妖怪倶楽部

【ようかいくらぶ】

ジャンル アクション

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対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 ジャレコ
開発元 トーセ
発売日 1987年5月19日
定価 4,900円
判定 なし
ポイント 経験値を稼ぎパワーアップ
演出、世界観、音楽は良好
穴が最大の敵
見落とすとクリアできなくなるアイテムの存在


概要

199X年を舞台に超能力少年あきらが、妖怪軍団に立ち向かうべく妖魔奇城へ単身乗り込んでいくアクションゲーム。


特徴

  • 縦スクロールと横スクロールで構成された全6ステージ。道中では色々なアイテムも手に入る。
  • EXP
    • 敵を倒した際に出現する「経験値の素」を取ると上昇する。これによりサイコ技の威力や射程が上がるなど強化されるようになる。
  • POW
    • あきらのHPで0になったらゲームオーバー。
    • 回復手段は道中に配置されたPOW(パワーアップ)、ステージをクリアするなどで全回復。また、倒れた際にEXPがあれば復活の蝶が現れ、全回復する。
  • 制限時間
    • TIMEが0になった場合どこからともなく死の蝶が出現する。
      • アーケードゲームにおける永久パターン防止キャラのような役割で、触れたら即死である。

登場人物

  • あきら
    • 本作の主人公。5000年前に妖帝ガルスを封印した超能力戦士の末裔。
    • 超能力の使い手でありメイン武器はサイコ技の飛び道具(無制限)。経験値が一定以上に達する毎に、サイコ技がサイコスティンガー→サイコキネシス→サイコフレアーと強化されていく。
  • 妖帝ガルス
    • 海底火山の爆発により、5000年の眠りから目覚めた妖怪王。妖怪軍団の元締め。
  • 副官ゼラン
    • ステージ2のボス。目が弱点。口からはコウモリを吐き、片目を潰すと炎のピューマを呼び出す。
  • 副官ガイン
    • ステージ4のボス。外見も弱点もゼランと一緒だが、こちらは口から骸骨を吐き、片目が潰されるとバックベアードを呼び出す。死神を倒した後の連戦なのでやや辛い。

評価点

  • 経験値によりあきらのサイコ技(ショット)がパワーアップする一風変わったシステム。ショットは最初は射程も短く頼りないが、パワーアップするごとに射程、威力があがり、最終段階になると弾が画面端まで届きかなりの使い勝手を誇る。
    • 経験値は敵を倒しただけでは手に入らず、敵の落とす経験値の素(経験値アイテム)を入手する事で初めて経験値が入る。ただ敵を倒すだけではなく、なるべく敵を引き付けて倒す、経験値の素を回収しやすい場所に敵を誘導するなどの立ち回りを必要とされる。
    • ショットをパワーアップされるため、経験値目的の稼ぎプレイが有用。お誂え向きに敵を倒しやすく復活させやすい位置に配置してあるところや、経験値の値が1メモリ増える「経験値ブック」を落とす敵もいるので、どこで何を倒し、どう稼ぐか戦略的にプレイする事が可能。
  • ストックする事のできる便利なアイテムの存在。雑魚敵の動きを一定時間封じる「フラッシュ」、ボスを含め画面中の敵にダメージを与える「バクダン」の2種類。苦手な場面や強敵相手にストックしておき、好きな場面で使う事ができる。比較的登場数が多いのもプレイヤーには嬉しい。
    • 一定時間無敵になれる「薬ビン」、通常の3倍の量の攻撃が放てるようになる「分身の術」など、その場限りのアイテムも中々有用。体力全回復アイテムの「パワーアップ」の登場数も多い。
  • 敵の種類が豊富。
    • コウモリ、骸骨、幽霊といった定番のものから、近づいたり攻撃を加えると動き出す岩妖怪(ロックマン)、2面後半にいる倒すと首が分離し襲い掛かってくるろくろ首、2面最後に突如空中から現れ弾を放ってくるバックベアード、風を放って攻撃してくる天狗、箒に乗りこちらの攻撃の届きにくい高高度から攻撃を仕掛けてくる魔法使い、6面にしか登場しない敵群*1など。
    • 前述のろくろ首、井戸から現れ皿を投げ飛ばすお菊、3面後半に登場する蜘蛛など、ゲーム中一回しか現れない敵も。
    • 2面後半に登場する通常攻撃では倒せないが、フラッシュ、バクダンで倒すと経験値ブックを落とす逆さ男、先に述べたゴーストハンドなど、ボーナス敵のようなものも存在する。これに気付くとゲーム展開が楽になる。
    • 風神、達磨といった和風なものから、死神、ピエロと洋風なものまで、ボスも多彩。ラスボスは画面いっぱいの大きさを誇り圧巻。
  • 演出・世界観・音楽が良い。
    • 背景は「妖怪」という題材をうまく表しており、ビッシリと顔の敷き詰められた1面の壁、幻想的な雰囲気の出ている2面前半、地面に骸骨が敷き詰められ、巨大な龍の骨が印象的な4面、和風な雰囲気から一転、西洋的な雰囲気となる5、6面など、独特な雰囲気がよく出ている。
    • ステージ2、3のどことなく和風かつ妖怪という題材にあった音楽、ステージ4、ステージ5後半のノリのいい音楽、一定時間効果が持続するアイテムの効果時間中に流れる非常にテンションの高い音楽など、BGMの出来が良く好評である。
      • ボスBGMは、通常ボス、副官、ラスボスと3つも用意されている。
    • 死神の急襲、獣の咆哮、魔法使いの高笑い、ボス敵の鳴き声や断末魔などの表現、岩妖怪が動くたびに画面が揺れるなどの演出もどことなくホラーな雰囲気を醸し出しており、世界観にピッタリ。
  • ステージ開始直後や、画面切り替わりの際に無敵時間がある。これにより突然、敵に襲われてダメージ、という事はない。

