ドラキュラII 呪いの封印

【どらきゅらつー のろいのふういん】

ジャンル アクションRPG
対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
発売・開発元 コナミ
発売日
()は書換開始日
1987年8月28日(1987年10月26日)
定価 2,980円
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2008年10月28日/500Wiiポイント
【3DS】2013年3月27日
【WiiU】2014年3月5日/上記共に500円
判定 なし
ポイント 早すぎた探索型ドラキュラ
アクション面は単調
嘘つきばっかの町人
オマチクダサイ(×2)
悪魔城ドラキュラシリーズリンク

概要

悪魔城ドラキュラ』シリーズの2作目(通算では3作目)。
ドラキュラとの戦いで死の呪いを受けたシモン・ベルモンドが、各地の館にある五つのドラキュラの遺骸を集め、蘇ったドラキュラを倒して呪いを封印するという話。
純粋なアクションゲームであった前作と比べて『リンクの冒険』のような探索要素や成長要素などのRPG的な要素が強くなっている。

特徴

基本的な操作システムは前作と変わらないが、RPG色が強くなった影響が各所に見られる。
大まかなゲームの流れは、「各地を転戦しながら情報を集めたり自身を強化する→館でドラキュラの遺骸を集める→全ての遺骸を集めたらドラキュラ城廃墟に向かい、ドラキュラをあえて復活させた後に完全に滅する」という感じになっている。
ライフ制+残機制で、残機ゼロになるとゲームオーバー。コンティニューは可能だが、ハートと経験値がゼロになるペナルティを負う(アイテムやレベルはそのまま)。

  • 冒険の舞台は、人々が住む「街」とドラキュラの遺骸が安置されている「館」、そしてそれらをつなぐ「フィールド」に分かれ、比較的自由に行き来できる。前作のようなステージクリア型ではなくなった。
    • 街では人々と会話して情報を集めたり、商人からアイテムを購入したり教会で回復したりできる。
    • 館は前作のような完全アクション特化のステージと思えばよい。ただし、壊せたりすり抜けられる床や壁が大幅に増えているので、探索の要素も強い。
  • 敵を倒して経験値やハートを稼ぎ、レベルを上げたり武器やアイテムを購入するというRPG的な要素が強まっている。
    • 本作は敵を倒しただけでは経験値は得られず、約80~90%(体感)の確率で落とすハートを手に入れてはじめて経験値が加算されるシステムになっている。ただし、地域ごとに敵のレベルが決められており、シモンのレベルより低い敵からハートを得ても経験値は増えない。
    • ハートは従来のサブウェポンの使用の他、アイテムを購入するための資金や経験値の獲得など様々な役割を持ち、種類も小、中、大の三種類に増えた。
  • 時間の概念があり、一定時間経つと昼夜が切り替わる。夜間は「街の施設を利用できなくなる」「街の中にも敵が出る」「敵の耐久力が2倍になる」といった制約を負う。ただし、敵を倒したときに得られるハート量が多くなる。
    • 館などの建物内にいる時以外は時間が経過していく。時間がくると、敵と戦っている最中であってもお構いなしに移り変わりを知らせるメッセージが出る。
    • 本作はマルチエンディングを導入しており、時間の経過具合によってエンディングが変化する。具体的には、7日以内にクリアするとグッドエンド、15日以上かかるとバッドエンドになる。
      • クリア後はレベルと全てのアイテム(ドラキュラの遺骸含む)を引き継いだ状態での新規プレイが可能となっており、1周目でバッドエンドとなった場合でも2周目にいきなりドラキュラを倒してグッドエンドを迎えられるようになっている。
      • 1周目でグッドエンドを迎えるには、綿密な計画を立て、無駄なく行動することが必要となる。

