(「余談」で後述するが)同社の『餓狼伝説』『KOF』シリーズに登場するキムとの繋がりを匂わせるキム・へリョンがある程度人気を得た程度で、他の新キャラクター達は「存在感が薄い」といった意見も少なくなかった。キャラデザの出来や雰囲気はどれも悪くはないので、ストーリーの掘り下げが行われていればまた違ったのかもしれないが.....
  • 残虐描写について
    • 海外版では切断などゴア描写が導入されているが、国内版では血飛沫などの残虐描写が一切カットされている。厳密には表示言語が日本語だと規制あり、英語だと規制なしとなる。
      • 海外版で起こる勝利時の「敗者の首と胴体がオサラバし、力なく倒れこむ」「飛んだ腕を押さえて地面を転げる」といった演出が、国内版では部位切断が起こらないまま同じモーションでキャラクターが動く。そのため、敗者が意味不明な動きをする事になる。
      • サムライスピリッツ零SPECIAL』の家庭用NEOGEO移植版で署名まで起こる騒動に至った手抜き仕事によるゴア表現削除という過ちを、再び犯してしまった。せめてもう少し自然に見えるように描写カットしてあればよかったのだが。

総評

HD画質で作られた3D『サムスピ』ではあったが、3Dよりも美麗な2D演出や地味なグラフィックと従来作と同じ失敗をやってしまったり過去作のキャラクターの多くがリストラされて一方で追加された新キャラクターの多くが人気を得られなかった他、『ソウルキャリバーシリーズ』と見た目が似ているおかげで多くのユーザーから微妙な評価を下されてしまった。
とはいえ、ゲーム性自体は意外と良好。もう少し正確に言うと、「おかしいところはあるけれど、プレイしていて楽しい」出来となっている。
惜しむらくは、その独特の楽しさが観戦者には伝わりにくい類のものであり、演出などその他の部分も含め「プレイしてみよう」という気にさせることができなかったことであろう。
筐体自体は早々に撤去されたものの、現在はNESiCA Liveで配信されているので、多くのゲーセンでプレイ可能となっている。

余談

  • 過去作との設定矛盾
    • 公式発表はないものの、キャラクターの年齢から逆算すると本作の時系列は『SAMURAI SPIRITS2~アスラ斬魔伝~』の翌年にあたるストーリーであると推測できる。
      • しかし過去作の設定とは矛盾点も多く、特に本作からおよそ20年後にあたるはずの『蒼紅の刃』の設定とはパラレルとしか思えない内容になってしまっている。
    • これまでのシリーズは同社の『餓狼伝説』や『龍虎の拳』とは異なる世界観とされてきた(そっくりさんは登場する)が、本作で『餓狼伝説』シリーズのキム・カッファンと同じく鳳凰脚を使う棒術使いのキム・ヘリョンが登場し、彼のキャッチコピーが「誕生する鳳凰の系譜」とまるでキム・カッファンの先祖と思わせるものとなっている(ただし、明言された訳ではない)。
      • 本作をもって世界観を統合することにしたのか、単に過去作であったような不知火麻衣(「舞」ではない)や藤堂龍白(「竜白」ではない)などと同様の他作品ネタを匂わせるだけの無関係な人物なのか、あるいは上記の設定の矛盾から本作自体が従来作とパラレルワールドなのかは不明である。

その後の展開

  • 2019年6月に3D『サムスピ』の新作である『SAMURAI SPIRITS (2019)』が発売。
    • ただし、システムに関しては本作の様な典型的な3D格闘風の物ではなく、『天下一剣客伝』まで長年の間に親しまれた2Dのものに戻っている。
    • 結果として、同社の『THE KING OF FIGHTERS XIV』のような「2.5D」スタイルの作品となっている。

サムライスピリッツ閃(360版)

【さむらいすぴりっつ せん】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 Xbox 360
発売元 SNKプレイモア
開発元 K2スタジオ
発売日 2009年12月10日
定価 7,140円(税5%込)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 なし

概要(360)

上記ゲームのコンシューマ移植版。

追加・変更点(360)

  • プラクティス・ネット対戦が追加された
  • ボスキャラクターがストーリーモード以外で使用可能。

評価点(360)

  • ネット対戦が可能になった事。
    • この時代の家庭用移植としては当然ではあるが、アーケードでは早々に撤去されるなど対戦がしづらいゲームだったので、非常にありがたい。

問題点(360)

  • オンライン対戦に対応しているが、何故かアジア圏限定となっている。
  • 残虐描写のハード制限
    • アーケード同様、日本では制限がかかっており、本体のリージョンコードが日本の場合には描写に制限が入る。
      • 日本版にも残虐描写自体は入っており、あくまでハードがどちらかで判断される。
      • その為、海外版ソフトでも日本のハードで使用すれば描写はカットされるし、逆に日本版でも海外ハードであれば残虐描写が入る。

総評(360)

家庭用移植としては無難な出来であり、おおよそ評価は移植前のままである。

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最終更新:2022年08月30日 17:57

*1 K2の代表取締役である児玉光生氏はSNK在籍時『ラストリゾート』や『KOF』シリーズの開発に関わった人物でもある。ちなみに現在はカプコンのグループ会社として存続している。