英雄伝説 空の軌跡SC

【えいゆうでんせつ そらのきせき えすしー】

ジャンル RPG


対応機種 Windows 98~XP
プレイステーション・ポータブル
プレイステーション3
発売・開発元 日本ファルコム
発売日 【Win】2006年3月9日
【PSP】2007年9月27日
【PS3】2013年4月25日
定価 【Win】8,400円(初版)
【PSP】6,090円
【PS3】4,830円
廉価版 PSP the Best:2010年12月16日/3,780円
レーティング 【PSP/PS3】CERO:B(12才以上対象)
備考 Win版はVista対応版・7・8対応版も発売
判定 良作
ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ


概要

FC』から1年と8ヶ月を経て発売された物語の後編。
「SC」は「Second Chapter(セカンドチャプター)」を意味している。
タイトルにナンバーはついていないが「英雄伝説VIの後編」扱いとなっている。
『FC』のクリアデータ*1を読み込むことで、クリア状況によるボーナスが得られる。
いくつかのサブクエストはFCでの関連クエストクリア状況が報酬に影響する。

あらすじ

ヨシュアは結社《身喰らう蛇》を止めるために姿を消した。
ならば結社の陰謀を阻止することはヨシュアに追いつくことにもなる――。
正遊撃士となったエステルは結社の影を追いながら王国を巡る。

特徴
直接的な続編であり、基本的な部分はFCと変わっていない。その上で追加・変更点を上げる。

  • 戦術オーブメントのシステムが調整された。基本は同じだがクオーツの装備可能数が増え、アーツの種類も増加。
  • 「攻撃料理」の追加(食材で作る攻撃アイテム)。
  • ミニゲーム「釣り」「カジノ」の追加。
  • 「チェインクラフト」の追加(複数人がCPを消費する小範囲の同時攻撃)。
  • プレイヤーキャラに戦闘ボイスが追加。
  • 2周目に引き継ぎが可能。内容はお金・セピス・レシピ手帳・釣り手帳・最強武器の素材(持っていた場合)。

見所・評価点

『FC』での評価点はそのまま引き継いでいると言っていい。

  • ストーリーやキャラクター描写に関しては、FC同様に丁寧に描かれている。
    • エステルとヨシュア以外のキャラも各々に見せ場がある。
    • NPCもFCと変わらず個性があり、会話量も豊富。
  • 調整された戦闘バランス。
    • 上記の通り戦術オーブメント関連の他、ステータスに補正が付く防具やアクセサリの増加・攻撃料理・チェインクラフトなど戦闘・戦闘準備における選択肢が増えている。
  • 相変わらず高評価のBGM。
    • 『FC』から引き続き使われるものもあるが、アレンジ曲や新規曲も多い。
    • オープニングボーカル曲の「銀の意志 金の翼」は「銀の意志」のアレンジ。あるキャラのテーマとして他の形でもアレンジされている。
    • 新規曲ではフィールドBGMの「空を見上げて」が人気。
    • 終盤になるとシナリオのカギとなる《至宝》関連のフレーズとして「空の軌跡*2」をアレンジしたものが増える。

問題点

移動の手間などは、やはりと言うべきかそのまま。「本」(それと交換してもらえる最強武器の素材)も隠し要素と言っていいくらい揃えにくい。

  • キャラクターの偏りと能力差。
    • 『FC』ではラストダンジョン以外メンバーが固定だったが、SCでは早いうちからキャラクターの任意入れ替えが可能になる(基本はエステル+シナリオ固定枠1人+自由枠2人)。
    • それ自体はいいのだが各プレイヤーが使いやすキャラと使いにくいキャラで成長やオーブメントの強化が偏りやすい。こちらが低レベルだとレベル差で取得経験値が増えるのが救い。
    • 個性もあるので「どんな状況でもお荷物」というキャラはいないが、やはりキャラ格差は大きい。固定枠では復帰後のヨシュア、自由枠では強力な自己強化クラフトを持つジンや、Sクラフトで攻撃を1回無効化するバリアを張れるケビン神父が強い。
  • 長くなったSクラフト演出。
    • 『FC』からのキャラには全員新しいSクラフトを一つ習得するのだが、前口上やエフェクトで全体的に長くテンポが悪い。
      • 『FC』からのものが10~15秒のところ、新しいものは20~25秒程度が多い。
  • 「身喰らう蛇」の構成員のうち4人がほぼ横並びの扱いなので、同じような展開が4回続くことが多い点にはダレが来る可能性がある。
  • 終盤手前で一時的にアーツ使用に制限がかかった状態で王国を巡回するのはダレるポイント。ちょうどザコ敵と接触しなくなる「葉隠」の入手タイミングだがそれでも面倒。
    • シナリオ的には、その不自由な圧迫感があってこそ…というポイントでもあるが。

総評

オーブメントなどシステム周りの調整により、ゲームとしての質も高まっている。
続編である以上FCプレイは前提となるが、主人公たちの成長や葛藤、敵組織との対決など非常にうまくまとまった、かつ描かれていない部分まで世界の広がりを感じさせる物語となった。
作中世界的には「運命の歯車は回り始めたばかり」として同じ世界の別の物語を予感させる形で締めくくられ、実際に続きが作られることになる。