問題点

  • グラフィック面
    • 決して悪いわけではないが、前作の「少ないパターンを工夫してうまく見せる」背景に比べると単調さが目立つ。特に同じパターンの木が並べられるフィールドで顕著。
    • 容量の問題で致し方ない部分も多いのだが、どこへ行ってもあまり変化が見られないのが寂しい。
  • アクション面
    • 残念ながら前作よりもアクション性は劣ってしまっている。操作性は前作を踏襲しているためその点には問題なく、炎のムチなど武器を強くするに連れ爽快感は増すが、一方でマップのギミックがあまり凝っていなかったり、敵の行動パターンも単調なものばかりなので、作業感が浮き出てしまっている。
    • ボスはドラキュラを除いて女吸血鬼と死神の2体しか出てこないうえ、倒さなくても素通りできてしまう(ただし、内一体は倒さないとゲーム進行上重要なアイテムが手に入らない)。
    • ラスボスのドラキュラも含め簡単にハメられるので緊迫感が無い。とにかくヒットストップの硬直が長く、大抵の武器で(目押しは必要だが)延々と一方的に攻撃できる。その割にはボスの体力はランダムで変動もあるがやたらと高く時間がかかる。
    • シリーズの強敵として名高い死神は「初期位置で鞭を振れば勝てる」と言われる始末
      • 中でも聖なる炎や金のナイフは連続して使うと、前作の聖水2連射のようなハメが簡単にできてしまう。ラスボスのドラキュラはニンニクを適当なところに置けば終了と言うのはいかがなものか。
  • システム面
    • 容量を削減するため、メッセージはカタカナオンリー。少々分かりにくい。
    • 本作の評価を下げた要因のひとつとして、場所を移動すると頻繁に「オマチクダサイ」のメッセージとともにディスクのロードが起こったことが挙げられる*1。当時を振り返り、「ROMカセットであれば楽しかったかもしれない」という意見もあった。
      • その意見はのちにバーチャルコンソールで間接的ながら実現することになるのだが、当然読み込みだけが本作の問題ではなかったので、快適になった反面、単調さがより目立つという皮肉な結果をもたらすことに…。
      • NES版も発売されたが、こちらはROMカセットなのでロード時間は皆無。ただしNES版ではバッテリーバックアップ機能が無いので、ゲーム再開時にパスワードを入力しなければならず、再開が少々面倒である。
  • 謎解き面
    • 自力攻略の難易度が高い。完全ノーヒントという訳ではないのだが、街の住人に嘘情報を吐く輩が多い。これが混乱のもとになっている。なお、説明書には嘘吐きもいることは記載されている。
      • たとえば、行く手を阻む「デボラの崖」では、「崖の前で赤水晶をかかげ風を待つ(崖の前でアイテム「赤水晶」を選択して10秒間しゃがむ)」のが正解で、このヒントは別の場所で入手できる文献に記載されている。しかしその一方で、とある街の人は「デボラの崖を頭突きで切り開け。すると大きな穴が開く」と嘘を吐く。
      • 基本的にはあからさまな嘘が多いのだが、時折こうした微妙な嘘が出てくることがあるのが嫌らしい(冷静に考えればかなり突飛な情報だが)。
      • 幸い各地で手に入る文献に関しては嘘は一切ないのでその面では安心。
  • 移動面
    • 今作は最初の町(ヨーバ)を中心に左右に進んで(途中上下の分岐もあるが)探索するのだが各地の移動が面倒
      • 一応、左端(デボラの崖)から上記の方法で右側の中間点辺りにワープできるが、これはほぼ必須イベントの一つ(普通に右側へ進むとジャンプで越せない穴があって詰む)であり、それ以外は徒歩なので今作の単調さもあってダレてしまいやすい。
      • ゲームオーバー→セーブ→ゲーム再開するとヨーバから再スタートするのでこの方法を駆使してショートカットも可能だがこの場合は消耗アイテムとハートが0になってしまう為にやはり手軽な方法とは言えない。
    • ヨーバからすぐ左はダメージを受ける毒沼地帯なのだがノーダメで通れるゲッケイジュがヨーバに売っておらずゲーム再開時にわざわざ売っている街に買いにいかなければならない。