賛否両論点

  • 3面以降顕著となるが、穴を飛び越えた先の地点に敵が配置されることが多くなる。
    • 本作は被ダメージの際のノックバックがあるため、「穴を飛び越えた際に敵に接触しそのまま後ろに弾き飛ばされて穴に落ちる」というミスがよく起きる。穴を越える際、ジャンプ途中で引き返す動作を身に付けないと危険。
  • マップの構成
    • ステージ1は別のエリアを経由して数画面登って来てみたら数ブロック登っていただけだったり、ステージ2で井戸では一番下に降りて右へ進んだら、井戸の出口近くに出たなど、一部のマップ構成に違和感がある。これで迷う事があるわけでもなく、気にするほどでもないが、不自然といえば不自然。
      • ステージ2は井戸から鍵を入手して建物の扉を開くのだが、その後は建物内部ではなく、ステージの最初に引き返して副官ゼラン戦になる。なお、引き返す道中では新たな敵が再配置されている。
    • ステージ3や4では隠し部屋を見つけ、そこにいる敵を全滅させる事で先に進めるようになるのだが、隠し部屋の名の通り扉など何も無い空間に入口があるため、初見では迷いやすい。ただし、しらみつぶしに探せばすぐに見つかる場所に隠し部屋の入口は配置されている。
  • 悪魔城ドラキュラ』の影響。
    • ブロックの質感、死神、炎を吐いて来る頭蓋骨、BGMなどが類似している。