PSP/PS3移植

  • おおよそPSP版『FC』と同様の追加要素がある。さらに下記のような追加変更点あり。
    • 一周目から難易度イージー・ノーマル・ハード・ナイトメアを選択可能。
    • Win版ではスポット参戦だったユリアとNPCだったミュラーが最終章で操作可能になった。
      • ユリアの性能はスポット参戦とほぼ同一だが、ミュラーの性能はWin版『3rd』とほぼ同一で、敵として対峙していた際とは通常攻撃モーションが異なる、Sクラフトがあるという違いがある。
    • ティータのSクラフト「カノンインパルス」が強化されるイベントが追加された*3
    • エステルとヨシュア以外の最強武器、クオーツ「刻耀珠(駆動3)」の追加。
    • 2周目以降カジノの景品追加。
  • 戦闘で入手できるセピスが表示の二倍になっているというプレイヤーに有利なバグがある。
    • PSPのダウンロード版では実際に入手できる数値(Win版の二倍の数値)が表示されるようになっているので仕様のようだ*4
  • PSP版SCはPSP初のUMD二枚組のゲームである。
    • それが仇となり、技術的な問題で『SC』のみダウンロード版の発売が遅れた*5途中でディスク入れ替えが必要である『SC』はダウンロード版の恩恵がもっとも大きい。
      • ダウンロード版ではディスクチェンジの場面まで進めると、そこでセーブをして一度ゲームを終了する必要がある。そのためディスクチェンジの方法に関してはパッケージ版の方が手軽である。
      • ただし、ディスクチェンジの場面が限られること、ダウンロード版の方がロードが速いことを考慮すると総合的にはDL版の方が快適と言えるかもしれない。
  • PS3版の正式名称は『英雄伝説 空の軌跡SC:改 HD EDITION』で、『FC』と同様にPSPソフトをHDリマスターする「PSP Remaster」の一環。
    • グラフィックがHD化され、PSP版とセーブデータの共有が可能。ゲーム的な追加要素は特になく、トロフィー機能もない。
      PSPはUMD二枚組だったが、こちらはブルーレイディスク一枚。
    • エクストラコンテンツとしてカスタムテーマの他、サウンドトラックが全曲収録されている(PS3本体にインストールして他の機器にコピーも可能)。

余談

  • 当初は終盤で戦うある重要敵キャラがファンのイメージほど強くなく、「弱すぎる」との意見がファルコムに殺到したために公式強化パッチが配布された。
    • 初期の段階でも特別弱すぎるボスだったわけではないが、「普通に戦って倒せてしまう」相手になった時点で上記の不満が噴出した形となる。
    • Win版発売当時、強化パッチと称して非公式パッチがいくつも配布されていたため、その対策の意味が大きい。
    • その結果ラスボスよりも強くなり、ほぼ確実に先制をとられる上に体力の低いキャラは通常攻撃で一撃死確定という恐ろしい性能になった。これは以後の再販やPSPでも引き継がれ、PSP版ではさらに強化されている。
    • 非公式パッチ駆逐という目的もあって、勝てればその時のメンバーに応じてちょっとしたエピソードが語られるというおまけ要素が追加されるという豪華仕様になった。そして負けても普通に進行出来るようにもなった。
  • 『軌跡シリーズ』に付き物となる「怪盗B」のクエスト*6が、類似のものも含めると序盤から中盤にかけて六つも存在する。特にサブクエストのものは自力で攻略しようとすると非常に面倒くさい。
  • 『FC』クリア後の予告ムービーのカットは、『SC』本編内のムービーでは似た構図の別ものだったりそもそもムービーシーンではなかったりする。『SC』クリア後に見直してどの場面を表していたかを考えてみるのも面白い。
  • Win版発売に合わせて、『FC』『SC』と特典ドラマCDをセットにしたアカデミック版が『英雄伝説 空の軌跡SC AC』として発売された。ゲームソフトのアカデミック版は極めて珍しい。
  • iOS/Android向けのクラウドゲームアプリが配信されている。
  • 漫画化もされており、2017年現在連載中。作者は啄木鳥しんき。
+ PSV版『英雄伝説 空の軌跡SC Evolution』の特徴・変更点 (参考記述)

2015年12月10日に発売されたリメイク版。価格は通常版5,800円、ダウンロード版が4,800円(共に税別)。
発売は角川ゲームス。企画・監修はキャラアニ・日本ファルコム。開発はパオン・ディーピー。
レーティングはCERO:C(15歳以上対象)へと上がっている。以下、変更点。

  • 画質・UI・戦闘バランス・ボイス部分は『FC Evo』の点を継承しているため、『SC Evo』特有の変更点を述べる。
  • OPやBGMのアレンジ。
    • OPにはジンなどのキャラがいなかったり、OPに登場するキャラの偏りが見られるほか、キャラが似てない、動きが少ないなど全体的に作画レベルが高くない。
    • OPテーマの「銀の意志 金の翼」は壮大なイントロがなくなった、歌い手が変わったのかあまり良い評価は得られていない。
    • 原作のSCのBGMはあまり隙の無い完成度を誇るので、アレンジが作りにくいのか、原曲からかなり変化が大きいBGMが多く、ほぼ別物といえるものもある。
      • 今回も原曲に切り替えられるDLコンテンツが配信されている気になる人はそちらで。
  • 新しく追加されたアーツ「アラウンドノア」を使うとフリーズするバグがある。
    • こちらは発売日に修正パッチが配信された。
+ タグ編集
  • タグ:
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  • ドラゴンスレイヤー&英雄伝説
  • 軌跡シリーズ

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最終更新:2021年11月30日 02:11

*1 Win版『FC』にはクリアデータというシステムが無いので、ラスボス撃破~エンディングまでの状況のセーブデータを使う。

*2 FCオープニング曲だが、特にその後半の部分。FCラストダンジョンやSCタイトル画面で流れているメロディと言ったほうが判りやすいか。

*3 これを『3rd』にデータ引き継ぎすると、強化が引き継がれるようになっている。

*4 魔獣手帳のデータも二倍の数値になっている。

*5 2012年11月8日配信開始。価格はBest版と同じ3,780円。

*6 簡単に言えばチェックポイントごとに次の目的地を示すクイズが出るオリエンテーリング。『FC』から存在している。