評価点

  • サブウェポンのバランスの見直し
    • 前作で猛威を振るった聖水は今作では威力低下、炎が発生しないようになって大幅に弱体化された。
      • ただし、ハートを消費しない、壁の破壊が可能、隠し通路の探知(通れる壁をすり抜ける)といった探索面で有利になる特性が付加されている。戦闘でも段差違いの斜め下をカバーできるので全く無用の訳ではない。
      • なお、聖水とほぼ同じ使い方で炎で敵を攻撃するタイプのサブウェポンとして「聖なる炎」が追加されている。
    • 一方前作では使い道がないも同然だった短剣は強化された。
      • 威力が上昇し、射程内の敵を貫通したり、連続ダメージを与えられる等シリーズ中でもトップレベルの使い勝手を誇る。
      • 残念ながら次回作のFC『悪魔城伝説』で元の性能に戻されてしまった。また本作性能のナイフは再登場の機会に乏しくGBA『暁の円舞曲』のリッパーのソウル程度しか無い。
    • 新しいサブウェポンとして壁で反射する跳鉱石、設置型のニンニク、一定時間無敵になれる月桂樹の葉が追加された。
      • ただし、跳鉱石は無くてもクリアに困らず、入手場所も攻略ルート上寄り道の上、道中も険しいとあまり入手は推奨されない。
      • それでも跳鉱石は本作からしばらくの間はあまり登場していなかったが、後にPS『月下の夜想曲』で再登場してからは探索型シリーズで度々登場するサブウェポンとして出世する事になった。
      • 他、厳密にはイベントアイテム扱いだがドラキュラの遺骸入手に必要な樫の木の杭も存在する。
    • 基本的に強力なサブウェポンは個数性だったり消費ハート数が多い等のバランスが取られ、サブウェポンは使い勝手が良いもの一択とはならないように調整されている。
  • シモンの強化性
    • 一部のドラキュラの遺骸や鞭の強化、レベルアップによって以前は苦戦した敵にも容易に勝てるようになっていくのは快感。
      • 鞭は最初こそ低射程、低威力の「皮の鞭」だが各地で強力かつ射程が長い鞭を購入でき、特定条件で入手できる最強の鞭「炎の鞭」の威力は圧巻。
        「炎の鞭」も本作以降は「血の輪廻」ではサブウェポン未装備状態でのアイテムクラッシュとして登場したり、GBA「サークルオブザムーン」やPS「キャッスルヴァニア」等では比較的序盤の強化武器として登場する等、半ば定番装備の一つとして優遇されている。
  • フラグ管理の緩さ
    • 今作のフラグは一部の遺骸と水晶による物のみなのでやろうとすればスタート直後に強力なアイテムを先に手に入れたり、本来後半向けに調整された館の遺骸の入手も可能。
      • 樫の木の杭は一つしか持てず消耗品だが、各地のものが共用可能なので遺骸入手後にもう一度購入し他の(杭の入手が困難な)館で使用するといったことも可能。
    • 結果ある程度戦略的に攻略順を変更できる。
  • ディスクシステム音源を活かしたBGM
    • 前作のBGMでは拡張音源は使用されていなかったが、本作では拡張音源を活かして重厚な音色が取り入れられ、鐘の音の音色なども効果的に用いられている。
      • 名曲「Bloody Tears」の初出作である。
      • 「Bloody Tears」に隠れがちだが他の曲も評価が高い。

総評

RPGの要素をほぼ無理なく取り込むことに成功しているため、アクションRPGとしてはそれなりにまとまっている作品。
ただ理不尽な謎解きやゲームバランス面での練り込みの甘さが問題視されており、その点の調整さえ完璧なら名作たりえた点が残念なところである。

後の『月下の夜想曲』以降のシリーズが探索型アクションRPGとしての性質を強めていったことも考えると、本作は「マンネリ化を防ぐための試金石、実験作」として定義できるかもしれない。 失敗を恐れることなく安牌に終始せず、シリーズの新たな方向性を掲示したことについては評価できるだろう。

余談

  • BGM「Bloody Tears」は定番曲として何度もアレンジされ、のちに「Vampire Killer」「Beginning」と並ぶ「三大名曲」としての地位を確立させるまでに至る。
  • ある街で発売当時流行っていた「北斗の拳」のパロディーで、「死兆星」について話す住人がいる。ストーリー設定上、シモンの寿命が尽きかけている状況なので一応間違ってはいない……? エンディングでドラキュラの呪いが解ける事によってシモンの死兆星も消えたのであろう、たぶん。
+ エンディングのネタバレ注意
  • グッドエンディングではドラキュラは完全に封印され二度と復活してこない旨が表示されるのだが、その後で墓の中から手が出てきてすぐにも復活してしまうことが示唆されて終了になる。ホラー映画などではよくある(続編を連想させて終わる)落ちではあるのだが、本作のストーリーからするとこれでは完全にバッドエンドになってしまう……。
    • だが悪魔城シリーズの公式年表などではこのドラキュラ復活については記載されておらず、これについては無かった事になったらしい。(アーケード版やSFC版の悪魔城ドラキュラは一作目のリメイクであり、「ドラキュラIIの直後に起きたシモン三度目の戦い」ではない)
  • ドラキュラの遺骸(=魔導器)や渡し守、「イイトコロニ ツレテイッテ アゲヨウ」などの独特なメッセージ等、設定面において後のシリーズに継承されたものは多い。
  • Switch/PS4/XboxOne/WinのDL専用ソフト『悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション』には北米版『Castlevania II Simon's Quest』が収録されているが日本版は未収録。
    • 日本版がFCDのみ、北米版がROMのみというメディアの違いによるものと見られるが、謎解き主体のゲームで言語が英語固定の為に日本のユーザーからは不満の声が多い。海外ユーザーのために『悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん』を新規でローカライズしているのに、日本版が収録できないからそのまま北米版だけ収録という手抜きが不満に拍車をかけている。
+ タグ編集
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  • ディスクシステム
  • ARPG
  • 悪魔城ドラキュラ

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最終更新:2023年08月05日 08:24

*1 ディスクのA面・B面の入れ替えも必要な場面がある。