問題点

ゲーム性

  • 最大の敵、
    • HP全回復アイテム「パワーアップ」の配置も多く、あきら自身も打たれ強いので敵から攻撃を受けてゲームオーバーという事は中々ないのだが、穴に落ちるとHPに関係なく一撃死してしまう。しかも、敵の攻撃を受けてゲームオーバーになった場合は一定量の経験値と引き換えにその場で復活できるが、穴に落ちてしまった場合は一定量の経験値を失った上でステージの最初に戻される。通常ゲームオーバーと同様に、復活上限回数まではステージの最初からやり直せるが、落ちたら一撃死&ステージ最初からというのはかなりのプレッシャーとなる。
      • 3面は特に穴が多く、また敵の配置もいやらしいため、全ステージ中屈指の難易度を誇る。この面を越えられるかどうかが、このゲームの評価の分かれ目といえる。
  • アイテム「サイコキネシス」の難ある仕様
    • 6面の終盤には通路をブロックが塞いであり通れない所が2か所ある。これをどかすにはアイテム「サイコキネシス」を使う必要があるが、これはゲーム中、3面と6面にある2つしかない。取り忘れたり、関係ない所で使ってしまう*2と、ブロックをどかす事が出来ず進むことが出来ない。また、サイコキネシスは、経験値を最大まで溜め、そして経験値を一定量消費する事で初めて効果を発揮するのだが、経験値が最大ではない状況で使ってしまうと、これまたアイテムだけを消費してしまう。
      • 6面でサイコキネシス取得後、穴に落ちてやり直すとサイコキネシスを再度取得できる。
      • 一応、最初のブロックが塞いである所は、敵を画面内にたくさん登場させ、キャラクターオーバーによるスプライト欠けを利用し強引に突破する事もできるが、2か所目は敵の配置上、そうはいかない。
      • また、サイコキネシスに関する情報は、ゲーム中一切出てこない。
  • 取ると一定時間効果が持続するタイプのアイテム(「薬ビン」や「分身の術」等)は、そのアイテムが効果を持続している間、他のアイテムが見えなくなり取れなくなる*3。通常アイテムならまだいいが、前述の「サイコキネシス」も見えなくなってしまうので、取り損ねる可能性が高まってしまう。アイテムの配置を覚えておくか、場所によってはあえて取らずに進んだ方がよい場合もある。
  • 残機の概念がないため、ミスしたら即ゲームオーバーとなる。せめてステージの最初からコンティニューができれば…
    • ただし、本作は前述のように経験値を貯めればその場で復活する事ができ、その回数は大体2~3回ほどになる。また、これも前述したとおり、体力全回復アイテムの「パワーアップ」が数多く配置されており、あきら自身も打たれ強いので、敵の攻撃を受けてゲームオーバーというのは中々起こりにくい。前述の穴や一部のボスを除けば、それほど厳しいというものではない。
  • 溜まりにくい経験値
    • 敵が落とす経験値の素は、複数個取ってやっと経験値メモリが1つ増えるレベルで、大幅に増える経験値BOOKですら、1つで1メモリ増える程度。稼ぎを行わなければ中々レベルは上がらない。
  • 蝶のシステム
    • 死の蝶はタイムが0になると出現するが、結構な速さで飛び回るため、逃げ切ることは不可能に近い。
    • 復活の蝶は経験値と引き換えに復活させてくれるのはいいが、経験値をしっかり溜めていないと出てこずそのままゲームオーバーとなってしまう。また、復活の蝶が出てくるかどうかもゲームオーバーになった時まで分からない。
  • パスワード
    • ステージ2とステージ3の2箇所しかない。ステージ4以降でゲームオーバーになった際もステージ3からのやり直しとなる*4。EXPも0からなのも辛い。

BGM

  • BGMの初期化。
    • PAUSEをかけたり場面が切り替わる毎に曲の冒頭から再生される。アイテムは使う度にPAUSEをかける仕様であるので、アイテムを多用したり、最終面などでは短いエリアが続く所ではBGMがぶつ切りになってしまう。
  • ラスボス戦では専用BGMが流れるが、PAUSEをかけるとなぜか通常ボスのBGMになってしまう。

その他

  • 画面のフラッシュ。
    • ボスを倒すと画面が激しくフラッシュして目に悪い。
    • アイテムの「フラッシュ」を使用すると敵の動きが15秒ほど停止するが、その間、効果が切れるまで画面が激しくフラッシュし続けるため目にキツイ。
  • フォントがアルファベットのみで、文章はローマ字表記。
  • エンディングの演出が青1色の背景に簡潔なメッセージが表示されるだけと、この時代の作品としては簡素。

総評

経験値を主軸としたシステムとアクション、妖怪とSF要素をプラスした独特な世界観、耳に残るBGMなどは中々に強い印象を持っており、題材はよく練り込まれている。
しかし、穴による即死と常に隣り合わせとなるゲームプレイなどの要素によってやや遊び辛くなっているのが否めない。
良作になる可能性はあったのものの、今一歩、そう呼ぶに至るところまでいけなかった非常に惜しい一作である。



余談

  • パッケージイラストは、爬沼庵によるものだが、他にも『バイオ戦士DAN』のイラストも手掛けた。
  • 説明書には『リアルベースボール ペナントレース'87(仮称)』(のちの『燃えろ!!プロ野球』)次回発売予定!!とあり実際に翌月発売された。
    • 『燃えプロ』とは他にも縁があり、『燃えプロ』が大ヒットし赤いカセットの在庫が無くなった際、本作の黒いカセットを流用したという逸話がある。
      • 俗にいう、『燃えプロ』の黒カセットである。この黒カセットは、赤カセットにあった一部の不具合が修正されている。
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最終更新:2024年03月20日 14:01
添付ファイル

*1 背景を動き特定のアイテムを使わないと倒せないが経験値ブックを落とすゴーストハンド、その場を跳ねるスライム、柱と一体化した敵、攻撃すると体を分裂させてくるムカデ。

*2 ちなみに、関係ない所で使っても一定量の経験値を消費するだけで何も起こらない。

*3 敵の落とす経験値の素は別。

*4 これは前述のサイコキネシスを入手できるステージの関係であると推測される。